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6.1:イントロダクション
6.1:イントロダクション
内容がほぼないため割愛
6.2:ツール選択
=学習の目的=
-
6.2:ツール選択
• テストツールの主な選択肢
①:商用ベンダーからのツール購入
②:オープンソースツール
③:カスタムツール
• どのツールを使うにしても、コストとメリットの分析が必要
• 詳細は「6.2.3 投資効果(ROI)」にて説明
6.2.1:オープンソースツール
=学習の目的=
TM-6.2.1 (K2)オープンソースツールを選択する場合のマネジメント上の問題点につい
て説明する。
6.2.1:オープンソースツール
• テストツールの主な選択肢【再掲】
①:商用ベンダーからのツール購入
②:オープンソースツール
③:カスタムツール
6.2.1:オープンソースツール
• テストプロセスのほぼすべての局面で使用可能
• 例)テストケースマネジメント、欠陥追跡、テストケース自動生成など
メリット
・初期購入コストが低い
・拡張性が高い
→カスタマイズや他ツールとの連携が可能
→複雑性と運用コストが高まるので、ROIを意識する必要あり
デメリット
・正式なサポートがない
→ただしユーザーの中に熱心なサポータが存在することも
・特定の用途&目的に限られる
→ベンダーツールよりも機能が制限されている
→故に、テストグループのニーズを入念に把握する必要がある
・正確性を保証しない
→正確性の保証は使用するチームの責任となる
→ミッションクリティカルなプロダクトの開発組織にとっては、問題になることも
6.2.1:オープンソースツール
• 使用するツールのライセンススキームを理解する必要がある
• 多くのオープンソースツールには
「GNU一般公衆利用許諾契約書」が存在する
• 「ツールを変更した場合、その変更を全ユーザーが利用できるよう
にする必要がある」というもの
• 自チームが行った変更を再配布することに伴う法的問題点を確
認する必要がある
6.2.2:カスタムツール
=学習の目的=
TM-6.2.2 (K2)カスタムツールを決定する場合のマネジメント上の問題点について説明
する。
6.2.2:カスタムツール
• テストツールの主な選択肢【再掲】
①:商用ベンダーからのツール購入
②:オープンソースツール
③:カスタムツール
6.2.2:カスタムツール
• カスタムツールの開発を検討すべき状況
• ベンダーツールやオープンソースツールでは対応できないニーズがある
• 利点
• チームのニーズに合わせられる
• 特徴
• 以下の機能を実装できる
• 他のツールと連携する機能
• データ作成機能
• 他のPJにも流用できる
• ただし、目的やメリデメの検討が必要
6.2.2:カスタムツール
• 導入時には、マイナス面の考慮も必要
• 例)
• 作成者以外がメンテナンスできるよう、文書化が必要
• 利用目的の変化やツールの機能拡張により、
ツールに品質上の問題が発生する
「カスタムツールもソフトウェアの1つである」
「他のプロダクトと同様、開発上の問題が発生しうる」
「カスタムツールにもテストが必要」
6.2.3:投資効果(ROI)
=学習の目的=
TM-6.2.3 (K4)ツール選択計画を策定するために、リスク、コスト、利点などを含む前
提の状況を評価する。
6.2.3:投資効果(ROI)
• ツール導入における、TMの責任
• ①ツールがチームの作業に付加価値をもたらすこと
• ②組織にプラスのROIが出るようにすること
• 常に効果(利点)が発揮できるよう、導入前に
初期コストと固定費からコストメリット分析を行う
• ツールが実運用できるまでは、ツール導入と実務(テスト業務)の
ダブルコストがかかる点に注意
• 複数のツールを使うケースが一般的。故に...
• ツール同士を連携して動作させること
• 使用する全ツールの相関関係から総ROIを計算すること
• 長期にわたる包括的なテストツール戦略をとること
6.2.3:投資効果(ROI)
初期コスト 固定費
ツール要件の定義 ツール所有コスト
(利用料金・メンテコスト・
トレーニング/メンタリングコスト)
ツールおよびベンダーの選定
ツールの購入・適用・開発 他環境へのツールの移植
初期トレーニング 将来のニーズへのツールの適用
他のツールとの統合
ツールを最適に使用するための、
品質とプロセスの改善
ツールサポートに必要な
ハード/ソフトウェアの購入
• ツール使用時の主なコスト
6.2.3:投資効果(ROI)
# リスク 説 明
1 チームが未成熟 組織がツールを使う準備が整っていない
2
成果物のメンテナンスが
困難になる可能性
テスト中のソフトウェアが変更されることにより、ツール
による成果物に複数の版が必要になるため
3 テスト価値の低下
Test Analystのテストタスクへのコミット減少により。
例)自動化したスクリプトを実行しているときのみ、欠陥
検出の効率が低下してしまうなど
• ツール使用時に考慮すべきリスク
6.2.3:投資効果(ROI)
# 利 点 説 明
1 反復作業の減少 -
2 テストサイクル時間の削減 -
3 テスト実行コストの削減 -
4 特定のテストタイプの実行数の増加 回帰テストなど
• ツールの利点(1/2)
6.2.3:投資効果(ROI)
# 利 点 説 明
5 人的エラーの減少
・データ生成ツールによる、テストデータの有効性向上
・比較ツールによる、テスト結果比較時の精度向上
・スクリプトツールによる、テストデータ入力の正確性向上
6
テストに関する情報にアクセスするた
めに必要な工数の削減
・ツールにより生成されたレポートおよびメトリクス
・テストケース、テストデータなどのテスト資産の再利用
7 可能になるテストタイプの増加 性能テスト、ロードテストなど
8
自動化を実現したテスト担当者の地位
および
テスト組織全体の地位の向上
-
• ツールの利点(2/2)
6.2.4:選択プロセス
=学習の目的=
-
6.2.4:選択プロセス
• テストツールは長期投資になり得る
• TMはツールの候補を、様々な観点から検討する必要がある
誰(何)にとって ツールのあるべき姿 必要なこと
ビジネス ・プラスのROIであること
・高い価値を得るために、ツール同士を相互
運用すること
・その為にツール利用プロセスを改善するこ
と
プロジェクト ・効率的であること
・ツールの投資効果が現れるまでには、長い
時間がかかることの認識
ツールのユーザー
・タスクをより効率的/効果
的に行えるようになること
・最小限のストレスでツール
を学習できること
・トレーニングとメンタリング
6.2.4:選択プロセス
• テストツールの選択プロセス(Foundation Level参照)
①組織の成熟度を評価
②ツール要件の洗い出し
③ツールの評価
④ベンダーorサービスサポートの評価
⑤トレーニングおよびメンタリングの内部要件の洗い出し
⑥トレーニングニーズの評価
⑦コストメリットの見積もり
6.2.4:選択プロセス
• 各ツールに対する、評価のポイント(1/3)
カテゴリ 評価すべき能力 備考
分析
与えられる入力を「理解」できるか?
目的に合致しているか?
設計
既存の情報に基づいて
テストウェア設計を支援するか
要件からテストケースを生成するテスト
設計ツールなど
自動的に設計が行えるか?
実際のテストウェアコードは、メンテナ
ンスおよび使用が可能な形式で、全部あ
るいは一部が生成されるか?
必要なテストデータは、自動的に生成さ
れるか?
コードを解析しデータを生成できるか
6.2.4:選択プロセス
• 各ツールに対する、評価のポイント(2/3)
カテゴリ 評価すべき能力 備考
データと
テストの
選択
必要なデータをどのように選択するか?
どのテストケースがどのデータセットを
使用して実行するかなど
手動または自動で入力した選択条件を受
け付けるか?
選択した入力に基づいて運用データを
「選別」する方法を決定できるか?
要件からテストケースを生成するテスト
設計ツールなど
カバレッジ基準に基づいて
必要なテストを決定できるか
指定した要件セットに基づいてトレーサ
ビリティを検証し、実行するテストケー
スを決定できるかなど
6.2.4:選択プロセス
• 各ツールに対する、評価のポイント(3/3)
カテゴリ 評価すべき能力 備考
実行
自動実行できるか?
どのように停止し再起動するか?
関連するイベントを「把握」できるか?
テストケースに対しレポートされた欠陥
をクローズした場合に、自動的にテスト
ケースのステータスを更新できるかなど
評価
適切な結果を受け取っているかどうかを
どのように確認できるか
たとえば、テストオラクルを使用して応
答の正しさを確認できるかなど
どのような種類のエラー回復能力を提供
するか?
適切なログ記録およびレポートの機能が
用意されているか?
6.3:ツールのライフサイクル
=学習の目的=
TM-6.3.1 (K2)ツールのライフサイクル内の各フェーズについて説明する。
6.3:ツールのライフサイクル
• TMがマネジメントすべき、ツールのライフサイクル
• 正常に機能し、サービスが故障なく提供されるようにする
# STEP 説 明
1 調達
● ツール管理者のアサイン
● ツールの利用方法・成果物の格納場所・命名規則などの決定
● ツールのユーザーへのトレーニング
2
サポートと
メンテナンス
● ツール維持の責任者のアサイン(管理者or専門のグループ)
● 連携して動作するためのプロセスの検討(ツール同士の連携時)
● バックアップ、リストア、その出力の検討
3 進化
● 外部要因(環境、ニーズ、ベンダーの問題)への対応
● ツールの継続性の確率
4 廃棄
● ツールの置換
● データの保持・アーカイブ
6.4:ツールのメトリクス
=学習の目的=
TM-6.4.1 (K2)ツールを活用することでメトリックの収集および評価がどのように改善
できるかを説明する。
6.4:ツールのメトリクス
• 様々なツールでリアルタイムデータを取得可能
• これらのデータを用いて全体的なテスト活動をマネジメントできる
• 重点的に収集するデータの種類は、ツールにより異なる(後述)
• ツールのレポート要件は、「ツール選択プロセス」で定義する
• これらの要件をツール構成時に適切に実装し、提供された情報はステー
クホルダに理解できる形でレポートする必要がある
6.4:ツールのメトリクス
# ツール種別 主な収集データ
1 テストマネジメントツール
● カバレッジメトリクス
● 利用可能なテスト・計画しているテスト
● 現在の実行ステータス
2 欠陥マネジメントツール
● 欠陥に関する現在のステータス
● 重要度・優先度・欠陥の分布
● 欠陥の混入/発見/検出フェーズや見逃し率
3 静的解析ツール ● 保守性の問題
4 性能テストツール ● システムの拡張性に関する情報
5 カバレッジツール ● テスト消化率
• ツール別にみた主な収集データ
おつかれさまでした!!

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