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- 2. 自己紹介 2 西村あさひ法律事務所にて弁護士として16年間、証券化、デバティブ、ファンドなどの金融を中心に従事 2013年夏にBitcoinにであう。2015年に事務所設立～現在、ブロックチェーン・FinTech・スタートアップ専門～ • 弁護士/NY州弁護士 • 東京大学法学部卒/NY大学ロースクール卒 • 西村あさひ法律事務所/NYのローファーム勤務 • 日本ブロックチェーン協会 顧問 • 日本STO協会監事 • FinTech協会キャピタルマーケッツ分科会事務局 • 三菱地所物流リート投資法人 監督役員 • 元bitFlyer 社外取締役 • Chambers and Partners、FinTech弁護士、Best LawyersのFinTech、金融 機関規制弁護士として3年間ランクイン
- 3. NFTとは Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略 ブロックチェーン上で移転できるデジタルデータだが、NFT同士で代替可能性がない、 又は数が大幅に限られている。 3 ファンジブル(代替可能) 1万円札 ＝ 他の1万円札で代替可能 1ビットコイン ＝ 他の1ビットコインで代替可能 ノンファンジブル(非代替) 美術の絵画 ＝ 他の美術品では代替不可能 NFTアート ＝他のNFTアートでは代替不可能
- 6. NFTの購入は何を意味する？ ゲームNFT - ゲームで使える。一番分かりやすい イベントチケット、ファントークン - 分かりやすい - ブロックチェーンにする必要がある？(譲渡可能性がメリット？) NFTアート、音楽NFT、ツイートNFT - わかりにくい - 本当に価値があるか良く疑問視される 今回はアートNFTを中心に、現状や今後の課題を話します 6
- 8. NFTアートは固有？ NFTは、一般的に固有なものを表していると言われる ただ、NFTで表現されたコンテンツが、誰でもダウンロードでき、自由に複製できる場 合も 例えば、先日、クリスティーズで69,346,250米ドル(約76億円)で落札された 「Everydays: The First 5000 Days」の場合、IPFS（Inter Planetary File System） に記録されており、誰でもアクセスしてダウンロード可能 8
- 9. NFTアートは 固有？ (続) Beeple (b. 1981), Everydays: The First 5000 Days 9
- 11. NFT保有者しか利用できない例 (音楽NFT) NFTの中には、そのNFTを持っている人しか利用できない、という例もある 11 【日本初！限定楽曲NFT 第１弾】 世界中から注目を集める日本人覆面ユ ニット、AmPm（アムパム）の未公開楽曲をNFTとして１枚限定で発行 ブロックチェーンゲーム、NFTサービスの開発を行う、CryptoGames株 式会社（東京都渋谷区、代表取締役：小澤 孝太）及び、Cuddling合同会 社（東京都目黒区、CEO：中谷踏太郎）は、日本人アーティストとして は初、海外リスナーを多数抱える二人組のクリエイティヴユニット AmPm（アムパム）の、未公開楽曲「Intro」をNFTとして発行し、3月 19日(金) 0時よりオークションを実施することをお知らせいたします。 本NFTは世界で１枚限定となっており、所有ユーザーは楽曲の視聴を行 うことが可能です。なお、音楽の未公開楽曲の限定視聴権NFTは日本人 アーティストで初の事例となります。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000041264.html
- 14. NFTトークンのデータは永続か(続) 他方、InterPlanetary File System (IPFS、同じファイルシステムである全てのコン ピューターへの接続を試みるP2P分散ファイルシステム)へのリンクとすれば、より安 全とはなる 前術のBeeple, Everydays: The First 5000 DaysはIPFSを利用している IPFSはNodeがある限り永続？ 絵や彫刻も永続ではなく、注意して管理する必要ある NFTの永続性はIPFSや技術的進歩で相当程度、解決できそう？ 14
- 15. NFTトークンとデジタル所有権 NFTは法的に何を表すのか。所有権があるのか？ 現物の絵や彫刻 → 所有権 デジタルの絵 → 日本ではデジタル物については所有権という概念がない しかし、トークンを保有している、それを占有している、(通常)自由に移転できる、と いう意味では、｢デジタル所有権」というものを持っていると考えて良いのではないか 15
- 16. NFTトークンと著作権 著作権は、創作者に以下のような権利・保護を与えている。 - 著作者人格権 - 複製権 - 二次的著作物の利用に関する権利 - 頒布権、譲渡権および貸与権等 - 公衆送信権等 著作者人格権は譲渡不可 著作権は、明示的に別段の合意がない限り、創作者に帰属。譲渡可能 16
- 18. NFTトークンと美術の著作権 著作権法上、現物の絵の場合に絵の所有者は私的に使用する場合の他、以下のような 使用が可能 18 出典：文化庁サイト https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.htmlを若干改変 美術の著作物等の原作品の 所有者による展示 （第 45 条） 美術の著作物又は写真の著作物の原作品の所有者等は，その作品を公に展示することができる。 ただし，屋外に恒常的に設置する場合にはこの制限規定は適用されない(斎藤注：美術品を公園等に 恒久的に置くこと不可。) 美術の著作物等の展示に 伴う複製 （第 47 条） 美術の著作物の原作品又は写真の著作物の原作品を公に展示する者は，観覧者のための解説，紹介 用の小冊子などに，展示する著作物を掲載することができる。 美術の著作物等の譲渡等の 申出に伴う複製等 （第 47 条の 2） 美術又は写真の著作物は，それらの譲渡等の申出のために行う商品紹介用画像の掲載（複製及び自 動公衆送信）を，政令（施行令第 7 条の 2）で定める著作権者の利益を不当に害しないための措置 （画像を一定以下の大きさ・画素にすることなど）を講じている場合に限って行うことができる。
- 19. NFTトークンと展示権 上記のうち商業上、一番重要なのは展示権だと思われるが、デジタルアートの場合は展示 権はあるのか？ → 印刷して展示は複製権の侵害になる？ → デジタルをデジタルのままネットで見られることが展示類似だと思われるが、著作権 法上は展示権ではなく公衆送信権？そもそもIPFSの場合、もとから誰でも見られる → NFT所有者しか見られない、というNFTを購入した者が、そのデジタルデータを誰でも 見られるようにすることは、公衆送信権の侵害に当たるように思われる 結論 展示権的な権利は現状では考えにくいか、譲渡等の申出に伴う複製は認められそう 「展示」がない中で展示に伴う複製は認められるのか(デジタル美術館を紹介する小冊子) 19
- 27. OpenSea 規約 27 “本サービス上で、または本サービスを通じて、コンテンツを提出、投稿、または表示す ることにより、お客様は、当社に対し、 （現在知られているまたは将来開発される）あら ゆるメディアまたは配布方法で、当該コンテンツを使用、コピー、複製、加工、適応、修 正、出版、送信、表示、および配布するための世界的、非独占的、かつ無償のライセンス （サブライセンス権を含む）を付与するものとします。このライセンスは、当社がお客 様のコンテンツを世界中に公開すること、および他者に同じことをさせることを許可す るものです。お客様は、このライセンスには、Open Sea が本サービスを提供、促進、改 善する権利、および本サービスに提出された、または本サービスを通じて提出されたコ ンテンツを、他のメディアやサービスで配布、促進、または公開するために他の企業、組 織、または個人が利用できるようにする権利が含まれていることに同意するものとしま す。Open Sea または他の企業、組織、個人によるこのような追加利用は、お客様が本サ ービスを通じて提出、投稿、送信、またはその他の方法で利用可能にしたコンテンツに 関して、お客様に報酬を支払うことなく行われる場合があります。” “Open Sea は、本サービス上または本サービスを通じてユーザー情報を提出、投稿または 表示することにより、ユーザー情報の所有権または再販権がオープンシーに与えられる と主張するものではありません。当社はそれを所有したり、再販するとは言っていませ ん。ただ、少々見せるかもしれないと言っているだけです。 Open Sea、利用規約第 9 節
- 28. Hashmasks 規約 28 "買い手は NFT を所有することになります。各 Hashmask はイーサリアムブロックチェー ン上の NFT です。NFT を購入すると、基礎となる Hashmask（アート作品）を完全に所有 することになります。NFT の所有権は、スマートコントラクトとイーサリアムネットワ ークによって完全に取り次がれます。” Hashmasks、利用規約第 3 条 A.i. "当社は、お客様が本規約を継続して遵守することを条件に、購入したアート作品を、そ れに基づく二次的著作物を作成する目的で、使用、複製、展示するための無制限、全世界 的、独占的なライセンスをお客様に許諾します（以下「商用利用」といいます）。このよ うな商用利用の例としては、アート作品のコピーを表示した商品（T シャツなど）を製 造・販売するためにアート作品を使用することなどが挙げられます。” Hashmask、利用規約第 3 条 A.iii.
- 32. NFTの二次流通と創作者への リワード NFTの二次流通が行われる際には、創作者であるアーティストに何らかのリワードを渡すこ とが望ましいという見解がある 実際に、上述のnanakusaとNFT Studioでは、二次流通の際にNFTアーティストにロイヤリ ティが支払われているよう 他方、下記の理由等でロイヤルティ必須ではない市場もあり、今後のベストプラクティスに ついては議論必要 ① 多くの著作物ではそのような創作者の権利はない ② プラットフォーム間で移転の場合、二次流通リワードの導入は困難 ③ 売り切りを希望する場合もある 32
- 33. NFTの購入が意味することまとめ ゲームNFT - ゲームで使える。一番分かりやすい イベントチケット、ファントークン - 分かりやすい - ブロックチェーンにする必要があるか、というのはある(譲渡可能性？) NFTアート - 誰でも見られる場合もある - 著作権の移転は伴わないことが多い。その場合、購入者の商用利用は原則不可 - 価値はどこにある？サインボールが価値があるのと同じ？ 33
- 34. NFTの購入が意味することまとめ 音楽NFT - 自分だけ聴ける？ - 購入者は商業利用できないことが原則 ツイートのNFT - 満足感？？？ - 一番分からないかも 34
- 35. NFT化 – 創作者側のメリット - 新しい資金調達手段 - ｢真正な」デジタルコピーであるかを判別可能に - NFTが流通した場合に、創作者に報酬が入る仕組みの場合も 35