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•EBS に最適化されたインスタンスを選択して Amazon EBS の I/O とインスタンスからの別のネットワークトラフィッ
クの競合を最小限に抑えて EBS ボリュームの最高のパフォーマンスを実現します。EBS の最適化インスタンスの詳
細については、Amazon のドキュメントを参照してください。
SAP NETWEAVER 対応の InfoScale エージェント
InfoScale のエージェントは、Oracle や SAP などの代表的なエンタープライズアプリケーションのリソースを監視しま
す。リソースのステータスを決定し、外部イベントに従ってそれらを開始または停止します。 SAP NetWeaver 対応
の InfoScale エージェント(以降、SAPNW エージェントと記述)はクラスタ環境下で SAP NetWeaver の起
動・停止・監視・リカバリーを行います。エージェントは SAP インスタンスをオンライン、モニター、オフラインにします。
エージェントはシステムプロセスとサーバーの状態を監視し、予期せぬ障害が発生した場合にフェイルオーバーを行い
ます。
SAP NetWeaver エージェントは、次の SAP インスタンスタイプをサポートしています。
•セントラルサービスインスタンス(ASCS)
•アプリケーションサーバーインスタンス(プライマリアプリケーションサーバーと追加のアプリケーションサーバー)
•エンキューレプリケーションサーバーインスタンス(ERS)
エージェントは、次のタイプの SAP システムをサポートします。
•ABAP
•Java
•アドイン(ABAP + Java)
SAP ライブラリおよび VERITAS コネクタスクリプトによる InfoScale と SAP NetWeaver の統合
SAP NetWeaverエージェントにより、InfoScale をSAP NetWeaver 7.xおよびSAP Kernel 7.20 DCKと統合で
きます。この目的で SAP のライブラリ(saphascriptco.so)とVeritas のクラスタコネクタスクリプト
(sap_symc_cluster_connector)を使用します。この統合で SAP sapstartsrvコンポーネントはSAPインスタン
スのステータス変更をInfoScaleへ通達することが可能となります。
※ InfoScale の統合は、SAP NetWeaver 7.xおよびSAP Kernel 7.20 DCK以降でのみサポートされます。
典型的な InfoScale クラスターでは、SAP 管理者が SAP クライアントを使用して SAP インスタンスのステータスを
変更すると、sapcontrol や startsap など、次のイベントが発生します。
•管理者が SAP インスタンスを停止すると、InfoScale は障害を検出し、クリーン操作を実行します。
•管理者が SAP インスタンスを起動すると、InfoScale はインスタンスがその制御外でオンラインになったことを検
出します。
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sapstartsrv と InfoScale 間の通信を有効にする必要があります。これにより、割り当てられた SAP インスタンス
を開始または停止したときに、sapstartsrv が InfoScale に通知できるようになります。 これにより InfoScale は
SAP インスタンスの正しいステータスを検出します。
InfoScale の AWS IP エージェント
InfoScale は AWS IP エージェントを提供します。これにより AWS の次のネットワークリソースを監視および管理で
きます。
•Private IP:Private IP はネットワークデバイスが相互に通信するために使用するプライベートアドレスです。
•Elastic IP:Elastic IP は、ダイナミッククラウドコンピューティング用に設計された静的 IPv4 アドレスであり、AWS
アカウントに関連付けられています。
•Overlay IP:AWS ではトラフィックを、サブネットまたは AZ が属している仮想プライベートネットワーク(VPC)
の EC2 インスタンスにリダイレクトできます。Overlay IP を使用するとクラスターノードが複数のサブネットまたは AZ
に分散している場合、クラスターノード間で IP アドレスをリダイレクトすることでフェールオーバーを実現します。
詳細については、InfoScale のドキュメントを参照してください。
InfoScale の AWS Route53 エージェント
Amazon Route 53 は可用性が高くスケーラブルなドメインネームシステム(DNS)サービスです。 InfoScale は、
ホスト名と IP アドレス間のマッピングを更新および監視する AWS Route53 エージェントを提供します。エージェン
トはサブネット間でノードをフェールオーバーするときに Amazon Route 53 ドメインのマッピングを行います。ホストゾ
ーンを作成すると、Amazon Route 53 はゾーンのネームサーバー(NS)レコードと Start of Authority(SOA)
レコードを自動的に作成します。フェイルオーバー中に Amazon Route 53 ドメインでリソースレコードを動的に追加
および削除する必要がある場合は、AWS Route53 エージェントを使用する必要があります。エージェントは、フェー
ルオーバー中に新しいリソースレコードマッピングで DNS を更新し、クライアントがアプリケーションのフェールオーバーイ
ンスタンスに接続できるようにします。なお、AWSRoute53 エージェントを使用したくない場合は、DNS レコードを
管理するためにレガシーDNS エージェントを使用できます。
3. AWS 上の SAP NETWEAVER でサポートされるユースケース
InfoScale は次のシナリオで SAP NetWeaver ベースのアプリケーションインスタンスを監視および制御できます。
•AWS へすべての SAP インスタンスを構成する場合
•複数のアベイラビリティーゾーンで構成する SAP アプリケーションインスタンス
•InfoScale エージェントを使用した SAP Web Dispatcher HA 構成
•SAP インスタンスのオンプレミスから AWS へのフェールオーバー(DR)
•クロスリージョンで構成する SAP on AWS
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AWS へすべての SAP インスタンスを構成する場合
このユースケースでは、2 つの EC2 インスタンスがそれぞれ SAP スタンドアロンエンキューサーバーと SAP エンキュー複
製サーバー用に構成されています。 SAP セントラルサービスインスタンス(メッセージまたはエンキュー)に障害が発
生すると、SAPNW エージェントはレプリケーションサーバーに切り替えます。
※ フェイルオーバーシナリオは SAP の高可用性認定ガイドラインに従って機能します。
InfoScale SAPNW エージェントはエンキューサーバーおよびエンキューレプリケーションサーバーの以下のフェイルオーバ
ーシナリオを実現します。
1 つのアベイラビリティーゾーン内で構成された SAP アプリケーションインスタンスの場合
仮想ホスト名を使用して SAP Central Service インスタンスをインストールおよび構成し、仮想ホスト名が他のす
べての SAP インスタンスホストから解決できることを確認します。
このユースケースでは、エンキューサーバーとエンキュー複製サーバーのインスタンスは同じ AZ に存在します。エンキュー
またはレプリケーションパラメータを TRUE(enque / server / replication = true)に設定すると、すべてのエン
キューロックがエンキューサーバーにレプリケートされ、レプリケーションサーバーで使用可能になります。エンキューサーバ
ーのインスタンスが失敗するか、利用できなくなると、SAPNW エージェントは障害を検出し、エンキューサーバーのエ
ンキューレプリケーションサーバーノードへのフェイルオーバーを自動的にトリガします。結果、エンキューレプリケーション
サーバーはエンキューサーバーに変換されます。
図 2 - SAP ASCS インスタンスに障害が発生 図 3 - フェールオーバー後にエンキューレプリケーションサーバー
がエンキューサーバーに変換される
障害がクリアされ、フェールバックが完了すると、エンキューレプリケーションサーバーはエンキュー サーバーからエンキュー
ロックのレプリケートを開始します。
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複数のアベイラビリティーゾーンで構成された SAP アプリケーションインスタンス
このユースケースでは SAP エンキューおよび SAP エンキューレプリケーションインスタンスは、最初にアベイラビリティ
ーゾーン 1 で実行されます。SAP ダイアログと SAP データベースインスタンスは 同じ AZ 内にあるか、複数の
AZ に分散されています。
図 4 – FSS でディスクストレージをアクティブ/アクティブで同期させた複数のアベイラビリティーゾーンの SAP フェールオーバー
SAP エンキューサーバーに障害が発生すると、SAPNW エージェントは自動的にエンキューレプリケーションサーバーに
フェイルオーバーさせ、レプリケートされたエンキューロックをエンキューレプリケーションサーバーからロードします。この場
合、InfoScale の AWS IP および IP エージェントは仮想 IP のフェールオーバーを行います。
図 5 – 複数の AZ での エンキューサーバーのフェールオーバーが完了
次の図はエンキューレプリケーションサーバーがアクティブで、エンキュートランザクションロックがアベイラビリティゾーン 2
にレプリケートされていることを示しています。
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図 6 - AZ2 にレプリケートされたエンキュートランザクションロック
障害が発生した状態がクリアされ、以前のエンキュー (ASCS) サーバーでメンテナンスが完了したら、前のエンキュー
サーバーでエンキュー レプリケーション サーバーを再起動できます。SAPNW および SAPComponents エージェントを
使用して、エンキュートランザクションロックを失うことなく、AZ 間でエンキューレプリケーションインスタンスを切り替え
ることができます。InfoScale は、SAP データベースおよび SAP ダイアログインスタンスの単一障害点を排除しま
す。詳細については、InfoScale のマニュアル「Cluster Server Agent for SAP NetWeaver Installation and
Configuration Guide」をご覧ください。
InfoScale エージェントを使用した SAP WEB Dispatcher HA
SAPComponents エージェントと AWS Route53 エージェントは連携して AZ 全体で SAP Web ディスパッチャー
インスタンスを監視および制御します。このユースケースでは SAP Web ディスパッチャーはエラスティック IP ではなく
プライベート IP で設定および管理されます。仮想 IP は異なる AZ で同じホスト名にカスタマイズされます。
SAP Web ディスパッチャーが AZ で使用できなくなった場合、SAPComponents エージェントは同じ仮想ホスト名
を使用して別の AZ にフェールオーバーします。このシナリオではクライアントは AZ 間で同じホスト名で接続すること
ができ、これは AWS Route53 エージェントによって管理されます。
次の図は複数の AZ にまたがる一般的な SAP の構成パターンです。SAP Web ディスパッチャーインスタンスはア
ベイラビリティーゾーン 1 でアクティブであり、アベイラビリティーゾーン 2 ではスタンバイです。
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図 7 - 複数の AZ にまたがる SAP 構成
次の図は SAPComponents エージェントが障害を検出し、インスタンスを別の AZ にフェールオーバーする準備が
できていることを示しています。
図 8 – SAP Web ディスパッチャーのフェールオーバー
次の図は SAP Web ディスパッチャーがアベイラビリティーゾーン 2 にフェールオーバーしたことを示しています。AWS
Route53 エージェントはフェールオーバーポリシーに従い、Web ディスパッチャーホスト名の DNS レコードを変更しま
す。これにより、Web ベースのクライアントの接続が容易になります。