3. mikemacmarketing / original posted on flickrLiam Huang / clipped and posted
on flickr, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via
Wikimedia Commons
6. A woodblock engraving of Miles playing the tambour while friars Bacon and Bungay sleep and the Brazen Head speaks "Time Is. Time Was. Time Is Past."
From the 1630 edition of Robert Greene's The Honorable Historie of Frier Bacon, and Frier Bongay.
Brazen Head
7. A scene from R.U.R., showing three robots.
http://www.umich.edu/~engb415/literature/pontee/RUR/RURsmry.html (via
ar: ملف
: Capek_play.jpg and en:Image:Capek play.jpg)
This image is from one of the original books in the Oz book series (not sure which) by L.
Frank Baum, all of which have entered the public domain.
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tiktok.png
Robots in R.U.R. &
Tiktok
8. “BRASS BRAIN Saves U. S. $125,000 Yearly”, Modern Mechanix, November
1928, p.96.
Gunners, Popular Science, August 1940, p.83.
潮候推算機と火器管制装置
9. "Electric "Brain" weights
Three Tons," Science And
Mechanics,
Aug, 1935,
“ ‘Mechanical Brain’
Works Out Mathematical
Engineering Problems,”
Modern Mechanix
Issue: Jun, 1932
MITの微分解析機
10. Behind the Giant Brain, Radio & Television News, January 1957, p.57.
“The ARMY BRAIN”, Mechanix Illustrated, June 1946, p.59.
13. By Mick Ashby, on behalf of the Estate of W. Ross Ashby - Own work, CC BY-SA 4.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=95364081
Allison Marsh, "Meet the Roomba’s Ancestor: The Cybernetic Tortoise," IEEE Spectrum, 28
Feb. 2020.
https://spectrum.ieee.org/meet-roombas-ancestor-cybernetic-tortoise
14. Claude Shannon, "A Chess-Playing Machine," Scientific
American , Vol. 182, No. 2 (February 1950), pp. 48-51.
質問に答える機械の頭とか、推論をするロボットとか、そういうものは歴史をどんどんさかのぼっていけば確かにいろいろあります。何でもかんでもそういうものに源流を求めるのは、実際の理論的な影響関係を考えてもいかがなものかと私は思うのですが、20世紀に入ってからの、欧米での論考の枕とかによく出てくるモチーフというのは確かにあります。たとえば、このBrazen Headというのは、直訳すると金属の真鍮の頭、という意味ですけれども、これは近世によく語られていた自動機械の伝説でして、魔術にたけた中世の学者、よくいわれるのはロジャー・ベーコンが、どんな質問にも「はい」か「いいえ」で正確な答えを返してくる金属の頭をもっていた、というそういう伝説です。これは結構有名な伝説で、19世紀とか、20世紀になってからもフィクション作品などでよく引き合いに出されたりしました。他には、考える機械のフィクションで有名どころといえば↓
A woodblock engraving of Miles playing the tambour while friars Bacon and Bungay sleep and the Brazen Head speaks "Time Is. Time Was. Time Is Past." From the 1630 edition of Robert Greene's The Honorable Historie of Frier Bacon, and Frier Bongay.
皆さんご存知の、チャペックのRURのロボットとか、オズの魔法使いに出てくるゼンマイ仕掛けのティックトックなどかと思われます。これらはいずれも20世紀初頭、オズは厳密には19世紀ですけれども、20世紀初頭のフィクションです。人口に膾炙した現代的フィクションでは古いものと言っていいと思います。これらはいずれもコンピュータが登場するまえの、フィクションでのロボット・考える機械ですが、これらには脳と構造が似ているとか、人間の神経系を模して作ったとか、そういう話はとくに出てきません。
さて、現実世界に目を向けますと ↓
A scene from R.U.R., showing three robots.
http://www.umich.edu/~engb415/literature/pontee/RUR/RURsmry.html (via ar:ملف:Capek_play.jpg and en:Image:Capek play.jpg)
This image is from one of the original books in the Oz book series (not sure which) by L. Frank Baum, all of which have entered the public domain.
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tiktok.png
20世紀前半の、1920年代30年代くらいにまでさかのぼると、当時開発された複雑で新しい機械を科学雑誌で紹介するときに、それをBrainという比喩で呼ぶ、というものがしばしば登場するようになってきます。
たとえば左側は1928年のモダンメカニクスに掲載された記事で、これは19世紀にウィリアム・トムソン(ロード・ケルビン)が発明した潮候推算機、これは歯車と滑車などを組み合わせて、港湾の潮位を予測したグラフを出力するアナログ計算機なのですが、その機械に関する紹介記事です。Brass Brain 真鍮の脳 というのは、2つまえのスライドで紹介したBrazen Head 真鍮の頭 をひいた表現だと考えられます。金属でできた、複雑で、答えを返す機械というわけです。
右側は1940年の記事で、火器管制装置、これはフィードバック機構を用いたものなんですが、それをmechanical brain 機械の脳 と呼んでいる事例です。↓
“BRASS BRAIN Saves U. S. $125,000 Yearly”, Modern Mechanix, November
1928, p.96.
Gunners, Popular Science, August 1940, p.83.
左が、戦時中に陸軍とペンシルヴァニア大学が開発していたENIACを戦後に紹介した記事です。脳のイラストが描かれていて、タイトルがThe Army Brain、記事の冒頭が A Giant “thinking machine“ able to apply electronic speeds for the first time to mathematical tasks too difficult for previous solution, is now in use by the US Army となっています。
真ん中はRamo-Wooldridgeの広告で、Giant Brains for business and industry? と書かれていて、人間の脳のところにメインフレームがおいてあります。
右側は1957年のRadio & Television Newsの記事で、Behind the Giant Brainsというタイトルで、IBMのメインフレームを紹介しています。
この、よく出てくるGiant Brainsという表現ですが、これは当時かなり売れた本がありまして、それが↓
Behind the Giant Brain, Radio & Television News, January 1957, p.57.
“The ARMY BRAIN”, Mechanix Illustrated, June 1946, p.59.
Giant Brains, or Machines That Thinkという、エドモンド・バークリーによる本です。著者のバークリーは、チューリング賞を出しているACMを作った人の一人で、本人は保険会社に勤めていてエンジニアではない、というかなり変わった人なのですが、この本は電気電子計算機に関する書籍では最初期のもののひとつで、当時の高速計算機(それは、電気機械式も電子式も含めてですが)について、かなり詳しくわかりやすく書かれている啓蒙書です。彼はコンピュータを Giant Brainだと呼ぶのですが、彼の場合それには明白な理由があります。それは、コンピュータはlogic, とりわけsymbolic logicを扱えるから、reasoning、推論ができるから、というんですね。彼がそのように考えるようになった理由については、それだけで1時間くらい喋れるのでここでは割愛しますが、1949年から10年のあいだに15000部以上も売れたこの本が、Giant Brainとしてのコンピュータというイメージ形成に一定の役割を果たしただろうことは想像できます。
とはいえ、バークリーは、脳のシナプスとかニューロンのふるまいが、コンピュータに似てるとか、そういうことはあまり言わないんですね。そういうことを言い出したのは、さきにのべたサイバネティクスが端緒となろうかと思います ↓
“Computers” described in the book: Simon, IBM Punch-card Machine, Differential Analyzer at MIT, Harvard Mark I, ENIAC, Complex Number Calculator, Kalin-Burkhart Logical-Truth Calculator
1949年から1958年の間に15,000部以上、1960年以降ペーパーバック版が6,800部以上売れた