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熟議型道徳授業の開発と実践|市川秀之(千葉大学)・阿部学(敬愛大学)・土田雄一(千葉大学)

日本道徳教育学会@聖徳大学(2016.7.3) 自由研究発表 第7分科会 発表資料
詳しくは➝ 阿部学・市川秀之・土田雄一・藤川大祐「熟議民主主義を背景とした道徳授業の教育方法についての検討―熟議シミュレーション授業の開発と実践を通して―」授業実践開発研究、第9巻、pp.89-98、2016

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熟議型道徳授業の開発と実践|市川秀之(千葉大学)・阿部学(敬愛大学)・土田雄一(千葉大学)

  1. 1. 熟議型道徳授業の開発と実践 市川秀之 [千葉大学] 阿部 学 [敬愛大学] 土田雄一 [千葉大学] 日本道徳教育学会(聖徳大学) 2016.7.3  自由研究発表 第7分科会
  2. 2. 熟議型道徳授業とは 熟議民主主義(Deliberative Democracy)を理論的背景
 として開発した道徳授業 熟議民主主義 =
 
 
 
 ★選好(「消費者や有権者が複数の選択肢の間で行う順位づけ」
 (早川 2006: 254))の変容を重視 「人々の間の理性的な熟慮と討議、すな わち熟議を通して合意を形成することによっ て、集合的な問題解決を行おうとする民 主主義の考え方」(田村 2008:2) 熟議民主主義(Deliberative Democracy)を
 理論的背景として開発した道徳授業
  3. 3. なぜ熟議民主主義なのか① ・『小学校学習指導要領』「第1章 総則」 「第1 教育課程編成の一般方針」の2
 「道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づ き、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他 者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする」 (文部科学省 2015: 1)
 ・『小学校学習指導要領』「第3章 道徳」における小学校の道徳科の目標 「第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための 基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見 つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学 習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」(文部科学省 2015: 91)
  4. 4. なぜ熟議民主主義なのか② 教育基本法第1条 「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要 な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」 ということは、
 「考え、議論する」道徳科は、
 上記の資質を育成するために存在するのでは? どのような理論によって、道徳授業を支えるのがよいのか? ⇒思考と議論を民主主義の基礎に置く
 熟議民主主義を用いて、道徳授業を開発、実践 ➡ ↑
  5. 5. 熟議型道徳授業の目標 ①問題解決のための熟議を通して、ねらいに掲げられた価値について 学習者が根本的選好(後述)のレベルから問い直して理解を深めた り、自らの意見を修正したりする ②熟議する中で「相互理解、寛容」、「公正、公平、社会正義」を
 身につける  ③熟議によって問題の解決策を決定することができる ★1.どの内容項目に関わる事柄にも応用可能だが、皆で話し合うことが適
    切と判断される内容を扱うことが望ましい
        ※「父母や祖父母を敬愛しよう」などは、扱うべき話題か? ★2.熟議民主主義は現実の問題を扱うが、熟議型道徳授業は架空の設定を
    用いた熟議シミュレーションとなることが多い
  6. 6. 熟議型道徳授業の特徴① ① 根本的選好まで視野に入れた、
 選好の変容を促進する 根本的選好 = 問題解決にあたっての考えを基盤 で支える、意思決定において主要 な役割を果たす価値づけ 
 ★多様な語り方を承認する必要がある
  7. 7. 熟議型道徳授業の特徴② ② 決定を行う a. 行動方針の決定  b. 具体的な行動の決定 政治(民主主義)の理論で道徳授業を捉えている
 ⇒決定された方針の中で、
 多様な意見をどう生かすかが重要に ★熟議しても決定に至らない場合は、
  投票もしくは交渉を行う ↑ ※ 詳細は、市川(2016)を参照
  8. 8. 熟議型道徳授業のデザイン • 小5対象、1コマ(60分)の授業を構想。 • リアルな熟議ではなく、
 熟議をシミュレーションするような授業。
 (今回は、導入のしやすさ、汎用性などを考慮) • シミュレーションなので、
 授業で重視する熟議の要素を、主に 3点 選択。
  9. 9. ① 根本的選好を扱う。
      ➝ 意思決定を支える価値づけのこと。
        「そもそも」という言葉であぶり出す。 ② 議論に結論を出す(決定する)
      ➝ 各人の考えが深まったというだけでなく、
        集団での意思決定を目指す。 ③ 少数派・消極派の意見を確認する。
      ➝ 一部の子だけで議論が進まないよう、
        少数意見も確認する過程をとる。 授業デザインの方針①
  10. 10. • ドラマ教材の活用。
 NHK『ココロ部!』「おくれてきた客」
 A「入れる」か、B「入れない」かから議論。 • しかし、ドラマについて話し合う必然性はない。
 そこで、あえてファンタジックな設定を用いる。 • 映画『インサイドヘッド』を参考に、
 子どもたちが「脳内物質」となり、
 意思決定をめざしていくという設定。 授業デザインの方針②
  11. 11. 画像は http://www.nhk.or.jp/doutoku/kokorobu/より ドラマの登場人物 脳内物質として意思表示
 (ネームプレート) 途中、そもそもを提示
  12. 12. 授業の流れ • 本時の設定と課題を確認。 • ドラマを視聴。 • A or B を個人で考える➝グループで考える。 • 意思表明。「ランダム指名」で理由を聞く。 • 少数派・消極派の意見はないかグループでチェック。 • 状況に応じて議論。 • 「そもそも」という考え方を提示する。 • グループで考える。 • 最終的な意思表明。登場人物の結論を出す。 補足資料
  13. 13. 提示した「そもそも」 • そもそも、警備員ってどんな仕事なの? • そもそも、美術館って何のためにあるの? • そもそも、かわいそうってだけで決めていいの? • そもそも、ルールって何のためにあるの? • そもそも、ばれなきゃ何でもやっていいの?
  14. 14. 考察 • ワークシート、事後アンケート、授業の感想、 記録映像を用いて考察。 • 全体としては、熱心に議論ができていた。ま た、少数派の意見を聴きつつ、自分の考えを 説明することができていた。 • ただし、根本的選好のレベルまで考察が及んで いたかは、評価し難い。 補足資料
  15. 15. まとめ(成果) • 熟議型道徳授業を行うにあたって、架空のテーマであっ ても、構成・演出の工夫によって熟議的な活動は可能 である。 • 少数派・消極派の意見を丁寧に確認するような指導は、 議論を深める上で有効である。 • 最終的に多数決で結論を出す構成でも、工夫次第で熟 議的な活動は可能である。 • こうしたシミュレーション授業は、導入の授業として 有効である。
  16. 16. まとめ(課題) • 根本的選好レベルの思考をどのように深めても らうのか? 方法と評価については、検討の余 地が大きい。 • 授業者はどのような役割を果たすべきか? • 他に、望ましい教材はどのようなものか? • [理論面]決定と熟議の関係、決定を道徳授業 に持ち込むことの意義を改めて考察する。
  17. 17. 参考文献 • 早川誠(2006)「市民社会と新しいデモクラシー論」川崎修・杉 田敦編『現代政治理論』有斐閣、243-260頁。 • 市川秀之(2016)「熟議民主主義は道徳授業に何をもたらすか― 問題解決的な学習に焦点を当てて―」『千葉大学教育学部研究紀 要』第64 巻、 85-95頁。 • 文部科学省(2015)『小学校学習指導要領』(http:// www.mext.go.jp/a_menu/shotou/newcs/youryou/__icsFiles/ afieldfile/2015/03/26/1356250_1.pdf 2016年6月23日最終閲 覧)。 • 田村哲樹(2008)『熟議の理由―民主主義の政治理論』勁草書房。

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