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平成18年3月31日
事業主体:倶知安観光協会ひらふ支部ひらふネット研究会
実施組織:観光地倶知安戦略会議
平成17年度 観 光 地 倶 知 安 戦 略 会 議
最 終 提 言 書
1
観光地倶知安戦略会議 最終提言
財務の
視点
顧客の
視点
内部プロ
セスの視
点
学習と成
長の視点
情報の集め方と集め
た情報の分析方法の
理解
分析に基づく費用対効果の高
いプロモーションの実施
宿泊延べ人数の増加
CS向上
観光直接消費額の最大
化
間接生産誘発額(雇用所得、他
産業収益)の最大化
良質なサービス(高品質、
高信頼性)の提供
現状把握
(定性・定
量)
マーケティン
グ手法の理解
顧客ニ-ズを明確に
したマ-ケテイング
戦略
顧客満足の向上と倶知安
ブランドの確立により集客
を図る
顧客の立場に立った効
果的な情報発信による
集客
く っ ち ゃ ん 観 光 局
新規事業の創出と
地域住民の支援
観光が倶知安にもたらす経
済波及効果の最大化
目標:接消費額60億円増
目標:宿泊延べ100万人
H17年度
最終提言
H16年度中
間報告
2
はじめに
【激動の3年間】
平成15年度から3カ年で実施してきました観光地倶知安戦略会議も、おかげさまで平成17年度をもちまして
最終提言をまとめ、事業終了となります。
『答えは自分たちの中にある』ことを気づかされた初年度。
『戦略を策定するためには、その手法を学ばなければならない』ことを再認識した昨年度。
そして『倶知安は観光地としてこうするべきだ』と言う具体的戦略を検討、まとめたこの最終年度。
本戦略会議の3年間というのはまさに、気づきと学びの3年間であったと思います。
そしてこの本戦略会議が活動してきた3年間というのは、同時に観光地倶知安をとりまく環境がオーストラリア
からのスキーヤー・ボーダーの激増、コンドミニアム建設や不動産取引といった資本投下といった事象を軸として
国際化へ大きくシフトした3年間でもありましたし、インターネットやITの利活用のためのインフラが全国で
整備され、観光情報の発信・入手の手段や旅行手配の形態が旅行代理店経由から観光地と顧客を直接結びつける
ものに大きくシフトした3年間でもありました。
そのような大きな変動期において、倶知安に限らず全道的に、多くの観光に関わる、あるいは司る組織体が形骸化、
機能不全を起こしていることが理解されてきたこともこの3年間の大きなうねりの一つではないかと感じています。
【これからも変わり続けるであろう社会へ対応できる組織】
では、翻って3年前にこの観光シーンの激変を誰かが予想し得たかといえば、いたとしてもごく少数で、
我々を含む多くの観光関係者にとっては予測困難な事ではなかったかと思うのです。
3
はじめに
では、今後のことはどうでしょう。答えは同じく『予測困難』であろうと思います。
しかし観光地としてお客様を受け入れることで生活の糧を得る社会である以上、私たちはその刻一刻と変わる状況
の中で成果を上げることを命題としているわけですから、その観光に関わる、司る組織も状況の変化をつかみ対応
できるものが必然的に求められています。
では、それはどんな組織でしょう。
それは常に学び、対応し続ける組織です。形骸化されてもなおそれを維持することに固執する組織ではなく、
組織の存在意義を見失わず、常に選択の中での最善であろうとする組織です。
我々はまずこのような組織の速やかなる構築を柱とした提言をまとめました。
しかしこのまとめはゴールではなくスタートであります。提言のための提言ではなく、実行のための提言を
まとめたつもりです。
決して完璧ではありません。むしろ不完全さが目立つ内容かもしれません。しかしこの中には目指すべきビジョン
があります。よその地域から来て、この地の現状を真には理解せず、しかし『こうあるべきだ』と理想だけを振り
かざした言葉ではなく、真に偽りのない、我々が我々自身で導き出した答えがあります。
この最終提言と、我々の3年間の活動が今後の倶知安の観光振興と、それに伴う町全体の活性化の一助となれば
これに勝る幸せはありません。
4
目 次
1 観光地くっちゃんのビジョン
2 経済波及効果のシミュレーション
3 戦略プロセス
4 戦略テーマ
5 観光地倶知安戦略会議の推進体制
6 組織再編検討委員会
7 観光案内総合検討委員会
8 イベントのありかた検討委員会
9 ハードウェア・観光資源検討委員会
10 ウェルカム検討委員会
P5 -P6
P7
P8
P9 -P10
P11-P13
P14-P28
P29-P46
P47-P53
P54-P61
P62-P65
5
私たち戦略会議は、平成16年度の中間報告において「観光地倶知安」としての「ビジョン」を提言した。 このビ
ジョンに基づき、そして目標を達成するための方策を検討すべく小委員会での検討を重ねてきた。
その「ビジョン」は次の通りである。
【ビジョン】
私たちの地域の最大の資源は「自然」である。その自然は「観光」という形で表現され、
年間146万に及ぶ人々がこの自然を楽しむために私たちの地域を訪れ、115億円もの金額を 倶知
安で消費している。この観光は私たちの地域の強みである。
この観光という私たちの強みがもたらす効果は大きく、特に宿泊客は消費単価が通過型観光客の
それよりも高く、長期滞在を増加させることで、より多くの経済波及効果をもたらすと考えられ
る。
戦略会議では
「地域が豊かになること、その手段として観光という交流経済の波及効果を
最大限に引き出せる仕組みを構築する事」
という方向性を打ち出し、
観光地倶知安 のビジョン
6
「宿泊延べ人数100万人―経済波及効果60億円増―への挑戦」
をビジョンとし、取り組んでいく事を提言とした。現在の延べ宿泊者数は約611,000人であり、 38
9,000人増加する事による各産業への経済波及効果は次ページの通りである。
次に、このビジョンを達成するために必要な事は何か?それは、倶知安という町をブランドにする
事である。ブランドを確立するには「明確なビジョン」と「倶知安のどこでもお客様が良質なサービス
を受けられる(ブランドアイデンテイテイ)」ことが重要である。しかし、1年や2年で「くっちゃんブランド」
が確立する事は困難なことであり、ひとつひとつステップを踏んでいくことが大切である。
その第一ステップとして、私たちは次の2点を大きな柱として取り組みを実施すべきだと考える。
① CSの向上 = お客様の満足度を向上する
② ビジョン達成に向け、高いプロモーションを実施する
この柱を実現する為に、各小委員会にて実行案が検討された。しかし、ブランドの確立、
そしてビジョン達成で一番大切で不可欠なことは、私たち住民全員が倶知安に誇りと自信を持ち、
ビジョンに向い一丸 となる事であると考える。
観光地倶知安 のビジョン
7
経済波及効果のシミュレーション
観光
消費額
生産誘発
一次
生産誘発
二次
総合生産
誘発額
1 農業 236 119 29 239
2 畜産 22 57 24 81
3 林業 4 4 2 6
4 漁業 83 28 4 203
5 鉱業 180 21 1 22
6 と畜・肉・酪農品 96 71 38 104
7 水産食料品 79 12 7 184
8 その他の食料品 424 212 126 1,062
9 繊維 93 7 6 192
10 製材・家具 28 18 5 23
11 パルプ・紙 52 26 4 30
12 出版・印刷 117 30 7 66
13 化学製品 75 4 3 56
14 石油・石炭製品 147 12 4 545
15 皮革・ゴム 42 3 1 33
16 土石製品 26 23 5 56
17 鉄鋼業 50 4 0 4
18 非鉄金属一次製品 7 0 0 0
19 金属製品 45 9 2 11
20 機械 285 -14 -7 41
21 その他の製造品 74 20 10 250
22 建築・土木 61 91 17 108
23 電気・ガス・水道 256 324 101 424
24 商業 583 203 212 2,151
25 金融・保険・不動産 542 364 339 702
26 運輸・通信・放送 554 166 69 2,166
27 公務 0 0 0 0
28 公共サ-ビス 73 116 241 349
29 サ-ビス業 644 388 279 6,339
30 事務用品 30 35 4 39
31 不明 63 70 9 79
内生部門計 4,971 2,421 1,541 15,564
家計外消費支出 252
雇用者所得 3,634
営業余剰 1,123
資本消耗引当 850
間接税 713
補助金 -43
組付加価値部門計 6,529
総生産額 11,500
【平成15年度】
観光
消費額
生産誘発
一次
生産誘発
二次
総合生産
誘発額
波及効果
増額
328 165 41 333 94
31 79 33 112 32
6 5 3 8 2
116 39 5 282 79
250 29 1 30 8
134 99 52 144 41
110 17 10 256 72
590 294 175 1,478 416
129 10 9 267 75
39 25 7 32 9
72 36 6 42 12
163 41 10 91 26
104 6 4 78 22
204 16 6 758 213
58 5 2 47 13
35 32 7 78 22
70 6 0 6 2
10 0 0 0 0
62 12 3 15 4
397 -19 -10 57 16
104 27 14 347 98
84 127 24 151 42
356 450 140 590 166
811 282 295 2,993 842
755 506 471 977 275
771 230 96 3,014 848
0 0 0 0 0
102 161 335 486 137
896 540 388 8,820 2,481
42 48 6 54 15
88 98 13 110 31
6,917 3,368 2,145 21,654 6,090
351
5,056
1,562
1,183
992
-60
9,083
16,000
【平成22年度】延べ宿泊数100万人
生産誘発額 雇用係数 雇用誘発数
1 農業 320 0.1357009 43
2 林業 6 0.1095948 1
3 漁業 203 0.1570690 32
4 鉱業 22 0.0549475 1
5 製造業 2,656 0.0483980 129
6 建設業 108 0.0777160 8
7 電気・ガス・水道 424 0.0259399 11
8 商業 2,151 0.1254486 270
9 金融・保険・不動産 702 0.0326968 23
10 運輸・通信・放送 2,166 0.0778915 169
11 公務 0 0.1002859 0
12 サ-ビス業 6,688 0.1056189 706
13 不明 79 0.0724696 6
15,525 0.0829992 1,399
雇用増加
17
0
12
0
50
3
4
106
9
66
0
276
2
547
1 農業
2 林業
3 漁業
4 鉱業
5 製造業
6 建設業
7 電気・ガス・水道
8 商業
9 金融・保険・不動産
10 運輸・通信・放送
11 公務
12 サ-ビス業
13 不明
8
実行コンセプト策定
チェック実行プレゼン計画調査
観察
気付き
仮説
設定
調査 アイデア
企画
立案
関係者
合意
実行
投資
評価
検証
ビジョン
設定
全体
戦略
立案
改善サイクル
本提案書
小委員会の主なタスク
ステアリングコミッティの主なタスク
戦略立案
方法の
理解
2003年度 2004年度 2005年度 2006~’10年度
戦 略 プ ロ セ ス
9
戦略テーマ:倶知安ブランドの確立
(戦略マップ)
小委員会戦略の実践
目的の実現
小委員会戦略の理解
財務の視
点
顧客の視
点
内部プロ
セスの視
点
学習と成
長の視点
情報の集め方と集めた情
報の分析方法の理解
経済波及効果分析に
よる定量的・継続的
な経済効果の把握
分析に基づく費用対効果の高いプ
ロモーションの実施
宿泊延べ人数の増加
CS向上
観光直接消費額の最大化
観光が倶知安にもたらす経
済波及効果の最大化
間接生産誘発額(雇用所得、他産
業収益)の最大化
観光地、市街地
における
ホスピタリティ
向上
良質なサービス(高品質、
高信頼性)の提供
顧客の視点に立った
コミュニケーション
ツールの構築
来町動機と宿泊動
機に繋がる
イベントの企画
関連組織・意
思決定プロセ
スの最適化
現状把握
(定性・定量)
マーケティング
手法の理解
ハードウェア・
観光資源検討委員会
イベントの在り方検討委員会観光案内総合検討委員会
ウェルカムタウン検討委員会町内観光関係組織の再編成検討
委員会
他産業との連携検討委員会
本提案書
10
戦略テーマ:倶知安ブランドの確立(スコアカード)
・勉強会(経済効果波及分析手法、
マーケティング、IT)によるスキ
ルアップ
・小委員会リーダー育成
・各小委員会のKGIに準じる
・ 2010年度末までに、宿泊延べ
100万人(現在60万人)
・2010年度末までに、経済波及
効果120億円(現在80億円)
結果指標
KGI
・勉強会実施回数
・他地域との情報交換回数
・小委員会活動回数
現状把握スキル
向上
学習と成長の
視点
・小委員会のKPIに準じる
・全体戦略の遵守度
・小委員会活動回数
小委員会単位に
よる目標を絞り
込んだ活動
内部プロセス
の視点
・宿泊延べ人数
・入込み客数
・平均滞在期間
・アンケート結果による
CS測定
・小委員会活動回数
CS向上と効果
的なプロモー
ションによる顧
客拡大
顧客の視点
・経済効果波及分析による経済波及
効果額
経済波及効果
の最大化
財務の視点
先行指標
KPI
戦略目的視点
11
今年度の観光地倶知安戦略会議最終提言に向けての体制は、戦略マップにおける内部プロセスの構築に関わ
る提言の作成を目的とし、各項目ごとに小委員会を設けそれぞれが全体戦略に従いながら独自に活動を行う
ものとした。
小委員会は、最終的に
1. 観光関係組織の再編成検討委員会
2. 観光案内総合検討委員会
3. イベントのありかた検討委員会
4. ウェルカムタウン検討委員会
5. ハードウェア・観光資源検討委員会
の5委員会を設置した。
各委員会の座長は観光地倶知安戦略会議メンバーがその任を担うと同時に、座長全員でステアリングコミッティーを
結成し、会議連絡を密にしながら各委員会の成果を他の委員会へのフィードバックを実施した。
小委員会は、メンバーを倶知安町民から募集し、クロスファンクショナルチームとなるようにした。
観光地倶知安戦略会議の推進体制
12
【ステアリング・コミッティ】
①小委員会設置
②倶知安町戦略立案~ビジョン策定~
③全体進捗のモニタリング
④他組織との調整
【メンバー】
・脇山(マウンテンサイド)
・本田(本田興業)
・吉田(司法書士)
・文字(倶知安町)
・佐藤(グランヒラフ)
【ウェルカムタウン
検討委員会】
【メンバー】
・座長:吉田 聡
・脇山 忠
・茅野 紀行
・財前 真郷
・黒木 満寿美
【観光案内総合
検討委員会】
【メンバー】
・委員長:脇山 潤
・中村 剛
・浅上 勲
・羽多野 勉
・名畑 圭啓
【イベントのありかた
検討委員会】
【メンバー】
・座長:文字 一志
・阿南 敬三
・柏木 将徳
・本田 哲
・脇山 潤
【ハードウェア・観光資
源検討委員会】
【メンバー】
・座長:佐藤 英俊
・二川原 和博
・土田 正一郎
・瀬尾 正宣
【町内観光関係組織の
再編成検討委員会】
【メンバー】
・座長:本田 哲
・小出 三義
・文字 一志
・西村 富英
・脇山 潤
小委員会
観光地倶知安戦略会議の推進体制
13
観光関係組織の再編成検討委員会
『限られた資源(予算・人材等)を最大限に有効活用するために、町内各組織の観光に関する活動・事業を把握し、必要に応じ
た役割の分担や効率的な組織形態を検討する』
観光案内総合検討委員会
『顧客の側に立った、来町動機につながる情報発信、受け入れ時の案内等ストレスを顧客に感じさせない情報発信と顧客苦情の
適切な対処体系について検討する』
イベントのありかた検討委員会
『来町・宿泊動機につながるイベントとそのありかたを検討する。』
ウェルカムタウン検討委員会
『市街地におけるホスピタリティー向上と市街地にお金を落としてもらうための具体的施策を検討する』
ハードウェア・観光資源検討委員会
『顧客の不快感を解消し、より利便性を高めた施設の提供を検討する。埋もれた観光資源の活用を検討する』
観光地倶知安戦略会議の推進体制
14
観光地倶知安 の実現に向けて
1.観光地くっちゃんの現状
昨今のスキ-離れによるスキー場の閉鎖や規模縮小が全国で相次ぐなど、スキー場を抱える自治体の存続を
左右する危機的状況となっている中で、倶知安町への観光客入りこみ客数は 平成7年に対し+17万人、
宿泊客数+13万人と増加傾向にある。
このような状況下、周知の通りここ数年の倶知安における観光関連事業は活発化してきている。
● 「グランヒラフ」というネーミングによるニセコひらふの統一ブランド化より、顧客重視の施策が
講じられ、訪れるスキーヤーの利便性が大きく高められつつある。
● また、今までスキーオンリーであった観光に夏のラフティングに代表される体験型観光が加わり、
その形態が多様化してきている。
この変化の中で、
● ニセコひらふ地区では、コンドミニアムの建設、新規飲食店の出店、既存店の増改築、不動産売買の
活発化、そして大型リゾート開発の計画など、多くの資本がこの地に投入され、バブル期を凌ぐ活況を
呈している。
● 一方、市街地でも新規飲食・小売店の出店や既存の食料販売店、酒屋、雑貨店、燃料店の取引高が
拡大しつつある。
● それに加えて、ニセコひらふ地区の雇用やパートの需要も増大する傾向となっている。
組織再編検討委員会
15
観光地倶知安 の実現に向けて
また、地域の取り組みを見ても、民間組織・団体による活動が活発に行われ、特に観光を主体とした
活動が多く、その大部分が自然(資源)の有効活用を目的としている。行政面でも、町ばかりではなく、国や
北海道がニセコひらふ地区に対する関心を高め、外国人観光客対策や景観づくりなど観光に対して諸施策を
講じ始めてきている。
このように倶知安おいて、ここ数年で今までの観光の在りようが大きく変化してきており、
「観光地倶知安には今、他の地域にはない追い風が吹いている」
と認識すべきである。
しかし現在の状況は、個々人や一企業の先見性のある行動がその原動力となっていることが大きな要因であり
地域全体の需要喚起策として民間組織・団体や事業体の活力が現在のところ十分に活かされていない。
また、観光の主要地区と市街地が地理的に2分化している影響なのか、
観光に対する認識や倶知安の強み・弱みの共通認識に
地域や業者間で温度差があるという課題を抱えている。
16
我々が05年度に中間報告として提言した中のSWOT分析における観光地くっちゃんのWeakness(弱み)をみると
① 倶知安としての戦略に基づくイベントが企画・実施されていない
② 商工業、農業、観光業それぞれの相乗効果が出せていない(コラボレ-ション効果が理解されていない)
③ 顧客を定量的に把握できていないため、効果的なプロモ-ションがわからない
④ 観光に対する意識が薄い-観光の倶知安経済への波及効果が理解されていない
⑤ 市街地組織とヒラフ地区組織のコミュニケ-ションが不足
⑥ 情報のキャッチボールができていない
などが挙げられた。
このような課題や弱みをこのまま放置した場合、次の事が想定されるであろう。
* 市場の要求や変化の速さに対応し切れず、折角の機会を喪失してしまう
* 各々の事業が市場環境の動向に非常に左右されやすい
* 観光地倶知安として統一したサービスをお客様に提供することが困難である
その結果追い風が一過性のものとなるばかりでなく、足腰の弱い観光地として存在し続けることとなるであろう。
観光地倶知安 の実現に向けて
17
2.新組織の必要性
年間148万人の人たちが我がまち倶知安を訪れ、この自然を楽しみ、そして115億円もの消費行動を起こ
している。今倶知安には観光という追い風が吹いており、この風を取り込み地域活性化に有効活用するには、
現在のような一個人の取り組みや行動は非常に大切で地域活性化の原点ではあるが、今以上に交流人口を拡大し
その消費行動を活発化させるという点では限界があると考えられる。今必要とされているのは、
観光資源に対する共通認識を強く持ち、地域で活躍する組織・事業体とのコラボレーションを
促進して、集客(交流人口)に結びつく実効性の高い事業展開を推進・実行すること
が観光地倶知安には必要である。
その実現には地域全体を見据えて、多様化する観光ニ-ズに対応できる環境整備、観光客の誘致、地域活性化の
基礎固めができる「しくみ」を早急に構築することが重要であると考える。
その「しくみ」とは、倶知安の軸となって施策を企画・遂行する「組織」であると本戦略会議は提言する。
本戦略会議は、「地域が豊かになること、その手段として観光を発展させる」ことを提言とし、
観光を単一産業という概念ではなく、倶知安の総合産業として捉えるべきであると考えた。
そして、それを実現するための具体的目標として
「宿泊延べ人数100万人-経済波及効果60臆円増-への挑戦」
倶知安ブランドの構築(質の高いサ-ビス、信頼できるサ-ビスを提供できる街を目指して)
を設定したのである。
観光地倶知安 の実現に向けて
18
観光という切り口から設定したこの目標を達成する為の第一要因は、顧客を増やす(交流人口の拡大)ことで
あり、具体的な方策は次の通リである。
*「質の高いサ-ビスと信頼できるサ-ビスの提供」
① ストレスを感じさせない情報発信
② 来町動機に繋がるイベント
③ 利便性の高い施設の提供と資源開発
④ ホスピタリティの向上
以上の通り、新組織は観光地倶知安の方向性を見出し、そして戦略をもって上記の目標を達成すべく方策や
対策を実行するものである。
観光地倶知安 の実現に向けて
19
3.新組織の理念と目的
新組織は、
「倶知安町における観光事業の振興発展と観光関連事業の拡大を図り、
もって郷土経済繁栄に資すると共に、町民の保健文化の向上に寄与すること」
(現倶知安観光協会会則より)
を理念とする。
その為に、限られた資源(人材・予算)を最大限に有効活用する為に、町内各組織の観光に関する活動・事業を
把握し必要に応じて役割の分担や効率的な運営を実施し、
倶知安の観光事業及び倶知安町の産業全体の中心的役割を担うものである。
組織の目的は、
① 倶知安の最大の資源である自然を通じて集客を図り、交流人口の増加により消費市場を
拡大させることにより、それに伴う消費行動を活発にすることで地域を豊かにすること
② 観光事業の発展を通して、心身共に健全でコミュニケ-ションに長けた人材を育て続け
ること
である 。
観光地倶知安 の実現に向けて
20
4.運営と体制
新組織の名称は、今後準備委員会で検討していくが、仮称ではあるが「くっちゃん観光局」とする。
局の運営は、新組織の趣旨から観て利潤を追求した組織ではなく、あくまでも地域発展に寄与する組織として
非営利組織とすべきあり、また行政や他組織・団体からの影響を受けない完全に独立した法人組織として運営
されるものである。
人員体制はあくまでも参考であるが、局長1名、専務理事1名、理事1名、リーダー(理事)1名、スタッフ4名、
監査1名の合計9名を想定する。専務理事、リーダー(理事)、スタッフは専従とし、行政及び民間組織から
の派遣も考慮する。人員体制は、観光局の体制によって当然変わる。
各担当の役割と人材のガイドラインを次ページに示しているが、この組織は倶知安の観光及び産業の
中心的であり牽引役を担うことから、プロフェッショナルな人材の集団であるべきである。
観光地倶知安 の実現に向けて
21
【各担当の役割】
局 長 トップセ-ルスを主たる活動とし観光局及び倶知安観光事業の象徴的存在。
専務理事 実務の実質的な最高責任者とし、局の全ての事業目標の達成の責務を負う。
リーダー(理事) 業務の確実な遂行とスタッフの管理を担う。
【人材のガイドライン】
局 長 観光業界の経験や実績にこだわらず、経営感覚を持っている。
カリスマ性とパワ-(実行力・社会的影響力)がある。
専務理事 ビジネス感覚を持つ(対極的思考・行動力・判断力・先見性)。
人員掌握能力に長けている(コミュニケ-ション能力)。
リーダー(理事 ) 専門性
観光業界に精通している
判断力
業務処理能力
観光地倶知安 の実現に向けて
22
5.事業内容
くっちゃん観光局の事業内容は、倶知安町の観光関連業務全般を担うものである。
依って現在、倶知安町役場商工観光課観光振興係で行っている観光関連業務をくっちゃん観光局に
移管する。移管業務の内容は、
① 観光開発及び事業の調整
② 観光施設の誘致拡充
③ 観光諸行事及び観光物産に関する事業
以上の移管業務に基づき、くっちゃん観光局は下記4分野の事業を行い、地域の活性化を図かる。、ホスピタリテイ-
1・企画
2・宣伝・広報
3・コーディネート
4・コンサルティング
観光地倶知安 の実現に向けて
23
《企 画》 顧客満足の向上と倶知安ブランドの確立により集客を図る
イベントの企画・運営 : 新規顧客、リピーター、宿泊増を可能にする『装置』
観光案内システムの構築・運営 : 顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
観光資源の発掘・開発 : 顧客ニーズに則った施設・資源の提供
事業・産業開発 : 資源を活用した新たな収益事業の開発
例)収益事業の開発 ★ 観光局が主導で展開
地元農産物の地産地消の場を創出する → 「道の駅」的なコミュニテイエリアなど
商品開発力を高め、特産品を開発する → あっちゃんよっちゃんくっちゃん、うさぎやのそば餅、
豪雪うどん 等
農作物販路の拡大 → 農業と観光の結び付き
☆ 瀬棚のいかめし ~スタートは1日限定数食(専業ではなかった)が今や年商1億円!
《宣伝・広報》 顧客の立場に立った効果的な情報発信による集客
セ-ルスプロモ-ション :告知・誘致活動、ホ-ムペ-ジの運営
広報活動 :地域への活動告知、メディア対応
観光地倶知安 の実現に向けて
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《コ-ディネイト》 新規事業の創出と地域住民の支援
情報の窓口と管理 : 各業種の情報が局に集り、情報基地となる
他産業連携サポ-ト : 新事業や新産業創出(産業ネットワークの創出)
各団体間の連絡会 : 各種情報の共有化による、パワーのシナジー効果拡大
地域住民の観光局への参画 : 地域は地域住民の手で創ることで活気が出る
人づくり : 最大の資源である人の育成
《コンサルテイング》 顧客ニ-ズを明確にしたマーケティング戦略
アンケ-ト・クレ-ム分析 :各種・各団体のアンケ-ト収集による現状把握と課題提示
市場動向調査 :観光・経済情報にもとづいた消費者動向や方向性の検討
宿泊・飲食業者への企画サポ-ト :HPのコンテンツやPR方法、営業形態などの提案
観光地倶知安 の実現に向けて
25
会費・事業収益・業務委託料・補助金
役 場
議 会
宿泊業者
飲食店
観光関連業者
体育協会
教育委員会
医療関係
交通関係
観光戦略立案
観光資源開発
PR活動
環境整備
市場への情報発信
(詳細はP00を参照方)
イベント企画・主催
各種大会誘致
市場調査
他地域の観光協会
情 報
情 報
組織再編サポート
財源
商工会議所
農協
建設協会
文化団体
連 携
観光戦略提案
連絡会
コーディネイト
・独立NPO法人
・リーダーは専従
・スタッフも専任
・有償ボランティア
・検討委員会設置
地域住民
提案
啓蒙
サポート
運営参画
業務移管
人材派遣
地域力を高める
中長期では子供達
即戦力では大人達
自分の生業として観光客と
関わっていない住民
コーディネイト
日
本
全
国
及
び
全
世
界
の
お
客
様
くっちゃん
観光局
26
6.予 算
予算及び収支については、今の段階では参考デ-タの粋を脱すことはできない。ここで提示する数字はあくま
でも参考値として捉えていただきたい。
くっちゃん観光局の除雪費を除いた予算を、総額約48百万円と算出した。内訳は営業費及び一般管理費
35百万円、事業費13百万円と想定している(詳細は別紙)。この数字は我々が考え得る事業内容の最低 ライン
として捉えるものであり、事業内容によっては大きく変わるものである。他の地域を参考に見ると、
・ 社団法人 ふらの観光協会: 一般会計55百万円+特別会計165百万円=合計220百万円
・ 有限責任中間法人 白馬村観光局: 総額162百万円
となっており現倶知安観光協会予算20百万円の10倍程度の規模となっている。
将来的に「くっちゃん観光局」が我々が提案するレベルの事業内容を推進するには、富良野や白馬と同等規模の 予算が
必要であると考えられる。その場合の収入源は、やはり観光地倶知安の明確な方向性と戦略に基いて、
会費、事業収益、補助金、協賛金、民間企業のスポンサー等多種多様な方面からの確保を模索する必要がある。
特に会費分担金は、1人でも多くの地域住民の参加が重要であるが、それには地域住民に「くっちゃん観光局」 の存在
意義を理解してもらい、その存在感を高めることが必要である。
以上のことは、今後の検討会や準備委員会で予算シミュレーションも含め相当な論議が必要となるであろう。
観光地倶知安 の実現に向けて
27
7.継続的な組織運営について
新組織に最も必要なことは、将来にわたって一貫性がある運営がなされ、しかも地域経済の中心的
役割を果たす組織でなければならない。そのためには組織を構成する人材があらゆる局面で能力を発揮する
(できる)スキルを持ち、その人材そして組織はこの地域の企業や各種団体の模範となる必要がある。
それを現実なものとするには、組織運営をサポートする様々な手法を学び、身につけることを目的とした教育
プログラムを作る必要がある。
* マネージメント(組織運営、業務管理、人員管理)
* コミュニケーション
* 問題解決手法
8.今後の展開について
本戦略会議は新組織を構築し、その中で他の小委員会の提言を検討・実行することを最終提言とする。
しかし、最終提言をもって観光地倶知安戦略会議は終了するものではなく、最終提言の実現そして、目標 の達
成まで関与する責任を担うと考える。それ故、来年度以降の新組織に向けての活動をバックアップし、 ここに素案で
はあるが新組織立ち上げ日程を提案する。
平成18年度 新組織準備委員会 発足
平成19年度 新組織活動開始
この大日程はあくまでも参考であり、環境や状況によって進捗は変わるであろう。しかし、今を逃さない為に
も早急な行動が求められていることを理解していただきたい。
観光地倶知安 の実現に向けて
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営業費 人数/個数 単価 予算額
給与 専務理事 1 6,500 6,500
リーダー 1 5,000 5,000
専従スタッフ 4 3,000 12,000
6 23,500
厚生費 4,700
雑給 1 1,500
賃料 70 840
水道光熱費 電気 50 600
ガス・水道 10 120
灯油 60 300
事務用品費 500
出張旅費 1,200
保険料 100
IT関連維持 15 180
車両費 ガソリン代 1000 0.124 149
接待交際費 100
会議費 200
リース料 複合機 30 360
PC 5 5 300
雑費 251
小計 34,900
事業費
企画  :一貫性 ・ 軸・ 集客力 の強化
 イベント企画・運営
 観光案内システムの構築・運営
 観光資源の発掘・開発
 情報管理(Key Station化)
 産官学連携による事業開発
 ナイト号 3,000
宣伝・広報 :集客力 ・ 情報力 の強化
 セールスプロモーション(sp) 10,000
 広報活動(取材等)
 ホームページの運営
コンサル :経営支援 と情報分析
 観光関連業者への経営や
         企画のサポート
 市場調査
コーディネート :経済波及 と意識改革
 他産業との連携(倶知安産業ネットワーク)
 各団体間の連絡会
 地域住民とのネットワーク
 勉強会・セミナーの実施
 啓蒙活動
小計 13,000
合計 47,900
除雪費 8,000
会員数 階層 単価 金額
予算 51,000,000
索道業     2 500,000 750,000
宿泊業 合計 137 16,014,000
市街地 13 収容者数
ひらふ地区 124 0
飲食業 市街地 94 座席数 50,000 4,700,000
社交業 40 50,000 2,000,000
ひらふ地区 55 50,000 2,750,000
アウトドア業者 5 150,000 750,000
不動産業 市街地 2 60,000 120,000
ひらふ地区 3 60,000 180,000
旅行代理店業 市街地 2 60,000 120,000
ひらふ地区 4 60,000 240,000
小売業 市街地 20 売場面積 60,000 1,200,000
ひらふ地区 6 60,000 360,000
大規模小売店舗 4 150,000 600,000
交通業 1 JR 100,000 100,000
2 バス 60,000 120,000
2 ハイヤ- 60,000 120,000
レンタカ- 0
一般業者 市街地 53 30,000 1,590,000
遊技場 5 200,000 1,000,000
ひらふ地区 0
個人 3 0
440 32,714,000
倶知安町の補助金 10,000,000
合計 42,714,000
観光地倶知安 の実現に向けて
29
【ミッション】
観光地として潜在的な顧客に対して、
① 来町し宿泊したいと思わせることの出来る魅力的かつ正確な来町動機に繋がる情報の発信
手段と方法。
② この地を訪れたお客様に対して、ストレスを感じさせないしっかりとした観光案内を提供
できるシステムや運用方法。
③ この地を訪れたお客様からの声を受け止め適切に対処するシステム(仕組み)とその運用
方法。
について検討する委員会である。
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
・来町動機につながる情報発信
・ストレスを顧客に感じさせない情報発信
・顧客苦情の適切な対処体系
・来町動機につながる情報発信
・ストレスを顧客に感じさせない情報発信
・顧客苦情の適切な対処体系
観光案内総合検討委員会
30
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
現状では・・・
観光情報を観光マーケットに伝え切れていない
平成16年度の本会議中間報告書において示された、ビジョンとゴール達成の為の仕組み作りの中でも、
「観光案内の充実」=「観光地倶知安としての観光案内のシステム作り」は
比較的重要な位置を占めていると考える。
それは過去2年間において行われてきたBSC(Balanced Score Card)を使った分析においても顕著に表され
ている(添付の5Forces、3C、SWOT分析資料を参照)。
この町の強みには農産物・景観・アクティビティーの豊富さといった点が挙げられているものの、その反面
弱みには情報発信力の弱さを指摘する声が圧倒的だった。
倶知安は観光資源に恵まれていても、
それを十分には観光マーケットに伝え切れていない
31
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
出発前:来たいと思わせる
知りたいことが調べられる
現地:楽しむための情報が得られる
アフター:また来たいと思わせる
観光案内とは、お客様に「倶知安を訪れてみたい」「倶知安で食事をしてみたい」「倶知安で泊まってみたい」「アク
ティビティーに参加してみたい」「何かを購入してみたい」「また行ってみたい」と思わせる情報の提
供と定義できる。
つまり観光案内とは、この地のPRと顧客の消費行為に極めて直結したものである。結果的に観光案内システムの不備は、
倶知安観光PR力の不足と観光客による消費喚起 “WANT”の不足であると言える。
観光案内システムの不備は“WANT”(みたい)を喚起しない
32
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
周知されなければ意味が無い
どんなにこの地が魅力的な観光資源に恵まれていても、そのことが
周知・認識されなければ、せっかくの魅力的な観光資源も台無しである。
真に魅力的なものならば、わざわざPRしなくとも、黙っていればメディアが放ってはおかない。という意見も聞こえて
きそうだが、それは大いなる誤解もしくは奇跡と言わざるを得ない。
誤解:品薄感・レアアイテム感
「知る人ぞ知る」を知っているという、プライドをくすぐる演出にまんまとはまってしまった場合。
奇跡:運良く・たまたま
たまたまWカップサッカー参加チームの合宿場所となり、取材陣が押し寄せにわかに知名度が上がってしまった自治体で、
継続してその名を覚えている人は少ないし、そもそもそのようなことは待っていてもそうは起こらない。
33
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
メディアはオージーブームに飽きてきている
ここ数年、ニセコひらふ地区をメインとしてオーストラリア人スキーヤー(※正しくはスキーヤー・
スノーボーダーだが、便宜上このレポートではまとめてスキーヤーと表記する)の急増とそれに伴う地域経
済の変貌に関わるニュースをマスコミ各社はこぞって取り上げ、倶知安とヒラフ地区の名前は小泉首相が
話題に取り上げるまでになった。
これは広告宣伝費用に換算すると数十億円にものぼるほどであったが、「これ以上同じ話題(オーストラ
リア人のスキー・投資ブーム)ではニュースとして取り上げることは出来ない。(もう既に同じ話題で2年
間引っ張っている)」というのがマスコミ各社の共通した見解である。
現在のマスコミの倶知安ニセコ報道はあくまでも特需であって、前ページにあるところの奇跡である。ここ
から先はやはり自らの手で効果的に顧客マーケットへ向けて情報を発信しなければいけない。
34
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
観光案内にはいろいろな方法がある
 情報誌・ツアーパンフ
 マスメディア
 Webサイト・お客様の口コミ
 電話・FAX・メール
 ビジターセンター
 IT(Webカメラ・Skype等)
 地域印刷媒体(飲食店ガイド等)
 住民=現地の人とのふれあい
観光案内システムを分類すると
上記内容を大きく分けると
① マスコミ・マスメディアへの情報提供とそのコントロール
② IT技術を利用した情報の開示とコミュニケーション
③ 印刷物を利用した情報発信
④ 人的対応による情報提供
の4つに分類することが出来る。
これらの情報発信システムを円滑、かつ効果的に運営するには次のようなことを留意する必要がある。
35
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
情報発信における留意事項
① 担当者により開示する情報にぶれが生じないこと
話す人によって内容が変わってしまうのでは信用に足る情報とは見なされず、取り扱ってはもらえない。
② 高いIT運用技術とアップデートの迅速なる対応
インターネット上でのコミュニケーションを取り仕切るオペレーション能力。情報更新の迅速性はITに
よる情報発信の要である。またシステム管理に関する高い能力、ともすれば容易に誹謗中傷等で荒れてし
まうネット上のコミュニケーションを管理し円滑にするオペレーション能力が必要となる。
③ 掲載施設に対する正当な評価
その印刷物を見て消費意欲が沸き立つような豊かな文章・表現能力。あくまでも予備知識を持たずに初め
てこの地を訪れたお客様が見て理解できるものであること。
④ 豊富な知識と高いコミュニケーション能力
自分のテイストを明確に示した上で、自分の意見をキチンと伝えられる、相手の要望をはっきりと理解し
た上で適切な案内が出来ること。
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顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
倶知安町における観光案内の現状
①対応の統一が困難
役場商工観光課・倶知安観光協会・同協会ひらふ支部と公な組織だけでも3つ存在しているため、対応を
統一することが困難である。また積極的には情報を発信出来ていないしコントロールも出来ていない。
②決定的なサイトが存在しない
一般住民の方や観光産業に直接関わる企業、またこの地の魅力に惚れ込んだ顧客が開設しているこの地の
観光情報や魅力を伝えるサイトは数多く存在しているが、公的機関の運営しているサイトの情報量はまだ
どれも十分とは言えない。
③統一感に欠ける
この地の観光コンテンツを伝えるもの、市街地の主要施設を記したマップ、商工会議所加入施設の飲食店
ガイドマップ等、様々な印刷物が既に存在しているが、サイズやデザインがまちまちであったり、統一感に
欠けている。
④問い合せ対応のサービスレベルが一定で無い
役場(観光協会、商工観光課合同)・駅案内所・ひらふ支部事務局(サンスポーツランド)と大きく分けて
も3カ所に分散しており、情報の共有も効果的、定期的になされているわけでは無いため、案内の内容にば
らつきが生じる、内容によってはたらい回しに会うといった弊害が起きている。
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顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
観光案内の不備が顧客を逃している
このような現在の状況は、ともすればこの地を訪れ楽しく滞在できたであろう潜在的顧客からその機会を
奪い、その潜在的顧客が行うはずであった消費行為を損失し、効果的に情報を伝えることが出来なかった
担当者に自責の念だけを残すということにも繋がりかねない。
そのようなミスマッチを防ぎ、この地を多くのお客様が訪れ、1円でも多くの消費行為をし、そのお客様から
「楽しい、素敵な町であった」と感謝をされるといった流れを創出する仕組み・体制作りが急務である。
38
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
その“あるべき姿”構築のツールとシステム、それらの保持について
では、具体的にどのような体制でその構築に望むべきか、またどのようにしてそれを実現し維持するかに
ついて考えてみたい。
倶知安の観光に関わる機能を集約した組織
仮称“くっちゃん観光局”の設立
まず全ての基本、すなわち情報の統一・デザインの統一・効果的な情報発信のベースとなるのは、それらを
司る組織の一元化である。
限られた予算やマンパワーを最大限効果的に活用するためには、現在のように複数の組織で重複した業務を
それぞれにこなしている状況を、まず改めなければならない。
その上で前出した8つの観光案内の管理・運営、コントロールは次のようになる。
39
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
これからの推進策
・情報誌とツアーパンフレット
観光情報誌(じゃらん等)や旅行代理店のツアーパンフレットは、掲載トピックや特集に合わせた効果的な
情報の提供、また掲載物の内容に間違いがないか、誤解を生むような表現になっていないかといった
モニタリングを行う。
・マスメディア(地域のニュースや情報系番組)
上記の情報誌とツアーパンフレットと同様、発信・提供情報の管理やメディアとのコンタクトを密にし、
より効果的な情報発信やコンテンツ開発のアイディアを得る。
・インターネット(Blog、SNS、一般のウェブサイト)
倶知安としてのオフィシャルとなる観光情報発信ウェブサイトを構築する。そのサイト上において観光局に
よって収集される情報の更新をアップトゥデートで行う。
様々なウェブサイトで交わされるこの地の情報をモニタリングし、正しい情報を配信する。また間違った
情報が流されている場合は正しい情報を提供したり訂正をもとめたりする。
40
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
・電話・FAX・電子メール
ウェブサイト利用におけるニーズの把握も同様だが、アンケートや電話・FAX・メールといったアナログな
手段を用いて 、直接的に顧客からもたらされるコメントや要望、クレーム等についても一元的に管理すること
により、効果的にこの地の観光コンテンツやサービスのレベルアップにつなげられる。
・ビジターセンター・観光案内所
観光局の事務機能を集約した場所をビジターセンターとし、対人による観光案内等の各種窓口業務も行う。
場所的には現在の立地を考えると、JR倶知安駅併設のテナントスペースが効果の最大限化がはかれると考え
る。また、商店連盟等が独自に行っているインフォメーションセンター等とも積極的に業務連携を図り、
窓口の対応不可時間帯を補い合い顧客への対応時間を可能な限り長くする。
・ITコミュニケーションツール
ウェブカメラやVoIPと呼ばれる技術を使ったITコミュニケーション。本来であれば有人による案内の設置が
望ましいが、予算の都合上実現が出来ない箇所においては、PCの設置とITの利活用による案内システムを
設置し、印刷物による案内と併用で対応する。
例)レルヒ公園等、ビジターセンターからは離れているが、ドライブ観光のストップ地点となりうる場所へ
の導入。
・地域情報印刷媒体(飲食店ガイドやタウンマップ)
目的別に発行
・住民=現地の人とのふれあい
くっちゃん観光ガイド制度の導入
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顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
問い合せ・クレームの
受け付けコールセンター
観光ウェブサイト
コミュニティーサイト
その他ITコミュニケーション
管理・運営
地域印刷物の
プロデュース
マスメディア対応
情報誌・ツアーパンフ等への
情報提供・モニター
エリアガイド制度認定と運用
くっちゃん観光局
ビジターセンター
=事務機能集約
倶知安駅テナントスペース(提案)
ビジターセンター運営
窓口案内業務
※ 現行スペースでの案内は廃止
最低限、日英2カ国語対応の観光ウェブサイトを構築。
☆ アクセス情報・地域宿泊情報・予約システム
☆ 飲食・ATMや病院等のエマージェンシー情報
☆ アクティビティーメニュー・滞在の提案
☆ ニセコとその周辺のイベント情報
☆ ライブカメラ・動画の配信
☆ 文章による魅力発信
☆ コミュニティーサイト運営(口コミ情報の発信)
☆ 倶知安・ニセコエリアの歴史
☆ 農産物や銘菓のネット販売
☆ Skypeによるダイレクトチャット
☆ Pod casting 配信
☆ 住民向け、エリアガイド認定資格
この地の歴史、ゆかりの人物、自然、地域案内、
言語・・・等、観光案内に関わる知識や経験、
コミュニケーション能力をレベルで分け、
観光客に解りやすくしたもの。
・老若男女問わず参加できる。
・生涯学習の場の提供となる。
・郷土愛を持った子供の育成
・観光業界の即戦力の育成と地元雇用の促進
42
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
平成15年度BSC勉強会 5Forces、3C、SWOT分析資料
観光案内関係部分の抜粋
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顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
5Forces分析 ワークシート(平成15年度)
新規参入
代替
◆オーストラリア企業
◆アジアからの観光客・送客AGT
◆わかさぎ釣り
◆都市型リゾート施設
◆暖かいところ
サプライヤー
顧客
◆海外の安価な観光ツアー
◆TDL・USJ
◆富良野
競合状況
◆旅行代理店(国内・国外)
◆インターネット
◆カーナビ(レンタカー)
◆旅行雑誌
◆遊びは多様化・広く浅くの傾向
◆北海道の夏のイメージは富良野。
◆中高年齢者の登山ブーム
◆世界中から来るようになってきた
マクロ環境からの影響 (マクロ経済、政治・規制、技術、人口統計、文化、環境)
◆団塊世代のリタイア
◆観光立国ニッポン(ビジットジャパン)の施策
◆スキー人口の減少・少子化
☆ ニーズは多様化。地域でまとまって対策を考えないと!地域の良さをPR。
☆ 海外からの客が増えているのに(電話・カード・案内・言葉などの)ファシリティーが弱い
☆ 観光の特徴が、“見る”から“体験する”にシフトしている
5Forces分析 ワークシート(平成15年度)
44
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
3C分析 フレームワーク(平成15年度)
Company
◆JR倶知安駅には観光案内所があるが、車に対する案内は 無
いのでは?
◆単独会社経営ではなく、地域経営体制で運営
◆市街地組織とひらふ側組織のコミュニケーションが不足
◆強いところをうまくPRしていない
◆情報共有がないため、情報発信に時間がかかる
Competitor
◆海外の安価な観光ツアー
◆TDL・USJ
◆富良野
◆マスコミへの露出はルスツの方が多い
☆ バラエティあふれる観光を提供できる地の利はあるが、ネームバリューがない。
☆ いいものがたくさんあるのに適切な情報が不足している。
Customer
◆スキーヤー・スノーボーダー
◆ラフティングの普及で、冬夏の観光入り込み人数が平均化
◆出張・ビジネス
◆嗜好は十人十色
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顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
SWOT分析 ワークシート(平成15年度)
Strength Weakness
◆自然資源に恵まれている(含む、水・農産物)
◆バラエティあふれる宿泊施設
◆バラエティあふれる観光コンテンツ
◆文学碑の充実
◆単独会社経営でなく、地域経営体制の為、小回りがきかない
◆倶知安というよりニセコ(知名度の低さ)
◆PR力が弱い
◆観光に関する資源が一本化されていない
◆観光情報が観光関係者の中でも共有されていない
◆観光案内の不備
◆この地を訪れる顧客に関するデータの不足
Opportunity
◆国が政策として観光に力を入れている
◆外国人観光客の増加
◆団塊の世代がリタイア後の楽しみを模索している
◆インターネットの普及
Threat
◆他の観光地は環境整備や施設の充実に積極投資
◆趣味の多様化
◆安価な海外旅行
◆少子化・人口の減少
観光客の様々なニーズに対応できるだけの観光資源に恵まれているものの、なかなか効果的に情報発信・PRが出来ていないため、
強みとして生かされていない。
少子化・人口の減少により、国内スキー客は減少しているが、海外からのスキー客が増加していることが救いである。また団塊の世
代へ向けたPRで、国内もまだまだいけるのではないか。
いかに内包している自然・観光コンテンツを効果的に情報発信出来るかが、今後の課題である。
46
顧客の立場に立ったストレス感じさせない情報発信
観光情報発信の
充実
域内での観光案
内の
整備
顧客意見の集約
と反映
多言語化に向け
て
財務の視点 顧客の視点 内部(プロセス)の視点 学習と成長の視点
◆来訪客増
◆倶知安の認知度アップ
◆魅力ある情報の提供
◆安心して訪れることの出来る
情報量と情報の質
◆観光ウェブサイトの充実
◆メディア向け情報発信の頻
度を増やす
◆観光情報の集約
◆魅力再発見とレベルアップ
◆顧客ニーズの調査
◆メディア活用の学習
◆滞在日数の増加
◆消費額の増加
◆住民とのふれあいによる好
印象
◆施設利用の安心感
◆散策時の安心感
◆携行用観光情報の充実(W
&D等)
◆ビジターセンターの設置
◆住民による観光案内
◆営業努力による質の向上
◆域内情報のこまめな収集
◆観光案内ボランティアの育成
◆顧客リピート率の増加
◆顧客満足度の向上
◆提供サービスのレベルアップ
◆意見の反映による満足感
◆顧客向けアンケートの実施
◆地域観光業者向けアンケー
トの実施
◆ITを利用した意見の集約
◆情報の収集方法及び分析方
法の理解
◆定性的・定量的現状把握
◆外国人来訪客の増
◆学生の外国語資格取得の増
加
◆外国人客の積極誘致
◆住民のカルチャーレベルの
向上
◆サイト・印刷物の多言語化
◆ITの利用による通訳サービ
スの提供
◆主要施設への案内の多言語
化
◆各学校の外国語教育の充実
◆通訳ボランティアの設置
CSFの詳細化(平成15年度)
SWOT分析から抽出したCSF(戦略テーマ)を優先度と可能性から選択し、その戦略テーマを実現するためのCSF(戦略目標)を4つの視点から詳細化
する
47
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
【ミッション】
『来町・宿泊動機につながるイベントとそのあり方を検討する』
【現 状】
倶知安において年間に開催される一般的にイベントと称されるものは、[じゃが祭り]・「雪トピアフェス
ティバル」・「金毘羅祭り」の3大祭りから町内会のお祭り・スポーツ大会を含めると相当な数のイベントが
実施されている。イベントの開催時期をみると、四季折々がはっきりしているくっちゃんの特徴を表現する
かのように春夏秋冬、それぞれの季節で様様なイベントが開催されており、人口1万6千人規模の地域として
は非常に活発で、町民の楽しみとなっている。これらのイベントは、本来それぞれ実施の由来や目的があり、
そして運営も大部分が地域の住民のボランテイア的要素が強く、また補助金や協賛金による運営で継続されて
いるのが現状である。このような現状の中、本戦会議では現在実施されているイベントのメリット・デメリ
ットを分析した。
■ メリット -「くっちゃんイベント」全般的な視点から
① 町内では大中小、さらに町内外で広域イベントが数多く行われている。1万6千人のマチとして
はかなり活発。
② 広域イベントには行政区域を越えたエリア住民が積極的に取り組む機運が生まれ始めている。
シーニックバイウェイ北海道など。
③ イベントスタッフは共同体意識が強い。
イベントのありかた検討委員会
48
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
■ メリット -「くっちゃんイベント」全般的な視点から
④ かつて町の威信をかけた冬季国体2回、夏季国体(山岳、柔剣道)では町民総出のイベントと
して成功させた。
⑤ どんなイベントでもスタッフは苦労がつきものであるが、それに代えがたい「達成感」が
「またやってみよう!」へとつながっている。
⑥ 近隣(特に羊蹄山麓)町村からのお客様もかなり参加している。
⑦ オーストラリアはじめ長期滞在する外国人スキー客や居住者が増え、外国人を対象にした新た
なミニイベントが行われはじめてきた。
■ デメリット
① 各イベントにおいて視点やストーリーが多種多様、悪く言えばバラバラ。
② イベントの目標は「雪と親しむ」、「町民総出」など等だが、本当のところはどうなのか?
不明確に感じられる。
③ 大きな経費(労力とお金)をかけているが効果などの評価が測りづらい。
④ イベントスタッフには「シンドイ」と思っている者が少なくない。一人で何種類ものイベントに
関わる(仕事上、お付き合い上などの理由から)こともある。
できることなら、「次は外れたい」と思ってしまう。
49
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
■ デメリット
⑤ 観光客や転勤族など初めて参加する方にはまあまあ好評。
⑥ しかし、町民はおしなべてマンネリ感を強く持っている。
⑦ イベントの意味が分からない、おっくうだ。スタッフは知っている人ばかりで手伝っていない
自分が遊びに行くのは気が引ける。
⑧ 独立採算可能なイベントが少ない。助成金や協賛金を累計すると行政や協賛各社の負担はすでに
限界か。
⑨ 各イベント実行委員会単独の情報発信に限られ。また、外国人観光客をも集客対象としている
イベント情報等が実際にはうまく伝わっていない。
⑩ イベントを主催する団体が多すぎるのではないか。「おらがイベント」意識が強い。
⑪ 一度成功するとそこから脱却できない。発展的中止、リニューアルが難しい。
今後倶知安町が観光地倶知安として地域の活性化を推し進めていく上で、これらのメリット・デメリットを
更に明確にし、住民の共通認識として改善をしていく必要がある。
50
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
【私たちが目指すイベント】
そもそもイベントとはなにも多額の費用と労力をかけた大イベントを起こすことを目標とするのではないと
考える。身近で実践者が楽しいイベントが裾野を広げてユニークなイベントが生まれる全国的事例も少なく
ない。これまでの検討の結果、(前出の現状からも)次の点が重要であることが明らかになった。
① イベントのあり方論が不在であったこと、
② イベントには各イベントにおける目標達成までのストーリー性やメッセージ性を高めること
本戦略会議は、まちのイベントは
“観光地倶知安” ブランド(文化)確立へのストーリーのひとつ
であると位置づける。イベントは、単に人と人との交流にとどまるものではなく、人と山、川、雪、特産物と
の対話が生まれ、イベントスタッフと参加者(住民・観光客)そして“観光地倶知安”との対話・コミュニ
ケーションの場、相互理解の場となるものである。そして、地域住民は『一期一会』のこころを忘れずに、
これらの経験を積み重ねることにより地域に対する誇り、そしてイベントへの『誇り』を育むこととなるだ
ろう。
マチのイベントはストーリーにある背景を重視し、上記のことが循環を繰り返す『装置』となることを
めざすべきである。
51
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
【イベントのあり方】
本戦略会議では今後の「倶知安のイベントのあり方」を次の3つの視点から検討した。
■ 倶知安でイベントを行うことのメリットは何か?
① 倶知安の知名度・ブランド力が上がる(観光PR=将来の為に種をまく。ツールとしての有効性)
② 大きな集客が広範な経済効果をもたらす(新規客の獲得、リピーターの創出、宿泊増)
③ 住民誰しも喜ぶ・明日の活力へ、住民の士気高揚(団結心の醸成)
④ マチへの『誇り』を育む
⑤ コミュニケーションの場(スタッフ、住民、観光客、自然、風景、食材など)
■ イベントを行うことでの観光客のメリットは何か?
① 特別な観光地になる
② 地域住民との交流機会が生まれる
③ 倶知安を知ることができる
④ 来町の主目的ではなくとも、楽しむことで旅に付加価値
52
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
【イベントのあり方】
■ それを行うためにはどんな人としくみが必要なのか?
1)人財
① 運営スタッフ:情熱がある・企画力がある・総合的に仕事ができる・自分が楽しもうとする人
② 共感スタッフ:地元地域に愛情を持っている・共感しあえる・経験豊かな大人は文化や歴史を
語りつないでくれる・若者はそれ今に活かし実現できる・子供たちは大人や若者たちの姿を
みて育つ・誰もが自分なりに表現(参加)できる
2)しくみ
① 長年積もったしがらみや出来上がった組織のしくみからの脱却
② イベント持つメリット・効力を無駄なく効率的に機能できるしくみ
53
観光地倶知安ブランド確立へのスト-リ-
【ミッション達成に向けて】
本戦略会議では、理想とするイベントを実現させるにはこれまでのしくみや取り組みをいったん分解し、 編み
なおす。すなわち「イベント群の再編集」が必要であり、その為の「土台づくり」こそが
大きな課題であると考えた。
その土台とは、住民はじめ関係団体の意思が集結した組織、官民一体となった倶知安の 新た
な社会・経済の軸となる組織=『くっちゃん観光局』を早期に設立させることである。
54
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
【ミッション】
1・ 顧客の不快感を解消し、より利便性を高めた施設の提供
2・ 埋もれた観光資源の発掘と活用
ハードウェア・観光資源検討委員会
55
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
【現 状】
作家篠田節子さんは、小説『ロズウェルなんか知らない』の中で語る。
「良いところも悪いところも、実はそこに住んでいる 人間にはわからない」。
私は、東急グランヒラフのコンシェルジェを通じて、その言葉を身をもってひしひしと感じるものである。 お客様
のクレームの例を挙げると、『バス乗り場の床がべちょべちょだった』、『バスの案内が
わからない』、その他・・・。実は今まで自分は感じなかったことが、お客様からのクレームがあってはじめ
て理解できた。このことからも言えるのは、お客様の声を聴くことこそが重要であると言える。
倶知安町やニセコエリアを対象としたアンケートの実施は、行政単位で実施されて政策に反映されている。
また民間レベルで実施しているアンケートは、実施回数、サンプル形態など、行政よりも詳細な内容で
実施されている(例えば、東急リゾートが実施しているアンケート)。しかし、集約結果の情報交換もなく、
集約結果をさらに効率良く反映させるしくみが無く、せっかくの情報が活かされているとは言えないのが
現実である。
これらのことから言えるのは、町外の人からの倶知安町の情報(良いこと、悪いこと、普通のこと)を収集
し、その情報を関係者が共有して、それに対してアクション(対策もしくはアピールする)に繋げる仕組み
作りが重要であり、その仕組みをつくり観光局の管理のもとに反映する。
56
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
【方 法】
■ 情報の収集(ハードウェアのクレームと埋もれた観光資源の情報を取得する)
① アンケート
もっとも一般的な方法であるが、アンケート用紙によるアンケートの実施。
紙面へ記入するタイプのアンケートの継続実施と合わせ、観光ウェブサイト上でのアンケート募集
を行う。QRコード等を利用し、パンフレットやガイドブック等からの誘導を容易にすることで
なるべく多くの顧客に回答していただくことが大切である。
また、設問内容に関しても、「何を知りたいのか」「どういう設問が本音を引き出しやすいか」と
いったことを考慮しながら作る必要がある。
【ハワイの状況】
到着した顧客(任意)に日記帳形式のブックレットを渡し、顧客は滞在期間中の行動や思いついたこと、
並びに出費状況を書き込む。ハワイを離れる際に観光局にそのブックレットを提出すれば記念品がもらえる。
57
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
② コールセンター
顧客からの電話、メール、FAXによる問い合せを一括して管理するコールセンターを設置して、
情報を収集する。既に実施して成果をあげている札幌市、横浜市の運営に関して視察する。また、
顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)の観点から、民間企業の視察も行う。
【札幌の状況】 市政の総合案内コールセンター
札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」は、制度や手続き等の問合せや、イベント情報、
施設案内、その他暮らしのちょっとした質問にお答えする、いわば市政の総合案内センターです。
電話、FAX、Eメールで寄せられて
きた市民の質問に1ヵ所で集中的に
対応するワンストップ・サービス
を提供しています。受付時間は
土・日・休日を含む朝8時から
夜9時までで、センター運営は
すべて民間企業にアウトソーシ
ングされています。
58
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
札幌市コールセンターでは、約2,000件の「よくある質問」(FAQ)をもとに、民間企業のオペレー
ターが市民からの電話相談に応対しています。込み入った内容の質問が寄せられた場合は、市の担当者
から市民へ折り返し連絡する仕組みにしています。 コールセンターへの問い合わせ内容はデータベー
スで一元管理され、市役所の各部署にフィードバックされます。こうして市役所の各部署へ市民の生の
声が届けられることで、従来のように一方的な配給型の行政サービスから、市民の声に基づいた顧客志
向型の行政サービスへと変革することができるのです。 また、昨今話題となっている個人情報に対する
セキュリティ対策にも十分注意を払っており、データの取り扱いに対する情報システム上での利用制限
や、コールセンターの運営を行っている民間企業に対しても、厳重なセキュリティ対策の義務付けを行
っています。
アクセンチュア株式会社ウェブサイト http://www.accenture.com/ より引用
札幌市では、コールセンター開設にあたり、市民から市役所に寄せられる相談の内容を調査しました。
その結果、問い合わせ、苦情、要望、提言その他の項目のうち、問い合わせが82.5%を占めていました。
さらにその問い合わせの57.1%は、「簡単」または「やや簡単」な内容のものであることがわかりました。
この部分をワンストップ化し、市民の電話を集中させることで、市役所職員の電話応対時間を大幅に削
減することが可能であることがわかりました。 さらに、自治体コールセンターが、電子申請・届出などの
電子自治体の使い方をナビゲートするヘルプデスク機能を持つことで、電子自治体の普及のための大きな
推進力になると考えられています。その一方で、パソコンを利用しない市民に対しても、電話チャネルを
利用したハイタッチなサービスを提供することで、デジタル・デバイドの解消といったメリットもあり、
今後、本格化する電子自治体において、必須アイテムになることは間違いないといえます。
59
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
③ インターネット
Blog、SNSなどを活用して、情報を収集。
現在インターネットを利用した情報の収集・開示方法として、Blog(日記や体験、特定のトピックに
関する必ずしもウェブに限定されない話題などのような、時系列で比較的頻繁に記録される情報につい
てのウェブサイトとそのサイトを容易に構築できるシステム)やSNS(ソーシャル・ネットワーキン
グ・サービスの略。人々の「つながり」を重視して趣味や嗜好、仕事関係などを電子的に構築するサポ
ートをするサービス)を利用したものが大手企業においても積極的に取り入れられている。
【 日産の状況】
Blogを利用し、車両購入者から購入時の考慮点や実際に使い始めてからのコメント・評価などを
集積し、車種や評価カテゴリーごとに結果をグラフ化。次期車両開発へのフィードバックと共に、
その集積結果をサイト上で公開し、潜在顧客の車両購入に対する参考資料としている。
60
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
■ 集積と分析
前文でも述べたとおり、顧客の声を聞くということは、観光地において顧客が利用する施設=ハード
ウェアの不便さの解消やさらなる充実、真に求められているものへの転化を考える上で、また顧客の
ニーズやこの地に求めているものを把握し、不要な開発等を防ぐということにおいても非常に重要な
ことである。
しかしながら現状では、それぞれの組織がアンケートを実施しながらも、またその重要性はそれなりに
認識されていたにも関わらず、それらの結果を次に結びつけるような分析をすることも、それ以前に
その集計を持って何をどのようにしていくかと言うことについても深く議論がなされることはなかった
ように思われる。
平成15年度、初めての観光地倶知安戦略会議勉強会を行い、観光振興を通じた倶知安の活性化策を
具体的に考え始めた際、真っ先に直面した問題点がこのこと、つまりその為の羅針盤となるべきデータ=
お客様の声の集積が全くなされていなかったということであった。(奇しくも、この“有益な”観光データ
の集積・分析の重要性が全く行政に認識されていないということを、その年の中間報告発表会に出席され
た前ニセコ町長の逢坂誠二氏も発言されていた。)
それは、① どのような項目をどのように調査し、それらをどのように分析し、役立てていくかについて
の学習がなされていなかった。
② それら集められたデータを一括的に管理し、観光振興策に反映するための主導を担える組織が
存在していなかった。
の2点が大きな原因として上げられるのではないかと考える。
61
大 切 な の は “ お 客 様 の 声 ”
そこで当戦略会議として、
① 産官学の連携による集積・分析手法の学習と実施。
② その実施組織として、くっちゃん観光局の設立 を提案するものである。
■ 反映
くっちゃん観光局において集積・分析されたデータは、関係者、関係組織にフィードバックする。
また、クレーム等そのことを受けてどのような対応をしたか公表するべき事案は、観光局の責任の下で
ウェブサイト等の手段を用い公表する。
62
観光地づくりは、ひとづくり
【ミッション】
当委員会に与えられた使命、それは「倶知安町市街地におけるホスピタリティの向上市街地にお金を落
としてもらうための具体的施策」というものである。
当委員会が考えた施策は、ソフト面すなわち人材の養成をはかり、
「我が町倶知安を自信を持って紹介出来る」
という環境を作り上げることである。つまり、
「自分たちにとって良い町=お客様にとっても良い町」
であるということである。このことがお客様にとってのホスピタリティの良さと感じるものと考える。
我々本戦略会議は、
町民自身が倶知安を知り、コミュニケーションの方法を「学び」、
お客様に倶知安を「語れる」人材になろう
とう方向性を打ち出し、次の施策を行うことを提案します。
ウェルカム検討委員会
63
観光地づくりは、ひとづくり
【方法】
■ 倶知安の自然のすばらしさ、歴史と現状を知る(倶知安を知る)
■ 個人のコミュニケーション能力を高める(学ぶ)。
■ 他に対して倶知安を紹介する(語る)。
■ 倶知安を知る
● 小学校における体験型自然学習時間を増やす。
・ 現役倶知安ネイチャリストの活用
● レクレーショントレーナーの活用
・尻別川川下り、登山、ハイキング
● 町の歴史を知る。
・親子勉強会
・ ● シルバー世代による語り部の養成
● 各種イベントを体験する
● 倶知安の町や経済の学習
・ ・倶知安青年会議所主催の「倶知安たんけん隊」や 現役倶知安経済人による
小学校総合学習時間の活用
64
観光地づくりは、ひとづくり
■ 学 ぶ (コミュニケーション能力を高める)
● 小学生からの対話能力を育む話すこと・聞くことの学習
・ 子供サミットの開催
・ 子供議会(討論会)の実施
・ 言葉の教室
・ 総合学習に位置づける
● 世代間交流の促進
・ 世代、人種、障害の枠を超えた交流の機会を創出
・ 子供とシルバー世代の食事会の開催
● 外国人との交流促進
・ 倶知安町在住の外国人とのレクリエーション(自然遊び)の実施
・ 学校内職員(教員も含めて)への外国人登用-日常の中で当たり前のような触れ合い
学校用務補への外国人の登用
65
観光地づくりは、ひとづくり
■ 語 る (みんなが観光大使)
● エリアガイド認定制度の実施
・ 倶知安の歴史、ゆかりの人物(詩人の歌碑等も含め)、自然、地域案内等における知識や
語学能力、解説のわかりやすさ、お客様の立場に立った案内の能力でレベル分けをする。
・ 老若男女を問わず広く参加が可能
・ 生涯学習の場の創出
・ 郷土愛を持った子供の育成
・ 観光業界の即戦力の育成と地元雇用の促進
● 他地域との交流の推進
学校用務補への外国人の登用
66
最 後 に
本戦略会議は「地域が豊かになること、その手段として観光を発展させる」ことを観光地倶知安の今後の
方向性とした。そして倶知安が真の観光地となるには、
1.住民が倶知安の良さを再認識する
2.倶知安の良さを他地域の人たちに知らせる
3.訪れた人たちが楽しめる地域になる
という本当に単純であるこの3点を徹底することである。このことを本最終提言書は訴え、5分野の観点からその対策
を提案した。しかし、各提案の中で述べていた最も重要なことは、対策を
「誰が」[どのように実行すべきか」
である。対策や未来予想図は過去にも多くの提案書によって提示されてきた。しかし、それを実行するしくみや方法は
示されてはいなかったように思える。本戦略会議は対策や未来予想図ではなく、
対策を実行可能とするしくみ と 戦略
を提案する。将来のこの地域の発展、そして私たちの子孫が笑顔で暮らせる地域となるために私たち倶知安
住民は、自分の住んでいるこの地域を見つめ直し、自らの手で自立する地域にしなくてはいけない。

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