きょうだいの出生順位と性格についての研究 先行文献のまとめ、調査方法など

1. きょうだい構成と性格の関係
川村ゼミ２班
石橋、中武、藤中、古川

2. はじめに
ある人とはしっくりいき 良好な関係が長続きしているのに、
別の人とはうまく噛み合わず 問題が多い。
初対面の人について 「生まれ順」 を知り、その人の性格や
行動パターンを推察したことがある。

3. わたしたちは 「家庭の中での立場の違い」 が
人格形成に影響をもたらすことを漠然と感じている・・・

4. 仮説

5. リンダ・ブレア著（2011） 『きょうだいの暗号』
家庭環境や育った背景が、その人の性格を決定づけることを検証。
→人間の性格は生まれ落ちた瞬間から、さまざまな事柄の影響
を受けながら形成される。
→家庭の中での立場の違いは人格形成に影響をもたらす。
先行文献との比較

6. リンダ・ブレア著（2011）『きょうだいの暗号』より
 第一子
几帳面で責任感が強い・面倒見がよい・保守的
心配性・理想と期待を高く持つ傾向がある
 真ん中っ子
社交的で仲を取り持つのがうまい・流されやすい
勉強以外の分野で頭角を現すことが多い
末っ子
活発で魅力的・斬新な世界観を持つ
権威や既存のやり方に歯向かう傾向が強い
 一人っ子
完璧主義者・自尊心が高い・論理的
同年代よりも年長の人との付き合いを好む
性格の特徴

7.  インタビューによる聞き取り調査
→調査対象者自身の経験や家庭環境が結果に影響を与えている可能性がある。
 調査対象者の年齢が広い
→人格形成の段階に差があると結果にバラつきが出る可能性がある。
先行文献の問題点
同じ結果は
得られるだろうか？

8. 調査方法
18～24歳の人を対象に匿名のWebアンケートを行った。
A．あなたの年齢と性別を答えてください。性別については、当てはまる方に○をつけて
ください。
年齢（ ）歳 性別（ 男 ・ 女 ）
B．例を参考にあなたのきょうだい構成について記入してください。あなたが一人っ子の
場合は空欄で構いません。
例：兄２人・妹１人

9. • 42個の質問項目に五段階で回答
• きょうだいの特徴について自由記述

10. 性別 人数
男 59
女 48
男女比

11. 年齢比

12. 参考文献
〇リンダ・ブレア著 （２００１） 『きょうだいの暗号』
〇小塩・西口 （２００８） 『質問紙調査の手順』

13. 〇依田明・飯嶋一恵 （１９８０） 『出生順位と性格』
→依田・深津（１９６３）の調査の再調査
長子的性格・次子的性格が存在しているのかどうかについて検討。（年代的変化の検討）
（方法）
小学5年生187人とその母187人（二人兄弟、きょうだいは幼稚園から高校に在学中）
日常生活場面でよく見られる行動の記述で、どちらのきょうだいに当てはまるのか相対的判断
（結果）
長子：面倒なことが嫌い、自分の用を他人に頼む、仕事が丁寧、几帳面、ひかえめ、聞き手に回る、ませている
⇒遠慮、母への反抗、すましやなどの項目が追加され大人びて気難しい面が強調
次子：両親に甘える、依存的、強情、やきもちやき、激しい気性、わがまま、外交的
⇒明朗、せっかちなどが加わり、積極的で活動的な面がはっきりした
（まとめ）
長子的性格、次子的性格の存在は非常に明確に検証された。ほとんど変化は見られず固定化

14. 〇岩井勇児 （１９９３，１９９５） 『2人きょうだいの出生順位と性格』
→長子的性格・次子的性格といわれる性格特徴がきょうだいの性別の組み合わせによっても変わらないものか
（兄妹、兄弟、姉弟、姉妹によってことなるか）
問：「あなたのきょうだいと比べると、どちらに当てはまっているか？ 兄・弟」
⇒回答の一致率はどの程度みられるものか
（方法）
同じ中学に在学している2人きょうだいだけを対象
６校から２０９組（兄妹５８、兄弟４８、姉妹４８、姉弟５５）
性別の組み合わせを考慮した４パターンの質問紙
（結果）
・きょうだい間の回答の一致率は平均５０％
・兄弟、姉弟の回答の一致率は４８％、姉妹、兄妹の回答の一致率は５３％。
＝弟との関係よりも妹との関係の方が互いにわかりやすい。
・きょうだいの組み合わせによって同じ項目でも一致率の違いが見られる

15. 〇白佐俊憲 （１９９３，１９９４，１９９５） 『きょうだい関係と性格』
→ YG性格検査 きょうだい関係によって結果に違いがあるかどうか
※ YG性格検査とは
はい、いいえ、わからない で答えてもらう質問紙形式
回答から得られた１２の尺度（主観性、客観性、協調性、活動性など）を複合的に見て、
「情緒特性」 情緒が安定しているか
「人間関係特性」 人間関係の築き方
「行動特性」 物事の取り組み方
「知覚特性」 物事のとらえ方
の４つの特性について判断
（方法）
女子短大生を対象 １９９２年１９９３年 別々の対象者に
自己評定法によって回答
１０５１人、１０６５人 二人きょうだいの結果のみ
（結果）
出生順位の影響と思われる差異も一致点も見当たらない
⇒きょうだいの人数、年齢間隔、性別構成も同時に考慮した調査が求められる