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3. 除染効果実証実験
3.1 伊達市下小国地区における実証実験
伊達市下小国地区の除染効果実証実験事業(以下,「実証事業」という。)は図 2.2.1 の手
順に沿って行った。本実証事業の実施工程を図 3.1-1 に示す。
8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
除染実施区域の選定
除染方法に係る基本的な考え方の検討
除染実施区域内の詳細な放射線量当量率測定
主な点の土壌・植物の採取/放射能濃度測定
除染方法・手順の検討
除染効果評価システムを用いた除染目標等の検討
関係者からの意見、要望等の反映 (国・自治体・地元へ
の説明)
除染計画決定(除染方法・工程,除染目標等)
多様な汚染源を含む広範囲の除染作業
除染中の放射線量当量率の測定
除染に伴う除去物の保管
除染後の放射線量率等の測定・除染効果の確認
除去物発生量,コスト,安全性等の評価
保管中の除去物の監視,記録の管理
除染計画の決定
除染技術の実証
除染技術の評価と除
染後管理
契約事務
図3 伊達市下小国地区における除染効果実証実験事業の実施工程
項目
2011年 2012年
除染に係る基本方針
の検討
除染前の放射線量当
量率等の測定
図 3.1-1 伊達市下小国地区における除染効果実証実験事業の実施工程
3.1.1 除染に係る基本方針の検討
(1) 除染実施区域の選定
伊達市下小国地区は,今後自治体,コミュニティ等が行う除染活動の対象となる家屋(庭
を含む),畑,牧草地,果樹園,森林,道路,公共施設(中央集会所)等の様々な要素を区
域内に含んでいたこと,区域内に特定避難勧奨地点に指定された家屋が含まれるなど区域内
の空間線量率(3 章においては,「線量当量率」を「線量率」と記載する。)が比較的高か
ったこと,同地区内にある中央集会所及びその広場の所有者が伊達市であるため同広場を除
去物の一時保管施設の設置場所として使用できる可能性があったことから,実証事業の除染
実施区域として選定された(図 3.1.1-1 及び図 3.1.1-2)。本区域の面積は約 28,400m2
である。
(2) 除染方法の基本的な考え方
伊達市下小国地区の除染方法は,実証事業の目的,同区域の雨水に係る排水設備等の状況
等を踏まえて,以下の基本的考え方に基づいて選定することとした。
・本実証事業の知見等が,各自治体,コミュニティ等の今後の除染活動に反映されることを
考慮し,各自治体,コミュニティ等が容易に実施可能で,実践的な除染方法を用いること
とする。
・伊達市下小国地区においては,ほとんどの雨水等は雨樋を経て周辺土壌に放出されている
ことから,家屋の屋根,樋等の除染作業に大量の水を使用する場合,これに伴って発生す
る排水が周辺土壌の汚染をさらに拡大する恐れがある。また,本排水を回収する場合,別
途その処理設備等が必要となる。従って,できる限り水を使用しない除染方法を用いるこ
ととする。
- 10 -
・今後の中間貯蔵施設及び処分場の用地確保の困難さを考慮し,除去物の発生量ができる限
り少ない除染法を用いることとする。
・伊達市下小国地区には急傾斜地等があり,除染作業中・後の本急傾斜地等の土砂流出,崩
落防止等を考慮した除染方法を用いることとする。
図 3.1.1-1 伊達市下小国地区の位置
図 3.1.1-2 伊達市下小国地区における除染対象区域の鳥瞰図
- 11 -
3.1.2 除染前の放射線量率等の測定
除染前の放射線量率等の測定は,除染作業計画の策定,除染効果の評価等に必要な除染作
業前の汚染状況を把握することを目的として,平成 23 年 8 月 23 日(火)~24 日(水)及び
9 月 6 日(火)に,主に以下の項目について行った。測定に先立ち,除染実施区域を,家屋,
土地の利用状況等に基づいた複数の除染エリアに区分し(図 3.1.2-1),除染エリア毎の状況
に応じた測定を行うこととした。
・ 空間線量率分布(全区域)
・土壌の深さ方向の放射性物質濃度分布(畑,果樹園,牧草地,森林等)
図 3.1.2-1 除染エリア区分図
(1) 空間線量率分布
除染実施区域を含む広範囲の区域を対象として,事前に汚染状況の概要を把握するとの観
点から無人ヘリによるサーベイを行うとともに,除染実施区域について,被ばく線量評価の
観点から地表面等から 1m 高さにおいて,また,周辺と比べて局所的に空間線量率が高い箇
所(以下,「ホットスポット」という。)をより正確に特定するとの観点から地表面等から
1cm 高さにおいて,それぞれ NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定するとと
もに,同サーベイメータの測定範囲を超える場合は電離箱式サーベイメータを用いて測定し
た。
測定ポイントについては,各自治体,コミュニティ等が除染作業を行う際に留意すべき場
所が明確となるように,家屋の外周りを中心としてより詳細に設定した。
家屋内については部屋毎に中央部及び四隅を,また,家屋の外周りについては 2m メッシ
ュ毎のポイントを,それぞれ測定ポイントとすることを原則にするとともに,過去の知見等
から空間線量率が高いと考えられる雨樋出口等の場所を測定ポイントに加えた。
- 12 -
家屋以外の畑,牧草地,果樹園等については,10m メッシュ毎に測定ポイントを設定する
ことを原則としたが,測定点から測定点に移動する際には地表面から 1 m 高さでの測定を継
続し,線量率が大きく変動する箇所が確認された場合は,10 m より短い間隔でも適宜測定ポ
イントとした。
測定結果を図 3.1.2-2~図 3.1.2-15 に示す。
家屋内については傾斜地,牧草地及び森林に面した場所が他の場所より線量率が高い。ま
た,家屋外周辺の地表面等から 1cm 高さにおいては,雨樋出口,側溝等でホットスポットが
確認された。
家屋以外では,地表面等から 1 m 高さの測定位置において,牧草地,果樹園,集会所広場
等で比較的高い空間線量率が測定された。また,ホットスポットが,牧草地の牧草ロール,
集会所広場の樹木の根元,舗装道路の割れ目等に多数確認された。
- 13 -
図 3.1.2-2 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-3 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1cm 高さ)
- 14 -
図 3.1.2-4 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-5 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1cm 高さ)
- 15 -
図 3.1.2-6 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-7 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1cm 高さ)
- 16 -
図 3.1.2-8 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-9 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1cm 高さ)
- 17 -
図 3.1.2-10 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-11 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1cm 高さ)
- 18 -
図 3.1.2-12 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1m 高さ)
図 3.1.2-13 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1cm 高さ)
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線量率区分
(単位:μSv/h)
● 1 未満
● 1~3
● 3~5
● 5~10
●10~20
●20~30
●30 以上
図 3.1.2-14 除染前の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1m 高さ)
- 20 -
図 3.1.2-15 除染前の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1cm 高さ)
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(2) 土壌の深さ方向の放射性物質濃度分布
土壌(森林内部の腐葉土を含む)を対象に,文部科学省が開催する調査研究協力者会議等(科
学技術・学術政策)の「第一回放射線量等分布マップの作成等に係る検討会」における配布資料
第 1-4-2-2 号「土壌濃度マップの作成に向けた土壌試料採取の方法について」に準拠して,畑,
牧草地,果樹園等において試料を採取し,Ge 半導体検出器及びγ線スペクトル分析器を用いて
深さ方向の放射能濃度分布を測定・評価した。
土壌試料の採取位置を図 3.1.2-16 に,土壌試料中の Cs-134 及び Cs-137 の放射能濃度の分析結
果を表 3.1.2-1 に示す。放射性セシウムの土壌への浸透深さは,福島第一原子力発電所から放射
性セシウムが放出された後のトラクターによる畑の耕作などの土地の利用状況に応じて,5cm~
20cm 程度と評価された。
図 3.1.2-16 土壌試料の採取位置
- 22 -
表 3.1.2-1 土壌試料中の 134
Cs 及び 137
Cs の放射能濃度の分析結果
深さ Cs-134 Cs-137
(cm) (Bq/kg) (Bq/kg)
0 – 3 (5.11±0.21)e2 (7.44±0.27)e2
8 – 13 (5.26±0.93)e1 (1.10±0.12)e2
13 – 18 (3.68±1.08)e1 L.T.D.(≤3σ)
0 – 3 3.20E+03 4.00E+03
10 – 13 1.00E+03 1.40E+03
15 – 18 3.00E+02 3.70E+03
20 – 23 1.30E+02 1.80E+02
0 – 3 3.60E+03 4.70E+03
5 – 8 6.40E+02 8.70E+02
10 – 13 8.00E+01 1.10E+02
15 – 18 7.20E+01 8.30E+01
20 – 23 N.D. 2.30E+01
0 – 5 (1.13±0.03)e3 (1.47±0.03)e3
5 – 10 (1.85±0.11)e2 (2.39±0.13)e2
10 – 15 (3.11±0.54)e1 (4.11±0.61)e1
15 – 20 N.D. (2.51±0.52)e1
0 – 3 (6.42±0.06)e3 (8.48±0.07)e3
3 – 5 (2.83±0.14)e2 (3.52±0.18)e2
5 – 9 (4.52±0.54)e1 (6.73±0.72)e1
9 – 14 (2.29±0.41)e1 (1.58±0.51)e1
0 – 5 (1.49±0.03)e3 (1.92±0.04)e3
10 – 15 N.D. (4.38±0.80)e1
16 – 21 (5.30±0.72)e1 (5.96±0.86)e1
22 – N.D. N.D.
0 – 4 (1.03±0.02)e3 (1.35±0.03)e3
4 – 8 (1.33±0.09)e2 (1.74±0.11)e2
9 – 14 (5.84±0.69)e1 (7.51±0.87)e1
14 – 18 (4.10±0.49)e1 (7.04±0.69)e1
0 – 3 (1.63±0.03)e3 (2.18±0.03)e3
3 – 5 (2.30±0.03)e3 (3.00±0.04)e3
7 – 10 (4.98±0.15)e2 (6.52±0.18)e2
10 – 13 (6.25±0.70)e1 (1.02±0.09)e2
14 – 18 (2.02±0.42)e1 (3.07±0.56)e1
0 – 6 (5.19±0.05)e3 (7.05±0.06)e3
6 – 9 (1.61±0.10)e2 (2.27±0.13)e2
9 – 11 L.T.D. (2.29±0.61)e1
11 – 13 N.D. N.D.
13 – 15 N.D. (2.43±0.78)e1
0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4
4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3
7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1
11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1
13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1
0 – 4 (1.86±0.03)e3 (2.48±0.04)e3
4 – 8 (1.93±0.03)e3 (2.63±0.03)e3
8 – 11 (1.75±0.03)e3 (2.27±0.03)e3
11 – 14 (6.41±0.17)e2 (8.89±0.21)e2
14 – 15 (7.18±0.60)e1 (9.26±0.75)e1
0 – 5 1.00E+03 1.30E+03
5 – 10 N.D. N.D.
10 – 15 N.D. N.D.
15 – 20 N.D. N.D.
0 – 5 1.50E+03 2.00E+03
10 – 13 1.20E+03 1.60E+03
15 – 18 1.50E+01 N.D.
20 – 23 N.D. N.D.
備考除染エリア
H23/9/6
H23/9/6
H23/9/6
土壌採取日土壌採取場所
①
②
H23/8/23-24
H23/9/6
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
M11
⑪
⑫
⑬
H23/9/6
H23/8/23-24
H23/8/23-24
H23/9/6
H23/9/6
H23/9/6
H23/9/6
③
④
M21
M21
M21
M41
牧草地(未耕作)
畑(耕作)
M23
M42
M51南
M32
未耕作地
畑(耕作)
畑(トラクター耕作)
畑(耕作後)
M31
M31
M12
M43
H23/8/23-24
- 23 -
3.1.3 除染作業計画の策定
(1) 除染範囲
当初,図 3.1.1-2 に示した伊達市下小国地区における除染対象域区域の全域を除染実施区域と
していたが,後述するように(3.1.3(8)参照),同区域にある畑の耕作者等の要望を踏まえ,畑の
一部を除染範囲から外すこととした。図 3.1.3-1 に除染範囲を示す。
図 3.1.3-1 除染範囲
(2) 除染目標
「除染に関する緊急実施基本方針」(原子力災害対策本部,2011)で示された「除染実施にお
ける暫定目標」を踏まえ,本実証事業では,除染実施区域における空間線量率を除染前の 1/2 に低
減することを目標とし,これを達成するため,ホットスポットについては地表面等から 1 cm 高
さにおける空間線量率が少なくとも 3.0μSv/h を下回るまで,それ以外の測定ポイントについては,
同高さでの空間線量率が少なくとも除染前の値の 1/2 になるまで除染することとした。
このうち,表土の鋤きとりを行う畑,牧草地,果樹園等については,日本原子力研究開発機構
が開発した除染効果評価システム(Calculation system for Decontamination Effect,以下,CDE とい
う)(日本原子力研究開発機構,2011)の線量率低減効果に係る検討結果に基づき,本除染目標
を達成するため,表土鋤きとり後の土壌の放射能濃度が 1,000Bq/kg になることを目安に除染を行
うこととした。
(3) 除染効果評価システムによる事前評価
除染計画の策定の検討においては,除染による空間線量率の低減効果を評価し,目標とする線
量率の低減効果が達成できる除染の目安を与えることを重要な目的のひとつとした。
本評価においては,除染による空間線量率の低減効果を評価するシステムとして,CDE を活
用した。CDE は平成 23 年 11 月 2 日より日本原子力研究開発機構のホームページ
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(http://nsed.jaea.go.jp/josen/)で公開されている。CDE は,土壌種別に応じた各領域での除染作業
前の表面汚染密度を入力として,1m 高さの空間線量率分布を評価する。また,各領域に対して,
除染係数を与えることにより,除染後の 1m 高さの空間線量率分布を評価する。以上より,除染
作業による空間線量率の低減効果を評価する。なお,除染係数とは,表面汚染密度に対する除染
前後の比であり,表面汚染密度が半分になれば,除染係数は 2 となる。
本評価においては,汚染土壌の除去の観点から,土壌の削り取り深さに関する検討を行う。具
体的には,除染対象領域での畑,草地,地面等の汚染土壌の削り取りによる汚染密度の低減と空
間線量率の低減の関係を評価する。本検討においては,深さ方向の土壌サンプリング結果を基に,
除染後の汚染密度を変化させたときの空間線量率の低減効果の変化を評価する。具体的には,土
壌の汚染密度を 5,000 Bq/kg,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg と低減させ,目標値として,空間線量率
が半分程度以下となる汚染密度を評価し,その結果から,土壌削り取り深さの目安を与える。
表 3.1.3-1 に,伊達市下小国地区におけるある土壌に対する土壌サンプリング結果(深さ方向
汚染密度分布)の一例を示す。図 3.1.3-2 は,この測定結果を元に,関数フィッティングした汚
染密度分布の結果である。仮に,5,000 Bq/kg の汚染密度までの土壌除去により空間線量率に対す
る目標が達成された場合,削り取り深さは 4 cm となる。また,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg の場合
は,それぞれ 5 cm,7 cm となる。
表 3.1.3-1 伊達市下小国地区における土壌サンプリング結果の一例
深さ
(cm)
Cs-134
(Bq/kg)
Cs-137
(Bq/kg)
0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4
4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3
7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1
11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1
13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1
深さ
(cm)
Cs-134
(Bq/kg)
Cs-137
(Bq/kg)
0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4
4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3
7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1
11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1
13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1
0
5
10
15
0 5 10 15 20
Cs-134+137密度 (kBq/kg)
深度(cm)
実測値
関数fit.
0
5
10
15
0 5 10 15 20
Cs-134+137密度 (kBq/kg)
深度(cm)
実測値
関数fit.
図 3.1.3-2 表 3.1.3-1 の深さ方向汚染密度分布に対する関数フィッティングの例
- 25 -
空間線量率の低減効果を評価するために使用した計算条件を以下に述べる。除染前の表面汚染
密度分布として,森林を除く土壌に関しては,本事業で測定した表面線量率分布(μSv/h)の測
定値を使用した。森林については,文部科学省による航空機モニタリング結果(文部科学省,2011)
を使用した。なお,空間線量率分布を除染対象領域の境界領域においても周辺領域からの線量寄
与を評価するため,除染対象領域外側の周辺領域の表面線量率の測定値も用いた。
除染係数については,舗装道路,家屋については,原子力学会のクリーンアップ分科会が編集
した技術カタログ(日本原子力学会,2011)を参考にし,舗装道路については 10,家屋につい
ては,2.2 を採用した。森林については,林野庁が調査した森林の汚染分布(林野庁,2011)を
参考とした。除染対象地区における森林の大部分は杉林であり,杉林での汚染分布に関する調査
結果を参考とした。杉林での汚染分布は,落葉(リター)や表土層に約半分,葉や枝に約半分が
分布しているとの結果であり,これを基に,落葉や表土層の除去のみの除染の場合は,汚染密度
がほぼ半分となるため除染係数に 2 を与え,枝打ちを加える場合は,枝葉部分の半分程度以上は
除去できると考え,汚染密度が全体で 20%まで低減すると考え,除染係数に 5 を与えた。
畑,草地,地面等,その他の土壌に対する除染係数は,除染前の表面汚染密度との比を除染係
数として採用した。除染前の表面汚染密度は,1cm 高さの空間線量率から換算した。この換算に
ついては,均一の汚染密度が無限に広がっていると仮定し,連続エネルギーモデルに基づく 3 次
元粒子輸送モンテカルロコード PHITS(Niita et al., 2010)により評価した。
除染後の表面汚染密度については,表面だけが汚染されていると仮定した場合,土の密度を
1.5 g/cm3
として,土壌の汚染密度が 1,000 Bq/kg の場合は,1.5 Bq/cm2
となる。一方,汚染が深さ
方向に均一に分布していると仮定した場合,深い位置からの空間線量率への寄与を含めて評価す
る。この効果を評価するために,PHITS コードを用いて,いろいろな深さにおける水平方向に無
限に広がる均一の汚染を与え,この汚染からの空間線量率を評価し,表面にのみ汚染がある場合
の空間線量率との比率を評価し,その比率を深さ方向に考慮した値を乗じて表面汚染密度として
評価する。深さ方向への汚染の浸透は徐々に小さくなると考えられるため,表面にのみ汚染して
いる場合と深さ方向に均一に汚染している場合の両極端の場合の中間にあると考えられる。本検
討においては,保守的な評価とするために深さ方向に均一に汚染していると仮定した。
図 3.1.3-3 に,表面汚染源による空間線量率に対する土壌中の平面汚染源による空間線量率の
比率を示す。
土壌中での線源深さ (㎝)
地表面線源に対する空間線量率の比
図 3.1.3-3 137
Cs 無限地表面線源による空間線量率に対する
土壌中 137
Cs 無限平面線源による空間線量率の比率
- 26 -
深さ方向に均一な汚染が浸透していると仮定すると,表面に汚染がある場合に比べて,3.8 倍
程度の空間線量率となる。深さ方向に均一に無限に浸透しているのは,極端な仮定であるため,
表面に汚染がある場合に比べて,表面汚染密度が 3 倍になっているものとした。
なお,表面汚染源による空間線量率に対する土壌中の平面汚染源による空間線量率の比率に関
する PHITS の計算結果を,深さ方向の関数として以下のフィッティング式を以下のとおり導出
した。
H=N1exp(-d/a1)+N2xp(-d/a2)+N3exp(-d/a3) (3.1.3-1)
ここで,H は比率,d は深さ(cm)である。また,N1=0.375,N2=0.246,N3=0.379,a1=0.371 ,
a2=1.937, a3=8.358 である。
以上から,本検討では,未耕作地の除染後の表面汚染密度は,土の密度を 1.5 g/cm3
として,土
壌の汚染密度が 1,000 Bq/kg の場合は,1.5 Bq/cm2
を 3 倍して 4.5 Bq/cm2
と評価した。
上述したように,除染前の汚染密度を表面線量率から表面汚染密度に換算し,これを除染後の
汚染密度を 5,000 Bq/kg,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg と変化させて,表面汚染密度を上記の値を元
に換算した値で割ることにより除染係数を評価した。土壌種別ごとに採用した除染係数を図
3.1.3-4 にまとめる。
0
5
10
果
樹
園
果
樹
園
下
部
の
植
栽
・畑
グ
ラ
ウ
ン
ド西
側
地
面
牧
草
地
上
部
草
地
牧
草
地牧
草
地
下
部
畑
グ
ラ
ウ
ン
ド西
側
の
畑
除染係数(DF)
5kBq/kg
3kBq/kg
1kBq/kg
図 3.1.3-4 伊達市下小国地区の各土壌種別に対する除染係数
図 3.1.3-4 から 1,000 Bq/kg まで汚染土壌を除去すれば,除染係数は 5 程度以上が期待できるこ
とが分かる。
汚染土壌の削り取り深さを検討する前に,除染前の段階で,CDE の線量評価機能を検証する。
図 3.1.3-5 に除染前の空間線量率分布を示す。図中示す各位置において,1m 高さ空間線量率につ
いて,CDE による計算値,3 次元地形を正確に取り込んだ PHITS による計算値及び測定値との
比較を表 3.1.3-2 に示す。まず,PHITS との比較においては,両者は最大 30%以内で一致し,PHITS
の計算結果と同程度の制度で空間線量率を評価できることが示された。なお,計算時間は PHITS
- 27 -
が数十時間を要したのに対して,CDE は 10 秒程度で完了した。測定値との比較においても,CDE
は良い一致を示している。A2 地点(グランドの端)では,35%程度の過小評価を与えているが,
この地点の付近にはいくつかの植木が植えられており,汚染密度として与えていない葉に付着し
た放射性物質からの線量寄与があった可能性や汚染として考慮しなかった除染前に試験的に実
施されていたグランド東側の除去土壌が近くにあったこと等が影響していると可能性がある。こ
れらの情報を正確に与えれば測定値を正確に再現できるものと期待される。
図 3.1.3-5 伊達市下小国地区の除染前の空間線量率
表 3.1.3-2 各地点における空間線量率(μSv/h)の比較
A1 A2 B1 B2 C D
CDE 1.1 2.1 1.6 1.9 2.0 1.8
PHITS 0.8 2.0 1.5 1.7 2.0 1.7
測定値 1.0 3.1 1.6 2.0 2.0 1.7
土壌除去による空間線量率の低減効果に関するケーススタディの結果を図 3.1.3-6 に示す。
(a) 空間線量率 (b) 線量率低減係数
図 3.1.3-6 伊達市下小国地区における空間線量率に対する土壌除去による効果
- 28 -
このケーススタディでは,居住時間が長いと思われる除染対象区域内の 5 軒の家屋周辺を対象
とした。図 3.1.3-6 の右図(b)に示す線量率低減係数(DRRF)は,除染前後の空間線量率の比
で定義され,DRRF が 2 の場合は,線量率が半分になったことを意味している。右図から,1,000
Bq/kg まで汚染土壌を除去すれば,空間線量率を未除染の場合に比べ半分以下とすることが達成
できることがわかる。また,左図(a)から 1.0 μSv/h 以下まで低減することが期待できること
がわかる。なお,後背地に森林をひかえた家屋 HA,HB に関しては,森林の除染による線量率
の低減が他の家屋に比べて大きいことがわかる。
以上より,1,000 Bq/kg まで汚染土壌を除去する場合について,土壌削り取り深さの目安を表 3.
1.3-3 にまとめる。なお,土壌深さの目安を与えることによって,汚染土壌の除去容量の概算を
行い,あわせてまとめた。
表 3.1.3-3 伊達市下小国地区に対する土壌削り取り深さの目安
剥離厚さ
(cm)
剥離容積
(m3)
果樹園 3,470 4 138.8
HE宅周囲 1,984 7 138.88
HA宅裏山 170 7 11.9
HB宅裏山 80 7 5.6
HD宅周囲 2,510 7 175.7
畑 1,330 4 53.2
集会場広場 2,250 2 45
HA宅斜面 1,890 5 94.5
牧草地 3,010 4 120.4
畑(タラの木) 1,472 14 206.08
HB宅斜面 684 4 27.36
HC下の畑 546 10 54.6
用途
面積
(m2)
Cs-134+137
(m2)
(m3)
- 29 -
(4) 除染方法
除染方法は,前述の「3.1.1 (2) 除染方法の基本的考え方」,除染前の放射線率等の測定結果,
除染エリア毎の土地の利用状況等を踏まえ,除染エリア毎に策定した。
また,除染作業の一環として,家屋屋根等の汚染状況及び拭取り方式等による除染効果,コン
クリート構造物に対するスチールショットブラスト除染における鋼製球の投射密度と除染効果
の相関等に係る除染関連データも収得することとした。
除染エリア毎の除染方法の概要を図 3.1.3-7~図 3.1.3-10 に,また具体的な除染方法を付録 3 に
示す。
図 3.1.3-7 除染対象毎の除染方法(建屋類及び周辺の庭)
図 3.1.3-8 除染対象毎の除染方法(畑及び草地等)
- 30 -
図 3.1.3-9 除染対象毎の除染方法(森林等)
図 3.1.3-10 除染対象毎の除染方法(道路等)
(5) 基本的な除染順序
除染実施区域内の住民及び除染作業者の被ばく線量の低減等を考慮して,まずホットスポッ
トを除染した後,次に除染時の二次汚染防止の観点から標高の高い除染エリアから低いエリア
に向けて除染を行っていくこととした。
除染順序を図 3.1.3-11 に示す。
- 31 -
図 3.1.3-11 土地利用状況の特徴に応じた基本的な除染順序
(6) 除去物の発生推定量及び一時保管方法
除染に伴って発生する表層土,土砂,泥,木・草等の除去物については,不燃物と可燃物とに
分別し,JIS Z 1651_2008 非危険物用フレキシブルコンテナに準拠した耐候性容器に収納すること
とし,可燃性及び不燃性の除去物とも,除染実施区域から少し離れた場所で地上式により一時保
管を行うこととした。
除去物の発生量は,不燃性除去物が約 1,467m3
(フレキシブルコンテナ約 1,486 個),及び可
燃性除去物が約 182m3
(フレキシブルコンテナ約 200 個)と推定した。
除去物の地上式一時保管施設の概要及び一時保管の方法については付録 4 に示す。
(7) 放射線管理
除染実施区域が,追加被ばく線量がおおむね年間 1 から 20mSv までの地域に該当することか
ら,『「除染に関する緊急実施基本方針」及び「市町村による除染実施ガイドライン」に基づく
除染作業における労働者の放射線障害防止措置について 』(平成 23 年 9 月 9 日厚生労働省労働
基準局安全衛生部長)等に沿って,事前教育,放射線管理,装備装着等を実施することとした。
また,平成 24 年 1 月 1 日以降は,これに加えて,同日から施行された労働安全衛生法の「東
日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電
離放射線障害防止規則」についても遵守して作業を行うこととした。
(8) 除染作業計画の策定に影響を与えた社会的要因
伊達市下小国地区の除染実施区域において本実証事業を行うに当たっては,まず,本実証事業
の目的,範囲,除染の方針等について同区域を含む下小国地域の方々に説明を行い,同区域内の
住民,並びに同区域内にある畑等の所有者及び耕作者(下線部を以下,「除染実施区域関係者」
と言う。)の方々から同事業の実施に係る協力の同意書を得た。
- 32 -
次に,除染計画案を除染実施区域関係者の方々に個別に説明し,一部の畑等を除染範囲から外
すなどの要望を取り入れて修正した後,同区域を含む下小国地域の行政区(下線部を以下,「下
小国地区の行政区」と言う。) の方々に説明を行い,除去物の一時保管場所を中央集会所の広
場の地下に設けること以外は了解を得た。
除去物の一時保管場所については,中央集会所広場の所有者である伊達市等の了解のもとボー
リング調査による地下水の確認等を行うなど検討を進めていたが,下小国地区の行政区から,今
後の伊達市が行う除染に備えて同行政区が準備をしている 5 か所の除去物の一時保管場所候補
地うちの 1 か所を使用してはとの提案がなされた。
この 5 か所の候補地に係る調査の結果,除染実施区域から 800m ほど離れた果樹園が自然環境
及び社会環境の観点から一時保管場所として唯一適していると思われたことから,伊達市による
同果樹園地権者との交渉を経て,可燃性及び不燃性の除去物ともここを整地して地上式で一時保
管することとなった。
ここに至るまでに,本件に係る除染実施区域関係者の方々を含む下小国地区の行政区の方々へ
の説明,特に除去物の一時保管場所の説明等に多くの時間を費やするとともに,除去物の一時保
管場所の保管方法,保管容量,施設仕様等の変更は除去物の発生量にまで影響が及んだことから,
結果としてかなりの計画変更を余儀なくされた。
3.1.4 除染技術の実証
3.1.4.1 実施工程
除染作業は除去物の一時保管施設の整備及び保管を含めて,平成 23 年 12 月 12 日~平成 24
年 3 月 16 日の期間実施した。実施工程を図 3.1.4.1-1 に示す。
図 3.1.4.1-1 伊達市下小国地区の除染作業に係る実施工程
3.1.4.2 面的除染の実施
策定した除染作業計画に沿って面的除染を実施した(図 3.1.4.2-2~図 3.1.4.2-23)。除染エリア
毎の実施した除染方法,使用機器・工具及び装備の一覧を表 3.1.4.2-1 に示す。
除染作業計画における傾斜地の除染方法は,除染前の測定結果を踏まえて,落ち葉かき,草刈
りの後に表層土 5cm~7cm を鋤取ることをめやすとしていたが,傾斜地の勾配,地質,台風によ
る既崩壊箇所の状況等を踏まえ,除染作業後の崩壊を避けるため,落ち葉かき,草刈りの後には,
後述する除染中の確認測定をこまめに行いながら(3.1.4.4 参照),電動草刈り機等を用いて 1 cm
- 33 -
高さにおける空間線量率が少なくとも 3.0μSv/h を下回るように表層土を徐々に鋤取った(結果と
して概ね 1cm 程度の厚さを鋤取った)。
また,除染実施区域関係者の強い要望に基づき,一部の森林の除染対象範囲を福島県のガイド
ライン(福島県,2011)に沿って森林入口から奥行き 20m に広げるとともに,家屋周囲の伐採
対象樹木も一部追加した。
- 34 -
図 3.1.4.2-2 面的除染の実施状況 1(HA 宅における除染作業)
図 3.1.4.2-3 面的除染の実施状況 2(HB 宅における除染作業)
- 35 -
図 3.1.4.2-4 面的除染の実施状況 3(HC 宅における除染作業)
図 3.1.4.2-5 面的除染の実施状況 4(HD における除染作業)
- 36 -
図 3.1.4.2-6 面的除染の実施状況 5(HE 宅における除染作業)
図 3.1.4.2-7 面的除染の実施状況 6(HF 宅における除染作業)
- 37 -
図 3.1.4.2-8 面的除染の実施状況 7(果樹園 M11 における除染作業)
図 3.1.4.2-9 面的除染の実施状況 8(HE 宅周囲の畑等 M12 における除染作業)
- 38 -
図 3.1.4.2-10 面的除染の実施状況 9(森林 M21 及び傾斜地 1 における除染作業)
図 3.1.4.2-11 面的除染の実施状況 10(森林 M22 及び傾斜地 2 における除染作業)
- 39 -
図 3.1.4.2-12 面的除染の実施状況 11(HD 宅周囲の畑等 M23 における除染作業)
図 3.1.4.2-13 面的除染の実施状況 12(森林 M24 における除染作業)
- 40 -
図 3.1.4.2-14 面的除染の実施状況 13(南側中央の畑地 M31 における除染作業)
図 3.1.4.2-15 面的除染の実施状況 14(中央集会所広場 M32 における除染作業)
- 41 -
図 3.1.4.2-16 面的除染の実施状況 15(HA 宅ーHB 宅間及び南側 M41 における除染作業)
図 3.1.4.2-17 面的除染の実施状況 16 (牧草地 M42 における除染作業)
- 42 -
図 3.1.4.2-18 面的除染の実施状況 17(南西側畑地 M43 における除染作業)
図 3.1.4.2-19 面的除染の実施状況 18(HB 宅-HC 宅間の傾斜地 M51 北における除染作業)
- 43 -
図 3.1.4.2-20 面的除染の実施状況 19(HC 宅南側の畑地 M51 南における除染作業)
図 3.1.4.2-21 面的除染の実施状況 20(道路Ⅰにおける除染作業)
- 44 -
図 3.1.4.2-22 面的除染の実施状況 21(道路Ⅱにおける除染作業)
図 3.1.4.2-23 面的除染の実施状況 22(道路Ⅲにおける除染作業)
- 45 -
表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(1/3)
使用機械工具 除去物の措置 装備品
屋根 清浄作業
タワシ、皮すき、キムタオルによる苔、泥を除去及び拭き取り(屋根の重ね合
せ部における苔、堆積物、金属が腐食している部分の除去)。
JAEAの指示により、瓦屋根に対し酢の希釈液による洗浄、拭き取り、トタン屋
根に対し電動研磨工具及び集塵機による汚れの除去。
軒樋、集水器 除去作業
手作業による落葉、苔、草、泥、土等の除去
JAEAの指示により、一部の樋を交換。
竪樋、排水管 清浄作業
パイプクリーナー、キムタオルを用いた手作業による清浄、拭き取り
発注者の指示により、一部の樋を交換。
庭等(土壌、砂利敷
き、植栽、置石等)
手作業による枯葉、苔、草、泥等の除去、および除草(菜園の作物を含む)。
HC宅の砂利敷き部の砂利を除去し、復旧は砂利を敷設。
草刈機、熊手、鎌、
スコップ、じょれん、
レーキ
庭等のホットスポッ
ト
ホットスポットは、JAEAの指示により、表層土を5~15cmの深さまで除去。コ
ンクリート部分に対しては、サンダーによる研磨除染、コンクリートのはつり
(復旧はモルタル充填又は敷設)。
バックホウ、スコッ
プ、じょれん
表層土等を除去し
た部分
HA裏の斜面崩落部
表層土等を除去した部分は、客土を施工。施工後の土砂等の流出及び斜面
の崩落の可能性がある個所は植生シートを敷設。
バックホウ、スコッ
プ、レーキ、じょれん
植栽 造園作業
手作業による剪定、切り枝回収。JAEAが指定するもの(HE等内:約10本)に
ついては伐採し、薪状に細断。
脚立、梯子、チェー
ンソー、剪定ばさみ
可燃物として分別し、耐
候性フレキシブルコンテ
ナに収納し、一時保管場
所に運搬
除去作業 手作業による枯葉、苔、草、泥、土等の除去
清浄作業
除去作業後、デッキブラシ、タワシ等による洗浄。JAEAの指示により、サン
ダーによる研磨除染、集水マスの交換、側溝のふたの設置。
遊具 清浄作業
キムタオル等を用いた手作業による洗浄、拭き取り。JAEAの指示により、酢
の希釈液、軽油による洗浄、拭き取り。サンダーによる研磨除染、コンクリート
たたき台のはつり機によるはつり(復旧はモルタル敷設)、タイヤの抜き取り。
キムタオル等
キムタオルは可燃物に
分別し、耐候性フレキシ
ブルコンテナに収納し、
一時保管場所に運搬
表3.4.2 除染エリア毎の除染方法、使用機器・工具及び着用装備一覧 (1/3)
除染対象
一般家屋
中央集会所
苔、泥、堆積物は不燃物
に、キムタオルは可燃物
に分別し、耐候性フレキ
シブルコンテナに収納
し、一時保管場所に運搬
除去方法
枯葉、草等は可燃物に、
土砂・砂利は不燃物に分
別し、耐候性フレキシブ
ルコンテナに収納し、一
時保管場所に運搬
側溝 スコップ、デッキブラ
シ
建
屋
類
周
囲
の
庭
等
一般家屋・
中央集会所
の庭等
ゴム手袋、
防塵マスク
(DS)、ゴー
グル、専用
の作業着
(長袖)
梯子、脚立、親綱、
ロリップ、安全帯、
金ブラシ、集塵機、
トング
各
除
染
エ
リ
ア
の
建
屋
類
除去作業
枯葉、草等は可燃物に、
土砂・砂利は不燃物に分
別し、耐候性フレキシブ
ルコンテナに収納し、一
時保管場所に運搬
- 46 -
表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(2/3)
使用機械工具 除去物の措置 装備品
畑 栽培作物
手作業による栽培作物の除去、除草。JAEAの指示により、M31の一部、M23
の一部については栽培作物の除去は実施しない。
可燃物として分別し、耐
候性フレキシブルコンテ
ナに収納し、一時保管場
所に運搬
草地、牧草地、果樹
園
HA、HB家屋の森林
に向かう傾斜地
中央集会所の広場
手作業による枯葉、泥、ごみ等の除去、除草。JAEAの指示により、領域内に
植生する低木、笹等を除去。
法面部
HA、HB家屋の森林
に向かう傾斜地
M41の法面部、M51北、HAに向かう傾斜地については、崩落の恐れを考慮
し、JAEAと協議の上、草刈機、レーキ等で表層土をかき取りにより除去。部
分的にスコップ等で掘削して除去。掘削により除去した部分は客土を施工。
施工後、土砂等の流出及び斜面の崩落の可能性がある個所は植生わら芝を
敷設。
スコップ、レーキ、
じょれん
土木作業
重機等により表層土を概ね2~14cmの深さまで除去。JAEA]の指示により過
去に実施された除去土壌の撤去。
バックホウ、スコッ
プ、じょれん
造園作業 手作業にて高木を4mまでの高さまで枝打ち実施
梯子、脚立、高枝切
りバサミ、チェーン
ソー
畑、草地、牧草地
果樹園
土木作業
表層土を除去した部分は、客土を施工。施工後の土砂等の流出及び斜面の
崩落の可能性がある個所は植生わら芝、植生シートを敷設。
バックホウ、レーキ、
スコップ、じょれん
除去作業
M21は入口から概ね10m、M22はJAEAの指示により入口から概ね20m。手
作業による落ち葉かき、除草。JAEAの指示により竹等の除去。土砂等の流
出及び斜面の崩落の可能性がある個所は植生わら芝を敷設。
草刈機、レーキ、ス
コップ、じょれん
造園作業 手作業にて高木を4mまでの高さまで枝打ち実施
梯子、脚立、高枝切
りバサミ、チェーン
ソー
森
林
等
可燃物として分別し、耐
候性フレキシブルコンテ
ナに収納し、一時保管場
所に運搬
森林(M21、M22、M24)
ゴム手袋、
防塵マスク
(DS)、ゴー
グル、作業
着(長袖)
除去方法除染対象
枯葉、草等は可燃物に、
土砂・砂利は不燃物に分
別し、耐候性フレキシブ
ルコンテナに収納し、一
時保管場所に運搬
畑、草地、
牧草地
果樹園
中央集会所
の広場
畑
・
牧
草
地
等
土砂・砂利は不燃物に、
枝等は可燃物に分別し、
耐候性フレキシブルコン
テナに収納し、一時保管
場所に運搬
草地、牧草
地、果樹園
HA、HBの森
林に向かう
傾斜地
中央集会所
の広場
除去作業
草刈機、熊手、鎌、
レーキ
畑、草地、牧草地
果樹園
中央集会所の広場
- 47 -
表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(3/3)
使用機械工具 除去物の措置 装備品
道路(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)HB
庭、HC庭、HD家屋入
口
手作業による苔、草、泥、土等の除去 スコップ、じょれん
道路Ⅱ
HB庭、HC庭、
HD家屋入口
ブラスト作業の実施(高圧空気を用いて鉄球等の研磨剤を対象エリアの表面
に吹きつけて除染)。削った除去物は吸引機にて吸引、ブラストマシンよりこ
ぼれた除去物は大型掃除機にて吸引、鉄球は磁石にて回収。
道路Ⅱ JAEAが指定するエリアにおいて除染速度等と除染効果の相関を調査
手作業による枯葉、苔、草、泥、土等の除去。 スコップ
清浄作業 除去作業後、デッキブラシ、タワシ等による洗浄 デッキブラシ
道路Ⅰ 重機により舗装部を除去し、新たに舗装実施
道路Ⅱ 道路と側溝の境界のアスファルトの切除、再舗装
道路Ⅲ
重機により表層土を概ね4cmの深さまで除去。表層土を除去した部分は、発
注者の指示に従って、客土の施工。
バックホウ、レーキ、
スコップ、じょれん
表3.4.2 除染エリア毎に実施した除染方法、使用機器・工具及び装備一覧 (3/3)
除染対象 除去方法
道路脇側溝 道路脇側溝
道路(Ⅰ、
Ⅱ、Ⅲ)
HB庭
HC庭
HD家屋入
口
草等は可燃物に、苔、土
砂・砂利、ブラスト除去物
は不燃物に分別し、耐候
性フレキシブルコンテナ
に収納し、一時保管場所
に運搬
ゴム手袋、
防塵マスク
(DS)、ゴー
グル、作業
着(長袖)
道路
道
路
等
土木作業
除去作業
ブラストマシン、ユ
ニック、掃除機、磁
石式鉄球回収機、
ほうき
バックホウ
- 48 -
3.1.4.3 除染関連試験等の実施
除染実施区域の面的除染の一環として以下の項目に係る試験等を実施し,除染に関連するデー
タ等を収集した。
(1) 家屋屋根の汚染状況及び拭取り方式等による除染効果
家屋屋根の除染方法として,高圧洗浄が使用される場合がある。この高圧洗浄は,除染に伴い
発生する排水の処理,家屋の損傷の可能性等が課題となっている。
これを踏まえ,今回の実証試験においては,除染作業においてできる限り水を使用しない方針
の下,高圧洗浄に替わる家屋屋根の除染方法の除染効果に係る評価等を実施することとした。
また,現在自治体が進めている除染計画又は除染作業においては,自治体によって家屋屋根の
除染が実施されたり実施されなかったりの状況等を踏まえ,家屋屋根の除染の優先度についても
評価・検討を試みることとした。
下小国地区の除染実施区域にある家屋屋根は,
・燻瓦(土瓦)
・釉薬瓦(陶器瓦)
・セメント瓦
・トタン屋根(平トタン及び波トタン)
と種類に富んでいる。
まず,本試験の一環として,家屋屋根の種類毎に汚染状況の測定・評価を行った。
測定ポイントについては,除染実施区域内にある家屋屋根の種類毎及び傾斜面毎に 2~3 の測
定部(両端又は両端及び中央)を選定し,各測定部の表面を GM 式サーベイメータで予備測定す
ることにより,各測定部の汚染レベルの把握,汚染のレベルが高いポイントの特定を行った。さ
らに,この予備測定の結果に基づいて,汚染レベルの高いポイント等の詳細測定を行った。
次に,これらの測定結果等を踏まえ,水に浸した後に軽く絞ったキムタオルを用いた拭取り方
式など,家屋屋根の種類,汚染状況等に応じた方法を用いて除染した後,それらの表面汚染密度
等を GM 式サーベイメータ等で測定し,除染前の値と比較して除染効果を評価した。屋根の種類
毎の汚染の状態を図3.1.4.3-1~図3.1.4.3-5に,除染作業の実施状況を図3.1.4.3-6にそれぞれ示す。
また,測定及び評価結果は,を 3.1.5.1(2)に記載する。
なお,GM 式サーベイメータによる測定においては,まず家屋屋根の表面から 1m 高さにおい
てバックグラウンドのγ線の寄与分を計測し,これを家屋屋根等の表面の計測値から差し引いて,
家屋屋根の表面の β(γ)線の測定値とした。
- 49 -
図 3.1.4.3-1 屋根の汚染の状況 1 燻瓦(土瓦)
図 3.1.4.3-2 屋根の汚染の状況 2 釉薬瓦(陶器瓦)
- 50 -
図 3.1.4.3-3 屋根の汚染の状況 3 トタン屋根(波板トタン)
図 3.1.4.3-4 屋根の汚染の状況 4 トタン屋根
- 51 -
図 3.1.4.3-5 屋根の汚染の状況 5 セメント瓦
図 3.1.4.3-6 屋根に係る除染作業状況
- 52 -
(2) 雨樋の汚染状況及び除染効果
除染前の放射線量等の測定時に,各家屋の雨樋(横樋)にはいくつかのホットスポットが測定
されている。また,雨樋は人の居住空間に比較的近い位置に設置されている場合もある。
今回の実証試験においては,これら雨樋も家屋屋根と同様に水を使用しない方法で除染するこ
ととし,その除染効果に係る評価等を実施することとした。
まず,家屋屋根と同様に本試験の一環として,雨樋の汚染状況の測定・評価を行った。
GM 式サーベイメータを用いて,家屋毎に横樋の堆積物がある部分,特に縦樋との接合部分を
中心に予備測定することにより,各家屋の雨樋に係る汚染レベルの把握,汚染のレベルが高いポ
イントの特定を行った。次に,この予備測定の結果に基づいて,汚染レベルの高いポイント等の
詳細測定を行った。なお,横樋は縦樋に向けて傾斜がとられていることから,通常の家屋におい
ては,縦樋との接合部分に多くの汚染物が堆積していた。
次に,これらの測定結果等を踏まえ,ブラシによる擦り,水に浸した後に軽く絞ったキムタオ
ルを用いた拭取り方式など,汚染状況等に応じた方法を用いて除染した後,それらの表面汚染密
度等を GM 式サーベイメータ等で測定し,除染前の値と比較して除染効果を評価した。雨樋の汚
染状況を図 3.1.4.3-7 に,除染作業の実施状況を図 3.1.4.3-8 に示す。また,測定及び評価結果は
3.1.5.1(2)に記載する。
図 3.1.4.3-7 雨樋の汚染状況
- 53 -
図 3.1.4.3-8 雨樋の除染作業の実施状況
(3) コンクリート構造物に対するスチールショットブラスト除染における鋼製球の投射密度と
除染効果の相関
スチールショットブラスト除染は,コンクリート構造物,アスファルト構造物等の表面に 0.6
~2.6mm の鋼製球を高速,高圧で投射し,表面を研削する方法である。照射後の鉄球は研削粉塵
を分離したのち機械内部で循環させるとともに,研削塵埃は併用集塵機で集塵することから,水
を使用せず且つ二次汚染の可能性も低い除染方法である。
ここで,スチールショットブラスト除染に使用する走行機械の走行速度(m/min),鋼製球の
投射量(一定 kg/min),研掃幅(一定 m)及び鋼製球の投射密度(kg/㎡)の間には次の関係が
ある。
走行速度 = 鋼製球の投射量 /(研掃幅×鋼製球の投射密度)
本除染実施区域で用いた走行機械は鋼製球の投射密度を 20 段階にわたって変更することが可
能であったことから,本実証事業においては,本除染技術の除染効果と鋼製球の投射密度との相
関を調べることとし,中央集会所の広場の隅にあるコンクリート製防火水槽の上面 1m 四方毎に
鋼製球の投射密度を変え,除染前後の表面汚染密度及び空間線量率を GM 式サーベイメータ及び
NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定した。
ブラスト除染試験の実施状況を図 3.1.4.3-9 に示す。また,測定及び評価結果は,3.1.5.1(2)③に
示す。
- 54 -
図 3.1.4.3-9 ブラスト除染試験の実施状況
(4) スチールショットブラスト除染が適用できないコンクリート構造物に対する除染方法
前述のスチールショットブラスト除染はコンクリート構造物等の除染には非常に効果的であ
るが,家屋周囲のコンクリート製の側溝及び集水桝,家屋庭のコンクリートスラブの亀裂部,遊
具のコンクリート部位等には,大きさ,形状等の観点から適用できない。
一方で,これらコンクリート構造物の中にはホットスポットとして高い空間線量率が測定され
ているものがある。
この状況を踏まえ,コンクリート構造物の形状等に応じた方法で除染を試み,作業の効率性の
観点を含めてその除染効果の測定・評価を行った。
除染作業の実施状況を図 3.1.4.3-10~図 3.1.4.3-13 に示す。また,測定及び評価結果は,3.1.5.1(2)
④に示す。
図 3.1.4.3-10 コンクリート製側溝の除染実施状況
- 55 -
図 3.1.4.3-11 コンクリートスラブの亀裂の除染実施状況
図 3.1.4.3-12 コンクリート製の集水マスの除染実施状況
- 56 -
図 3.1.4.3-13 割れたコンクリートスラブの除染実施状況
(5) 除染作業に伴う塵埃の放射能濃度
除染作業の中には塵埃の発生を伴うものもあるため,今後除染が行われる区域及び当該区域周
辺の居住者の方々等への影響を事前に評価する必要がある。
この観点から,本実証事業の除染作業の種類毎に,その作業場所近くの風下にダストサンプラ
ーを設置して,作業中に発生する塵埃を含む空気を吸引した。塵埃を捕獲したフィルターの放射
能を Ge 半導体検出器によるγ線スペクトル分析で定量し,吸引した空気量で除すことにより,
除染作業周辺の空気中の放射能濃度を評価した。
測定結果を表 3.1.4.3-1 に示す。
- 57 -
表 3.1.4.3-1 除染作業周辺の空気中の放射能濃度の測定結果
測定時間
134
Cs 137
Cs
H23.12.14
9:30~15:00
H23.12.20
10:00~15:00
H23.12.24
8:50~12:00/
13:30~16:30
H24.1.6
10:38~12:13
H23.12.14
10:23~13:13
H23.12.17
9:35~10:35/11:13
~15:26H23.12.19
10:30~15:50
H24.1.9
9:36~15:44
H23.12.17
8:30~11:00/13:00
~16:00H23.12.21
15:20~16:30
* 吸引時間には、休憩時間等の作業を行わなかった時間を除く。
ダストサンプル
測定日
放射性物質濃度(Bq/cm
3
)
作業内容 場所 採取日時
採取流量
(m
3
/min)
吸引時間
(min)*
吸引量(m3
) リアルタイム(秒)
鋤取り・フレコン作製 畑M23
0.1
240 24 H23.12.27
2000
排気中の放射性物質濃度
限度以下
134
Cs 2×10
-5
Bq/cm
3
137
Cs 3×10-5
Bq/cm3
鋤取り・フレコン作製 畑M42 210 21 H23.12.27
鋤取り 傾斜地 0.06
屋根堆積物
掃除機吸引
HD宅 0.06 110 11 H23.12.27
310 31 H24.1.25
コンクリート削剥作業 HB宅 0.1 95 9.5 H24.1.13
H24.1.25
ブラスト作業 道路Ⅱ周囲 244 24.4 H24.1.16
伐採・切枝の裁断 HE宅
0.1
253 25.3 H23.12.27
サンダーによる屋根研
磨
HB宅 230 23
落ち葉かき 森林M21 0.1 70 7 H23.12.26
鋤取り 集会所広場 0.06 300 30 H23.12.28
- 58 -
3.1.4.4 除染中の放射線量率等の測定
除染中においては,下記の目的に応じた放射線量率等の測定を実施した。
(1)除染目標の達成度合いを確認する。
前述した傾斜地の除染時(3.1.4.2 参照)を含め,除染工程毎に除染した場所を主に NaI シンチ
レーション式サーベイメータ等を用いて測定し,除染目標の達成度合いを確認した。
(2)除染効果の経時的変化を把握する。
後述する除染後の空間線量率等の測定(3.1.4.6 参照)の前に,除染実施区域全体及び区域内で
の除染作業の効果に係る経時的変化を除染作業の内容の変化とともに把握するため,除染実施区
域内の適切な場所に固定の測定ポイントを設定し,この固定測定ポイントにおいて定期的に NaI
シンチレーション式サーベイメータを用いて 1m 高さでの空間線量率を測定した。
測定ポイントは,除染効果評価システムの検証にも用いられるとの観点を含めて選定した。
測定点を図 3.1.4.4-1 に,測定結果を表 3.1.4.4-1 及び図 3.1.4.4-2 に示す。
図 3.1.4.4-1 定点測定の測定点
- 59 -
表 3.1.4.4-1 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化(1/2)
12月9日 12月15日 12月19日 12月21日 12月27日 12月28日 1月7日 1月10日 1月12日
区域除染状況 庭表土除去→客土
線量当量率
(μ Sv/h)
1.5 1.5 1.6 1.5 1.0 0.9 1.2 0.6 0.6
区域除染状況 除染前
コンクリート庭ホットスポット除
染
庭ブラスト除染後
線量当量率
(μ Sv/h)
1.4 1.3 1.3 1.2 1.2 1.2 1.1 0.5 0.6
区域除染状況 除染前
ブラスト除染後
庭除染*
線量当量率
(μ Sv/h)
1.0 1.3 1.1 1.0 1.0 1.0 1.0 0.4 0.4
区域除染状況 除染前
ブラスト除染後
砕石すき取り
玄関前ブラスト後
周辺客土後
線量当量率
(μ Sv/h)
1.3 1.2 1.6 1.4 1.3 1.3 1.2 0.8 0.8
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.3 1.3 1.4 1.4 0.7 0.5 0.6 0.5 0.4
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.2 1.1 1.0 1.2 0.9 0.9 1.0 0.9 1.0
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
2.4 1.9 1.1 0.8 0.8 0.9 0.9 1.0 0.6
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.9 1.9 2.1 2.2 1.8 1.9 1.5 0.7 0.6
7
M11果樹
園
8 道路3
4 HD宅
5 HE宅
6
HF中央集
会所
2 HB宅
3 HC宅
*庭砂利除去・敷設、表土除去・客土
1m高さの空間線量率(μ Sv/h)
1 HA宅
除染前 屋根除染
屋根除染
西側ホットスポット除染後
ホットスポット除染
屋根除染
屋根除染 庭表土除去
屋根除染
伐採・剪定(M12)
伐採・剪定(M12) 表土すき取り(M12)
客土(M12)
ホットスポット除染 屋根除染 西側表土鋤取り(M32)
草刈り 表土鋤取り
客土
道路I 除染
森林M24除染 表土等鋤取り 砕石敷設
- 60 -
表 3.1.4.4-1 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化(2/2)
12月9日 12月15日 12月19日 12月21日 12月27日 12月28日 1月7日 1月10日 1月12日
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.9 1.8 2.2 2.7 0.7 0.8 0.8 0.5 0.5
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
3.0 2.4 0.5 0.9 1.2 1.0 1..2 1.0 1.1
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.2 1.0 1.4 1.0 0.9 0.8 0.9 1.0 0.9
区域除染状況 除染前 ブラスト除染後
線量当量率
(μ Sv/h)
1.5 1.9 1.9 1.8 1.7 1.7 1.2 0.5 0.7
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
2.6 2.5 3.2 0.7 0.6 0.5 0.6 0.4 0.3
区域除染状況 除染前 HA宅周囲除染後
線量当量率
(μ Sv/h)
2.3 2.2 2.6 2.5 2.0 2.3 2.3 2.2 1.8
区域除染状況 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
2.1 2.2 2.5 1.8 1.2 1.1 1.5 0.8 0.8
区域内除染内容 除染前
線量当量率
(μ Sv/h)
1.5 1.8 0.8 0.7 0.7 0.7 0.9 0.6 0.5
(注) 「M42 牧草地東」の12/19、「M12 畑・植栽」の12/19,21などで空間線量率の増加がみられるのは測定点の周辺に一次的に除去物が置かれていたため
1m高さの空間線量率(μ Sv/h)
9
M12畑・植
栽
10 M32広場
*グランドは除去物一時置場として使用
11 M22森林
12 道路2
13
M42牧草
地東
14
M21傾斜
地1
15
M42牧草
地西
16 M43畑
伐採・剪定 表土すき取り 客土
草刈り・表土鋤取り
表土等すき取り
遊具除染 客土(一部)
伐採・剪定 落ち葉かき後
ホットスポット除染
草刈り 鋤取り 客土後
竹伐採 落ち葉かき、鋤取り
草刈り 鋤取り
客土後
道路I 除染
タラの芽撤去・鋤取り 客土
草刈り等 草刈り等
- 61 -
図 3.1.4.4-2 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化
(注)「M42 牧草地東」の 12/19,「M12 畑・植栽」の 12/19 などで空間線量率の増加が認めら
れるのは,測定点の周辺に一時的に除去物が置かれていたため
(3)高所の放射性物質の付着状況をより詳細に測定する。
家屋屋根及び樋(縦樋,横樋)における放射性物質の付着状況の測定は,2.の除染前の線量率
等の測定時より,除染作業を目的として設置する足場等を利用して除染作業中に測定した方がよ
り効率的且つ詳細に行えるとともに,安全である。
この足場等を使用し,GM 式サーベイメータを主に,NaI シンチレーション式サーベイメータ
を補助的に用いて家屋屋根及び樋(縦樋,横樋)の表面等を測定した(測定結果は 3.4.3(1)を
参照)。
(4) 除染関連試験等に係る測定を実施する。
上記 3.1.4.3 に示す。
(5) 除染前の測定作業時に発見されなかったホットスポットを見つける。
平成 23 年 8 月に実施した除染前の放射線量率の測定時にホットスポットが確認された場所と
類似する条件の場所を対象に,NaI シンチレーション式サーベイメータによる測定を行った。
除染前の線量率等の測定時には下草に覆われていたためなどで確認できなかった樹木の根元,
コンクリートの亀裂等で,新たなホットスポットが認められた。
3.1.4.5 除去物の一時保管
本実証事業において発生した除去物は,可燃性除去物及び不燃性除去物に区分し,それぞれ
フレキシブルコンテナに収納した後,フレキシブルコンテナの表面に識別番号(発生した除染
エリア,発生年月日及び同じ発生年月日の通し番号)等を記載した。
除染作業に伴い,不燃性除去物を収納したフレキシブルコンテナが 1,103 個及び可燃性除去
物を収納したフレキシブルコンテナが 453 個発生した。また,一時保管場所の造成工事におい
- 62 -
て,不燃性除去物を収納したフレキシブルコンテナが 313 個及び同可燃性除去物を収納したフ
レキシブルコンテナが 54 個発生した。これらの平均表面線量率及び平均重量は,不燃性除去物
は 2.4μSv/h 及び 1.2t,可燃性除去物は 3.1μSv/h 及び 0.2t であった。
(1) 除去物の一時仮置き及び一時保管施設までの運搬作業
除染作業の後に一時保管施設の設置工事を行う工程となったため,除去物を中央集会所の広場
と M43 の畑に一時仮置きし,一時保管施設の受入れ準備が整った後,一時保管施設へ運搬した。
除去物運搬車には,環境省が示した除染関係ガイドラインに従い,除去土壌を運搬する旨の標
識を掲示するとともに,委託契約書の写しなどの必要書類を車載した。
除去物はクレーンによりトラックに積み込むとともに,積み込み時には除去物毎に識別番号の
確認,クレーンの計測器を用いた重量測定,フレキシブルコンテナに破れ,亀裂がないことの確
認等を行った。また,除去物の積み込みが完了したトラック毎に,荷台の左右側面及び後面から
1m 離れた位置での空間線量率を測定した。
必要書類の車載のチェック,輸送した除去物の番号,空間線量率等を記録した様式例を図
3.1.4.5-1 に示す。
図 3.1.4.5-1 必要書類の車載のチェック,輸送した除去物の番号,空間線量率等の記録様式例
- 63 -
(2) 一時保管施設
不燃性及び可燃性除去物とも,除染区域から 800m ほど離れた地点にある桃畑を造成して地上
式一時保管施設を整備し,そこに保管した。地上式一時保管施設の位置図を図 3.1.4.5-2 に示す。
造成においては,草刈,桃の木の伐採及び汚染した表層土約 7cm の鋤取り後,一時保管施設
に必要な面積を有する平地を確保するため,また,遮水シートの保護層,遮蔽用のフレキシブル
コンテナの充填土及び一時保管施設上面の覆土を得るため,斜面の切り土-盛り土による工事を
行った。
造成後の敷地においては,不燃性除去物と可燃性除去物の保管施設を分けて設置し,敷地の形
状に合わせて,それぞれ多角形の敷地形状とした。不燃性除去物の保管施設は長さ(東西方向)
46m,奥行き(南北方向)約 29m となり,可燃性除去物の保管施設は長さ(東西方向)12m,奥
行き(南北方向)約 24m となった。一時保管施設の平面図及び断面図を図 3.1.4.5-3 及び図 3.1.4.5-4
に示す。
一時保管施設の整備手順は以下のとおりである。
① 造成後の敷地に厚さ 1mm,幅約 4m の遮水シートを敷設し,その上部に厚さ 20cm の下部保
護土を施置する。遮水シートの材質は,一般的なシートのうち,安価で施工性のよい塩化ビ
ニル樹脂系低弾性タイプを用いた。
② 除去物を定置する場所の周囲に遮蔽用のフレキシブルコンテナを定置しながら,除去物を定
置していく。ここで,造成後の敷地面積の制限から,除去物及び遮蔽用フレキシブルコンテ
ナは基本的に 2 段積みとした。また,遮蔽用フレキシブルコンテナには,造成時に発生した
地表 7cm 以深の掘削土を充填した。
③ 定置した遮蔽用フレキシブルコンテナ及び除去物の上に不織布を敷設し,さらに 20cm 厚の上
部保護土を設置する。これは,本一時保管施設においては,将来の除去物の取り出しを考慮
して除去物間の隙間には土砂を充填しない構造としたことから,施設の部分的な陥没を避け
るための措置である。また,可燃性除去物については,容量の小さいフレキシブルコンテナ
を除去物間の隙等に挿入することも行った。
④ 上部保護土の上に厚さ 0.5mm の遮水シート(第一層)を敷設し,さらにその上に遮へいのた
めの厚さ 30cm の覆土を設置する。これより,上部の遮蔽の厚さは,上部保護土も含めると
50cm となる。
⑤ 覆土が流れ出さないように,覆土の上に厚さ 1mm の遮水シート(第二層)を敷設する。第一
層及び第二層の遮水シートは側面を覆うように下に垂らして,底面の遮水シートとそれぞれ
溶着する。また,2 層目の遮水シートの上部は,耐候性土のうを置いておいて押さえする。
⑥ 新たな厚さ 1mm,幅約 4m の遮水シートを敷地に敷設し,すでに敷設されている遮水シート
と溶着する。
⑦ ①~⑥を繰り返す。
⑧ ガスの発生による内圧上昇を考慮して,100m2
の仕切りごとにガス抜き管を設置する。なお,
冬の作業であったことから,不燃性除去物にも水分が含まれている可能性があること等を考
慮して,念のためにガス抜き管を設置する。
⑨ 一時保管施設からの放射性物質の移行状況を監視できるように,地形勾配,地下水位等を考
慮して施設下流側に地下水採取孔を設置する。
- 64 -
上記の一時保管施設整備後の 1m 高さにおける空間線量率(平均値)は,除去物の周囲では 0.4
μSv/h,敷地の境界では 1.0 μSv/h 程度であった。
図 3.1.4.5-2 地上式一時保管施設の位置図
図 3.1.4.5-3 除去土壌等一時保管置場(平面図)
- 65 -
図 3.1.4.5-4 除去土壌等一時保管置場(断面図)
- 66 -
3.1.4.6 除染後の放射線量率等の測定
計画した除染作業の終了後,除染実施区域内の空間線量率を,除染前の放射線量率等の測定ポ
イント(1m 及び 1cm 高さ)において,NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定し
た。
測定結果を表 3.1.4.6-1~表 3.1.4.6-2 及び図 3.1.4.6-1~図 3.1.4.6-14 に示す。
表 3.1.4.6-1 除染作業前後の除染実施区域内の空間線量率測定結果(地表面から 1m 高さ)
除染エリア 除染前 除染後
家屋周囲HA 0.81 ~ 3.14 μSv/h (平均 1.89 μSv/h ) 0.36 ~ 1.75 μSv/h (平均 0.93 μSv/h )
家屋周囲HB 0.51 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.48 μSv/h ) 0.26 ~ 0.93 μSv/h (平均 0.57 μSv/h )
家屋周囲HC 0.30 ~ 3.30 μSv/h (平均 1.56 μSv/h ) 0.17 ~ 1.68 μSv/h (平均 0.63 μSv/h )
家屋周囲HD 0.64 ~ 3.85 μSv/h (平均 1.97 μSv/h ) 0.47 ~ 1.54 μSv/h (平均 0.88 μSv/h )
家屋周囲HE 1.10 ~ 4.03 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.35 ~ 0.91 μSv/h (平均 0.52 μSv/h )
家屋周囲HF 0.56 ~ 4.22 μSv/h (平均 1.94 μSv/h ) 0.30 ~ 2.40 μSv/h (平均 0.89 μSv/h )
畑地M11 1.80 ~ 3.40 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.58 ~ 1.22 μSv/h (平均 0.80 μSv/h )
畑地M12 1.70 ~ 3.50 μSv/h (平均 2.74 μSv/h ) 0.42 ~ 1.02 μSv/h (平均 0.62 μSv/h )
畑地M51北 1.06 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.72 ~ 1.60 μSv/h (平均 1.18 μSv/h )
畑地M23 1.16 ~ 4.05 μSv/h (平均 2.18 μSv/h ) 0.54 ~ 2.34 μSv/h (平均 1.05 μSv/h )
畑地M31 1.55 ~ 2.47 μSv/h (平均 1.95 μSv/h ) 0.34 ~ 0.88 μSv/h (平均 0.56 μSv/h )
畑地M51南 1.92 ~ 3.00 μSv/h (平均 2.39 μSv/h ) 0.46 ~ 0.75 μSv/h (平均 0.57 μSv/h )
畑地M42 2.37 ~ 3.67 μSv/h (平均 2.81 μSv/h ) 0.33 ~ 1.20 μSv/h (平均 0.52 μSv/h )
畑地M43 1.62 ~ 2.46 μSv/h (平均 1.91 μSv/h ) 0.37 ~ 0.78 μSv/h (平均 0.56 μSv/h )
畑地M41 2.25 ~ 3.18 μSv/h (平均 2.67 μSv/h ) 0.72 ~ 1.58 μSv/h (平均 1.23 μSv/h )
広場M32 0.70 ~ 3.33 μSv/h (平均 2.32 μSv/h ) 0.43 ~ 1.96 μSv/h (平均 1.05 μSv/h )
森林M21 1.77 ~ 2.95 μSv/h (平均 2.52 μSv/h ) 1.04 ~ 2.20 μSv/h (平均 1.73 μSv/h )
森林M22 0.84 ~ 2.17 μSv/h (平均 1.46 μSv/h ) 0.63 ~ 2.13 μSv/h (平均 1.23 μSv/h )
森林M24 2.30 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.47 μSv/h ) 1.09 ~ 1.20 μSv/h (平均 1.13 μSv/h )
道路Ⅰ 0.98 ~ 2.89 μSv/h (平均 2.08 μSv/h ) 0.69 ~ 1.01 μSv/h (平均 0.83 μSv/h )
道路Ⅱ 1.24 ~ 3.00 μSv/h (平均 1.91 μSv/h ) 0.52 ~ 1.50 μSv/h (平均 0.90 μSv/h )
道路Ⅲ 1.44 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.04 μSv/h ) 0.58 ~ 1.72 μSv/h (平均 1.02 μSv/h )
- 67 -
表 3.1.4.6-2 除染作業前後の除染実施区域内の空間線量率測定結果(地表面から 1cm 高さ)
除染エリア 除染前 除染後
家屋周囲HA 0.42 ~ 40.0 μSv/h (平均 3.57 μSv/h ) 0.31 ~ 2.69 μSv/h (平均 0.96 μSv/h )
家屋周囲HB 0.34 ~ 29.1 μSv/h (平均 2.45 μSv/h ) 0.27 ~ 2.17 μSv/h (平均 0.59 μSv/h )
家屋周囲HC 0.20 ~ 17.0 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.16 ~ 2.76 μSv/h (平均 0.85 μSv/h )
家屋周囲HD 0.40 ~ 20.6 μSv/h (平均 3.05 μSv/h ) 0.35 ~ 1.86 μSv/h (平均 0.85 μSv/h )
家屋周囲HE 0.53 ~ 7.10 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.20 ~ 1.58 μSv/h (平均 0.51 μSv/h )
家屋周囲HF 0.28 ~ 60.0 μSv/h (平均 3.64 μSv/h ) 0.22 ~ 15.7 μSv/h (平均 1.25 μSv/h )
畑地M11 2.10 ~ 4.60 μSv/h (平均 3.51 μSv/h ) 0.57 ~ 1.46 μSv/h (平均 0.77 μSv/h )
畑地M12 1.70 ~ 4.80 μSv/h (平均 3.07 μSv/h ) 0.35 ~ 0.88 μSv/h (平均 0.57 μSv/h )
畑地M51北 1.58 ~ 5.92 μSv/h (平均 3.53 μSv/h ) 0.60 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.53 μSv/h )
畑地M23 1.03 ~ 6.70 μSv/h (平均 3.08 μSv/h ) 0.49 ~ 2.55 μSv/h (平均 1.10 μSv/h )
畑地M31 1.77 ~ 6.50 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.33 ~ 0.81 μSv/h (平均 0.52 μSv/h )
畑地M51南 2.10 ~ 6.40 μSv/h (平均 3.44 μSv/h ) 0.44 ~ 0.94 μSv/h (平均 0.52 μSv/h )
畑地M42 2.39 ~ 4.72 μSv/h (平均 3.74 μSv/h ) 0.33 ~ 2.10 μSv/h (平均 0.51 μSv/h )
畑地M43 1.44 ~ 6.11 μSv/h (平均 2.09 μSv/h ) 0.36 ~ 0.90 μSv/h (平均 0.53 μSv/h )
畑地M41 3.15 ~ 4.05 μSv/h (平均 3.49 μSv/h ) 0.64 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.58 μSv/h )
広場M32 0.58 ~ 19.0 μSv/h (平均 3.61 μSv/h ) 0.39 ~ 2.84 μSv/h (平均 1.17 μSv/h )
森林M21 2.18 ~ 4.30 μSv/h (平均 3.31 μSv/h ) 1.11 ~ 2.68 μSv/h (平均 2.15 μSv/h )
森林M22 0.89 ~ 3.54 μSv/h (平均 2.15 μSv/h ) 0.51 ~ 3.10 μSv/h (平均 1.50 μSv/h )
森林M24 2.80 ~ 3.40 μSv/h (平均 3.17 μSv/h ) 1.18 ~ 1.73 μSv/h (平均 1.48 μSv/h )
道路Ⅰ 1.03 ~ 4.53 μSv/h (平均 3.07 μSv/h ) 0.51 ~ 1.98 μSv/h (平均 0.90 μSv/h )
道路Ⅱ 1.45 ~ 27.3 μSv/h (平均 5.44 μSv/h ) 0.50 ~ 2.93 μSv/h (平均 1.50 μSv/h )
道路Ⅲ 1.90 ~ 5.00 μSv/h (平均 2.96 μSv/h ) 0.52 ~ 2.69 μSv/h (平均 1.15 μSv/h )
- 68 -
図 3.1.4.6-1 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-2 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1cm 高さ)
- 69 -
図 3.1.4.6-3 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-4 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1cm 高さ)
- 70 -
図 3.1.4.6-5 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-6 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1cm 高さ)
- 71 -
図 3.1.4.6-7 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-8 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1cm 高さ)
- 72 -
図 3.1.4.6-9 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-10 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1cm 高さ)
- 73 -
図 3.1.4.6-11 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1m 高さ)
図 3.1.4.6-12 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1cm 高さ)
- 74 -
図 3.1.4.6-13 除染後の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1m 高さ)
- 75 -
図 3.1.4.6-14 除染後の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1cm 高さ)
- 76 -
3.1.4.7 放射線管理
除染作業 における作業員は,内部被ばくの防護装備として専用の作業着及び防塵マスク
(DS3)を着用するとともに,外部被ばくの管理のため作業員毎にガラスバッジを,また作業グ
ルーブ毎にポケット線量計を着用した。なお,現場事務所へ作業員が入る際にはコンプレッサー
で作業着等に付着した塵埃を吹き飛ばすなどして,控室等へ汚染を持ち込まないよう留意した。
3.1.5 除染技術の評価
3.1.5.1 技術的側面
(1) 面的除染の効果
表 3.1.4.6-1~表 3.1.4.6-2 及び図 3.1.4.6-1~図 3.1.4.6-14 に見られるように,除染実施区域全体に
おける除染後の空間線量率の平均値は,1cm 高さ及び 1m 高さとも,概ね除染前の空間線量率の
1/2 まで低減した。
また,図 3.1.4.4-2 に見られるように,除染終了後の各ポイントの測定値は概ね除染前の値の
1/2~1/3 に下がっているが,M21 の傾斜路地 1 の測定ポイントにおいては,台風による既崩壊箇
所の状況の悪化を避けるため計画していた除染を行わなかった(3.1.4.2 参照)ことから,除染前
の値の 3/4 程度にとどまっている。
本実証事業においては,除染エリア毎,さらに同一エリア内においても,その地形,土地の利
用状況等に応じた除染方法を用いたことから除染効果が異なっている。除染エリア毎及びエリア
内の地形,土地の利用状況等に応じた除染方法に係る除染効果の一覧を表 3.1.5.1-1~表 3.1.5.1-28
に示すとともに,その概要を以下に記す。
なお,屋根及び樋の除染に係る評価は,(2) 除染関連試験等の評価の項で記述するため,本項
では,触れないこととした。
① 家屋周囲
1) HA 宅
HA 宅は,北側の直近に森林 M21 から下る急な傾斜地に面し,南側は砂利敷きの庭と一部花
壇が設けられるとともに,西側は土庭となっている。また,北側と西側にコンクリート製 U 字
溝(側溝)が設置されている。
HA 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.57μSv/h から 0.96μ
Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.89μSv/h から 0.93μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 73%及び 51%
となった。
コンクリート製側溝では,ホットスポットとなっていた堆積物を除去することにより,1cm 高
さにおける除染前後の低減率はコンクリート製側溝以外の場所よりも大きくなった。一方で側溝
内面の隙間に入った土や側溝の境界の土は,削り取りや,鋤取りにより十分な除去が困難であっ
たため,除染後の空間線量率の平均値は大きくなっている((2)④参照)。
家屋内の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.71μSv/h から 0.33μSv/h,1m 高
さでの平均値が 0.70μSv/h から 0.39μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 54%及び 45%であった。
表 3.1.5.1-2 に示すとおり,家屋内の北側に面した測定点の空間線量率の値は,他の家屋内の測
定点の値に比べて少し高い傾向にある。これは,HA 宅の北側は森林からの急斜面(M21)に極
近く,且つ後述の M21 の 1m 高さにおける空間線量率(平均値)が約 1.7μSv/h であることから
この影響を受けているものと考えられる。
- 77 -
表 3.1.5.1-1 HA 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均 50
最大/最小
平均
最大/最小 20.3 ~ 1.32 1.99 ~ 0.80
平均
最大/最小 2.95 ~ 0.81 1.80 ~ 0.36
平均
最大/最小 40.0 ~ 0.42 2.69 ~ 0.31
平均
最大/最小 3.14 ~ 0.81 1.75 ~ 0.36
平均
最大/最小 40.0 ~ 0.42 2.69 ~ 0.31
除染後
μ Sv/h)
51
73
0.95
上記以外の
場所
1m
1cm
除染前
(μ Sv/h)
73
3.47
0.92
51
1.88
0.96
1m
家屋周囲等
全体
3.14 1.56
コンクリート製
側溝
1m
1cm
5.93 1.32
78
0.93
1cm
1.89
3.57
(
(%)
表 3.1.5.1-2 HA 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.90 ~ 0.70 1.09 ~ 0.46
平均
最大/最小 2.40 ~ 0.78 1.20 ~ 0.34
平均
最大/最小 1.10 ~ 0.36 0.54 ~ 0.26
平均
最大/最小 1.20 ~ 0.43 0.56 ~ 0.20
平均
最大/最小 1.90 ~ 0.36 1.09 ~ 0.26
平均
最大/最小 2.40 ~ 0.43 1.20 ~ 0.20
46
47
56
0.66
41
0.34
0.28
0.64
1m
0.70 0.39
1cm
0.71 0.33
45
54
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
屋内(上記以
外)
1m
0.63
屋内(北側に
面した測定
点)
1m
1.11
1cm
1cm
0.63
1.21
屋内(全て)
表3.5.1-2 HA宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
( (%)
2) HB 宅
HB 宅は除染区域の北側中央に位置し,HB 宅北側の直近は森林 M22 から下る急な傾斜地とな
っている。HB 宅は南側及び東側にコンクリート敷の庭があり,西側は畑地である。
HB 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.45μSv/h から 0.59μ
Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.48μSv/h から 0.57μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 76%及び 61%
であった。
HB 宅の主に東側のコンクリート敷きの部分は,表面全体を均一に削り取るスチールショット
ブラスト除染を行ったため,主に人力で表層土の鋤取り・客土を行った西側の畑地より低減率が
高くなった。これより,コンクリートは汚染の浸透が全体的に小さく,スチールショットブラス
ト除染により表面を削剥する方法が有効であることが示された。
樋の出口では,ほとんどがホットスポットであり,これらを除去することにより,除染後の
1cm 高さの平均の空間線量率は庭やコンクリート部よりも高いが,除染前後の低減率は非常に大
きくなった。
家屋内の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.57μSv/h から 0.27μSv/h,1m 高
さでの平均値が 0.77μSv/h から 0.34μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 52%及び 56%であった。
- 78 -
これは,北側直近の森林 M22(④1)参照)を含めた家屋周囲の除染の結果である。特に,庭の
ホットスポットの線量率を低減させたことにより,家屋内 1 階のホットスポットに近い測定点の
空間線量率が他の測定点と同等程度に下がっている。
表 3.1.5.1-3 HB 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 2.43 ~ 0.51 0.93 ~ 0.26
平均
最大/最小 21.6 ~ 0.34 1.65 ~ 0.27
平均
最大/最小 2.43 ~ 1.27 0.78 ~ 0.59
平均
最大/最小 29.1 ~ 3.61 1.91 ~ 1.40
平均
最大/最小 2.78 ~ 0.91 0.90 ~ 0.40
平均
最大/最小 4.33 ~ 0.63 2.17 ~ 0.32
平均
最大/最小 2.78 ~ 0.51 0.93 ~ 0.26
平均
最大/最小 29.1 ~ 0.34 2.17 ~ 0.27
61
1cm
20.03 1.65
92
1m
1.49 0.65
0.70
57
66
家屋周囲等
全体
1m
1.48
1cm
2.05
1cm
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
0.55
0.57
2.45 0.59
76
コンクリート敷
き
1m
1.47
縦樋出口部
1m
1.85 0.69
63
上記以外の
場所
63
1cm
1.99 0.53
74
(
(%)
表 3.1.5.1-4 HB 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.22 ~ 0.76 0.44 ~ 0.31
平均
最大/最小 0.88 ~ 0.59 0.40 ~ 0.25
平均
最大/最小 0.98 ~ 0.50 0.49 ~ 0.25
平均
最大/最小 0.77 ~ 0.25 0.38 ~ 0.16
平均
最大/最小 1.22 ~ 0.50 0.49 ~ 0.25
平均
最大/最小 0.88 ~ 0.25 0.40 ~ 0.16
52
56
63
54
0.68 0.30
屋内(上記以
外)
1m
0.72 0.33
0.27
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
表3.5.1-4 HB宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
屋内(全て)
1m
0.77 0.34
1cm
0.57 0.27
1cm
0.55
51
56
屋内(ホットス
ポットの近く)
1m
1.02 0.37
1cm
( (%)
3) HC 宅
HC 宅は,道路 II 側から玄関前までアスファルト舗装であり,南側と西側は砂利敷と土庭にな
っている。また,北側直近は M51 北の傾斜地である。側溝は,家屋の南側,東側,北側にコン
クリート製の U 字溝が設置されている。
HC 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.76μSv/h から 0.85μ
Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.56μSv/h から 0.63μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 69%及び 59%
であった。
- 79 -
アスファルト舗装部は,スチールショットブラスト除染を実施した結果,1cm 高さ及び 1m 高
さでの空間線量率の低減率は 65%及び 58%であった。
側溝では,空間線量率が高く且つ除染しにくい集水升等は新しいものと交換したが,コンクリ
ート製の U 字溝に十分に除染しきれない部分が残ったため((2)④参照),除染前後の 1cm 高さ
及び 1m 高さの空間線量率の低減率は 72%及び 58%となった。
北側直近の急傾斜地 M51 北(②2)参照)を含めた家屋周囲の除染により,家屋内の除染前後
の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.55μSv/h から 0.25μSv/h,1m 高さでの平均値が 0.79
μSv/h から 0.31μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 55%及び 60%であった。
表 3.1.5.1-5 HC 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 2.40 ~ 1.20 1.68 ~ 0.40
平均
最大/最小 5.40 ~ 1.30 2.54 ~ 0.34
平均
最大/最小 3.30 ~ 1.40 1.28 ~ 0.69
平均
最大/最小 16.2 ~ 2.00 2.33 ~ 1.09
平均
最大/最小 2.70 ~ 0.30 1.68 ~ 0.17
平均
最大/最小 17.0 ~ 0.20 2.76 ~ 0.16
平均
最大/最小 3.30 ~ 0.30 1.68 ~ 0.17
平均
最大/最小 17.0 ~ 0.20 2.76 ~ 0.16
上記以外の
場所
1m
1.51 0.60
側溝
1m
2.34 0.99
1cm
2.36 0.74
69
家屋周囲等
全体
58
58
1cm
6.25 1.76
72
60
1cm
2.32 0.81
65
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
69
59
1cm
2.76 0.85
1m
1.56 0.63
表3.5.1-5 HC宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
アスファルト
舗装
1m
1.55 0.66
(
(%)
表 3.1.5.1-6 HC 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.30 ~ 0.40 0.64 ~ 0.17
平均
最大/最小 1.20 ~ 0.30 0.53 ~ 0.15
60
屋内
1m
0.79 0.31
1cm
0.55 0.25
55
除染前
(μ Sv/h)
表3.5.1-6 HC宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
除染後
μ Sv/h)( (%)
4) HD 宅
道路 II 側から玄関前の途中までアスファルト舗装で,それ以外の部分は,畑地を含む土庭で,
東側に二本の排水溝(土)が設けられている。なお,畑地のうち,東側及び西側の一部は,家主
の希望により,除染を行わなかった。
HD 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.05μSv/h から 0.85μ
Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.97μSv/h から 0.88μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 72%及び 56%
であった。
このうち,アスファルト舗装の部分はスチールショットブラスト除染を実施したが,ひび割れ
を含むアスファルトの劣化が顕著なため除染効果が上がらず,除染前後の 1cm 及び 1m 高さの空
間線量率の低減率はそれぞれ 49%と 51%であった。
- 80 -
土庭は,畑等の一部を対象にした土等の鋤取り,客土等を行こなったことから,除染前後の
1cm 及び 1m 高さの空間線量率(平均値)の低減率はそれぞれ 65%と 55%であった。このうち,
排水溝(土)は,ホットスポットの土を除去したため,高さ 1cm 及び 1m の空間線量率(平均値)
の低減率は 88%及び 69%と高い除染効果が得られている。
家屋内の除染前後の空間線量率は,表 3.5.1-8 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が 0.70μSv/h
から 0.31μSv/h,1m 高さでの平均値が 0.93μSv/h から 0.40μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ
56%及び 57%であった。なお,HD 宅は家主の要望により,1 階のみを測定した。
表 3.1.5.1-7 HD 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.84 ~ 1.69 1.00 ~ 0.66
平均
最大/最小 1.82 ~ 1.77 1.12 ~ 0.63
平均
最大/最小 3.85 ~ 2.25 1.06 ~ 0.69
平均
最大/最小 20.6 ~ 1.45 1.86 ~ 0.51
平均
最大/最小 3.76 ~ 0.64 1.54 ~ 0.47
平均
最大/最小 16.9 ~ 0.40 1.64 ~ 0.35
平均
最大/最小 3.85 ~ 0.64 1.54 ~ 0.47
平均
最大/最小 20.6 ~ 0.40 1.86 ~ 0.35
排水溝
(土)
1m
2.93 0.89
69
1cm
7.22 0.87
88
1m
1.77 0.87
51
1cm
1.80
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
0.91
49
家屋周囲等
全体
1m
1.97 0.88
56
0.85
上記以外の
場所
1m
1.93 0.87
65
55
アスファルト
舗装
3.05
72
1cm
2.44 0.85
1cm
( (%)
表 3.1.5.1-8 HD 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.82 ~ 0.67 0.55 ~ 0.28
平均
最大/最小 1.41 ~ 0.43 0.46 ~ 0.20
56
57
1cm
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
0.70 0.31
屋内
1m
0.93 0.40
表3.5.1-8 HD宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
( (%)
5) HE 宅
HE 宅は南側及び西側に HE 宅の家主が所有する畑等(M12)と接し,北側にコンクリート製
の側溝が設置されている。
HE 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.13μSv/h から 0.51μ
Sv/h,1m 高さでの平均値が 2.13μSv/h から 0.52μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 76%及び 75%
であった。
これは,事前測定の時点で家周囲に植えてあった植栽が除染前に家主により全て伐採・撤去さ
れていたこと,新たに見つかったホットスポットの除去等がこの除染効果に寄与している。
家屋内の除染前後の空間線量率は,表 3.5.1-10 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が 0.86μSv/h
から 0.29μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.16μSv/h から 0.33μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ
66%及び 71%であった。HE 宅では,屋内における除染後の空間線量率の最大値と最小値の差が
小さい。これは,周囲(M11,M1 及び道路Ⅲ)が比較的均等且つ十分に除染されたことによる。
- 81 -
表 3.1.5.1-9 HE 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 4.03 ~ 1.10 0.91 ~ 0.35
平均
最大/最小 7.10 ~ 0.53 1.58 ~ 0.20
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
表3.5.1-9 HE宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
76
75
家屋周囲等
全体
1m
2.13 0.52
1cm
2.13 0.51
(
(%)
表 3.1.5.1-10 HE 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.68 ~ 0.92 0.43 ~ 0.30
平均
最大/最小 1.23 ~ 0.64 0.38 ~ 0.24
1cm
0.86 0.29
71
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
表3.5.1-10 HE宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
66
屋内
1m
1.16 0.33
( (%)
6) 中央集会所(HF)
中央集会所 HF は広場(M32)内の建物であり,建物の北側を除く周囲に側溝が設置されてい
る。道路 III 側の側溝は建物の土台コンクリートと一体となった浅い側溝であり,また,グラン
ド側及び玄関側は U 字溝の側溝である。
中央集会所周り全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.64μSv/h から 1.25
μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.94μSv/h から 0.89μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 66%及び
54%であった。
道路 III 側の側溝における 1cm 高さの空間線量率(平均値)の低減率は 74%であるが,側溝の
割れ目部における除染前後の 1cm 高さの空間線量率は 16.4μSv/h から 15.7μSv/h とほとんど低
減しなかった。一方で,同割れ目部の 1m 高さの空間線量率は 3.51μSv/h から 2.40μSv/h に低減
している。これは,同割れ目部の方向,周囲からの放射線等のためと考えられる。本側溝は,中
央集会所と道路Ⅲの傾斜地に挟まれた狭い場所にあることから影響は局所的と考えられる。
また,それ以外の場所では,除染前は東側の側溝等にホットスポットが存在し,除染前は高さ
1cm 及び高さ 1m 空間線量率(平均値)がそれぞれ 2.57μSv/h 及び 1.83μSv/h であったが,除染
後はそれぞれ 1.03μSv/h 及び 0.84μSv/h まで低減した。
中央集会所内の除染前後の空間線量率は,表 3.1.5.1-12 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が
0.55μSv/h から 0.26μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.05μSv/h から 0.40μSv/h に低減し,低減率
はそれぞれ 53%及び 61%であった。
- 82 -
表 3.1.5.1-11 HF 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 4.22 ~ 0.76 2.40 ~ 0.66
平均
最大/最小 60.0 ~ 0.76 15.7 ~ 0.57
平均
最大/最小 4.04 ~ 0.56 1.59 ~ 0.25
平均
最大/最小 8.75 ~ 0.28 2.90 ~ 0.22
平均
最大/最小 4.22 ~ 0.56 2.40 ~ 0.30
平均
最大/最小 60.0 ~ 0.28 15.7 ~ 0.22
*1:建物下のコンクリートのたたきを含む
1.25
66
54
家屋周囲等
全体
1m
1.94 0.89
1cm
3.64
側溝(道路III
側*1
)
1m
2.49
上記以外の
場所
1m
1.83 0.84
54
1cm
2.57 1.03
60
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
1.14
54
1cm
8.69 2.29
74
(
(%)
表 3.1.5.1-12 HF 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 1.84 ~ 0.53 0.70 ~ 0.22
平均
最大/最小 0.94 ~ 0.35 0.38 ~ 0.20
屋内
1m
1.05 0.40
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
1cm
0.55 0.26
53
61
表3.5.1-12 HE宅内における除染前後の空間線量率の測定結果
( (%)
② 畑等
1) 果樹園等(M11)
果樹園等(M11)は,除染実施区域の北東に位置し,北から南へ若干傾斜した平地である果樹
園と,その南側に設置された 2 棟のビニールハウス(長さ約 30m×幅約 5m)から構成される。
M11 全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.51μSv/h から 0.77μSv/h に,
1m 高さでの平均値が 2.76μSv/h から 0.80μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 78%及び 71%であ
った。
果樹園は重機により,ビニールハウスの内部及びその周囲は人力により,それぞれ表層土 4cm
の鋤取り及び同じ厚さの客土を行ったが,表 3.1.5.1-13 に示すように空間線量率の低減率は同程
度であった。
果樹園の除染後の 1cm 高さの空間線量率(平均値)は,後述するエリア全体が平坦で重機に
よる表層土の鋤取り・客土を行った他の畑等(M31,M43,M51 南等)と比較して少し高くなっ
ている。これは,果樹園内には果物の木が存在したため木の周辺のすきとりが平地と比べて難し
かったこと,及び果樹園西側の傾斜地との境界付近では汚染の除去率が小さくなったことによる
と考えられる。
- 83 -
表 3.1.5.1-13 果樹園等 M11 における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 3.40 ~ 2.60 1.22 ~ 0.58
平均
最大/最小 4.30 ~ 2.10 1.17 ~ 0.62
平均
最大/最小 2.90 ~ 1.80 1.03 ~ 0.63
平均
最大/最小 4.60 ~ 2.60 0.80 ~ 0.57
平均
最大/最小
平均
最大/最小
平均
最大/最小 3.40 ~ 1.80 1.22 ~ 0.58
平均
最大/最小 4.60 ~ 2.10 1.46 ~ 0.57
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
果樹園
(草地)
1m
2.96 0.81
58
71
1.46
0.77
73
1cm
3.59 0.78
78
78
3.50
0.80
79
69
61
ビニールハウ
ス周囲
1m
2.51 0.78
1cm
3.51
1cm
3.37 0.69
1cm
全体
1m
2.76
表3.5.1-13 果樹園等M11における除染前後の空間線量率の測定結果
上記以外の
場所(側溝)
1m
2.00 0.78
( (%)
2) HE 宅周囲の畑等(M12)
HE 宅周囲の畑等(M12)は,主に HE 宅の南側に高さ 2m 程度の多数の低い樹木及び 10 本程
度の杉,桜などの高い樹木が植えてある庭,並びに HE 宅西側の畑地から成る平地である。なお,
低い樹木は地権者により除染作業の前に伐採され,高い樹木は本実証事業の一部として伐採され
た。
重機による表層土の鋤取り・客土を行った結果,M12 全体の除染前後の空間線量率は,1cm
高さでの平均値が 3.07μSv/h から,0.57μSv/h に,1m 高さでの平均値が 2.74μSv/h から 0.62μ
Sv/h に低減し,低減率はそれぞれ 81%及び 77%であった。
また,HD 宅及び畑地の境界を除くと,1cm 高さの空間線量率(平均値)は,0.57μSv/h とな
り,後述するエリア全体が平坦で重機等により表層土の鋤取り・客土を行った畑等(M51 南,
M43 等)と同程度となった。
なお,HD 宅及び畑地の境界については傾斜地の部分が多いことから,前述の崩落防止に配慮
した方法で除染を実施したため,空間線量率の低減率が若干低くなった。
表 3.1.5.1-14 HE 宅周囲の畑等 M12 における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 3.50 ~ 2.10 0.81 ~ 0.46
平均
最大/最小 4.80 ~ 2.10 0.66 ~ 0.44
平均
最大/最小 3.00 ~ 1.70 1.02 ~ 0.42
平均
最大/最小 3.80 ~ 1.70 0.88 ~ 0.35
平均
最大/最小 3.50 ~ 1.70 1.02 ~ 0.42
平均
最大/最小 4.80 ~ 1.70 0.88 ~ 0.35
81
83
0.62
0.64
79
0.57
80
1cm
3.07 0.57
3.10
1cm
77
畑地(下記以
外)
1m
2.83
除染後
μ Sv/h)
2.61 0.71
73
表3.5.1-14 HE宅周囲の畑等M12における除染前後の空間線量率の測定結果
0.54
1m
2.74
畑地の境界
部等
1cm
3.03
除染前
(μ Sv/h)
全体
1m
( (%)
- 84 -
3) HD 宅周囲の畑等(M23)
M23 は,HD 宅の北側,東側及び西側の畑地で,本除染エリアの北東部は竹林となっており,
竹林と川の間の南北方向へ向かう狭い林道が存在する。なお,東側及び西側の一部の畑や家周囲
の資材置き場は,地権者の希望により,除染を実施しなかった。
M23 全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.08μSv/h から 1.10μSv/h に,
1m 高さでの平均値が 2.18μSv/h から 1.05μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 64%及び 52%であ
った。
畑地については,野菜,草の除去後,重機により表層土を 7cm 鋤取り,その後,山砂により
同等の厚さの客土を施工した。その結果,高さ 1cm 及び 1m の空間線量率の低減率がそれぞれ
77%及び 64%となった。
後述する鋤取り・客土を施したエリア全体が平坦な畑等(M51 南,M43 等)と比較して,除
染後の 1cm 高さの空間線量率の平均値は少し高くなった。これは,除染を実施しなかった同エ
リア内の畑地及び資材置き場付近,並びに畑地の南西側及び南側の傾斜地の除去率が低く留まっ
ているためと考えられる。
一方,北端のあぜ道や北東部の林道では,斜面の崩落や周囲の竹林,耕作物等への配慮から,
前述の傾斜地と同じ除染方法としたため,畑地と比べて低減率が低くなった。
表 3.1.5.1-15 HD 宅周囲の畑等 M23 における除染前後の空間線量率の測定結果
線量率の
低減率
平均
最大/最小 4.05 ~ 1.60 1.30 ~ 0.54
平均
最大/最小 6.70 ~ 1.50 1.39 ~ 0.49
平均
最大/最小 2.95 ~ 1.68 2.34 ~ 1.22
平均
最大/最小 5.21 ~ 1.87 2.55 ~ 2.04
平均
最大/最小 2.51 ~ 1.16 1.16 ~ 0.61
平均
最大/最小 4.34 ~ 1.03 1.65 ~ 0.52
平均
最大/最小 4.05 ~ 1.16 2.34 ~ 0.54
平均
最大/最小 6.70 ~ 1.03 2.55 ~ 0.49
3.13 0.71
77
北端の畔道、
北東部林道
1m
2.31 1.84
除染前
(μ Sv/h)
除染後
μ Sv/h)
表3.5.1-15 HD宅周囲の畑等M23における除染前後の空間線量率の測定結果
20
1cm
3.42 2.22
35
畑地
1m
2.30 0.83
64
1cm
上記以外の
場所(家入口
道路等)
1m
1.56 0.85
45
1cm
2.45 1.15
53
全体
1m
2.18 1.05
52
1cm
3.08 1.10
64
( (%)
4) HB 宅-HC 宅間の傾斜地(M51 北)
M51 北は,北から南に向かう草地の傾斜地であり,特に南側は HC 宅に向かって勾配が大きく
なっている。
除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.53μSv/h から 1.53μSv/h に,また 1m 高さ
での平均値が 2.13μSv/h から 1.18μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 57%及び 44%であった。
低減率があまり向上しなかったのは,M51 北は大半が傾斜地であり,前述の斜面の崩落防止
に配慮した除染方法をとったためである。
伊達市下小国地区における実証実験 3.1
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伊達市下小国地区における実証実験 3.1

  • 1. - 9 - 3. 除染効果実証実験 3.1 伊達市下小国地区における実証実験 伊達市下小国地区の除染効果実証実験事業(以下,「実証事業」という。)は図 2.2.1 の手 順に沿って行った。本実証事業の実施工程を図 3.1-1 に示す。 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 除染実施区域の選定 除染方法に係る基本的な考え方の検討 除染実施区域内の詳細な放射線量当量率測定 主な点の土壌・植物の採取/放射能濃度測定 除染方法・手順の検討 除染効果評価システムを用いた除染目標等の検討 関係者からの意見、要望等の反映 (国・自治体・地元へ の説明) 除染計画決定(除染方法・工程,除染目標等) 多様な汚染源を含む広範囲の除染作業 除染中の放射線量当量率の測定 除染に伴う除去物の保管 除染後の放射線量率等の測定・除染効果の確認 除去物発生量,コスト,安全性等の評価 保管中の除去物の監視,記録の管理 除染計画の決定 除染技術の実証 除染技術の評価と除 染後管理 契約事務 図3 伊達市下小国地区における除染効果実証実験事業の実施工程 項目 2011年 2012年 除染に係る基本方針 の検討 除染前の放射線量当 量率等の測定 図 3.1-1 伊達市下小国地区における除染効果実証実験事業の実施工程 3.1.1 除染に係る基本方針の検討 (1) 除染実施区域の選定 伊達市下小国地区は,今後自治体,コミュニティ等が行う除染活動の対象となる家屋(庭 を含む),畑,牧草地,果樹園,森林,道路,公共施設(中央集会所)等の様々な要素を区 域内に含んでいたこと,区域内に特定避難勧奨地点に指定された家屋が含まれるなど区域内 の空間線量率(3 章においては,「線量当量率」を「線量率」と記載する。)が比較的高か ったこと,同地区内にある中央集会所及びその広場の所有者が伊達市であるため同広場を除 去物の一時保管施設の設置場所として使用できる可能性があったことから,実証事業の除染 実施区域として選定された(図 3.1.1-1 及び図 3.1.1-2)。本区域の面積は約 28,400m2 である。 (2) 除染方法の基本的な考え方 伊達市下小国地区の除染方法は,実証事業の目的,同区域の雨水に係る排水設備等の状況 等を踏まえて,以下の基本的考え方に基づいて選定することとした。 ・本実証事業の知見等が,各自治体,コミュニティ等の今後の除染活動に反映されることを 考慮し,各自治体,コミュニティ等が容易に実施可能で,実践的な除染方法を用いること とする。 ・伊達市下小国地区においては,ほとんどの雨水等は雨樋を経て周辺土壌に放出されている ことから,家屋の屋根,樋等の除染作業に大量の水を使用する場合,これに伴って発生す る排水が周辺土壌の汚染をさらに拡大する恐れがある。また,本排水を回収する場合,別 途その処理設備等が必要となる。従って,できる限り水を使用しない除染方法を用いるこ ととする。
  • 3. - 11 - 3.1.2 除染前の放射線量率等の測定 除染前の放射線量率等の測定は,除染作業計画の策定,除染効果の評価等に必要な除染作 業前の汚染状況を把握することを目的として,平成 23 年 8 月 23 日(火)~24 日(水)及び 9 月 6 日(火)に,主に以下の項目について行った。測定に先立ち,除染実施区域を,家屋, 土地の利用状況等に基づいた複数の除染エリアに区分し(図 3.1.2-1),除染エリア毎の状況 に応じた測定を行うこととした。 ・ 空間線量率分布(全区域) ・土壌の深さ方向の放射性物質濃度分布(畑,果樹園,牧草地,森林等) 図 3.1.2-1 除染エリア区分図 (1) 空間線量率分布 除染実施区域を含む広範囲の区域を対象として,事前に汚染状況の概要を把握するとの観 点から無人ヘリによるサーベイを行うとともに,除染実施区域について,被ばく線量評価の 観点から地表面等から 1m 高さにおいて,また,周辺と比べて局所的に空間線量率が高い箇 所(以下,「ホットスポット」という。)をより正確に特定するとの観点から地表面等から 1cm 高さにおいて,それぞれ NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定するとと もに,同サーベイメータの測定範囲を超える場合は電離箱式サーベイメータを用いて測定し た。 測定ポイントについては,各自治体,コミュニティ等が除染作業を行う際に留意すべき場 所が明確となるように,家屋の外周りを中心としてより詳細に設定した。 家屋内については部屋毎に中央部及び四隅を,また,家屋の外周りについては 2m メッシ ュ毎のポイントを,それぞれ測定ポイントとすることを原則にするとともに,過去の知見等 から空間線量率が高いと考えられる雨樋出口等の場所を測定ポイントに加えた。
  • 4. - 12 - 家屋以外の畑,牧草地,果樹園等については,10m メッシュ毎に測定ポイントを設定する ことを原則としたが,測定点から測定点に移動する際には地表面から 1 m 高さでの測定を継 続し,線量率が大きく変動する箇所が確認された場合は,10 m より短い間隔でも適宜測定ポ イントとした。 測定結果を図 3.1.2-2~図 3.1.2-15 に示す。 家屋内については傾斜地,牧草地及び森林に面した場所が他の場所より線量率が高い。ま た,家屋外周辺の地表面等から 1cm 高さにおいては,雨樋出口,側溝等でホットスポットが 確認された。 家屋以外では,地表面等から 1 m 高さの測定位置において,牧草地,果樹園,集会所広場 等で比較的高い空間線量率が測定された。また,ホットスポットが,牧草地の牧草ロール, 集会所広場の樹木の根元,舗装道路の割れ目等に多数確認された。
  • 5. - 13 - 図 3.1.2-2 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-3 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1cm 高さ)
  • 6. - 14 - 図 3.1.2-4 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-5 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1cm 高さ)
  • 7. - 15 - 図 3.1.2-6 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-7 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1cm 高さ)
  • 8. - 16 - 図 3.1.2-8 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-9 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1cm 高さ)
  • 9. - 17 - 図 3.1.2-10 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-11 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1cm 高さ)
  • 10. - 18 - 図 3.1.2-12 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1m 高さ) 図 3.1.2-13 除染前の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1cm 高さ)
  • 11. - 19 - 線量率区分 (単位:μSv/h) ● 1 未満 ● 1~3 ● 3~5 ● 5~10 ●10~20 ●20~30 ●30 以上 図 3.1.2-14 除染前の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1m 高さ)
  • 12. - 20 - 図 3.1.2-15 除染前の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1cm 高さ)
  • 13. - 21 - (2) 土壌の深さ方向の放射性物質濃度分布 土壌(森林内部の腐葉土を含む)を対象に,文部科学省が開催する調査研究協力者会議等(科 学技術・学術政策)の「第一回放射線量等分布マップの作成等に係る検討会」における配布資料 第 1-4-2-2 号「土壌濃度マップの作成に向けた土壌試料採取の方法について」に準拠して,畑, 牧草地,果樹園等において試料を採取し,Ge 半導体検出器及びγ線スペクトル分析器を用いて 深さ方向の放射能濃度分布を測定・評価した。 土壌試料の採取位置を図 3.1.2-16 に,土壌試料中の Cs-134 及び Cs-137 の放射能濃度の分析結 果を表 3.1.2-1 に示す。放射性セシウムの土壌への浸透深さは,福島第一原子力発電所から放射 性セシウムが放出された後のトラクターによる畑の耕作などの土地の利用状況に応じて,5cm~ 20cm 程度と評価された。 図 3.1.2-16 土壌試料の採取位置
  • 14. - 22 - 表 3.1.2-1 土壌試料中の 134 Cs 及び 137 Cs の放射能濃度の分析結果 深さ Cs-134 Cs-137 (cm) (Bq/kg) (Bq/kg) 0 – 3 (5.11±0.21)e2 (7.44±0.27)e2 8 – 13 (5.26±0.93)e1 (1.10±0.12)e2 13 – 18 (3.68±1.08)e1 L.T.D.(≤3σ) 0 – 3 3.20E+03 4.00E+03 10 – 13 1.00E+03 1.40E+03 15 – 18 3.00E+02 3.70E+03 20 – 23 1.30E+02 1.80E+02 0 – 3 3.60E+03 4.70E+03 5 – 8 6.40E+02 8.70E+02 10 – 13 8.00E+01 1.10E+02 15 – 18 7.20E+01 8.30E+01 20 – 23 N.D. 2.30E+01 0 – 5 (1.13±0.03)e3 (1.47±0.03)e3 5 – 10 (1.85±0.11)e2 (2.39±0.13)e2 10 – 15 (3.11±0.54)e1 (4.11±0.61)e1 15 – 20 N.D. (2.51±0.52)e1 0 – 3 (6.42±0.06)e3 (8.48±0.07)e3 3 – 5 (2.83±0.14)e2 (3.52±0.18)e2 5 – 9 (4.52±0.54)e1 (6.73±0.72)e1 9 – 14 (2.29±0.41)e1 (1.58±0.51)e1 0 – 5 (1.49±0.03)e3 (1.92±0.04)e3 10 – 15 N.D. (4.38±0.80)e1 16 – 21 (5.30±0.72)e1 (5.96±0.86)e1 22 – N.D. N.D. 0 – 4 (1.03±0.02)e3 (1.35±0.03)e3 4 – 8 (1.33±0.09)e2 (1.74±0.11)e2 9 – 14 (5.84±0.69)e1 (7.51±0.87)e1 14 – 18 (4.10±0.49)e1 (7.04±0.69)e1 0 – 3 (1.63±0.03)e3 (2.18±0.03)e3 3 – 5 (2.30±0.03)e3 (3.00±0.04)e3 7 – 10 (4.98±0.15)e2 (6.52±0.18)e2 10 – 13 (6.25±0.70)e1 (1.02±0.09)e2 14 – 18 (2.02±0.42)e1 (3.07±0.56)e1 0 – 6 (5.19±0.05)e3 (7.05±0.06)e3 6 – 9 (1.61±0.10)e2 (2.27±0.13)e2 9 – 11 L.T.D. (2.29±0.61)e1 11 – 13 N.D. N.D. 13 – 15 N.D. (2.43±0.78)e1 0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4 4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3 7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1 11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1 13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1 0 – 4 (1.86±0.03)e3 (2.48±0.04)e3 4 – 8 (1.93±0.03)e3 (2.63±0.03)e3 8 – 11 (1.75±0.03)e3 (2.27±0.03)e3 11 – 14 (6.41±0.17)e2 (8.89±0.21)e2 14 – 15 (7.18±0.60)e1 (9.26±0.75)e1 0 – 5 1.00E+03 1.30E+03 5 – 10 N.D. N.D. 10 – 15 N.D. N.D. 15 – 20 N.D. N.D. 0 – 5 1.50E+03 2.00E+03 10 – 13 1.20E+03 1.60E+03 15 – 18 1.50E+01 N.D. 20 – 23 N.D. N.D. 備考除染エリア H23/9/6 H23/9/6 H23/9/6 土壌採取日土壌採取場所 ① ② H23/8/23-24 H23/9/6 ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ M11 ⑪ ⑫ ⑬ H23/9/6 H23/8/23-24 H23/8/23-24 H23/9/6 H23/9/6 H23/9/6 H23/9/6 ③ ④ M21 M21 M21 M41 牧草地(未耕作) 畑(耕作) M23 M42 M51南 M32 未耕作地 畑(耕作) 畑(トラクター耕作) 畑(耕作後) M31 M31 M12 M43 H23/8/23-24
  • 15. - 23 - 3.1.3 除染作業計画の策定 (1) 除染範囲 当初,図 3.1.1-2 に示した伊達市下小国地区における除染対象域区域の全域を除染実施区域と していたが,後述するように(3.1.3(8)参照),同区域にある畑の耕作者等の要望を踏まえ,畑の 一部を除染範囲から外すこととした。図 3.1.3-1 に除染範囲を示す。 図 3.1.3-1 除染範囲 (2) 除染目標 「除染に関する緊急実施基本方針」(原子力災害対策本部,2011)で示された「除染実施にお ける暫定目標」を踏まえ,本実証事業では,除染実施区域における空間線量率を除染前の 1/2 に低 減することを目標とし,これを達成するため,ホットスポットについては地表面等から 1 cm 高 さにおける空間線量率が少なくとも 3.0μSv/h を下回るまで,それ以外の測定ポイントについては, 同高さでの空間線量率が少なくとも除染前の値の 1/2 になるまで除染することとした。 このうち,表土の鋤きとりを行う畑,牧草地,果樹園等については,日本原子力研究開発機構 が開発した除染効果評価システム(Calculation system for Decontamination Effect,以下,CDE とい う)(日本原子力研究開発機構,2011)の線量率低減効果に係る検討結果に基づき,本除染目標 を達成するため,表土鋤きとり後の土壌の放射能濃度が 1,000Bq/kg になることを目安に除染を行 うこととした。 (3) 除染効果評価システムによる事前評価 除染計画の策定の検討においては,除染による空間線量率の低減効果を評価し,目標とする線 量率の低減効果が達成できる除染の目安を与えることを重要な目的のひとつとした。 本評価においては,除染による空間線量率の低減効果を評価するシステムとして,CDE を活 用した。CDE は平成 23 年 11 月 2 日より日本原子力研究開発機構のホームページ
  • 16. - 24 - (http://nsed.jaea.go.jp/josen/)で公開されている。CDE は,土壌種別に応じた各領域での除染作業 前の表面汚染密度を入力として,1m 高さの空間線量率分布を評価する。また,各領域に対して, 除染係数を与えることにより,除染後の 1m 高さの空間線量率分布を評価する。以上より,除染 作業による空間線量率の低減効果を評価する。なお,除染係数とは,表面汚染密度に対する除染 前後の比であり,表面汚染密度が半分になれば,除染係数は 2 となる。 本評価においては,汚染土壌の除去の観点から,土壌の削り取り深さに関する検討を行う。具 体的には,除染対象領域での畑,草地,地面等の汚染土壌の削り取りによる汚染密度の低減と空 間線量率の低減の関係を評価する。本検討においては,深さ方向の土壌サンプリング結果を基に, 除染後の汚染密度を変化させたときの空間線量率の低減効果の変化を評価する。具体的には,土 壌の汚染密度を 5,000 Bq/kg,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg と低減させ,目標値として,空間線量率 が半分程度以下となる汚染密度を評価し,その結果から,土壌削り取り深さの目安を与える。 表 3.1.3-1 に,伊達市下小国地区におけるある土壌に対する土壌サンプリング結果(深さ方向 汚染密度分布)の一例を示す。図 3.1.3-2 は,この測定結果を元に,関数フィッティングした汚 染密度分布の結果である。仮に,5,000 Bq/kg の汚染密度までの土壌除去により空間線量率に対す る目標が達成された場合,削り取り深さは 4 cm となる。また,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg の場合 は,それぞれ 5 cm,7 cm となる。 表 3.1.3-1 伊達市下小国地区における土壌サンプリング結果の一例 深さ (cm) Cs-134 (Bq/kg) Cs-137 (Bq/kg) 0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4 4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3 7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1 11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1 13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1 深さ (cm) Cs-134 (Bq/kg) Cs-137 (Bq/kg) 0 – 4 (8.13±0.06)e3 (1.07±0.00)e4 4 – 7 (1.13±0.02)e3 (1.47±0.03)e3 7 – 11 (7.98±0.68)e1 (8.79±0.79)e1 11 – 13 (2.62±0.41)e1 (4.28±0.55)e1 13 – 15 (1.24±0.31)e1 (1.79±0.43)e1 0 5 10 15 0 5 10 15 20 Cs-134+137密度 (kBq/kg) 深度(cm) 実測値 関数fit. 0 5 10 15 0 5 10 15 20 Cs-134+137密度 (kBq/kg) 深度(cm) 実測値 関数fit. 図 3.1.3-2 表 3.1.3-1 の深さ方向汚染密度分布に対する関数フィッティングの例
  • 17. - 25 - 空間線量率の低減効果を評価するために使用した計算条件を以下に述べる。除染前の表面汚染 密度分布として,森林を除く土壌に関しては,本事業で測定した表面線量率分布(μSv/h)の測 定値を使用した。森林については,文部科学省による航空機モニタリング結果(文部科学省,2011) を使用した。なお,空間線量率分布を除染対象領域の境界領域においても周辺領域からの線量寄 与を評価するため,除染対象領域外側の周辺領域の表面線量率の測定値も用いた。 除染係数については,舗装道路,家屋については,原子力学会のクリーンアップ分科会が編集 した技術カタログ(日本原子力学会,2011)を参考にし,舗装道路については 10,家屋につい ては,2.2 を採用した。森林については,林野庁が調査した森林の汚染分布(林野庁,2011)を 参考とした。除染対象地区における森林の大部分は杉林であり,杉林での汚染分布に関する調査 結果を参考とした。杉林での汚染分布は,落葉(リター)や表土層に約半分,葉や枝に約半分が 分布しているとの結果であり,これを基に,落葉や表土層の除去のみの除染の場合は,汚染密度 がほぼ半分となるため除染係数に 2 を与え,枝打ちを加える場合は,枝葉部分の半分程度以上は 除去できると考え,汚染密度が全体で 20%まで低減すると考え,除染係数に 5 を与えた。 畑,草地,地面等,その他の土壌に対する除染係数は,除染前の表面汚染密度との比を除染係 数として採用した。除染前の表面汚染密度は,1cm 高さの空間線量率から換算した。この換算に ついては,均一の汚染密度が無限に広がっていると仮定し,連続エネルギーモデルに基づく 3 次 元粒子輸送モンテカルロコード PHITS(Niita et al., 2010)により評価した。 除染後の表面汚染密度については,表面だけが汚染されていると仮定した場合,土の密度を 1.5 g/cm3 として,土壌の汚染密度が 1,000 Bq/kg の場合は,1.5 Bq/cm2 となる。一方,汚染が深さ 方向に均一に分布していると仮定した場合,深い位置からの空間線量率への寄与を含めて評価す る。この効果を評価するために,PHITS コードを用いて,いろいろな深さにおける水平方向に無 限に広がる均一の汚染を与え,この汚染からの空間線量率を評価し,表面にのみ汚染がある場合 の空間線量率との比率を評価し,その比率を深さ方向に考慮した値を乗じて表面汚染密度として 評価する。深さ方向への汚染の浸透は徐々に小さくなると考えられるため,表面にのみ汚染して いる場合と深さ方向に均一に汚染している場合の両極端の場合の中間にあると考えられる。本検 討においては,保守的な評価とするために深さ方向に均一に汚染していると仮定した。 図 3.1.3-3 に,表面汚染源による空間線量率に対する土壌中の平面汚染源による空間線量率の 比率を示す。 土壌中での線源深さ (㎝) 地表面線源に対する空間線量率の比 図 3.1.3-3 137 Cs 無限地表面線源による空間線量率に対する 土壌中 137 Cs 無限平面線源による空間線量率の比率
  • 18. - 26 - 深さ方向に均一な汚染が浸透していると仮定すると,表面に汚染がある場合に比べて,3.8 倍 程度の空間線量率となる。深さ方向に均一に無限に浸透しているのは,極端な仮定であるため, 表面に汚染がある場合に比べて,表面汚染密度が 3 倍になっているものとした。 なお,表面汚染源による空間線量率に対する土壌中の平面汚染源による空間線量率の比率に関 する PHITS の計算結果を,深さ方向の関数として以下のフィッティング式を以下のとおり導出 した。 H=N1exp(-d/a1)+N2xp(-d/a2)+N3exp(-d/a3) (3.1.3-1) ここで,H は比率,d は深さ(cm)である。また,N1=0.375,N2=0.246,N3=0.379,a1=0.371 , a2=1.937, a3=8.358 である。 以上から,本検討では,未耕作地の除染後の表面汚染密度は,土の密度を 1.5 g/cm3 として,土 壌の汚染密度が 1,000 Bq/kg の場合は,1.5 Bq/cm2 を 3 倍して 4.5 Bq/cm2 と評価した。 上述したように,除染前の汚染密度を表面線量率から表面汚染密度に換算し,これを除染後の 汚染密度を 5,000 Bq/kg,3,000 Bq/kg,1,000 Bq/kg と変化させて,表面汚染密度を上記の値を元 に換算した値で割ることにより除染係数を評価した。土壌種別ごとに採用した除染係数を図 3.1.3-4 にまとめる。 0 5 10 果 樹 園 果 樹 園 下 部 の 植 栽 ・畑 グ ラ ウ ン ド西 側 地 面 牧 草 地 上 部 草 地 牧 草 地牧 草 地 下 部 畑 グ ラ ウ ン ド西 側 の 畑 除染係数(DF) 5kBq/kg 3kBq/kg 1kBq/kg 図 3.1.3-4 伊達市下小国地区の各土壌種別に対する除染係数 図 3.1.3-4 から 1,000 Bq/kg まで汚染土壌を除去すれば,除染係数は 5 程度以上が期待できるこ とが分かる。 汚染土壌の削り取り深さを検討する前に,除染前の段階で,CDE の線量評価機能を検証する。 図 3.1.3-5 に除染前の空間線量率分布を示す。図中示す各位置において,1m 高さ空間線量率につ いて,CDE による計算値,3 次元地形を正確に取り込んだ PHITS による計算値及び測定値との 比較を表 3.1.3-2 に示す。まず,PHITS との比較においては,両者は最大 30%以内で一致し,PHITS の計算結果と同程度の制度で空間線量率を評価できることが示された。なお,計算時間は PHITS
  • 19. - 27 - が数十時間を要したのに対して,CDE は 10 秒程度で完了した。測定値との比較においても,CDE は良い一致を示している。A2 地点(グランドの端)では,35%程度の過小評価を与えているが, この地点の付近にはいくつかの植木が植えられており,汚染密度として与えていない葉に付着し た放射性物質からの線量寄与があった可能性や汚染として考慮しなかった除染前に試験的に実 施されていたグランド東側の除去土壌が近くにあったこと等が影響していると可能性がある。こ れらの情報を正確に与えれば測定値を正確に再現できるものと期待される。 図 3.1.3-5 伊達市下小国地区の除染前の空間線量率 表 3.1.3-2 各地点における空間線量率(μSv/h)の比較 A1 A2 B1 B2 C D CDE 1.1 2.1 1.6 1.9 2.0 1.8 PHITS 0.8 2.0 1.5 1.7 2.0 1.7 測定値 1.0 3.1 1.6 2.0 2.0 1.7 土壌除去による空間線量率の低減効果に関するケーススタディの結果を図 3.1.3-6 に示す。 (a) 空間線量率 (b) 線量率低減係数 図 3.1.3-6 伊達市下小国地区における空間線量率に対する土壌除去による効果
  • 20. - 28 - このケーススタディでは,居住時間が長いと思われる除染対象区域内の 5 軒の家屋周辺を対象 とした。図 3.1.3-6 の右図(b)に示す線量率低減係数(DRRF)は,除染前後の空間線量率の比 で定義され,DRRF が 2 の場合は,線量率が半分になったことを意味している。右図から,1,000 Bq/kg まで汚染土壌を除去すれば,空間線量率を未除染の場合に比べ半分以下とすることが達成 できることがわかる。また,左図(a)から 1.0 μSv/h 以下まで低減することが期待できること がわかる。なお,後背地に森林をひかえた家屋 HA,HB に関しては,森林の除染による線量率 の低減が他の家屋に比べて大きいことがわかる。 以上より,1,000 Bq/kg まで汚染土壌を除去する場合について,土壌削り取り深さの目安を表 3. 1.3-3 にまとめる。なお,土壌深さの目安を与えることによって,汚染土壌の除去容量の概算を 行い,あわせてまとめた。 表 3.1.3-3 伊達市下小国地区に対する土壌削り取り深さの目安 剥離厚さ (cm) 剥離容積 (m3) 果樹園 3,470 4 138.8 HE宅周囲 1,984 7 138.88 HA宅裏山 170 7 11.9 HB宅裏山 80 7 5.6 HD宅周囲 2,510 7 175.7 畑 1,330 4 53.2 集会場広場 2,250 2 45 HA宅斜面 1,890 5 94.5 牧草地 3,010 4 120.4 畑(タラの木) 1,472 14 206.08 HB宅斜面 684 4 27.36 HC下の畑 546 10 54.6 用途 面積 (m2) Cs-134+137 (m2) (m3)
  • 21. - 29 - (4) 除染方法 除染方法は,前述の「3.1.1 (2) 除染方法の基本的考え方」,除染前の放射線率等の測定結果, 除染エリア毎の土地の利用状況等を踏まえ,除染エリア毎に策定した。 また,除染作業の一環として,家屋屋根等の汚染状況及び拭取り方式等による除染効果,コン クリート構造物に対するスチールショットブラスト除染における鋼製球の投射密度と除染効果 の相関等に係る除染関連データも収得することとした。 除染エリア毎の除染方法の概要を図 3.1.3-7~図 3.1.3-10 に,また具体的な除染方法を付録 3 に 示す。 図 3.1.3-7 除染対象毎の除染方法(建屋類及び周辺の庭) 図 3.1.3-8 除染対象毎の除染方法(畑及び草地等)
  • 22. - 30 - 図 3.1.3-9 除染対象毎の除染方法(森林等) 図 3.1.3-10 除染対象毎の除染方法(道路等) (5) 基本的な除染順序 除染実施区域内の住民及び除染作業者の被ばく線量の低減等を考慮して,まずホットスポッ トを除染した後,次に除染時の二次汚染防止の観点から標高の高い除染エリアから低いエリア に向けて除染を行っていくこととした。 除染順序を図 3.1.3-11 に示す。
  • 23. - 31 - 図 3.1.3-11 土地利用状況の特徴に応じた基本的な除染順序 (6) 除去物の発生推定量及び一時保管方法 除染に伴って発生する表層土,土砂,泥,木・草等の除去物については,不燃物と可燃物とに 分別し,JIS Z 1651_2008 非危険物用フレキシブルコンテナに準拠した耐候性容器に収納すること とし,可燃性及び不燃性の除去物とも,除染実施区域から少し離れた場所で地上式により一時保 管を行うこととした。 除去物の発生量は,不燃性除去物が約 1,467m3 (フレキシブルコンテナ約 1,486 個),及び可 燃性除去物が約 182m3 (フレキシブルコンテナ約 200 個)と推定した。 除去物の地上式一時保管施設の概要及び一時保管の方法については付録 4 に示す。 (7) 放射線管理 除染実施区域が,追加被ばく線量がおおむね年間 1 から 20mSv までの地域に該当することか ら,『「除染に関する緊急実施基本方針」及び「市町村による除染実施ガイドライン」に基づく 除染作業における労働者の放射線障害防止措置について 』(平成 23 年 9 月 9 日厚生労働省労働 基準局安全衛生部長)等に沿って,事前教育,放射線管理,装備装着等を実施することとした。 また,平成 24 年 1 月 1 日以降は,これに加えて,同日から施行された労働安全衛生法の「東 日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電 離放射線障害防止規則」についても遵守して作業を行うこととした。 (8) 除染作業計画の策定に影響を与えた社会的要因 伊達市下小国地区の除染実施区域において本実証事業を行うに当たっては,まず,本実証事業 の目的,範囲,除染の方針等について同区域を含む下小国地域の方々に説明を行い,同区域内の 住民,並びに同区域内にある畑等の所有者及び耕作者(下線部を以下,「除染実施区域関係者」 と言う。)の方々から同事業の実施に係る協力の同意書を得た。
  • 24. - 32 - 次に,除染計画案を除染実施区域関係者の方々に個別に説明し,一部の畑等を除染範囲から外 すなどの要望を取り入れて修正した後,同区域を含む下小国地域の行政区(下線部を以下,「下 小国地区の行政区」と言う。) の方々に説明を行い,除去物の一時保管場所を中央集会所の広 場の地下に設けること以外は了解を得た。 除去物の一時保管場所については,中央集会所広場の所有者である伊達市等の了解のもとボー リング調査による地下水の確認等を行うなど検討を進めていたが,下小国地区の行政区から,今 後の伊達市が行う除染に備えて同行政区が準備をしている 5 か所の除去物の一時保管場所候補 地うちの 1 か所を使用してはとの提案がなされた。 この 5 か所の候補地に係る調査の結果,除染実施区域から 800m ほど離れた果樹園が自然環境 及び社会環境の観点から一時保管場所として唯一適していると思われたことから,伊達市による 同果樹園地権者との交渉を経て,可燃性及び不燃性の除去物ともここを整地して地上式で一時保 管することとなった。 ここに至るまでに,本件に係る除染実施区域関係者の方々を含む下小国地区の行政区の方々へ の説明,特に除去物の一時保管場所の説明等に多くの時間を費やするとともに,除去物の一時保 管場所の保管方法,保管容量,施設仕様等の変更は除去物の発生量にまで影響が及んだことから, 結果としてかなりの計画変更を余儀なくされた。 3.1.4 除染技術の実証 3.1.4.1 実施工程 除染作業は除去物の一時保管施設の整備及び保管を含めて,平成 23 年 12 月 12 日~平成 24 年 3 月 16 日の期間実施した。実施工程を図 3.1.4.1-1 に示す。 図 3.1.4.1-1 伊達市下小国地区の除染作業に係る実施工程 3.1.4.2 面的除染の実施 策定した除染作業計画に沿って面的除染を実施した(図 3.1.4.2-2~図 3.1.4.2-23)。除染エリア 毎の実施した除染方法,使用機器・工具及び装備の一覧を表 3.1.4.2-1 に示す。 除染作業計画における傾斜地の除染方法は,除染前の測定結果を踏まえて,落ち葉かき,草刈 りの後に表層土 5cm~7cm を鋤取ることをめやすとしていたが,傾斜地の勾配,地質,台風によ る既崩壊箇所の状況等を踏まえ,除染作業後の崩壊を避けるため,落ち葉かき,草刈りの後には, 後述する除染中の確認測定をこまめに行いながら(3.1.4.4 参照),電動草刈り機等を用いて 1 cm
  • 25. - 33 - 高さにおける空間線量率が少なくとも 3.0μSv/h を下回るように表層土を徐々に鋤取った(結果と して概ね 1cm 程度の厚さを鋤取った)。 また,除染実施区域関係者の強い要望に基づき,一部の森林の除染対象範囲を福島県のガイド ライン(福島県,2011)に沿って森林入口から奥行き 20m に広げるとともに,家屋周囲の伐採 対象樹木も一部追加した。
  • 26. - 34 - 図 3.1.4.2-2 面的除染の実施状況 1(HA 宅における除染作業) 図 3.1.4.2-3 面的除染の実施状況 2(HB 宅における除染作業)
  • 27. - 35 - 図 3.1.4.2-4 面的除染の実施状況 3(HC 宅における除染作業) 図 3.1.4.2-5 面的除染の実施状況 4(HD における除染作業)
  • 28. - 36 - 図 3.1.4.2-6 面的除染の実施状況 5(HE 宅における除染作業) 図 3.1.4.2-7 面的除染の実施状況 6(HF 宅における除染作業)
  • 29. - 37 - 図 3.1.4.2-8 面的除染の実施状況 7(果樹園 M11 における除染作業) 図 3.1.4.2-9 面的除染の実施状況 8(HE 宅周囲の畑等 M12 における除染作業)
  • 30. - 38 - 図 3.1.4.2-10 面的除染の実施状況 9(森林 M21 及び傾斜地 1 における除染作業) 図 3.1.4.2-11 面的除染の実施状況 10(森林 M22 及び傾斜地 2 における除染作業)
  • 31. - 39 - 図 3.1.4.2-12 面的除染の実施状況 11(HD 宅周囲の畑等 M23 における除染作業) 図 3.1.4.2-13 面的除染の実施状況 12(森林 M24 における除染作業)
  • 32. - 40 - 図 3.1.4.2-14 面的除染の実施状況 13(南側中央の畑地 M31 における除染作業) 図 3.1.4.2-15 面的除染の実施状況 14(中央集会所広場 M32 における除染作業)
  • 33. - 41 - 図 3.1.4.2-16 面的除染の実施状況 15(HA 宅ーHB 宅間及び南側 M41 における除染作業) 図 3.1.4.2-17 面的除染の実施状況 16 (牧草地 M42 における除染作業)
  • 34. - 42 - 図 3.1.4.2-18 面的除染の実施状況 17(南西側畑地 M43 における除染作業) 図 3.1.4.2-19 面的除染の実施状況 18(HB 宅-HC 宅間の傾斜地 M51 北における除染作業)
  • 35. - 43 - 図 3.1.4.2-20 面的除染の実施状況 19(HC 宅南側の畑地 M51 南における除染作業) 図 3.1.4.2-21 面的除染の実施状況 20(道路Ⅰにおける除染作業)
  • 36. - 44 - 図 3.1.4.2-22 面的除染の実施状況 21(道路Ⅱにおける除染作業) 図 3.1.4.2-23 面的除染の実施状況 22(道路Ⅲにおける除染作業)
  • 37. - 45 - 表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(1/3) 使用機械工具 除去物の措置 装備品 屋根 清浄作業 タワシ、皮すき、キムタオルによる苔、泥を除去及び拭き取り(屋根の重ね合 せ部における苔、堆積物、金属が腐食している部分の除去)。 JAEAの指示により、瓦屋根に対し酢の希釈液による洗浄、拭き取り、トタン屋 根に対し電動研磨工具及び集塵機による汚れの除去。 軒樋、集水器 除去作業 手作業による落葉、苔、草、泥、土等の除去 JAEAの指示により、一部の樋を交換。 竪樋、排水管 清浄作業 パイプクリーナー、キムタオルを用いた手作業による清浄、拭き取り 発注者の指示により、一部の樋を交換。 庭等(土壌、砂利敷 き、植栽、置石等) 手作業による枯葉、苔、草、泥等の除去、および除草(菜園の作物を含む)。 HC宅の砂利敷き部の砂利を除去し、復旧は砂利を敷設。 草刈機、熊手、鎌、 スコップ、じょれん、 レーキ 庭等のホットスポッ ト ホットスポットは、JAEAの指示により、表層土を5~15cmの深さまで除去。コ ンクリート部分に対しては、サンダーによる研磨除染、コンクリートのはつり (復旧はモルタル充填又は敷設)。 バックホウ、スコッ プ、じょれん 表層土等を除去し た部分 HA裏の斜面崩落部 表層土等を除去した部分は、客土を施工。施工後の土砂等の流出及び斜面 の崩落の可能性がある個所は植生シートを敷設。 バックホウ、スコッ プ、レーキ、じょれん 植栽 造園作業 手作業による剪定、切り枝回収。JAEAが指定するもの(HE等内:約10本)に ついては伐採し、薪状に細断。 脚立、梯子、チェー ンソー、剪定ばさみ 可燃物として分別し、耐 候性フレキシブルコンテ ナに収納し、一時保管場 所に運搬 除去作業 手作業による枯葉、苔、草、泥、土等の除去 清浄作業 除去作業後、デッキブラシ、タワシ等による洗浄。JAEAの指示により、サン ダーによる研磨除染、集水マスの交換、側溝のふたの設置。 遊具 清浄作業 キムタオル等を用いた手作業による洗浄、拭き取り。JAEAの指示により、酢 の希釈液、軽油による洗浄、拭き取り。サンダーによる研磨除染、コンクリート たたき台のはつり機によるはつり(復旧はモルタル敷設)、タイヤの抜き取り。 キムタオル等 キムタオルは可燃物に 分別し、耐候性フレキシ ブルコンテナに収納し、 一時保管場所に運搬 表3.4.2 除染エリア毎の除染方法、使用機器・工具及び着用装備一覧 (1/3) 除染対象 一般家屋 中央集会所 苔、泥、堆積物は不燃物 に、キムタオルは可燃物 に分別し、耐候性フレキ シブルコンテナに収納 し、一時保管場所に運搬 除去方法 枯葉、草等は可燃物に、 土砂・砂利は不燃物に分 別し、耐候性フレキシブ ルコンテナに収納し、一 時保管場所に運搬 側溝 スコップ、デッキブラ シ 建 屋 類 周 囲 の 庭 等 一般家屋・ 中央集会所 の庭等 ゴム手袋、 防塵マスク (DS)、ゴー グル、専用 の作業着 (長袖) 梯子、脚立、親綱、 ロリップ、安全帯、 金ブラシ、集塵機、 トング 各 除 染 エ リ ア の 建 屋 類 除去作業 枯葉、草等は可燃物に、 土砂・砂利は不燃物に分 別し、耐候性フレキシブ ルコンテナに収納し、一 時保管場所に運搬
  • 38. - 46 - 表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(2/3) 使用機械工具 除去物の措置 装備品 畑 栽培作物 手作業による栽培作物の除去、除草。JAEAの指示により、M31の一部、M23 の一部については栽培作物の除去は実施しない。 可燃物として分別し、耐 候性フレキシブルコンテ ナに収納し、一時保管場 所に運搬 草地、牧草地、果樹 園 HA、HB家屋の森林 に向かう傾斜地 中央集会所の広場 手作業による枯葉、泥、ごみ等の除去、除草。JAEAの指示により、領域内に 植生する低木、笹等を除去。 法面部 HA、HB家屋の森林 に向かう傾斜地 M41の法面部、M51北、HAに向かう傾斜地については、崩落の恐れを考慮 し、JAEAと協議の上、草刈機、レーキ等で表層土をかき取りにより除去。部 分的にスコップ等で掘削して除去。掘削により除去した部分は客土を施工。 施工後、土砂等の流出及び斜面の崩落の可能性がある個所は植生わら芝を 敷設。 スコップ、レーキ、 じょれん 土木作業 重機等により表層土を概ね2~14cmの深さまで除去。JAEA]の指示により過 去に実施された除去土壌の撤去。 バックホウ、スコッ プ、じょれん 造園作業 手作業にて高木を4mまでの高さまで枝打ち実施 梯子、脚立、高枝切 りバサミ、チェーン ソー 畑、草地、牧草地 果樹園 土木作業 表層土を除去した部分は、客土を施工。施工後の土砂等の流出及び斜面の 崩落の可能性がある個所は植生わら芝、植生シートを敷設。 バックホウ、レーキ、 スコップ、じょれん 除去作業 M21は入口から概ね10m、M22はJAEAの指示により入口から概ね20m。手 作業による落ち葉かき、除草。JAEAの指示により竹等の除去。土砂等の流 出及び斜面の崩落の可能性がある個所は植生わら芝を敷設。 草刈機、レーキ、ス コップ、じょれん 造園作業 手作業にて高木を4mまでの高さまで枝打ち実施 梯子、脚立、高枝切 りバサミ、チェーン ソー 森 林 等 可燃物として分別し、耐 候性フレキシブルコンテ ナに収納し、一時保管場 所に運搬 森林(M21、M22、M24) ゴム手袋、 防塵マスク (DS)、ゴー グル、作業 着(長袖) 除去方法除染対象 枯葉、草等は可燃物に、 土砂・砂利は不燃物に分 別し、耐候性フレキシブ ルコンテナに収納し、一 時保管場所に運搬 畑、草地、 牧草地 果樹園 中央集会所 の広場 畑 ・ 牧 草 地 等 土砂・砂利は不燃物に、 枝等は可燃物に分別し、 耐候性フレキシブルコン テナに収納し、一時保管 場所に運搬 草地、牧草 地、果樹園 HA、HBの森 林に向かう 傾斜地 中央集会所 の広場 除去作業 草刈機、熊手、鎌、 レーキ 畑、草地、牧草地 果樹園 中央集会所の広場
  • 39. - 47 - 表 3.1.4.2-1 除染エリア毎の除染方法,使用機器,工具及び着用装備一覧(3/3) 使用機械工具 除去物の措置 装備品 道路(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)HB 庭、HC庭、HD家屋入 口 手作業による苔、草、泥、土等の除去 スコップ、じょれん 道路Ⅱ HB庭、HC庭、 HD家屋入口 ブラスト作業の実施(高圧空気を用いて鉄球等の研磨剤を対象エリアの表面 に吹きつけて除染)。削った除去物は吸引機にて吸引、ブラストマシンよりこ ぼれた除去物は大型掃除機にて吸引、鉄球は磁石にて回収。 道路Ⅱ JAEAが指定するエリアにおいて除染速度等と除染効果の相関を調査 手作業による枯葉、苔、草、泥、土等の除去。 スコップ 清浄作業 除去作業後、デッキブラシ、タワシ等による洗浄 デッキブラシ 道路Ⅰ 重機により舗装部を除去し、新たに舗装実施 道路Ⅱ 道路と側溝の境界のアスファルトの切除、再舗装 道路Ⅲ 重機により表層土を概ね4cmの深さまで除去。表層土を除去した部分は、発 注者の指示に従って、客土の施工。 バックホウ、レーキ、 スコップ、じょれん 表3.4.2 除染エリア毎に実施した除染方法、使用機器・工具及び装備一覧 (3/3) 除染対象 除去方法 道路脇側溝 道路脇側溝 道路(Ⅰ、 Ⅱ、Ⅲ) HB庭 HC庭 HD家屋入 口 草等は可燃物に、苔、土 砂・砂利、ブラスト除去物 は不燃物に分別し、耐候 性フレキシブルコンテナ に収納し、一時保管場所 に運搬 ゴム手袋、 防塵マスク (DS)、ゴー グル、作業 着(長袖) 道路 道 路 等 土木作業 除去作業 ブラストマシン、ユ ニック、掃除機、磁 石式鉄球回収機、 ほうき バックホウ
  • 40. - 48 - 3.1.4.3 除染関連試験等の実施 除染実施区域の面的除染の一環として以下の項目に係る試験等を実施し,除染に関連するデー タ等を収集した。 (1) 家屋屋根の汚染状況及び拭取り方式等による除染効果 家屋屋根の除染方法として,高圧洗浄が使用される場合がある。この高圧洗浄は,除染に伴い 発生する排水の処理,家屋の損傷の可能性等が課題となっている。 これを踏まえ,今回の実証試験においては,除染作業においてできる限り水を使用しない方針 の下,高圧洗浄に替わる家屋屋根の除染方法の除染効果に係る評価等を実施することとした。 また,現在自治体が進めている除染計画又は除染作業においては,自治体によって家屋屋根の 除染が実施されたり実施されなかったりの状況等を踏まえ,家屋屋根の除染の優先度についても 評価・検討を試みることとした。 下小国地区の除染実施区域にある家屋屋根は, ・燻瓦(土瓦) ・釉薬瓦(陶器瓦) ・セメント瓦 ・トタン屋根(平トタン及び波トタン) と種類に富んでいる。 まず,本試験の一環として,家屋屋根の種類毎に汚染状況の測定・評価を行った。 測定ポイントについては,除染実施区域内にある家屋屋根の種類毎及び傾斜面毎に 2~3 の測 定部(両端又は両端及び中央)を選定し,各測定部の表面を GM 式サーベイメータで予備測定す ることにより,各測定部の汚染レベルの把握,汚染のレベルが高いポイントの特定を行った。さ らに,この予備測定の結果に基づいて,汚染レベルの高いポイント等の詳細測定を行った。 次に,これらの測定結果等を踏まえ,水に浸した後に軽く絞ったキムタオルを用いた拭取り方 式など,家屋屋根の種類,汚染状況等に応じた方法を用いて除染した後,それらの表面汚染密度 等を GM 式サーベイメータ等で測定し,除染前の値と比較して除染効果を評価した。屋根の種類 毎の汚染の状態を図3.1.4.3-1~図3.1.4.3-5に,除染作業の実施状況を図3.1.4.3-6にそれぞれ示す。 また,測定及び評価結果は,を 3.1.5.1(2)に記載する。 なお,GM 式サーベイメータによる測定においては,まず家屋屋根の表面から 1m 高さにおい てバックグラウンドのγ線の寄与分を計測し,これを家屋屋根等の表面の計測値から差し引いて, 家屋屋根の表面の β(γ)線の測定値とした。
  • 41. - 49 - 図 3.1.4.3-1 屋根の汚染の状況 1 燻瓦(土瓦) 図 3.1.4.3-2 屋根の汚染の状況 2 釉薬瓦(陶器瓦)
  • 42. - 50 - 図 3.1.4.3-3 屋根の汚染の状況 3 トタン屋根(波板トタン) 図 3.1.4.3-4 屋根の汚染の状況 4 トタン屋根
  • 43. - 51 - 図 3.1.4.3-5 屋根の汚染の状況 5 セメント瓦 図 3.1.4.3-6 屋根に係る除染作業状況
  • 44. - 52 - (2) 雨樋の汚染状況及び除染効果 除染前の放射線量等の測定時に,各家屋の雨樋(横樋)にはいくつかのホットスポットが測定 されている。また,雨樋は人の居住空間に比較的近い位置に設置されている場合もある。 今回の実証試験においては,これら雨樋も家屋屋根と同様に水を使用しない方法で除染するこ ととし,その除染効果に係る評価等を実施することとした。 まず,家屋屋根と同様に本試験の一環として,雨樋の汚染状況の測定・評価を行った。 GM 式サーベイメータを用いて,家屋毎に横樋の堆積物がある部分,特に縦樋との接合部分を 中心に予備測定することにより,各家屋の雨樋に係る汚染レベルの把握,汚染のレベルが高いポ イントの特定を行った。次に,この予備測定の結果に基づいて,汚染レベルの高いポイント等の 詳細測定を行った。なお,横樋は縦樋に向けて傾斜がとられていることから,通常の家屋におい ては,縦樋との接合部分に多くの汚染物が堆積していた。 次に,これらの測定結果等を踏まえ,ブラシによる擦り,水に浸した後に軽く絞ったキムタオ ルを用いた拭取り方式など,汚染状況等に応じた方法を用いて除染した後,それらの表面汚染密 度等を GM 式サーベイメータ等で測定し,除染前の値と比較して除染効果を評価した。雨樋の汚 染状況を図 3.1.4.3-7 に,除染作業の実施状況を図 3.1.4.3-8 に示す。また,測定及び評価結果は 3.1.5.1(2)に記載する。 図 3.1.4.3-7 雨樋の汚染状況
  • 45. - 53 - 図 3.1.4.3-8 雨樋の除染作業の実施状況 (3) コンクリート構造物に対するスチールショットブラスト除染における鋼製球の投射密度と 除染効果の相関 スチールショットブラスト除染は,コンクリート構造物,アスファルト構造物等の表面に 0.6 ~2.6mm の鋼製球を高速,高圧で投射し,表面を研削する方法である。照射後の鉄球は研削粉塵 を分離したのち機械内部で循環させるとともに,研削塵埃は併用集塵機で集塵することから,水 を使用せず且つ二次汚染の可能性も低い除染方法である。 ここで,スチールショットブラスト除染に使用する走行機械の走行速度(m/min),鋼製球の 投射量(一定 kg/min),研掃幅(一定 m)及び鋼製球の投射密度(kg/㎡)の間には次の関係が ある。 走行速度 = 鋼製球の投射量 /(研掃幅×鋼製球の投射密度) 本除染実施区域で用いた走行機械は鋼製球の投射密度を 20 段階にわたって変更することが可 能であったことから,本実証事業においては,本除染技術の除染効果と鋼製球の投射密度との相 関を調べることとし,中央集会所の広場の隅にあるコンクリート製防火水槽の上面 1m 四方毎に 鋼製球の投射密度を変え,除染前後の表面汚染密度及び空間線量率を GM 式サーベイメータ及び NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定した。 ブラスト除染試験の実施状況を図 3.1.4.3-9 に示す。また,測定及び評価結果は,3.1.5.1(2)③に 示す。
  • 46. - 54 - 図 3.1.4.3-9 ブラスト除染試験の実施状況 (4) スチールショットブラスト除染が適用できないコンクリート構造物に対する除染方法 前述のスチールショットブラスト除染はコンクリート構造物等の除染には非常に効果的であ るが,家屋周囲のコンクリート製の側溝及び集水桝,家屋庭のコンクリートスラブの亀裂部,遊 具のコンクリート部位等には,大きさ,形状等の観点から適用できない。 一方で,これらコンクリート構造物の中にはホットスポットとして高い空間線量率が測定され ているものがある。 この状況を踏まえ,コンクリート構造物の形状等に応じた方法で除染を試み,作業の効率性の 観点を含めてその除染効果の測定・評価を行った。 除染作業の実施状況を図 3.1.4.3-10~図 3.1.4.3-13 に示す。また,測定及び評価結果は,3.1.5.1(2) ④に示す。 図 3.1.4.3-10 コンクリート製側溝の除染実施状況
  • 47. - 55 - 図 3.1.4.3-11 コンクリートスラブの亀裂の除染実施状況 図 3.1.4.3-12 コンクリート製の集水マスの除染実施状況
  • 48. - 56 - 図 3.1.4.3-13 割れたコンクリートスラブの除染実施状況 (5) 除染作業に伴う塵埃の放射能濃度 除染作業の中には塵埃の発生を伴うものもあるため,今後除染が行われる区域及び当該区域周 辺の居住者の方々等への影響を事前に評価する必要がある。 この観点から,本実証事業の除染作業の種類毎に,その作業場所近くの風下にダストサンプラ ーを設置して,作業中に発生する塵埃を含む空気を吸引した。塵埃を捕獲したフィルターの放射 能を Ge 半導体検出器によるγ線スペクトル分析で定量し,吸引した空気量で除すことにより, 除染作業周辺の空気中の放射能濃度を評価した。 測定結果を表 3.1.4.3-1 に示す。
  • 49. - 57 - 表 3.1.4.3-1 除染作業周辺の空気中の放射能濃度の測定結果 測定時間 134 Cs 137 Cs H23.12.14 9:30~15:00 H23.12.20 10:00~15:00 H23.12.24 8:50~12:00/ 13:30~16:30 H24.1.6 10:38~12:13 H23.12.14 10:23~13:13 H23.12.17 9:35~10:35/11:13 ~15:26H23.12.19 10:30~15:50 H24.1.9 9:36~15:44 H23.12.17 8:30~11:00/13:00 ~16:00H23.12.21 15:20~16:30 * 吸引時間には、休憩時間等の作業を行わなかった時間を除く。 ダストサンプル 測定日 放射性物質濃度(Bq/cm 3 ) 作業内容 場所 採取日時 採取流量 (m 3 /min) 吸引時間 (min)* 吸引量(m3 ) リアルタイム(秒) 鋤取り・フレコン作製 畑M23 0.1 240 24 H23.12.27 2000 排気中の放射性物質濃度 限度以下 134 Cs 2×10 -5 Bq/cm 3 137 Cs 3×10-5 Bq/cm3 鋤取り・フレコン作製 畑M42 210 21 H23.12.27 鋤取り 傾斜地 0.06 屋根堆積物 掃除機吸引 HD宅 0.06 110 11 H23.12.27 310 31 H24.1.25 コンクリート削剥作業 HB宅 0.1 95 9.5 H24.1.13 H24.1.25 ブラスト作業 道路Ⅱ周囲 244 24.4 H24.1.16 伐採・切枝の裁断 HE宅 0.1 253 25.3 H23.12.27 サンダーによる屋根研 磨 HB宅 230 23 落ち葉かき 森林M21 0.1 70 7 H23.12.26 鋤取り 集会所広場 0.06 300 30 H23.12.28
  • 50. - 58 - 3.1.4.4 除染中の放射線量率等の測定 除染中においては,下記の目的に応じた放射線量率等の測定を実施した。 (1)除染目標の達成度合いを確認する。 前述した傾斜地の除染時(3.1.4.2 参照)を含め,除染工程毎に除染した場所を主に NaI シンチ レーション式サーベイメータ等を用いて測定し,除染目標の達成度合いを確認した。 (2)除染効果の経時的変化を把握する。 後述する除染後の空間線量率等の測定(3.1.4.6 参照)の前に,除染実施区域全体及び区域内で の除染作業の効果に係る経時的変化を除染作業の内容の変化とともに把握するため,除染実施区 域内の適切な場所に固定の測定ポイントを設定し,この固定測定ポイントにおいて定期的に NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて 1m 高さでの空間線量率を測定した。 測定ポイントは,除染効果評価システムの検証にも用いられるとの観点を含めて選定した。 測定点を図 3.1.4.4-1 に,測定結果を表 3.1.4.4-1 及び図 3.1.4.4-2 に示す。 図 3.1.4.4-1 定点測定の測定点
  • 51. - 59 - 表 3.1.4.4-1 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化(1/2) 12月9日 12月15日 12月19日 12月21日 12月27日 12月28日 1月7日 1月10日 1月12日 区域除染状況 庭表土除去→客土 線量当量率 (μ Sv/h) 1.5 1.5 1.6 1.5 1.0 0.9 1.2 0.6 0.6 区域除染状況 除染前 コンクリート庭ホットスポット除 染 庭ブラスト除染後 線量当量率 (μ Sv/h) 1.4 1.3 1.3 1.2 1.2 1.2 1.1 0.5 0.6 区域除染状況 除染前 ブラスト除染後 庭除染* 線量当量率 (μ Sv/h) 1.0 1.3 1.1 1.0 1.0 1.0 1.0 0.4 0.4 区域除染状況 除染前 ブラスト除染後 砕石すき取り 玄関前ブラスト後 周辺客土後 線量当量率 (μ Sv/h) 1.3 1.2 1.6 1.4 1.3 1.3 1.2 0.8 0.8 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.3 1.3 1.4 1.4 0.7 0.5 0.6 0.5 0.4 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.2 1.1 1.0 1.2 0.9 0.9 1.0 0.9 1.0 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 2.4 1.9 1.1 0.8 0.8 0.9 0.9 1.0 0.6 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.9 1.9 2.1 2.2 1.8 1.9 1.5 0.7 0.6 7 M11果樹 園 8 道路3 4 HD宅 5 HE宅 6 HF中央集 会所 2 HB宅 3 HC宅 *庭砂利除去・敷設、表土除去・客土 1m高さの空間線量率(μ Sv/h) 1 HA宅 除染前 屋根除染 屋根除染 西側ホットスポット除染後 ホットスポット除染 屋根除染 屋根除染 庭表土除去 屋根除染 伐採・剪定(M12) 伐採・剪定(M12) 表土すき取り(M12) 客土(M12) ホットスポット除染 屋根除染 西側表土鋤取り(M32) 草刈り 表土鋤取り 客土 道路I 除染 森林M24除染 表土等鋤取り 砕石敷設
  • 52. - 60 - 表 3.1.4.4-1 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化(2/2) 12月9日 12月15日 12月19日 12月21日 12月27日 12月28日 1月7日 1月10日 1月12日 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.9 1.8 2.2 2.7 0.7 0.8 0.8 0.5 0.5 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 3.0 2.4 0.5 0.9 1.2 1.0 1..2 1.0 1.1 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.2 1.0 1.4 1.0 0.9 0.8 0.9 1.0 0.9 区域除染状況 除染前 ブラスト除染後 線量当量率 (μ Sv/h) 1.5 1.9 1.9 1.8 1.7 1.7 1.2 0.5 0.7 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 2.6 2.5 3.2 0.7 0.6 0.5 0.6 0.4 0.3 区域除染状況 除染前 HA宅周囲除染後 線量当量率 (μ Sv/h) 2.3 2.2 2.6 2.5 2.0 2.3 2.3 2.2 1.8 区域除染状況 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 2.1 2.2 2.5 1.8 1.2 1.1 1.5 0.8 0.8 区域内除染内容 除染前 線量当量率 (μ Sv/h) 1.5 1.8 0.8 0.7 0.7 0.7 0.9 0.6 0.5 (注) 「M42 牧草地東」の12/19、「M12 畑・植栽」の12/19,21などで空間線量率の増加がみられるのは測定点の周辺に一次的に除去物が置かれていたため 1m高さの空間線量率(μ Sv/h) 9 M12畑・植 栽 10 M32広場 *グランドは除去物一時置場として使用 11 M22森林 12 道路2 13 M42牧草 地東 14 M21傾斜 地1 15 M42牧草 地西 16 M43畑 伐採・剪定 表土すき取り 客土 草刈り・表土鋤取り 表土等すき取り 遊具除染 客土(一部) 伐採・剪定 落ち葉かき後 ホットスポット除染 草刈り 鋤取り 客土後 竹伐採 落ち葉かき、鋤取り 草刈り 鋤取り 客土後 道路I 除染 タラの芽撤去・鋤取り 客土 草刈り等 草刈り等
  • 53. - 61 - 図 3.1.4.4-2 除染作業期間中の各測定点における空間線量率の経時変化 (注)「M42 牧草地東」の 12/19,「M12 畑・植栽」の 12/19 などで空間線量率の増加が認めら れるのは,測定点の周辺に一時的に除去物が置かれていたため (3)高所の放射性物質の付着状況をより詳細に測定する。 家屋屋根及び樋(縦樋,横樋)における放射性物質の付着状況の測定は,2.の除染前の線量率 等の測定時より,除染作業を目的として設置する足場等を利用して除染作業中に測定した方がよ り効率的且つ詳細に行えるとともに,安全である。 この足場等を使用し,GM 式サーベイメータを主に,NaI シンチレーション式サーベイメータ を補助的に用いて家屋屋根及び樋(縦樋,横樋)の表面等を測定した(測定結果は 3.4.3(1)を 参照)。 (4) 除染関連試験等に係る測定を実施する。 上記 3.1.4.3 に示す。 (5) 除染前の測定作業時に発見されなかったホットスポットを見つける。 平成 23 年 8 月に実施した除染前の放射線量率の測定時にホットスポットが確認された場所と 類似する条件の場所を対象に,NaI シンチレーション式サーベイメータによる測定を行った。 除染前の線量率等の測定時には下草に覆われていたためなどで確認できなかった樹木の根元, コンクリートの亀裂等で,新たなホットスポットが認められた。 3.1.4.5 除去物の一時保管 本実証事業において発生した除去物は,可燃性除去物及び不燃性除去物に区分し,それぞれ フレキシブルコンテナに収納した後,フレキシブルコンテナの表面に識別番号(発生した除染 エリア,発生年月日及び同じ発生年月日の通し番号)等を記載した。 除染作業に伴い,不燃性除去物を収納したフレキシブルコンテナが 1,103 個及び可燃性除去 物を収納したフレキシブルコンテナが 453 個発生した。また,一時保管場所の造成工事におい
  • 54. - 62 - て,不燃性除去物を収納したフレキシブルコンテナが 313 個及び同可燃性除去物を収納したフ レキシブルコンテナが 54 個発生した。これらの平均表面線量率及び平均重量は,不燃性除去物 は 2.4μSv/h 及び 1.2t,可燃性除去物は 3.1μSv/h 及び 0.2t であった。 (1) 除去物の一時仮置き及び一時保管施設までの運搬作業 除染作業の後に一時保管施設の設置工事を行う工程となったため,除去物を中央集会所の広場 と M43 の畑に一時仮置きし,一時保管施設の受入れ準備が整った後,一時保管施設へ運搬した。 除去物運搬車には,環境省が示した除染関係ガイドラインに従い,除去土壌を運搬する旨の標 識を掲示するとともに,委託契約書の写しなどの必要書類を車載した。 除去物はクレーンによりトラックに積み込むとともに,積み込み時には除去物毎に識別番号の 確認,クレーンの計測器を用いた重量測定,フレキシブルコンテナに破れ,亀裂がないことの確 認等を行った。また,除去物の積み込みが完了したトラック毎に,荷台の左右側面及び後面から 1m 離れた位置での空間線量率を測定した。 必要書類の車載のチェック,輸送した除去物の番号,空間線量率等を記録した様式例を図 3.1.4.5-1 に示す。 図 3.1.4.5-1 必要書類の車載のチェック,輸送した除去物の番号,空間線量率等の記録様式例
  • 55. - 63 - (2) 一時保管施設 不燃性及び可燃性除去物とも,除染区域から 800m ほど離れた地点にある桃畑を造成して地上 式一時保管施設を整備し,そこに保管した。地上式一時保管施設の位置図を図 3.1.4.5-2 に示す。 造成においては,草刈,桃の木の伐採及び汚染した表層土約 7cm の鋤取り後,一時保管施設 に必要な面積を有する平地を確保するため,また,遮水シートの保護層,遮蔽用のフレキシブル コンテナの充填土及び一時保管施設上面の覆土を得るため,斜面の切り土-盛り土による工事を 行った。 造成後の敷地においては,不燃性除去物と可燃性除去物の保管施設を分けて設置し,敷地の形 状に合わせて,それぞれ多角形の敷地形状とした。不燃性除去物の保管施設は長さ(東西方向) 46m,奥行き(南北方向)約 29m となり,可燃性除去物の保管施設は長さ(東西方向)12m,奥 行き(南北方向)約 24m となった。一時保管施設の平面図及び断面図を図 3.1.4.5-3 及び図 3.1.4.5-4 に示す。 一時保管施設の整備手順は以下のとおりである。 ① 造成後の敷地に厚さ 1mm,幅約 4m の遮水シートを敷設し,その上部に厚さ 20cm の下部保 護土を施置する。遮水シートの材質は,一般的なシートのうち,安価で施工性のよい塩化ビ ニル樹脂系低弾性タイプを用いた。 ② 除去物を定置する場所の周囲に遮蔽用のフレキシブルコンテナを定置しながら,除去物を定 置していく。ここで,造成後の敷地面積の制限から,除去物及び遮蔽用フレキシブルコンテ ナは基本的に 2 段積みとした。また,遮蔽用フレキシブルコンテナには,造成時に発生した 地表 7cm 以深の掘削土を充填した。 ③ 定置した遮蔽用フレキシブルコンテナ及び除去物の上に不織布を敷設し,さらに 20cm 厚の上 部保護土を設置する。これは,本一時保管施設においては,将来の除去物の取り出しを考慮 して除去物間の隙間には土砂を充填しない構造としたことから,施設の部分的な陥没を避け るための措置である。また,可燃性除去物については,容量の小さいフレキシブルコンテナ を除去物間の隙等に挿入することも行った。 ④ 上部保護土の上に厚さ 0.5mm の遮水シート(第一層)を敷設し,さらにその上に遮へいのた めの厚さ 30cm の覆土を設置する。これより,上部の遮蔽の厚さは,上部保護土も含めると 50cm となる。 ⑤ 覆土が流れ出さないように,覆土の上に厚さ 1mm の遮水シート(第二層)を敷設する。第一 層及び第二層の遮水シートは側面を覆うように下に垂らして,底面の遮水シートとそれぞれ 溶着する。また,2 層目の遮水シートの上部は,耐候性土のうを置いておいて押さえする。 ⑥ 新たな厚さ 1mm,幅約 4m の遮水シートを敷地に敷設し,すでに敷設されている遮水シート と溶着する。 ⑦ ①~⑥を繰り返す。 ⑧ ガスの発生による内圧上昇を考慮して,100m2 の仕切りごとにガス抜き管を設置する。なお, 冬の作業であったことから,不燃性除去物にも水分が含まれている可能性があること等を考 慮して,念のためにガス抜き管を設置する。 ⑨ 一時保管施設からの放射性物質の移行状況を監視できるように,地形勾配,地下水位等を考 慮して施設下流側に地下水採取孔を設置する。
  • 56. - 64 - 上記の一時保管施設整備後の 1m 高さにおける空間線量率(平均値)は,除去物の周囲では 0.4 μSv/h,敷地の境界では 1.0 μSv/h 程度であった。 図 3.1.4.5-2 地上式一時保管施設の位置図 図 3.1.4.5-3 除去土壌等一時保管置場(平面図)
  • 57. - 65 - 図 3.1.4.5-4 除去土壌等一時保管置場(断面図)
  • 58. - 66 - 3.1.4.6 除染後の放射線量率等の測定 計画した除染作業の終了後,除染実施区域内の空間線量率を,除染前の放射線量率等の測定ポ イント(1m 及び 1cm 高さ)において,NaI シンチレーション式サーベイメータを用いて測定し た。 測定結果を表 3.1.4.6-1~表 3.1.4.6-2 及び図 3.1.4.6-1~図 3.1.4.6-14 に示す。 表 3.1.4.6-1 除染作業前後の除染実施区域内の空間線量率測定結果(地表面から 1m 高さ) 除染エリア 除染前 除染後 家屋周囲HA 0.81 ~ 3.14 μSv/h (平均 1.89 μSv/h ) 0.36 ~ 1.75 μSv/h (平均 0.93 μSv/h ) 家屋周囲HB 0.51 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.48 μSv/h ) 0.26 ~ 0.93 μSv/h (平均 0.57 μSv/h ) 家屋周囲HC 0.30 ~ 3.30 μSv/h (平均 1.56 μSv/h ) 0.17 ~ 1.68 μSv/h (平均 0.63 μSv/h ) 家屋周囲HD 0.64 ~ 3.85 μSv/h (平均 1.97 μSv/h ) 0.47 ~ 1.54 μSv/h (平均 0.88 μSv/h ) 家屋周囲HE 1.10 ~ 4.03 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.35 ~ 0.91 μSv/h (平均 0.52 μSv/h ) 家屋周囲HF 0.56 ~ 4.22 μSv/h (平均 1.94 μSv/h ) 0.30 ~ 2.40 μSv/h (平均 0.89 μSv/h ) 畑地M11 1.80 ~ 3.40 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.58 ~ 1.22 μSv/h (平均 0.80 μSv/h ) 畑地M12 1.70 ~ 3.50 μSv/h (平均 2.74 μSv/h ) 0.42 ~ 1.02 μSv/h (平均 0.62 μSv/h ) 畑地M51北 1.06 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.72 ~ 1.60 μSv/h (平均 1.18 μSv/h ) 畑地M23 1.16 ~ 4.05 μSv/h (平均 2.18 μSv/h ) 0.54 ~ 2.34 μSv/h (平均 1.05 μSv/h ) 畑地M31 1.55 ~ 2.47 μSv/h (平均 1.95 μSv/h ) 0.34 ~ 0.88 μSv/h (平均 0.56 μSv/h ) 畑地M51南 1.92 ~ 3.00 μSv/h (平均 2.39 μSv/h ) 0.46 ~ 0.75 μSv/h (平均 0.57 μSv/h ) 畑地M42 2.37 ~ 3.67 μSv/h (平均 2.81 μSv/h ) 0.33 ~ 1.20 μSv/h (平均 0.52 μSv/h ) 畑地M43 1.62 ~ 2.46 μSv/h (平均 1.91 μSv/h ) 0.37 ~ 0.78 μSv/h (平均 0.56 μSv/h ) 畑地M41 2.25 ~ 3.18 μSv/h (平均 2.67 μSv/h ) 0.72 ~ 1.58 μSv/h (平均 1.23 μSv/h ) 広場M32 0.70 ~ 3.33 μSv/h (平均 2.32 μSv/h ) 0.43 ~ 1.96 μSv/h (平均 1.05 μSv/h ) 森林M21 1.77 ~ 2.95 μSv/h (平均 2.52 μSv/h ) 1.04 ~ 2.20 μSv/h (平均 1.73 μSv/h ) 森林M22 0.84 ~ 2.17 μSv/h (平均 1.46 μSv/h ) 0.63 ~ 2.13 μSv/h (平均 1.23 μSv/h ) 森林M24 2.30 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.47 μSv/h ) 1.09 ~ 1.20 μSv/h (平均 1.13 μSv/h ) 道路Ⅰ 0.98 ~ 2.89 μSv/h (平均 2.08 μSv/h ) 0.69 ~ 1.01 μSv/h (平均 0.83 μSv/h ) 道路Ⅱ 1.24 ~ 3.00 μSv/h (平均 1.91 μSv/h ) 0.52 ~ 1.50 μSv/h (平均 0.90 μSv/h ) 道路Ⅲ 1.44 ~ 2.70 μSv/h (平均 2.04 μSv/h ) 0.58 ~ 1.72 μSv/h (平均 1.02 μSv/h )
  • 59. - 67 - 表 3.1.4.6-2 除染作業前後の除染実施区域内の空間線量率測定結果(地表面から 1cm 高さ) 除染エリア 除染前 除染後 家屋周囲HA 0.42 ~ 40.0 μSv/h (平均 3.57 μSv/h ) 0.31 ~ 2.69 μSv/h (平均 0.96 μSv/h ) 家屋周囲HB 0.34 ~ 29.1 μSv/h (平均 2.45 μSv/h ) 0.27 ~ 2.17 μSv/h (平均 0.59 μSv/h ) 家屋周囲HC 0.20 ~ 17.0 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.16 ~ 2.76 μSv/h (平均 0.85 μSv/h ) 家屋周囲HD 0.40 ~ 20.6 μSv/h (平均 3.05 μSv/h ) 0.35 ~ 1.86 μSv/h (平均 0.85 μSv/h ) 家屋周囲HE 0.53 ~ 7.10 μSv/h (平均 2.13 μSv/h ) 0.20 ~ 1.58 μSv/h (平均 0.51 μSv/h ) 家屋周囲HF 0.28 ~ 60.0 μSv/h (平均 3.64 μSv/h ) 0.22 ~ 15.7 μSv/h (平均 1.25 μSv/h ) 畑地M11 2.10 ~ 4.60 μSv/h (平均 3.51 μSv/h ) 0.57 ~ 1.46 μSv/h (平均 0.77 μSv/h ) 畑地M12 1.70 ~ 4.80 μSv/h (平均 3.07 μSv/h ) 0.35 ~ 0.88 μSv/h (平均 0.57 μSv/h ) 畑地M51北 1.58 ~ 5.92 μSv/h (平均 3.53 μSv/h ) 0.60 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.53 μSv/h ) 畑地M23 1.03 ~ 6.70 μSv/h (平均 3.08 μSv/h ) 0.49 ~ 2.55 μSv/h (平均 1.10 μSv/h ) 畑地M31 1.77 ~ 6.50 μSv/h (平均 2.76 μSv/h ) 0.33 ~ 0.81 μSv/h (平均 0.52 μSv/h ) 畑地M51南 2.10 ~ 6.40 μSv/h (平均 3.44 μSv/h ) 0.44 ~ 0.94 μSv/h (平均 0.52 μSv/h ) 畑地M42 2.39 ~ 4.72 μSv/h (平均 3.74 μSv/h ) 0.33 ~ 2.10 μSv/h (平均 0.51 μSv/h ) 畑地M43 1.44 ~ 6.11 μSv/h (平均 2.09 μSv/h ) 0.36 ~ 0.90 μSv/h (平均 0.53 μSv/h ) 畑地M41 3.15 ~ 4.05 μSv/h (平均 3.49 μSv/h ) 0.64 ~ 2.78 μSv/h (平均 1.58 μSv/h ) 広場M32 0.58 ~ 19.0 μSv/h (平均 3.61 μSv/h ) 0.39 ~ 2.84 μSv/h (平均 1.17 μSv/h ) 森林M21 2.18 ~ 4.30 μSv/h (平均 3.31 μSv/h ) 1.11 ~ 2.68 μSv/h (平均 2.15 μSv/h ) 森林M22 0.89 ~ 3.54 μSv/h (平均 2.15 μSv/h ) 0.51 ~ 3.10 μSv/h (平均 1.50 μSv/h ) 森林M24 2.80 ~ 3.40 μSv/h (平均 3.17 μSv/h ) 1.18 ~ 1.73 μSv/h (平均 1.48 μSv/h ) 道路Ⅰ 1.03 ~ 4.53 μSv/h (平均 3.07 μSv/h ) 0.51 ~ 1.98 μSv/h (平均 0.90 μSv/h ) 道路Ⅱ 1.45 ~ 27.3 μSv/h (平均 5.44 μSv/h ) 0.50 ~ 2.93 μSv/h (平均 1.50 μSv/h ) 道路Ⅲ 1.90 ~ 5.00 μSv/h (平均 2.96 μSv/h ) 0.52 ~ 2.69 μSv/h (平均 1.15 μSv/h )
  • 60. - 68 - 図 3.1.4.6-1 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-2 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HA 宅,1cm 高さ)
  • 61. - 69 - 図 3.1.4.6-3 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-4 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HB 宅,1cm 高さ)
  • 62. - 70 - 図 3.1.4.6-5 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-6 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HC 宅,1cm 高さ)
  • 63. - 71 - 図 3.1.4.6-7 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-8 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HD 宅,1cm 高さ)
  • 64. - 72 - 図 3.1.4.6-9 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-10 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HE 宅,1cm 高さ)
  • 65. - 73 - 図 3.1.4.6-11 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1m 高さ) 図 3.1.4.6-12 除染後の家屋内外空間線量率の測定結果(HF 宅,1cm 高さ)
  • 66. - 74 - 図 3.1.4.6-13 除染後の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1m 高さ)
  • 67. - 75 - 図 3.1.4.6-14 除染後の各除染エリアの空間線量率の測定結果(1cm 高さ)
  • 68. - 76 - 3.1.4.7 放射線管理 除染作業 における作業員は,内部被ばくの防護装備として専用の作業着及び防塵マスク (DS3)を着用するとともに,外部被ばくの管理のため作業員毎にガラスバッジを,また作業グ ルーブ毎にポケット線量計を着用した。なお,現場事務所へ作業員が入る際にはコンプレッサー で作業着等に付着した塵埃を吹き飛ばすなどして,控室等へ汚染を持ち込まないよう留意した。 3.1.5 除染技術の評価 3.1.5.1 技術的側面 (1) 面的除染の効果 表 3.1.4.6-1~表 3.1.4.6-2 及び図 3.1.4.6-1~図 3.1.4.6-14 に見られるように,除染実施区域全体に おける除染後の空間線量率の平均値は,1cm 高さ及び 1m 高さとも,概ね除染前の空間線量率の 1/2 まで低減した。 また,図 3.1.4.4-2 に見られるように,除染終了後の各ポイントの測定値は概ね除染前の値の 1/2~1/3 に下がっているが,M21 の傾斜路地 1 の測定ポイントにおいては,台風による既崩壊箇 所の状況の悪化を避けるため計画していた除染を行わなかった(3.1.4.2 参照)ことから,除染前 の値の 3/4 程度にとどまっている。 本実証事業においては,除染エリア毎,さらに同一エリア内においても,その地形,土地の利 用状況等に応じた除染方法を用いたことから除染効果が異なっている。除染エリア毎及びエリア 内の地形,土地の利用状況等に応じた除染方法に係る除染効果の一覧を表 3.1.5.1-1~表 3.1.5.1-28 に示すとともに,その概要を以下に記す。 なお,屋根及び樋の除染に係る評価は,(2) 除染関連試験等の評価の項で記述するため,本項 では,触れないこととした。 ① 家屋周囲 1) HA 宅 HA 宅は,北側の直近に森林 M21 から下る急な傾斜地に面し,南側は砂利敷きの庭と一部花 壇が設けられるとともに,西側は土庭となっている。また,北側と西側にコンクリート製 U 字 溝(側溝)が設置されている。 HA 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.57μSv/h から 0.96μ Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.89μSv/h から 0.93μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 73%及び 51% となった。 コンクリート製側溝では,ホットスポットとなっていた堆積物を除去することにより,1cm 高 さにおける除染前後の低減率はコンクリート製側溝以外の場所よりも大きくなった。一方で側溝 内面の隙間に入った土や側溝の境界の土は,削り取りや,鋤取りにより十分な除去が困難であっ たため,除染後の空間線量率の平均値は大きくなっている((2)④参照)。 家屋内の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.71μSv/h から 0.33μSv/h,1m 高 さでの平均値が 0.70μSv/h から 0.39μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 54%及び 45%であった。 表 3.1.5.1-2 に示すとおり,家屋内の北側に面した測定点の空間線量率の値は,他の家屋内の測 定点の値に比べて少し高い傾向にある。これは,HA 宅の北側は森林からの急斜面(M21)に極 近く,且つ後述の M21 の 1m 高さにおける空間線量率(平均値)が約 1.7μSv/h であることから この影響を受けているものと考えられる。
  • 69. - 77 - 表 3.1.5.1-1 HA 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 50 最大/最小 平均 最大/最小 20.3 ~ 1.32 1.99 ~ 0.80 平均 最大/最小 2.95 ~ 0.81 1.80 ~ 0.36 平均 最大/最小 40.0 ~ 0.42 2.69 ~ 0.31 平均 最大/最小 3.14 ~ 0.81 1.75 ~ 0.36 平均 最大/最小 40.0 ~ 0.42 2.69 ~ 0.31 除染後 μ Sv/h) 51 73 0.95 上記以外の 場所 1m 1cm 除染前 (μ Sv/h) 73 3.47 0.92 51 1.88 0.96 1m 家屋周囲等 全体 3.14 1.56 コンクリート製 側溝 1m 1cm 5.93 1.32 78 0.93 1cm 1.89 3.57 ( (%) 表 3.1.5.1-2 HA 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.90 ~ 0.70 1.09 ~ 0.46 平均 最大/最小 2.40 ~ 0.78 1.20 ~ 0.34 平均 最大/最小 1.10 ~ 0.36 0.54 ~ 0.26 平均 最大/最小 1.20 ~ 0.43 0.56 ~ 0.20 平均 最大/最小 1.90 ~ 0.36 1.09 ~ 0.26 平均 最大/最小 2.40 ~ 0.43 1.20 ~ 0.20 46 47 56 0.66 41 0.34 0.28 0.64 1m 0.70 0.39 1cm 0.71 0.33 45 54 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 屋内(上記以 外) 1m 0.63 屋内(北側に 面した測定 点) 1m 1.11 1cm 1cm 0.63 1.21 屋内(全て) 表3.5.1-2 HA宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 ( (%) 2) HB 宅 HB 宅は除染区域の北側中央に位置し,HB 宅北側の直近は森林 M22 から下る急な傾斜地とな っている。HB 宅は南側及び東側にコンクリート敷の庭があり,西側は畑地である。 HB 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.45μSv/h から 0.59μ Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.48μSv/h から 0.57μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 76%及び 61% であった。 HB 宅の主に東側のコンクリート敷きの部分は,表面全体を均一に削り取るスチールショット ブラスト除染を行ったため,主に人力で表層土の鋤取り・客土を行った西側の畑地より低減率が 高くなった。これより,コンクリートは汚染の浸透が全体的に小さく,スチールショットブラス ト除染により表面を削剥する方法が有効であることが示された。 樋の出口では,ほとんどがホットスポットであり,これらを除去することにより,除染後の 1cm 高さの平均の空間線量率は庭やコンクリート部よりも高いが,除染前後の低減率は非常に大 きくなった。 家屋内の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.57μSv/h から 0.27μSv/h,1m 高 さでの平均値が 0.77μSv/h から 0.34μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 52%及び 56%であった。
  • 70. - 78 - これは,北側直近の森林 M22(④1)参照)を含めた家屋周囲の除染の結果である。特に,庭の ホットスポットの線量率を低減させたことにより,家屋内 1 階のホットスポットに近い測定点の 空間線量率が他の測定点と同等程度に下がっている。 表 3.1.5.1-3 HB 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 2.43 ~ 0.51 0.93 ~ 0.26 平均 最大/最小 21.6 ~ 0.34 1.65 ~ 0.27 平均 最大/最小 2.43 ~ 1.27 0.78 ~ 0.59 平均 最大/最小 29.1 ~ 3.61 1.91 ~ 1.40 平均 最大/最小 2.78 ~ 0.91 0.90 ~ 0.40 平均 最大/最小 4.33 ~ 0.63 2.17 ~ 0.32 平均 最大/最小 2.78 ~ 0.51 0.93 ~ 0.26 平均 最大/最小 29.1 ~ 0.34 2.17 ~ 0.27 61 1cm 20.03 1.65 92 1m 1.49 0.65 0.70 57 66 家屋周囲等 全体 1m 1.48 1cm 2.05 1cm 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 0.55 0.57 2.45 0.59 76 コンクリート敷 き 1m 1.47 縦樋出口部 1m 1.85 0.69 63 上記以外の 場所 63 1cm 1.99 0.53 74 ( (%) 表 3.1.5.1-4 HB 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.22 ~ 0.76 0.44 ~ 0.31 平均 最大/最小 0.88 ~ 0.59 0.40 ~ 0.25 平均 最大/最小 0.98 ~ 0.50 0.49 ~ 0.25 平均 最大/最小 0.77 ~ 0.25 0.38 ~ 0.16 平均 最大/最小 1.22 ~ 0.50 0.49 ~ 0.25 平均 最大/最小 0.88 ~ 0.25 0.40 ~ 0.16 52 56 63 54 0.68 0.30 屋内(上記以 外) 1m 0.72 0.33 0.27 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 表3.5.1-4 HB宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 屋内(全て) 1m 0.77 0.34 1cm 0.57 0.27 1cm 0.55 51 56 屋内(ホットス ポットの近く) 1m 1.02 0.37 1cm ( (%) 3) HC 宅 HC 宅は,道路 II 側から玄関前までアスファルト舗装であり,南側と西側は砂利敷と土庭にな っている。また,北側直近は M51 北の傾斜地である。側溝は,家屋の南側,東側,北側にコン クリート製の U 字溝が設置されている。 HC 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.76μSv/h から 0.85μ Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.56μSv/h から 0.63μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 69%及び 59% であった。
  • 71. - 79 - アスファルト舗装部は,スチールショットブラスト除染を実施した結果,1cm 高さ及び 1m 高 さでの空間線量率の低減率は 65%及び 58%であった。 側溝では,空間線量率が高く且つ除染しにくい集水升等は新しいものと交換したが,コンクリ ート製の U 字溝に十分に除染しきれない部分が残ったため((2)④参照),除染前後の 1cm 高さ 及び 1m 高さの空間線量率の低減率は 72%及び 58%となった。 北側直近の急傾斜地 M51 北(②2)参照)を含めた家屋周囲の除染により,家屋内の除染前後 の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 0.55μSv/h から 0.25μSv/h,1m 高さでの平均値が 0.79 μSv/h から 0.31μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 55%及び 60%であった。 表 3.1.5.1-5 HC 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 2.40 ~ 1.20 1.68 ~ 0.40 平均 最大/最小 5.40 ~ 1.30 2.54 ~ 0.34 平均 最大/最小 3.30 ~ 1.40 1.28 ~ 0.69 平均 最大/最小 16.2 ~ 2.00 2.33 ~ 1.09 平均 最大/最小 2.70 ~ 0.30 1.68 ~ 0.17 平均 最大/最小 17.0 ~ 0.20 2.76 ~ 0.16 平均 最大/最小 3.30 ~ 0.30 1.68 ~ 0.17 平均 最大/最小 17.0 ~ 0.20 2.76 ~ 0.16 上記以外の 場所 1m 1.51 0.60 側溝 1m 2.34 0.99 1cm 2.36 0.74 69 家屋周囲等 全体 58 58 1cm 6.25 1.76 72 60 1cm 2.32 0.81 65 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 69 59 1cm 2.76 0.85 1m 1.56 0.63 表3.5.1-5 HC宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 アスファルト 舗装 1m 1.55 0.66 ( (%) 表 3.1.5.1-6 HC 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.30 ~ 0.40 0.64 ~ 0.17 平均 最大/最小 1.20 ~ 0.30 0.53 ~ 0.15 60 屋内 1m 0.79 0.31 1cm 0.55 0.25 55 除染前 (μ Sv/h) 表3.5.1-6 HC宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 除染後 μ Sv/h)( (%) 4) HD 宅 道路 II 側から玄関前の途中までアスファルト舗装で,それ以外の部分は,畑地を含む土庭で, 東側に二本の排水溝(土)が設けられている。なお,畑地のうち,東側及び西側の一部は,家主 の希望により,除染を行わなかった。 HD 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.05μSv/h から 0.85μ Sv/h,1m 高さでの平均値が 1.97μSv/h から 0.88μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 72%及び 56% であった。 このうち,アスファルト舗装の部分はスチールショットブラスト除染を実施したが,ひび割れ を含むアスファルトの劣化が顕著なため除染効果が上がらず,除染前後の 1cm 及び 1m 高さの空 間線量率の低減率はそれぞれ 49%と 51%であった。
  • 72. - 80 - 土庭は,畑等の一部を対象にした土等の鋤取り,客土等を行こなったことから,除染前後の 1cm 及び 1m 高さの空間線量率(平均値)の低減率はそれぞれ 65%と 55%であった。このうち, 排水溝(土)は,ホットスポットの土を除去したため,高さ 1cm 及び 1m の空間線量率(平均値) の低減率は 88%及び 69%と高い除染効果が得られている。 家屋内の除染前後の空間線量率は,表 3.5.1-8 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が 0.70μSv/h から 0.31μSv/h,1m 高さでの平均値が 0.93μSv/h から 0.40μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 56%及び 57%であった。なお,HD 宅は家主の要望により,1 階のみを測定した。 表 3.1.5.1-7 HD 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.84 ~ 1.69 1.00 ~ 0.66 平均 最大/最小 1.82 ~ 1.77 1.12 ~ 0.63 平均 最大/最小 3.85 ~ 2.25 1.06 ~ 0.69 平均 最大/最小 20.6 ~ 1.45 1.86 ~ 0.51 平均 最大/最小 3.76 ~ 0.64 1.54 ~ 0.47 平均 最大/最小 16.9 ~ 0.40 1.64 ~ 0.35 平均 最大/最小 3.85 ~ 0.64 1.54 ~ 0.47 平均 最大/最小 20.6 ~ 0.40 1.86 ~ 0.35 排水溝 (土) 1m 2.93 0.89 69 1cm 7.22 0.87 88 1m 1.77 0.87 51 1cm 1.80 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 0.91 49 家屋周囲等 全体 1m 1.97 0.88 56 0.85 上記以外の 場所 1m 1.93 0.87 65 55 アスファルト 舗装 3.05 72 1cm 2.44 0.85 1cm ( (%) 表 3.1.5.1-8 HD 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.82 ~ 0.67 0.55 ~ 0.28 平均 最大/最小 1.41 ~ 0.43 0.46 ~ 0.20 56 57 1cm 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 0.70 0.31 屋内 1m 0.93 0.40 表3.5.1-8 HD宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 ( (%) 5) HE 宅 HE 宅は南側及び西側に HE 宅の家主が所有する畑等(M12)と接し,北側にコンクリート製 の側溝が設置されている。 HE 宅家屋周囲全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 2.13μSv/h から 0.51μ Sv/h,1m 高さでの平均値が 2.13μSv/h から 0.52μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 76%及び 75% であった。 これは,事前測定の時点で家周囲に植えてあった植栽が除染前に家主により全て伐採・撤去さ れていたこと,新たに見つかったホットスポットの除去等がこの除染効果に寄与している。 家屋内の除染前後の空間線量率は,表 3.5.1-10 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が 0.86μSv/h から 0.29μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.16μSv/h から 0.33μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 66%及び 71%であった。HE 宅では,屋内における除染後の空間線量率の最大値と最小値の差が 小さい。これは,周囲(M11,M1 及び道路Ⅲ)が比較的均等且つ十分に除染されたことによる。
  • 73. - 81 - 表 3.1.5.1-9 HE 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 4.03 ~ 1.10 0.91 ~ 0.35 平均 最大/最小 7.10 ~ 0.53 1.58 ~ 0.20 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 表3.5.1-9 HE宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 76 75 家屋周囲等 全体 1m 2.13 0.52 1cm 2.13 0.51 ( (%) 表 3.1.5.1-10 HE 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.68 ~ 0.92 0.43 ~ 0.30 平均 最大/最小 1.23 ~ 0.64 0.38 ~ 0.24 1cm 0.86 0.29 71 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 表3.5.1-10 HE宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 66 屋内 1m 1.16 0.33 ( (%) 6) 中央集会所(HF) 中央集会所 HF は広場(M32)内の建物であり,建物の北側を除く周囲に側溝が設置されてい る。道路 III 側の側溝は建物の土台コンクリートと一体となった浅い側溝であり,また,グラン ド側及び玄関側は U 字溝の側溝である。 中央集会所周り全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.64μSv/h から 1.25 μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.94μSv/h から 0.89μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 66%及び 54%であった。 道路 III 側の側溝における 1cm 高さの空間線量率(平均値)の低減率は 74%であるが,側溝の 割れ目部における除染前後の 1cm 高さの空間線量率は 16.4μSv/h から 15.7μSv/h とほとんど低 減しなかった。一方で,同割れ目部の 1m 高さの空間線量率は 3.51μSv/h から 2.40μSv/h に低減 している。これは,同割れ目部の方向,周囲からの放射線等のためと考えられる。本側溝は,中 央集会所と道路Ⅲの傾斜地に挟まれた狭い場所にあることから影響は局所的と考えられる。 また,それ以外の場所では,除染前は東側の側溝等にホットスポットが存在し,除染前は高さ 1cm 及び高さ 1m 空間線量率(平均値)がそれぞれ 2.57μSv/h 及び 1.83μSv/h であったが,除染 後はそれぞれ 1.03μSv/h 及び 0.84μSv/h まで低減した。 中央集会所内の除染前後の空間線量率は,表 3.1.5.1-12 に示すとおり,1cm 高さでの平均値が 0.55μSv/h から 0.26μSv/h,1m 高さでの平均値が 1.05μSv/h から 0.40μSv/h に低減し,低減率 はそれぞれ 53%及び 61%であった。
  • 74. - 82 - 表 3.1.5.1-11 HF 宅の家屋周囲等における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 4.22 ~ 0.76 2.40 ~ 0.66 平均 最大/最小 60.0 ~ 0.76 15.7 ~ 0.57 平均 最大/最小 4.04 ~ 0.56 1.59 ~ 0.25 平均 最大/最小 8.75 ~ 0.28 2.90 ~ 0.22 平均 最大/最小 4.22 ~ 0.56 2.40 ~ 0.30 平均 最大/最小 60.0 ~ 0.28 15.7 ~ 0.22 *1:建物下のコンクリートのたたきを含む 1.25 66 54 家屋周囲等 全体 1m 1.94 0.89 1cm 3.64 側溝(道路III 側*1 ) 1m 2.49 上記以外の 場所 1m 1.83 0.84 54 1cm 2.57 1.03 60 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 1.14 54 1cm 8.69 2.29 74 ( (%) 表 3.1.5.1-12 HF 宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 1.84 ~ 0.53 0.70 ~ 0.22 平均 最大/最小 0.94 ~ 0.35 0.38 ~ 0.20 屋内 1m 1.05 0.40 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 1cm 0.55 0.26 53 61 表3.5.1-12 HE宅内における除染前後の空間線量率の測定結果 ( (%) ② 畑等 1) 果樹園等(M11) 果樹園等(M11)は,除染実施区域の北東に位置し,北から南へ若干傾斜した平地である果樹 園と,その南側に設置された 2 棟のビニールハウス(長さ約 30m×幅約 5m)から構成される。 M11 全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.51μSv/h から 0.77μSv/h に, 1m 高さでの平均値が 2.76μSv/h から 0.80μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 78%及び 71%であ った。 果樹園は重機により,ビニールハウスの内部及びその周囲は人力により,それぞれ表層土 4cm の鋤取り及び同じ厚さの客土を行ったが,表 3.1.5.1-13 に示すように空間線量率の低減率は同程 度であった。 果樹園の除染後の 1cm 高さの空間線量率(平均値)は,後述するエリア全体が平坦で重機に よる表層土の鋤取り・客土を行った他の畑等(M31,M43,M51 南等)と比較して少し高くなっ ている。これは,果樹園内には果物の木が存在したため木の周辺のすきとりが平地と比べて難し かったこと,及び果樹園西側の傾斜地との境界付近では汚染の除去率が小さくなったことによる と考えられる。
  • 75. - 83 - 表 3.1.5.1-13 果樹園等 M11 における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 3.40 ~ 2.60 1.22 ~ 0.58 平均 最大/最小 4.30 ~ 2.10 1.17 ~ 0.62 平均 最大/最小 2.90 ~ 1.80 1.03 ~ 0.63 平均 最大/最小 4.60 ~ 2.60 0.80 ~ 0.57 平均 最大/最小 平均 最大/最小 平均 最大/最小 3.40 ~ 1.80 1.22 ~ 0.58 平均 最大/最小 4.60 ~ 2.10 1.46 ~ 0.57 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 果樹園 (草地) 1m 2.96 0.81 58 71 1.46 0.77 73 1cm 3.59 0.78 78 78 3.50 0.80 79 69 61 ビニールハウ ス周囲 1m 2.51 0.78 1cm 3.51 1cm 3.37 0.69 1cm 全体 1m 2.76 表3.5.1-13 果樹園等M11における除染前後の空間線量率の測定結果 上記以外の 場所(側溝) 1m 2.00 0.78 ( (%) 2) HE 宅周囲の畑等(M12) HE 宅周囲の畑等(M12)は,主に HE 宅の南側に高さ 2m 程度の多数の低い樹木及び 10 本程 度の杉,桜などの高い樹木が植えてある庭,並びに HE 宅西側の畑地から成る平地である。なお, 低い樹木は地権者により除染作業の前に伐採され,高い樹木は本実証事業の一部として伐採され た。 重機による表層土の鋤取り・客土を行った結果,M12 全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.07μSv/h から,0.57μSv/h に,1m 高さでの平均値が 2.74μSv/h から 0.62μ Sv/h に低減し,低減率はそれぞれ 81%及び 77%であった。 また,HD 宅及び畑地の境界を除くと,1cm 高さの空間線量率(平均値)は,0.57μSv/h とな り,後述するエリア全体が平坦で重機等により表層土の鋤取り・客土を行った畑等(M51 南, M43 等)と同程度となった。 なお,HD 宅及び畑地の境界については傾斜地の部分が多いことから,前述の崩落防止に配慮 した方法で除染を実施したため,空間線量率の低減率が若干低くなった。 表 3.1.5.1-14 HE 宅周囲の畑等 M12 における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 3.50 ~ 2.10 0.81 ~ 0.46 平均 最大/最小 4.80 ~ 2.10 0.66 ~ 0.44 平均 最大/最小 3.00 ~ 1.70 1.02 ~ 0.42 平均 最大/最小 3.80 ~ 1.70 0.88 ~ 0.35 平均 最大/最小 3.50 ~ 1.70 1.02 ~ 0.42 平均 最大/最小 4.80 ~ 1.70 0.88 ~ 0.35 81 83 0.62 0.64 79 0.57 80 1cm 3.07 0.57 3.10 1cm 77 畑地(下記以 外) 1m 2.83 除染後 μ Sv/h) 2.61 0.71 73 表3.5.1-14 HE宅周囲の畑等M12における除染前後の空間線量率の測定結果 0.54 1m 2.74 畑地の境界 部等 1cm 3.03 除染前 (μ Sv/h) 全体 1m ( (%)
  • 76. - 84 - 3) HD 宅周囲の畑等(M23) M23 は,HD 宅の北側,東側及び西側の畑地で,本除染エリアの北東部は竹林となっており, 竹林と川の間の南北方向へ向かう狭い林道が存在する。なお,東側及び西側の一部の畑や家周囲 の資材置き場は,地権者の希望により,除染を実施しなかった。 M23 全体の除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.08μSv/h から 1.10μSv/h に, 1m 高さでの平均値が 2.18μSv/h から 1.05μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 64%及び 52%であ った。 畑地については,野菜,草の除去後,重機により表層土を 7cm 鋤取り,その後,山砂により 同等の厚さの客土を施工した。その結果,高さ 1cm 及び 1m の空間線量率の低減率がそれぞれ 77%及び 64%となった。 後述する鋤取り・客土を施したエリア全体が平坦な畑等(M51 南,M43 等)と比較して,除 染後の 1cm 高さの空間線量率の平均値は少し高くなった。これは,除染を実施しなかった同エ リア内の畑地及び資材置き場付近,並びに畑地の南西側及び南側の傾斜地の除去率が低く留まっ ているためと考えられる。 一方,北端のあぜ道や北東部の林道では,斜面の崩落や周囲の竹林,耕作物等への配慮から, 前述の傾斜地と同じ除染方法としたため,畑地と比べて低減率が低くなった。 表 3.1.5.1-15 HD 宅周囲の畑等 M23 における除染前後の空間線量率の測定結果 線量率の 低減率 平均 最大/最小 4.05 ~ 1.60 1.30 ~ 0.54 平均 最大/最小 6.70 ~ 1.50 1.39 ~ 0.49 平均 最大/最小 2.95 ~ 1.68 2.34 ~ 1.22 平均 最大/最小 5.21 ~ 1.87 2.55 ~ 2.04 平均 最大/最小 2.51 ~ 1.16 1.16 ~ 0.61 平均 最大/最小 4.34 ~ 1.03 1.65 ~ 0.52 平均 最大/最小 4.05 ~ 1.16 2.34 ~ 0.54 平均 最大/最小 6.70 ~ 1.03 2.55 ~ 0.49 3.13 0.71 77 北端の畔道、 北東部林道 1m 2.31 1.84 除染前 (μ Sv/h) 除染後 μ Sv/h) 表3.5.1-15 HD宅周囲の畑等M23における除染前後の空間線量率の測定結果 20 1cm 3.42 2.22 35 畑地 1m 2.30 0.83 64 1cm 上記以外の 場所(家入口 道路等) 1m 1.56 0.85 45 1cm 2.45 1.15 53 全体 1m 2.18 1.05 52 1cm 3.08 1.10 64 ( (%) 4) HB 宅-HC 宅間の傾斜地(M51 北) M51 北は,北から南に向かう草地の傾斜地であり,特に南側は HC 宅に向かって勾配が大きく なっている。 除染前後の空間線量率は,1cm 高さでの平均値が 3.53μSv/h から 1.53μSv/h に,また 1m 高さ での平均値が 2.13μSv/h から 1.18μSv/h に低減し,低減率はそれぞれ 57%及び 44%であった。 低減率があまり向上しなかったのは,M51 北は大半が傾斜地であり,前述の斜面の崩落防止 に配慮した除染方法をとったためである。