「環境人材」育成を通じた新たな企業価値の創出2017年12月8日
森澤 充世
CDP事務局ジャパンディレクター・ PRI事務局ジャパンヘッド
企業経営に対する投資家の視点の変化
~国際的な動向を中心として ~
行動の必要性
Page 2
世界経済フォーラム(World Economic Forum)影響の大きいグローバルリスク
3
1.大量破壊兵器
2.異常気象
3.水の危機
4.自然災害
5.気候変動への対策
と適応の失敗
気
候
変
動
や
水
、
関
連
す
る
異
常
気
象
や
自
然
災
害
は
、
経
済
を
脅
か
す
「リ
ス
ク
」で
あ
る
。
出典:World Economic Forum, “Global Risks report 2017 “
2015年、世界的な2つの目標設定
• 9月、国連で採択
• 2016~2030年をカバーする17の目標と169項目の具体
的な達成基準(貧困、環境、水、ジェンダー等)
持続可能な開発目標
(Sustainable Development Goals; SDGs)
• 12月、COP21で合意
• 気温上昇2℃未満、1.5℃までにする努力をすること。
• 今世紀後半にはカーボンニュートラル(純排出ゼロ)を
達成すること。
パリ協定
4
5
17ゴール169ターゲット
持続可能な開発目標(SDGs)
6
2015年9月に持続可能な開発のための2030アジェンダが採択された。
一連の持続可能な開発目標(SDGs)が含まれている。17ゴール169ターゲット
• 小規模企業から多国籍企業、民間部門が新アジェンダの実施における役割
を有することを認知する。
• 民間企業の活動・投資・イノベーションは、生産性及び包摂的な経済成長と
雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である。
• 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、
持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
SDGs - 民間セクターの役割が重要
持続可能な開発目標(SDGs)
7
パリ協定 -世界の平均気温上昇を2度未満に
対策をとらないケース
⇒産業革命前と比べて温度5℃程度上昇
気産業革命前と比べて
温度上昇2℃未満
2100年の気温上昇(IPCC第5次評価報告書)
既に産業革命前からこれまでには、0.85℃程度上昇
目標を達成するには、
✓ 2010年比で2050年までに41~72%の排出削減が必要。
✓ つまり、1年の排出量を、最近の水準から半分以下にしなくては、
2℃以内に温度上昇が抑えられない可能性が高い
機関投資家が長期的に投資
することを促進する枠組み
投資の意思決定プロセスに、
環境、社会、企業統治(ESG)
問題を考慮に入れることで価
値を変える原動力となる
原則に賛同署名する機関は
世界で1700を超え、その
運用資産は68兆ドル以上
国連が支援する取り組み
責任投資原則(PRI) は
国連グローバルコンパクト2000年7月26日
1999年世界経済フォーラムでコフィーアナン当時の国連事務総
長が企業に対して提唱したイニシアチブ。 人権、労働、環境、腐
敗防止の4分野10原則
国連環境計画(UNEP)1972年国連人間環境会議(ストックホル
ム)の決議で地球環境問題に取り組む国連の中核機関として設
立
国連環境計画金融イニシアチブ(UNEPFI)1992年に、
1972年の ストックホルム国連人間環境会議で採択された
「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として国
連の補助機関として設立。銀行・証券会社が参加
PRI発足時の国連関連についての整理
「機関投資家として、受益者の長期的利益を最大化する為に働く
義務がある。
この受託者責任において環境、社会、そしてコーポレートガバナン
スに関するESG事項が、時期によってその程度には差異があるが
、企業、セクター、地域、資産クラス、そして投資ポートフォリオの
パフォーマンスに影響を及ぼせると考える。
そして、これらの原則を実践することで、投資家が社会全体のた
めに貢献できると認識している。」
出発点 - 投資信念
企業の財務情報+企業のESG情報(=将来財務情報)
から企業の持続性や成長を判断
ESGの統合
メインストリームになるESG情報
マテリアリティ(重要性)は動的な概念で進化する。法律や政策
の変化、リスクに関する変化、社会の期待と規範の変化
エンゲージメント
投資先の企業行動ついて改善提案
潜在的なリターン向上の可能性、リスクの削減
長期の視点からの投資
アセットオーナーの投資ポリシーが重要
責任投資原則(PRI):六つの原則
1. ESG事項を投資分析と意思決定プロセ
スに組み込みます
2. 積極的な所有者となり、所有方針と所有
慣習にESG事項を組み込みます
3. 投資対象の主体にESG事項の適切な情
報開示を求めます
4. 投資運用業界の中で、責任投資原則が
受け入れられ実行される事を促進します
5. 責任投資原則を実行する際の効果を高
めるため協働します
6. 責任投資原則の実行に関して活動や進
捗の状況を報告します
インテグレーション
エンゲージメント
ディスクロージャー
協 働
レポーティング
13
* As of 1 April 2017
PRI署名機関数の変遷 (2017年4月時点)
More than 1800 investors worldwide• Have adopted the principles for responsible investment
14
Asia
(ex. Japan):
61 (+22)
Africa & ME:
75 (+4)
*As of 30 September 2017
** Net new signatories over 12 months
US:
344 (+62)
Canada:
97 (+13)
LATAM:
60 (+5)
DACH:
147 (+3)
Benelux:
134 (+13)
UK & Ireland:
276 (+31)
Nordic/CEE/CIS:
174 (+31)
France &
S. Europe:
238 (+4)
Australia & NZ:
149 (+18)
Japan:
59 (+11)
PRI署名機関数
日本の投資家、市場で生じている状況
• スチュワードシップコード策定・コーポレートガバナンスコード策定
• アセットオーナーのPRI署名増加
2014年2月 スチュワードシップコード日本版制定(2017年5月改訂)
2015年3月 コーポレートガバナンスコード原案公表
2017年11月 日本取引所グループのサステナブル証券取引所参加表明
• 日本のPRI署名アセットオーナー(資産保有者)の変遷
11AOの増加: 5生保、1損保、2年金基金、1大学、1開発銀行、 1福祉金融機関
日本での責任投資参加者の増加
• 日本のアセットオーナーの増加に伴って、日本市場でのESG投資拡大
• その1:日系資産運用会社、サービスプロバイダーの署名増加
日本の署名機関数59機関 (2017年10月31日時点)
• その2:国際署名機関の日本支店新規開設、及び担当者増加
アジアの拠点を東京にする欧米の機関投資家が急増
20
インベストメントチェーン
アセット
オーナー 運用会社 企業受益者 従業員
株主行動
指示 株主行動
年金基金
保険会社
運用会社
信託銀行
受託者責任
21世紀の受託者責任
2005年:フレッシュフィールドレポート
「財務パフォーマンスの予測信頼性を高めるために投資分析においてESG問
題を考慮することは、いずれの国においても許容されることであり、議論の
余地はあるものの、むしろ要請されるべきことである」
2015年:21世紀の受託者責任レポート
受託者責任とサステナビリティ(持続可能性)の関連性について議論
8か国で調査
「重要なESG課題を考慮しないことは受託者責任への違反になり得る」
受託者責任は、他人の資金を管理・運用するものが自らの利益ではなく受益者の
利益のために行動することを保証するために存在する。忠実性・慎重性
企業
■ 取締役会の組織
■ 社外取締役
■ サイバーリスク
■ 租税回避
■ 会計 / 監査
■ 企業倫理
■ 利益相反
ファンド
■ ファンドのガバナンス
■ 諮問委員会の権力および構成
■ バリュエーションの問題
■ 自由な構造
E: 環境
■ 気候変動
■ 環境政策
■ 水
■ 森林破壊
■ パームオイル
■メタンガス
S: 社会
■ 人権
■ サプライチェーン管理
■ 安全衛生
■ 製品の安全性
■ 労使関係
■ コミュニティ/
ステークホルダーとの関係
G: ガバナンス
ESG要因の例
ESGは価値を創造する
企業評価にESG要因を使用する背景の理解
ESGが、なぜ重要なのか
リスクマネジメント, リターンの向上, 受託者責任の全う
パフォーマンス
フィランソロピーではない
「長期にわたり良好なコーポレートガバナンスの
会社になり、ガバナンスが弱い会社を縮小させる
ことには、統計的に有意なポジティブ収益がある」
イェール経営学科
リターン
リターン犠牲ではない
「持続可能性の高い企業は、低い会社と比較し
て劇的に時価(株式市場)・簿価(会計)ともに
アウトパフォームしている。」
ハーバードビジネススクール
「ESG分析は、全ての真剣な投資家の投
資プロセスと、全ての株主価値を考慮す
る企業の企業戦略に組み込まれるべき
だと考えている。
ドイツ銀行
多様なアプローチ
非倫理的な投資を排除するだけではない
リスク マネジメント
受託者責任違反ではない
「ESG要因と財務実績との関連性がますま
す認識されつつある。 ESGへの考慮を投
資分析に統合することで、財務実績をより
確実に予測できるようになり、すべての地
域で必要とされている」
フレッシュフィールズ法律事務所
ESG要因を経済分析に統合する理由
経済分析
経済成長は環境資源入手に左右される
各国の環境法が整備され、汚染者負担原則、予防原則の導入で外部要因を内部化
人権や労働基準に対する国際的なコンセンサスが形成されつつある
経済成長トレンドはどのくらい持続可能か?
長期的な経済成長見通しにはESGの制約が反映されているか?
その国の環境法はどの程度強力かつ先進的か?
政府は土地や水資源の利用をどのように規制しているか?
人口動態トレンドはどうか?
その国には人権を保護する法制度はあるのか?
犯罪率は改善しているか?
どのようなインフラストラクチャに投資されているか?
教育や医療は改善しているか?
出所:PRI統合分析
業界分析
電力業界:気候変動、再生可能エネルギー
自動車:排出量規制と機会
▪ 業界は具体的にどのようなESGリスクと機会に直面しているか?
▪ 急速に変化する消費者の嗜好をモニターするにはどうすればいいか?
▪ 法律や規制の変更をモニターする最善の方法は何か?
ESG要因の特定
出所:PRI統合分析
企業戦略
ESG問題をセクターのファンダメンタルズや財務に関連付ける
・セクター
・マテリアリティ
・主要な財務指標
・環境及び社会的な問題が、マテリアリティや財務に影響する可能性
・ガバナンス問題は、マテリアリティや財務に影響する可能性
▪ 企業は活動する経済や業界のESG要因を認識しているか?
▪ 企業の報告では、将来のESGリスクの概要を示し、戦略にはリスクが考慮され
ているか?
▪ 現在および潜在的な営業ライセンス、サプライチェーンのボトルネックに関連し、
企業はどのような対応をしているか?
出所:PRI統合分析
財務報告書
▪ 企業の利益成長の持続力
▪ ESGトレンドが企業の主要市場に影響を及ぼす可能性
▪ どのような法制または規制の変更が予想されるか
▪ 資源の利用と処理の観点から、企業の主要市場の持続可能性
▪ 消費者の嗜好や社会トレンドの観点から、企業の主要市場の持続可能性
費用:ESG要因は、原材料、人件費、R&D コストに影響を与える
売上高の成長は、販売数量または価格の増加
消費者の嗜好や社会のトレンドは新しい市場の創出、既存市場の成長に繋がる
出所:PRI統合分析
パリ協定
企業の低炭素経済での経営戦略
策定の重要性
26
気候変動の長期目標
パリ協定採択
新枠組み発足
世界全体の
排出量ゼロ
17 SDGs
目標達成
取締役会の中での気候変動の位置づけ
98%の企業では、現在、気候変
動に関して取締役レベルでのマ
ネジメントが行われている。
90%の企業では、自社の気候
変動目標を達成するため、金銭
的なインセンティブを導入。
 96%の企業が、現在、気候問題
に関する政策立案者とのエンゲー
ジメントを行っていると報告。
Page 27
28
2℃目標のための科学的根拠に
基づく排出削減目標を設定する
カーボン・プライシングを導入す
る
購入電力100%を再生可能エネ
ルギーにする
気候変動政策と責任ある協働を
行う
メインストリームの財務報告書で
気候変動について報告する
2020年までにサプライチェーンからコモディ
ティ由来の森林破壊をなくす
短寿命気候汚染物質(SLCP)を削減する
エネルギー生産性の改善
水のセキュリティを改善する
持続可能な燃料の市場を成長させる
電気自動車利用と充電設備を拡大する
We Mean Business: 企業のリーダーシップを促進
企業版2℃目標 Science Based Targetsとは?
Page 29
IPCC
2℃シナリオ
(サイエンス)
各業界・各企業がどれだけ削減すべきか
認定
30
RE100(再生可能エネルギー100%とする宣言)
31
2020年までにサプライチェーンから コモディティ由来の森林破壊をなくす
1.調達プロセスの向上
3.進捗の確認4.協働
5.レビュー
32
2.サプライヤーへの期
待についてコミュニケー
ション
• 全世界で54社がコミット(日本企業:花王)
• 2020年までに、木材・パーム・畜牛・大豆由来の自社に関連するサプライチェーンの森林破壊を
ゼロにする。
• 責任投資原則(PRI)とセリーズ(CERES)
• 2017年9月、企業の森林伐採への関与を食い止める協働エンゲージメント
「Investor Initiative for Sustainable Forests」を立ち上げ
【企業に求めること】
関連するコモディティの調達やマテリアリティ、サプライチェーンの透明性と情報開示の質
を高める。
サプライチェーン全体に渡って森林破壊ゼロ、人権侵害ゼロにコミットする
サプライチェーンを通して、サプライヤーの認証やトレーサビリティの確保に取り組む
基準策定やポリシー、認証制度、森林破壊ゼロのサプライチェーンを促進するような協
働の活動に参加する 33
投資家の最新動向
なぜ協働エンゲージメント?
情報共有
重複の回避
リソース
正統性
の向上
影響力
の増加
調査、人財、時間
投資家・企業側双方に
とりメリット
より多くのシェア
=パワー
海外マーケット、
新しい機会
ビジョン:
環境や社会全体に恩恵をもたらすコラボレーション(連携)
を通じて、持続可能で長期的な価値の創造を促進すること
目的:
リソースを出し合い、情報の共有を行い、影響力を強化し、
そして上場企業、政策立案者、その他ESG課題の投資バ
リューチェーンにおける関係者と連携を行うための非公開
の討論の場をPRI署名機関に提供するもの
コラボレーション・プラットフォーム
協働エンゲージメントの取り組みにおけるグローバルプラットフォーム
4
36
予定されている
エンゲージメント
現在参加可能
継続中
エンゲージメント
• Climate Action 100+
• サイバーセキュリティ
• 法人税の責任
• TCFD提言に沿った開示促進 (2018年初め)
• 石油および天然ガスからの移行(2018年初め)
• 腐敗・汚職防止(2018年初め)
• 持続可能なパーム油
• メタン
• 採掘業における人権
• 農業サプライチェーンでの労働環境
* As at October 1 2017
For more information contact collaborations@unpri.org
• 水リスク フェーズ 2 (2018年初め)
ESG エンゲージメント
PRIがコーディネートしているエンゲージメント
• 森林破壊
•2017年の新たな動き:ファンドの格付け
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投資家に向けた新たな取り組み
クライメトリクス:投資ファンドの格付け
• 2017年~
• 欧州の約3000の株式ファンドの環境影響を
評価。(世界初)
• 葉っぱの数1~5で表示。
• 初年度は、好評価のみ公開。
Page 38
評価は、株式保有の“企業スコア”と“ファンド管理スコア”
Page 39
アセット管理者の
評価, 10%
ファンド投資方
針の評価, 5%
保有株の企業ス
コア, 85%
クライメトリクス評価のウェイト構成
排出原単位ス
コア
25%
気候変動
管理スコア
25%
燃料・技術
スコア*
50%
クライメトリクス
企業スコア
企業スコアは、排出原単位やCDP評価より算出
ファンドを、保有株の企業スコア(85%)と、
アセット管理者のあり方(10%)、
ファンド投資方針のあり方(5%)で評価。
•2018年質問書からの改訂
~Reimagining Disclosure~
なぜ、大幅改訂?
Page 41
2017年6月TCFD最終提言
気候関連財務情報開示タスクフォース
G20
FSB(金融安定理事会)
2015.4 G20金融大臣・中央銀行総裁からの依頼「気候変動による金融安定性への影響」
2015.11 タスクフォースの設置を提案2016年12月ドラフト~2017.6パブコメ
CDP質問書もこれに沿って変更
炭素関連資産がどこにあるのかを明らかにし、
金融がさらされるリスクを明らかにする
“金融の安定のために、気候変動のリスクに備える”
TCFDのリスクと機会の図財務への影響
Page 42
出典:長村政明、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)最終報告書の概要」、2017年8月、金融庁説明資料
収入
支出 資本 資金調達
資産 負債
リスク
慢性
急性
政策と法律
技術
市場
評判
資源効率性
エネルギー源
製品/サービス
市場
レジリエンス
機会
物理的リスク
貸借対照表
移行リスク
財務的インパクト
戦略的計画
リスク管理
キャッシュフロー
計算書
損益計算書
TCFD提言:開示の構成と項目(全企業共通部分)
Page 43
ガバナンス
(Governance)
戦略
(Strategy)
リスク管理
(Risk Management)
指標と目標
(Metrics and Targets)
気候関連のリスクと機会に係
る当該組織のガバナンスを開
示する。
気候関連のリスクと機会がもたら
す当該組織の事業、戦略、財務計
画への現在及び潜在的な影響を開
示する。
気候関連リスクについて、当該
組織がどのように識別、評価、
及び管理しているかについて開
示する。
気候関連のリスクと機会を評価
及び管理する際に用いる指標と
目標について開示する。
推奨される開示内容 推奨される開示内容 推奨される開示内容 推奨される開示内容
a) 気候関連のリスクと機会
についての、当該組織取締役
会による監視体制を説明する。
a) 当該組織が識別した、短期・中
期・長期の気候関連のリスクと機
会を説明する。
a) 当該組織が気候関連リスクを
識別及び評価するプロセスを説
明する。
a) 当該組織が、自らの戦略とリ
スク管理プロセスに即して、気
候関連のリスクと機会を評価す
るために用いる指標を開示する。
b) 気候関連のリスクと機会
を評価・管理する上での経営
の役割を説明する。
b) 気候関連のリスクと機会が当該
組織のビジネス、戦略及び財務計
画(ファイナンシャルプランニン
グ)に及ぼす影響を説明する。
b) 当該組織が気候関連リスクを
管理するプロセスを説明する。
b) Scope 1、Scope 2及び、当
該組織に当てはまる場合は
Scope 3の温室効果ガス
(GHG)排出量と関連リスクに
ついて説明する。
c) ビジネス、戦略及び財務計画に
対する2℃シナリオなどのさまざま
なシナリオ下の影響を説明する。
c) 当該組織が気候関連リスクを
識別・評価及び管理のプロセス
が、当該組織の総合的リスク管
理にどのように統合されている
かについて説明する。
c) 当該組織が気候関連リスクと
機会を管理するために用いる目
標、及び目標に対する実績を開
示する。
出典:長村政明、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)最終報告書の概要」、2017年8月、金融庁説明資料
TCFD提言補助資料:シナリオ分析の使い方
1. どのリスクが重要かを評価
2. シナリオの幅を決める
3. 事業への影響を評価
4. 対応の可能性を定義
5. プロセスを記述して必要に応じて開示
Page 44
出典:TCFD, “Technical Supplement, The use of scenario analysis in disclosure of climate-related risks and opportunities” (June, 2017)
「低炭素移行計画」について
• 低炭素移行計画、とは、どうやって低炭素経済に事業を合わせて変革し
ていくかの計画。
• TCFD提言では、投資家目線のため、「今というより、将来この企業がど
れだけ成長または生き残れそうか」を重視。
• シナリオ・プランニングと合わせて、「移行計画」について、問われている。
(5.可能な対応を定義,に該当)
Page 45
CDP質問書の構成も、TCFD提言に沿って再構築
Page 46
TCFD提言 CDP2018 項目 CDP2018 改訂等
ガバナンス CC1. ガバナンス 取締役会での気候変動の取扱いに焦点。
戦略 CC3. 戦略とシナリオ分析 「気候関連のシナリオ分析を実施していますか?」
「移行計画の詳細を教えてください」
リスク管理 CC2. リスクと機会の管理 リスクと機会の定義や評価プロセス、事業への統合に
焦点。
指標と目標 CC4. 目標と達成度 全ての目標をここに統合。再エネ目標を含む他の目
標を書く質問を設置。
CC5. 指標 全てのデータをここに統合。セクター別の相違箇所。
CC6. カーボンプライシング・取引 内部的カーボンプライシング、規制的カーボンプライ
シング(排出量キャップ&トレード、炭素税)
CC7. エンゲージメント サプライヤー、顧客、その他のエンゲージメント。政策
エンゲージメント・ロビー活動。コミュニケーション。
CDP2018年のセクター別質問該当部門
e 47
クラスター 気候変動 水 森林
エネルギー
石油・ガス
石炭
石油・ガス
石油・ガス
石油・ガス
輸送
輸送機器製造
輸送サービス
素材
セメント
鉄鋼
金属・鉱業
化学
金属・鉱業
化学
農業
食品・飲料・タバコ
農産品
製紙・林業
食品・飲料・タバコ 製紙・林業
一般
セクター別質問書に該当しな
い全ての企業
セクター別質問書に該当しな
い全ての企業
セクター別質問書に該当しない
全ての企業
2018年は売上ベースでCDP側で分類した部門の質問書が送付。
2019年からはTCFD提言に応じたセクター追加も検討。
まとめ 企業経営に対する投資家の視点の変化
 責任投資は世界で主流な潮流になりつつある。
 投資のバリューチェーンの上流に位置するアセットオーナーの投資方針、投資
戦略が市場関係者に影響を与えており、世界での責任投資拡大では、年金基
金がリーダーシップを発揮している。
 日本のアセットオーナーのPRI署名増加に伴い、資産運用会社、サービスプロ
バイダーをはじめ市場で責任投資が拡大している。
 マテリアリティ(重要性)は動的な概念で、法律や政策の変化、リスクに関する
変化、社会の期待と規範の変化によって進化する
 国際目標に関連して、ESGマテリアリティは、今後進化することが明確である。
 低炭素経済に即した経営戦略策定が重要となる。
 長期の視点からの投資は、企業の持続可能な成長を促進する。

企業経営に対する投資家の視点の変化~国際的な動向を中心として