冬期セミナーにあたっての事前匿名アンケートのまとめ
2016/10/22
文責 片岡裕貴
1. 背景
家庭医療専門医試験に際してのポートフォリオには研究が含まれている。
現状として、実際に行われている研究内容のまとめデータは存在せず、そ
の実施に当っての困難についても明らかにする資料は存在しない。
そのため、研究の実施に当って困難を感じる点を明らかにすることを目的
として、ウェブを通じた匿名アンケートを行った。
2. 方法
最初に雛形のウェブフォームを作成し、12 人の筆者の知人に回答してもら
った上上で、選択肢を若干修正した。最終的に用いたフォームは資料1参
照。
その後、facebook の「日本プライマリ・ケア連合学会 学生・研修医部
会」、「FB 家庭医/総合医会」、JPCA-ML を通じて、家庭医療後期研修実施
中の医師、および指導医にアンケート協力を依頼した。
アンケート本文に結果をまとめて公表することについて記載し、回答を持
って同意とみなした。
内容について要約統計量を用いて記述し、フリーコメントについて筆者が
重要と感じたカテゴリをカウントすることとした。
3. 結果
当初の 12 人以外に、37 人の回答協力を得て、合計 49 人であった。
回答者の属性は、家庭医療およびプライマリ・ケア指導医 24 人、研修中
14 人、プライマリ・ケア認定医および家庭医療専門医 11 人であった。
Q. あなたの研修している・修了したプログラムでは、どんな研究への支援が
ありますか?(複数選択 可)
Q. ポートフォリオに際して、あなたが実際にやろうとしている(実施した)研究はどのようなデザインで
すか?
研修中の 14 人 重複回答あり
0 10 20 30 40 50 60
研究に専念する時間
プログラムの指導医からの研究指導
プログラム外の指導者からの研究指導
臨床研究に関わる講習会の開催
二次文献(Cochrane Libraryや…
統計ソフト(Excelを含まない、…
臨床研究に使えるデータベース
研究資金の援助
各施設で既に提供されている研究リソース
あり なし
1
6
4
3
1
データベース研究 既存カルテを用いた観察研究
系統的レビュー アンケート調査
未定
Q. 研究の実施に困難を感じましたか? (あとで追加したので 36 人が分母)
感じた 33 人 感じなかった 3 人
Q. 研究の実施にあたって、どんなことに困りましたか?(複数選択 可)
その他:倫理的な問題、指導者がいない×3、研究の流れが分からない
Q. 上で「知識が足りない」と答えられた方にお聞きします。どのステップの
知識が不足していますか?(複数選択 可)
0 10 20 30 40 50 60
知識が足りない
仲間がいない
データがない
時間が足りない
困った点 選択せず
0 5 10 15 20 25 30 35
リサーチクエッションを作る
先行研究を調べて分かっていないことを
明らかにする
交絡、バイアスを考えて対処する
解析のデザインを行う
倫理的配慮
研究計画書の書き方
知識不足あり なし
Q. 研修中の医師が研究を行いやすくするためにはどんな支援があったら良いと考えますか?
0 10 20 30 40 50 60
研究に専念する時間
プログラムの指導医からの研究指導
プログラム外の指導者からの研究指導
臨床研究に関わる講習会の開催
二次文献(Cochrane Libraryや…
統計ソフト(Excelを含まない、…
臨床研究に使えるデータベース
研究資金の援助
あったほうがいい 選択せず
指導医 35 人 重複回答あり
Q. 最後に、こんな研究支援があったらありがたい、というご意見をお願いし
ます。
クリニカルクエスチョンをリサーチクエスチョンにブラッシュアップする段階
で困難を感じました。また、統計的な処理の知識がなく困惑しました。
"具体的なやり方をトレースするように研究のポートフォリオを疑似体験できる
ような教え方。
学会員、特に研修医や指導医であれば集団の割引で使える、UpToDate や
Cochrane などへのアクセス権が必須だと思います。個人では特に一次文献へ
のアクセスのハードルが高いです。
統計コンサルタントや、研究アドバイザーの仲介
二次文献のみならず一次文献へのアプローチも、大学等に所属していないと
大変だったりします。倫理委員会を通すための手続きも手探りでした。自分で
いきなり研究を主導するのでなく、他の人の研究を手伝いながらプロセスを学
べるような仕組みがあると良いと思います。
私の周りの専攻医は「自分の限られた能力と時間で何を研究に使えば良いの
か」という事例選択に悩む人が多いのですが、他の施設ではどうなのだろうと
思います。
2 2
15
22
4
2
介入研究 前向き観察研究
既存カルテを用いた観察研究 アンケート
質的研究 未実施
RQ を立てるところまでいっても、その後計画書を書き、倫理委員会に通
し、実行に移すというところにたくさんの壁があると思います。それをサポー
トしてもらえるメンター制度があるといいのではないでしょうか。
専攻医間でどんな研究をしているのかをシェアできる仕組み
指導医が研究に詳しくないとどうしてもプログラムとして研究によわくなり
ます。数年を通じて専攻医にも指導医にも研究のサポートしていただけるよう
な環境(遠隔で通じて同じ人に相談できるような)があればとっても助かりま
す。何よりも相談できる指導者が身近にいてほしい。
・家庭医療専門医申請者の研究のポートフォリオ質の現状はどうなのか
・そもそも、(研究に関して)まともなポートフォリオを提出できる資源
(主として指導医の力量、時間の確保)を備えた研修プログラムがどれだけ存
在するのか
・現状で研究のポートフォリオを課すこと自体が(上記の 2 点の現状を踏ま
えて)適切なのか、
ということから考え直す必要があると常々感じています。"
"プログラム内外に関わらずオンラインで研究ネタの相談ができる窓口。達成
へのステップ指導や近い実例も提示してくれるようなイメージ。
過去、専門研修医が実施した研究のアーカイブ。"
過去のポートフォリオでどのような研究があったかの例示など、取り掛かる
際に参考になる資料があると良いと思います。
学会ベースでの倫理委員会の支援
研究をしたことがなかったので、全て初めての経験で何もかもわからなかっ
たし、何を読めばいいのかもわからなかった。その際自分のプログラム内指導
医から、何もできていないことを叱責されて、困惑した。自分で研究指導経験
がある外部指導医と接触をとり、定期的な研究ミーティングをしていただき、
一から研究を行った。はじめての経験である場合、きちんとした指導者がつい
てくれることが一番だと感じた。
自分自身が研究がよく分らない状況で、指導について困難を感じておりま
す。研究支援のため、学会や主に研究に従事されている先生方に講習会などを
開催して頂ければありがたいです。
リサーチカンファレンステレビ会議方式でも可能
みんながどの様な研究をしているのかを学びたい"
資料1 アンケート用フェブフォーム
「研究」ポートフォリオ作成時の困難に関するアンケート
家庭医療専門医研修に、「研究」ポートフォリオが含まれていますが、実際に
どのような研究が行われているかという分析や、作成する際の困難、必要なサ
ポート体制についてのデータは存在しないのが現状です。
そのため、家庭医療専門医研修に関わる医師を対象にアンケートを実施し、研
究支援委員会からの冬期セミナーワークショップおよび今後の研究サポート体
制の構築に役立てることにしました。
率直なご意見をいただきますよう、よろしくお願いします。
<調査者からアンケートにご協力いただく皆様へ>
・対象者は家庭医療専門医研修に関わる医師すべてです
・アンケート結果は調査以外の目的で使用することはありません。
・全体の調査結果のみを公表いたします(個人が特定できるような形で公表す
ることはありません)
・参加すること、参加しないこといずれの場合にも不利益はありません。
【調査実施者連絡先】
日本プライマリ・ケア連合学会研究支援委員会
兵庫県立尼崎総合医療センター
片岡裕貴
06-6480-7000
youkiti(あっと)gmail.com
あなたの属性は?(複数選択 可)
家庭医療専門医研修中
家庭医療専門医のみを持っている
家庭医療指導医を持っている
家庭医療以外の専門医を持っている
プライマリ・ケア認定医を持っている
その他...
あなたの研修している・修了したプログラムでは、どんな研究への支援があり
ますか?(複数選択 可)*
指導医の先生は、現在ご自身が所属しているプログラムについてお答えくださ
い。
研究に専念する時間
プログラムの指導医からの研究指導
プログラム外の指導者からの研究指導
臨床研究に関わる講習会の開催
二次文献(Cochrane Library や UpToDate など)を利用できる環境
統計ソフト(Excel を含まない、STATA や JMP など)の提供
臨床研究に使えるデータベース
研究資金の援助
その他...
ポートフォリオに際して、あなたが実際にやろうとしている(実施した)研究
はどのようなデザインですか?
質的研究(インタビューやアンケートの文字データから理論を作る)
アクセスが容易な対象者へのアンケート調査
既存のカルテデータを用いた量的観察研究
介入研究(保健指導の効果を検証するようなタイプの研究)
系統的レビュー
その他...
研究の実施に困難を感じましたか*
感じた
感じなかった
研究の実施にあたって、どんなことに困りましたか?(複数選択 可)*
知識が足りない
仲間がいない
データがない
時間が足りない
その他...
上で「知識が足りない」と答えられた方にお聞きします。どのステップの知識
が不足していますか?(複数選択 可)
リサーチクエッションを作る
先行研究を調べて分かっていないことを明らかにする
交絡、バイアスを考えて対処する
解析のデザインを行う
倫理的配慮
研究計画書の書き方
その他...
研修中の医師が研究を行いやすくするためにはどんな支援があったら良いと考
えますか?(複数選択 可)*
研究に専念する時間
プログラムの指導医からの研究指導
プログラム外の指導者からの研究指導
臨床研究に関わる講習会の開催
二次文献(Cochrane Library や UpToDate など)を利用できる環境
統計ソフト(Excel を含まない、STATA や JMP など)の提供
臨床研究に使えるデータベース
研究資金の援助
その他...
最後に、こんな研究支援があったらありがたい、というご意見をお願いしま
す。
記述式テキスト(長文回答)

冬期セミナーWS19臨床研究事前匿名化アンケートのまとめ