2018年12月2日に開催された日本図書館協会主催、図書館基礎講座in東海「図書館の動向」で使用したスライドです。

1. 図書館基礎講座 in 東海
平成30年12月2日（日）
会場：田原文化会館
田原市中央図書館 是住 久美子
現代の図書館の動向

2. 2
０．自己紹介
是住 久美子（これずみ くみこ）
2003年～2018年
京都府立図書館勤務
2011年～2013年
国立国会図書館関西館勤務
2018年4月～
田原市中央図書館勤務

6. 本日のゴール
図書館を取り巻く状況を把握する
↓
モヤモヤ感を少し解消する
仕事に活かす
キャリアに活かす

7. １．統計から見る現代の図書館

8. 公立図書館数の推移
第104回全国図書館大会東京大会プログラム p10より
微増傾向

9. 第104回全国図書館大会東京大会プログラム p10より
未設置の市区町村
がまだ存在

10. 第104回全国図書館大会東京大会プログラム p10より
減少傾向

11. 第104回全国図書館大会東京大会プログラム p11より
図書館費が増
なのに資料費
が増えず

12. 第104回全国図書館大会東京大会プログラム p11より
全体数増
専任減
非常勤・委託派遣が増

13. 第104回全国図書館大会東京大会プログラム p11より
増加傾向

14. 15
２．ファシリティマネジメントと図書館

15. 16
公共施設等総合管理計画
昭和40年代～50年代に大量に建てられた公共施設の大規模修繕、
建て替え時期が到来
自治体の財政状況の悪化→全ての施設の現状維持は不可能
人口減少、高齢化→公共施設に対する需要の変化
公共施設の見直し
耐震化、長寿命化、統合、廃止を計画的に行う
PPP,PFIの活用

16. 17
３．まちづくりと図書館

17. 18
中心市街地の活性化に関する
法律の一部を改正する法律
住宅や店舗の郊外化、中心部の空洞化
人口減少、高齢化→行政サービス、インフラの全域維持が困難に
コンパクトシティの実現へ
中心市街地に都市機能を高密度にまとめ、徒歩や
公共交通での移動がしやすい都市
インフラの維持管理、福祉・医療等の行政サービスも
効率化

18. 19
中心市街地の活性化
にぎわいの創出
豊橋市 「第２期豊橋市中心市街地活性化基本計画」より
図書館の持つ集客力
の高さに注目

19. 20
図書館の首長部局への移管
中央教育審議会は図書館などの「公立社会教育施設」の
所管について“自治体の判断で教育委員会から首長部局に
移すことができる特例を認めるべきだ”と報告
教育委員会
図
書
館
博
物
館
公
民
館
学
校
首長
産
業
観
光
都
市
計
画
市
民
協
働

20. 21
図書館の首長部局への移管
図書館をまちづくりの中核施設にという思惑
・観光や産業を所管する部署との連携が円滑
になる（かも）
・他部署と一緒に補助金を申請することなどで
予算が潤沢になる（かも）
・政治的中立性の確保への懸念
・継続性・安定性の確保への懸念
・教育機関としての役割衰退の懸念
・指定管理者制度の導入が進む（かも）

21. 22
４．図書館の運営方法の変化

22. 民間資金
公的資金
公共 民間
運営関与度
民間事業
直営
業務委託
包括的
業務委託
公設民営
民設公営
指定管理
者制度
DBO
BTO
BOT
BOO
コンセッション
PPP
PFI
永見まり子氏作成

23. 24
公民連携 公の比率が大
直営
・正職員のみ
・正職員＋非常勤職員
・正職員＋非常勤職員＋施設維持管理等委託
・正職員＋非常勤職員＋施設維持管理等委託
＋図書館業務委託
・非常勤職員のみ
など

24. 25
公民連携 民の比率が大
指定管理者制度
2003年6月スタート。公共施設等の管理、運営を
企業やNPOなどの民間組織に運営を任せること
ができるようになった
PFI
1999年7月スタート。公共施設等の建設、維持管
理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能
力を活用して行う手法
指定管理者は
建築はやらない

25. 地方自治体
PFIの基本スキーム
特別目的会社
（SPC)
金融機関
保険会社
利用者
コンソーシアム
・建設会社
・運営会社
・図書館業務会社
PFI
事業契約
出資
委託契約
サービス
提供
契約

26. 27
PPP・PFIでも図書館は直営
パターン
・安城市図書情報館（アンフォーレ）
サービスの継続性を重視し、図書館は
直営とした
・紫波町図書館（オガール紫波）
PPPによる建物建設後、図書館部分を
SPCが紫波町に売却。町が運営。

27. 28
好む好まざるにかかわらず図書
館においても公民連携はいっそ
う進む傾向にある
・直営であっても、正規職員が減少し、非正規
職員が主力になっている現状がある
・直営であれ、指定管理であれ、限られた資源
を使って、質の高い図書館サービスを持続的
に提供し、図書館員の専門性が世間に理解
されなければ、本来の意味での図書館は滅び
てしまうかも

28. 図書館を取り巻く状況を把握すること無しに、図書館だけの理屈
で理想を並べても理解されにくい

29. 変化に適応し、学習し、自らをデザインして進化し続ける

30. 31
図書館の役割はより重要に
少子化、縮小社会、地域の危機
→持続可能な地域づくりのためには
行政のみならず社会全体が公共性を持つ
必要がある。
住民自ら様々な情報を収集し、多様な人たち
と協働しながら地域づくりを進める必要
→図書館の役割はますます重要になる

31. 32
地域のアクターと共創
図書館から地域へ出て図書館へのニーズ
を掘り起こし、図書館の可能性をひらく
まちの課題はまちに出ないと分からない
ファシリテーター、コーディネーター、
プロデューサーのスキルが必要に

32. 33
ライブラリアンとして
まちで生きていく
・館種の違い（公共、学校、大学、専門）
・正規、非正規
・現役、引退、異動
・独立系図書館員
・エンベデッドライブラリアン
・・・
1人のライブラリアンとして、まちにどう貢献し
ていくか

33. 34
モテる図書館員へ
一般的な「モテ」の定義
辞書的には
不特定多数の異性に
ちやほやされている状態
谷亮治さんスライドより

34. 35
モテる図書館員へ
誰かの幸せに貢献することで
本人に生じる諸現象
谷亮治、2014『モテるまちづくり−まちづくりに疲れた人へ。』
谷亮治さん作成スライドより

35. 36
しかし、迂闊にモテようとする
と、失敗する！
 モテた結果、自分の望んでいないことも返って
きうる！
 人の幸せに合わせて我慢したり自分のしたいこ
とを犠牲にしたりすると、「便利なアッシー君」に
はなれても、良いモテ方とはいえない
 かといって、「自分さえ良ければいいんだ」と他
人の幸せを犠牲にしても、やっぱりモテない
谷亮治さん作成スライドより

36. モテる図書館員とは
人の幸せに貢献する図書館サービス
を通じて自己実現を果たす人
のこと
谷亮治さん作成スライドを改変
公務員→図書館員
公務→図書館サービス

37. 38
ここで休憩

38. 39
６．注目されている図書館の事例

39. 40
訪問時の写真から
都城市立図書館 mallmall（2018年）
安城市図書情報館 アンフォーレ（2017年）
瀬戸内市民図書館 もみわ広場（2016年）
塩尻市立図書館 えんぱーく（2010年）

40. 41
トレンド
複合施設、カフェ
自習、飲食、会話OK
ラボ、キッチン、編集スペース
サードプレイス、場としての図書館

41. 42
５．オープンデータについて

42. 43
オープンデータって？
機械判読に適したデータ形式で、 二次利用が可能
な利用ルールで公開されたデータ
「オープン」の定義
・オープンなライセンス
・オープンなアクセス
・オープンな形式
営利・非営利関係なく
誰でも自由に利用できる。
加工できる。
再配布できる。
数値データだけではなく
文章や画像や映像などあら
ゆる著作物が対象

43. 44
クリエイティブコモンズライセンス
「この利用条件を守れば自由に使っても良いですよ」と
いう意思表示を世界標準のフォーマットで示す取り組み
クリエイティブ
コモンズライセンス
（全6種類）
表示ー継承：クレジットを表示し、かつ改変した場合には元の作品と
同じCCライセンスで公開する
表示：作品のクレジットを表示する
パブリックドメイン：保護期間終了、すべての権利を放棄
オープン
ライセンス

44. 45
Open GLAM
G:Gallery
L:Library
A:Archive
M:Museum
文化機関が持つ情報資源を
オープン化する動き
2013年OpenGLAM JAPAN設立
Europeana：欧州全域の図書館や博物館、美術館等の3500以
上の文化施設が持つ所蔵物5000万点の様々なデータを一括検索で
きるポータルサイト。メタデータは可能な限りCC0、デジタルアー
カイブ中、著作権が切れていて自由に利用可能である作品に対して
は、パブリックドメインであることを明示するマークを付与

45. 46
Europeana
Europeana https://www.europeana.eu/portal/en#

46. 47
Europeanaの仕組み
国や地域単位の
アグリゲータ
（National/Regional
Aggregator）
博物館・文書館・
図書館など、館種別
のアグリゲータ
（Domain Aggregator）
ファッション・食品・
飲料など主題別の
アグリゲータ
（Thematic Aggregator）
博物館・文書館・
図書館などの
データ提供者
（Memory Institution）
Europeana

47. 48
ジャパンサーチ構築へ
国立国会図書館ホームページ http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/201805jps.htmlより

48. 49
ジャパンサーチ構築へ
国立国会図書館ホームページ http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/201805jps.htmlより

49. 50
書誌データ、典拠データ等の
オープン化
NII(国立情報学研究所）
総合目録データベース（ NACSIS-CAT ）のデータ公開
CC-BYで書誌情報・所蔵情報・著者名典拠情報・統一書名典拠情報・
参加機関情報 ※参照MARC情報を除く
国立国会図書館
書誌データ（国立国会図書館サーチ）
典拠データ（国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス：Web NDL
Authorities）

50. 51
一次情報のオープン化
国立国会図書館デジタルコレクション
京都府立京都学・歴彩館
・東寺百合文書Web
・京の記憶アーカイブズ
http://www.archives.kyoto.jp/
大阪市立図書館デジタルアーカイブ
http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/
http://www.oml.city.osaka.lg.jp/?page_id=1636

51. 52
(大阪)貨船客船輻輳せる川口の盛観 ⇒？
オープンデータの活用

52. ウィキペディアタウンとは
ウィキペディアタウンとは、そ
の地域にある文化財や観光
名所などの情報をインター
ネット上の百科事典「ウィキペ
ディア」に掲載し、さらに掲載
記事へのアクセスの容易さを
実現した街（町）のことである
Wikipediaより
Wikipediaより
Wikipediaより
イギリスの
モンマス発祥

53. ウィキペディアタウン
ウィキペディアタウンとは・・・
まちの情報を住民たち自らWikipediaに編集し
たり、画像をWikimedia Commonsにアップ
ロードするイベント
Wikipediaの記事やWikimedia Commonsの画像も
クレジット表示で誰でも自由に利用できるオープン
データ
※画像の一部を除く

54. 図書館がウィキペディアタウンを
どのように支援しているか
会場を提供したり、
Wikipediaの編集に役立つような
資料を用意したり、
地域情報の調べ方
図書館の使い方
著作権についてのレクチャー
などをおこなっています。

55. Wikipediaを編集する際の約束
基本原則「五本の柱（Five pillars）」
「中立的な観点」
「独自研究は載せない」
「出典を明記」
図書館や図書館司書
がお役に立てます！
編集全般はベテラン
編集者であるウィキペ
ディアンがサポート

56. 関連する資料を用意
郷土資料は、
その地域の図書館が重点
的に収集しています

57. 新規作成
地元の情報を
その日のうちに世界
へ発信！

58. 地元の人が参加する
とこんな良い写真を
公開できる

59. 公共図書館ならではの資料が
大活躍！
『白川歳時記 : 白川
の里をたずねて 』
白山生活改善グル
ープ編, 1983.11
33p 19cm ¥50

60. By Ujigis（Wikimedia Commons）
拝殿前の砂の謎
ガイドさんも「今ま
で見たことない」と
のこと

61. 7月18日には、砂持ちや拝殿の障子の張替
が行われる。砂持ちでは、参道に寺川から上
げられた砂が運ばれてまかれる[11]。
脚注：白山生活改善グループ『白川歳時記ー
白川の里をたずねてー』，16p，白山生活改
善グループ、1983年

62. 小学生～70歳代まで世代や立場を超えた知識の交換、コラーニング
小・中・高校生の参加
・インターネットの情報を更新する体験を通じ、
情報の信頼性を見極める力がつく

63. ウィキペディアタウンを通じて
• 多様な人たちが集まり、学び合
い、対話しながら地域の情報を
編集、発信する
• 地域の魅力を再発見する
• 地域への愛着を育み、人が出会
い、交流し、新たな関係性を生
み出す
• 図書館の郷土資料が活躍する
• 図書館に来なかった人が来る！ Wikipediaよりウィキぺたん

64. 72
コアのサービスが充実してこそ
の周辺サービス
忘れてはならないのは、
図書館の核となる
コレクション構築
レファレンス能力
ネットワーク
があってこそ
このような周辺サービスが活きてくる

65. 73
大学図書館の動向

66. 74
オープンアクセス
1次情報：論文や書籍の本文
電子ジャーナル（ビッグディール契約）の高騰
→オープンアクセス
インターネット上で無料で利用可能，
全文の閲覧，ダウンロード等ができる
CC-BYまたはCC-BY-SAがオープンアクセス
の定義に合致
2次情報：タイトルや著者名等の書誌情報や所在や入手方法
の情報
各国の国立図書館が主導、OCLCのVIAF（国際バーチャ
ル典拠ファイル）なども

67. 75
教員による知識の伝達の教育から、学生
による主体的・能動的な学習へ
アクティブ・ラーニング
学生の自らの思考を促す能動的な学習
図書館の危機感：オンラインジャーナル等
電子化に付随した来館者減少
→ラーニングコモンズの設置が増加
アクティブラーニング

68. 同志社大学ラーニングコモンズ

69. 立命館大学ラーニングコモンズ

70. 78
おわり
ご質問等は korezumi@gmail.comへ