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ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第4講:充満の原理と新しい宇宙観——地動説の受容と「この世性」の復活
- 10. 5つのポイントの要点:神さまは無限力!
• 神さまの力は無限だ! 無限にあふれてこの世のすべてを
満たす! だからこの宇宙も無限で当然だ!地動説の言う
通りだ!
• 考えて実行しないなんてケチだ! 神さまはケチじゃな
い! だから考えられることはすべて実行し、創造する!
• だから他の恒星もすべて惑星を持ち、その惑星にはすべ
てウチュージンがいるはずだ!
訳者:この最後のところの理屈がよくわからないんだが、
思いつく可能性はすべてできないとダメ、ということらし
い。すると一つ目小僧やキングギドラがいまここにいると
いう想像ができるのにそれがいないのはなぜ、なんてこと
を考えた人もいるんだろうが、追求しません。
- 12. ニコラウス・クザーヌス
(1401−1464)
• 『学識ある無知について』(1440)
• 人間は、勉強すればするほど無知を悟るしかないんだよー。
• なぜって、宇宙はでっかいじゃないか (無限とは言えない時代)。人間
がいくら勉強したって、それに比べれば無知だろ?
• 世界に外周があったら、その向こうがあることになっちゃう! だか
ら世界は外周はないし、外周がなければ中心もないんだ!
• 地球が中心だとか言うヤツは、運動が相対的なのがわかんないだけ。
• 宇宙は広いし神さまは無駄なことはしないから、他の世界もあるよ
な! ウチュージンいるよな!
• でもそれ考え始めるとわけわかんなくなる、あー勉強するほど無知に
なります。
• 天動説は支持しているような、いないような。それっぽいことは言ってい
るが、一方でプトレマイオス系支持を明言してる。単に「勉強すると矛盾
した話が出てきて無知が実感される」と言いたいだけかも。
- 14. ガリレオ (1564-1642)
• 『天文対話』(1632)
• 世界の無限性は否定 (表向きは)
• ウチュージンがいるかどうかは、かなり慎重。
• 観察でわからないところは、まあ神さまが手抜きをしたと考えるべき理
由はないから、充満の原理を使っとこうかねえ、という立場。
• (訳者の感想:ラヴジョイは、ガリレオも充満の原理に影響されて
いたと言いたげだが、記述を見るとむしろ観察を重視して、変な
原理は観察できないところの憶測に使うだけ、というきわめて近
代的な態度だと思う)
- 16. パスカル (1623-1662)
• 『パンセ』(死後出版)
• 人間、思い上がっちゃいけねーよ、しか言ってない!
• 宇宙は無限、他にも世界がある、だから人間はちっぽけ。その思索も、
すごいけどゴミカス。
• 言ってることはクザーヌスと同じ。
• でもウチュージンは信じない。宇宙で人間孤独だと思ってる。
L'éternel silence de ces espaces infinis m'effraie.
(この無限の空間の永遠なる沈黙に私は怯える)
• 本気で信じているという、人間サゲに使う屁理屈として宇宙
の無限性を持ちだしてきただけ、かも。
- 17. フォントネル (1657-1757)
• 『世界の複数性についての対話』(1686)
• 地動説と、世界の複数性を広めた当時の通俗ベストセ
ラー科学解説書。
• 侯爵夫人のところにいって、ムフフになるかと思ったら天文
学の話をするというラノベ風味のブルーバックスみたいな本
• 他の星にも(たぶん)ウチュージンいるんだぜ、という
全体の理論は充満の理論に頼っているが、月には大気
がないから月人間はいないだろうとか、最終的には充
満の理論からの推論は全部憶測だと認めるとか、結構
えらい
- 18. カント (1724−1802)
• Cosmologische Briefe (1761) 、『天界の一般的自然史と理
論』(1755)
• 神さまスーパーパワフルなんだから、できること全部やっ
てるに決まってるだろ?
• 無限なんか考えられないって? 神さまは無限の未来全部
見通せるだろ? だから無限を考えるのは不可能ではない。
空間の無限だって扱えるに決まってるっしょ!
• でも∞-100=∞だろ。だから無限の空間に有限の空いた箇
所があっても無問題! すべての星にウチュージンがいな
くてもいいんだよ!
• (それに、そのうち条件がそろえばそこもウチュージンが
生まれるんじゃね?)