第31回全脳アーキテクチャ勉強会(2020-10-23)
https://wba-initiative.org/17986/
https://vimeo.com/ondemand/31wba/482429263
プログラム委員長 大羽成征氏による導入
「予測する脳」(予測誤差最小化機械としての脳)のモデルは、脳を構成する局所神経回路の機能をよく説明している。しかし、こうした無数の局所神経回路がどのよう統御されて脳が全体として単一の主体性を示しているか?という難問が残っており、これを解決せねば、全脳アーキテクチャーと呼べるような人工機械知能にはたどり着かないだろう。今回の勉強会ではこの難問に対して有効なアプローチを考えたい。 手がかりの1つ目は、自由エネルギー原理(予測する脳を説明する確率計算原理)のひとつの帰結として得られるマルコフブランケットのアイディアである。これによれば動的な予測誤差最小化計算の立場からシステムの内側/外側を定義することができる。2つ目はオートポイエーシスシステム論である。システムの内側/外側を決める境界と、その生成原理に着目することで、離散システムからボトムアップで主体性が作られるさまを理解できるかもしれない。3つ目は、知覚と行動との一体的生成を議論するエナクティビズムである。行動主体の単一性が知覚主体の統一性を保証するのかもしれない。4つ目は、現象学の派生として生まれた媒介論である。これは、意識や主体性などを科学とも親和的な仕方で現実のなかに位置づけようとする考え方である。主体性や単一性など人と関わる人工知能を作ってゆくさいに重要ながら深刻な内部矛盾をつくりかねない概念を精確にとらえるのに役立つだろう。 こうした意欲的な話題を扱うために今年4月に発足した研究組織である「北海道大学CHAIN」の中心人物をお招きして、入門・基礎的な講義をいただいたうえで、そもそも論から議論したい。