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[JaSST nano] テストケースを作ってもらうときに気を付けていたことをお話するの
- 2. 自己紹介 • ぞの（@yurizono） • 大阪出身、東京在住の34歳。妻と長男。 • 奈良先端大。ソフトウェア工学分野の人。 • 最近、転職しました。 • 大手SIer → 大手テストベンダーのベトナム現地法人 → ウェブ系
- 3. 今日伝えたいこと • 「テストケースを作る」を分解してとらえる • JSTQBを勉強した人にとっては当たり前の話（分析、設計、実装） • 私もFLだけ取りました • 知識としてはある • けど実際にその知識を運用するのって難しいなと思った • 自分なりに噛み砕いて腹落ちさせるのが大事 • 私の事例をご紹介
- 4. テストケースを作る、とは • JSTQBのテストプロセス（一部） • テスト分析：「何をテストするか」を決定する • テスト設計：「それをどうテストするか」を決定する • テスト実装：「テストの実行に必要なものすべてを準備したか」を確認する • 万能なテストプロセスは存在しない。 • プロジェクトやリリースごとに異なってよい。 • やるべきことを漏れなくやるために、やるべきことに名前がつけられ、グルーピング されたものがテストプロセス。 • 「テスト分析とテスト設計の境界線が分からないなー」 →自分で決めれば良い
- 5. 上手く作ってくれない例(1) 第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その 年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ 次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に 同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計し た金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相 当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞ れの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金 額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額 とする。 百九十五万円以下の金額 百分の五 百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 百分の十 三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十 六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 百分の二十三 九百万円を超え千八百万円以下の金額 百分の三十三 千八百万円を超え四千万円以下の金額 百分の四十 四千万円を超える金額 百分の四十五 仕様書これね。あがってき たプログラムのロジックに 誤りがないかを確認するテ ストケース作っておいて。 お任せ下さい！ （なんか難しいな……） 大丈夫かな……
- 6. 上手く作ってくれない例(2) できました！ 7ケースあります！ あれ、境界値みて くれたかな？ 第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その 年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ 次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に 同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計し た金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相 当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞ れの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金 額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額 とする。 百九十五万円以下の金額 百分の五 百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 百分の十 三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十 六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 百分の二十三 九百万円を超え千八百万円以下の金額 百分の三十三 千八百万円を超え四千万円以下の金額 百分の四十 四千万円を超える金額 百分の四十五 仕様書これね。あがってき たプログラムのロジックに 誤りがないかを確認するテ ストケース作っておいて。
- 7. 上手く作ってくれない例(3) できました！2744ケース ありますけど、いつやり ます？ 多いな！道理で時 間かかったわけ だ…… 第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その 年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ 次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に 同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計し た金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相 当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞ れの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金 額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額 とする。 百九十五万円以下の金額 百分の五 百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 百分の十 三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十 六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 百分の二十三 九百万円を超え千八百万円以下の金額 百分の三十三 千八百万円を超え四千万円以下の金額 百分の四十 四千万円を超える金額 百分の四十五 仕様書これね。あがってき たプログラムのロジックに 誤りがないかを確認するテ ストケース作っておいて。
- 8. 何が悪かったか • (1) テストベースを分析してテスト条件を導き出せない。 • 担当者のPJ歴が浅く、前提知識が足りていない？ • 丸投げのしすぎで必要となる情報が連携できていない。 • (2) テスト条件は導けているが、適切なテスト技法が使えていない。 • 担当者が、そのテスト技法を知らない？ • 依頼側はそのテスト技法を使うべきだと思っていたが、依頼された側は不要だと考えた。ケース の設計方針がずれている。 • (3) テスト技法は使えているが、優先度が想定と異なる。 • 担当者が優先度をわかってない？ • 依頼側が優先度や想定工数・期間を伝えていない。
- 9. テスト分析→設計→実装 • テスト分析 • 仕様書がそのままでは理解が難しい。理解した内容を表に整理しなおして、認識齟齬がないか開発と会話をした（控除を使う形式に描き直 し）。 • 仕様書に書かれた２種類のインプットに沿って２つのプログラムが開発されたとのこと。今回はそれぞれに対して同値分割をした上で境界 値分析を行い、それぞれ別個にテストすることとした（組み合わせは不要）。 • ケース数は∼40ケース程度を見込む。 • テスト設計 • 同値分割は仕様に書かれた通りだが、7つの同値クラスがある。境界値分析を用いて、6つの境界値に対して+1000および-1000の値（明記さ れていない仕様として、所得金額を記入するフォームが下三桁0固定である）をテスト条件として採用する。 • 0もテスト条件として採用する。 • 桁上がりの確認として、1億（課税山林所得金額については5億）もテスト条件として採用する。仕様上限は追って確認の上、テスト条件と して追加。 • 従って、「課税総所得金額又は課税退職金額」に対してテストケース20件、「課税山林所得金額」に対してテストケース20件を作成する。 • テスト実装 • 開発されたプログラムそれぞれに対し、入力値を与える手順、および出力値を確認する手順を確認する。 • テストケース表を完成させる。
- 10. テスト分析→設計→実装 • テスト分析 • 仕様書がそのままでは理解が難しい。理解した内容を表に整理しなおして、認識齟齬がないか開発と会話をした（控除を使う形式に描き直 し）。 • 仕様書に書かれた２種類のインプットに沿って２つのプログラムが開発されたとのこと。今回はそれぞれに対して同値分割をした上で境界 値分析を行い、それぞれ別個にテストすることとした（組み合わせは不要）。 • ケース数は∼40ケース程度を見込む。 • テスト設計 • 同値分割は仕様に書かれた通りだが、7つの同値クラスがある。境界値分析を用いて、6つの境界値に対して+1000および-1000の値（明記さ れていない仕様として、所得金額を記入するフォームが下三桁0固定である）をテスト条件として採用する。 • 0もテスト条件として採用する。 • 桁上がりの確認として、1億（課税山林所得金額については5億）もテスト条件として採用する。仕様上限は追って確認の上、テスト条件と して追加。 • 従って、「課税総所得金額又は課税退職金額」に対してテストケース20件、「課税山林所得金額」に対してテストケース20件を作成する。 • テスト実装 • 開発されたプログラムそれぞれに対し、入力値を与える手順、および出力値を確認する手順を確認する。 • テストケース表を完成させる。 なんか演習問題っぽくない？
- 11. テスト分析、設計、実装をとらえなおす • テスト分析 • 前提条件を整理して、問題を出題する。 • テスト設計 • 前提条件に従い、問題を解く。 • テスト実装 • 回答には求められない、細かいところを詰めていく。 ここは各メンバに任せたい。 一緒にやることも多い。
- 12. どうお願いすればよかったのか
- 13. 第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その 年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ 次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に 同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計し た金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相 当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞ れの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金 額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額 とする。 百九十五万円以下の金額 百分の五 百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 百分の十 三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十 六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 百分の二十三 九百万円を超え千八百万円以下の金額 百分の三十三 千八百万円を超え四千万円以下の金額 百分の四十 四千万円を超える金額 百分の四十五 所得税額の計算 入力「課税総所得金額」に対して、以下の 表に従って税率および控除額を求め、所得税額を計算する。 計算式は以下の通り。 所得税額＝(課税総所得金額 × 税率) - 控除額 課税総所得金額 税率 控除額 0円以上 195万円以下 5% 0円 195万円を超え、330万円以下 10% 97,500円 330万円を超え、695万円以下 20% 427,500円 695万円を超え、900万円以下 23% 636,000円 900万円を超え、1800万円以下 33% 1,536,000円 1800万円を超え、4000万円以下 40% 2,796,000円 4000万円を超え、∞円以下 45% 4,796,000円 問）以下の仕様に対し、同値分割および境界値分析を用いて テストケースを設計しなさい。テスト手順は省略して構いま せん。不明点があれば申し送り事項としてまとめなさい。な お、入力される所得金額の最小単位は千円とします。∼∼ 問）以下の仕様に対し、ロジックに誤りがないことを確 認するテストケースを設計せよ。 もしかして、 これがテスト分析？
- 14. 出題の心得 • 常に至れり尽くせりの出題をするのは大変 • これはあくまで、丁寧な出題をした例 • 場合によって出題難易度を変えれば良い • 依頼される側のスキルセット • 依頼される側と共有している知識やそれまでの背景 • テストベースの複雑さ • 初めてのプロダクトか否か
- 15. 出題の心得 • 出題難易度を変える、とは？ • より前工程まで任せると、その問題を解くのは難しくなる。 テスト分析 テスト設計 テスト実装 普通 難しい 問題文 問題文 回答 回答 易しい 問題文 回答
- 16. 出題の心得 • どこまでが出題（テスト分析）？ • 自分で決めて良い。どこまでがテスト分析で、どこまでがテスト設計か ということよりも、依頼された側がそれで十分だと思える情報と制約条 件が含まれた依頼（＝出題）となっていることが大事。 • 出題意図をしっかり伝える • 「疑問点が残っているので、開発に確認するところもお願いしたい」 • 「使う技法の検討も含めてお願いしたい」 • 「境界値をしっかり見て欲しい」