ミクロ経済 | 安田洋祐
0章 — 経済学の目
的と方法
神取道宏『ミクロ経済学の力』
1
資源配分の問題
1. 誰が
2. 何を
3. どれだけ
4. どうやって作るか?
5. 誰が
6. 何を
7. どれだけもらうか?
どんな社会でも必ず
解決しなければなら
ない基本問題!
封建制
計画経済
市場経済
etc
2
分配の問題
1. 誰が
2. 何を
3. どれだけ
4. どうやって作るか?
5. 誰が
6. 何を
7. どれだけもらうか?
← 分配の問題
3
ミクロ経済学の方法
4
事実解明的か規範的か?
❖ それぞれの制度やルールの下で、
1. どんな結果がもたらされるか
  → 事実解明的(positive)な問題
2. その結果が良いか悪いか
  → 規範的( normative)な問題
5
例)コメの自由化
❖ 日本はコメの輸入を自由化すべきか、という議論を建設
的なものするために、問題を二つに分ける!
1. 「自由化したらどうなるか?」
  → 事実解明的(positive)な問題
2. 「その結果が良いか悪いか?」
  → 規範的( normative)な問題
6
常識 vs. 統一的な説明
❖ 常識を使った場当たり的な議論
❖ 「自由化というのはコメの値段を下げるもの」
❖ 「コメが安くなればパンが売れなくなるはず」
❖ 合理的行動による統一的な説明
❖ 当事者たち(農民・消費者・他の生産者たち)が
「自らの利益に従って行動する」(これを「合理的な
行動」と呼ぶ)結果として統一的に説明する
7
価格転嫁を巡る議論
❖ 常識によって導かれる正反対の議論
❖ 「激しい競争にさらされている中小企業は力が弱く、価格転
嫁ができずに困っている」

→ 当たり前のように聞こえる
❖ 「激しい競争にさらされている中小企業は余力がほとんどな
く、小売価格に転嫁せざるを得ない」

→ こちらもやはりもっともらしい
❖ 常識的議論は、時として全く正反対の結論を導く
8
コメ自由化の良し悪し
❖ 重商主義 — 貿易黒字は国のため

→ 自由化による貿易赤字は望ましくない
❖ 重農主義 — 農業こそが国の基本

→ 自由化による国内農業の衰退に反対
❖ ミクロ経済学 — おおざっぱで超越的な価値判断に頼る
のではなく、国民一人ひとりの利害に即して良し悪しを
判断すべき!
9

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