2016年に公開した「自助・共助・公助トランプゲーム」の更新版です。ゲームバランスを維持しながら、より実践的な体験ができるような条件設定を追加しました。 スライドのルールはあくまで一例ですので、いろいろアイデアを加えてオリジナルのプログラムにしていただければと思います。

1. 自助・共助・公助体験
トランプゲーム

2. この教材について
本教材は防災や災害対応の基本である「自助・共助・公助」
について体験的に理解することを目的としています。
ルールはシンプルで、使う教材も１００円ショップで購入可
能なトランプのみです。所要時間も少なく、防災研修等の導入
やアイスブレイクでも活用できます。
本資料に記載したルールは一例です。いろいろなアイデア
を加えて実践してみてください。
２０１６年１１月公開
２０２３年０７月更新

3. トランプ ５箱分 ※１箱はカード５２枚＋ジョーカー
① 全ての箱からトランプを取り出し、シャッフルします。
② シャッフルした状態で、ランダムに箱に戻します。
③ それぞれの箱からカードを１枚※抜いておきます。
※ジョーカー以外を抜いてください。
事前の準備（２～３０人程度を対象、１班３～５人程度）

4. ゲームのルール ①役割分担・班編成
このゲームには大きく２つの役割（班）があります。
行政職員班： 災害対応にあたる市区町村職員役【公助】
住民班： 自治会、町内会、集合住宅、隣近所等【自助・共助】
基本ルールでは
行政職員班 １班（３～５名）
住民班 ５班（各３～５名） で行います。

5. ゲームのルール ②文具、トランプ等の配布
それぞれの班に以下を配布、準備します。
行政職員班： A4用紙数枚、筆記具
住 民 班： トランプ１箱だけ ※筆記具は使用禁止
① 箱からカードを出し、ひとりひとりに均等に配布
(例:５人なら1人10枚,3人なら17枚)します。
配られた手札は裏にして束で手元に置きます。
手札は開始時間まで表にしないでください。
② 余りは表にして机に置いてください。

6. ゲームのルール ③役割ごとの目標、トランプの想定
それぞれの役割の目標は次のとおりです。
行政職員班： 住民が元の生活に戻る支援をする【公助】
住民班： 被害状況を把握し助け合いつつ、元の生活に戻る
【自助・共助】
トランプ： 各地域（班）の生活状況を示しています。
＜バラバラ→被災直後、正しい順番→元の生活>

7. ゲームのルール ④ゲームのシナリオ
このゲームでは「被災直後の混乱した状況から、日常の生活に
戻っていく過程をトランプの並び順で再現」しています。
＜状況＞
・ 強い地震が発生し、地域で大きな被害が出ています。
・ 住民１人１人の生活に大きな影響が出ていますが、影響
の大きさは個人、地域によって異なります。
・ いち早く状況を確認し(自助)、近くの人と助け合い(共助)、
行政の支援(公助)も受けながら、生活を元に戻していく
必要があります。

8. ゲームのルール ⑤ゲームの進め方、条件
・ゲームの目的は、制限時間【10分】内に生活を元に戻すこと、
つまり「全てのトランプを正しい順番※で箱に戻す」ことです。
※正しい順番は次ページ参照
・ただし、災害時の「自助・共助・公助」をイメージしやすくする
ため、いくつかの条件を設定します。
・条件を理解し、守ったうえでゲームに取り組んでください。
（ルール違反があった場合はその時点で失敗となります）

9. ★トランプの正しい並べ方（覚える！！）★
… … … …
トランプの正しい並べ方（元の生活への戻し方）は、次の通りです。
♣の2を一番上に、♠のAが一番下になるよう重ねてください。
上
下
【下】♠A,K(13),Q(12),J(11),10...2,♥A,K,Q...2◆A,K,Q,J,10...♣A,K,Q,J,10....2【上】
ゲームマスター(講師)が数枚、カードを抜いています。
不足しているカードは「ジョーカー」で埋めてください。

10. ゲームのルール ⑥ゲームの進め方、条件
• 住民班は開始から1分間、会話ができません。自分の手元
のカードを調べる、並べる、他の人のカードを見ることは
できます。【自助の時間】
• 1分経過したら、住民班は会話と移動を許可します。班内、
他班と話し合いながら進めます。【共助の時間】
• 行政職員班は、開始２分経過するまで他の班へ行く、話を
聞くことができません（班内で話し合いは可)。２分経過後、
移動や会話ができます。【公助の時間】

11. ４． カードの移動は誰でもできますが、一度に持って移動でき
るのは「１人１枚」だけです（一度にたくさん持って移動す
るのはNG）。
5. 移動した先でカードをもらって帰ることはできません。
(必要なカードを他の班から持ってきてもらうよう、依頼
することはできる）
6. 大きな声で全体への指示(例：♥の3がA班に１枚必要
です!等)ができるのは行政職員だけです。
住民は移動した際の目視または会話しかできません。
ゲームのルール ⑦ゲームの進め方、条件

14. ゲームのまとめ・解説
★トランプの並び替えルールを覚えていましたか。
→ 知識や経験が率先行動、リーダーシップにつながる
★行政職員班の人はどんな行動をしていましたか。
→ 公助は重要だが発災直後の行動は困難、まず自助・共助から
★自分や自班のカードをすぐに整理できましたか。
→ 個人・家庭・地域や学校等の状況把握が必要
★余分なカードや足りないカードはどうしましたか。
→ 共助やコミュニケーションの大切さ
★他の班の状況はどうやって知る・伝えることができましたか。
→ 行政に要望するだけでなく、情報提供や支援に協力する

15. 危機管理・災害対応の原則
① 疑わしい時は行動せよ
② 最悪事態を想定して行動せよ
③ 空振りは許されるが見逃しは許されない
-プロアクティブの原則-
「最悪の事態（ゲームでは「詰み（カードが揃わない)」や時間切れ、実際
では被害の拡大等)」を防ぐためには、ひとりひとりの積極的な行動と、
助け合い、適切な公的支援が欠かせません。

16. チェックポイント 自助：まず落ち着く(茫然自失から抜け出す)
周囲の安全を確認する
消火、応急処置、避難行動をとる
災害情報を確認する
自分・家族に必要な物を用意する
共助：隣近所、支援者と助け合う
災害情報を共有する
公助：すぐには行政も対応できない
指示やルールがあればきちんと守る
記録や写真を残しておく
窓口で公的支援の手続きをする
（り災、被災証明書の発行等）

17. 自助・共助・公助体験トランプゲーム
対象：小中学生～一般まで
人数：数名～何名でも ※５０名を超えると難易度が上がります
経費：数百円～ ※トランプは１００円ショップの物でも可
内容：自助、共助、公助の必要性や役割を体験的に学ぶ
※本スライドの編集、再配布等は自由です。事前申請や報告も
不要です。
作成：災害支援・防災教育コーディネーター／社会福祉士 宮﨑賢哉