2023年3月4日(土)に開催された「公共交通オープンデータ最前線2023」(会場：東京大学工学部２号館)の「GTFSデータ整備の展開」テーマ内での題名「GTFSオープンデータの 品質向上活動について」発表資料です。

1. 公共交通オープンデータ最前線2023
GTFSオープンデータの
品質向上活動について
2023年3⽉4⽇
バス停検索、バス時刻検索運営
⻘い森ウェブ⼯房 代表 福⽥ 匡彦
バス時刻検索 https://bustime.jp/ 2023/3/4
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2. ・⻘森県⼋⼾市在住(四⼗代 独⾝)
・東京で8年間ほど会社員ウェブプログラマー
・主な職歴
2000年 雑誌「東京ウォー◯ー」ウェブサイト運営会社へ常駐
(この頃にPerlのCGIへ触れる)
・2004年 ゲーム会社「元気」勤務
(この頃にPHPやMySQLを使い始める)
・2008年 地元⼋⼾市へUターンし、⻘い森ウェブ⼯房を開業
・2011年6⽉から全国対応「バス停検索」サービスを運営中
URL https://buste.in/
〜このあたりからバスが趣味から仕事になり始める〜
・標準的なバス情報フォーマット広め隊メンバーとなる
福⽥の⾃⼰紹介
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3. * 2019年 「標準的なバス情報フォーマット(通称GTFS-JP、以下
GTFS) 」を広める活動へ参加し、GTFSを実験的に取り込み、活⽤
⽅法を模索開始。
(その頃は主に⾼品質なバス事業者製「⾃作データ」を対象)
* 2020年春 収集範囲を広げると、問題あるデータが多数⾒つかる。
公開時期から推測し、半年以上前から問題あったものも⾒られた。
◆⻑期間放置されている理由を想像しました。
(どちらも⼤いにありえそうです…)
* 問題へ気付いた利⽤者がいたが、⾯倒で問合せていない︖
→そのまま、該当データの使⽤を諦めた可能性もある︖
* 該当データが使われておらず、誰も気付かない︖
なぜGTFSデータの
品質向上活動を始めたのか︖(1)
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4. * 問題が解決しないと⾃分もそのデータを安⼼して使えない︕
* 誰もやらないなら、⾃ら問合せて問題指摘していくかと重い
腰を上げる
そこから⼤変⻑い道のりが始まり現在に⾄ります︕
ただし、当初予想は、多くのデータで⼀度問題解消されれば、
その後は⼿間減るかと思いきや、再度同⼀問題が起きることも
よくあり(後継担当者へ適切に引継がれていない場合等)、新規
データ公開時でも起きがちで、なかなか指摘する⼿間が減らな
いのが現状です…
なぜGTFSデータの
品質向上活動を始めたのか︖(2)
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5. 「バス停検索」は、⻘い森ウェブ⼯房(⻘森県⼋⼾市)が
運営する全国のバス停が探せる無料サービス。
※2011年6⽉に公開
正確度の低い従来バス停データを補完するため、GTFSデータも
合わせて地図上へ表⽰したり公開中の
時刻情報でGTFSを活⽤しています。
URL https://buste.in/
GTFSデータの活⽤事例1
バス停検索 検索
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6. GTFSデータの活⽤事例2
2023/3/4
バス時刻検索 https://bustime.jp/ 6
「バス時刻検索」はバス停等の時刻情報に特化した無料サービスです。
主に路線バス情報ですが、いくつかの鉄道線や路⾯電⾞、定期旅客船航
路の時刻情報も掲載中です。
※2022年9⽉にオープンし、北海道、⻘森県、宮城県、群⾺県、東京都、
神奈川県、⻑野県、富⼭県、⽯川県、福井県、岐⾩県、愛知県、三重県、
和歌⼭県、岡⼭県、徳島県、⾹川県、⾼知県、佐賀県、⻑崎県、熊本県、
⿅児島、沖縄県の23都道県の⼀部データで時刻表を公開中。
現状は「バス停検索」内の時刻情報 と⾏き来する形態ですが、
今後、時刻表情報については、 「バス時刻検索」へ集約予定です。
URL https://bustime.jp/

7. ※オープンデータ件数は「公共交通オープンデータ⼀覧」で有効期限内の
データ数を参考(2023/03/02調べ)
これ以外に公開データ27個でも時刻公開中です。
・公共交通オープンデータ⼀覧 (GTFS)URL
https://tshimada291.sakura.ne.jp/transport/gtfs-list.html
「バス時刻検索」 の
オープンデータ時刻表公開状況
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663
オープンデータ数
451
バス時刻検索で公開

8. 2023年1⽉頃の1ヶ⽉間でPV(閲覧数)を集計した結果です。
(バス停検索内の時刻表ページを対象)
順位 バス会社名(主な運⾏都道府県)
* 1位 都営バス(東京)
* 2位 仙台市営バス(宮城)
* 3位 広島電鉄(広電バス)(広島)
* 4位 ⻄武バス(東京、埼⽟)
* 5位 昭和⾃動⾞(昭和バス)(佐賀、福岡)
* 6位 沖縄バス(沖縄)
* 7位 九州産交バス(熊本)
* 8位 関東鉄道(関鉄バス)(茨城)
* 9位 横浜市営バス(神奈川)
* 10位 北海道中央バス(北海道)
当初予想よりも横浜市営バスで少なく、昭和⾃動⾞が多かった印象です。
時刻表を多く⾒られている
バス会社ランキング
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9. * 有効期限切れのまま更新されていない
(「feed_info.txt」内「feed_end_date」が昨⽇以前、
「calendar.txt」内「end_date」が昨⽇以前)
原因︓担当者が多忙や更新作業が引継がれていない︖
* 「calendar_dates.txt」へ本⽇以降の祝⽇等が記載無し
※祝⽇に関係無く同⼀ダイヤでは不要なため、その判別が必要
* 圧縮⽅法に問題あり
原因︓複数ファイルはフォルダへ⼊れて丸ごと圧縮が多いため︖
* ⽂字コード誤り
テキストファイルの⽂字コードを「UTF-8」とするべきところ、
「シフトJIS」となっていて、⽂字化けの原因となる
原因︓⼿動修正によるミスか︖
GTFSデータのよくある問題点
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10. 意外と盲点なGTFSデータの問題点もあります。
* 改変不可のライセンスを適⽤してしまう
オープンデータで⼀般的な「CC 0」や「CC BY」系(CC BY 4.0等)
ではなく、改変不可の「CC BY-ND」ライセンス適⽤している
例えば、使⽤する際、⾏単位や項⽬毎に分解すると「改変」に当た
ると考え、実質的に使⽤不可なデータとなります…
(栃⽊県⾃治体公開のGTFSデータ1個が該当)
* 利⽤条件が不明
適⽤ライセンスが明記されず、オープンデータなのかも不明で、
使って⼤丈夫かわからず安⼼して使えないデータ
(広島県⾃治体公開のGTFSデータ1個が該当)
※今年1⽉に同様の⾃治体へ改善要望を送り、三市町データはオー
プンデータ化されました︕
GTFSデータの意外な問題点
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11. 任意項⽬だが、わずかなGTFSを除き、国内ほとんどのGTFSでは備え
ているため、実質的に必須となる項⽬もあります。
* 有効期間「feed_info.txt」 内「feed_start_date」、
「feed_end_date」の記載無し
(「calendar.txt」は有効期限内のデータ5個が該当)
* ⾏き先情報が未記載
「trips.txt」の「trip_headsign」、「trip_short_name」、
「stop_times.txt」の「stop_headsign」が共に記載無しで、⾏き先
が不明となる
任意項⽬とはいえ、いずれかが記載されていないと困ります…
→暫定的に終点バス停名を⾏き先として表⽰し対応中
(沖縄県内データで⾒かける)
任意項⽬だが
実質的に必須な項⽬(1)
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12. * 乗降制限を設定する「 stop_times.txt 」内「pickup_type」や
「drop_off_type」の記載無し
(ODPT配信の都営バス、横浜市営バスデータ等が該当)
* 停留所、標柱どちらかを設定する「stops.txt」内
「location_type」の記載無し
(秋⽥県⾃治体データ1個が該当)
* 多数の乗り場があるバスターミナルで、乗り場番号の記載無し
「stops.txt」内「stop_code(旅客案内向けナンバリング情報等)」、
「platform_code(のりばID)」が共に記載無しで、乗り場番号が不明
(全国的にありがちです)
※問合せても、「任意項⽬」である事を理由に改善されない事が多く
あります。
任意項⽬だが
実質的に必須な項⽬(2)
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13. * 有効期限が数年先と⻑いデータは要注意
⻑いと有効期限が数⼗年先のデータもありますが、もし既に古い内
容で実質的に期限切れであっても、外部からはその事へ気付きにくく、
誤って使⽤され続ける懸念が⾼まります。
→有効期限は⻑くとも⼀年以内とする事をオススメします。
* 更新データ公開時に「feed_info.txt」内容が⼀切変更されず、更
新データに気付かない
「feed_info.txt」の「feed_start_date」や「feed_end_date」い
ずれかの⽇付を変更するか、「feed_version」内容を毎回変える事で
更新を検知しやすくなります。
* 配信ページ内へデータ更新⽇やダイヤ改正⽇が記載されず、更新
データが公開された事に気づきにくい
→改善例「2023/04/01ダイヤ改正データ(2023/03/01更新)」
問題では無いが
改善されるとありがたい点
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14. GTFSデータチェックツール「FeedValidator」はWindowsア
プリ版も提供されているものの、⼀部⾃治体内PCでセキュリ
ティポリシー等の事情によりインストールが困難で使えないた
め、ウェブブラウザベースで使えるツールが欲しいと公共交通
利⽤促進ネットワーク伊藤⽒から相談があった事がきっかけで
試作し、2022年2⽉頃から⼀般公開した経緯があります。
これも品質向上活動の⼀環です。
明らかな問題点を事前チェック＆修正される事により、公開後
に問題指摘する⼿間を減らせるメリットもあります︕
・GTFSチェックツール(「FeedValidator」を使⽤)
https://japanbus.jp/GTFS-validation/
「FeedValidator」使⽤のGTFSデータ
チェックツールを公開中︕
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15. かなりニッチなツールであり、需要も少ないのではと予想して
いましたが、PV(ページビュー)数の集計を⾒ると想定以上に使
われている事がわかりました︕
直近⼀ヶ⽉間で「約500PV」 、90⽇間で「約1,100PV 」 、
⼀年間で「約3,000PV 」です。
おかげさまで、利⽤は増加傾向です。
元々は試験的に公開したツールですが、予想よりも需要が多い
状況であり、当⾯は公開継続と考えています。
GTFSチェックツールの利⽤状況
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16. 「FeedValidator」でチェックされない問題も確認できるツールを構
想しています。
例えば、下記項⽬のチェックを想定です。
* 圧縮⽅法の問題(テキストファイルを直接ではなく、フォルダ丸ご
とで圧縮している場合)
* 「calendar.txt」の有効期限切れ(「end_date」が昨⽇以前)
* 「calendar_dates.txt」へ本⽇以降の祝⽇等が記載無し
(※祝⽇等が未記載でも、単に祝⽇関係無く通年同⼀ダイヤという事
例もあります)
* ⾏き先情報の不⾜
「trips.txt」内「trip_headsign」と「trip_short_name」、
「stop_times.txt」内「stop_headsign」がいずれも未記載
新たなGTFSデータチェックツール
も検討しています
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17. * 利⽤者側がダウンロードしてからデータ修正せず
に済むように、⼤元の公開データを修正してもら
う事を優先する
* 担当者の多忙等により、改善したくても出来ない
可能性も想像し、感情的にならず、冷静な⽂体で
指摘する
* 先⽅から無反応でも、同じ改善要望は何度も送ら
ない(忘れた頃の数ヶ⽉後に改善される事もあり)
※次回更新データでも改善無ければ送る事あり
改善を促す際の⽅針
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18. 主にオープンデータを対象として改善を促す指摘を
地道に送る活動により、多くのデータでは問題解決
でき、全国のGTFSデータの品質向上に繋がりまし
た︕
しかし、問い合わせに応答無かったり、数ヶ⽉経っ
ても改善されないデータは残念ながら存在します…
それにもめげずに、今後もGTFSオープンデータのさ
らなる活⽤と品質向上をお⼿伝いしていきます︕
地道にGTFS品質向上を
働きかけています︕
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19. * ⻘い森ウェブ⼯房 代表 福⽥匡彦
* ご質問やお問い合わせは下記へ
URL: https://8nohe.info/work/
Twitter @8nohe
* 標準的なバス情報フォーマット広め隊
URL: https://www.gtfs.jp/
2023年3⽉4⽇
ご清聴ありがとうございました
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