1. 外来看護師さん勉強会
～熱中症～

2. 元気にすくすく成長しています

3. 本日のテーマ
熱中症 ～ heat-related illness ～

4. 発熱と高体温の違いは？

5. 発熱と高体温
発熱：発熱物質（サイトカイン）が視床下部の体温中
枢に働くと、皮膚の血管を収縮させたり、汗腺を閉じたり
して熱放散を抑えたり、筋肉を震えさせて熱産生を促して
体温を上げるように指令（サーモスタットが高く設定され
る）する。体温が上昇した方が免疫能は活発になるのです。
その後、サーモスタットが平常時にセットしなおされると
、熱放散が促されて発汗が起こり、解熱します。
高体温：熱産生の異常な状態や外部からの加熱から
体温が上昇したものでサーモスタットは働いていない状態。
生理的な反応でないため危険な状態。

6. 熱中症に解熱薬は有効か？

7. 熱中症と解熱薬
∗ 解熱薬（ NSAIDS ）は発熱物質（プロスタグランジ
ンなど）の産生を抑えることで上昇した視床下部
のセットポイントを下げる。そのため熱が下がる
。
∗ 熱中症は視床下部が関与していないので解熱薬は
無効です。

8. 熱中症の体温測定
∗ 体温は体の部位により温度差があります。 腋窩温、口
腔温、直腸温の３ヶ所を比較すると、温度の高い順に
∗ 直腸温 ＞ 口腔温 ＞ 腋窩温 の順番になります。
温度差は、腋窩温を基準にした場合、通常は直腸温では、
約 １．０℃、口腔温では、約 ０．５℃上昇。
＊鼓膜温は直腸温とほぼ同じ
∗ 熱中症では腋窩温は当てにならないため、必ず
深部体温である直腸温を測定する。

9. ∗どんな症状で来院するの
？

10. 熱中症（Ｈｅａｔ Ｉｌｌｎｅ
ｓｓ）の分類
∗ 熱射病（Ｈｅａｔ Ｓｔｒｏｋｅ）
∗ 熱疲労（Ｈｅａｔ Ｅｘｈａｕｓｔｉｏｎ）
∗ 熱痙攣（Ｈｅａｔ Ｃｒａｍｐ）
∗ 熱失神（ Heat Syncope)
∗ 熱浮腫 (Heat Edema)
∗ 熱テタニー (Heat Tetany)
∗ 紅色丘疹

11. 熱射病 1
∗熱中症で最も重篤 ミオグロビン尿
∗中枢神経障害あり に気をつけよう
∗死亡率は 10% 以上にもなる ！
∗合併症
ARDS 、 DIC 、横紋筋融解症、腎不全
脳浮腫、肝不全など
Barrow, M.W and K.A. Clark, Heat –related Illness. Am Fam Physician,1998.58(3)

12. 熱射病 2
古典的熱射病 運動性熱射病
老人、小児に多い 健康成人に多い
外部からの熱侵襲による 内部での熱産生による
緩徐に発症することが多い 急性発症
必ずしも脱水は伴わない 脱水を伴う
皮膚乾燥 皮膚湿潤
とりあえず大量輸液をすれ
ば
いいわけではない

13. 熱射病３
∗ Risk factor
古典的 運動性 古典的、運動性両者
・老人 ・不適切な服装 ・肥満
・小児 ・睡眠不足 ・無汗症、乾癬な
・エアコンのな ・体調不良 ど
い人 ・熱中症に関する知 の皮膚疾患
・建物の最上階 識 ・甲状腺疾患
に 不足 ・熱中症の既往
住む人 ・水分摂取不良 ・薬剤
・知的障害者
・心肺疾患の慢
Lugo-Amador,et al, Heat-related illness.Emerg Med Clin North Am,2004.22(2) 他

14. 熱射病４
∗ 熱中症に影響する薬剤
抗ヒスタミン薬
抗コリン薬
ベンゾジアゼピン
β-blocker
Ca 拮抗薬
利尿剤
フェノチアジン系抗精神病薬
三環系抗うつ薬 な
ど
Barrow, M.W and K.A. Clark, Heat –related Illness. Am Fam Physician,1998.58(3)

15. ∗治療はどうするの？

16. 治療
深部体温＞ 40.5℃ もしくは重症中枢神経障害
30 ～ 60 分以内に 38.8℃ 以下までクーリングす
る 実用的では
・衣服を脱がす ないけ
・熱い環境下から離脱させる ど・・・
ぬるま湯を霧吹きでかけ、扇ぐ 氷水に浸ける（ ClassⅡ ）
(ClassⅡ)
腋窩や鼡脛を冷やす（ ClassⅡ ～Ⅲ）
38.8℃ 以上が続く
侵襲的なクーリングを考慮
・胃洗浄、腹腔洗浄、膀胱洗浄（ Class
Indeterminate)
・体外循環（ Class Indeterminate)
The Evaluation and Management of Heat Injuries in the Emergency Department,
Emergency Medicine Practice, June 2006

17. 冷やした後は（冷やしながら）
∗ 血液検査（血算、電解質、肝機能、 CK ）
∗ 尿中ミオグロビン
∗ 心電図
∗ 頭部 CT
∗ 胸部 Xp
The Evaluation and Management of Heat Injuries in the Emergency Department,
Emergency Medicine Practice, June 2006

18. ∗熱中症にならないようにす
るには？

19. 熱中症の予防１
患者さんへの教育も大事な仕事です
・暑い日に、無理な運動をさせない .31℃ 以上で注
意
日本体育協会ホームページより

20. 熱中症の予防２
競技前の水
分摂取が大
・水分補給をしっかり行う 切
日本体育協会ホームページより

21. おさらい
∗ 発熱と高体温の違い→ 熱中症に解熱薬は無効
∗ 深部体温の測定が大事→ 直腸体温を測定
∗ 重症度に応じて、とにかく『冷やす』こと。→ 冷や
す方法を考えときましょう。
∗ 運動前の水分補給など予防も大事です。

22. 熱中症に気をつけましょう
Ａｎｙ ｑｕｅｓ
ｔｉｏｎｓ？