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けんみん会議 政治教育調査報告vol.1
国民投票と教育現場
2018年7月
けんみん会議
1
© けんみん会議 2
summary
⚫ 35%の教員が、憲法改正国民投票(以下、国民
投票)について、国政選挙などの公職の選挙と同
じルールで実施されると認識している
⚫ 公職における選挙では禁止されるが、国民投票で
は可能になる活動の中で最もそのことが知られて
いないのは、「戸別訪問」と「20時以降の屋外
での活動」。18歳未満の者の投票運動が可能で
あることは約3割の教員に認知されている
⚫ 回答した教員の内、半数は国民投票の実施が決
まったとしても不都合が生じないと回答している
© けんみん会議 3
設問1
国民投票運動は、国政選挙と同じルールで
行われる
0 2 4 6 8 10
いいえ
はい 35.7%
64.3%
© けんみん会議 4
設問2
選択肢に挙げた行動例の中で、日本国民が国民投
票運動で実施できると思うもの(該当するものを
すべて選択)
0 2 4 6 8
戸別訪問
20時以降の屋外での活動
電子メールも含むインター
ネットでの活動
自由にビラやポスターを作成し、
印刷、配布、掲示すること
18歳未満の人の国民投票
運動への参加
いずれも行うことはできない
認められていることを
知っている人は21.4%
認められていること
を知っている人は
28.6%
© けんみん会議 5
設問3
国民投票の実施が決まった場合、貴校では
何らかの不都合が生じると思う
0 2 4 6 8
わからない
不都合が生じない
不都合が生じる 14.3%
35.7%
50.0%
© けんみん会議 6
不都合が招じる場合の具体例(自由記述)
⚫ このような教育を積極的にはしないように、という校長の圧力。外国
籍の生徒がいる中での解説の難しさ。
⚫ そもそも政治的な感心が低いので、あまり議論にならないだろう。教
員も政治的中立性が曖昧なため、忖度してしまう。
⚫ 憲法そのものの議論ではなく、支持政党を広報する場になる可能性が
ある。
⚫ 自分の主張を大いに述べることによる対立…まではなさそうな気がす
る。政党や宗教に強く支持している生徒が、まわりを強引に巻き込む
ことがあるかもしれない。
⚫ 政治的中立は一定必要だろうから、大きな問題が起きるとも思えない。
⚫ 賛成、反対どちらの意見にしても運動を推進する人は自分の側に取り
入れるために、自分の側に関して否定的な論は絶対に出さないと思う
が、18歳未満の人がその裏に隠されている部分まで察することはで
きないと思われます。
© けんみん会議 7
設問4
国民投票運動に関する規制について、現在
の様な自由な状況を望ましいと思いますか
0 2 4 6 8
わからない
どちらともいえない
現状は望ましい 21.4%
50.0%
28.6%
© けんみん会議 8
国民投票に関する規制について望むこと(自由記述)
⚫ どういうことが論点で、どういう考え方はしてはいけないか、教師にまずわか
りやすく解説した書き物が欲しい。
⚫ 自由は不自由でもある。公正なルールづくりが不可欠。結局、なんとなく現政
権の思惑に動いてしまうようにメディアも国民も流れてしまうのかもしれない
と思うと、怖い。
⚫ 議論が活発化されることは望ましいが、正しい理解に基づいた議論になるのか
懸念されるため、立憲政治についてなど「そもそも論」が話し合われると良い
と思います。
⚫ 変なアンケート結果が勝手に発表されるのは困りますね。規制もできないので
しょうが。
⚫ 国政選挙と同様に規制をすべきではないかと思われます。
⚫ 活動ができるという大前提を、私自身が恥ずかしながら知らなかったので、周
知が必要かと思います。 活発な議論を。
⚫ 広告CMの賛成派反対派の情報量のバランスをとる 上記以外の規制はしない
で良いと思います
⚫ 個人的な意見であるが、憲法改正につながる国民投票の実施は慎重な立場であ
る。同時に、日本国憲法の素晴らしい理念を市民に訴えるチャンスでもある。
© けんみん会議 9
⚫ 調査主体: けんみん会議
〔http://citizenship-edu.strikingly.com/〕
⚫ 調査実施時期:2018年2月
⚫ 調査対象:高校で社会系科目を担当する
14名
(勤務先は8都府県に所在)
調査概要

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けんみん会議_政治教育調査報告vol1_国民投票

  • 2. © けんみん会議 2 summary ⚫ 35%の教員が、憲法改正国民投票(以下、国民 投票)について、国政選挙などの公職の選挙と同 じルールで実施されると認識している ⚫ 公職における選挙では禁止されるが、国民投票で は可能になる活動の中で最もそのことが知られて いないのは、「戸別訪問」と「20時以降の屋外 での活動」。18歳未満の者の投票運動が可能で あることは約3割の教員に認知されている ⚫ 回答した教員の内、半数は国民投票の実施が決 まったとしても不都合が生じないと回答している
  • 4. © けんみん会議 4 設問2 選択肢に挙げた行動例の中で、日本国民が国民投 票運動で実施できると思うもの(該当するものを すべて選択) 0 2 4 6 8 戸別訪問 20時以降の屋外での活動 電子メールも含むインター ネットでの活動 自由にビラやポスターを作成し、 印刷、配布、掲示すること 18歳未満の人の国民投票 運動への参加 いずれも行うことはできない 認められていることを 知っている人は21.4% 認められていること を知っている人は 28.6%
  • 5. © けんみん会議 5 設問3 国民投票の実施が決まった場合、貴校では 何らかの不都合が生じると思う 0 2 4 6 8 わからない 不都合が生じない 不都合が生じる 14.3% 35.7% 50.0%
  • 6. © けんみん会議 6 不都合が招じる場合の具体例(自由記述) ⚫ このような教育を積極的にはしないように、という校長の圧力。外国 籍の生徒がいる中での解説の難しさ。 ⚫ そもそも政治的な感心が低いので、あまり議論にならないだろう。教 員も政治的中立性が曖昧なため、忖度してしまう。 ⚫ 憲法そのものの議論ではなく、支持政党を広報する場になる可能性が ある。 ⚫ 自分の主張を大いに述べることによる対立…まではなさそうな気がす る。政党や宗教に強く支持している生徒が、まわりを強引に巻き込む ことがあるかもしれない。 ⚫ 政治的中立は一定必要だろうから、大きな問題が起きるとも思えない。 ⚫ 賛成、反対どちらの意見にしても運動を推進する人は自分の側に取り 入れるために、自分の側に関して否定的な論は絶対に出さないと思う が、18歳未満の人がその裏に隠されている部分まで察することはで きないと思われます。
  • 7. © けんみん会議 7 設問4 国民投票運動に関する規制について、現在 の様な自由な状況を望ましいと思いますか 0 2 4 6 8 わからない どちらともいえない 現状は望ましい 21.4% 50.0% 28.6%
  • 8. © けんみん会議 8 国民投票に関する規制について望むこと(自由記述) ⚫ どういうことが論点で、どういう考え方はしてはいけないか、教師にまずわか りやすく解説した書き物が欲しい。 ⚫ 自由は不自由でもある。公正なルールづくりが不可欠。結局、なんとなく現政 権の思惑に動いてしまうようにメディアも国民も流れてしまうのかもしれない と思うと、怖い。 ⚫ 議論が活発化されることは望ましいが、正しい理解に基づいた議論になるのか 懸念されるため、立憲政治についてなど「そもそも論」が話し合われると良い と思います。 ⚫ 変なアンケート結果が勝手に発表されるのは困りますね。規制もできないので しょうが。 ⚫ 国政選挙と同様に規制をすべきではないかと思われます。 ⚫ 活動ができるという大前提を、私自身が恥ずかしながら知らなかったので、周 知が必要かと思います。 活発な議論を。 ⚫ 広告CMの賛成派反対派の情報量のバランスをとる 上記以外の規制はしない で良いと思います ⚫ 個人的な意見であるが、憲法改正につながる国民投票の実施は慎重な立場であ る。同時に、日本国憲法の素晴らしい理念を市民に訴えるチャンスでもある。
  • 9. © けんみん会議 9 ⚫ 調査主体: けんみん会議 〔http://citizenship-edu.strikingly.com/〕 ⚫ 調査実施時期:2018年2月 ⚫ 調査対象:高校で社会系科目を担当する 14名 (勤務先は8都府県に所在) 調査概要