博士課程のときの内輪の勉強会向け資料。初学者向けに簡単にまとめた。 前半はどのような物理的な影響が吸収や発光スペクトルに影響を与えてるか，後半は当時力を入れていたスペクトル解析の理論的な話。

1. 畑遼介

3. まとめ
一重項状態
三重項状態
化学反応
化学反応
格子振動による緩和
非輻射遷移
スピン軌道相互作用による
内部変換
輻射遷移
光励起

4. 物質の光励起
核の再配置とフォノン緩和
エネルギー
核の位置
励起状態
singlet <-> triplet
の内部変換

5. 励起状態-スピン一重項と三重項-
一重項状態 (singlet)
エネルギー高
三重項状態 (triplet)
エネルギー低
光励起

6. 内部変換-一重項から三重項へ-
外力が加わらなければ変換しない
核 核
電子が静止した座標系
円電流が右ねじの法則で磁場を作り、電子スピンと相互作用する。
重い原子の方が大きな磁場となる。
個体中でも原則は同じ。(Maxwell方程式より）

7. 核の再配置とフォノン緩和
基底状態と励起状態で安定する(低いエネルギー)核位置は異なる
エネルギー
核の位置
安定な核配置になる時間は
光励起に比べて十分遅いので
基底状態と同じ核配置で
励起状態となる(縦に遷移する）
振動準位の緩和によって、
励起状態の最低ネルギーに
近づく。

8. 再配置の影響
吸収と発光スペクトル
発光は吸収に比べて
レッドシフトする
http://windofweef.jp/library/energy/oe/oe01.html
エネルギーダイアグラム
https://en.wikipedia.org/wiki/Franck%E2%80%93Condon_principle

9. まとめ
一重項状態
三重項状態
化学反応
化学反応
格子振動による緩和
非輻射遷移
スピン軌道相互作用による
内部変換
輻射遷移
光励起

11. 電磁波=電子の振動
適当な振動子の結合系を考える
それぞれ異なった共鳴振動数を持っている
これを外部から適当に揺らすと、それぞれの固有振動数で振動する
電子が揺れ(分極)の振動数も決まっているため、
これを観測すれば、どんなエネルギーを持っているのか観測が可能

12. 理論的な解析はどうするか？
適当な周期信号
どんな信号の重ねあわせか判断する
→フーリエ変換

13. 信号のフーリエ変換は何？
ただし、先ほどのような信号はそのままフーリエ変換できない
信号(電場)のフーリエ変換の絶対値の二乗をパワースペクトル密度
と定義している。単位時間あたりに、ある周波数ωに光子が
どの程度あるのかの統計的な量を表している。
と対応している。
電場を想定した場合、観測量は強度（単位時間当りのフォトン数）

14. 何をフーリエ変換する？
フーリエ変換可能な関数は、絶対二乗積分が有限に収束する
このような周期関数はx->∞で
有限の値を持つために、
フーリエ変換が発散する。
このような信号を定常過程と呼び、これらの場合は自己相関関数と
呼ばれるものをフーリエ変換することで、スペクトルを導出

15. 定常過程の自己相関関数
ある信号が時間τだけずれたときに自分とどれだけ同じであるか表す
信号にノイズが混じっている時にも、周期性が露わに現れるため便利
性質：時間差がないときに最大値を持つ。
時間差が大きくなるにつれて、値が小さくなる。
これをフーリエ変換することで、信号のパワースペクトル密度を得る
(ウィナー・ヒンチンの定理）

16. まとめ
電子の振動による電場（発光スペクトル）は、振動子が結合した系
に外力を加えた場合に対応している。
この場合、連続光を想定する限り自己相関関数を利用して計算する。
※簡単のために端折ってる部分があるので詳しく知りたければまた。
電子励起した場合の電子のダイナミクスを簡単にまとめた。
※電子のみに着目したため、正孔と電子の結合による励起子は無視。
singlet <-> triplet はスピン軌道相互作用
発光と吸収が対象的なのはフォノンバンドの影響