2023年DFMD東京_PF発表会

1. 行動への態度
子供達に痩せてもらうためには、まずは自
分が痩せないとダメだなと思う。夫も協力
してくれているし、先生にも何度も言われ
ているから、なんとかしたい。
主観的規範
行動コントロール感
運動は苦手だから自信がない。
今まで運動して痩せたことがないから、
自分が痩せられるとは思えない。
大絶賛(強化マネージメント)
ジムの記録を見せてもらう(刺激の統制)
HbA1c 9% GLP−１アナログ治療開始
痩せることで注射終了できることを説明
「ジムが物足りなくて、こんな私が
最近は筋トレと走ってます(笑)」
エンパワーメントを高める
介入後
禁酒、夕食の炭水化物をやめるといった食事療法で効果なし
HbA1c 8%台(ビグアナイド薬,DPP-4阻害薬)を推移していた
自閉症
発達遅滞
てんかん
3児の母、
家族のヘルスエキスパート
Class of 2023
北足立生協診療所
日向 佑樹
障害のある子をもつ母に対し、
計画的行動理論を利用して行動変容に成功した事例
本当に大切なものが
本気にさせるきっかけ
毎月1kg体重減少
体脂肪率2%ずつ減
今までよりだるさも無くなった
目標
週3回
ジム通い
行動変容
準備期
介入前
運動して痩せないと血糖値が下がらないのは
分かっているけど、食事頑張っても痩せない
のに、運動したら痩せるのか。
「運動したいけど、
自信がないです」
食事療法に運動療法を組み合わせること
の効果を説明
効果に時間がかかったとしても気分転換
(ストレス発散)にもなることを説明
運動を全くしない人ほど伸び代が大きい
まずは気軽な気持ちで軽い運動から
周囲の人に目標を宣言してもらう
息子と一緒に体重測定を実施
行動期
「痩せてないけど、
ジム続けてます」
半年で5kgの体重減少
HbA1c 9.0→6.4%(GLP-1アナログ中止)
「運動が楽しい。
今も続けられています」
事例報告理由
日常診療で行動変容のアプローチを意識して生活指導を行っても、上手くいかないことの方が多く行動変
容への徒労感を感じていた。本症例は障がいのある2人の息子を抱える3児の母という行動変容困難な背景が
あったが、減量に成功し、糖尿病治療薬を減らすことができた自分にとって貴重な事例であり、振り返るこ
とで、自分の感じていた徒労感を克服するべく報告する。
糖尿病,高血圧,脂質異常症にて当院定期通院中
4年前:HbA1c 8.6%、2型糖尿病と診断(網膜症なし)
3年前:HbA1c 11%まで悪化(ビグアナイド薬開始)
維持期
考察 & Next Step
患者に上手くいったキモを問うと、息子の担当医に息
子の肥満を指摘され、まずは自分が痩せなくては、と思
ったとのことだった。息子の行動変容を促すために自ら
が良いモデルになろうと思ったのか、自分が成功をした
ら息子も痩せられると思ったのかは分からないが、大切
なものの存在が患者を動かした。
行動変容後には「子どものためにも健康でいたいじゃないですか」とおっしゃっ
ており、障がいのある息子を抱える3児の母という環境からは、一見すると行動変容
が困難であると考えてしまいがちであるが、逆境とも言えるその存在がレバレッジ
ポイントにもなり得ることを本事例から学んだ。
何が行動変容のきっかけになるのか、どのようなアプローチが患者に効果的なの
か、患者の価値観が１つのヒントになると考え、患者に合わせた多面的なアプロー
チができる家庭医になりたい。 参考文献:Ajzen, I. (1991). The theory of planned behavior. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 50(2), 179–211.
患者