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Seagaia Meeting 2018
プログラマズキャンプ
第一部 医療情報標準とその実装の現在(いま)
第二部 医療データ解析の現在(いま)
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MML 4.2, 5.0 と HL7 FHIR,
openEHR の実装について
京都大学 EHR 共同研究講座
特定准教授 小林 慎治
3 / 33
Agenda
● HL7 Version 2
● HL7 Version 3
● HL7 Version 3 CDA
● HL7 FHIR
●
標準とは?
● openEHR
● MML Ver 4.2
● MML Ver 5
4 / 33
HL7 version 2.x
● Health Level 7(OSI の第 7 層)
● 1970 年代より医療機器、システム間のメッセージを開発
– 患者情報、オーダーエントリー、検査結果
● 1989 年に Version 2.0 リリース
– リソースの少ない医療機器でも扱えるよう
に、シンプルな構造を保っている
– | でトークンの区切り、 ^ で階層を示す。
5 / 33
HL7 Ver 2.5 instance
MSH|^~&|GHH LAB|ELAB-3|GHH OE|BLDG4|
200202150930||ORU^R01|CNTRL-3456|P|2.4
PID|||555-44-4444||EVERYWOMAN^EVE^E^^^^L|
JONES|19620320|F|||153 FERNWOOD DR.^
^STATESVILLE^OH^35292||(206)3345232|
(206)752-121||||AC555444444||67-
A4335^OH^20030520
http://www.ringholm.com/docs/04300_en.htm
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HL7 Version 3
● Version 2 をベースとして、より汎用性の高い臨床一般の
情報を扱えるように、 XML を形式言語としてオブジェクト
指向モデルとして再設計された。
● RIM(Reference Information Model; 参照情報モデル)
– 診療情報をオブジェクトモデルとして設計
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HL7 Version 3 RIM
http://www.hl7.org/implement/standards/rim.cfm
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HL7 Verison 3 RIM (拡大)
http://www.hl7.org/implement/standards/rim.cfm
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HL7 Version 3 instance
<observationEvent>
<id root="2.16.840.1.113883.19.1122.4" extension="1045813"
assigningAuthorityName="GHH LAB Filler Orders"/>
<code code="1554-5" codeSystemName="LN"
codeSystem="2.16.840.1.113883.6.1"
displayName="GLUCOSE^POST 12H CFST:MCNC:PT:SER/PLAS:QN"/>
<statusCode code="completed"/>
<effectiveTime value="200202150730"/>
<priorityCode code="R"/>
<confidentialityCode code="N"
codeSystem="2.16.840.1.113883.5.25"/>
<value xsi:type="PQ" value="182" unit="mg/dL"/>
http://wiki.hl7.org/index.php?title=Examples_section_of_the_v3Guide
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HL7 Version3 CDA
● Clinical Document Architecture
● HL7 Version 3 RIM をパーツとして文書を記述する形式
を定義
● HL7 CDA release 1
– 文書ヘッダと本体を分類して定義
● HL7 CDA release 2
– 文書構造を定義。それぞれのタグ、項目に
ターミノロジーを結合させることができ
る。
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HL7 CDA instance
http://cdasearch.hl7.org/examples/view/46224f150dee048bc8f907116d285b
332739d3a0
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HL7 CDA R2 の開発ステップ
●
モデリング
– 項目の洗い出し、データ構造の整理
– RIM への割当
●
項目の整理と OID 表作成
●
スキーマ設計
●
インスタンス作成
13 / 33
HL7 FHIR
● “HL7 v 3 has failed.” Graham Grieve, 2011
● Simple approach based on “standard”
– REST, Atom/PP
● STU(Standard for Trial Use)3, 2017
– いくつもの問題点が指摘されて入るものの
開発は進み、 Meaningful Use 3 でも取り入
れられている。
– Google Health API
– GitHub 1559 repositories
14 / 33
HL7 FHIR の開発ステップ
●
モデリング
– 項目の整理と構造チェック
●
既存のリソースをチェックする
– Extension
●
サンプルを拾ってくる
●
データ埋める
15 / 33
“Worse is better”, R. P. Gabriel,
1991
● Lisp(MIT/Stanford)
– 標準 (Common Lisp)
– 効率の良さ
– 優れた環境
– 統合性
– オブジェクト指向
(CLOS)
● C/Unix(New Jersey)
– 単純さ
● 実装の単純さ
– 正しさ
– 一貫性
– 完全性
● 犠牲にしても構わ
ない
https://www.jwz.org/doc/worse-is-better.html
16 / 33
Why worse is better.
●
単純さ
– 多くの人が実装に取り組むことができる。
● Small start
– 問題点を含めて内容を共有しやすい。
●
一貫性
– 学習する内容を少なくすることができる
●
ただし、異論もあり何を worse とし、 better とするかも
恣意的である。
17 / 33
HL7 better/worse
● HL7 CDA
– 統合文書デザイン
● 汎用性
● 一貫性
● オブジェクト指向
– XML base
– 大企業・学会主導
● HL7 FHIR
– Resource base
● JSON, XML, Ttl
– 単純さ
● 「 80% の法則」
– REST API
– Atom
– コミュニティベー
ス
18 / 33
「標準」を使うのは誰?
●
エンドユーザー
– 基本的に使わない
●
開発者
– 実装を担当する
●
管理者
– 仕様書には書くけども
●
研究者
– 使わない
19 / 33
開発者にとってよい標準とは何か?
●
実装しやすい
– 簡単であること
– 単純であること
– 参考となる実装や資料が入手しやすい。
●
実装した技術が他に役に立つ
– 汎用性の高い標準を利用している
– スキルアップに役に立つ
20 / 33
医療標準
●
用語集
– SNOMED CT, LOINC, MeDRA/CTCAE
●
交換規約
– HL7 FHIR, IHE-XDS, CDISC
– MML
●
臨床情報モデル
– openEHR/ISO 13606
21 / 33
用途別標準
●
保険請求
– レセプト電子請求形式 (CSV)
●
健診
– 健康診断結果報告書規格 (HL7 CDA)
●
治験
– CDISC?
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質疑応答
23 / 33
openEHR
● 1990 年頃からヨーロッパ全市民の健康情報を電子的に記録
する研究プロジェクトが発足。
●
オブジェクト指向によるデータモデル、概念モデル構成。
● HL7 V3 RIM に相当する RM(Reference Model) とそれ
を組み合わせて構成される Archetype model で構成され
る。
●
ヨーロッパ標準として採用され、 ISO/EN 13606 として
国際標準となる。
24 / 33
openEHR での開発手順
●
モデリング
– 実際の帳票などをもとに概念モデルの抽
出、同定を行う
– マインドマップ図がよく用いられる
●
アーキタイプ設計
– CKM にだいたいあるので拾ってくる
– CKM にないものや修正が必要なものを編集
する
●
テンプレート設計
–
25 / 33
MML(Medical Markup Language)
● 1995 年より設計開始
● 1997 年に Version 1.0 公開
● 2001 年 Dolphin プロジェクトに採用
● 2002 年に Versio 3(HL7 CDA Rel1 相当 )
● 2015 年 MML Version 4 公開
●
千年カルテプロジェクトで採用され現在に至る。
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MML 構成
● Header
– 作成者情報
– 患者 ID
● Body
– Item
● docInfo
– パーミッション
● contents
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MML コンテンツモジュール
●
患者情報モジュール
●
健康保険情報モジュール
●
診断履歴情報モジュール
●
生活習慣情報モジュール
●
基礎的診療情報モジュール
●
初診時特有情報モジュール
●
経過記録情報モジュール
●
手術記録情報モジュール
●
臨床サマリー情報モジュール
●
検歴情報モジュール
●
報告書情報モジュール
●
紹介状モジュール
●
バイタルサインモジュール
●
体温表モジュール
●
処方箋モジュール
●
注射記録モジュール
●
透析モジュール
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MML Sample
http://medxml.net/MML412j/mml4_1_2_sample/mml4_
sample1.html
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MML Version 4
● MML 1-3 からの完成形
– 3 の冗長部分を排除
● DTD → W3C XML Schema
– JAXB などツール類の充実
– 型定義の厳密化、チェックツールの導入
●
追加モジュールの正式化
– バイタルサイン、体温表、処方、注射、透
析
●
開発拠点を GitHub に置く
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MML version 4.1.2
●
現行最新版
– 千年カルテプロジェクトで採用される
● 4.0 からの累積バグ修正
●
現在ではほぼ安定版
● MMLHeader の tocItem を省略可にしている。
31 / 33
MML 4.2.0
● MML 4.1.2 に処置モジュールを追加
32 / 33
MML 1-4 の問題点
●
設計上の問題点
– 包含している概念モデルに一貫性がない
– モジュールを組み合わせて文書を作ること
ができるが、モジュールを構成する概念モ
デルを分割して組み合わせるようには設計
されていない。
– タグがハードコードされているため、項目
の追加やモジュールの追加のコストが高
い。
●
33 / 33
MML 5
●
モデルベースで再構築
– MML4 までの構造は引き継がない
● ISO 13606/openEHR のサブセット
● JSON 対応

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Seagaia Meeting 2018 プログラマズキャンプ「医療情報標準とその実装の現在」

  • 1. 1 / 33 Seagaia Meeting 2018 プログラマズキャンプ 第一部 医療情報標準とその実装の現在(いま) 第二部 医療データ解析の現在(いま)
  • 2. 2 / 33 MML 4.2, 5.0 と HL7 FHIR, openEHR の実装について 京都大学 EHR 共同研究講座 特定准教授 小林 慎治
  • 3. 3 / 33 Agenda ● HL7 Version 2 ● HL7 Version 3 ● HL7 Version 3 CDA ● HL7 FHIR ● 標準とは? ● openEHR ● MML Ver 4.2 ● MML Ver 5
  • 4. 4 / 33 HL7 version 2.x ● Health Level 7(OSI の第 7 層) ● 1970 年代より医療機器、システム間のメッセージを開発 – 患者情報、オーダーエントリー、検査結果 ● 1989 年に Version 2.0 リリース – リソースの少ない医療機器でも扱えるよう に、シンプルな構造を保っている – | でトークンの区切り、 ^ で階層を示す。
  • 5. 5 / 33 HL7 Ver 2.5 instance MSH|^~&|GHH LAB|ELAB-3|GHH OE|BLDG4| 200202150930||ORU^R01|CNTRL-3456|P|2.4 PID|||555-44-4444||EVERYWOMAN^EVE^E^^^^L| JONES|19620320|F|||153 FERNWOOD DR.^ ^STATESVILLE^OH^35292||(206)3345232| (206)752-121||||AC555444444||67- A4335^OH^20030520 http://www.ringholm.com/docs/04300_en.htm
  • 6. 6 / 33 HL7 Version 3 ● Version 2 をベースとして、より汎用性の高い臨床一般の 情報を扱えるように、 XML を形式言語としてオブジェクト 指向モデルとして再設計された。 ● RIM(Reference Information Model; 参照情報モデル) – 診療情報をオブジェクトモデルとして設計
  • 7. 7 / 33 HL7 Version 3 RIM http://www.hl7.org/implement/standards/rim.cfm
  • 8. 8 / 33 HL7 Verison 3 RIM (拡大) http://www.hl7.org/implement/standards/rim.cfm
  • 9. 9 / 33 HL7 Version 3 instance <observationEvent> <id root="2.16.840.1.113883.19.1122.4" extension="1045813" assigningAuthorityName="GHH LAB Filler Orders"/> <code code="1554-5" codeSystemName="LN" codeSystem="2.16.840.1.113883.6.1" displayName="GLUCOSE^POST 12H CFST:MCNC:PT:SER/PLAS:QN"/> <statusCode code="completed"/> <effectiveTime value="200202150730"/> <priorityCode code="R"/> <confidentialityCode code="N" codeSystem="2.16.840.1.113883.5.25"/> <value xsi:type="PQ" value="182" unit="mg/dL"/> http://wiki.hl7.org/index.php?title=Examples_section_of_the_v3Guide
  • 10. 10 / 33 HL7 Version3 CDA ● Clinical Document Architecture ● HL7 Version 3 RIM をパーツとして文書を記述する形式 を定義 ● HL7 CDA release 1 – 文書ヘッダと本体を分類して定義 ● HL7 CDA release 2 – 文書構造を定義。それぞれのタグ、項目に ターミノロジーを結合させることができ る。
  • 11. 11 / 33 HL7 CDA instance http://cdasearch.hl7.org/examples/view/46224f150dee048bc8f907116d285b 332739d3a0
  • 12. 12 / 33 HL7 CDA R2 の開発ステップ ● モデリング – 項目の洗い出し、データ構造の整理 – RIM への割当 ● 項目の整理と OID 表作成 ● スキーマ設計 ● インスタンス作成
  • 13. 13 / 33 HL7 FHIR ● “HL7 v 3 has failed.” Graham Grieve, 2011 ● Simple approach based on “standard” – REST, Atom/PP ● STU(Standard for Trial Use)3, 2017 – いくつもの問題点が指摘されて入るものの 開発は進み、 Meaningful Use 3 でも取り入 れられている。 – Google Health API – GitHub 1559 repositories
  • 14. 14 / 33 HL7 FHIR の開発ステップ ● モデリング – 項目の整理と構造チェック ● 既存のリソースをチェックする – Extension ● サンプルを拾ってくる ● データ埋める
  • 15. 15 / 33 “Worse is better”, R. P. Gabriel, 1991 ● Lisp(MIT/Stanford) – 標準 (Common Lisp) – 効率の良さ – 優れた環境 – 統合性 – オブジェクト指向 (CLOS) ● C/Unix(New Jersey) – 単純さ ● 実装の単純さ – 正しさ – 一貫性 – 完全性 ● 犠牲にしても構わ ない https://www.jwz.org/doc/worse-is-better.html
  • 16. 16 / 33 Why worse is better. ● 単純さ – 多くの人が実装に取り組むことができる。 ● Small start – 問題点を含めて内容を共有しやすい。 ● 一貫性 – 学習する内容を少なくすることができる ● ただし、異論もあり何を worse とし、 better とするかも 恣意的である。
  • 17. 17 / 33 HL7 better/worse ● HL7 CDA – 統合文書デザイン ● 汎用性 ● 一貫性 ● オブジェクト指向 – XML base – 大企業・学会主導 ● HL7 FHIR – Resource base ● JSON, XML, Ttl – 単純さ ● 「 80% の法則」 – REST API – Atom – コミュニティベー ス
  • 18. 18 / 33 「標準」を使うのは誰? ● エンドユーザー – 基本的に使わない ● 開発者 – 実装を担当する ● 管理者 – 仕様書には書くけども ● 研究者 – 使わない
  • 19. 19 / 33 開発者にとってよい標準とは何か? ● 実装しやすい – 簡単であること – 単純であること – 参考となる実装や資料が入手しやすい。 ● 実装した技術が他に役に立つ – 汎用性の高い標準を利用している – スキルアップに役に立つ
  • 20. 20 / 33 医療標準 ● 用語集 – SNOMED CT, LOINC, MeDRA/CTCAE ● 交換規約 – HL7 FHIR, IHE-XDS, CDISC – MML ● 臨床情報モデル – openEHR/ISO 13606
  • 21. 21 / 33 用途別標準 ● 保険請求 – レセプト電子請求形式 (CSV) ● 健診 – 健康診断結果報告書規格 (HL7 CDA) ● 治験 – CDISC?
  • 23. 23 / 33 openEHR ● 1990 年頃からヨーロッパ全市民の健康情報を電子的に記録 する研究プロジェクトが発足。 ● オブジェクト指向によるデータモデル、概念モデル構成。 ● HL7 V3 RIM に相当する RM(Reference Model) とそれ を組み合わせて構成される Archetype model で構成され る。 ● ヨーロッパ標準として採用され、 ISO/EN 13606 として 国際標準となる。
  • 24. 24 / 33 openEHR での開発手順 ● モデリング – 実際の帳票などをもとに概念モデルの抽 出、同定を行う – マインドマップ図がよく用いられる ● アーキタイプ設計 – CKM にだいたいあるので拾ってくる – CKM にないものや修正が必要なものを編集 する ● テンプレート設計 –
  • 25. 25 / 33 MML(Medical Markup Language) ● 1995 年より設計開始 ● 1997 年に Version 1.0 公開 ● 2001 年 Dolphin プロジェクトに採用 ● 2002 年に Versio 3(HL7 CDA Rel1 相当 ) ● 2015 年 MML Version 4 公開 ● 千年カルテプロジェクトで採用され現在に至る。
  • 26. 26 / 33 MML 構成 ● Header – 作成者情報 – 患者 ID ● Body – Item ● docInfo – パーミッション ● contents
  • 27. 27 / 33 MML コンテンツモジュール ● 患者情報モジュール ● 健康保険情報モジュール ● 診断履歴情報モジュール ● 生活習慣情報モジュール ● 基礎的診療情報モジュール ● 初診時特有情報モジュール ● 経過記録情報モジュール ● 手術記録情報モジュール ● 臨床サマリー情報モジュール ● 検歴情報モジュール ● 報告書情報モジュール ● 紹介状モジュール ● バイタルサインモジュール ● 体温表モジュール ● 処方箋モジュール ● 注射記録モジュール ● 透析モジュール
  • 28. 28 / 33 MML Sample http://medxml.net/MML412j/mml4_1_2_sample/mml4_ sample1.html
  • 29. 29 / 33 MML Version 4 ● MML 1-3 からの完成形 – 3 の冗長部分を排除 ● DTD → W3C XML Schema – JAXB などツール類の充実 – 型定義の厳密化、チェックツールの導入 ● 追加モジュールの正式化 – バイタルサイン、体温表、処方、注射、透 析 ● 開発拠点を GitHub に置く
  • 30. 30 / 33 MML version 4.1.2 ● 現行最新版 – 千年カルテプロジェクトで採用される ● 4.0 からの累積バグ修正 ● 現在ではほぼ安定版 ● MMLHeader の tocItem を省略可にしている。
  • 31. 31 / 33 MML 4.2.0 ● MML 4.1.2 に処置モジュールを追加
  • 32. 32 / 33 MML 1-4 の問題点 ● 設計上の問題点 – 包含している概念モデルに一貫性がない – モジュールを組み合わせて文書を作ること ができるが、モジュールを構成する概念モ デルを分割して組み合わせるようには設計 されていない。 – タグがハードコードされているため、項目 の追加やモジュールの追加のコストが高 い。 ●
  • 33. 33 / 33 MML 5 ● モデルベースで再構築 – MML4 までの構造は引き継がない ● ISO 13606/openEHR のサブセット ● JSON 対応