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100 人のプロが選んだソフトウェア開発の名著 君のために選んだ 1 冊




リーダーに求められる大切なこと

                          推薦理由:ソフトウェア開発を成功させるには、リーダ
阪井誠が                      ーが開発者の能力を最大限に発揮させなければなりま

リーダーを任されてしまった             せん。メンバーとして想像していただけではわからなか

                          った「リーダーにとって大切なこと」は、アジャイル開
あなたに贈る                    発も含めたすべての開発において参考になるでしょう。




「TSP ガイドブック:リーダー編」翔泳社, 2007 年
                                     W・ハンフリー 著 秋山義博訳




 この本には、ハンフリー氏の「観察や経験をまとめ」て、
                          「マネジメントに関する書籍で
はあまり取り上げられていない」
              「現場の作業担当者やチームリーダーが果たすべきリーダ
ーシップ役割について」書かれています。ハンフリー氏をご存知の方は意外に思われるか
もしれません。
 この本の著者であるカーネギーメロン大学(CMU) ソフトウェア工学研究所(SEI)のハン
フリー氏は組織のプロセス改善をモデル化した CMM/CMMI で有名な方です。この本のタ
イトルにある TSP(Team Software Process)は、ソフトウェア開発者の技量向上のための手
法である PSP(Personal Software Process)をベースとしたチーム作りの手法です。このよ
うに書くと、トップダウンの厳しいリーダーをイメージされるかもしれません。しかし、
かつて外科医チームと呼ばれたような強いリーダーを中心としたトップダウンチームが成
功するのは、リーダーがプロジェクトの端々まで掌握できるプロジェクトだけです。それ
以外のプロジェクトでリーダーに求められるのは、プロジェクトのメンバーである開発者
の能力を最大限に引き出す技術です。これは、アジャイル開発の世界でファシリテーショ
ンと呼ばれている言葉の定義そのものです。コンピューターに比べて不完全な人間がプロ
ジェクトを成功させるには、開発者がお互いに協力し合わなければならないのです。その
導き手が、プロジェクトリーダーであるあなたなのです。ハンフリー氏はソフトウェアエ
ンジニアリング、特にソフトウェアプロセスの高名な研究者であるだけでなく、
                                   「まえがき」
にあるように豊富な経験を持つリーダーです。その経験を踏まえたあなたへのアドバイス
が、この本には書かれています。
 私がこの本と出合ったのは、長年にわたる研究開発を終えて現場に復帰したころです。
久しぶりの受託開発でしたし、技術的にも詳しくない分野でした。そのような中で、この
本は忘れていた、否、気付いていなかった大切なことを教えてくれたのです。かつてリー
ダーをしていた時は、外科医チームとまではいかなくても、イザとなったら自分が何とか
する意気込みで、外部仕様から内部仕様まで全貌を把握して、プロジェクトをグイグイ引
っ張っていました。そのように技術的にわかるに越したことはないですが、この本にはも
っと大切なこと、コンセンサスを得て自律的な組織づくりをすること、計画を示すこと、
リーダーがプロジェクトのボトルネックにならないこと、下からプロジェクトを支えるこ
と、が示されていました。それは TSP の目指す品質の高い成果物の実現が可能な組織作り
に向けたものではありますが、アジャイル開発とも共通点の多いものでした。今にして思
えば、技術に自信はあった私が思い描いたリーダー像はスーパーメンバーとしてのリーダ
ーでした。自分が技術的に詳しい事を良いことに、自分の思い通りにメンバーを動かそう
としていたのでした。当時は運良くうまくいっていましたが、本来のリーダーの役割を果
たしていなかったのです。
 この本にあるように、メンバーの能力が発揮できる「自律的なチーム」を構築すべく、
                                       「リ
ーダーシップ」を発揮して「その最大限の能力を最大限発揮できるようメンバーを動機付
け、コーチし、後押しする」ことが重要だったのです。そのためには「フィードバックと
コミュニケーション」の提供や「動的な負荷調整」も必要です。また、
                               「管理することとリ
ードすることは違います」し、「人はリードされたいけれども管理されたくはない」ので、
「リーダーは部下を動機付け」るなど「下からリード」して「ゴールを達成」するべきだ
ったのです。
 リーダーである「あなたには常に責任があるのです」 そして
                        。    「マネジメントからすると、
あなたがチームそのもの」です。そんな厳しさがプロジェクトリーダーの現実です。もち
ろん、命をかけることはありませんが、やるからにはプロジェクトを成功させたいでしょ
う。
 「チーム全体を巻き込み、チームを働きがいがある楽しいところに」して、チームのメ
ンバーとゴールの達成した喜びを分かち合いたいでしょう。そんな「エキサイティング」
なリーダーの仕事を達成するには、根性だけでは不可能です。プロジェクトリーダーが開
発者とどのように関わるべきか、「扱いにくいチームメンバーの扱い方」に至るまで、この
本にはそんな大切なことがたくさん詰まっています。不安いっぱいだった私のように、こ
の本がきっとあなたも助けてくれるでしょう。




 阪井 誠
  ソフトウェアプロセスに興味を持つソフトウェア技術者,SEA 関西,RxTstudy 等で
  活動中.
     「Redmine によるタスクマネジメント実践技法」共著ほか

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  • 1. 100 人のプロが選んだソフトウェア開発の名著 君のために選んだ 1 冊 リーダーに求められる大切なこと 推薦理由:ソフトウェア開発を成功させるには、リーダ 阪井誠が ーが開発者の能力を最大限に発揮させなければなりま リーダーを任されてしまった せん。メンバーとして想像していただけではわからなか った「リーダーにとって大切なこと」は、アジャイル開 あなたに贈る 発も含めたすべての開発において参考になるでしょう。 「TSP ガイドブック:リーダー編」翔泳社, 2007 年 W・ハンフリー 著 秋山義博訳 この本には、ハンフリー氏の「観察や経験をまとめ」て、 「マネジメントに関する書籍で はあまり取り上げられていない」 「現場の作業担当者やチームリーダーが果たすべきリーダ ーシップ役割について」書かれています。ハンフリー氏をご存知の方は意外に思われるか もしれません。 この本の著者であるカーネギーメロン大学(CMU) ソフトウェア工学研究所(SEI)のハン フリー氏は組織のプロセス改善をモデル化した CMM/CMMI で有名な方です。この本のタ イトルにある TSP(Team Software Process)は、ソフトウェア開発者の技量向上のための手 法である PSP(Personal Software Process)をベースとしたチーム作りの手法です。このよ うに書くと、トップダウンの厳しいリーダーをイメージされるかもしれません。しかし、 かつて外科医チームと呼ばれたような強いリーダーを中心としたトップダウンチームが成 功するのは、リーダーがプロジェクトの端々まで掌握できるプロジェクトだけです。それ 以外のプロジェクトでリーダーに求められるのは、プロジェクトのメンバーである開発者 の能力を最大限に引き出す技術です。これは、アジャイル開発の世界でファシリテーショ ンと呼ばれている言葉の定義そのものです。コンピューターに比べて不完全な人間がプロ ジェクトを成功させるには、開発者がお互いに協力し合わなければならないのです。その 導き手が、プロジェクトリーダーであるあなたなのです。ハンフリー氏はソフトウェアエ ンジニアリング、特にソフトウェアプロセスの高名な研究者であるだけでなく、 「まえがき」 にあるように豊富な経験を持つリーダーです。その経験を踏まえたあなたへのアドバイス
  • 2. が、この本には書かれています。 私がこの本と出合ったのは、長年にわたる研究開発を終えて現場に復帰したころです。 久しぶりの受託開発でしたし、技術的にも詳しくない分野でした。そのような中で、この 本は忘れていた、否、気付いていなかった大切なことを教えてくれたのです。かつてリー ダーをしていた時は、外科医チームとまではいかなくても、イザとなったら自分が何とか する意気込みで、外部仕様から内部仕様まで全貌を把握して、プロジェクトをグイグイ引 っ張っていました。そのように技術的にわかるに越したことはないですが、この本にはも っと大切なこと、コンセンサスを得て自律的な組織づくりをすること、計画を示すこと、 リーダーがプロジェクトのボトルネックにならないこと、下からプロジェクトを支えるこ と、が示されていました。それは TSP の目指す品質の高い成果物の実現が可能な組織作り に向けたものではありますが、アジャイル開発とも共通点の多いものでした。今にして思 えば、技術に自信はあった私が思い描いたリーダー像はスーパーメンバーとしてのリーダ ーでした。自分が技術的に詳しい事を良いことに、自分の思い通りにメンバーを動かそう としていたのでした。当時は運良くうまくいっていましたが、本来のリーダーの役割を果 たしていなかったのです。 この本にあるように、メンバーの能力が発揮できる「自律的なチーム」を構築すべく、 「リ ーダーシップ」を発揮して「その最大限の能力を最大限発揮できるようメンバーを動機付 け、コーチし、後押しする」ことが重要だったのです。そのためには「フィードバックと コミュニケーション」の提供や「動的な負荷調整」も必要です。また、 「管理することとリ ードすることは違います」し、「人はリードされたいけれども管理されたくはない」ので、 「リーダーは部下を動機付け」るなど「下からリード」して「ゴールを達成」するべきだ ったのです。 リーダーである「あなたには常に責任があるのです」 そして 。 「マネジメントからすると、 あなたがチームそのもの」です。そんな厳しさがプロジェクトリーダーの現実です。もち ろん、命をかけることはありませんが、やるからにはプロジェクトを成功させたいでしょ う。 「チーム全体を巻き込み、チームを働きがいがある楽しいところに」して、チームのメ ンバーとゴールの達成した喜びを分かち合いたいでしょう。そんな「エキサイティング」 なリーダーの仕事を達成するには、根性だけでは不可能です。プロジェクトリーダーが開 発者とどのように関わるべきか、「扱いにくいチームメンバーの扱い方」に至るまで、この 本にはそんな大切なことがたくさん詰まっています。不安いっぱいだった私のように、こ の本がきっとあなたも助けてくれるでしょう。 阪井 誠 ソフトウェアプロセスに興味を持つソフトウェア技術者,SEA 関西,RxTstudy 等で 活動中. 「Redmine によるタスクマネジメント実践技法」共著ほか