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⾮劣性試験の⼊⾨
奥村泰之
⼀般財団法⼈ 医療経済研究・社会保険福祉協会
医療経済研究機構 研究部 主任研究員
臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 第29回研究集会
2017/5/20 (⼟) 14:30~17:45
東京医...
発表構成
⾮劣性試験とは
⾮劣性マージンの定め⽅
⾮劣性の検討法
Rによる例数設計法
2
⾮劣性試験とは
無作為化⽐較試験 (RCT) の型
4
症
例
登
録
無
作
為
化
実
験
群
対
照
群
ア
ウ
ト
カ
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測
定
現在 未来
優越性試験 (superiority trial)
対照群に対する実験群の優越性
5
0
C is betterE is better
Lesaffre E: Bull NYU Hosp Jt Dis. 2008;66(2):150-4.
「優...
6
0
「劣っていない」
と判断する限界値
Lesaffre E: Bull NYU Hosp Jt Dis. 2008;66(2):150-4.
S is betterT is better
⾮劣性試験 (noninferiority tri...
⾮劣性試験を使う理由
有効な介⼊があるため,プラセボ対照試
験が⾮倫理的である[1]
数多くの有効な薬があり,その組み合わ
せによって,種類・⽤量・時期の異なる
様々な治療戦略がある[2]
7
[1] Non-inferiority cli...
⾮劣性試験を実施する前提,
標準的介⼊に対する試験的介⼊のメリット
利⽤可能性が⾼い
費⽤が安い
侵襲性が低い
有害事象が少ない
実施が容易
8Piaggio G et al: JAMA. 2012 Dec 26;308(24):25...
⾮劣性試験を実施できない状況
9Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/...
論⽂数,増加傾向
10
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016
出版年
0
100
200
300
400
PubMed検索式: (noninferiority[tiab] OR no...
ハイ・インパクトの⾮劣性試験 (IF >10; n=168)
低いガイドライン遵守率
11
感度分析の実施
欠測値処理法の記述
有意水準と信頼限界の一致
解析と 解析の実施ITT PP
非劣性マージンの合理性の記述
遵守率
0 10 20 30...
⾮劣性マージンの定め⽅
⾮劣性マージン (δ)
13
0
「劣っていない」
と判断する限界値
S is betterT is better
δ
⾮劣性マージンとは
試験的介⼊と標準的介⼊の間の,臨床的
に許容できる最⼤の差[1]
⾮劣性試験により統計的に棄却するよう
試みる,標準的介⼊に対して試験的介⼊
が劣っている程度[2]
14
[1] Non-inferiority clin...
統計的検定,帰無仮説
試験的介⼊は標準的介⼊よりδ以上劣る
15
改善悪化
標準的介⼊の
アウトカム(S)
δST 
⾮劣性
マージン (δ)
試験的介⼊の
アウトカム(T)
Ng TH: Noninferiority testing in...
統計的検定,対⽴仮説
試験的介⼊は標準的介⼊よりδ未満劣る
16
改善悪化
標準的介⼊の
アウトカム(S)
δST 
試験的介⼊の
アウトカム(T)
⾮劣性
マージン (δ)
Ng TH: Noninferiority testing in...
⾮劣性マージン (δ) の定め⽅,
係数 (ε) と標準的介⼊の効果 (S-P) を設定
17Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 201...
係数(ε)>1,標準的介⼊と⽐べて劣っていな
くても,プラセボより劣ることがある
18
 PS1.1δ 
改善悪化
標準的介⼊の
アウトカム(S)
プラセボの
アウトカム(P)
⾮劣性マージン (δ)
Ng TH: Noninferio...
係数(ε)>0.5,標準的介⼊と⽐べて劣っていな
くても,些末な効果しかないことがある
19
 PS0.9δ 
改善悪化
標準的介⼊の
アウトカム(S)
プラセボの
アウトカム(P)
⾮劣性マージン (δ)
Ng TH: Noninfe...
保持率(1-ε)の意味,試験的介⼊の効果,
標準的介⼊の効果の~%超を保持
20
    PSε1PT 
Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and...
⾼い保持率の関連要因
アウトカムの重要性
死亡 vs 治療の失敗
標準的介⼊のリスクの低さ
(死亡率) 10% vs 30%
試験的介⼊のメリット
費⽤が安い vs 有害事象が少ない
21Gayet-Ageron A et al: ...
保持率の定め⽅,主観を伴う,
慣例50%[1],抗⽣剤90%[2]
22
[1] Althunian TA et al: Trials. 2017 Mar 7;18(1):107. doi: 10.1186/s13063-017-1859-x
...
標準的介⼊の効果の定め⽅,
⾮劣性の検討法による
23
 PSεδ 
点推定値法 (point-estimate method)
先⾏研究からプラセボに対する標準的介⼊の
有効性の推定値を設定する
固定マージン法 (fixed-marg...
先⾏研究が複数ある場合①
24Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/U...
先⾏研究が複数ある場合②
25Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/U...
分析感度*(assay sensitivity),⾮劣性試験の必要条件
*無効な介⼊と有効な介⼊を弁別する能⼒
26
適切に計画・実施された先⾏研究において
プラセボに対する標準的介⼊の有効性が⽰されている
⾮劣性試験においてバイアス (e.g...
不変性の仮定 (constancy assumption)
27
hPSPS 
先⾏研究における
プラセボに対する
標準的介⼊の効果
⾮劣性試験における
プラセボに対する
標準的介⼊の効果 (未知)
Ng TH: Noninferiori...
不変性の仮定,先⾏研究との類似性
28
患者の特性
重要な併⽤療法
アウトカムの定義
標準的介⼊の内容
適格基準
分析⼿法
Non-inferiority clinical trials to establish effective...
割引率(discounting),
不変性の仮定の逸脱への対処法
29
hPSPS  
先⾏研究における
プラセボに対する
標準的介⼊の効果
割引率
(0~1)
Ng TH: Noninferiority testing in clin...
⾮劣性の検討法
⾮劣性の検討法,3種類
31
名称 概要
固定マージン法 ①研究計画段階に,⾮劣性マージン (保持
率と標準的介⼊の効果) を設定
②⾮劣性試験の結果から仮説検定
点推定法 標準的介⼊の効果について,不確実性を考
慮しないことを除いて,固定マー...
英語表記
 fixed-margin method
 95%-95% method
 confidence interval method
 indirect confidence interval comparison method
...
解析の⼿順
33
①標準的介⼊の効果の推定
(リスク差/リスク⽐/オッズ⽐/平均値差/平均値⽐/ハザード⽐)
②標準的介⼊の効果の設定
③保持率の設定と⾮劣性マージンの算出
④解釈の整理
⑤試験的介⼊の効果推定と仮説検定
背景,⼈⼯膝関節置換術後,
30%~40%に静脈⾎栓症
34Lassen MR et al: N Engl J Med. 2009 Aug 6;361(6):594-604.
標準的介⼊ (⾎栓予防) のデメリット
注射薬 (ヘパリン)
慎重な⽤量調整 (ビタミンk拮抗薬)
わずらわしい (医療機器)
35Lassen MR et al: N Engl J Med. 2009 Aug 6;361(6):594-...
ADVANCEー1,
⼈⼯膝関節置換術後の⾎栓予防
36
P : ⼈⼯膝関節置換術を施⾏予定の患者
I : 経⼝薬アピキサバンと注射プラセボ (試験的介⼊)
C : 注射薬エノキサパリンと経⼝プラセボ (標準的介⼊)
O : 深部静脈⾎栓症+⾮...
①標準的介⼊のリスク差の推定
エノキサパリン vs プラセボ
37Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.
P is betterS is better
 PSεδ 
Study
R...
Study
Random effects model
Heterogeneity: I-squared=59.1%, tau-squared=0.0098, p=0.0621
1986-Turpie
1992-Leclerc
1996-Kalo...
③保持率の設定と
⾮劣性マージンの算出
1−ε=0.67
δ=(1−0.67)×−0.23=−0.08
39Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.
 PSεδ 
-0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2
リスク差
④解釈の整理
40
S is betterT is better
δ
1. 試験的介⼊は優れている
2. 試験的介⼊は劣っていない
3. ⾮劣性は不確実である
4. 試験的介⼊は劣っている
...
-0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2
リスク差
0.00 [-0.02; 0.02]
⑤試験的介⼊のリスク差の推定と仮説検定
9.0% (試験的介⼊)−8.8% (標準的介⼊)=0.1% (95%CI: −2.2%, 2.5%)
41Wa...
①標準的介⼊のリスク⽐の推定
エノキサパリン vs プラセボ
42Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.
P is betterS is better
 PSεδ 
Study
R...
②標準的介⼊のリスク⽐,
効果推定値の下限に設定
43Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.
 PSεδ 
P is betterS is better
Study
Random ...
③保持率を設定と
⾮劣性マージンの算出
1−ε=0.67
log(δ)=(1−0.67)×log(0.46)=−0.25
δ=exp(−0.25)=0.78
44Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(...
0.5 1.0 1.5 2.0
リスク比
④解釈の整理
45
S is betterT is better
δ
1. 試験的介⼊は優れている
2. 試験的介⼊は劣っていない
3. ⾮劣性は不確実である
4. 試験的介⼊は劣っている
値が⼤きいと...
0.5 1.0 1.5 2.0
リスク比
1.02 [0.78; 1.32]
⑤試験的介⼊のリスク⽐の推定と仮説検定
9.0% (試験的介⼊)/8.8% (標準的介⼊)=1.02 (95%CI: 0.78, 1.32)
46Wangge G e...
⽐と差の違い
特徴 ⽐ 差
先⾏研究におけるプラセボに対する標準的
介⼊の効果の変動への頑健性[1]
○ ×
先⾏研究と⾮劣性試験におけるアウトカム
発現率の相違への頑健性[2]
○ ×
患者への治療意思決定との関係性[3]
△ ○
リスクとベ...
Rによる例数設計法
帰無仮説と対⽴仮説
49
δST:H1 
δST:H0 
VS.
有意⽔準と信頼区間の対応
50
有意⽔準 信頼区間
⽚側2.5% 両側95% or ⽚側97.5%
⽚側5.0% 両側90% or ⽚側95%
⾮劣性試験の仮説は⽚側検定
事例,リスク差の例数設計
» Our sample size calculation was based on the primary efficacy
endpoint, all-cause mortality in the ITT popu...
Rによるリスク差の例数設計
52
» library(gsDesign)
» nBinomial (
p1=⺟集団における群1のイベント発⽣率,
p2=⺟集団における群2のイベント発⽣率,
delta0=⾮劣性マージン,
alpha=有意⽔準 ...
事例,平均値差の例数設計
» We calculated the sample size for a one-sided Student’s t test
with a significance level of 2·5% and a powe...
Rによる平均値差の例数設計
54
» library(gsDesign)
» nNormal(
delta1=⾮劣性マージン,
delta0=⺟集団平均値差 (デフォルトは0 [同等を想定]),
sd=プールした標準偏差,
alpha=有意⽔準...
⾮劣性マージンが広いほど,
必要症例数が⼩さい
p1=.4, p2=.4, beta=.2, alpha=.025
55
0.05 0.10 0.15 0.20
50010001500200025003000
非劣性マージン
必要症例数
標準的介⼊に対する試験的介⼊の効果が
⼤きいほど,必要症例数が⼩さい
p1=.4, delta=0.05, beta=.2, alpha=.025
56
0.38 0.40 0.42 0.44
2000400060008000
p2
必要症例数
推薦図書
57
網羅的⼊⾨書 例数設計全般
推薦論⽂
58
まずはここから[1]
FDAの推奨[2]
[1] Althunian TA et al: Trials. 2017 Mar 7;18(1):107. doi: 10.1186/s13063-017-1859-x
[2] Non-...
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非劣性試験の入門

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臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 第29回研究集会
2017/5/20 (土) 14:30~17:45
東京医科歯科大学 湯島キャンパス
1号館西7階 口腔保健学科第3講義室

Published in: Health & Medicine
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非劣性試験の入門

  1. 1. ⾮劣性試験の⼊⾨ 奥村泰之 ⼀般財団法⼈ 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 主任研究員 臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 第29回研究集会 2017/5/20 (⼟) 14:30~17:45 東京医科⻭科⼤学 湯島キャンパス 1号館⻄7階 ⼝腔保健学科第3講義室
  2. 2. 発表構成 ⾮劣性試験とは ⾮劣性マージンの定め⽅ ⾮劣性の検討法 Rによる例数設計法 2
  3. 3. ⾮劣性試験とは
  4. 4. 無作為化⽐較試験 (RCT) の型 4 症 例 登 録 無 作 為 化 実 験 群 対 照 群 ア ウ ト カ ム 測 定 現在 未来
  5. 5. 優越性試験 (superiority trial) 対照群に対する実験群の優越性 5 0 C is betterE is better Lesaffre E: Bull NYU Hosp Jt Dis. 2008;66(2):150-4. 「優れている」 と判断する限界値
  6. 6. 6 0 「劣っていない」 と判断する限界値 Lesaffre E: Bull NYU Hosp Jt Dis. 2008;66(2):150-4. S is betterT is better ⾮劣性試験 (noninferiority trial) 標準的介⼊に対する試験的介⼊の⾮劣性
  7. 7. ⾮劣性試験を使う理由 有効な介⼊があるため,プラセボ対照試 験が⾮倫理的である[1] 数多くの有効な薬があり,その組み合わ せによって,種類・⽤量・時期の異なる 様々な治療戦略がある[2] 7 [1] Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) [2] Landewé R, van der Heijde D: Curr Opin Rheumatol. 2016 May;28(3):316-22.
  8. 8. ⾮劣性試験を実施する前提, 標準的介⼊に対する試験的介⼊のメリット 利⽤可能性が⾼い 費⽤が安い 侵襲性が低い 有害事象が少ない 実施が容易 8Piaggio G et al: JAMA. 2012 Dec 26;308(24):2594-604.
  9. 9. ⾮劣性試験を実施できない状況 9Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) 標準的介⼊の有効性が⼩さいため,⾮劣性試 験で必要な標本サイズが現実的ではない 標準的介⼊の有効性について,研究間の異質 性が⼤きい ⾮劣性マージンを決定するために必要なエビ デンスがない 標準的介⼊の有効性を検討した時代と,医療 ⽔準が⼤きく異なる
  10. 10. 論⽂数,増加傾向 10 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 出版年 0 100 200 300 400 PubMed検索式: (noninferiority[tiab] OR non-inferiority[tiab]) AND randomized controlled trial[pt]
  11. 11. ハイ・インパクトの⾮劣性試験 (IF >10; n=168) 低いガイドライン遵守率 11 感度分析の実施 欠測値処理法の記述 有意水準と信頼限界の一致 解析と 解析の実施ITT PP 非劣性マージンの合理性の記述 遵守率 0 10 20 30 40 50 60 38.1 33.3 56.5 60.1 45.8 Rehal S et al: BMJ Open. 2016 Oct 7;6(10):e012594.
  12. 12. ⾮劣性マージンの定め⽅
  13. 13. ⾮劣性マージン (δ) 13 0 「劣っていない」 と判断する限界値 S is betterT is better δ
  14. 14. ⾮劣性マージンとは 試験的介⼊と標準的介⼊の間の,臨床的 に許容できる最⼤の差[1] ⾮劣性試験により統計的に棄却するよう 試みる,標準的介⼊に対して試験的介⼊ が劣っている程度[2] 14 [1] Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) [2] Choice of control group and related issues in clinical trials (https://www.pmda.go.jp/files/000156803.pdf)
  15. 15. 統計的検定,帰無仮説 試験的介⼊は標準的介⼊よりδ以上劣る 15 改善悪化 標準的介⼊の アウトカム(S) δST  ⾮劣性 マージン (δ) 試験的介⼊の アウトカム(T) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015.
  16. 16. 統計的検定,対⽴仮説 試験的介⼊は標準的介⼊よりδ未満劣る 16 改善悪化 標準的介⼊の アウトカム(S) δST  試験的介⼊の アウトカム(T) ⾮劣性 マージン (δ) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015.
  17. 17. ⾮劣性マージン (δ) の定め⽅, 係数 (ε) と標準的介⼊の効果 (S-P) を設定 17Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015. 先⾏研究からプラセボに対する 標準的介⼊の効果を設定 主観的に係数を 設定
  18. 18. 係数(ε)>1,標準的介⼊と⽐べて劣っていな くても,プラセボより劣ることがある 18  PS1.1δ  改善悪化 標準的介⼊の アウトカム(S) プラセボの アウトカム(P) ⾮劣性マージン (δ) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015. 試験的介⼊の アウトカム(T)
  19. 19. 係数(ε)>0.5,標準的介⼊と⽐べて劣っていな くても,些末な効果しかないことがある 19  PS0.9δ  改善悪化 標準的介⼊の アウトカム(S) プラセボの アウトカム(P) ⾮劣性マージン (δ) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015. 試験的介⼊の アウトカム(T)
  20. 20. 保持率(1-ε)の意味,試験的介⼊の効果, 標準的介⼊の効果の~%超を保持 20     PSε1PT  Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015. プラセボに対する 標準的介⼊の効果 プラセボに対する 試験的介⼊の効果 効果の保持率
  21. 21. ⾼い保持率の関連要因 アウトカムの重要性 死亡 vs 治療の失敗 標準的介⼊のリスクの低さ (死亡率) 10% vs 30% 試験的介⼊のメリット 費⽤が安い vs 有害事象が少ない 21Gayet-Ageron A et al: J Clin Epidemiol. 2015 Oct;68(10):1144-51.
  22. 22. 保持率の定め⽅,主観を伴う, 慣例50%[1],抗⽣剤90%[2] 22 [1] Althunian TA et al: Trials. 2017 Mar 7;18(1):107. doi: 10.1186/s13063-017-1859-x [2] Althunian TA et al: Br J Clin Pharmacol. 2017 Mar 2. doi: 10.1111/bcp.13280  PSεδ  0 15.82 20 44 45.65 50 55 60 67 70 75 80 85 保持率 0 10 20 30 40 50 60 10.0 15.4 0.0 7.7 3.3 0.0 3.3 0.0 3.3 0.0 46.7 53.8 3.3 0.0 6.7 0.0 10.0 0.0 6.7 7.7 3.3 7.7 3.3 0.0 0.0 7.7 固定マージン法 (n=13) 点推定法 (n=30)
  23. 23. 標準的介⼊の効果の定め⽅, ⾮劣性の検討法による 23  PSεδ  点推定値法 (point-estimate method) 先⾏研究からプラセボに対する標準的介⼊の 有効性の推定値を設定する 固定マージン法 (fixed-margin method) 先⾏研究からプラセボに対する標準的介⼊の 有効性の推定値の下限値を設定する 統合法 (synthesis method) 標準的介⼊の効果を定める必要がない Althunian TA et al: Trials. 2017 Mar 7;18(1):107. doi: 10.1186/s13063-017-1859-x
  24. 24. 先⾏研究が複数ある場合① 24Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) ケース①  各研究は標準的介⼊の有効性を⽀持している  効果の⼤きさは研究間で⼀貫している ケース②  複数の⼩さな先⾏研究がある  ⼀部は標準的介⼊の有効性を⽀持していない メタアナリシスにより効果推定値を統合 異質性に注意を払い メタアナリシスにより効果推定値を統合
  25. 25. 先⾏研究が複数ある場合② 25Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) ケース③  複数の⼤きな先⾏研究がある  ⼀部は標準的介⼊の有効性を⽀持していない ケース④  同⼀薬剤クラスで複数の薬剤の研究がある  薬剤間で効果の⼤きさが⼀貫してない 有効性が否定的となる理由を説明できない限り ⾮劣性試験を⾏うことに疑問が残る メタアナリシスによる効果推定値を統合し 効果の⼤きな薬剤を標準的介⼊とする
  26. 26. 分析感度*(assay sensitivity),⾮劣性試験の必要条件 *無効な介⼊と有効な介⼊を弁別する能⼒ 26 適切に計画・実施された先⾏研究において プラセボに対する標準的介⼊の有効性が⽰されている ⾮劣性試験においてバイアス (e.g., ⽋測バイアス) を 最⼩化するよう質が担保されている Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) 先⾏研究と⾮劣性試験が類似している (不変性の仮定)
  27. 27. 不変性の仮定 (constancy assumption) 27 hPSPS  先⾏研究における プラセボに対する 標準的介⼊の効果 ⾮劣性試験における プラセボに対する 標準的介⼊の効果 (未知) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015.
  28. 28. 不変性の仮定,先⾏研究との類似性 28 患者の特性 重要な併⽤療法 アウトカムの定義 標準的介⼊の内容 適格基準 分析⼿法 Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf)
  29. 29. 割引率(discounting), 不変性の仮定の逸脱への対処法 29 hPSPS   先⾏研究における プラセボに対する 標準的介⼊の効果 割引率 (0~1) Ng TH: Noninferiority testing in clinical trials issues and challenges. 2015.
  30. 30. ⾮劣性の検討法
  31. 31. ⾮劣性の検討法,3種類 31 名称 概要 固定マージン法 ①研究計画段階に,⾮劣性マージン (保持 率と標準的介⼊の効果) を設定 ②⾮劣性試験の結果から仮説検定 点推定法 標準的介⼊の効果について,不確実性を考 慮しないことを除いて,固定マージン法と 同⼀ 統合法 ①研究計画段階に,保持率を設定 ②先⾏研究と⾮劣性試験の結果を統合 Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf) FDAは固定マージン法を推奨
  32. 32. 英語表記  fixed-margin method  95%-95% method  confidence interval method  indirect confidence interval comparison method 32
  33. 33. 解析の⼿順 33 ①標準的介⼊の効果の推定 (リスク差/リスク⽐/オッズ⽐/平均値差/平均値⽐/ハザード⽐) ②標準的介⼊の効果の設定 ③保持率の設定と⾮劣性マージンの算出 ④解釈の整理 ⑤試験的介⼊の効果推定と仮説検定
  34. 34. 背景,⼈⼯膝関節置換術後, 30%~40%に静脈⾎栓症 34Lassen MR et al: N Engl J Med. 2009 Aug 6;361(6):594-604.
  35. 35. 標準的介⼊ (⾎栓予防) のデメリット 注射薬 (ヘパリン) 慎重な⽤量調整 (ビタミンk拮抗薬) わずらわしい (医療機器) 35Lassen MR et al: N Engl J Med. 2009 Aug 6;361(6):594-604.
  36. 36. ADVANCEー1, ⼈⼯膝関節置換術後の⾎栓予防 36 P : ⼈⼯膝関節置換術を施⾏予定の患者 I : 経⼝薬アピキサバンと注射プラセボ (試験的介⼊) C : 注射薬エノキサパリンと経⼝プラセボ (標準的介⼊) O : 深部静脈⾎栓症+⾮致死的肺塞栓+全死亡 T : 予定された治療期間 (術後10~14⽇) Lassen MR et al: N Engl J Med. 2009 Aug 6;361(6):594-604.
  37. 37. ①標準的介⼊のリスク差の推定 エノキサパリン vs プラセボ 37Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. P is betterS is better  PSεδ  Study Random effects model Heterogeneity: I-squared=59.1%, tau-squared=0.0098, p=0.0621 1986-Turpie 1992-Leclerc 1996-Kalodiki 1997-Samama Events 6 11 12 11 Total 225 50 65 32 78 Standard Events 21 37 13 28 Total 203 50 64 14 75 Placebo -0.6-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 Risk Difference RD -0.36 -0.30 -0.41 -0.55 -0.23 95%-CI [-0.49; -0.23] [-0.46; -0.14] [-0.56; -0.26] [-0.77; -0.34] [-0.37; -0.10]
  38. 38. Study Random effects model Heterogeneity: I-squared=59.1%, tau-squared=0.0098, p=0.0621 1986-Turpie 1992-Leclerc 1996-Kalodiki 1997-Samama Events 6 11 12 11 Total 225 50 65 32 78 Standard Events 21 37 13 28 Total 203 50 64 14 75 Placebo -0.6-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 Risk Difference RD -0.36 -0.30 -0.41 -0.55 -0.23 95%-CI [-0.49; -0.23] [-0.46; -0.14] [-0.56; -0.26] [-0.77; -0.34] [-0.37; -0.10] ②標準的介⼊のリスク差, 効果推定値の下限に設定 38Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. P is betterS is better  PSεδ 
  39. 39. ③保持率の設定と ⾮劣性マージンの算出 1−ε=0.67 δ=(1−0.67)×−0.23=−0.08 39Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.  PSεδ 
  40. 40. -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 リスク差 ④解釈の整理 40 S is betterT is better δ 1. 試験的介⼊は優れている 2. 試験的介⼊は劣っていない 3. ⾮劣性は不確実である 4. 試験的介⼊は劣っている 値が⼤きいと標準的介⼊が優れているよう解 釈するため,−0.08から0.08に変換
  41. 41. -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 リスク差 0.00 [-0.02; 0.02] ⑤試験的介⼊のリスク差の推定と仮説検定 9.0% (試験的介⼊)−8.8% (標準的介⼊)=0.1% (95%CI: −2.2%, 2.5%) 41Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. 試験的介⼊は劣っていない S is betterT is better δ
  42. 42. ①標準的介⼊のリスク⽐の推定 エノキサパリン vs プラセボ 42Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. P is betterS is better  PSεδ  Study Random effects model Heterogeneity: I-squared=0%, tau-squared=0, p=0.7717 1986-Turpie 1992-Leclerc 1996-Kalodiki 1997-Samama Events 6 11 12 11 Total 225 50 65 32 78 Standard Events 21 37 13 28 Total 203 50 64 14 75 Placebo 0.2 0.5 1 2 5 Risk Ratio RR 0.35 0.29 0.29 0.40 0.38 95%-CI [0.26; 0.47] [0.13; 0.65] [0.16; 0.52] [0.25; 0.65] [0.20; 0.70]
  43. 43. ②標準的介⼊のリスク⽐, 効果推定値の下限に設定 43Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.  PSεδ  P is betterS is better Study Random effects model Heterogeneity: I-squared=0%, tau-squared=0, p=0.7717 1986-Turpie 1992-Leclerc 1996-Kalodiki 1997-Samama Events 6 11 12 11 Total 225 50 65 32 78 Standard Events 21 37 13 28 Total 203 50 64 14 75 Placebo 0.2 0.5 1 2 5 Risk Ratio RR 0.35 0.29 0.29 0.40 0.38 95%-CI [0.26; 0.47] [0.13; 0.65] [0.16; 0.52] [0.25; 0.65] [0.20; 0.70]
  44. 44. ③保持率を設定と ⾮劣性マージンの算出 1−ε=0.67 log(δ)=(1−0.67)×log(0.46)=−0.25 δ=exp(−0.25)=0.78 44Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7.  PSεδ  リスク⽐やハザード⽐は 対数を式に適⽤する
  45. 45. 0.5 1.0 1.5 2.0 リスク比 ④解釈の整理 45 S is betterT is better δ 1. 試験的介⼊は優れている 2. 試験的介⼊は劣っていない 3. ⾮劣性は不確実である 4. 試験的介⼊は劣っている 値が⼤きいと標準的介⼊が優れているよう解 釈するため,0.78から1.28 (1/0.78) に変換
  46. 46. 0.5 1.0 1.5 2.0 リスク比 1.02 [0.78; 1.32] ⑤試験的介⼊のリスク⽐の推定と仮説検定 9.0% (試験的介⼊)/8.8% (標準的介⼊)=1.02 (95%CI: 0.78, 1.32) 46Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. ⾮劣性は不確実である S is betterT is better δ
  47. 47. ⽐と差の違い 特徴 ⽐ 差 先⾏研究におけるプラセボに対する標準的 介⼊の効果の変動への頑健性[1] ○ × 先⾏研究と⾮劣性試験におけるアウトカム 発現率の相違への頑健性[2] ○ × 患者への治療意思決定との関係性[3] △ ○ リスクとベネフィットのトレードオフの解 釈可能性[3] △ ○ 47 [1] Althunian TA et al: Br J Clin Pharmacol. 2017 Mar 2. doi: 10.1111/bcp.13280 [2] Kaul S, Diamond GA: Ann Intern Med. 2006 Jul 4;145(1):62-9. [3] Wangge G et al: CMAJ. 2013 Feb 19;185(3):222-7. ⾮劣性試験では⽐か差により 検定結果が異なることがある
  48. 48. Rによる例数設計法
  49. 49. 帰無仮説と対⽴仮説 49 δST:H1  δST:H0  VS.
  50. 50. 有意⽔準と信頼区間の対応 50 有意⽔準 信頼区間 ⽚側2.5% 両側95% or ⽚側97.5% ⽚側5.0% 両側90% or ⽚側95% ⾮劣性試験の仮説は⽚側検定
  51. 51. 事例,リスク差の例数設計 » Our sample size calculation was based on the primary efficacy endpoint, all-cause mortality in the ITT population from first dose of study drug to day 42. Roughly 255 patients per group were required for an 80% power to demonstrate that the upper limit of the 95% CI for a treatment difference was 10% or less (prespecified non-inferiority margin for this endpoint). This calculation was based on a one-sided, large- sample, normal-approximation and non-inferiority test at a 2·5% significance level. A 20% mortality rate was assumed for both drugs in the primary efficacy population. 51Maertens JA et al: Lancet. 2016 Feb 20;387(10020):760-9.
  52. 52. Rによるリスク差の例数設計 52 » library(gsDesign) » nBinomial ( p1=⺟集団における群1のイベント発⽣率, p2=⺟集団における群2のイベント発⽣率, delta0=⾮劣性マージン, alpha=有意⽔準 (⽚側2.5%), beta=1-検定⼒ )
  53. 53. 事例,平均値差の例数設計 » We calculated the sample size for a one-sided Student’s t test with a significance level of 2·5% and a power of 80% based on the clinically determined non-inferiority margin for a difference in BMI of 0·75 kg/m², assuming a SD of 1·45 (appendix). This procedure led to a required sample size of 60 patients per group. Assuming a drop-out rate of 30%,[ref] we calculated a sample size of 85 patients per treatment group. 53Herpertz-Dahlmann B et al: Lancet. 2014 Apr 5;383(9924):1222-9.
  54. 54. Rによる平均値差の例数設計 54 » library(gsDesign) » nNormal( delta1=⾮劣性マージン, delta0=⺟集団平均値差 (デフォルトは0 [同等を想定]), sd=プールした標準偏差, alpha=有意⽔準 (⽚側2.5%), beta=1-検定⼒ )
  55. 55. ⾮劣性マージンが広いほど, 必要症例数が⼩さい p1=.4, p2=.4, beta=.2, alpha=.025 55 0.05 0.10 0.15 0.20 50010001500200025003000 非劣性マージン 必要症例数
  56. 56. 標準的介⼊に対する試験的介⼊の効果が ⼤きいほど,必要症例数が⼩さい p1=.4, delta=0.05, beta=.2, alpha=.025 56 0.38 0.40 0.42 0.44 2000400060008000 p2 必要症例数
  57. 57. 推薦図書 57 網羅的⼊⾨書 例数設計全般
  58. 58. 推薦論⽂ 58 まずはここから[1] FDAの推奨[2] [1] Althunian TA et al: Trials. 2017 Mar 7;18(1):107. doi: 10.1186/s13063-017-1859-x [2] Non-inferiority clinical trials to establish effectiveness (https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/UCM202140.pdf)

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