2013年2月27日
株式会社マッシュマトリックス
    冨田 慎一
   冨田 慎一 (とみた しんいち)
   株式会社マッシュマトリックス
     代表取締役
   事業内容
    ◦ マッシュアップ技術を核にした企業向け
      情報ダッシュボード製品の販売
    ◦ クラウドコンピューティング環境における
      アプリケーション開発のコンサルティング
   クラウドコンピューティングサービスの成熟
    ◦ 基盤レイヤーの分業が進む(IaaS/PaaS/BaaS)
    ◦ 新興ベンチャー企業:
       低コストかつ高スピードでのサービス開発が可能に
    ◦ 既存ソフトウェアベンダー :
       既存資産を活かし移行の手間をかけずにサービス提供が
      可能に
   スマートデバイスの利用ユーザの急速な拡大
    ◦ タッチインターフェースによる利用シーンの拡大
    ◦ デバイスの大量普及とOSの標準化
    ◦ BYOD (=Bring Your Own Device) のニーズの高まり

             クラウド x スマートデバイスは
         今後確実に技術者の需要が見込まれる分野である
スマートデバイス/クラウドを活用したエンタープライズシステムを提供してい
るベンダー/サービス提供者のうち、特徴的なものを4種類ピックアップしヒアリ
ングを行った。

   A) 教材・アンケートなどのファイル共有・配信サービス

      インフォテリア株式会社 「Handbook」

   B) オフィスのペーパレス化と遠隔での同時会議

      日本インフォメーション株式会社 「スマートセッション」

   C) iPadによる低価格POSレジシステム

      株式会社ユビレジ 「ユビレジ」

   D) 車両やスタッフなどの動態管理

      株式会社日立ソリューションズ 「スマート e-trasus」
サービスの概要                               ユーザ事例 ~ 九州大学 ~
   ドキュメントやファイルなどのさまざまな情報                各種スマートデバイスへの対応により
    をiPhone / iPad / Android などの各種ス       持ち込み端末での利用を柔軟に実現
    マートデバイスに配信し共有できるビジネス・                教員や学生が迷わず操作できる洗練
    教育機関向けサービス                            されたUIでスマートデバイス向け教材
                                          開発に最適
   アンケートの取得やクイズ・試験など、対話的                オフライン環境下でもeラーニングの
    な利用も可能                                利用が可能になり学生の学習効率が
                                          向上

                                      サービス構成
                                         サーバはAmazon EC2をIaaSとして活
                                          用し、その上に自社Webサービスを構
                                          築
                                         アプリはObjective-C(iPhone)、Java
                                          (Android)によるネイティブアプリケー
                                          ション開発

                                      必要とされている技術および能力
                                         Webアプリケーション開発(PHP)
                                         データベース管理
                                         サーバの運用管理(Linux)
                                         オフライン対応アプリケーションの開発
                                         HTML5コンテンツの作成
サービスの概要                    ユーザ事例 ~ TBSテレビ ~
   サーバ上の仮想会議室に資料を格納し、複       ペーパーレス化による紙コストの削
    数の端末から資料の共有が可能なペーパー        減に加え、事前準備にかかってい
    レス会議システム                   た人的コストを削減
   通知によって複数端末に対してプレゼンの同      印刷された情報の漏えいを防ぎ、
    期コントロールを行える                セキュリティの向上
   拠点間の会議や社員研修・セミナーなどに威
    力を発揮する                 サービス構成
                              サーバはJava サーブレットを利用し
                               て開発。通知のために非同期APIを
                               利用。クラウド利用のほか、オンプレ
                               ミスでも稼働可。
                              アプリはObjective-Cでネイティブ開
                               発


                           必要とされている技術および能力
                              Webアプリケーション開発(サーブレット
                               API)
                              マルチスレッドプログラミング
                              オブジェクト指向等のプログラミングに関
                               する基礎の素養
サービスの概要                        ユーザ事例
   月額5,000円という低コストのPOSシステムの     ~ JR九州(つばめカフェ) ~
    サービス。高額なPOSレジを導入できない中小        店舗の雰囲気を壊さないPOS端末
    店舗をターゲットとしてユーザ数を拡大中            としてiPadを利用
   入力した会計情報はクラウドサービス上へ自          400名/日の来店者から売り上げ
    動的にアップロード。売上・客数・を分析しグラ         の集計・分析を行い、ピークタイム
    フで表示                           の把握などに役立てる

                               サービス構成
                                  サーバはRuby on Rails+MySQLで開
                                   発。現在PaaSへの移行を検討中
                                  アプリはiOS SDKを用いてObjective-
                                   Cでネイティブ開発

                               必要とされている技術および能力
                                  Webアプリケーション開発(Ruby on
                                   Rails)
                                  データベースの運用管理(MySQL)
                                  データベースアプリケーションの開発
                                  オフライン対応アプリケーションの開発
サービスの概要                        ユーザ事例 ~機械保守業務 ~
   GPSセンサと通信機能を利用して、車両や人員        オリジナルPOI配信機能を使った安
    などの資産を最適に配置・活用し、業務効率化          全情報の共有により、車両の事故率
    を実現する動態管理ソリューション               を低減し、車両の稼働率を引き上げ
                                   た。
   据付型ではなく汎用スマートデバイス             事故率を低減し、事故発生によるブラ
    (Android)を利用することにより車載機にか       ウン度イメージの失墜を未然に防止
    かるコストを圧縮                       した。

                               サービス構成
                                  サーバは国内IaaSサービスを利用。
                                   Javaサーブレット+
                                   MySQL&PostgreSQLで開発。
                                  アプリはAndroid端末。UIはJava、一部
                                   ロジックはCで記述


                               必要とされている技術および能力
                                  位置情報を利用したデータベースアプリ
                                   ケーション開発(MySQL/PostgreSQL)
                                  外部Webサービスとの連携(API)
                                  GPSなどのセンサーを利用したアプリケー
                                   ション開発
                                  地図を利用したアプリケーション開発
技術者に必要とされている知識、技術
     各種プログラミング言語を利用したWebアプリケーション開発
     OS・データベースなどの運用管理
     データベースアプリケーション開発
サービス開発のトレンド
   IaaSやPaaSを利用したサービスの構築が主流に
    ◦ レイヤーごとに分業できる体制が整ってきた
    ◦ サービス提供までのリードタイムが圧縮される
    ◦ コアとなる部分の開発に専念できる
教育プログラムの構築方向性

   専門家ではなくマルチプレイヤーが求められている
    ◦ 開発だけでなく、低レイヤー(ネットワーク・OS・データベースなど)の知識も現場
      では依然必要
    ◦ 運用を含めた開発(DevOps)ができる人材の必要性
    ◦ スペシャリスト人材については、プラットフォーム提供側に回るため、さらに高いレ
      ベルが求められており、競争力を高める必要がある
技術者に必要とされている知識、技術
     タッチベースのユーザインターフェースの構築
     各種センサーデバイス(GPSなど)の取り扱い
     オフライン対応(ローカルストレージ管理)
サービス開発のトレンド

   採用される開発形態は多種多彩
    ◦ 現在はiOS端末をターゲットとし、Androidが追随する場合が多い
    ◦ ネイティブ/HTML5/ハイブリッドなどがあるが、それぞれの利点欠点がある。
    ◦ まだ他のプレイヤーの参入もあり、流動的

教育プログラムの構築方向性

   学習内容を特定端末/OSなどに偏らせてしまうのは時期尚早
    ◦ ベンダの提供するSDKなどの端末に特化した知識ではなく、まんべんなく能力を
      伸ばすことが必要
    ◦ 流動性を見据え、常に最新情報をキャッチアップできるフットワークを身につける
   クラウドサービスは成熟期
    ◦ サービス構築はプラットフォーム活用が主流に
    ◦ 分業が進むにつれて、多層にわたる知識技量をもつマルチ
      プレイヤーの需要が増えてきている
        特定の専門的な知識だけでなく、システム全体を見渡
       せるような技術素養を身につけさせるべき

   スマートデバイス開発は発展途上
    ◦ 普遍的な正解はない。問題によって解法は変わる
    ◦ さらに市場状況も1-2年で変わることが予想される
        現時点の市場シェアにこだわらず、広く応用可能な題
       材を元に教育プログラムを組むべき

クラウド・スマートデバイス事例調査報告

  • 1.
  • 2.
    冨田 慎一 (とみた しんいち)  株式会社マッシュマトリックス 代表取締役  事業内容 ◦ マッシュアップ技術を核にした企業向け 情報ダッシュボード製品の販売 ◦ クラウドコンピューティング環境における アプリケーション開発のコンサルティング
  • 3.
    クラウドコンピューティングサービスの成熟 ◦ 基盤レイヤーの分業が進む(IaaS/PaaS/BaaS) ◦ 新興ベンチャー企業: 低コストかつ高スピードでのサービス開発が可能に ◦ 既存ソフトウェアベンダー : 既存資産を活かし移行の手間をかけずにサービス提供が 可能に  スマートデバイスの利用ユーザの急速な拡大 ◦ タッチインターフェースによる利用シーンの拡大 ◦ デバイスの大量普及とOSの標準化 ◦ BYOD (=Bring Your Own Device) のニーズの高まり クラウド x スマートデバイスは 今後確実に技術者の需要が見込まれる分野である
  • 4.
    スマートデバイス/クラウドを活用したエンタープライズシステムを提供してい るベンダー/サービス提供者のうち、特徴的なものを4種類ピックアップしヒアリ ングを行った。 A) 教材・アンケートなどのファイル共有・配信サービス  インフォテリア株式会社 「Handbook」 B) オフィスのペーパレス化と遠隔での同時会議  日本インフォメーション株式会社 「スマートセッション」 C) iPadによる低価格POSレジシステム  株式会社ユビレジ 「ユビレジ」 D) 車両やスタッフなどの動態管理  株式会社日立ソリューションズ 「スマート e-trasus」
  • 5.
    サービスの概要 ユーザ事例 ~ 九州大学 ~  ドキュメントやファイルなどのさまざまな情報  各種スマートデバイスへの対応により をiPhone / iPad / Android などの各種ス 持ち込み端末での利用を柔軟に実現 マートデバイスに配信し共有できるビジネス・  教員や学生が迷わず操作できる洗練 教育機関向けサービス されたUIでスマートデバイス向け教材 開発に最適  アンケートの取得やクイズ・試験など、対話的  オフライン環境下でもeラーニングの な利用も可能 利用が可能になり学生の学習効率が 向上 サービス構成  サーバはAmazon EC2をIaaSとして活 用し、その上に自社Webサービスを構 築  アプリはObjective-C(iPhone)、Java (Android)によるネイティブアプリケー ション開発 必要とされている技術および能力  Webアプリケーション開発(PHP)  データベース管理  サーバの運用管理(Linux)  オフライン対応アプリケーションの開発  HTML5コンテンツの作成
  • 6.
    サービスの概要 ユーザ事例 ~ TBSテレビ ~  サーバ上の仮想会議室に資料を格納し、複  ペーパーレス化による紙コストの削 数の端末から資料の共有が可能なペーパー 減に加え、事前準備にかかってい レス会議システム た人的コストを削減  通知によって複数端末に対してプレゼンの同  印刷された情報の漏えいを防ぎ、 期コントロールを行える セキュリティの向上  拠点間の会議や社員研修・セミナーなどに威 力を発揮する サービス構成  サーバはJava サーブレットを利用し て開発。通知のために非同期APIを 利用。クラウド利用のほか、オンプレ ミスでも稼働可。  アプリはObjective-Cでネイティブ開 発 必要とされている技術および能力  Webアプリケーション開発(サーブレット API)  マルチスレッドプログラミング  オブジェクト指向等のプログラミングに関 する基礎の素養
  • 7.
    サービスの概要 ユーザ事例  月額5,000円という低コストのPOSシステムの ~ JR九州(つばめカフェ) ~ サービス。高額なPOSレジを導入できない中小  店舗の雰囲気を壊さないPOS端末 店舗をターゲットとしてユーザ数を拡大中 としてiPadを利用  入力した会計情報はクラウドサービス上へ自  400名/日の来店者から売り上げ 動的にアップロード。売上・客数・を分析しグラ の集計・分析を行い、ピークタイム フで表示 の把握などに役立てる サービス構成  サーバはRuby on Rails+MySQLで開 発。現在PaaSへの移行を検討中  アプリはiOS SDKを用いてObjective- Cでネイティブ開発 必要とされている技術および能力  Webアプリケーション開発(Ruby on Rails)  データベースの運用管理(MySQL)  データベースアプリケーションの開発  オフライン対応アプリケーションの開発
  • 8.
    サービスの概要 ユーザ事例 ~機械保守業務 ~  GPSセンサと通信機能を利用して、車両や人員  オリジナルPOI配信機能を使った安 などの資産を最適に配置・活用し、業務効率化 全情報の共有により、車両の事故率 を実現する動態管理ソリューション を低減し、車両の稼働率を引き上げ た。  据付型ではなく汎用スマートデバイス  事故率を低減し、事故発生によるブラ (Android)を利用することにより車載機にか ウン度イメージの失墜を未然に防止 かるコストを圧縮 した。 サービス構成  サーバは国内IaaSサービスを利用。 Javaサーブレット+ MySQL&PostgreSQLで開発。  アプリはAndroid端末。UIはJava、一部 ロジックはCで記述 必要とされている技術および能力  位置情報を利用したデータベースアプリ ケーション開発(MySQL/PostgreSQL)  外部Webサービスとの連携(API)  GPSなどのセンサーを利用したアプリケー ション開発  地図を利用したアプリケーション開発
  • 9.
    技術者に必要とされている知識、技術  各種プログラミング言語を利用したWebアプリケーション開発  OS・データベースなどの運用管理  データベースアプリケーション開発 サービス開発のトレンド  IaaSやPaaSを利用したサービスの構築が主流に ◦ レイヤーごとに分業できる体制が整ってきた ◦ サービス提供までのリードタイムが圧縮される ◦ コアとなる部分の開発に専念できる 教育プログラムの構築方向性  専門家ではなくマルチプレイヤーが求められている ◦ 開発だけでなく、低レイヤー(ネットワーク・OS・データベースなど)の知識も現場 では依然必要 ◦ 運用を含めた開発(DevOps)ができる人材の必要性 ◦ スペシャリスト人材については、プラットフォーム提供側に回るため、さらに高いレ ベルが求められており、競争力を高める必要がある
  • 10.
    技術者に必要とされている知識、技術  タッチベースのユーザインターフェースの構築  各種センサーデバイス(GPSなど)の取り扱い  オフライン対応(ローカルストレージ管理) サービス開発のトレンド  採用される開発形態は多種多彩 ◦ 現在はiOS端末をターゲットとし、Androidが追随する場合が多い ◦ ネイティブ/HTML5/ハイブリッドなどがあるが、それぞれの利点欠点がある。 ◦ まだ他のプレイヤーの参入もあり、流動的 教育プログラムの構築方向性  学習内容を特定端末/OSなどに偏らせてしまうのは時期尚早 ◦ ベンダの提供するSDKなどの端末に特化した知識ではなく、まんべんなく能力を 伸ばすことが必要 ◦ 流動性を見据え、常に最新情報をキャッチアップできるフットワークを身につける
  • 11.
    クラウドサービスは成熟期 ◦ サービス構築はプラットフォーム活用が主流に ◦ 分業が進むにつれて、多層にわたる知識技量をもつマルチ プレイヤーの需要が増えてきている  特定の専門的な知識だけでなく、システム全体を見渡 せるような技術素養を身につけさせるべき  スマートデバイス開発は発展途上 ◦ 普遍的な正解はない。問題によって解法は変わる ◦ さらに市場状況も1-2年で変わることが予想される  現時点の市場シェアにこだわらず、広く応用可能な題 材を元に教育プログラムを組むべき