オープンな次世代食・農情報流通基盤
シン・ノーバー Nober(農場)
~農業生産物の多様性を楽しむ~
2017.1
スマートプラットフォームフォーラム
デジタルコンテンツ分科会
アジェンダ
1.Noberの目指す姿
2.アイデア内容
2.1 アイデア概要
2.2 食・農情報流通プレイヤーに対するメリット
2.3 食・農情報流通のイノベーション
2.4 Noberの活用例
2.5 Noberデモサイト(プロトタイプ)
3.本年度の取り組み
3.1 全農産品目カバーに向けた横展開
3.2 事業者/関連団体との連携
4.来年度以降の取り組み
4.1 生産者サイドデータの取得
4.2 消費者サイドデータの取得
4.3 ビジネスシーンでのデータ活用
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消費者
小売
卸
物流
加工メーカ
農林水産業
Nober
プラットフォーム
Nober = オープンな次世代食・農情報流通基盤(プラットフォーム)
1. Noberの目指す姿
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農業生産者は、販売先の情報や評価を得たい。また、農産物だけではなく美味しい時期(食べ頃)やレ
シピ(食べ方)などの「情報」も合わせて提供したいと考えている。一方、消費者は安心・安全な食材、レ
シピに適した食材、成分、アレルギーなど多くのことを気にしている。このように生産者と消費者の双方に、得
たい情報と伝えたい情報があるが、現状は適切にマッチングがされていない。
その現状に対し、本取り組みでは、農業生産物の情報を「品種」レベルで整理し、品種の特性を識別可
能な状態にすることで、食・農に関する情報格差を解消することを目指している。
2. アイデア内容
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2.1. アイデア概要
品種A
品種C
品種E
消費
Xさんは今日はトマトパスタを作
ることにしたが、店先では最適な
品種を確認することは出来ず、
トマトとして選ぶことになる
生産
品種D
品種B
流通
生産者は品種に基づいて生産している
品種A
流通段階では品種を表す情報コードがなく
トマトという野菜名で扱われる
パスタに適した品種
品種B
品種D
品種A
Noberは、農林水産省の「品種登録データベース」をオープンデータとして活用し、 「生産者がどのように育てているか」
「どのような料理にあうか」「どのような効果があるか」などの情報を付加していくことで、より詳細で有益なデータベースに発
展していくという仕組みになっている。
生産物と消費者や外食産業の橋渡しの役割を担い、「必要とされる食材を、適した量、適した場所で、適した人が作る」
ことを実現する。品種名が付加された状態で流通することが実現出来れば、消費者の選択の幅が広がり、新たなニーズ
や付加価値が生まれる。
例えば「私はトマト嫌い」だと思っていた人が、「×××という品種のトマトは嫌いだけど、○○○という品種のトマトは好き」と
いうことになる可能性もあれば、料理のレシピによって品種を使い分けるといったことが可能になったり、隠れた匠の生産者や
生産物が流通企業のバイヤーの目に留まりやすくなったりする。
現状の課題
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•消費者情報が見えることによるマーケットの拡大
•消費者評価によるやりがいの向上
生産者サイド
•少量多品種多方面流通ネットワークの誕生
•付加価値サービスのビジネス提供機会の増加
•材料の選択の幅が広がる事と代替選択の可能
流通・外食サイド
•自らの嗜好に合った質の高い選択と入手が可能
•品種名により生産農家を選択でき、直接購入につなげられる
•同じ質の料理がバラツクことなく繰り返し作れる
•代替品の選択が可能
•レストランを選択する楽しみと料理の食後感の造詣が増える。
•消費者相互の食材に関する情報交換に具体性が伴い質が高まる。
消費者サイド
2.2. 食・農に関わるプレイヤーに対するメリット
Noberは、生産者や消費者、そして外食産業にもメリットがあり、食・農業に関する全てのプレイヤーをつなぐプラットフォー
ムである。具体的に提供できるメリットをまとめると、下記の通りとなる。
生産者の期待
• 消費者ニーズが見えることに
よるマーケティング力の向上と
品種改良(付加価値増)
• 販売機会の拡大による安定
供給と収益増
• 消費者レスポンスによるブラ
ンド力・差別化の強化
• 評価によるやりがいの向上
加工・外食の期待
• 安心・安全
• 専門性のある食材の選択確保
• 消費者への付加価値の提供
消費者の期待
• 安心・安全
• 生産物の情報比較の充実
(調理向け、味、)
• ブランド店使用と同じ作物
の選択可能
• 農家からの情報提供による
消費価値の高まり
Nober
感想を伝える(SNS等を介して)
流通業者
• 消費者ニーズと生産者の選択
• 安定供給(卸業者・小売業者)
トレーサビリティとの整合
登録
検索
収集
検索 収集
収集
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2.3. 食・農情報流通のイノベーション
食・農業に関する情報の伝達は、現時点でもアナログであり情報の集約化が進んでおらず、各プレイヤーがそれぞれの立場
で閲覧・利用できる仕組みは、今のところ存在していない。各プレイヤーの期待に応えることのできるプラットフォームが構築
できれば、大きなイノベーションを起こすことができると考えている。
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2.4. Noberの活用例
Noberの構築により、市場のニーズ情報と農産物の作付け・生育状況等の情報をつないで一元的に管理することができる
ようになれば、生産者と消費者の双方のニーズを適切にマッチングすることにより、価格暴落回避目的の産地廃棄などの
フードロスの低減、農業生産物の価格の安定化、さらには高付加価値作物の生産・販売の増加につながる。流通企業も
ニッチなニーズに対応できる少量多品種供給体制を構築できる。
さらに、配送の場面においても、Noberに集約された品種作付け・生育状況等の情報をもとに、地域の独自物流経路
(ローカルロジスティクス)を新たに構築することで、多額の輸送コストが低減され農業生産者の収益向上に貢献し、さらには
地産地消の促進につながる。
生産者
農業生産法人
流通・小売
Nober
マッチング・相互活用
データ参照
生
産
者
加工・外食事業
消
費
者評価
流通業者・
検索
収集
収集
SEICA
品種登録
データベース
野菜品種名鑑
手入力
品種名で紐づけ
(LODのリンクによる
対応づけ)
生産者情報
LOD化
レシピ情報
レストラン情報
品種情報
LOD化
品種に
関する
ユーザ
FAQ
各プレーヤ向け総合ポータル
品種名(入力)
▼
作っています。
出荷しています
種・苗売っています。
使っています。(レストラン)
小売店等
売っています
探しいています
手入力
教えて
goo
API
登録
2.5. Noberデモサイト(プロトタイプ)
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前述のアイデアに基づき、昨年度はトマト生産農家と品種名および出荷者のデータをLOD化し、またレシピや販売情報は
手入力、FAQサイトとも連携し、Noberデモサイト(プロトタイプ)を作成した。
3. 本年度の取り組み
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3.1. 全農産品目カバーに向けた横展開
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本年度は、全農産品目カバーに向けた横展開例として、昨年度のトマトに引き続き、さつまいものデータを使用したNober
デモサイト(さつまいもVer.)を作成した。また、昨年度よりデータの項目を充実させている。
3.2. 事業者/関連団体との連携
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昨年度の課題となっていた啓発活動の一環として、さつまいもを取り扱っている事業者や団体と、ホームページ上のリンクで
連携を行い、Noberの取り組みの周知を行った。
また、今後の事業性の検証として、 事業者がNoberを事業への活用の有効性を図るために、Noberデモサイト(さつまい
もVer.)の「売っています」カテゴリから、該当品種の通販サイトへのリンクが表示できるようにした。
Nober
関連事業者/団体
・さつまいもカンパニー合同会社
http://sweetpotato.co.jp
・日本いも類研究会
http://www.jrt.gr.jp
Nober単体でアクセス数を増やすことは難しいため、その農産物品目に関する事業
者/関連団体からリンクさせることで、Noberの利用を促進させる。
将来的には、品種情報や栽培情報など取得できるAPIをNober側に用意し、自
社サイトの情報として利用したり、事業や栽培計画などに活用できるようにする。
(API利用料を徴収)
「売っています」からリンクさせることで、通販サイトへの送客を行う。
TOPページや検索結果画面に内容にそった広告を募集し、広告費を、連携サイ
トを提供する企業から徴収する。「売っています」以外にも、「育てたい」というアク
ションの場合は、その品種の種や苗が買える種苗会社やホームセンター、農地検索
サイト等のバナーを表示することも考えられる。
4. 来年度以降の取り組み
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4.1. 生産者サイドデータの取得
現状、 生産者のデータは、SEICAネットに登録してある生産者情報をもとに手動にて作成しているため、データの作成に
時間がかかり、また、情報が最新であるかどうか、品種名が正確に登録されていないなどの問題がある。
今後Noberが継続的に発展していくためには、生産者情報取得の効率化が必須となってくるため、来年度以降は以下の
ような取り組みを行う予定である。
1.作業実績/生育状況管理サービスを提供している企業との連携
既存サービスに対しては、Noberに対してデータ提供してよいかの確認や規約の修正が必要となるが、正確な情報が得ら
れやすい。当面は生産者データのみかもしれないが、将来的に栽培情報の連携まで含めた取り組みへの発展がやりやすく
なる。
2. 関連団体やSNSなどからの登録推進の呼びかけ
SEICAネット同等かつ有用な項目を追加した登録フォームを用意して、生産者へ呼びかけを実施する。
メールアドレスやFAX等を登録してもらい、定期的に情報更新の案内を送付する。
生産データ蓄積
Nober
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4.2. 消費者サイドデータの取得
農産物の品種まで意識して購入を行っている消費者はまだ少数なのが実情である。また、そもそもどのような品種があるか、
品種によって違いがあるというところまで認識している消費者も少ない。
また、前述の通り、スーパーなどの小売店においては、品種がそもそも判別可能な状態で売られていないため、スーパーなど
で消費者の品種毎の「買いたい」「食べました」などの情報を得ることは難しい。
そのため、消費者サイドのデータ取得には、(品種を意識している)生産者と消費者が可能な限り近い販売場所が有効
だと思われ、そのような場所として、直売所が道の駅(直売所が内設されていることが多い)が当てはまると考えている。
上記のような考えから、以下のようなアプリケーション(Nober Go)を用意することで、消費者サイドのデータが効率よく収
集できるのではないかと考えている。
Nober Goの仕組み
アプリ操作
1. 直売所でNober Goを立ち上げる。
2. 自分の居る直売所が表示される。
3. 合っていればそのまま操作。間違っていればリストから選択。
4. 直売所で売っている農産物を撮影し、該当する品目/品種をリストから選択。(売ってるよ情報
として登録)
5. 購入して食べた場合は、調理済みの写真とともに「食べたよ」情報として登録させる。
利用者のメリット
1. 道の駅に対するチェックイン回数や地域内をどれだけ訪問したかに応じたメダルの授与
2. 登録した農産物の品種網羅度に応じたメダルの付与
3. 登録したアイテム数に応じてポイントが付与され、実際に農産物と交換することができる
※道の駅の情報として以下のオープンデータの活用が可能
http://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/list.html
4.3. ビジネスシーンでのデータ活用
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株式会社AWCLEが2017年製品化予定の「ベジサプリ」という野菜不足のビジネスマンをターゲットにした野菜ジュースマ
シーンの原材料コードにシン・ノーバーのデーターベースを活用させる想定。
ベジサプリとは
オフィスや飲食店、介護施設、学校、将来的には個人宅に導入してもらうネスカフェアンバサダーの野菜スムージ版。身体
の症状に合わせてジュースを選んだり、自分が飲んだジュースで1日に必要な栄養素をどれくらい摂取できたかがわかるサー
ビス。
※イメージ図
アプリを開くとジュースの種類をメニューで選ぶことができ、そのメ
ニューごとの品種、栄養素のデータにシン・ノーバーのデータ
ベースを連結させる。
Nober
品種データ
ベジサプリ
栄養素データ

オープンな次世代食・農情報流通基盤 Nober LODチャレンジ2016応募資料

Editor's Notes

  • #8 生産物に品種情報が加味された情報コードが付くことにより、生産者、消費者、加工/外食事業者間で、生産物情報が直接コネクトすることが可能となる。 農業生産消費マッチングシステムを名づける。 生産者は自分の作物の情報をマッチングシステムに登録する。 消費者・加工/外食事業者は食材の検索としてマッチングシステムを活用する 消費者は感想、口コミを直接生産者へ返すことも可能とする。 生産者の期待  システムを通して  ・消費者ニーズが見えることによるマーケティング力の向上が図れること  ・販売機会の拡大による安定供給と収益増  ・消費者レスポンスによるブランド力・差別化の強化  ・評価によるやりがいの向上 消費者の期待 ・安心・安全 ・生産物の情報比較の充実(調理向け、味、) ・ブランド店使用と同じ作物の選択可能性 ・農家からの情報提供による消費価値の高まり 加工の期待 ・安心・安全 ・専門性のある食材の選択確保 ・消費者への付加価値の提供 が想定されます。