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アノテートによる単語情報を活用した
プレゼンテーションにおける
リアルタイム相互支援
システムの提案と実装

 情報処理学会第73回全国大会 2ZD-4
 東京理科大学      ○小松 直樹
             岩井 祐太,西山 裕之

                       1
背景①ーPDCAサイクル
近年,教育現場に「PDCAサイクル」が導入されている

  Plan(企画・計画)
  従来の授業の結果や予測を元にして
  教育計画を作成

    Do(実施)
  シラバスに沿って授業を行う

   Check(評価)
  授業の実施が計画に沿っているかどうかを確認

  Act(見直し・改善)
  実施において計画に沿わない部分を調査し改善

      4つの項目を繰り返し行うことで能力向上を図る

    Checkにおいて,ActやPlanにつながる具体的な改善点が必要
                                        2
背景②-プレゼンテーション
プレゼンテーションとは

  聴講者   発表内容を理解すること
  発表者   聴講者に情報を正確に伝えること



  聴講者   疑問を解消する必要がある
  発表者   聴講者に合わせた発表が必要がある

しかし,現状の手段では
    質疑応答 ・・・ 聴講者が質問し難い
    アンケート ・・・ 一方向かつ時間がかかる
                            3
目的
     プレゼンテーションにおける
     リアルタイム相互支援を行う
     「アノテート」:視覚的な目印を付与する行為
利用イメージ
                      ここがわからないのか
 聴講者     ここがわからない

               補足説明
                            発表者

                      アノテート表示
                       文字抽出     「Capturer」
     アノテート付与          ※独自の簡易的手法を提案
                                             4
設計方針
発
表   利用準備の簡略化
準
備          ・従来のPowerPointファイルを作成するだけ
     発表者
           ・ファイル選択だけの操作
発
表   理解度をリアルタイムに提示
中
     聴講者   ・リアルタイムに理解していない箇所を提示できる
           ・単語単位の補足説明の順位づけ
     発表者
           ・動的な発表構成の変更ができる
     聴講者   ・補足説明により発表内容の理解が深まる
発
表   発表資料やデータの参照
後
     発表者   ・スライド改善の具体的箇所の把握
                                       5
システム構成図
  PowerPoint            発表者サーバ
  ファイル編集
                          画像圧縮
  ファイル選択
                    発表者アプリケーション
PowerPointファイル
   編集・保存         聴講者      ランキング
                 接続待ち

                  スライド
                   資料     アノテート    チャット
  形態素解析

  形態素解析          ログイン     履歴      Wikipedia
   サーバ             聴講者アプリケーション
  発表者パソコン               聴講者パソコン
                                              6
デモ
     7
文字抽出ー準備



                    文字色変更
          例
              形態素 色(16進数)
元画像           (Value) (Key)
              API       003f35   +700
              In        0044ad
                                 +700
              Android   004a25
                                 +700
              SDK       004f9d
                                 +700
              are       005515

                    LinkedHashMap[]に格納
編集画像
                                        8
文字抽出ー発表中の処理
①アノテート付与
                 ②座標情報送信




           聴講者                           発表者サーバ

 ③色の抽出                           LinkedHashMap
                       004a25    Key       Value
③-1.全ピクセルの色の抜出
                       004f9d
                                ・・・       ・・・
③-2.色の重複を排除            08502c
                       0855a0   0044ad In
③-3.色のソート(昇順)          105533   004a25 Android
③-4.色から探索              105aa3   004f9d    SDK
                       185b3a
                                005515 are
    「Android SDK」を抽出   1860a6
                       ・・・      ・・・       ・・・

                                                   9
評価
  実験環境     聴講者:12人,発表:スライド18枚,約10分
                                 50

  発表準備                           45
                                 40                       有効数




                        アノテート数
                                 35
・従来のPowerPointファイルを利用            30
                                 25
                                                          無効数

   準備の特別な作業が不必要
                                 20
                                 15
                                 10
                                 5
  アノテート                          0
                                      1   2   3   4   5   6   7   8   9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
・無効数の多さ                                                       スライド番号
      画像判定の必要性                                    図1 アノテート遷移数

・アノテートの部分について,過去のスライドに振り返り補足説明
      発表の双方向性が高まって,理解度も上がった


          アノテートの有用性が示された
                                                                                               10
まとめ

       目的

      プレゼンテーションにおける
      リアルタイム相互支援を行う
 本システムの運用実験により

      ・理解度の低い箇所の可視化による効果
      ・文字列単位による評価


       本システムの有用性が示された

                           11
今後の展望

 聴講者の画面サイズを考慮し,画像の圧縮比率を変更

            Android 端末が利用可能



 聴講者にとって視覚効果を与え,
       分かりやすいアニメーション効果を用いた発表
     PowerPointのスライドショーへのアノテート表示




                                   12
これで発表を終わります

ご清聴ありがとうございました


                 2
評価実験に用いた資料編集例




                                   文字色変更結果




※This AROB 16th '11 (Jan.27 (Thurs.)-Jan.29(Sat.), 2011. B-Con Plaza, Beppu, Oita, JAPAN)
                                                               Symposiumで発表された資料
関連研究
      理解度を活用したアノテーションシステムによる授業支援※
 特徴    1)視覚的な生徒に理解度        2)理解できなかった単語の関連語




         図2:理解度に応じた            図3:単語の関連付け
       2色のマーカーによるアノテート

  教   システムを利用するに当たり教材の準備(XML化)が必要
問 師                      専門知識を必要とする
題
点 生
      理解している部分にアノテートしなければいけない         負担が増加
  徒
                 ※2005,石原正樹,人工知能学会先進的学習科学と工学研究会
インタフェースー発表者



                    チャット表示
      アノテート表示




                 アノテートランキング


                 付与回数+文字列
     最新チャット表示部
インタフェースー聴講者
                アノテート履歴


                      付与スライド番号+
                       アノテート文字列
 アノテート付与                クリック



                       各処理ボタン


   チャット入力   簡易反応ボタン


                       現在スライド番号
今後の展望
    ”談話構造解析に基づくスライドの自動生成”※

                 スライド


 テキスト




        本システムが,通常授業での使用が可能
                 ※2006,柴田ら,自然言語処理学会
比較研究
             表1 比較研究表
                    本システム         安   顔   ア   L   P
  聴講者の理解度状況把握         〇           〇   △   〇   △   ×
  リアルタイム性のある相互意思疎通    〇           〇   △   △   〇   ×
  聴講者の理解度向上           〇           ×   ×   〇   △   △
  改善点の提示              〇           △   △   ×   ×   ×
  安倍 寛人,”形成的評価を可能にする遠隔授業システムの提案と実装”
安 東京理科大学理工学部経営工学科卒業研究論文,2009

顔 岩井 祐太,”顔表情識別による聴講者の評価取得システムの設計と実装”
  情報処理学会第72回全国大会, 2010

ア 石原ら,”理解度を活用したアノテーションシステムによる授業支援”
  人工知能学会先進的学習科学と工学研究会,2005

L 西田ら,” Lock-on-Chat:複数の話題に分散した会話を促進するチャットシステム”
  日本ソフトウェア科学会論文誌 コンピュータソフトウェア,2006

P PowerPoint
比較研究①
    ”形成的評価を可能にする遠隔授業システムの提案と実装※”
e-learningにおいて学習者の「理解度」と「集中度」をリアルタイムに測定
                     教師にフィードバックを可能とするシステム




・進行の同期を取得していない       測定データの信憑性の低い

・聴講者は常にカメラで撮影されている      束縛感を受けてしまう

・発表者にとって聴講者の反応がリアルタイムに把握できない

・取得されるデータがスライド単位      詳細な分析や細かな単位での改善はできない
         ※安倍 寛人,東京理科大学理工学部経営工学科卒業研究論文,2009
比較研究②
  ”顔表情識別による聴講者の評価取得システムの設計と実装※”




  欠点
・顔表情を取得するために    聴講者のパソコンにカメラを必要

・聴講者の外見や環境によっては顔表情が識別されない場合が生じる

               ※岩井 祐太,情報処理学会第72回全国大会, 2010
比較研究③
 ” Lock-on-Chat:複数の話題に分散した会話を促進するチャットシステム※”




   特徴                    欠点
 ・議論の深いところの視覚的把握     ・サブ画面での運用      進行の妨げ
 ・時系列の把握             ・聴講者の理解度の把握は困難

        ※西田ら,日本ソフトウェア科学会論文誌 コンピュータソフトウェア,2006
評価①-第1回評価実験
    環境       聴講者:12人,発表:スライド24枚,約50分

   発表準備                          16
                                 14
・画像化にPowerPointを用いる              12
                                                                   有効数




                        アノテート数
                                 10
                                  8                                無効数
            専門知識を要しない             6
                                  4
                                  2

   アノテート                          0
                                      1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324

                                                       スライド番号
・あまりアノテート数が多くなかった
                                           図7 アノテート遷移数
           過去に学会で発表された発表資料

 分かり易く編集されていたため,聴講者への理解がしやすかったと考えられる

・アノテートが多い部分について,過去のスライドに振り返り補足説明

            アノテートの有効性が示された
評価②-第1回評価実験
 チャット
              25

              20

              15
        発言数
              10

               5

               0
                   1   2   3   4   5   6   7   8   9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

                                                      スライド番号
                                           図3 チャット遷移数
・発言内容は,発表中盤や後半に発言されたものが
                  より発表内容に近い
       聴講者間で補足説明し合う場面も見られた
・チャットにおいて発表内容とは関係のない発言
           ・発言の削除機能の提供
                                   ・有害文章判定手法の採用
評価③-第1回評価実験
 ランキング
  あまり使われなかった
        発表者アプリケーションとは別のフレームで作成してしまった

         ユーザインタフェースの工夫の必要性

同意・不同意ポップアップ
聴講者
 背景色の濃度を参照することで,深い議論がされているところがすぐわかった
発表者
      終了後に背景色の濃いものに焦点を当てて補足説明

      聴講者の理解度の低い箇所を一目で視認できるのがよかった

      しかし,同一の発言に何度も付与できてしまう問題点
背景③


  プレゼンテーションなどの発表の場において,
  聴講者からの適切なフィードバックを得ることが
      表現能力の育成上必要である

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アノテートによる単語情報を活用したプレゼンテーションにおけるリアルタイム相互支援システムの提案と実装

  • 2. 背景①ーPDCAサイクル 近年,教育現場に「PDCAサイクル」が導入されている Plan(企画・計画) 従来の授業の結果や予測を元にして 教育計画を作成 Do(実施) シラバスに沿って授業を行う Check(評価) 授業の実施が計画に沿っているかどうかを確認 Act(見直し・改善) 実施において計画に沿わない部分を調査し改善 4つの項目を繰り返し行うことで能力向上を図る Checkにおいて,ActやPlanにつながる具体的な改善点が必要 2
  • 3. 背景②-プレゼンテーション プレゼンテーションとは 聴講者 発表内容を理解すること 発表者 聴講者に情報を正確に伝えること 聴講者 疑問を解消する必要がある 発表者 聴講者に合わせた発表が必要がある しかし,現状の手段では 質疑応答 ・・・ 聴講者が質問し難い アンケート ・・・ 一方向かつ時間がかかる 3
  • 4. 目的 プレゼンテーションにおける リアルタイム相互支援を行う 「アノテート」:視覚的な目印を付与する行為 利用イメージ ここがわからないのか 聴講者 ここがわからない 補足説明 発表者 アノテート表示 文字抽出 「Capturer」 アノテート付与 ※独自の簡易的手法を提案 4
  • 5. 設計方針 発 表 利用準備の簡略化 準 備 ・従来のPowerPointファイルを作成するだけ 発表者 ・ファイル選択だけの操作 発 表 理解度をリアルタイムに提示 中 聴講者 ・リアルタイムに理解していない箇所を提示できる ・単語単位の補足説明の順位づけ 発表者 ・動的な発表構成の変更ができる 聴講者 ・補足説明により発表内容の理解が深まる 発 表 発表資料やデータの参照 後 発表者 ・スライド改善の具体的箇所の把握 5
  • 6. システム構成図 PowerPoint 発表者サーバ ファイル編集 画像圧縮 ファイル選択 発表者アプリケーション PowerPointファイル 編集・保存 聴講者 ランキング 接続待ち スライド 資料 アノテート チャット 形態素解析 形態素解析 ログイン 履歴 Wikipedia サーバ 聴講者アプリケーション 発表者パソコン 聴講者パソコン 6
  • 7. デモ
  • 8. 文字抽出ー準備 文字色変更 例 形態素 色(16進数) 元画像 (Value) (Key) API 003f35 +700 In 0044ad +700 Android 004a25 +700 SDK 004f9d +700 are 005515 LinkedHashMap[]に格納 編集画像 8
  • 9. 文字抽出ー発表中の処理 ①アノテート付与 ②座標情報送信 聴講者 発表者サーバ ③色の抽出 LinkedHashMap 004a25 Key Value ③-1.全ピクセルの色の抜出 004f9d ・・・ ・・・ ③-2.色の重複を排除 08502c 0855a0 0044ad In ③-3.色のソート(昇順) 105533 004a25 Android ③-4.色から探索 105aa3 004f9d SDK 185b3a 005515 are 「Android SDK」を抽出 1860a6 ・・・ ・・・ ・・・ 9
  • 10. 評価 実験環境 聴講者:12人,発表:スライド18枚,約10分 50 発表準備 45 40 有効数 アノテート数 35 ・従来のPowerPointファイルを利用 30 25 無効数 準備の特別な作業が不必要 20 15 10 5 アノテート 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ・無効数の多さ スライド番号 画像判定の必要性 図1 アノテート遷移数 ・アノテートの部分について,過去のスライドに振り返り補足説明 発表の双方向性が高まって,理解度も上がった アノテートの有用性が示された 10
  • 11. まとめ 目的 プレゼンテーションにおける リアルタイム相互支援を行う 本システムの運用実験により ・理解度の低い箇所の可視化による効果 ・文字列単位による評価 本システムの有用性が示された 11
  • 12. 今後の展望 聴講者の画面サイズを考慮し,画像の圧縮比率を変更 Android 端末が利用可能 聴講者にとって視覚効果を与え, 分かりやすいアニメーション効果を用いた発表 PowerPointのスライドショーへのアノテート表示 12
  • 14. 評価実験に用いた資料編集例 文字色変更結果 ※This AROB 16th '11 (Jan.27 (Thurs.)-Jan.29(Sat.), 2011. B-Con Plaza, Beppu, Oita, JAPAN) Symposiumで発表された資料
  • 15. 関連研究 理解度を活用したアノテーションシステムによる授業支援※ 特徴 1)視覚的な生徒に理解度 2)理解できなかった単語の関連語 図2:理解度に応じた 図3:単語の関連付け 2色のマーカーによるアノテート 教 システムを利用するに当たり教材の準備(XML化)が必要 問 師 専門知識を必要とする 題 点 生 理解している部分にアノテートしなければいけない 負担が増加 徒 ※2005,石原正樹,人工知能学会先進的学習科学と工学研究会
  • 16. インタフェースー発表者 チャット表示 アノテート表示 アノテートランキング 付与回数+文字列 最新チャット表示部
  • 17. インタフェースー聴講者 アノテート履歴 付与スライド番号+ アノテート文字列 アノテート付与 クリック 各処理ボタン チャット入力 簡易反応ボタン 現在スライド番号
  • 18. 今後の展望 ”談話構造解析に基づくスライドの自動生成”※ スライド テキスト 本システムが,通常授業での使用が可能 ※2006,柴田ら,自然言語処理学会
  • 19. 比較研究 表1 比較研究表 本システム 安 顔 ア L P 聴講者の理解度状況把握 〇 〇 △ 〇 △ × リアルタイム性のある相互意思疎通 〇 〇 △ △ 〇 × 聴講者の理解度向上 〇 × × 〇 △ △ 改善点の提示 〇 △ △ × × × 安倍 寛人,”形成的評価を可能にする遠隔授業システムの提案と実装” 安 東京理科大学理工学部経営工学科卒業研究論文,2009 顔 岩井 祐太,”顔表情識別による聴講者の評価取得システムの設計と実装” 情報処理学会第72回全国大会, 2010 ア 石原ら,”理解度を活用したアノテーションシステムによる授業支援” 人工知能学会先進的学習科学と工学研究会,2005 L 西田ら,” Lock-on-Chat:複数の話題に分散した会話を促進するチャットシステム” 日本ソフトウェア科学会論文誌 コンピュータソフトウェア,2006 P PowerPoint
  • 20. 比較研究① ”形成的評価を可能にする遠隔授業システムの提案と実装※” e-learningにおいて学習者の「理解度」と「集中度」をリアルタイムに測定 教師にフィードバックを可能とするシステム ・進行の同期を取得していない 測定データの信憑性の低い ・聴講者は常にカメラで撮影されている 束縛感を受けてしまう ・発表者にとって聴講者の反応がリアルタイムに把握できない ・取得されるデータがスライド単位 詳細な分析や細かな単位での改善はできない ※安倍 寛人,東京理科大学理工学部経営工学科卒業研究論文,2009
  • 21. 比較研究② ”顔表情識別による聴講者の評価取得システムの設計と実装※” 欠点 ・顔表情を取得するために 聴講者のパソコンにカメラを必要 ・聴講者の外見や環境によっては顔表情が識別されない場合が生じる ※岩井 祐太,情報処理学会第72回全国大会, 2010
  • 22. 比較研究③ ” Lock-on-Chat:複数の話題に分散した会話を促進するチャットシステム※” 特徴 欠点 ・議論の深いところの視覚的把握 ・サブ画面での運用 進行の妨げ ・時系列の把握 ・聴講者の理解度の把握は困難 ※西田ら,日本ソフトウェア科学会論文誌 コンピュータソフトウェア,2006
  • 23.
  • 24. 評価①-第1回評価実験 環境 聴講者:12人,発表:スライド24枚,約50分 発表準備 16 14 ・画像化にPowerPointを用いる 12 有効数 アノテート数 10 8 無効数 専門知識を要しない 6 4 2 アノテート 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324 スライド番号 ・あまりアノテート数が多くなかった 図7 アノテート遷移数 過去に学会で発表された発表資料 分かり易く編集されていたため,聴講者への理解がしやすかったと考えられる ・アノテートが多い部分について,過去のスライドに振り返り補足説明 アノテートの有効性が示された
  • 25. 評価②-第1回評価実験 チャット 25 20 15 発言数 10 5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 スライド番号 図3 チャット遷移数 ・発言内容は,発表中盤や後半に発言されたものが より発表内容に近い 聴講者間で補足説明し合う場面も見られた ・チャットにおいて発表内容とは関係のない発言 ・発言の削除機能の提供 ・有害文章判定手法の採用
  • 26. 評価③-第1回評価実験 ランキング あまり使われなかった 発表者アプリケーションとは別のフレームで作成してしまった ユーザインタフェースの工夫の必要性 同意・不同意ポップアップ 聴講者 背景色の濃度を参照することで,深い議論がされているところがすぐわかった 発表者 終了後に背景色の濃いものに焦点を当てて補足説明 聴講者の理解度の低い箇所を一目で視認できるのがよかった しかし,同一の発言に何度も付与できてしまう問題点
  • 27. 背景③ プレゼンテーションなどの発表の場において, 聴講者からの適切なフィードバックを得ることが 表現能力の育成上必要である