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2011/08/06(土)
経済地理学-1 法 262 佐藤俊雄教授 さとう としお Sugar & Salt
消費は何を求めて どこに出向くか?
What where (place 地域空間)
① 魅力 - 惹きつけるもの
② 未知の世界がある
③ 幸福感 happiness が味わえる
④ 消費者の五感に訴求するもの
⑤ ニーズ、ウォンツ、ウィッシズを満たす
■都市(地域)構造の模式図 // 商業立地論の模式図と同じである(河川農地でも)
遠心力 a
b
郊外化
Ⅰ
c
Ⅱ
求心力
Ⅲ
Ⅰ ( Central Place ) , City Center = Civic Center ( CC )
Central Business District :中心業務地区 ( CBD )
私達が考える場合は中心商店街、繁華街、ファッションビル(原宿にあるようなマンション風ショップ)
ショッピングセンター ( SC ) // 行政、金融機能も含まれることが多い。消費者の来訪目的に合致
Ⅱ 旧市街地 ( Built – up Area )、内部都市 ( Inner City イナー・シティ)
密集住宅地+商業集積地+個店(独立小売店)
Ⅲ 郊外(効外と間違って書く学生が多いとなw) Suburb (c へ向かうと郊外化)
a.Inner Suburb, b. Middle Suburb, c. Outer Suburb (発展は a > b > c の順)
1
2. 経済地理学 2/3
Ⅰ~Ⅱ 遷移帯(Succession サクセション)
スラム街、ゲットーが形成されることもある。 // 貧民街(失業者、低所得者、ならずものw
■着目点を変えてみよう。
M 川上産業(生産者)
↑↓
W 川中産業(卸)
↑↓
R 川下産業(小売)
↑↓
L 生活者(消費者)
(C)
// 消費者が見た時に、Mが優先されているのか?と消費者が意識しているのかは別であるが
// 消費者が最終段階なのか?何のためにあるのか?Mのためにあるのであれば、L(C)が
// 最初でありそこを惹きつけなければいけないビジネスが小売業である。
■小売業はいかに消費者を惹きつけるか?
Ex. A.「客は店のためにある」
B.「店は客のためにある」
時代によってはAが強いときもあったが、今はBが主流である。(店は従、客は主)
Bの立場で考えると戦略という概念が出てくる。→ 誘客戦略 → 集客戦略
(競争相手がいると戦略が必要となる。消費者が何を求めているかを考える)
// 生活者の消費生活パターンを考慮すると・・・後追いは戦略とは言わない
前述「③ 幸福感 happiness が味わえる」では、エコライフ、エコレジャーライフ、
エコレクリエーションライフ → アメニティライフ → ウェルネスライフ(成熟社会)があり
幸福感=所得消費 + 時間消費 + 空間消費 + 創造消費
物質的ニーズ 精神的ニーズ 活動ニーズ 自己実現ニーズ
// ブータンは国策で国民の幸福感向上を実現している
2
3. 経済地理学 2/3
① ハピネスを提供する
// 生活者をどう捉えるか?どこにハピネスがあるか?
② 五感に訴求演出をする
③ 未知の世界の一端を披露できるイベントやストーリーを企てる
④ 店舗へのアクセス(物理的な)[心理的はアクセスビリティ] を工夫する
心理的:
1. 出入口
2. パーキング
3. サーキュレーション
⑤ 新しい情報の提供
ファッション、インフォメーション、ハイテク機器の導入
⑥ アメニティの提供
⑦ 消費者の浴するニーズ、ウォンツ、ウィッシズを満たす商品の品ぞろえ(マーチャンダイジング)とサービ
スを先取りする。
10:55~
■集客力≒売上高=(顧客数+同伴者数(有・無))×一人当たりの単価×来店頻度
来店客
来館者
御来者
3
4. 経済地理学 2/3
■A.(小売業活動を把握する手法) - 組織措置的アプローチ
(1)統計的把握 ・・・ 経産省「我が国の商業」,市町村の商工会議所・商工会「商業統計」
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/dms/2009/index.html
平成 21 年 12 月 22 日 経済産業省経済産業政策局 調査統計部
「2009 平成 21 年版 我が国の商業」は、「平成 19 年商業統計調査」のデータを主として用い、我が国商業の全体像とともに、
多様化する商業の販売形態等について、豊富なグラフや表を用いて分析し、取りまとめたもの。特に、今回は「都道府県別にみる商
業」として独立の章(第 2 部第 2 章)を設け、事業所数、就業者数、年間商品販売額等について 47 都道府県別に詳細な記述
をしている。主な内容は以下の通り。
第 1 部「我が国の商業の全体像」
(1)各種統計を用いた産業間比較、国際比較などからみた商業の位置づけ
(2)商業統計表による卸売・小売業の現状とその構造
第 2 部「地域別にみる商業」
(1)日本地図による都道府県比較
(2)都道府県別の事業所数、就業者数、年間商品販売額
第 3 部「さまざまな角度からみる商業」
(1)業態別にみる商業活動の変化
(2)無店舗販売、家電量販店、衣料品の販売を通してみる新たな販売形態
(3)業態別、大規模小売店舗内、駅改札内、有料道路内商店の立地特性
4
5. 経済地理学 2/3
1. 商店数:114万店
2. 従業員数:758万人
3. 年間商品販売額:135兆円
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6. 経済地理学 2/3
(2)業種・業態・フォーマットという分類的把握
1. 業種 (kinds of business)
その店舗の品揃えがメーカや卸売業者の取扱う商品に合わせてなされているモノ
A. 青果店、衣料品店、靴店、ディーラー、文具店、ショップ
B. 鮮魚店、書籍店
C. 精肉店、クリーニング店、飲食店
2. 業態(Type of Operations or Management )
来店客にどのような販売の仕方や品揃えを提供するかによって店づくりされているモノ
・百貨店:(デパートメント・ストア)DS は用いない / 大丸、そごう、高島屋
・ 駅ビル / ルミネ
・ スーパー: スーパーマーケット (SM)
スーパーストア (SS)
総合スーパー (GHS) / イトーヨーカード、西友、ダイエー
・コンビニエンスストア (CVS) / セブンイレブン、ファミマ
・ カテゴリーキラー:ユニクロ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ
→ ディスカウント・ストア (DS)
3. フォーマット(Formats)
様々な(業種)業態をテーマによって集積させて複合的に店づくりしているモノ
≒業態類型
フォーマット:テーマ別商業集積(地域、施設)
1. ライフスタイル
2. 低価格提案型
3. 複合専門店の集積
4. 日常利便性提案
5. エンタテイメント提案型
6. 生活シーン提供型 (Coop, A-Coop)
// 農協 JA がやっているのは A-Coop
6
7. 経済地理学 2/3
13:00~
■B.小売業の技術的側面からの把握
(1) 広義の購買技術
1. メーカ中心の一店一統合性での購買技術
2. 製造にかかわる技術
3. チェーン店化
(2) 狭義の購買技術(仕入技術)
1. チャネルの短絡化と選別化 (多チャンネル化からの取捨選択)
2. バイイング・パワー(大量仕入れ、現金払い)、
M&A mergers and acquisitions(店舗の合併・買収)
3. カウンター・ベイリング・パワー countervailing power (拮抗勢力)
他業界を巻き込むパワー
(3)広義の販売技術 販売方法:
1. 現金販売(信用)
2. 対面販売(カウンセリングセール)
3. セルフサービス
(4)狭義の販売 販売拠点獲得技術
1. 有店舗(業種・業界フォーマット)
(5)経営技術 // マーケティング・ミクス(マーケティング構成要素) 4P を組み合わせ
Products, Price, Place(物流), Promotion
1. グッズ・ミクス(複合マーチャンダイジング)
2. 価格:メーカ希望小売価格、オープン価格、薄利多売、コスト管理
電子マネー、ケータイ、クレジット
3.労働の代用としての技術
A.人件費節約のための技術 - フィールド(店舗内)・マーケティング
ショッピングワゴン
サーキュレーション・サイン
すべてのものをマニュアル化
B.経営効率のための技術 - 貯蔵、昇降(商品の上下)、運搬
情報処理、提供,ロボット
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8. 経済地理学 2/3
(6)接客技術 :コンタクト・パーソナル (信用と信頼)
(7)店舗内技術
1. 店舗レイアウト(どこの店でもほぼ同じ配置)
2. 陳列(ディスプレー)
3. 照明 (LED) // 消費者の五感訴求するライティング
色彩(カラー)
4. 商品パッケージ、エコグッズ
5. バリアフリー
6. エコシステム、エコエネルギー機器の導入
■東日本大震災にかかる消費者の実態
A.被災地の消費者の現状 // 初期と現状で異なることは大前提
① 日常の生活基盤の喪失
(ライフライン、ライフ・インフラストラクチャー)
② 資産や資金の流出や不足 // オカネの工面が出来ない。
③ 生活必需品の不足と購入難
④ 購入したくても近くで購入できない
B.被災者としての消費者意識
① 必需品の購入の難しさ
② 商品は取り揃えていない
③ 不測の事態を考えて行動する・・・安全安心を獲得する対策(を、意識)。
④ 衝動買いや流行品にはすぐに飛びつかない。・・・複雑な商品に惑わされない
⑤ つねにモノを大切にする・・持続可能な商品に目を向ける
⑥ 場合によっては代用品で耐える。
⑦ ガソリンなどを使わない買い物行動・・・脱マイカー・トリップ
― カーシェアリング・システムの利用
⑧ 生命の安全維持に必要なサービスの享受
⑨ 購入資金の入手の難しさ
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9. 経済地理学 2/3
C.小売業の地域(空間)環境の側面からの捉え方
商圏 市場
立地
1. 立地 Location (Place)
① 立地とは・・・ある場所、ある建物(店舗雄)、ある諸施設が占めている状態、
位置、行為そのもの。
② 立地条件・・・立地主体がある場所で経営を営む場合その場所に本来備わって何からの
影響を与えるにあろう事柄(固有の性質、特質、状態)
conditions of location
→ 小売活動を展開するための条件(立地論)
自然的条件、社会的条件
A) 気候、地形、四季、地質、植生、風向
B) 歴史的、文化的要素
C) 人口構成 - 人口数、世帯数、性別、昼夜間人口、人口密度、職業
D) 所得水準 ― 可処分所得、消費支出、購買力
E) 生活水準 ― 広域的ライフスタイル、地域的ライフサイクル、局地的ライフサイクル、
(コミュニティ・ライフスタイル)
F) 都市(地域)措置の諸要素 - 商業施設(競合、競争・・・)、公共施設、
業務施設、向上
G) 交通 - 通路、交通拠点(インターチェンジ、ポート、ターミナル・・・)、
交通機関と通行運行状態
H) 法規制・税制
I) 流通政策 - 「まちづくり三法」
→ 「中心市街地活性化法」「大店立地法」「都市計画法」
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10. 経済地理学 2/3
③ 立地因子・・・立地条件が立地条件を考慮して実際に立地を決断する際に必要な判断
材料となる要素。
factors (element とは言わない)
A) 費用因子:仕入価格(原価)、輸送配送料、人件費、販売費、
(マーケティング)、各種保険料、減価償却費、情報関連費、
一般経費
B) 収入因子:売上高(販売量、顧客数、来店頻度、客単価)、ブランド、
のれん(歴史と伝統)、巧・マイスター・名職人(ヒト)
↓
通行量、クルマの通行量、パーキング
小売業で大事な立地因子はこの収入因子を大事にすること
④ 立地主体・・・店舗経営者、商業集積地とそのメンバ、店舗:諸施設そのもの
⑤ 立地決定・・・立地主体が立地条件、立地因子を踏まえて最終的に立地条件を
決定すること
⑥ 立地適応・・・立地決定後に立地条件や立地にかかわる将来性に対応しようとすること
⑦ 立地戦略・・・立地適応(戦略)を含めて立地にかかわる将来性を先取りして対応
すること
2. 商圏 Trading Area
3.市場 Market Place
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11. 経済地理学 2/3
16:30~
// 小売商業活動は消費者、生活者がハッピーになるために存在している、決して、メーカや卸売業の
// ために存在しているのではない。小売業は非被災地、被災地でのエポックメイキングを経て変化を
// 考える。震災直後はサプライチェーン SC / 管理 SCM という用語を多数見受けるようになった。
■東日本大震災地における小売業(店舗)の実態と役割
A) 実態
① 店舗自体の流出、倒壊、破壊、被害
② 店舗内の汚れ、商品の非商品化(販売に適さない)、停電
③ 取引(仕入)先の流出、倒壊 //取引強制停止
④ 関連流通拠点の喪失
⑤ チェーン店の場合、連絡の不通
⑥ 新しい情報の入手難
⑦ 経営者・従業員(雇用)の安全確保困難 // 生死不明
⑧ 顧客、二次災害の危険に晒されている
// 馴染み客の被災移転、新規顧客開拓の困難
B)役割 - 再生可能 // BCP を立てておいても BCM されなかったら無意味だよね?
① 地域密集型
② 災害に強い店舗づくり
③ 省エネ(節電)、省資源(節水)型 店舗づくりと経営
④ 弱者(子供、高齢者)への配慮・・・バリアフリーのみならず
⑤ 迅速かつ正確な情報の受発信 //惑わされないことが大事
⑥ クルマ利用の顧客への対応 // モータリゼーション文化が根付いている
// 災害時にどう対応するか、日頃の店舗訓練も大事
⑦ 24h 営業など営業時間の見直し // 地域要望による
// 地域コミュニティセンタの代役を担っている店舗でもある
⑧ 非常時に強い商品の品揃え
⑨ 持続可能な商品の品揃え Sustainable (サステナブル:耐えうる、
再利用できる、持続できる)グッズ
⑩ エコグッズのマーチャンダイズ
⑪ Ethical (エシカル:社会倫理に基づく)グッズの用意と販売
⑫ リアル販売と同時にインターネット販売も心掛ける
// これまで軽視していた分野も注視・注力する
⑬ 来店客の買占めや買いだめをを防止する対策
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12. 経済地理学 2/3
⑭ 非消費者の緊急時の受け入れ体制
⑮ 店舗中心の避難方法・ルートのマニュアル化
⑯ 非常事態を考慮した店舗間ネットワークと連携活動
連携活動・・・連帯、結束、絆
// 経営資源のなかに「連帯」を含めた。
⑰ 非常事態における産地、メーカとの連携
// 地産池消による仕入れパスをも連携が必要だよね。
// → 川中産業がダメでも川上産業へのパスも必要だよね。
// ⑤補足として外国語での対応(迅速かつ正確な情報の受発信)
⑱ 災害時に手持ち資金のない消費者への対応
// 信用と信頼があればクレジットを通さなくても「ツケ」
// 被災者へ商品の安価斡旋
⑲ 場合によっては移動店舗も考慮する。
以上
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