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by Anry(@anry_1225)
数学カフェ Advent Calendar 2017 12.18
〜圏論に於ける準同型定理の表現〜
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今回、本当に詰め込みすぎて、分かりにくさMAXの
できになってしまっています。申し訳ございません。
今後、復習のために修正して投稿をしようと思いま
す。数学に慣れていない方々、申し訳ございません。
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数学カフェとの出逢い 〜Mathカフェ行ったら人生変わったwww〜
始まりは、2016年7月の数学カフェ圏論回。圏論に興味があった私は、自分
の浅学さには思い切って目をつぶり、共に勉強してくれる仲間を求めて参加し
た。驚くべきことに、なかなかの広さの講義室が満室になるほどの人が、みん
な熱心に高等数学の講義を聴いてメモを取っている。しかも最も驚いたの
は、”勉強”しなくていいはずの社会人が参加し、講義までしているということ
であった。講義は5時間くらい行われた。
「…なんて狂ったイベントなんだ ((((゜Д゜;))ゴクリ」
まずもっての私の感想は、これである。勘違いしないでほしい、褒め言葉で
ある。圏論回はとても勉強になった。以降の勉強の励みにもなったし、多くの
数学仲間とも知り合えた。(数学カフェの中の人がすんごくいい人で、浅学な
私にも優しく接してくださり、多くの方々と接する機会を与えてくださった)
それからというもの、数学カフェに何度もお世話になることになる。スピン
オフのセミナーやイベントにも参加したり、予習回のセミナーまで担当させて
頂けたり、数学漬けの日々を送ることになった。
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数学を勉強していると、面白いことに、普段の思考まで整理され、日常的な
意見さえも論理的になってきた。自分の研究分野(心理学)の研究計画や、論
文構成も理路整然となっていくのがわかる。研究や人間に対する審美眼も養わ
れ、物事の本質がはっきりと立ち現れて見えるのだ。
この1年で、私は見違えるほど自らが成長したと思う。これまでは自分の知
らない知識が出てきたら狼狽し、まるでコミュ症の童貞が初対面の女性に出
会ったようにしどろもどろであった。それが今や、すべての知識は定義から成
る論理体系の中の一つであると知り、臆することなく学ぶ癖がついた。もうど
んな難しい理論であったとしても、理解できるという確信がある1)。数学カ
フェは、私の人生を変えてくれた。心から感謝している。
今回は私が初めて参加した数学カフェ圏論回にちなんで、圏論にまつわる記
事を寄稿させていただく。
2017.12.18 Anry
数学カフェとの出逢い 〜Mathカフェ行ったら人生変わったwww〜
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準同型定理 @集合論
前提1) 𝑋, ~ :集合、写像による同値関係
( 𝑓: 𝐴 → 𝐵 、 𝑎, 𝑎′ ∈ 𝑋 に対して𝑓 𝑎 = 𝑓(𝑎′)が成り立つ関係)
前提2)商写像 𝑞: 𝐴 → 𝐴/~
𝑓: 𝐴 → 𝐵, 𝑓 𝐴 ⊂ 𝐵の時
𝐴 →
𝑞
𝐴/~ →
𝑓
𝐵 𝑓 = 𝑞; 𝑓
という合成ができる 𝑓 がただ一つ存在する。
そして、その終域が𝑓(𝐴) となる
𝑓: 𝐴/~ → 𝑓(𝐴)は、全単射となる。
証明はまた今度!!
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圏@圏論
1)対象(Object)の集まり
2) 射(Morphism・Arrow)の集まり
3) 𝑓: 𝐴 → 𝐵という射があるときの
射𝑓に関するドメイン(Domain): dom 𝑓 = 𝐴
射𝑓に関するコドメイン(Codomain): cod 𝑓 = 𝐵
( A、 𝐵における射の集まりをC(A, 𝐵)と書く)
定義:圏𝐂は以下を満たす
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4)dom 𝑓 = 𝑐𝑜𝑑 𝑔となるような
𝑓と𝑔の射の合成𝑓; 𝑔(図式順記法)
これらは以下の結合律を満たす:
任意の射 𝑓: A → 𝐵, 𝑔: 𝐵 → 𝐶, ℎ: C → 𝐴 に対し
𝑓; 𝑔 ; ℎ = 𝑓; (𝑔; ℎ)
5)以下を満たす、各対象𝐴に対する恒等射𝑖𝑑 𝐴: 𝐴 → 𝐴
任意の射𝑓: 𝐴 → 𝐵に対し、𝑖𝑑 𝐴; 𝑓 = 𝑓 かつ 𝑓; 𝑖𝑑 𝐵 = 𝑓
定義:圏𝐂は以下を満たす
圏@圏論
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数式アレルギーの方は赤文字だけ追いましょう
(対象、射、ドメイン、コドメイン、射の合成、恒等射)
…これが圏𝐶の構成要素2)です
圏@圏論
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例:しりとりの圏
(キマイラ飼育記「http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20060821/1156120185」より)
ちなみにこの図は@ta_to_coさん、
@delta2323_ さんらに助けてもらい
ながら描きました。心からの感謝!
(アイヌになってるのがミソ)
圏@圏論
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モノ射 @圏論
定義
𝐂:圏
射 𝑓: 𝐵 → C がモノ射であるとは
同じく圏𝐂の射 𝑔: 𝐴 → 𝐵, ℎ: A → B において
𝑔; 𝑓 = ℎ; 𝑓 ならば 𝑔 = ℎ
𝐴 𝐵 𝐶
𝑓𝑔
ℎ
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モノ射 @集合論
𝕊𝑒𝑡(集合圏)ではモノ射は単射(i. e. 𝑓 𝑎 = 𝑓(𝑎′) ⟹ 𝑎 = 𝑎′)
<証明(十分条件:モノ射⟸単射)集合論の世界から>
𝑓: 𝐵 → 𝐶が単射であり、モノ射ではないとする。
(すなわち 𝑔, ℎ: A → B が 𝑔; 𝑓 = ℎ; 𝑓 であるが 𝑔 ≠ ℎ であるとする。)
Aの元𝑎を2つの異なる写像で移すとすると𝑔 𝑎 ≠ ℎ(𝑎)となる。
単射である𝑓との合成を考えると𝑓(𝑔 𝑎 ) ≠ 𝑓(ℎ 𝑎 )となるため
単射の定義に矛盾する。
よって𝑔 = ℎでなければならず、十分条件を満たす。
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𝕊𝑒𝑡(集合圏)ではモノ射は単射(i. e. 𝑓 𝑎 = 𝑓(𝑎′) ⟹ 𝑎 = 𝑎′)
<証明(必要条件:モノ射⟹単射)圏論の世界から>
𝑓: 𝐵 → 𝐶がモノ射であり、単射ではないとする。
(すなわち異なる 𝑏, 𝑏′ ∈ B が 𝑓(𝑏) = 𝑓(𝑏′)であるとする。)
ここでA = 𝑎 シングルトン 単元集合 とする。
𝑔: 𝐴 → 𝐵を𝑎から𝑏への、ℎ: 𝐴 → 𝐵を𝑎から𝑏′への射とする( 𝑔 ≠ ℎ )
モノ射である𝑓との合成を考えると𝑓(𝑔 𝑎 ) = 𝑓(ℎ 𝑎 )となり
モノ射の定義に矛盾する。
よって𝑔 = ℎでなければならず、必要条件を満たす。
モノ射 @集合論
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エピ射 @圏論
定義
𝐂:圏
射 𝑓: A → 𝐵 がエピ射であるとは
同じく圏𝐂の射 𝑔: 𝐵 → 𝐶, ℎ: B → 𝐶 において
𝑓; 𝑔 = 𝑓; ℎ ならば 𝑔 = ℎ
𝐴 𝐵 𝐶
𝑓 𝑔
ℎ
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エピ射 @集合論
𝕊𝑒𝑡(集合圏)ではエピ射は全射
(i. e. 𝑓: 𝐴 → 𝐵のとき∀𝑏 ∈ 𝐵ならば
∃𝑎 ∈ 𝐴となるような𝑓(𝑎) → 𝑏が存在する)
証明略!!(すいません)
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(エピ-モノ分解) @圏論
定義
𝐂:圏
射 𝑓: 𝐴 → B は以下のような標準的分解ができる
e: エピ射、 𝑚: モノ射
A →
𝑒
𝐶 →
𝑚
𝐵
@集合論 @圏論
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この、圏論に於けるエピモノ分解は
集合論に於ける準同型定理といえる
𝑓: 𝐴 → 𝐵, 𝑓 𝐴 ⊂ 𝐵の時
以下の合成ができる 𝑓 が
ただ一つ存在する
𝐴 →
𝑞
𝐴/~ →
𝑓
𝐵
𝑓 = 𝑞; 𝑓
射 𝑓: 𝐴 → B は以下の分解ができる
(e: エピ射、 𝑚: モノ射)
𝐴 →
𝑒
𝐶 →
𝑚
𝐵
ローグエピ
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数学ができない・文系ということで尻込みしてる人たちへ
どうも、こないだ、平方完成を忘れて解の公式さえ導出できなかった
博士学生です。そんな奴だって数学やっていいんです。
文系の方々にとっては、数学〜〜って感じの解析系からやるより、論
理学からやった方が楽しいんじゃないかなって思います。高校数学ま
でって、初等幾何・解析よりの内容が多いと思うんですよ。私は大学数
学を学んでから、数学がとても楽しいと思うようになりました。
数学の中で、感激する話を持つこともお勧めです。私が初めて「スゲ
〜〜〜〜!!」って思った数学の話は、極限と連続の話、そう、εーδ論
法の話でした。その体験は、ずっと勉強のモチベーションを支えてくれ
ています。数学を通して見る世界って、とても美しいです!!!
𝐴 𝐵 𝐶
𝑓 𝑔
ℎ
18/20
数学は情熱があれば必ず応えてくれる
数学は才能がないとできない?若いうちにやらないと意味がない?私は、
そういう意見には大反対です。哲学者のカント、そしてヘルムホルツは、
数学の概念は生まれつき備わっていると言いました3)。どんなに難しい数
学の山も、踏みしめる一歩一歩はそんなに高くありません。我々には、足
がちゃんとついています。時には、登り方がわからない崖だったり、心臓
破りの急勾配があったりします。それでもしっかり足腰を鍛えれば、共に
歩む仲間や指導者がいれば、垣間見える山頂の美しい数学体系があれば、
必ず、登りきることができると思います。
ローグエピ
𝐴 𝐵 𝐶
𝑓 𝑔
ℎ
19/20
注釈
1. どんなに複雑な理論体系であっても、理解は基本的に誰にでも
できると思っている。ただそれにどれだけ時間がかかるのかは
わからないし、理解は創造と区別して述べている。
2. 構成要素をさらに細かくする述べ方もある。例えば射の合成を
演算として要素とみなすなど。
3. 数学の概念というよりは、1階の述語論理、あるいは数え上げ
や比較など、初等数学的な概念、というべきか。これについて
はヘルムホルツの訳書 (Love, M.F. (interpreted) (1977). Numbering
and measuring from an epistemological viewpoint. In Epistemological
Writings (pp. 72-114). Springer Netherlands.)、カントの「プロレゴ
メナ」を勧める。
加えて、いつも私のめちゃくちゃな数学の質問に快く答えてくださる
数学クラスタの方々(特にこの記事においては
ありさん、Oonoさん、s.t.さん、Umezakiさん、Yamashitaさん)
そして、私にたくさんの機会を与えてくださった数学カフェの中の人
本当にありがとうございました
あとあと、これを見ているかわかりませんが
檜山先生、大人のための数学教室「和」さんにも
心から感謝申し上げます
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参考資料
(URLは全て2017.12.19現在のもの)
松本 眞. (2013). 代数系への入門.(http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~m-mat/TEACH/daisu-
nyumon.pdf)
檜山正幸のキマイラ飼育記.(http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/)
Mac Lane, S. (1971). Category theory for the working mathematician.
Pierce, B. C. (1991). Basic category theory for computer scientists. MIT press.

数学カフェAdvent calendar2017 12_18〜圏論に於ける準同型定理〜