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介入効果のメタ分析

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介入効果のメタ分析

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介入効果のメタ分析

  1. 1. 介入効果のメタ分析 専修大学人間科学部心理学科 国里愛彦 日本心理学会第79回 シンポジウム「現場に役立つ心理学(5): 研究・実践の効果を測定するための研究デザインとデータ分析」
  2. 2. メタ分析とは 過去の研究を系統的・批判的に検討して, 量的・統計的に統合する方法。 非系統的レビュウによるメタ分析は,エビ デンスとして価値がなく有害! →実験・調査の片手間にできるものでない!!!
  3. 3. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  4. 4. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  5. 5. 問題の定式化 • PICOを用いて問題を定式化する Patient:対象患者(どういう患者か?) Intervention:介入方法(どういう介入か?) Comparison:対照群の設定(誰orどの介入と比較?) Outcome:効果指標(何を指標とするか?) ※アウトカムは,患者にとって重要な結果(最大7個)。 ※プライマリーアウトカムは最大3個(少なくとも1個の効果,1個の副作用)。 セカンダリーアウトカムは,効果の説明に有効な追加的なアウトカムである。 • PICOを元に適格基準を作成する
  6. 6. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  7. 7. 文献検索の方法 ① 電子データベース検索 • 使用データベース:CENTRAL, MEDLINE, EMBASEなど包括的な DB+問題に沿ったDBを複数使う(心理系ならPsycINFO)。 • データベースに合わせた検索式を作成:基本は①患者+介入 (必要に応じてアウトカム)&②研究デザイン(基本はRCT) • 論理演算子(AND, OR, NOT)やSearch filterも活用し、検索過 程が再現できるように記録を残す ②検索用語付与・引用サービス検索(Web of Scienceなど) ③ハンドサーチ(手作業で論文を探す) ④灰色文献の調査(公的機関や製薬会社の未公表データ) ⑤臨床試験登録システムを用いて,未公表データや実 施中のデータにも注意する
  8. 8. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  9. 9. 研究の評価・選択とデータベース化 • 論文の評価・選択過程 ①文献管理ソフトで管理し,重複論文を削除 ②タイトル・アブストから関連しない論文を削除 ③論文の全文を入手し、同じ研究から出た複数の報告を結合 ④適格基準に合うかどうか全文で検討 ⑤必要に応じて,適格基準に合致するか確認するため著者連絡 ※評価と選択について、複数評定者での一致率(Kappa)を算出 • メタ分析で必要な情報をデータベース化 →Excelでも良いが、コクランではRevManを推奨
  10. 10. 研究の選択過程の報告方法 • PRISMA声明のフロー ダイアグラムを使うこ とで、研究の選択過程 での文献数や除外理 由などをまとめる。 Moher et al. (2009). Preferred reporting items for systematic reviews and meta- analyses: the PRISMA statement. PLoS Medicine, 6(7), e1000097. データベース検索か ら得られた文献数 他のソースから得ら れた追加的な文献数 重複文献削除後の文献数 除外した 文献数 除外した全文 文献数と理由 質的統合に含めた文献数 量的統合(メタアナリシス) に含めた文献数 スクリーニングした文献数 適格性を評価した全文文献 数 特 定 ス ク リ ー ニ ン グ 適 格 性 研 究 に 含 め た も の
  11. 11. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  12. 12. 研究の質の評価 バイアスをアセスメントする6つの基準 領域 判断(YES, NO, Unclear) ①割り付けの順番の作成 割り付けの順番は適切に作成されている か? ②割り付けの隠蔽 割り付けの隠蔽は適切にできているか? ③参加者,職員,効果評 価者の盲検 研究実施中に,割り付けられた介入が分 からないようできていたか? ④不完全なアウトカム データ 不完全なアウトカムデータがちゃんと記 述されているか? ⑤選択的なアウトカムの 報告 選択的なアウトカムの報告が示唆される ようなことはないか? ⑥その他のバイアス その他のバイアスのリスクはないか? YES(基準を満たしている)、NO(基準を満たしていない)、 Unclear(YESかNOか判断するだけの情報がない)を判断
  13. 13. ①割り付けの順番の作成は適切か? ②割り付けの隠蔽はできているか? • 割付けを曜日,誕生日,カルテ 番号で行うような乱数生成 →無作為化が崩れるので、乱数表, 乱数生成ソフトなどの適切な乱数 生成を使う。 • 研究への組み入れ担当者が,次 に組み入れる患者がどちらの群 に割り振られるのか知っている (もしくは患者にバレている) →割付表を意識した組み入れとな り、選択バイアスが生じるので、適 切な隠蔽を行う(中央登録割付、封 をした封筒の利用など) 組み入れ担当者 実は、新しい治療の効 果を調べる研究が・・・ 今日は月曜なので、プラセ ボ群か・・・この人は元気そ うだし大丈夫かな 13
  14. 14. ③参加者,職員,効果評価者の盲検はで きているか? • 患者、治療者、アウトカムの 報告者、評価者、データ解析 担当者が,患者がどの群に 割付けられたか分かった状 態(盲検化していない)。 →盲検化してないと、どの治療 をうけたかの情報によって評価 が変わる情報バイアスが生じ る可能性がある。 *心理療法だと患者と治療者 の盲検化が不可能なので、少 なくともアウトカムの報告者、 評価者の盲検化。 この人は、すごく効く と噂の新しい治療を 受けた人か。確かに、 よく効いている気が するな・・・ 評価者 14
  15. 15. ④不完全なアウトカムデータは適切に記載 されているか? • 治療や追跡調査からの脱落者 が報告されていない。もしくは、 報告されているが、脱落に対し てIntention to treat (ITT)解析な どを行っていない。 →効いている患者のみが脱落しな い可能性もあり、バイアスが生じる 参加者(200名) 治療群 (100名) プラセボ群 (100名) 治療群 (60名) プラセボ群 (90名) ランダム化 治療群の脱落多 いけど、気にせ ず統計解析にか けちゃお〜 *ITT解析とは、割付けられた 治療から逸脱or脱落に関わ らず、当初割付けた群に基 づいて解析を実施すること。 治療 プラセボ 15
  16. 16. ⑤選択的なアウトカム報告が疑われない か? • 研究計画書に記載されて いるにもかかわらず,論文 で報告されるアウトカムが 選択的である。 →良い結果だけを報告してお り、効果の確信度を低める 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 治療群 プラセボ群 効果に差のあったア ウトカム5だけを報 告すればいいね。余 裕、余裕。 16
  17. 17. バイアスのリスクアセスメントのまとめ • 各研究のバイアスリスクをアセスメントして、以下のよ うな図にまとめる。 • バイアスリスク評価後の対処 ①質の低い一次研究(適格基準外)は除外する ②感度分析をする(質の低い研究を含む・含まないを比較 してエビデンスの頑健性を確認) ③一次研究の質に応じて重み付けをする →質が低なりがちな領域で①は難しい。②が推奨。
  18. 18. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  19. 19. メタ分析で使用する効果量 <2値データ> ①リスク差=介入群の比率-統制群の比率 ②NNT(Number needed to treat)=1/|リスク差| ③リスク比=介入群の比率/統制群の比率 ④オッズ比=[介入群の比率/(1-介入群の比率)]/[統制群の比率/(1-統 制群の比率)] ※メタ分析では,リスク比とオッズ比(相対リスク)を用いるが,結果の解釈ではリ スク差やNNT(絶対リスク)に変換する <連続データ> ①平均値差=介入群の平均値-統制群の平均値 ②標準化平均値差=(介入群の平均値-統制群の平均値)/プー ルされた標準偏差 ※Cochraneでは、Hedges’ gが使用される(unbiasedが推奨)
  20. 20. フォレストプロット(forest plot) Watanabe et al., Acta Psychiatr Scand, 2007 ■は,個々の研究の効果。重み付けが多いほど,大きく表示。横 棒は95%信頼区間(真ん中の縦線null valueをまたぐと統計的には 有意でない)。◆は,メタ分析によって統合された効果量。
  21. 21. 効果量の統合:メタアナリシス • メタアナリシス:個々の研究から得られた介入効果 を重み付けして平均する分析 • メタ分析では、固定効果モデル(General variance- base法)やランダム効果モデル(DerSimonian-Laird 法)などがあるが、基本的には重み付け平均であ り、介入効果の前提が異なるだけ。 M = WiYi i=1 k å Wi i=1 k å 重み付け平均= (効果×重み付け)の合計 重み付けの合計
  22. 22. ランダム効果モデルと固定効果モデル • 固定効果モデル:1つの真の介入 効果を仮定しており,偶然誤差の 影響によって個々の研究結果が ばらつくとするモデル →異質性が高いデータには不適切 • ランダム効果モデル:研究ごとに 真の介入効果を仮定しており,偶 然誤差と研究間の効果の差によっ て,個々の研究結果がばらつくと するモデル →異質性が高いデータにも適用でき るが、検出力は固定効果モデルより 落ちる。
  23. 23. 異質性 (Heterogeneity) • 異質性:個々の研究の効果の大きさが異なること • 臨床的・方法論的異質性:①臨床的異質性(患者集 団の違い:年齢,性別,人種,重症度など)、 ② 方法論的異質性(研究デザインの違い:治療,治療 期間,エンドポイント,治療者の経験など) • 統計学的異質性:Cochrane’s QやI2などの指標によ り統計学的に明らかとなる異質性(I2が推奨) I2 解釈 0~40% 異質性は問題でないかも 30~60% 中程度の異質性があるかも 50~90% 実際に異質性があるかも 75~100% 無視できない異質性の大きさ 異質性によって、サブグ ループ分析やメタ回帰分析 の実施、もしくは「メタ分析を 実施しない」を決める。
  24. 24. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  25. 25. ①視覚的評価 Funnel plotの非対称性 縦軸:研究精度(nなど) 横軸:効果量 出版バイアスの評価 出版バイスなし 出版バイアスあり 0 100 200 300 400 500 600 0 1 2 0 100 200 300 400 500 600 0 0.5 1 1.5 効果あり← サ ン プ ル サ イ ズ ②統計学的検定 Rank correlation test (Begg, Biometrics, 50, 1088-1101,1994) Linear regression test (Egger, BMJ, 315, 629-634, 1997) ※Funnel plotの左右対称性を検定する(有意だと対称ではない) →出版バイアスがある場合は、Trim-fill法などで調整 効果あり← ポジティブな結果はネガティブな結果よりも発表されやすい →治療効果の過大評価
  26. 26. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  27. 27. メタ分析の質の評価 • メタ分析によるエビデンスの質や推奨度の評価には, GRADEシステムが有用 ※評価はアウトカムごとに行う。GRADE(Grades of Recommendation, Assessment, Development and Evaluation:http://www.gradeworkinggroup.org/) 質 研究デザイン ダウングレード アップグレード 高:推定された 効果が真の効果 に近い強い確信 RCT(RCTのメタ 分析) 1.デザインや実施における限界 2.結果の間接性(比較が間接的・限 定的な結果) 3.説明できない異質性や結果の不一 致 4.結果の不正確さ(広いCI) 5.出版バイアスの確率が高い 深刻な問題(1ランクダウン) 非常に深刻な問題(2ランクダウン) 1.大きな効果 2.交絡因子のた め,効果が過小 評価されている 3.用量-反応勾配 状況によって,1 〜2ランクアップ 中:中程度の確 信 ダウングレー ドされたRCT 低い:確信は限 定的 観察研究 非常に低:確信 がほとんどない ケースレポー トなど
  28. 28. メタ分析の結論 • メタ分析の結論は,①患者・臨床家への示唆 と②今後の研究への示唆に分けられ,以下の 4つの要因を考慮して行う。 Eddy, JAMA, 263, 441-443, 1990 価値と選好 (患者の価値や治療選好は どうか?) 資源の利用 (その治療は利用可能?) 利益と害のバランス (害やコストはどのくらいで,効 果はどのくらい?) エビデンスの質 (そのエビデンスは信頼で きる?)
  29. 29. Take Home Message ① 臨床的疑問を明確化して、包括的な文献検索をする。 ② 文献検索と選択/評価過程は再現可能にする。 ③ 6つのポイントから介入研究の質を評価し、全体として のエビデンスの質を評価する。 ④ 適切な効果量とモデルを決めて、異質性を考慮して、 データ統合する。 ⑤ メタ分析から得られたエビデンスの質を評価して、推奨 度を提示する。 ※以下のSlide shareも参照ください 「メタ・アナリシスの入門」 ( http://goo.gl/gUv4d5) 「診断精度のメタ分析」 ( http://goo.gl/tF2XXy ) 「介入研究の質のアセスメント」( http://goo.gl/2t0yjT )

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