論文紹介

1. 論文紹介：バリューチェーン戦
略論からレイヤー戦略論へ
- 産業のレイヤー構造化への対応-
CATINDOG

2. この論文と，著者紹介
 早稲田大学WBS研究センター2013年
 根来龍之さん
 (社)コンピュータソフトウェア協会理事
 （社)日本自動車工業会JNX運営委員
 IT Japan Award審査員
 ITと車の記事や論文を投稿している

3. 「バリューチェーン型」から「レイヤー
型」への変化
 家電メーカをはじめとする日本企業の国際競争力低下の原因の一つは，日本企業
がネット化，デジタル化による産業構造の変化に対応できていないという認識に
基づく．
 日本企業が得意としてきたバリューチェーン統合による競争力強化の戦略が産業構造の
変化によって，必ずしも通用しなくなってきた．
 レイヤー型の産業構造への対応が求められている．

4. バリューチェーンとは
 もともと日本企業が得意とする戦略
 自動車業界における「ケイレツ」
 家電メーカの系列販売重視のチャネル戦略
 ユニクロの商品企画・製造・物流・販売までを一貫して行うもの

5. レイヤー構造とは
 Google
 検索サービスからスタートして，Gmail, 携帯電話OSなどの隣接レイヤーへの事業拡大
を行っている
 Amazon
 書籍からスタートして，なんでも売るようになり，映画や音楽の配信を行い，他企業の
ためのインフラ基盤の提供など
 バリューチェーン型の発展とは異なった考え方であり，階層的構造を持つ産業で
ある．

6. 産業がレイヤー構造化する原因
 産業のモジュール化になった理由
 1. インターネットの普及により，対象とする商品と売り手・書いてが同一時間，同一空
間で取引を行わなくてもよくなったため．
 2. 製品/サービスのソフトウェア化の進展．ハードとソフトが逆転する製品/サービスが
多く登場するようになってきた．
 3. ネットワーク利用がサービスの増加である．有線，無線などを通じてサービスを提供
することで，ハードとサービスの分離を可能とする．
 産業のモジュール化がレイヤー構造を引き起こす
 モジュール単位での商売が可能になり，消費者がモジュール単位で好きなものを選べる
ようになった状態を「産業のレイヤー構造化」と呼ぶ

7. バリューチェーンの構造とレイヤー構造
 バリューチェーンは
消費者の最終ステー
ジのみアクセス可能
製薬会社
の活動
卸の活動
病院の活
動
薬局の活
動
消費
者
製薬業界の例
電子書籍業界の例
電子コンテ
ンツ
コンテンツ
ストア
ハード
OS
ネットワーク
消費
者
消費者が各レイヤーに対して直接アクセス可能
バリューチェーン
レイヤー構造

8. レイヤー戦略論の提案
 1. 各レイヤーへの参入に関する課題
 2. レイヤースタックとしての課題
 各レイヤーを組み合わせたものをライバル製品/サービスを組み合わせた競争戦略の立
案が必要である
 3. ほかのレイヤーに関してどの程度オープンであるべきか
 他のレイヤーに対して行う戦略である
 4. 産業変革に関する課題
 新しいレイヤー構造を他社よりも先取りできるか

9. 伝統的モルタル産業のレイヤー構造化の可
能性
 ほとんどの産業においてネットワーク化とソフトウェア活用によって産業のモ
ジュール化の圧力がかかっていると考えられる．
 産業構造の変化に直面した時にこの課題にうまく対応できるかどうかが経営の運命を左
右する結果につながるという，著者の予想