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公益社団法人日本滑空協会
2021年度 EMFT学科資料 前・後編
公益社団法人 日本グライダークラブ
櫻井 玲子
2021/07/03 1
Emergency Maneuver Flight Training
2021/07/03 2
本資料の作成に当たり、ご協力及びご助言をいただきました皆様に深く感謝申し上げます。
・中部日本航空連盟岐阜支部 佐藤 文幸様 : 滑空機性能計算ツールの作成と提供
・九州大学大学院工学研究院航空宇宙工学部門 東野伸一郎様:
滑空機の航空力学に関する監修及び助言
前編:自家用コース
1. グライダーの危険
2. 失速のメカニズム
3. スピンのメカニズム
4. 失速・スピンの兆候と回避
5. 飛行の根拠
6. EMFT実技実施要領
後編:指導者コース追加分
7. パイロットに必要な能力
8. ケーススタディ
9. 滑空機安全啓発動画
10. 意見交換
参考資料
11. 空間識失調とサブG感覚
12. 空中接触
13. 人間の能力の限界
内容
2021年度 EMFT学科資料 前編
2021/07/03 3
2021/07/03 4
前編:自家用コース
1. グライダーの危険
2. 失速のメカニズム
3. スピンのメカニズム
4. 失速・スピンの兆候と回避
5. 飛行の根拠
6. EMFT実技実施要領
後編:指導者コース追加分
7. パイロットに必要な能力
8. ケーススタディ
9. 滑空機安全啓発動画
10. 意見交換
参考資料
11. 空間識失調とサブG感覚
12. 空中接触
13. 人間の能力の限界
内容
5
1. グライダーの危険
2021/07/03 5
6
滑空機事故統計(1974~2019)
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
0
2
4
6
8
10
12
14
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
その他の事故
重傷事故数
死亡事故数
2021/07/03
グライダー死亡事故原因(1974~2019)
7
27件
17
3
2
2
1 1
1
スピン
悪天候
低空進入
空間識失調
空中衝突
器物衝突
酸素欠乏
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
2021/07/03
2021/07/03 8
滑空機重大事故(死亡/重傷/大破) 1
年 場所 機体 事故原因 状況
2019 焼岳 DG500エラン 下降気流 山岳風下側の下降気流で高度低下
2017 福島 H-36 Dimona スピン 谷間で低速急旋回
2016 妻沼 LS-4b スピン 場周経路上で低速旋回
2016 福島 GF304 CZ-17 空中分解 酸素OFFでウェーブ上昇中の低酸素症
2016 千葉 プハッチ スピン ソアリング中?の低速旋回
2016 阿蘇 ぺガス 立木衝突 ウィンチ故障の自然離脱による低空旋回
2015 霧ヶ峰 Duo Discus スピン ウィンチ索切れ低空旋回中下降風遭遇
2015 滝川 Discus bT スピン 場外着陸中の低速旋回
2013 北海道 H-36 Dimona 下降気流 山脈の稜線超えで下降気流に遭遇
2008 板倉 ASK23B 立木衝突 低高度での最終進入
2008 飛騨 G109 立木衝突 着陸時にオーバーラン
2007 都城 FOX 失速 低速進入による失速
2007 霞目 ASK23B 空間識失調 ウィンチ曳航中のヒューズ切れ
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
2021/07/03 9
滑空機重大事故(死亡/重傷/大破) 2
年 場所 機体 事故原因 状況
2007 長野 ASK23 送電線衝突 リッジソアリング中に接近
2006 但馬 ジマンゴ スピン 滑走路に引き返す時に低空旋回
2005 妻沼 ASK21 川面接触 ベースで急降下中の機首引き上げ遅れ
2005 関宿 ASW24 Top スピン ソアリング中の低空低速急旋回
2005 浜北 クラブリベレ スピン ウィンチ曳航中に不適切な上昇姿勢
2005 関宿 Super Dimona 地面接触 被曳航機が曳航機を吊り上げ
2005 久住 プハッチ スピン 追い風ウィンチ曳航による失速
2005 板倉 ベンタス2a スピン 低空進入時の低空外滑り旋回
2004 韮崎 ファルケ 不時着破損 離陸時の過度なエンジン出力減少
2004 栗橋 PW-5 スピン ウィンチ曳航中の傾き
2002 小名浜 RF5 船舶衝突 濃霧中でVMCの維持不能
2002 関宿 プハッチ スピン 飛行機曳航索離脱後の低空旋回
2000 栗橋 Ka6CR スピン 場周経路上の低速旋回
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
2021/07/03 10
滑空機重大事故(死亡/重傷/大破) 3
年 場所 機体 事故原因 状況
1999 角田 DG-400 空中分解 ウェーブ飛行中のフラッター
1998 八ヶ岳 タイフーン17E 山岳衝突 意図しない雲中飛行での空間識失調
1997 阿蘇 L23 ブラニック スピン ウィンチ曳航中の減速と自然離脱
1996 宮城 Discus bT スピン 不時着のエンジン始動遅れ
1996 美幌 ASK13 失速 ウィンチ曳航中の減速
1996 美瑛 ASK13 スピン 不適切なオーバーヘッドアプローチ進入
1992 小山 L13ブラニック スピン 不適切な飛行機曳航追随
1989 当間 Ka6E スピン ソアリング中の低速旋回
1983 妻沼 H-23C 空間識失調 ウィンチ曳航中の意図しない雲中飛行
1983 関宿 IS29D2 スピン 場周飛行中の低速旋回
1983 宝珠花 ASK18 空中分解 ウィンチ曳航中のメインピン脱落
1982 霞目 ピラタスB4 スピン 第4旋回中の低速旋回
1978 太田 B4/ASK13 空中衝突 ソアリング中の空中衝突
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
2021/07/03 11
運輸安全委員会 航空事故報告書より抜粋
滑空機重大事故
スピン重大事故(死亡・重傷事故)発生形態(1974~2019)
12
26件
8
6
3
3
2
2
1 1
ウィンチ曳航
場周
ソアリング中
場外着陸
飛行機曳航
動力離陸
自動車曳航
山岳旋回
2021/07/03 運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
スピン死亡・重大事故 操縦士資格(1974~2019)
13
13
10
2
1
自家用
教育証明同乗/保持者
練習生
飛行機自家用のみ
26件
2021/07/03 運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
日本の失速・スピン重大事故の機種
<複座> ( )内機数 ASK13 (2)
プハッチ (2) H-36 ディモナ (1)
三田3改1 (2) デュオ・ディスカス (1)
FOX (1) L23 スーパーブラニック (1)
IS29 (1) H-23C (1)
SF25C (1) ジマンゴ (1)
<単座> ( )内機数
ASW24 (2) ディスカスbT (2)
ピラタスB4 (2) ベンタス2a (1)
クラブリベレ (1) LS-4 (1)
Ka6CR (1) Ka6E (1)
PW-5 (1)
14
2021/07/03
14
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
15
低空索切れ(80m) 背風着陸中のスピン
2021/07/03
https://www.youtube.com/watch?v=use6PnxjO7s
16
曳航中索切れ後低空旋回着陸中のスピン
2021/07/03
https://www.youtube.com/watch?v=zxbulrrQVig
Shoreham airshow glider crash 2010
2021/07/03 17
Shoreham airshow glider crash 2010
2021/07/03 18
https://www.dailymail.co.uk/news/article-1311828/Shoreham-air-crash-pilot-escapes-stunt-glider-smashes-runway.html
Shoreham airshow glider crash 2010
300m以下のスピン
スピンに入ったところでゲームオーバー。
曳航初期であれば、一旋転する前に地面
に衝突している。
スピン訓練に必要なのは、回復訓練よりも
回避訓練。
19
FAA Glider Flying Handbook
下を向きながら回転しているので、回復するとノーズダイブの状態
回復時の速度
エレベーターやや戻す:150km/h
エレベーター中立:180km/h
エレベーター押す:200km/h
増速~フレアー:失高 50-100m
150km/hからの引き起こし:約50ft上昇(プハッチの場合)
不時着適地は?風向は?
高速からフレアーかけられるか?
恐怖を感じながら、冷静に操作できるのか?
2021/07/03
20
ASK 21 glider spin entry during Flight Test
2021/07/03
https://www.youtube.com/watch?v=yXH6XDxQdPY
スピン一旋転にかかる秒数、自転中に機首が上下することを確認。
事故原因の分析
21
事故統計及び事故報告書を分析すると、下記の傾向がみられた。
1. すべての事故に共通
・回復不能な状況に至るまで、グライダーが危険に近づきつつあることに
気が付いていない。・・・状況認識力不足
・危険に気が付いた時は、もはや手遅れな状況となっている。
・咄嗟の判断で行ったアクションにより、さらに事態が悪化
・理論的な根拠のない直感的なアクション
・グライダー運用のために必要な知識・技量・経験不足
・操縦士に必要な総合能力(状況認識力、判断力、法令順守)不足
2. スピン事故の特長
・大多数の事故が場周高度(約200m)以下で発生
・離陸直後のスピンは1旋転する前に地面に衝突
・失速はスティックフォワードで回復することをわかっているにも関わらず、
地面に衝突するまで、渾身の力でエレベーターを引いている。
2021/07/03
事故分析から考える事故防止対策
22
1. すべての事故に共通
・グライダー運用のために必要な知識・技量・経験の向上
→指導者の養成 (EMFT講習会、教育証明講習会等)
→安全教育やヒューマンファクター、TEMを初期教育に盛り込む。
・操縦士に必要な総合能力(状況認識力、判断力、法令順守)の向上
→自家用操縦士養成シラバスに総合能力向上訓練を入れる。
・咄嗟の判断で行ったアクションにより、さらに事態を悪化させている。
→低高度の運用はあらかじめ計画性を持つ(索切れ、不時着の処置等)。
・理論的な根拠を持ったフライトを行う。
→ソアリング時のバンク角や速度の設定、低空旋回可否、風の影響を
計算して決定する。→計算ツールの利用
2. スピン事故対策
・スピン初動でノーズが下がった時に、エレベーターを引かせない教育
→失速・スピンが発生するメカニズムを理解させる。
→ラダー、エレベーターの基本的な役割を理解させる。
-
2021/07/03
23
EMFT講習会の変遷
第1世代:
フルスピンに陥った場合の回復操作を習得する 。
第2世代:
スピンの兆候を早期に察知して、フルスピンに陥る前に回復する。
第3世代:
起こりうる事態を予測し回避するための知識と状況認識能力を身に着け、危険に近づかない。
第4世代:
パイロットの技能向上には限界がある。機材の向上と組織的な取り組みが必要。
第5世代:
初期教育の見直し。危険がどこにあるのかを知り、危機感知能力を身に着ける。
第6世代:
常に根拠を持ったフライトをできるパイロットを育成する初期教育を行う。←今ココ
2021/07/03
24
2. 失速のメカニズム
2021/07/03 24
25
グライダーはなぜ飛ぶか?
グライダーの下向き重力を支えるために、揚力が必要
2021/07/03
翼が揚力を発生するのは、空気の循環が翼に発生するため
揚
力
重
力
揚力式 L=(1/2ρV2) SCL
抗力式 D=(1/2ρV2) SCD
動圧
主翼まわりに空気が流れなければ、
揚力は発生しない。
機体正面から気流が当たらなけれ
ば、設計上想定された揚力を発生
することができない。
私たちは重力に逆らって飛んでいる!
26
何がグライダーを滑空させるか?
水平直線滑空飛行=加速・減速がない一定の速度で飛行している滑空飛行
Wsinθ(重力の飛行方向成分)=D(抗力)
Wcosθ=L(揚力)
重力W=mg(質量x重力加速度)
重
力
・揚力は相対風に直角に発生する。
・重力の飛行方向成分(Wsinθ)がグライダーを滑空させる。
・抵抗の大きなグライダーは、滑空角θが深くなる。
2021/07/03
揚力Lと抗力Dの合力
滑空角θ
Wcosθ
L=
1
2
𝜌𝑉2
𝑆𝐶𝐿 = 𝑛𝑚𝑔cosθ
W
n=荷重倍数
27
機体姿勢と迎え角(ウィンチ曳航中)
通常の速度でのウィンチ上昇
迎え角:小さい
低速でのウィンチ上昇
迎え角:大きい
進行方向
進行方向
迎え角
迎え角
2021/07/03
機体の姿勢や速度計からは、どれくら
い失速に近づいているかわからない。
FAA Glider Flying Handbook
迎え角=飛行方向(相対風)と
翼弦線の角度
翼弦線
28
2次元翼の失速
失速飛行
迎え角の増加
↓
抗力の増加
揚力の減少
定常飛行
迎え角の増加
↓
揚力の増加
抗力の増加
2次元翼では失速は迎え角のみによって決まる。どんな姿勢または速度
でも臨界迎え角を超えれば失速する。
2021/07/03
揚力係数CL と抗力係数CD は、迎え角、翼型の形状、レイノルズ数の影響を表すもの。
翼の単位面積あたりの揚力と抗力。その翼型の特徴を表している。機体固有の値。
翼型と失速特性
高速翼型 中速翼型
29
・低いClとCd
・小さめの迎え角で失速する。
・失速迎え角付近でClが急激に下がる
・前縁半径が大きい、大きなキャンバー、
翼厚が大きい
・大きいCLとCd
・失速迎え角付近は揚力係数勾配が
なだらかに下がる。
2021/07/03
Cl Cl
迎え角 迎え角
29
30
3次元翼の失速
揚力式 L=(1/2ρV2) SCL
抗力式 D=(1/2ρV2) SCD
空気密度:ρ [kg/m3]
相対速度:V [m/s]
翼面積 :S [m2]
揚力係数:CL (無次元)
抗力係数:CD (無次元)
揚力: L [kg]
抗力:D [kg]
動圧
パイロットが変えられる要素は何か?
2021/07/03
機体の発生する総揚力<機体重量
の時
機体重量を支えられなくなる
↓
失速する
L
W
機体の発生する総揚力
重力≒機体重量
単座グライダーのスピン特性
・安定性よりも操縦性を重視している。
・スティック操作がすぐに姿勢の変化に反映される。
・ソアリング等で低速で飛ぶことが多い。
・高速翼型で翼が薄い。最大揚力係数から急激に揚力が減少する。
・翼のねじり下げを抑えてある。
・スキッドからだけでなく、ウィングドロップによるスピンも入り易い。
31
2021/07/03 31
Cl
高速飛行時、翼端にねじり下げがあると、
下向き揚力を発生し、翼が下向きに曲げら
れ、抵抗が増えることがある。
32
失速速度が増加する要因
• 機体そのものの重量の増加
搭乗者・バラスト・荷物・水バラスト・燃料
• 高荷重がかかる操作
旋回・高速引き起こし・アクロ・ウィンチ索の張力
• フラップ位置
フラップDOWNからUP→キャンバーが減る→揚力係数・抗力係数の低下
• 抗力の増加
翼面のバグ・エアブレーキ・フラップ・エンジン・着氷
• 外部要因
ガスト・ウィンドシアー・ウィンドグラディエント
• 密度高度
高高度、高温、多湿→低高度では温度の影響が大きい
2021/07/03 https://www.quora.com/Why-does-an-airplane-stall-at-a-higher-
airspeed-with-gear-and-flaps-up-than-with-gear-and-flaps-down
フラップDOWN
フラップUP
33
揚力の発生を妨げる要因
・セルフローンチ機の
エンジンパイロン
・エアブレーキ
2021/07/03
・すべり ・降雨・バグ
バグワイパー
FAA Glider Flying Handbook
34
機体重量と失速速度の関係
機体重量=「実際の機体重量」 または 「運動による荷重が加わった総重量」
失速速度は荷重倍数nの平方根(√)に比例する。
一定の翼型では臨界角での揚力係数は一定。重量が変化するときはそれに釣り合った
揚力を得るために、速度が変化しなくてはならない。
機体重量、荷重倍数、バンク角が増加すれば失速速度は増加し、
減少すれば失速速度も減る。
FOX 飛行規程より
2021/07/03
35
旋回中の失速とエレベーター操舵範囲
デレック・ピゴット著 「滑空工学入門」より出典
グライダーの場合、低速での急旋回では、旋回半径が非常に小さいので機首にあた
る気流と尾翼にあたる気流は角度が違う。
翼の実質的な取付角は小さくなるため、失速させるためには水平失速よりスティックを
ずっと多く引くことが必要。
エレベーターの舵角範囲のほとんどは旋回で必要な揚力増加のために使われてし
まっており、残されたわずかな量の引きしろでは機体を失速させることは困難。
2021/07/03
36
失速速度と重心位置(CG)の限界
CG位置
・迎え角とCG位置は関係ない。エレベーターの効果に影響する。
・失速速度の定義
気流の剥離(主翼の失速)または縦方向のコントロールを失う(尾翼の失速) のどち
らか。
・エレベーターの安定効果は表面を通過する気流の速さとエレベーターの制御能力で
決まる。
CG位置が前方に移動すると速度を保つためにエレベーター操作量が多く必要。
限界までいくと主翼は失速していなくても機首は下を向く。
CGが前方限界
・尾翼の制御能力の限界。
・水平安定板とエレベーターの大きさを、すなわち旋回時に十分な力をエレベータが発
生するよう、決定される。
CGが後方限界
・失速速度は気流の剥離やバフェットなどの主翼の空力上の限界で設定。
・安定性の限界。グライダーが十分な縦安定性を有してスピンからの回復に問題がな
いように決定される。
2021/07/03
重心位置の影響
前方重心の特長
・縦安定性が増す
・失速から回復しやすい
・高速飛行に適する
前方限界を超えると
・着陸時の引き起こし操作不能
後方重心の特長
・縦安定性が減る
・操縦性が増す
・低速飛行に適する
後方限界を超えると
・失速からの回復不能
重心
前方限界 後方限界
2021/07/03 3
機首下げ傾向 機首上げ傾向
38
運動包囲線図と失速の関係
すべて失速に
近づく操作
←
ス
テ
ィ
ッ
ク
を
引
く
操
作
→
ス
テ
ィ
ッ
ク
を
押
す
操
作
スティックを引く操作
・減速
・+Gをかける
2021/07/03
39
運動による荷重倍数(Load Factor)
日本航空技術協会 飛行機構造
n=3
n=2
n=1
n=1
n=2
n=3
荷重倍数
揚力=飛行機の重量 x 荷重倍数n
・Gがかかった時に主翼にかかる力は水平飛行時のn倍
・パイロットにも体重のn倍の力が作用するので、+Gでは座席に押しつけられる感じ、
-Gでは、放り出されるような感じがする。
2021/07/03
エレベーター引く
Positive G (+)
エレベーター押す
Negative G (-)
40
荷重倍数の増加要因(旋回)
重力 1000kg 重力 1000kg
重力を支える揚力の鉛直成分は有効翼面積はバンク60度の場合、水平飛行の半分し
かない。単位翼面積は通常の荷重の2倍を支えなければならない=2G
バンク60度では水平時と同じ速度60km/hで飛行している場合、2Gの時の迎角は1Gの
時の2倍必要になるので、失速迎角を超えてしまう。
1Gの時の失速速度=60km/hの時、 2Gの時の失速速度=60km/h x √2=85km/h
バンク60度
60km/h
60km/h
1G
2G
2021/07/03
41
旋回中の荷重倍数と失速速度
FAA Pilot's Handbook of Aeronautical Knowledge
水平飛行中の失速速度をVsとすると
W = L = ½ ρCLSVs2
Vs = √(2W/ρSCL)
旋回飛行中の失速速度をVSθとすると
W = L cosθより
VSθ = √(2W/ρSCLcosθ)
=
√cosθ
1
×Vs
荷重倍数n=L/W または n=1/cosθ
2021/07/03
バンクをつけただけでは失速速度は増えない!
42
荷重倍数の増加要因(突風)
上昇気流
風速U 迎え角の増加
-迎え角の増加
速度V
風速U
相対速度V
静かな大気中を飛行してきた機体が風速Uの上昇気流に突入すると、主翼にあ
たる気流の向きが変わる。
迎え角が増えて主翼の揚力を増し、機体全体は上方へ押し上げられる。
機体各部には正の荷重倍数がかかる。
2021/07/03
43
荷重倍数の増加要因(高速からの引き起こし時)
旋回を垂直に行っている状態。
引き起こしの運動をすると、機体の各部に
は重力の他に円運動をするための遠心力
が働く。
揚力は重力の他、遠心力の分も支えないと
いけないので、大きな荷重がかかる。
2021/07/03
揚力
重力
遠心力(向きを変えることによって感じる慣性力)
下記の時、荷重倍数が大きい
・引き起こし半径が小さい
・高速度
揚力=重力+遠心力
L = W +
44
荷重倍数の増加要因(ウィンチ索の張力)
2021/07/03
BGA Instructor’s Manual
揚力
索の張力
重量
抗力
100km/hで上昇中
合力
曳航初期上昇径路角45°
索角 5°100km/hで上昇中には 重量(重力)の
1.63倍の上向き 合力Ra(揚力とほぼ同じ強さ)
が発生することで力が釣合う。
定常滑空時の1.63倍の 揚力が発生している 。
その時の迎え角は定常滑空 時よりやや大きい 。
100km/h定常滑空時は 4°とすると、 約7.5°。
水平飛行での失速速度60km/h
曳航中の失速速度 = √1.63VS1 ≒1.3 VS1
1.3x60km/h=78km/h
45
ウィンド・グラディエント(Wind Gradient:風速の勾配)
http://rockets2sprockets.com/issue-cross-winds-wind-tunnels/
2021/07/03
空気と地面の間に粘性による摩擦力が生じ、地面から離れるごとに少しずつ摩擦力が
弱まるため、風は上空に行くほど強くなりある一定の高度以上ではほぼ一定になる。
・風は地面のそばが一番急勾配になっている。
・地形によって、風力の変化傾向が異なっている。
・500ft 以下でとても著しく、150ft 以下で最も大きい。
46
ウィンド・グラディエントと低空旋回
デレック・ピゴット著 「滑空工学入門」より出典
2021/07/03
風速 10m/s
風速 5m/s
風速 13m/s
風下への旋回 風上への旋回
グライダーは翼幅が大きく、ロールの運動性がやや悪い。急旋回では上の翼は下の
翼の高さより10m以上高くなる。
ウィンド・グラディエントのために上の翼にあたる気流の速度は下の翼より大きい。
バンク角が深くなる傾向が強くなる。特に地面近くは、傾きの修正が難しくなる。
対気速度 90km/hでの旋回
より大きな揚力
より大きな揚力
より少ない揚力
より少ない揚力
水平にしやすい 水平にしにくい
翼端対気速度 108km/h
翼端対気速度 80km/h
翼端対気速度 72km/h
翼端対気速度 100km/h
47
3. スピンのメカニズム
2021/07/03 47
48
スピンの特徴
翼が失速し、左右の翼の揚力と抗力が不均等であった場
合、失速迎角を維持しながら自転を継続している状態
スピン軸(自転軸)
2021/07/03
FAA Glider Flying Handbook
自転
スピンが持つ運動を持続する作用
失速時、機体の横安定性が失われる。
傾きを戻す力が弱まり、アドバースヨーを上まわる抗力が
発生するので、自転が持続する。
スピン初動では、自分が操作して
いるわけではないのに、
「意図しない自転」が発生する。
スピン軸(自転軸)
49
スピンとスパイラル
BGA Flight Instructor Manual
スピンの特徴
スピン軸を中心に自転
ノーズダウン
旋回率大きい
低速
通常のG
非常に大きな降下率
スパイラルダイブの特徴
旋回(円弧)
バンクは増大(結果的に安定)
旋回率はスピンより小さい
すべてのコントロールは効く
高いG
2021/07/03
スピンとスパイラルの回復操作の
違いは?
EMFTスピンとスパイラル動画
50
重心位置とスピン
BGA Instructor’s Manual / FAA Glider Flying Handbook
2021/07/03
前方重心
スピン初動後、スパ
イラルダイブになる。
後方重心
フルスピンになる。
重心が後方限界を
超えている
フラットスピン
(回復不能)
2021/07/03 51
アクシデンタルスピンのメカニズム
・沈下に遭遇したため、普段より低い高度
で場周に入った
・第4旋回に左旋回で入った。
低高度でバンクをつけるのが怖かったの
で、20度程度の緩旋回を行ったが、オー
バーシュートしてしまった。
・滑走路にアラインさせようとしたが、バン
クをつけたくなかったので、無意識のうち
に左ラダーを踏んでいたため、意図せずし
てスキッド旋回となった。
遠心力
向心力
パイロットは旋回外側へ
の力を感じる。
<スキッド旋回>
バンク角に比べてラダーが多すぎる状態。
ノーズが旋回内側に向く(旋回率に比べてバンクが少なすぎ)。
揚力の水平成分(向心力)が遠心力より小さいので、旋回の外側
へ滑る。
52
左ラダーを踏んで外滑りを起こした場合
2021/07/03
①左ヨーにより、右翼は左翼より速く進む ②左にバンクする
③左に旋回し、左翼が下がること
により、左翼の迎え角が増加する。
揚力
揚力大
揚力小
移動速度大
移動速度小
揚力大
揚力小
④左旋回で横滑りしながらノーズが下がるので、
エレベーターでノーズを上げようとすると、
左翼が先に臨界迎え角に達して失速する。
53
左旋回スキッド中(左ラダー過多)の問題
2021/07/03
相対風が翼の正面から当たらな
いため、揚力を発生させる方向
の気流の効果が減少する(翼端
方向の分力は揚力を生み出さな
い)。このため、翼は通常より早
く失速する。
スキッド中は胴体が翼面の気流をブロックし
て、内側翼の気流が減少するため、揚力が
減少し、内側翼が先に失速しやすくなる。
翼型が変わるので、翼の揚力・抗
力特性も変わる(本来の性能が出
ないかも)。
揚力発生を妨げる要因
臨界迎角前後のヨーイングの影響
左翼の方が迎え角が増え、抗力も増
加する。
エレベーターを引くと、左翼が先に失速し、
左右の揚力と抗力差のために、自転を続
ける。
Cd 左翼>右翼・ Cl左翼<右翼
CdとCl 左翼>右翼
旋回中左ラダーを踏んで
左にバンクした場合
左ラダーを踏んだままエレベーターを引
き、左翼が先に臨界迎え角を超えた場合
左翼
右翼
左翼
右翼
Cd抗力
係数
Cl揚力
係数
Cd抗力
係数
Cl揚力
係数
臨界迎角 臨界迎角
リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典
2021/07/03 54
55
失速付近のエルロン使用の影響
デレック・ピゴット著 「滑空工学入門」より出典
2021/07/03
失速付近で翼が傾いて下がるの
を止めようとしてエルロンを大きく
使うと実際には翼端が失速しても
っと左へ傾く。
失速付近で左翼が傾いて下
がるのを止めようとして右エ
ルロンを使用
失速付近で左翼が傾いて
下がる
傾きを止めるために
右エルロンを使用
キャンバーが増えることにより、
失速を起こし、さらに左に傾く
失速付近の傾きの直し方は?
近代的なグライダーは翼端失速を防ぐ設計
56
スリップとスキッド
2021/07/03
スリップ旋回
・バンク角に比べてラダーが足りない。
・ノーズが旋回外側に向く。
・旋回率に比べてバンクが大きすぎる。
・揚力の水平成分(向心力)>遠心力
・旋回の内側へ滑る。
スキッド旋回
・バンク角に比べてラダーが多すぎる。
・ノーズが旋回内側に向く。
・旋回率に比べてバンクが少なすぎる。
・揚力の水平成分(向心力)<遠心力
・旋回の外側へ滑る。
FAA Glider Flying Handbook
スリップもスキッドも左右翼のアンバランスがある限り失速すればスピンに入りうるが、
スキッドの場合は自転と旋回方向が同じなため、スピンに入りやすく、スリップの場合
は、自転と旋回方向が逆なので、スピンに入るのにスキッドより時間がかかる。
スリップもスキッドもラダーを踏んでいる方向に自転する。
57
スピン中に尾翼への気流が遮蔽される部分
リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典
CG位置からできるだけ後方に離れた大きなラダーは近くの小さなラダーにくらべて良好な
回復特性。前方CGも、より長いモーメントアームで回復操作が容易。
通常姿勢のスピン中、T尾翼は水平尾翼とエレベーターが作り出す遮蔽部分が最も小さい。
2021/07/03
急角度のスピン
フラットなスピン
スピン中の相対風
58
回復にトップラダーを使用する理由
迎角の減少
SSA Soaring Magazineより出典
ラダーを使用してスピン回転速度ベクトル(図中鉛直下向きのベクトル)の,大きな成分であるヨー
イング角速度(図中Z方向ピンクの成分)をラダーを使用して減らすと、慣性力によるピッチアップ
力が減少する。この動きにより機首は下向きとなり迎え角は減少するため、エレベーターに気流
があたりやすくなり、エレベーターの効きが良くなる。
そのため回復操作は、トップラダー使用後、スティックフォワードの順番で行う。
2021/07/03
迎角
速い回転 遅い回転
トップラダーを踏む→回転角速度ベクトルヨー成分の減少
速い回転
↓
遠心力大
↓
ピッチアップ
遅い回転
↓
遠心力小
↓
ピッチダウン
遠心力
左スピンからの回復操作
右ラダーを踏むことにより、スピン軸に対する迎え角が減少し、ロール及びヨーの自転
を止める向きに力が働き、自転が止められる。
スティックフォワードせずに、そのまま右を踏み続けると、逆方向のスピンが発生する。
リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典
左スピン中
左翼
右翼
Cd抗力
係数
Cl揚力
係数
臨界迎角
2021/07/03 59
右ラダーを踏んだ場合
左翼
右翼
Cd抗力
係数
Cl揚力
係数
臨界迎角
60
4. 失速・スピンの兆候と回避
2021/07/03 60
61
水平失速の定義と兆候
1G失速の兆候といわれる状況
・ノーズ位置が通常より高い
・速度が遅いまたは減少している
・気流の音の変化
・速度計の針が振れる
・バフェット
・エレベーター、エルロン、ラダーのレスポンスが悪い
・高い降下率
2021/07/03
BGA Flight Instructor Manual
Q1 : 失速に近づいていることがわかる計器は何か?
Q2 : 1G失速の兆候はスピンにもあるか?
Q3 : スピンの兆候は何か?
62
3舵のコントロールする軸
エレベーター
ピッチ軸
エルロン
ロール軸
ヨー軸
ピッチ軸
ラダー
ヨー軸
ロール軸
ピッチ軸
1つの操縦系統を動かすと複数の軸の動きがある。
図:FAA Glider Flying Handbook
2021/07/03 62
単舵操作の段階で理解している必要がある。
スピンの兆候
63
2021/07/03 63
エレベーターを引いても機首が上がらない。
これはスピンに近づいている唯一の「スピンの兆候」
絶対にそれ以上引いてはいけない!!
ラダーを中立にすること!!
「意図しない自転」のフェーズはすでにスピンに入っており、
そこからの回復は困難。
ラダー使用時の機体の動き
・低速旋回中、ラダーを少しでも使用すると、バンクがつき、ノーズが下がる。
・この状態でエレベーターを引いても機首は上がらず、逆に下がる。
・エルロンとラダーを中立にすると機首が上がる。
単舵操作の段階で理解している必要がある。
スピン旋転から自転への移行
ラダーを踏んだ時のノーズの動き
初期スピンの糸の動き
初期スピンでノーズが下がる時、糸は中立または内すべり方向を示すことがある。
糸は何を表す計器か?糸はすべりを示しているのか?
64
2021/07/03 64
外すべり方向 中立方向
内すべり方向
外すべり方向
スピンに入る時の糸の動き
65
エレベーターの役割
・エレベーターのコントロールする要素
・ ピッチ
・迎え角
・揚力
・速度
・荷重倍数
リッチ・ストーウェル著 「緊急機動訓練(EMT)」より出典
「エレベーター=高度」
「エレベーター=上昇」
エレベーターの使用を間違えると、失速、構造破壊に直結する取り扱い
要注意の舵。
根拠のある時しか使用してはいけない!!
2021/07/03 65
66
ヨーストリングの位置
正しい旋回は、ヨーストリングが内すべりしているように見える。
特に複座の前席は、重心から離れているので、この傾向が強い。
ヨーストリングをまっすぐにする動作は、スキッドを誘発するので、スピンの危険が
高まる。山肌に近いサーマリングをしている時は、上向き突風があると危険なので、
ヨーストリングが内滑りのような見え方をキープする。
2021/07/03
グライダーの最適な重心位置
DG HP「グライダーの最適な重心位置について」より
グライダーは後方限界に近い位置では良
い性能は得られない。単にピッチとロール
方向のコントロールが非常に敏感となるだ
け。また、パイロットは長距離飛行中に2L
程度の水分を失う(汗をかく)ことはありえ
るので、飛行中に重心位置が許容範囲を
超えてしまい、すべてのコントロールが過
敏といえる状況になってしまうかも。
後方限界から30~35%前方の重心位置
を選択。このあたりが安全性の面からも性
能の面からも最適な位置。
2021/07/03 67
68
スピンからの回復操作(飛行規程)
1. フル・トップラダー
2. エルロン・ニュートラル
3. フラップ・アップ
4. スティック・フォワード
5. 旋転がとまったら、ラダー・ニュートラル
6. 高速ダイブからのリカバリー
これは、意図的にスピンを入れたらできる操作。
アクシデンタル・スピンの場合、ラダーを踏んでスピンに入っているという認識が
そもそもないので、何が起こっているのかわからないのが現実。
スピンと認識できず、機体の挙動がおかしいと思ったらやるべきこと。
引いている操縦桿の力を緩め、エルロン・ラダーを中立にする。
それでも自転が止まらなかったら、トップラダーとスティックフォワード量を増やす。
(スピンがフラットな場合。多くのスティックフォワード量が必要)
2021/07/03
TWIN Ⅱ Spin Recovery
69
失速・スピンからの回復時の注意
1. 引いている操縦桿を戻す
量はどれくらい戻せばよいのか?
2. 旋回を伴う高速ダイブからの回復時の速度、制限荷重超過
3. スパイラルダイブへの転移
スピンとの違いは? 見分け方は? 回復方法の違いは?
4. 2次スピンへの転移
回復操作時に使ったトップラダーを中立に戻さなかった場合、急激にエレ
ベーターを引いた時に再度失速し、反対側にスピンに入ることがある。
2021/07/03
70
5. 飛行の根拠 「滑空性能計算ツール」
Special Thanks to
Mr. F.Sato
2021/07/03 70
■作成者紹介
中部日本航空連盟 岐阜支部 佐藤 文幸 氏
1977年 福岡県生まれ
2002年~ 航空機の研究開発、飛行試験、型式証明審査業務に従事
37歳でグライダーを始める
中部日本航空連盟岐阜支部所属、自家用操縦士(上滑、動滑)
滑空性能計算ツール
1. 旋回時の沈下率
グライダーの旋回中の沈下率から、ソアリング旋回時に選ぶべき参考速度とバン
ク角を知る。また沈下率とバンク角から180度旋回の失高を知り、離陸直後の索切
れ等で滑走路に逆進入可能かの判断材料とする。
2. 風の中での滑空性能
グライダーが直線コースを飛ぶ際に、風向と風速(正対風、背風、横風など)が滑
空性能にどのような影響を与えるかを計算する。
3. 風の中での航跡
第3旋回及び第4旋回においてどの程度風に流されるのかの確認し、旋回開始の
タイミングを知る。
4. 地上目標旋回
地上目標を取って正円を描く場合のバンク角とWCAを確認する。
71
2021/07/03
72
ツール1 :旋回時の沈下率
2021/07/03
グライダーの旋回中の沈下率から、ソアリング旋
回時に選ぶべき参考速度とバンク角を知る。ま
た沈下率とバンク角から180度旋回の失高を知
り、離陸直後の索切れ等で滑走路に逆進入可能
かの判断材料とする。
グライダー性能計算ツール1(旋回時の沈下率)ver.01
ツール1_旋回時の沈下率に関する計算ツールの紹介
サーマル旋回の最適速度は?
73
2021/07/03 73
・最適速度を決める要素:サーマルの大きさ、沈下率、失速速度、旋回半径
TWIN Ⅱ ポーラーカーブ
旋回中の沈下率
出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」
2021/07/03 74
n
n
w
w

=
=

 cos
1
cos
1
直線
旋回
旋回中の沈下率比=
バンク角 荷重倍数n 沈下率比
30° 1.15 1.23
45° 1.41 1.67
60° 2.00 2.83
(注)この計算は基準のポーラーカーブの
精度に強く依存しており、また、旋回の曲
率により風が胴体に真っすぐに当たらな
いこと、及び舵面を動かすことによる抵抗
増を考慮していないため、この結果を参
考程度にとどめること。
TWIN Ⅱ 旋回中のポーラーカーブ
出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」
2021/07/03 75
速度[km/h]
-3
-2
-1
0
0 50 100 150 200
旋回中の沈下率[m/s]
基準のポーラーカーブ
バンク20°
バンク40°
バンク60°
理論曲線(バンク0°)
理論曲線(バンク60°)
最大滑空比
最小沈下率
失速
理論曲線(0°)
バンク角を増すと、沈下率は悪化し、速度を増さなければ失速するという実際の現
象を正しく再現できている。
定常旋回中に最小沈下率及び最大滑空比となる迎え角はそれぞれ直線飛行時と
同じであることが分かる。
×は各バンク角の定常旋回において直線飛行時の失速時と同じ迎え角である点
▲は同様に最小沈下率と同じ迎え角である点
○は同様に最大滑空比と同じ迎え角である点
TWIN Ⅱ 旋回半径と沈下率
出典:佐藤文幸「旋回中の沈下率について」
2021/07/03 76
旋回半径[m]
-3
-2
-1
0
0 50 100 150
沈下率[m/s]
バンク20°
バンク30°
バンク40°
バンク45°
バンク50°
バンク55°
バンク60° 60°
55°
50°
45°
40°
30°
20°
バンク角40~45度付近で旋回すると、旋回半径と沈下率が程よく小さくなる。
コアのみが強いタイプの上昇気流に対してソアリングの上昇速度のみを追求すると、失速(×
のマーク)と隣り合わせになる可能性が高くなる(TWINⅡに限らず、他の機体でも同様)。
小さな旋回半径には、より速い速度と大きなCL値(迎え角)が必要。
重量が重いほど早く最大CL値に達してしまう。
旋回中は内側の翼がより低速で進むこと、及びエルロンの当て舵により旋回内側のエルロン付
近の迎え角が増え、図中の×よりも速い速度で失速が始まる。
90km/h
80km/h
105km/h
77km/h
バンク0°の失速速度=75km/h
77
ツール2 :風の中での滑空性能
2021/07/03
グライダーが直線コースを飛ぶ際に、風向と風速(正対風、
背風、横風など)が滑空性能にどのような影響を与えるか
を計算する。
グライダー性能計算ツール2(風の中での滑空性能)ver.01
ツール2_風の中での滑空性能に関する計算ツールの紹介
2021/07/03 78
沈下率
対気速度・対地速度
0
無風時のポーラーカーブを
風速分だけそれぞれ平行移動
無風時のポーラーカーブ
=対気速度のポーラーカーブ
向かい風時の
ポーラーカーブ
追い風時の
ポーラーカーブ
向かい風 追い風
追い風時の最大滑空比速度(対地)
向かい風時の
最大滑空比速度(対地)
追い風時に
パイロットが選ぶべき速度
向かい風時に
パイロットが選ぶべき速度
向かい風または追い風時の最大滑空比速度の求め方
2021/07/03 79
横風を考慮したポーラーカーブ
偏流修正角∠ WCA
風速Vwind
真
針
路
TH
、対
気
速
度
Vtas
真
航
路
T
C
対
地
速
度
G
S
コースに対する風向
∠wind
-5
-4
-3
-2
-1
0
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260
対地速度[km/h]
昇降率[m/s]
ポーラーカーブ(無風)
ポーラーカーブ(風あり)
失速(無風)
失速(風あり)
最大揚抗比(無風)
最大揚抗比(風あり)
最大滑空比
図7 コースに対する横風30kt時のポーラーカーブ(TWINⅡ、最大重量、海面高度)
風力三角形
対気速度
対地速度
風
偏流修正角の取り方
2021/07/03 80
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240
対地速度[km/h]
沈下率[m/s]
ポーラーカーブ(無風)
ポーラーカーブ(風あり)
滑空経路(無風時)
風
風を考慮した最適滑空経路
最大揚抗比(無風)
最大揚抗比(風あり)
最大滑空比
風速の約半分を加算 正対風が40ktの場合の最適速度
約風速の半分である20ktを無風時の最
適速度(最大揚抗比となる速度)に足すと、
向かい風時の最適速度になります。それよ
りも風速が弱い場合は足すべき風速の割
合が少なくなる。
-6
-5
-4
-3
-2
-1
0
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240
対地速度[km/h]
沈下率[m/s]
ポーラーカーブ(無風)
ポーラーカーブ(風あり)
滑空経路(無風時)
風
風を考慮した最適滑空経路
最大揚抗比(無風)
最大揚抗比(風あり)
最大滑空比
最小沈下率速度へ接近
背風が40ktの場合の最適速度
背風の場合は、風が強くなると最適速
度は最小沈下率となる速度に近付く。
ポーラーカーブからわかること
2021/07/03 81
無風
10ktの風
20ktの風
30ktの風
40ktの風
30° 20°    10° 正対風   10° 20° 30° 40°
140° 150° 160° 170° 背風  170° 160° 150° 140° 130°
130°
120°
110°
100°
90°
80°
70°
60°
50°
50°
60°
70°
80°
90°
100°
110°
120°
最良滑空速度
[km/h]
最良滑空比
1km区間の失高[ft]
実線:片道
点線:往復
(旋回は含まない)
真航路
TC
真航路TCに対する風向
40° 40kt
30kt
20kt
10kt
無風
50 20
100 40
150 60
200 80
250 100
300 120
350 140
50 20
100 40
150 60
200 80
チャート(TWINⅡ、530kg、高度2,000ft)
全方向の風に対する最大滑空比及び最適速度チャート
チャートの左側には、1㎞あたりの
最小失高を実線で、その往復分を
点線で表示。
無風時の往復による失高は、片道
分の失高の2倍となる。
風がある場合は、風が強いほど往
復の失高は大きくなり、風が40kt
の場合は片道分の失高の2倍では
なく、3倍から4倍となる。
注意:
このチャートが作成された場合、シー
ト名を変更して保存すること。
そのまま保存すると、システムが動
かなくなる。
82
ツール3 :風の中での航跡
2021/07/03
第3旋回及び第4旋回においてどの程度風に流され
るのかの確認し、旋回開始のタイミングを知る。
グライダー性能計算ツール3(風の中での航跡)ver.01
ツール3&4_風の中での航跡及び地上目標旋回に関する計算ツールの紹介
ツール3&4補足_グラフへの航空写真の貼り付け方法
2021/07/03 83
旋回開始からベースレグまでの距離
(無風時のベースレグまでの距離)+(風速)×(無風時の旋回時間)より長くなる
84
ツール4 :地上目標旋回
2021/07/03
地上目標を取って正円を描く場合のバンク角
とWCAを確認する。
グライダー性能計算ツール4(地上目標旋回)ver.01
ツール3&4補足_グラフへの航空写真の貼り付け方法
ツール3&4_風の中での航跡及び地上目標旋回に関する計算ツールの紹介
2021/07/03 85
地上目標旋回の計算結果からわかること
バンク角45度以内で行う必要がるため、高度1000ftにおける速度毎
の旋回半径と最大バンク角が45度となる風速を表1に示す。
2021/07/03 86
地上目標旋回の計算結果からわかること
■条件
風上側のクロスウィンドエントリー
高度1000ft(標準大気)
風速 25kt
指示対気速度VIAS 100km/h
ロールイン時のロールレート 5 deg/s
ロールアウト時のロールレート 2 deg/s
2021/07/03 87
地上目標旋回の計算結果からわかること
2021/07/03 88
地上目標旋回の計算結果からわかること
基準のバンク角は25度。クロスウィンドで入るとWCAがわかるので、
最大最小バンク角(φ)がわかる。風速毎のWCA0.8倍を25度にプラス
マイナスするとその風速の最大最小バンク角(φ)がわかる。
89
ツール5 :おまけワイヤーフレーム描画
2021/07/03
学習資料作成時、上記のようなグライダーの描画をしたい時に
グライダー性能計算ツール5(ワイヤーフレーム描画)ver.01
90
6. EMFT実技実施要領
EMFT訓練実施要領参照
2021/07/03 90
2021/07/03 91
EMFT実施要領ビデオ
2021年度 EMFT学科資料 後編
2021/07/03 92
2021/07/03 93
前編:自家用コース
1. グライダーの危険
2. 失速のメカニズム
3. スピンのメカニズム
4. 失速・スピンの兆候と回避
5. 飛行の根拠
6. EMFT実技実施要領
後編:指導者コース追加分
7. パイロットに必要な能力
8. ケーススタディ
9. 滑空機安全啓発動画
10. 意見交換
参考資料
11. 空間識失調とサブG感覚
12. 空中接触
13. 人間の能力の限界
内容
94
7. パイロットに必要な能力
2021/07/03 94
グライダー・パイロットに求められる技能について
グライダー
パイロットの技能
操縦技術
知識
判断
取組姿勢
通常操作
非常操作
モニター
航空機・空力・機材
環境(気象・地形)
人間の能力の限界
意志決定能力
リスクマネージメント能力
タスクマネージメント能力
状況認識(危険予知)能力
搭載機器マネージメント能力
CFIT*マネージメント能力
法令遵守
積極性
協調性
沈着性
コミュニケーション能力
計画マネージメント能力
リーダーシップ
緊急時の対応
不時着時のサバイバル
リーダーシップ
エアマンシップ
(ICAO 定義)
正しい判断力、確固
たる知識と技術、そし
て飛行目的を完遂す
る心構えを常に持ち
続けるパイロット精神
飛行技術
計画・判断力
状況認識力
規則の遵守
CRM・TEM*能力
同乗者の安全確保
*CFIT=Controlled Flight
Into Terrain
*CRM=Crew Resource
Management
*TEM=Threat and Error
Management
2021/07/03
95
テクニカルな能力
ノン・テクニカルな能力
2021/07/03 96
https://www.mlit.go.jp/common/001224427.pdf
TEM (Threat & Error Management)モデル
JCAB 安全啓発リーフレット
UAS(望ましくない航空
機の状況)が発生してし
まった場合、パイロット
がそのUASの対処に失
敗すると、インシデント・
アクシデントとなる。
リスクとなりえる状況をどう認識するか?
リスク要素 評価内容
パイロット 健康状態、精神・感情の状態、疲労度、極度の緊張等
スピン訓練の実施状況、機体の慣熟度等
機体 性能・運用限界・装備・耐空性、重量、フラップ・ダイブ位置、計器
の作動、速度や降下率等
環境 風向と風速・天候の変化、上昇気流・下降気流の状態、他機の動
向、地形や障害物の位置、ピストによる指示、法令・空域・空港規
則等の指定経路・高度、離着陸場の条件等
外圧 他者からの飛行完遂への期待や圧力。スケジュール上の圧力。
仕事・家庭・友人・先輩・教官からの圧力等。
2021/07/03 97
Threat=複雑な運航環境の中で航空機乗組員に降りかかり、航空機乗組員の業務
負荷や心理的負担を増大させ、乗員が適切な対応をしなかった場合には乗員のエラ
ーを誘発する可能性がある乗員以外の要因(エラーの発生する確率が高くなる要因)
98
出発前の確認 スレット&エラー・マネージメント
スレット エラー マネージメント
気象 強風と大きな沈下帯 滑空比の計算間違いに
よる高度の低下
計算結果に十分なマージ
ンがあるかの確認
ATC 宇都宮ACAの通過 他機とのニアミス レーダーアドバイザリー
と見張りの強化
空港 夕方の西日による
視程低下
他機とのニアミス 自機の位置を一方送信で
アナウンス
地形 場周経路場の送電線 索切れ時の送電線との
異常接近
事前に地図をチェック。
場外着陸の手順を決める
。
組織 場外着陸した際の
リトリブ要員確保
要員がいないので、
無理に滑走路に帰る
。
事前に場外着陸時の手順
を決めておく。
その他 体重が軽いパイロ
ットとの交代
バラスト搭載忘れに
よる不適切な重心位
置
事前に交代パイロットに注
意喚起する
2021/07/03
飛行中の意思決定のための3Pモデル
FAA Aviation Instructor’s Handbook
状況認識
実行 決定
危険の認識
すべての行動の始まり
ソアリング中、風が強く、沈下
が強くなってきた。滑走路に届
くか?
リスクレベルの検討
滑走路に届かないと判断した
場合に、プランBを用意してい
るか?
リスクマネージメントの実行
このままだと滑走路に届く
のは難しいため、場外着陸
の意思決定をする。
途中、その結果をレビュー
し、必要であれば別の場外
適地を選択。
状況認識に戻る。
場外着陸の経路はどう
するか?無線で連絡す
るか?注意点は?
2021/07/03 99
危険に近づかない工夫例
注意力散漫・一点集中になる状況の除去
• 状況認識能力を高めるためのシミュレーション実施
• 注意力をそらせる訓練等の実施
• 優先順位の判断
• 普段と異なる経路の飛行の実施
• 考える訓練、自分の考えを評価してもらう機会の設定
失速から遠ざけるためのマージン
・ソアリング速度の検討
・旋回時にバンクをしっかりつける。
・旋回時に内滑り気味で飛ぶ。
・ベース~ファイナルを高めに持ってきて、ダイブを使用して降りる。
・トリムを前気味に取る
パイロットだけでなく、ピスト、曳航パイロット、教官だったら何ができるのか?
100
2021/07/03
101
8. 事故ケーススタディ
Threat and Error Management
2021/07/03 101
スピン事故1 ベンタス2a 概要
2005年 板倉滑空場
機体:ベンタス2a型(単座)
機長の飛行経験
総飛行時間:354時間
最近30日間の経験:3.5時間
同型式の飛行時間:3.5時間
機体損傷:大破
パイロット:死亡
日本選手権出場を計画しており、選
手権に使用するレース機の慣熟とク
ロスカントリーの練習飛行
2021/07/03 102
運輸安全委員会事故報告書より
スピン事故1 ベンタス2a 状況
風向約300°風速約5m/s。滑走路は33。上
空では、2/8程度の積雲が4-5,000ftで、赤城
山から佐野市付近まで雲道があった。
飛行後、約2km北北西の佐野ICを100mで通
過して、高度約58mまで160km/hに増速し、
高さ約85mの鉄塔間の高圧線を、高度約
100m、対地速度約80km/hで越えたところで
ピストに対し 「高度が下がったのでダイレクト
に入る」との通報。
進入中、ピスト担当者から同機に、現在の使
用滑走路は風に正対する33との通報。機長
は滑走路15上のピスト横を通過時、ギヤを出
さず、エア・ブレーキも使用しないまま滑走路
上を 低高度で通過し滑走路のエンド付近で
中央付近に向け、旋回を開始した。
2021/07/03 103
運輸安全委員会事故報告書より
スピン事故1 ベンタス2a 状況
追い風の滑走路上を低高度で通過後、
滑走路端で風にほぼ正対する滑走路に
着陸しようとして、左上昇旋回(対地高度
42m、対地速度116km/h)したが、オー
バーシュート気味になり、深いバンクで
外滑り状態となり失速状態に陥ったため、
地面に衝突した。
当日は高度による風の強さの違いによ
るウィンド・グラディエントがあったと予測
された。
2021/07/03 104
・Threatは何か?
・Errorは何か?
・Countermeasuresは何ができたか?
・事故再発防止のためには何をすれば
良いか?
運輸安全委員会事故報告書より
スピン事故2 Ka6CR 概要
2000年 読売大利根滑空場
機体:Ka6CR型(単座)
機長の飛行経験
総飛行時間:600時間
最近30日間の経験:39分
同型式の飛行時間:不明
機体損傷:大破
パイロット:死亡
ウィンチ曳航による単座のソロ飛行
2021/07/03 105
運輸安全委員会事故報告書より
スピン事故2 Ka6CR 状況
天気 曇り、 視程10km以上、風向 北、風速
約0.5m/s、
同機は、滑走路31からウインチ曳航により
発航し、高度約1350ftで離脱、場周経路を
飛行し、ダウンウインド・レグで利根川左岸沿
い(滑空場対岸)にある工業団地 の上空約
1200ftで数回旋回した後、徐々に高度を下げ
ながら、他の会員の 飛行速度と比較し、ゆっ
くりとした速度で川下側へ飛行を続けた。
同機が工業団地と東武線の鉄橋の中間付近
上空を飛行中、同鉄橋付近上空で最終進入
中であったモーター・グライダーからタッチア
ンドゴーの要求がピストにあった。その後、同
機機長から「オン・ダウンウインド」とピストへ
無線連絡があった。ピストは同機に対して、
モーター・グライダーに続いて着陸するよう通
報した。
2021/07/03 106
運輸安全委員会事故報告書より
スピン事故2 Ka6CR 状況
通常、この付近では、会員は約500ftで飛行
し、最低でも400ftの高度が 必要であるが、こ
の時の高度は350~400ftに見えた。
その後、同機は左へ旋回した後、落下するよ
うに降下し、堤防の陰になり見えなくなった。
進入するものと思っていたら、左旋回を開始
したので、モーター・グライダー との間隔をと
るためかと思ったが、他の会員の飛行速度と
比較し、低速度で飛行しており、低速度のま
まで、バンクをしないで左旋回をしたように見
えた。
2021/07/03 107
・Threatは何か?
・Errorは何か?
・Countermeasuresは何ができたか?
・事故再発防止のためには何をすれば良いか?
運輸安全委員会事故報告書より
山の斜面への衝突事故 H-36ディモナ 概要
2015年 日高山脈付近
機体:ホフマン式H-36ディモナ型(動力滑空機)
機長の飛行経験
総飛行時間:5811時間
最近30日間の経験:2時間
同型式の飛行時間:3171時間
機体損傷:大破
パイロット:死亡
同乗者:死亡
女満別空港から鹿部空港への野外飛行
当日の目的地は花巻空港
最終目的地は沖縄
2021/07/03 108
運輸安全委員会事故報告書より
山の斜面への衝突事故 H-36ディモナ状況
事故前日は上空の風が強くなったので出発
中止した。当日は気圧の谷が北海道地方を
通過する見込みで日高山脈の稜線はよく見
えており、4000ft付近に少量の積雲が山脈に
かかる程度。
山脈稜線東側の事故現場周辺は、西から45
~50kt程度の風が吹き、吹き下ろしによる強
い下降気流が発生していたものと考えられる。
同機は約2000mであった高度を岩内岳稜線
の西側において南北に蛇行しながら、
約2450mまで斜面上昇風を利用して山脈の
稜線を越える直前に高度を上げていた。
2021/07/03 109
運輸安全委員会事故報告書より
帯広空港ウィンドプロファイル
山の斜面への衝突事故 H-36ディモナ状況
機長は下降気流に遭遇し対地速度が減少す
る中、最終的に稜線を越えるための安全な
高度を確保できるものと判断して約2000mで
事故現場となる九ノ沢の谷に進入したが、そ
の後、予想以上に下降気流が強くなったため
当該機体の上昇性能では降下を止めること
ができなかった。機長は風上側に発生する斜
面上昇風を利用して 高度を上げようとしたが、
それが十分にできず、約1800mの斜面に衝
突し、雪山を滑り落ちた。
ELTはスイッチOFFであったため、作動しな
かった(事故発生3日後に発見)。
2021/07/03 110
・Threatは何か?
・Errorは何か?
・Countermeasuresは何ができたか?
・事故再発防止のためには何をすれば良いか?
運輸安全委員会事故報告書より
111
9. 国土交通省 滑空機安全啓発動画
2021/07/03 111
滑空機の安全対策
2021/07/03 112
https://www.youtube.com/watch?v=JCk-FatW_mI&t=8s
国土交通省 滑空機安全動画
パイロットの安全対策
2021/07/03 113
https://www.youtube.com/watch?v=JCk-FatW_mI&t=8s
国土交通省 滑空機安全動画
2021/07/03 114
https://www.youtube.com/watch?v=JCk-FatW_mI&t=8s
国土交通省 滑空機安全動画
組織的なパイロットの安全対策
2021/07/03 115
https://www.youtube.com/watch?v=JCk-FatW_mI&t=8s
国土交通省 滑空機安全動画
組織的なパイロットの安全対策
2021/07/03 116
https://www.youtube.com/watch?v=JCk-FatW_mI&t=8s
国土交通省 滑空機安全動画
組織的なパイロットの安全対策
117
10. 意見交換
1. 初期の訓練で教えるべきこと
2. 組織としての安全対策
2021/07/03 117
初期の訓練で教えるべきこと
ディスカッション
2021/07/03 118
組織としての安全対策
ディスカッション
2021/07/03 119
組織的な安全カルチャーの構築
近年における交通事故死者数減少理由
警察庁は「交通安全教育の普及や車の安全性の向上、信号機や道路の
改良などが進んだ結果」と分析している。
パイロットとしての人間の能力の限界を限られた時間で高めることには限
界がある。→安全機器の導入の検討
パイロットだけでなく、ピストや曳航担当者の状況認識力と判断力向上は、
安全に直結する。→CRM(Crew Resource Management)
組織的に教育や安全体制などの安全カルチャーを構築する。
運営・運航に関わる方全員の力を合わせてグライダーの事故防止に務め
ましょう!
2021/07/03 120
2021年度 EMFT学科 参考資料
2021/07/03 121
2021/07/03 122
前編:自家用コース
1. グライダーの危険
2. 失速のメカニズム
3. スピンのメカニズム
4. 失速・スピンの兆候と回避
5. 飛行の根拠
6. EMFT実技実施要領
後編:指導者コース追加分
7. パイロットに必要な能力
8. ケーススタディ
9. 滑空機安全啓発動画
10. 意見交換
参考資料
11. 空間識失調とサブG感覚
12. 空中接触
13. 人間の能力の限界
内容
123
11.空間識失調とサブG感覚
2021/07/03 123
人間の空間識
1. 視覚
3. 体性感覚
(筋肉、皮膚、関
節より)
2. 内耳の感覚
脳内で情報の統合処理 空間中の位置把握 身体各部へ指令
http://code7700.com/spatial_disorientation.html リンク切れ
2021/07/03 124
3次元空間の中でどのように自分の姿勢や方向を知るのか?
地上
重力の方向は、体の各部分によって感じること
ができ、地球がどの方向にあるかがわかる。
空中
遠心力と重力の合力がGとなり、体の感覚が姿
勢指示器として役立たなくなる。
内耳の働き
FAA Pilot Handbook of Aeronautical Knowledge
①三半規管
回転角加速度検出 ロール・ピッチ・ヨーの動き
長時間一様な動きのあとのゆっくりした動きを感知することができない。
②耳石器
直線加速度検出 上下・前後・左右の動き
重力と運動による加速度を区別することができない。
空間識失調
正常な感覚機能を有したパイロットの空間識が混乱した状態。
加速度による錯覚:地球に対する航空機の動きを正しく認知していない場合。
視覚による錯覚、体性感覚による錯覚、平衡感覚による錯覚などがある。
バーティゴ、飛行錯覚とも呼ばれる。
2021/07/03 125
https://www.skybrary.aero/index.php/Main_Page#operational-issues
①三半規管
②耳石器
空間識失調の事故例
1983年 妻沼滑空場
機体:萩原式H-23C
前席:ファースト・ソロの練習生
機体損傷:大破
パイロット:死亡
2021/07/03 126
事故の概要
事故当日は雲が低く、今にも雨が
降りそうであった。
複座によるソロチェック後、パイ
ロットはファーストソロでウィン
チ曳航により発航したが、地上約
250mで雲に入った。
その後、機体が見えたときには垂直
急降下姿勢になっており、そのまま
地面に激突した。
約250m
雲に入る
運輸安全委員会航空事故報告書検索より作成
直線加速度による空間識失調
資料提供 嶋田 和人氏
2021/07/03 127
・サブG感覚(空間識失調の一種)→1G以下からゼロG以上の重力状態とする。
・体が浮く、自由落下、失速したような感じ。→エレベーターを押し続けてしまう。
・正確には「Reduced G」と表現すべきである(3G→2Gの時も同様な感覚となる)。
Reduced Gにより空間識失調に陥りやすい状況
Derek Piggott著 「Sub-Gracity Sensation and Gliding Accident」より出典
①乱気流やウィンドシアに遭遇し、機体が沈下して
いる状態
②失速からの回復時に過剰な機首下げをした状態
③滑空中に機首下げをした状態
2021/07/03 128
④ウィンチ索切れからの回復時
⑤スティックを押しすぎた時
空間識失調防止の方法
1. 視覚情報の確保
視程が悪い、視野が狭い時に機械的にエレベーターを押す操作をしない
地平線との位置関係や計器の読みを確認しつつ丁寧な操作をする。
体の感覚だけで操作を行わない(根拠のある操作を行う)
2. サブG環境への適応
複座によるトレーニングを行う。
サブG状態と失速状態の違いを認識し、正しい回復操作を理解する。
失速、ウィンチ索切れからの回復方法を正しく理解する。
2021/07/03 129
130
12. 空中接触
2021/07/03 130
空中衝突
http://jeremy.zawodny.com/blog/archives/007288.html
Mid-Air Collision of Glider and Jet near Reno: ASG-29 vs. Hawker XP800
Mid-Air Collision of Glider and Jet near Reno: ASG-29 vs. Hawker XP800
2021/07/03 131
空中衝突
http://www.express.co.uk/news/ 掲載期限切れ
2021/07/03 132
空中衝突の特徴
https://www.tc.gc.ca/
最近の米国における研究結果、下記の状況で空中衝突が発生している。
・事故の37%で操縦教員が同乗。
・多くは、ジョイフライト。
・VFR気象条件の週末の日中
・管制塔のない空港、もしくはその近辺、高度は 1,000ft以下。
・パイロットの経験レベルは関係なく、初単独飛行のパイロットから飛行時間
2万時間のパイロットまで含まれる。
・日中の視界が5km以上の状況で発生している。
JAPA インストラクター ハンドブック
2021/07/03 133
板倉滑空場周辺のスカイスポーツ
2021/07/03 134
日本グライダークラブ オペレーションマニュアル
日本グライダークラブ オペレーションマニュアル
板倉滑空場周辺の
働く航空機
2021/07/03 135
日本グライダークラブ オペレーションマニュアル
機体設計上の死角
http://www.signalcharlie.net/ リンク切れ
左右、上下のクリアを確認することが重要!!
高翼、低翼などの航空機の設計上の違いから、パイロットの死角も機体に
よって異なる事を理解する。
高翼機と低翼機のパイロットの死角
2021/07/03 136
https://www.premierflightct.com/newsletters/TrainingArticles/AvoidMidair.html
137
上空での見え方
https://www.dg-flugzeugbau.de/bibliothek/sehen-will-gelernt-sein
シルエットで見えている場合、シルエットから推測
・遠ざかっているのか? ・近づいているのか?
2021/07/03
138
サーマリング中の衝突パターン
BGA Instructor Manual
2021/07/03
139
Collision Course
BGA Instructor Manual
2021/07/03
140
同一サーマルでの位置
BGA Instructor Manual
2021/07/03 140
141
同一サーマルでのセパレーション
BGA Instructor Manual
2021/07/03
142
13. 人間の能力の限界
2021/07/03
143
人間の視野
BGA Instructor Manual
高解像度3D視野は3度しかない。
低解像度 1D視野
低解像度 1D視野
右眼の視野
左眼の視野
水平視野は約200度
2021/07/03
144
人間の視野と死角
BGA Instructor Manual
前方視界
3D視野限界
周辺視野限界
垂直視野
後方と真下は見えない
2021/07/03
人間の視機能の問題点
FAA Pilot Handbook of Aeronautical Knowledge
https://www.nidek.co.jp/eyestory/eye_9.html
盲点(Blind Spot)
誰にも眼には見えない点がある。
http://www.skybrary.aero/
Empty Field Myopia(空間仮性近視)
コントラストがない空間を見ていると、焦点が自動的に手前に合ってしまうため、
他機を見つけにくくなる状態。
2021/07/03 145
146
背景と紛れる場合
グライダーはどこにいるのか?
2021/07/03 146
https://www.dg-flugzeugbau.de/bibliothek/sehen-will-gelernt-sein
147
衝突コース (Collision Course)
http://www.langleyflyingschool.com/
相手機の見え方
他機の位置がお互いに止まって見えた
ら、「衝突コース」にあるといえる。
BGA Manual
衝突コース(Hudson Midair Collision)
2021/07/03
148
正面からの相手機の見え方
BGA Instructor Manual
相対速度による見え方
正面から他機が近づいてくる場合、最初は豆粒のよう
に見えていても衝突寸前に急激に大きく広がる。
グライダーは、翼が薄く、白いので非常に見えにくい。
60cm離して見た時の見え方が、コ
ックピットから見える大きさ
2021/07/03
149
人間の情報処理能力
BGA Instructor Manual
40歳を超えると眼の調節機能が劣化。遠近の物体に焦点を合わせにくく
なる。また動体視力も劇的に低下するため、発見が遅れる。
2021/07/03
物体の視認 1秒
航空機と認識 1秒
衝突コースと認識 5秒
回避を決心 4秒
筋肉の反応 0.4秒
機体の動きの遅れ 5秒
他機を視認してから、回避操作
が完了するまでかかる時間は、
16.4秒
他機の見え方
http://www.meetup.com/ja-JP/Freeflight-Aviation-The-
Neighborhood/events/220950124/?eventId=220950124
上方の機体
青空ならば比較的見やすい。雲が
多いとバックの雲と区別しにくい。
同高度の機体
地平線上に見える。水平
飛行している機体は細く
て見にくい。
下方の機体
地平線より下に見える。
市街地や雪山上空では
区別しにくい。
西日
向かうと見えにくい。
2021/07/03 150
Safe Flying!
END
2021/07/03 151

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