1. 「どうして初めての海外旅行にアイスランドに来る事にしたの？」
と聞かれて、一瞬答えに詰まった。アイスランドは何故世界ラン
地球儀で場所を確認するまで、アイスランドがどこにあるかさ クで上位を占める事が出来ているのかを知りたいというと聞こえ
え知らなかった私の、生まれて初めての一人旅。そして、生ま
はいいが、どうしてアイスランドに行く事にしたのか、実のとこ
れて初めての海外で起こった珍道中。 ろ私もよく判らない。親戚が暮らす国へ行ってみたいということ
も大きな理由である事は間違いないが、ただ一つ言えるのは、誰
も行った事の無いところへ行ってみたいという全くをもってわが
ままな私の性格もあったのだということだ。

2. エピローグ
空港では飛行機事故のニュースを流さないようにするべきだ！
アイスランドを食らい尽くせ
旅のコルクボードアイスランド編
こんな国アイスランド
壊れてるんじゃないの？この国際電話
ただいまとおかえり
口を開けての爆睡にご注意下さい
これでも一応２０歳なの
好きです、アイスランド
もくじ

3. 空港では
飛行機事故のニュースを流さないようにすべきだ！
前日の飛行機事故を受けて、新千歳空港のロビーのテレビでは、盛んに事 ない。「ここからは日本語は通じない。いいか、本当に独りだ。」と自分に
故の詳細を繰り返し報道していました。でもここまできたら覚悟を決める 言い聞かせて飛行機に乗り込んだ。がしかし、親切な事に日本人のフライ
しか無い。何か起こったら「なんて運がなかったんだ！」と思うしか無い。 トアテンダントさんが乗り込んでいるではないか。すっかり出鼻をくじか
東京までは良かったのです。東京までは、庭も同然（笑）しかし、成田空 れた感があったが、腹黒い血でいっぱいの血管が詰まらないことを祈りつ
港で私を待ち受けていたものとは。コペンハーゲン行きの飛行機の到着が つ、抱き心地抜群の備え付けミニクッションを抱きしめつつ、ハリーポッ
遅れているという洗礼。「の、乗り継ぎがあるのに。
」こういうところが肝 ターを読みつつの私のフライトが始まった。
が小さい私なのです。「間に合いますよー大丈夫ですよー。
」というスカン
ジナビア航空のお姉さんに励まされる。本当に間に合った。お陰で待ち時
間が短縮されスムーズに乗り換えられたという奇跡。サマータイムと日付
変更線に感謝感謝。スカンジナビア航空それは、最高の航空会社かもしれ

5. 次からだよ。
アイスランドを食らい尽くせ
アイスランド食事典

6. スキール
アプリコットケーキ
旅行中、毎日食した一品。一度、虜になるとなかなか忘れられない、
カフェで頼むと、なんとクリームがたくさん盛りつけられてくる。
ヨーグルトとも違う乳製品。ストロベリー、桃、チョコバナナ味を
このクリームが、植物性クリーム、動物性クリームを超えた、品の
食したが、ストロベリーが一番美味しく、チョコバナナ味は、小さ
いいクリームであっさりとしたケーキを引き立てている。ああ、思
い頃によく飲んだ誤摩化された薬のような必殺の味がする。
い出しただけでもヨダレが。これもほぼ毎日私のランチになってい
たもの。

7. レストランで食べたスパゲッティ アイスランド一美味しいと言われるソフトクリーム屋さん
貝の入ったスパゲッティだった気がする。暖炉やハイバックチェア ぶるぶると震えながら寒い日に食べるアイスはまた格別。小さめのサ
が待合室にあるようなおしゃれででも、超高級レストランという訳 イズなのに、大きなソフトクリームをチョコレートの海にドボンと入
でも無いがおいしいレストランにて。 れてくれる。半分だけつけるのが通な食べ方。アイスランドの人は、
平気で大きなアイスをぺろりと平らげる。でも、寒いのに。

8. 食べ物はこれで終わりだ
よ。スーパーで「これは牛
乳ですか？」と中学生英語
を遺憾なく発揮したのは他
でもない、この私。
蒸気で作ったパンのようなもの
ここでしか買えないらしいので購入。
レジのお兄さんが、本物か！と思うくらいトム・フェルトンに似て
かっこよかったけど、何も言うまい。うん。 だってアイスランド語
わかんないんだもん。

10. 地熱エネルギーの国アイスランド
水力発電と地熱発電によって国内の電力をまかなっている。また、地
熱発電所からの温排水を利用もしているので、蛇口をひねるとすぐに
熱いお湯が出る。
アイスランドのお金
通貨単位は kr( クローネ )。私が行ったときのレート
は 100kr がだいたい 160 円だった。紙を当てて擦っ
てみた。海に囲まれた国らしく魚やイルカがモチー
フになっている。
漁業の国アイスランド
タラの漁が盛ん。タラを干している様子。
キャシュレスの国アイスランド
クレジットカードを使っての支払いが多い。
現金を使うのは、子供か観光客くらい。

11. 壊れてるんじゃないの？この国際電話。
コペンハーゲンの空港の電話機はユニバーサルデザインじゃない。説明
どうりに操作してもうんともすんとも言わない。ムキになって何度か挑
戦するものの繋がらない電話。空港自体はとてもわかりやすいものなの
に、そこに置いてある電話がわかりづらいとは何事か！外国の方もネッ
トが出来ず困っていたぞ。後で気づいたが、料金はしっかり請求されて
いた。恐るべし。

12. 口を開けての爆睡にご注意下さい。
成田から新千歳の直行便が取れなかったことを思い出し、慌てて羽田へのリ
ムジンバスに乗り込む。羽田と成田、似ているようで別物ということを身を
持って体験。そりゃそうだ。
子供たちがロビーの窓から記念撮影をして、まさかこの機体じゃあるまいな、
と思っていたポケモンの機体に初めて乗る。もっと小さい頃なら心ときめい
ただろうに、中はピカチュウがいるわけでもなく、全然普通だった。そして、
恐ろしいほどの睡魔に教われ、離陸したその後の意識が全くない。おかげで
機内サービスのトロピカルジュースが飲めなかった。残念。気づいたら、そ
こはもう新千歳。口を半開きにし、よだれを垂らして寝ていたのかと思うと
ちょっと恥ずかしいが、一列占領している状態なので、多分誰にも見られて
はいないだろう。まあいいか。

13. ただいま
帰る場所
そこはきっと
誰かがいる場所
おかえり

14. 旅行中一番私を心配していたのは父と、祖父母。母は、というと、
「言
い出したら聞かないし、まあ事故になったらそのときは仕方ないと思
うしかないよね。」と、どしりと構えていたよう。夜もぐっすり眠れ
たとか。お陰で様で、なんの事件もなかったですけど。父は、心配で
心配で、パソコンの前でいつもメールを待っていたと母が語った。ご
めん、お父さん。全然メールしなくて。今度はノート型パソコン持っ
ていきたいから買っておくれ！祖父母は東京へ行っただけでも、「す
ごい！」と驚いていたのに、まさか海外だなんてと思っていたようだ。
でも、親戚のお姉さんがいるから大丈夫かと言い聞かせていたようだ
が、実際は、
「あんなに小さかった友香が、一人で旅に出るなんて！！」
と思ったに違いない。その後も、ことあるごとに、
「うちの孫がこん
なにちびっこなのに一人で旅してきたのよ。」と話していてちょっぴ
り恥ずかしかった。帰りの税関で色々聞かれたけど、これでも一応
20 歳なの。
これでも一応 20 歳なの

15. 毎年訪れたいほど、アイスランドが好きになった
自分の「世界」というものがいかに狭く、自分が思っている程、日本は知
られていないということに衝撃を受けた旅だった。インターネットに触れ
て、色々な言語のページを参照できるようになっても、結局自分の「世界」
というものは、自分の身の回りでしかなく、実際に外に出て、他との差異
の中で、より一層自分や自国を理解する事が出来るのだと身を以て体験で 参考文献参考サイト
きた機会であったと思う。アイスランド政府は、国として、人材の確保な フリー百科事典 wikipedia アイスランド http://ja.wikipedia.org/
どへ特別な取り組みはしていないと聞いた。国外へ勉強をしに出かけて行っ wiki/ アイスランド
た学生も、数年すれば、アイスランドへ戻ってくるそう。戻ってきたくなる、 駐日アイスランド共和国大使館 http://www.iceland.org/jp
他には無い魅力を、やはり外に出て感じるのかもしれない。
好きです。アイスランド。
2008 年 06 月 13 日
札幌市立大学デザイン学部メディアデザインコース 3 年
福浦友香
編集出版製本カバーデザイン、全部私。