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誰が選挙公報を見るのか―無党派性と政治的有効性感覚に着目した比較研究―

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大西ランチゼミ報告@神戸大学
2015年4月29日

Published in: News & Politics

誰が選挙公報を見るのか―無党派性と政治的有効性感覚に着目した比較研究―

  1. 1. 誰が選挙公報を見るのか 無党派性と政治的有効性感覚に着目した日韓比較 ソン 宋 ジェ 財 ヒョン 泫 神戸大学法学研究科・博士課程後期課程 <jaehyun.song@stu.kobe-u.ac.jp> 2015 年 4 月 29 日 (水)
  2. 2. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 背景 研究の背景 争点投票の条件(Campbell et al. 1960) 1 有権者が争点を認知 2 その争点が有権者にとって重要であると認識 3 どの候補者 (政党) が自分の選好と最も近いかを認知 選挙公報は各候補者の政策を判断するに最も豊富な情報を含 んでいる媒体の一つ 図 : 低下する選挙公報の接触率 (明推協調査) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 2 / 18
  3. 3. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 背景 選挙公報の例 図 : 選挙公報の例 (日本) 図 : 選挙公報の例 (韓国) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 3 / 18
  4. 4. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 背景 リサーチ・クェスチョン Research Question 誰が選挙公報を読むのか。 党派性と政治的有効性感覚は選挙公報接触にどのような影響 を与えるか。 政治的文脈による違いはあるか。 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 4 / 18
  5. 5. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 政治的情報接触 政治的情報接触 合理的な人は無知? (Downs 1957) 政治的情報の獲得はコストを伴うため、合理的有権者は能動的に 政治的情報を獲得するインセンティブがない しかし、我々の周りにはニュースを観る人も、選挙公報を見る人もいる。 なぜ見るか? 誰が見るか? 政治的情報獲得の規定要因 (Luskin 1990; Bennet 1995 など) 動機 党派性 (先有傾向) を持つ有権者が自分の都合の良い 情報に接触 (Lazarsfeld et al. 1944; 山田 2012 など) → 選択的接触 能力 教育水準 ∝ 政治的情報接触 (Deli Carpini and Keeter 1996; 稲葉 1998; 境家 2006 など) 機会 副産物理論 (Popkin 1991; Baum 2002 など) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 5 / 18
  6. 6. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 先行研究の問題・限界 先行研究の問題・限界 選挙公報に焦点を当てた研究の不在 選挙公報は直接キャンペーンでありながら (境家 2006)、メ ディアのような経路 政治的知識の高さ=接触傾向の高さ? 接触 (フロー) と蓄積 (ストック) は必ずしも一致しない 動機と能力はそれぞれの経路で情報接触を促す? 1 動機も能力もある → 選挙公報を読む 2 動機も能力もない → 選挙公報を読まない (選挙公報は全有権者に送られるため機会は平等) 3 動機はあるが、能力がない → ? 4 能力はあるが、動機がない → ? SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 6 / 18
  7. 7. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 仮説 仮説 1 強い無党派性は「動機なし」か? 無党派層の中には支持政党ではなく、政策を見て投票する有 権者も混在 (Tanaka 1999) 無党派層の中で政治的有効性感覚が高い有権者はより積極的 に政治的情報を獲得 支持政党を持つ有権者は既に投票先の手がかり (cue) を持つ ため、その効果は限定的 仮説 1 無党派層の中で高い政治的有効性感覚を持つ有権者 は選挙公報接触傾向が高い SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 7 / 18
  8. 8. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 仮説 仮説 2 政治的有効性感覚は常に正の影響を与えるか? 高い ˙外 ˙的政治的有効性感覚→政策実現の期待→選挙公報接触 政党の寿命が短い韓国:応答性が曖昧→限定的な効果 高い ˙内 ˙的政治的有効性感覚 & 支持政党あり →投票決定の意向を強化→選挙公報接触傾向が低下 仮説 2 外的政治的有効性感覚は常に正の影響 内的政治的有効性感覚は無党派層において負の影響 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 8 / 18
  9. 9. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに データ データ 日本 JES IV 第 5・6 波 第 22 回参議院議員通常選挙前後調査 (2010 年 5 月∼8 月) N = 1,856 韓国 第 19 代国会議員選挙有権者調査 第 19 代国会議員選挙後調査 (2012 年 4 月) N = 1,000 欠損値は listwise で除去 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 9 / 18
  10. 10. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 変数 変数の操作化 (鍵変数) 従属変数:選挙公報接触 韓国:「あなたは今回の選挙における投票決定のための政党 や候補者情報をどのような方式で入手しましたか。」 日本:「選挙期間中にさまざまな情報に接触する機会があっ たことと思いますが、この中で選挙について役立ったと思わ れるものを次の中から選んでください。」 独立変数 1:無党派性 0:支持政党あり; 1:弱い無党派層; 2:強い無党派層 独立変数 2:政治的有効性感覚 内的政治的有効性感覚 (標準化) 外的政治的有効性感覚 (標準化) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 10 / 18
  11. 11. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 変数 統制変数 性別 (0 = 男性; 1 = 女性) 年齢 教育水準 (標準化) 世帯収入 (標準化) 国ダミー (0 = 韓国; 1 = 日本) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 11 / 18
  12. 12. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 分析モデル 分析モデル モデルⅠ 交差項なし モデルⅡ 無党派性と内的政治的有効性感覚の交差項 モデルⅢ 無党派性と外的政治的有効性感覚の交差項 モデルⅣ Model Ⅱ + Model Ⅲ ロジスティック回帰分析 全ての鍵変数には国ダミーとの交差項を投入 分析結果、最も改善されたモデル (AIC 基準) である モデルⅣ のみを解釈 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 12 / 18
  13. 13. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 分析結果 分析結果 Coef. S.E. 無党派性  弱 0.413∗∗∗ (0.069)  強 0.341∗∗∗ (0.078) 内的有効性 −0.110∗∗∗ (0.007) 外的有効性 0.061∗ (0.028) 無党派性  弱 × 内的 0.172∗ (0.031)  強 × 内的 0.368∗ (0.014)  弱 × 外的 −0.195∗∗∗ (0.001)  強 × 外的 0.011 (0.019) 無党派性  弱 × 日本 −0.694∗∗∗ (0.043)  強 × 日本 −0.748∗∗∗ (0.029) 内的 × 日本 −0.230∗∗∗ (0.004) 外的 × 日本 0.114∗∗∗ (0.034) 無党派性  弱 × 内的 × 日本 −0.078 (0.067)  強 × 内的 × 日本 −0.144∗∗∗ (0.019)  弱 × 外的 × 日本 0.022 (0.041)  強 × 外的 × 日本 0.396∗∗∗ (0.002) 日本 −0.796∗∗∗ (0.129) N 1912 ∗ < 0.05;∗∗ < 0.01;∗∗∗ < 0.001 統制変数は省略 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 13 / 18
  14. 14. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 分析結果 予測確率 (無党派性) 図 : 内的有効性 = -2SD 図 : 外的有効性 = -2SD 図 : 内的有効性 = 平均 図 : 外的有効性 = 平均 図 : 内的有効性 = +2SD 図 : 外的有効性 = +2SD SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 14 / 18
  15. 15. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 分析結果 予測確率 (政治的有効性感覚) 政党支持あり 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 弱い無党派層 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 強い無党派層 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 15 / 18
  16. 16. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 分析結果 限界効果 (政治的有効性感覚) 政党支持あり 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 弱い無党派層 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 強い無党派層 図 : 内的有効性感覚 図 : 外的有効性感覚 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 16 / 18
  17. 17. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 結論 結論&含意 無党派性と政治的有効性感覚の相互作用 政治的有効性感覚は無党派性を媒介して異なる効果を持つ 無党派性が強い場合、政治的有効性感覚の効果は大きい 内的政治的有効性感覚の効果は無党派層においてより大きい 外的政治的有効性感覚の効果も無党派層においてより大きい ただし、弱い無党派層においては有意× or 負の影響 日韓の違い 選挙公報接触の傾向は全体的に日本の方が相対的に低い 韓国における外的政治的有効性感覚の効果は非常に限定的 日本において内的政治的有効性感覚は常に負の影響 SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 17 / 18
  18. 18. はじめに 先行研究 仮説 データ 分析 おわりに 今後の課題 今後の課題 理論と仮説 仮説の導出過程が弱すぎること なぜそもそも日本の選挙公報接触率は (相対的に) 低いのか 内的政治的有効性感覚の影響が日韓間で反対 →さらに比較が必要 方法上の問題 二カ国比較の限界 マルチレベル・モデル(収束できず…) SONG Jaehyun Who Cares About Manifesto? – A Comparative Study of Japan and Korea – 18 / 18

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