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2018
滑空スポーツ講習会
(航空安全講習会)
滑空機のエネルギーマネージメント
・ Threat and Error Management
・ 滑空スポーツの特徴
・ 緊急着陸
・ 異常姿勢の認知、回復操作
2019/3/9 札幌 担当: 植田展生
小型航空機パイロットの総飛行時間と事故件数
(自家用操縦士 1997年~2006年)
[JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月]
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
事故件数
パイロットの総飛行時間(hr)
飛行機(60名)
回転翼(67名)
滑空機(33名)
事故原因分析
(滑空機 1997年~2006年)
[JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月]
0
1
2
3
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10
事故件数
講習会出席有
無(不明含む)
航空法施行規則 第164条の1415
(機長の出発前の確認事項)
一 当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況
二 離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布
三 国土交通大臣が提供する航空情報
四 当該航行に必要な気象情報
五 燃料及び滑油の搭載量及びその品質
六 積載物の安全性
指定本邦航空運送事業者の
訓練及び審査規程の変更
指定航空従事者養成施設及び指定本邦航空運送事業者において柔軟
な航空機乗組員の教育、訓練及び審査を可能とする能力目標型教育・
審査(指定航空従事者養成施設関係)及び能力目標型訓練・審査(指定
本邦航空運送事業者関係)を導入
Competency‐ Based Training and Assessment (CBTA)
実運航に即した実践的な訓練・審査を行うことにより、航空機乗組員とし
て求められる Competency を付与するとともに、安全上の支障を及ぼす
事態を未然に防ぐという予防安全の観点から、航空機乗組員による
Threat and Error Management(TEM)の向上を図り、運航品質をより高め
ることを目的としたものである
⇒ 諸外国では、小型機の訓練,審査にも適用されてきている。
試験科目や、訓練時間の条件を設定するのはなく、
何を訓練し習得するかを提示。
(平成29年4月施行)
操縦士技能証明の要件(取得時)
・航空法29条 試験の実施 → 必要な知識及び能力があること
※ 学科試験 記憶ベースの知識
口述試験 理解ベースの知識
実技試験 応用ベースの知識 + 能力
・施行規則43条 技能証明の要件
飛行経歴(上級滑空機) : 3時間の滑空(曳航30回以上、失速からの回復)
※単独飛行に係わる安全基準(滑空機) 空乗第2103号
離着陸及び空中操作、野外飛行及び生地離着陸の場合
・実地試験実施基準・細則 科目、実施要領、判定基準
※ 「操縦士としての技能に信頼性がある」とは、科目の判定基準からの
逸脱が、連鎖又は頻発することがなく、かつ、総合能力(計画・判断
力、状況認識、規則の順守)の判定基準を満足している場合をいう。
操縦士技能証明の要件(継続時)
・航空法71条の3  特定操縦技能の審査等
必要な知識及び能力の維持について確認することが特に必要であるもの
・特定操縦技能実施要領
飛行前の2年以内に、操縦操作の能力、非常時の操作に関する知識、
航空法規の改正点に関する知識等を有するかどうかについて確認する。
・特定操縦技能審査実施細則 科目、実施要領、判定基準
※ 判定基準を繰り返し逸脱したり、逸脱した状況が継続した場合、審査員
は安全確保のために助言を実施しても良い。助言の結果、判定基準内
に状況が改善された場合は、不合格と判定する必要はない。
・特定操縦技能審口述ガイダンス
・自家用操縦士の技量維持方策に係る指針 (H15/3/28 国空乗第2077号)
<推奨> 安全講習会の受講、180日に3回の離着陸
Competency‐Based Training and 
Assessment Program の審査要領細則
• Competency(コンピテンシー):業務において期待され
る成果を得るために求められる人間の行動指標
所定の基準に従ってタスクを実施するために求められ
る能力の組み合わせ
国空航第 11576 号 平成 29 年3月30 日
スキル(Skills)    Technical Skills 
Non‐technical Skills
知識(Knowledge)
姿勢(Attitude)
Attitude (取り組み姿勢)
・運航品質 ・プロフェッショナル意識
Non Technical Skill (CRM)
・コミュニケーション
・チームビルディング(連携)
・ワークロードの管理
・状況認識
・判断
Technical Skill
(操縦技術)
・操縦操作
・手順
・システムの管理
Knowledge (知識)   
・システムの知識
・運航知識
パイロットの技量の構成要素 Attitude パイロットとして、基本方針を理解し実現する能力
・運航品質 質の高い運航を実施する能力
・プロフェッショナル意識 運航に対する取り組み姿勢 ( 航空法や関係諸規則の遵守、責任)
Knowledge  運航に必要な正確な知識を有し、理解した上で適切に活用できる能力
・システムの知識 システム等とその使用法、性能および運用限界に関する知識
・運航知識 航空法および関係諸規則、ATC、NOTAM、飛行規程等、運航に必要な一般知識
Technical 定められた手順に従い、各システムを活用し、飛行機を的確に操縦できる能力
・操縦操作 状況に応じて、正確、安定および円滑に操縦する能力
・手順 定められた操作手順を理解し、正確に実施する能力
・システム管理 自動操縦装置および各システムの適切且つ確実な操作およびモニターでき
る能力
CRM 安全な運航を実現するために、リソースを適切に活用し管理する能力
・コミュニケーション 正確な意思疎通を図る能力
・連携 チームのPerformance を最大限に高めるために必要な能力
・ワークロード管理 運航におけるWorkload を適切に管理する能力
・状況認識 状況を確認し、安全運航に活かす能力
・判断 適切な判断をする能力
Attitude (取り組み姿勢)
Non Technical Skill (CRM)Technical Skill(操縦技術)
Knowledge (知識)   
事故原因の分類
気象判断ミス飛行前点検不足
計画ミス
操作ミス 空間識失調 不注意
非常操作ミス
明らかな技量不足
明らかな知識不足
安全意識の欠如
滑空機事故件数の推移
12
10
8
6
4
2
0
(特定操縦技能審査員講習資料より)
発生日 発生場所 登録記号/型式 機長 事故等の種類
2016
3/17
大利根場外
(南約1.7km)
JA50KM 69歳、男性
229時間
626回
事故 (死亡者2名)
SZD‐50‐3プハッチ型
(滑空機、複座)
墜落(スピン)
2016
4/10
阿蘇観光牧場
JA2437 68歳、男性
174時間
310回
事故 (死傷者なし)
センターエア101B型
(滑空機、単座)
ウィンチ曳航中断
不時着失敗による墜落
2016
5/5
福島県
田村郡三春町
JA21BB
43歳、男性
441時間
事故 (死亡者1名)
グラスフリューゲル式
304CZ‐17型(滑空機、単座)
空中分解による墜落
2016
10/10
妻沼滑空場付近
JA22WP
学生、男性
(調査中)
事故 (死亡者1名)
ロラデン・シュナイダー式
LS4‐b型(滑空機)
失速による墜落
2017
2/12
岡南飛行場付近
JA2330
65歳、男性
2395時間
重大インシデント
シャイベ式SF25Cファルケ型
(動力滑空機、複座)
飛行中アイシングによる
発動機の継続的な停止
2017
8/27
ふくしま
スカイパーク
(南西約12km)
JA2406
66歳、男性
578時間
事故 (死亡者1名、重傷者1名)
ホフマン式H‐36ディモナ型
(動力滑空機、複座)
失速による墜落
2017
11/10
大野滑空場
JA05KG 22歳、女性
28時間
196回
事故 (死傷者なし)
シェンプ・ヒルト・V.L.式
ディスカスCS型(滑空機、単座)
ウインチ曳航中断
PIO,着陸時の機体損傷
近年の滑空機事故・重大インシデント
スピン墜落事故
12:20頃
12:05頃発航
(高度約1500ft)
龍ケ崎地域
気象観測所
飛行クラブは、本事故後に次の措置を講じた。
(1) 会員に対し、安全講習会及び技量確認(操縦教育に関する内
容を含む。)を実施するとともに、会員以外の同場外を利用する
関係者に対しても同場外の利用に関する講習を実施した。
(2) 動力機(小型飛行機及び動力滑空機)に加えて、滑空機による
同場外周辺の住宅密集地上空の飛行を禁止した。
事故原因と対応策 事故調査・処分の流れ
ICAO Annex1 Personal Licensing
2.9 Glider pilot licence
2.9.1 Requirements for the issue of the licence
2.9.1.2 Knowledge     ~Human performance
g) human performance relevant to the glider pilot including principles of threat and error 
management;
2.9.1.3 Experience 
2.9.1.3.2 The applicant shall have gained, under appropriate supervision, operational experience in gliders in at least the following areas:
a) pre‐flight operations, including glider assembly and inspection;
b) techniques and procedures for the launching method used, including appropriate airspeed limitations, emergency procedures and
signals used;
c) traffic pattern operations, collision avoidance precautions and procedures;
d) control of the glider by external visual reference;
e) flight throughout the flight envelope;
f) recognition of, and recovery from, incipient and full stalls and spiral dives;
g) normal and crosswind launches, approaches and landings;
h) cross‐country flying using visual reference and dead reckoning;
i) emergency procedures.
2.9.1.4 Skill
and to:
a) recognize and manage threats and errors;
Note.— Guidance material to design 
training programs on human 
performance, including threat and 
error management, can be found in 
the Human Factors Training Manual 
(Doc 9683).
Threat & Error Management (TEM)
Threatsは、パイロットが関与し
ないところで発生する出来事又
はパイロット以外によるエラー
であり、注意又は適切に対処す
ることが求められる。
・Communication
・Team Building
・Workload 
Management
・Situational
Awareness
・Decision Making
Normal Flight
スレット マネージメント
エラー マネージメント
UAS マネージメント
危険回避
Threat Management 
• Threatを可能な限り、多く特定すること
• Threatに対するPilotの反応を把握すること
• Threatに起因したErrorを、Pilotがどのよう
に処理したかを分析すること
• 航空安全情報自己申告制度
(VOICES)
http://www.jihatsu.jp/
• ヒヤリハット
• ハンガートーク
S: Software
H: Hardware
E: Environment
L: Liveware
エラーの予防
航空安全情報自発報告制度は、2014年度から国土交通省航空局の「航空安全プログラム」が開始され
たことに伴い始まった安全情報の報告制度です。航空安全に関する報告制度としては既に、法令等で定
められた事故やインシデント等に関する義務的な報告制度がありますが、これらだけでは捉えきれない多
くの情報を収集し、航空の安全向上のために活用していくことは大変重要なことです。 このため、航空安
全情報自発報告制度は、航空活動に直接携わっておられる方々(個人またはその所属する事業者等の組
織)から、自ら経験または視認した航空の安全上の支障を及ぼす可能性があったと思われる事象(いわゆ
るヒヤリハット)についての報告を収集し、業務実施者間で情報を共有するとともに、それらの情報を分析
して必要と思われる改善を提案することによって、航空の安全向上に寄与することを目的としています。
VOICES共有情報
FEEDBACK (No.2018‐02より抜粋)
[ グライダー ]
73. AT被曳航機との接近
• 第二RWY川側ダウンウィンドを飛行中、第一RWYから飛行機曳航により上昇中の機
体とヘッドオンした。
75. 飛行中の練習生が体調不良
• 飛行時間30分、高度600m付近でサーマル旋回中、練習生が「気分が悪い」と言い始
めて、操縦を指導員が交代して降下を開始した。降下中に「手がしびれて操縦できな
い」さらには「足もしびれてきた」という状態になった。着陸後日陰で横になり、両足の
マッサージを施し、30分ほどで楽になった
78. アドバイスの聞き違い
• 土手側から発航した単座機が、川側の空域のダウンウィンドに入る際、前方にいる複
座機を視認できなかった。この時、ピストは無線で「対岸(土手側)のグライダーと先行
する複座機を確認してください」とアドバイスしたが、当該パイロットは「対岸(土手側)
の先行機を確認してください」と聞き間違えた。結果、単座機が進入中の複座機の前
を横切る形で進入コースへ入った。
79. 離陸上昇中に索切れ
• 他校の端索を使用して当日2発目の飛行を複座機で同乗飛行を行った。高度140m付
近でヒューズ切れを発生し、グライダーは360度旋回しRWY中盤へ着陸した。曳航索、
ヒューズを確認したところ、単座機用のヒューズが使用されていた。
Error Management 
<Errorの定義>
「乗員または組織の意図や期待から逸脱し、安全マージンを減少させ、地上あるいは飛
行中に運航を悪化させる可能性を増大させる乗員の行動(または行動しないこと)。」
パイロット自身が起こしたり、何もしないことによって起こったりする誤りや間違い。
⇒ Technical やKnowledgeと共に、CRM Skillを活用してErrorに対処
・Team Buildingで適切な環境を作ってErrorをいち早く発見
・Situational Awarenessを発揮してErrorの状況を正確に認識し、分析
・Workload ManagementによりErrorの影響を軽減
・積極的にCommunication(Assertiveness)することでErrorから回復
・「振り返る」ことで、同じErrorを犯さないようにする
⇒ CRM Skillを向上させる最も効果的な方法
常日頃から「自分の行動を振り返る」という意識持ち続けること。
ホーキンスの分類
1)ランダムエラー
これは、初心者や訓練が足りない場合に多く見られ
るエラー。このタイプのエラーには学習や訓練を重ね
るという対策が考えられる。
2)システィマティックエラー
ライフルの照準がズレてる場合や、撃ち方がおかし
いと当たる場所が偏ってしまう。手順書通りにやった
のに、多くの人が同じような間違いをおこす場合な
ど、その手順やその組織のシステムに問題がある可
能性が考えられる。
3)スポラディックエラー
殆どが的中しているが、ときに全く外れてしまうこと
がある。ベテランでも突発的に起こすエラーは、一人
で防ぐ事は極めて難しく、周囲の人間やシステムの
バックアップが必要。
意思決定エラー
意図的な規則違反
認知エラー 技量エラー
コミュニケーションエラー 手順エラー
コミュニケーションエラー
情報 行動
経験知識
判断
INPUT OUTPUT
Feedback
TEM = CRM ?
Threat & Error Management(TEM)とは、従来の失敗か
ら学ぶ事後対応型から、Threatを認識することにより、能
動的にエラーを回避し、エラーの影響を積極的に軽減す
る事前対応型プロセス。
Threatを認識したり、増加させないように対応したりする
Threat Managementの過程ではCRM Skillのみで対応でき
るかもしれないが、Error / UAS Managementの過程にお
いては、機の安定を図り、WXを確認したり、ATCに通報す
る等、当然TechnicalやKnowledgeが大きく求められる。
CRM Skillだけでは、安全は確保できない。
CRM + Technical + Knowledge ⇒ TEM
De‐Briefing Self Check Sheet
Threat Error 運航へのFeed Back
(1)Threat
(Pick Up )
・Software
-Time Pressure
-Irregular
・Hardware
-Malfunction
・Environment
-WX,ATC,Terrain
・Liveware
-Cockpit Crew
-CA,PAX
-Ground Support
(2)Threat Management
①Situational Awareness
(状況認識)
・Vigilance
(警戒心の維持)
・Monitor
(状況のMonitorと認知)
・Anticipation
(状況からの予測)
②Communication
・Briefing(ブリーフィング)
③Workload Management
・Planning
・Prioritizing
(優先順位付け)
・Distribute
(業務の割り振り)
④Team Building
・Climate
(Teamの雰囲気作り)
(3) Error(Pick Up)
・Non Compliance Error
(意図的な規則違反)
・Procedure Error
(手順エラー)
・Communication Error
(コミュニケーションエラー)
・Proficiency Error
(技量エラー)
・Decision Error
(意思決定エラー)
(4) Error Management
①Team Building
・Climate
(Teamの雰囲気作り)
②Situational Awareness
・Vigilance
(警戒心の維持)
・Monitor
(状況のモニタと共有)
③Communication
・Assertion
(安全への主張)
(5)発揮され活用で
きた、又は不足して
いたこと。
考えられるCRM
Skill
・Communication
・Team Building
・Workload
Management
・Situational
Awareness
・Decision Making
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・東側に成田空港のPCAがあり、
風上側でソアリングできない。
・ベース付近で低高度になると、
飛行場に戻れない。
・練習生は、総飛行回数4回、
当該型式は当日2回目の飛行
・プハッチのスピン回復時は高度
損失が大きい。
・風は弱く、風向は変動していた。
・弱いサーマル?
・天候は良好で、教官は当日3回
目の飛行であったが、住宅地上空
で上場気流を掴めず、低高度に
なった。
・低高度で旋回中、低速となり、ス
ピンに陥った。
・動力機に加え
て、滑空機も周
辺の住宅密集
地上空の飛行を
禁止した。
・安全講習会及
び技量確認(操
縦教育に関する
内容を含む。)を
実施
スピン墜落事故の振り返り例 滑空スポーツの特徴
• 動力がない
速度調整をピッチで行う。(ウィンチ曳航時は大きく変化)
目的地を自由に選べず、O/Lする。 着陸復行できない。
• 曳航される
曳航時の速度コントロールは、曳航機やウィンチに委ねる。
自機(グライダー側)ではない曳航時のトラブルがある。
ウィンチ曳航時は荷重倍数が増大している。
• サーマル旋回 意図的に低速、急バンクで乱流域を飛行する。
• リッジ、山岳波の利用 高々度飛行、ローター、低温
• スパンが長い 翼端接地、翼の強度、アドバースヨー
• 分解組み立てを行う
• 主輪1つ 地上移動時、翼端保持、Dollyの使用、牽引
• 運航形態により重量・重心位置の確認が必要 水バラスト
• クラッシュに対する構造対策が万全ではない
• 単独で、比較的長時間飛行する。コックピットが狭い。
• 姿勢指示計器がない。感覚的に姿勢をコントロール。
動力がなく、低速、高荷重、乱流域も飛行する
滑空機のエネルギー
標高838m
100km/h
対地21m
~100km/h
対地約49m
最小55km/h
対地約76m
70km/h離脱
曳航トラブル事故の考察例
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・滑走路標高が高く、MSLで
は対地高度を直ぐに把握し
にくい。
・高度計はfeet目盛り。
・20年以上使用している自
作ウィンチで、点検記録簿
はなかった。
・ウィンチのプロペラシャフトが破断
し、曳航速度が低下してきたが、
70km/hまで曳航を続けた。索が自
然離脱していた可能性がある。
・ウィンチマンは、故障を認知でき
ず、無線連絡しなかった。
・機長はエアブレーキを開けて直
線的に着陸を試みたが、対地高
度100m以上であるという感覚から、
南側旋回を決断した。
・100km/hに加速するため、また一
度エアブレーキを使用したため高
度を損失した。
・目測を誤り、前方の樹木をかわ
すことができなかった。
・対地高度の換算表を
作成し、コックピット内に
貼り付け、直線着陸が
可能である高度に目印
をつけた。
・曳航トラブルを想定し、
対応や無線連絡手順
を作成した。
・旋回による場合、障害
物の少ない北側を優先
することにした。
・ウィンチのプロペラシャフ
ト部分を改修し、点検
整備項目及び点検記
録簿を作った。
曳航中断時の処置
(BGA INSTRUCTORS’MANUALより)
※速度があるうちに素早く押さえることが重要
ダイブブレーキとポーラーカーブ
離陸中断時の緊急着陸プランニング
直進
前方
逆進
360°
ショートサーキット
・風向・風速
・地上障害物
・高度、速度
・着陸適地
出発前に
イメージ
滑走路に戻ることよりも、先ず
進入速度を確保することが重要
緊急着陸経路の判断
高度と現在位置によ
り、緊急着陸の飛行
経路と接地点を判断
する。(風にも配慮)
安全高度? 速度?
~グライダー操縦の基礎 初版1969年~
上昇は約30m(安全高度)ぐらいの高度までは急角度の上
昇をしてはいけない。安全高度とは索切れ、ウィンチの故障
等のさい失速を防ぐため下舵をとり加速をつける場合、加速
せぬまま地面に激突する恐れがあるから、使用機体の性能
を考慮して、加速してから逃れる高度を安全高度という。
高度? 安全速度?
曳航時の翼面荷重の増加 曳航時の失速速度
発生日 発生場所 登録記号/型式 機長 事故等の種類
2017
11/10
大野滑空場
JA05KG
22歳、女性
28時間
196回
事故 (死傷者なし)
シェンプ・ヒルト・V.L.式
ディスカスCS型(滑空機、単座)
ウインチ曳航中断
PIO,着陸時の機体損傷
2018
12/9
妻沼滑空場
JA2152
調査中、女性
11時間
90回(単独1回)
事故 (腰椎骨折1名)
アレキサンダー・シュライハー式
ASK13型(滑空機、複座)
ウインチ曳航中断
PIO,発航時の墜落
ウィンチ曳航中断後のPIO JCAB
操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機)
曳航中の異常時及び緊急時の操作
次の曳航中の異常時及び緊急時の操作のうち、1種類
以上行わせる。
1.曳航索の追い越し
2.曳航索切れ
3.曳航中のポーポイズィング
4.曳航速度の超過又は低下
5.曳航機の動力装置故障
6.曳航索の離脱不能
異常時及び緊急時の判断及び操作ができること。
ウィンチ曳航中断後のPIO
●
★■
大野滑空場 長さ約1000m 幅約60m
ウィンチ
曳航中断事故の考察例
Threat Error 日常運航へのFeed Back
・機長は事故機に搭乗
したのが8カ月以上前で
あったため、教官が複
座機で技量確認を行っ
た。
総飛行時間28時間
(196回,内単独64回)同
型機29分(6回)
・機長は索切れ時の対
処手順についてレビュー
していなかった。
・機長は、浮揚した直
後、増速に伴い過大な
機首上げにならないよう
留意していた。
・機長はウィンチの引かれる力の
体感が弱いと感じたため、速度
計を確認すると、~120km/hで
あったが、上昇姿勢に移ることを
躊躇し、約30mAGLで離脱した。
・右に偏向したため、慌てて左
に35°程度のバンクをとった。
・教官が落ち着くように無線で
指示しても、エアブレーキを引か
なかった。
・エレベーターの操作により、
ポーポイズのような上下運動が
生じた。
・ウィンチの東側は草地であった
ものの、右翼をウインチに衝突さ
せた。
学連の対策
(1) 高性能単座機の搭乗基準
① 学科講習
② 複座機で低高度離脱を模
擬した訓練を実施させる。
③ 2名以上の操縦教員による
搭乗直前の技量確認(初搭乗
又90日以上の場合)
④ 搭乗直前の地上操縦席で
の実技講習
(2) ウインチ曳航の座学及び曳
航中の緊急対処訓練
① 安全なウインチ曳航及び曳
航中の事故事例の教育
② ウインチ曳航中の緊急時を
想定した同乗訓練
100ft以下のウィンチパワーロス
・ 100ft以下でのパワーロスに起因する事故はよく発生し、重傷事故がしばしば発生す
る。
大部分は、ストールした状態で墜落するが、20%はストールせずに機首から墜落
し、40%の事故が教官同乗の索切れ訓練の最中に発生する。
・ 上昇姿勢でウインチのパワーロスに遭遇した場合、もしパイロットが0 ~‐10° の回復
降下姿勢まで機首を下げればよいが、機首下げが遅れた場合ストールに陥る場合が
ある。滑空比25 のグライダーが速度55kt、ピッチ25 °から、直ぐ機首下げしても、回
復降下の初期速度は49 ktとなる。2 秒遅れると34 ktとなり重大事故になる。
・ 70 ft以下でのパワーロス後、機首を下げなかったり下げすぎたり、あるいは機首下げ
が1 秒遅れたりといった、たった一つのミスがクラッシュを引き起こす。このような事故
は教官同乗の教育中によく起こり、練習生がミスし教官のテイクオーバーが遅れるた
めである。
・ パワーロス後安全なリカバリーのために十分なエネルギーを供給できる速度と高度の
組み合わせは、ASK13 の場合、20 ftで55kt、50ftで50kt。
<アドバイス>
・ 曳航不良が発生したら、即座に機首を下げ適切なリカバリー姿勢に入れる。
・ 反応時間を最小とすることが重要。
・ 50 ft以下、55kt以下での模擬パワーロス訓練は教官デモのみとする。
・ グライダーが適切な姿勢と安全な速度を確保するまでは、エアブレーキを用いない。
・ 地表面近くでのパワーロス後は、進入速度を回復できないかもしれず、いつものクセ
で、速度が遅いにもかかわらずエアブレーキを開いてしまうかもしれないことを認識す
る。もし速度が非常に遅ければ、エアブレーキなしの着陸を行う。
(BGA Safe Winch Launchingより)
空間識失調(Spatial Disorientation)
空間識
(Spatial Orientation)
視覚 前庭感覚
三半規管
耳石器
体性感覚
深部感覚
表面感覚
空間情報 自己情報
(センサー閾値)
0.1~2.0deg/s2
0.1~30cm/s2
耳石器 (頭の傾斜、直線加速度の混同)
(加速感) (減速感)
Somatogravic Illusion
体重力錯覚
Fundamentals of Aerospace Medicine
2.滑空スポーツの特徴
リーン錯覚
リーン
錯覚
右に傾けて
しばらく持続
トロクスラー効果
人間はある物を凝視
し続けていると、そ
の周辺にあるものが
消えて見えなくなる、
という性質。
黄色い中心に目を近
づけ、じっと見ている
と(10秒ほど)、青い
光の蛍が逃げていく
ように見えたり、いく
つか消えたりしませ
んか?
http://www.aeromedical.or.jp/ Loss of Control ‐ In flight (LOC‐I)
(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
UPRT (Upset Prevention and Recovery Training)
(航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
脳波とパフォーマンスの関係
Startle Effect
驚愕効果には、突然の予期しない刺激に対する身体的および精神的応答の
両方が含まれる。 身体的反応は自動的かつ実質的に瞬間的であるが、感情情
報の意識的な処理および評価である精神的応答ははるかに遅くなる可能性が
ある。
事実、感情情報を処理する能力(状況を評価し、適切な行動を取る能力)は、
激しい生理学的反応によって深刻に損なわれたり、圧倒されることさえある。
生理学的活動におけるこれらの変化には、
•心臓血管系: 心拍数が上昇し、血圧が上昇し、冠状動脈が広がり、脳、
四肢および筋肉への血液供給が増加する
•呼吸器系: 呼吸の深さと速度が増え、体に多くの酸素が供給される
•内分泌系: 肝臓はエネルギーのために追加の糖を放出する。
副腎はアドレナリンを放出する。
•筋肉系: 筋肉が緊張してすぐに行動する準備ができている。
•排泄システム:発汗が増える。
•神経系: 脳の活動が変化し、反応が推論されなくなり、より本能的になる。
<Startle耐性の向上>
・機体を知る
・オートではなくマニュアル操縦の技量を維持する
・適切にトレーニングを行う
・周囲の状況を把握する
・油断をしない
・脅威を予測する(TEM)
・策を持つ
Undesired Aircraft Stateの例
• 失速 → 落着、墜落
• スピン → 墜落
• スパイラルダイブ → 過荷重、空中分解
• 操縦ミス (フラップ、ダイブブレーキ、グランドループ)
• ポーポイズ、PIO、ソメトグラビックイルージョン
• 曳航不良、操縦系統の故障、計器指示の異常
ドーリー取り外し忘れ、水バラスト、組み立てミス
• 気流の擾乱 ウィンドシアー、下降気流、ローター
• 後方乱気流
意図しない飛行状態で、一般操作では回復困難
JCAB
操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機)
・横風着陸、横滑り着陸、背風着陸、場外着陸
・最小操縦速度
・急旋回:バンク45°[自]、適切な最小沈下速度
・失速と回復操作: 初期失速と完全失速をそれぞれ1回
・異常な姿勢からの回復[事]:異常な姿勢としたのち、受験者に水平直線
滑空状態に戻させる。異常な飛行姿勢は高速螺旋降下、過大な
バンクと過大な機首姿勢、過大な沈下率をもたらす初期の段階の
もの
・螺旋降下[事]: 最大バンク55°を維持して左又は右の720°螺旋降下
を行う。
・曳航中の異常時及び緊急時の操作
・スピン及び回復[教証] 模範演技
安全講習会
受講では免除
とはなりません
特定操縦技能審査実施要領(滑空機)
Ⅳ-2 実技審査
7.   異常時及び緊急時に必要な知識
(目的)各種異常時及び緊急時の知識(操作手順含
む) について審査する。
7‐1 曳航中の異常時及び緊急時の操作
7‐2 動力装置の故障
7‐3 諸系統又は装置の故障
7‐4 場外着陸
口述ガイダンスに従って質問する。
実技審査により行うこともできる。
・ サーマル旋回中のスピン、スパイラルダイブ
・ 低空旋回における失速、スピン
場外着陸や緊急着陸時、山肌付近の旋回
・ 曳航索切れ後の失速、スピン、
ソメトグラビックイルージョン
・ 離陸時のPIO、ウィンチ曳航時のスナップロール
・ 進入着陸における落着、ポーポイズ、
ショートランディング、グランドループ
滑空機が陥り易い異常姿勢
練習、経験、知識不足
危機意識の低下、慣れ、疲労
気象 故障
速度と性能曲線 失速とは?
(京大航空部HPより)
迎え角 (Angle of Attack)が臨界に達すること
→ 高荷重時(旋回、ウィンチ曳航、引き起こしなど)は注意
失速速度(耐空性審査要領)
2‐2‐2‐1 失速速度Vso(フラップ着陸位置)は以下の条件で測定される
失速速度又は操縦可能な最小定常飛行速度
a.  ギアダウン b. フラップは着陸位置
c. 抗力増大装置は閉又は開のうちVsoが小さい位置
d.  最大重量 e. 重心位置は、許容範囲内の最も不利な位置
2‐2‐2‐3 失速速度Vs1(所定の形態)は以下の条件で測定される失速速
度又は操縦可能な最小定常飛行速度
a. Vs1を用いて所要性能を決定する場合の飛行の形態であること。
b. 所要性能基準に適合することを証明するためにVs1を要素として
用いる場合の重量
2‐6‐1 失速の証明は約2km/h /secをで速度を減じ、制御できない機首
下げ、若しくは片翼下げによって失速を認めるか、又は縦の操縦
装置がストッパーにあたるまで実施すること。
Stall
(G103A飛行規程より)
・ 機体が失速速度に近づくと、エレベーターが振動すること
によって操縦者に明確に警報が与えられる。
・ 操縦桿をその状態以上さらに後方に引くと機体は、コント
ロールの効く高い沈下を伴うようになる。その状態でも、ラ
ダーとエルロンを使用してバンク15°旋回まで飛行すること
ができる。
・ 操縦桿を放せば機体は通常の飛行状態に直ちに復帰す
る。
・ 操縦桿を急激に後方に引くと機首は上がった状態から落
下する。その状態でもエルロンを使用することによりバンクを
コントロールすることができる。
失速の兆候
・ 指示対気速度、風切り音の減少
・ バフェッティング
・ 沈下率の増大
・ ロールをエルロンでコントロールできない
・ ピッチをコントロールできない
・ 昇降率をコントロールできない
・ 失速警報器の作動
→ TEMで速度低下エラーを回避。
完全失速、スピンに進展する前に回復させる。
<実施要領>
次の飛行状態における失速とその回復操作を行わせる。
(注1)初期失速及び完全失速をそれぞれ1回ずつ実施さ
せること。
(注2)飛行状態の組み合わせは受験者に決定させる。
<判定基準>
1.回復操作ができること。 失高を最小に
2.2次失速を起こさせないこと。
3.著しく不安定な姿勢とならないこと。
JCAB
操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機)
×
最速降下曲線 低空旋回時の注意
※ 地表の障害物等の高さにより、風速が変化する高度帯が上下する。
低空旋回では、速度の維持、翼端接地に注意。
風の観測データ
館野(つくば市)上層風観測データ
館林 地上風観測データ
(2008年12月28日)
ウィンドグラジェントの影響
(BGA INSTRUCTORS’MANUALより)
着陸進入時の風速勾配とピッチ姿勢
①
②
③
②
風速勾配によるバンク
「Understanding Gliding 」 by Derek Piggottより
風向
バンクがきつくなる傾向バンクが戻る傾向
ウィンドシアーによる影響 土手越え気流の風速分布
2010/8   
10:22 
エアショー
低空スピン
Swift S‐1
風 260°/6kt
視程 8000m
SCT500ft,BKN700ft
Roll‐on‐tow開始
墜落地点
エアブレーキ開
エアブレーキ閉
離脱
発航地点及び
着陸予定地点
事例紹介
耐空性審査要領(滑空機2009年7月17日全面改定)
滑空機4-5-8 座席、安全ベルト及び肩バンド
滑空機4-5-9 傷害に対する保護
4-5-9-1小規模な破壊着陸時に、搭乗者に傷害を与えるおそれのある構
造部材、計器板及び装備品は、搭乗者が傷害を受けることのないように
当て物をしなければならない。
パイロット生存可能荷重
(Designing a sailplane safety cockpit by Tony Segal  from free flight 6/98)
口述ガイダンス 7‐4  場外着陸
(2) 状況により、背風着陸が必要になった場合の操作や注意点について
質問する
(参考) 起こしやすい間違い
(1) 不適切な進入パスコントロール
(2) スリップの不適切な使用
(3) 不適切な速度コントロール
(4) 不適切な横風の修正
(5) 不適切な接地の手順
(6) 不適切なブレーキのコントロール
停止距離は、
接地対気速度40kt
背風10ktにおいては、
無風時の1.56倍となる
<計算>
(40+10)/40=1.25
(1.25)
2
= 1.56  
同様に正対5ktと、
背風5ktを比較して、
1.65倍となる。
緊急着陸時の心得
1.  操縦性(安全速度)の確保
2.  第3者へ危害を与えない
3.  搭乗者の安全確保
4.  機体の保護
※ シートベルトをしっかり締め、機体の接地姿勢を制御すること。
主翼の失速の原因
(1) 速度の低下によるもの
・ 適正なピッチより高いまま飛行し、速度が抜けた。
・ ウィンドシアー、風の息、背風の増加。
・ 急なアップをとってウィンチがパワー負けした。
・ ウィンチ、曳航機の速度コントロール不良。
・ ウィンチ、曳航機のエンジントラブル。
(2)   翼面荷重が増大し失速速度に達するもの
・ 旋回中、バンクが過大になった。
・ 初期上昇で十分加速しないうちにアップをとり過ぎた。
・ ウィンチ曳航で、低速なまま上昇を継続し失速速度が増大した。
(3)   上記のカップリング
・ 低G状態で旋回、ピッチダウン不足、ウィンドシアー
荷重倍数
1 / cosθ
Undesired Aircraft Stateからの回復操作
Nose High Recovery
ピッチ水平以下までエレベーター操作で機首を下げる。
ピッチが水平に近づいたら、Wing Levelにする。
対気速度をチェックし、適切なピッチ姿勢にする。
Nose Low Recovery
(失速状態であれば、先ず失速から回復させる。)
Wing Levelへ最短の方向へRollする。
エレベーター操作で機首を上げ、水平飛行に回復させる。
(1) Full Stallと Reduced G の対比
(2) 低速緩旋回からスキッドさせ、スピン初動へ
(3) 急旋回からスパイラルダイブへの遷移と、スピンとの対比
※失速している場合、十分にピッチダウンさせる
回復操作時、ダイブブレーキ閉を確認させる。(フラップは操作しない)
初動操作の経験と、(指導者が操作して)完全失速、スピンからの回復を行う。
ヨーとロールのカップリング スピン回復要領 (ASK21)
一般的な錐揉みからの回復
1)   方向舵を旋転方向と反対に操作する
2)   しばらく上記の状態を維持する。
3)   回転が止り及び機体への正常な空気流が得られるまで、操
縦桿にかかる操縦力を緩めて操縦桿を前方に戻す。
4)   方向舵を中立位置に戻し、急降下から回復させる。
※ 回復操作を始めてから通
常の飛行姿勢に回復するま
での損失高度は約80mであ
る。通常、1旋転以内に回復
する。
Spiral Dive
悪視程にもかかわらず計器飛行の能力がない場合、乱流の影響や、技倆未
熟な場合など、急旋回の機首下げから増速し、過度な螺旋降下に進展してしま
うことがある。(W/Tで雲に入り、墜落した事故例がある。)
高度損失に伴い、加速してしまうが、修正のため操縦桿を引いても、バンクが急
なため、減速せずに過大なGがかかり、グレイアウトや、最悪の場合機体破壊に至
る場合がある。
[スパイラルダイブ] [スピン]
・速度が急激に増加 ・速度は低く、増減する
・高度損失が大きく、降下率が増大していく ・高度低下率は一定
・Gが増大していく ・Gは低いまま
スパイラルダイブからの回復
先ずエルロン(と調和したラダーを使い)でバンクを水平にし、過大なGがかからない
ように(エレベーターをピッチアップして)減速する。
・ スピン、スパイラルダイブからの回復時、オーバースピード、
オーバーGに注意する。
・ エアブレーキは~VD、-1.5~3.5Gの範囲で設計されている。
・ 2周するタイプの速度計では、速度の読み取りを間違えないよ
うに注意する。
失速・スピン回復時の注意点
異常姿勢回復訓練の目的
・ グライダーは、UASから回復させることが困難な状況
があることを認識し、回復できると過信しない。
・ グライダー運航特有のThreatを認識し、適切な
マージンを確保し、安易にErrorを起こさないようにする。
・ 予期せず異常な状態に陥ってしまった場合に備え、
焦らないよう、迅速かつ適切な回復方法を体験する。
操縦限界を追求するものではない。
安全マージンを減らすための訓練ではない。
上手に回復させるための訓練ではない。
優れたパイロットは、
優れた技量を発揮しなくても済むように、
優れた判断をする。
スカイスポーツの基本要素
・ SAFETY (安全)
・ SOCIAL (社会との協調)
・ ENJOY (楽しむ)
常にエネルギーマネージメントが重要
低空ではUASからの回復は困難
(低空では高度よりも速度維持優先)
滑空機のTEM

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滑空スポーツ講習会2018東京第一回 滑空機のエネルギーマネージメント
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滑空スポーツ講習会2018大阪 グライダーの山岳とウェーブフライト
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滑空スポーツ講習会2018静岡 ~実は日本で役立つ!~ 海外でグライダーフライトを安全に楽しむエッセンス
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滑空スポーツ講習会2018 札幌 「滑空機のエネルギーマネージメント」

  • 1. 2018 滑空スポーツ講習会 (航空安全講習会) 滑空機のエネルギーマネージメント ・ Threat and Error Management ・ 滑空スポーツの特徴 ・ 緊急着陸 ・ 異常姿勢の認知、回復操作 2019/3/9 札幌 担当: 植田展生 小型航空機パイロットの総飛行時間と事故件数 (自家用操縦士 1997年~2006年) [JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月] 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 事故件数 パイロットの総飛行時間(hr) 飛行機(60名) 回転翼(67名) 滑空機(33名) 事故原因分析 (滑空機 1997年~2006年) [JAPA自家用操縦士の技量維持に関する調査報告書H20年3月] 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 事故件数 講習会出席有 無(不明含む) 航空法施行規則 第164条の1415 (機長の出発前の確認事項) 一 当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況 二 離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布 三 国土交通大臣が提供する航空情報 四 当該航行に必要な気象情報 五 燃料及び滑油の搭載量及びその品質 六 積載物の安全性 指定本邦航空運送事業者の 訓練及び審査規程の変更 指定航空従事者養成施設及び指定本邦航空運送事業者において柔軟 な航空機乗組員の教育、訓練及び審査を可能とする能力目標型教育・ 審査(指定航空従事者養成施設関係)及び能力目標型訓練・審査(指定 本邦航空運送事業者関係)を導入 Competency‐ Based Training and Assessment (CBTA) 実運航に即した実践的な訓練・審査を行うことにより、航空機乗組員とし て求められる Competency を付与するとともに、安全上の支障を及ぼす 事態を未然に防ぐという予防安全の観点から、航空機乗組員による Threat and Error Management(TEM)の向上を図り、運航品質をより高め ることを目的としたものである ⇒ 諸外国では、小型機の訓練,審査にも適用されてきている。 試験科目や、訓練時間の条件を設定するのはなく、 何を訓練し習得するかを提示。 (平成29年4月施行) 操縦士技能証明の要件(取得時) ・航空法29条 試験の実施 → 必要な知識及び能力があること ※ 学科試験 記憶ベースの知識 口述試験 理解ベースの知識 実技試験 応用ベースの知識 + 能力 ・施行規則43条 技能証明の要件 飛行経歴(上級滑空機) : 3時間の滑空(曳航30回以上、失速からの回復) ※単独飛行に係わる安全基準(滑空機) 空乗第2103号 離着陸及び空中操作、野外飛行及び生地離着陸の場合 ・実地試験実施基準・細則 科目、実施要領、判定基準 ※ 「操縦士としての技能に信頼性がある」とは、科目の判定基準からの 逸脱が、連鎖又は頻発することがなく、かつ、総合能力(計画・判断 力、状況認識、規則の順守)の判定基準を満足している場合をいう。
  • 2. 操縦士技能証明の要件(継続時) ・航空法71条の3  特定操縦技能の審査等 必要な知識及び能力の維持について確認することが特に必要であるもの ・特定操縦技能実施要領 飛行前の2年以内に、操縦操作の能力、非常時の操作に関する知識、 航空法規の改正点に関する知識等を有するかどうかについて確認する。 ・特定操縦技能審査実施細則 科目、実施要領、判定基準 ※ 判定基準を繰り返し逸脱したり、逸脱した状況が継続した場合、審査員 は安全確保のために助言を実施しても良い。助言の結果、判定基準内 に状況が改善された場合は、不合格と判定する必要はない。 ・特定操縦技能審口述ガイダンス ・自家用操縦士の技量維持方策に係る指針 (H15/3/28 国空乗第2077号) <推奨> 安全講習会の受講、180日に3回の離着陸 Competency‐Based Training and  Assessment Program の審査要領細則 • Competency(コンピテンシー):業務において期待され る成果を得るために求められる人間の行動指標 所定の基準に従ってタスクを実施するために求められ る能力の組み合わせ 国空航第 11576 号 平成 29 年3月30 日 スキル(Skills)    Technical Skills  Non‐technical Skills 知識(Knowledge) 姿勢(Attitude) Attitude (取り組み姿勢) ・運航品質 ・プロフェッショナル意識 Non Technical Skill (CRM) ・コミュニケーション ・チームビルディング(連携) ・ワークロードの管理 ・状況認識 ・判断 Technical Skill (操縦技術) ・操縦操作 ・手順 ・システムの管理 Knowledge (知識)    ・システムの知識 ・運航知識 パイロットの技量の構成要素 Attitude パイロットとして、基本方針を理解し実現する能力 ・運航品質 質の高い運航を実施する能力 ・プロフェッショナル意識 運航に対する取り組み姿勢 ( 航空法や関係諸規則の遵守、責任) Knowledge  運航に必要な正確な知識を有し、理解した上で適切に活用できる能力 ・システムの知識 システム等とその使用法、性能および運用限界に関する知識 ・運航知識 航空法および関係諸規則、ATC、NOTAM、飛行規程等、運航に必要な一般知識 Technical 定められた手順に従い、各システムを活用し、飛行機を的確に操縦できる能力 ・操縦操作 状況に応じて、正確、安定および円滑に操縦する能力 ・手順 定められた操作手順を理解し、正確に実施する能力 ・システム管理 自動操縦装置および各システムの適切且つ確実な操作およびモニターでき る能力 CRM 安全な運航を実現するために、リソースを適切に活用し管理する能力 ・コミュニケーション 正確な意思疎通を図る能力 ・連携 チームのPerformance を最大限に高めるために必要な能力 ・ワークロード管理 運航におけるWorkload を適切に管理する能力 ・状況認識 状況を確認し、安全運航に活かす能力 ・判断 適切な判断をする能力 Attitude (取り組み姿勢) Non Technical Skill (CRM)Technical Skill(操縦技術) Knowledge (知識)    事故原因の分類 気象判断ミス飛行前点検不足 計画ミス 操作ミス 空間識失調 不注意 非常操作ミス 明らかな技量不足 明らかな知識不足 安全意識の欠如 滑空機事故件数の推移 12 10 8 6 4 2 0 (特定操縦技能審査員講習資料より)
  • 3. 発生日 発生場所 登録記号/型式 機長 事故等の種類 2016 3/17 大利根場外 (南約1.7km) JA50KM 69歳、男性 229時間 626回 事故 (死亡者2名) SZD‐50‐3プハッチ型 (滑空機、複座) 墜落(スピン) 2016 4/10 阿蘇観光牧場 JA2437 68歳、男性 174時間 310回 事故 (死傷者なし) センターエア101B型 (滑空機、単座) ウィンチ曳航中断 不時着失敗による墜落 2016 5/5 福島県 田村郡三春町 JA21BB 43歳、男性 441時間 事故 (死亡者1名) グラスフリューゲル式 304CZ‐17型(滑空機、単座) 空中分解による墜落 2016 10/10 妻沼滑空場付近 JA22WP 学生、男性 (調査中) 事故 (死亡者1名) ロラデン・シュナイダー式 LS4‐b型(滑空機) 失速による墜落 2017 2/12 岡南飛行場付近 JA2330 65歳、男性 2395時間 重大インシデント シャイベ式SF25Cファルケ型 (動力滑空機、複座) 飛行中アイシングによる 発動機の継続的な停止 2017 8/27 ふくしま スカイパーク (南西約12km) JA2406 66歳、男性 578時間 事故 (死亡者1名、重傷者1名) ホフマン式H‐36ディモナ型 (動力滑空機、複座) 失速による墜落 2017 11/10 大野滑空場 JA05KG 22歳、女性 28時間 196回 事故 (死傷者なし) シェンプ・ヒルト・V.L.式 ディスカスCS型(滑空機、単座) ウインチ曳航中断 PIO,着陸時の機体損傷 近年の滑空機事故・重大インシデント スピン墜落事故 12:20頃 12:05頃発航 (高度約1500ft) 龍ケ崎地域 気象観測所 飛行クラブは、本事故後に次の措置を講じた。 (1) 会員に対し、安全講習会及び技量確認(操縦教育に関する内 容を含む。)を実施するとともに、会員以外の同場外を利用する 関係者に対しても同場外の利用に関する講習を実施した。 (2) 動力機(小型飛行機及び動力滑空機)に加えて、滑空機による 同場外周辺の住宅密集地上空の飛行を禁止した。 事故原因と対応策 事故調査・処分の流れ
  • 4. ICAO Annex1 Personal Licensing 2.9 Glider pilot licence 2.9.1 Requirements for the issue of the licence 2.9.1.2 Knowledge     ~Human performance g) human performance relevant to the glider pilot including principles of threat and error  management; 2.9.1.3 Experience  2.9.1.3.2 The applicant shall have gained, under appropriate supervision, operational experience in gliders in at least the following areas: a) pre‐flight operations, including glider assembly and inspection; b) techniques and procedures for the launching method used, including appropriate airspeed limitations, emergency procedures and signals used; c) traffic pattern operations, collision avoidance precautions and procedures; d) control of the glider by external visual reference; e) flight throughout the flight envelope; f) recognition of, and recovery from, incipient and full stalls and spiral dives; g) normal and crosswind launches, approaches and landings; h) cross‐country flying using visual reference and dead reckoning; i) emergency procedures. 2.9.1.4 Skill and to: a) recognize and manage threats and errors; Note.— Guidance material to design  training programs on human  performance, including threat and  error management, can be found in  the Human Factors Training Manual  (Doc 9683). Threat & Error Management (TEM) Threatsは、パイロットが関与し ないところで発生する出来事又 はパイロット以外によるエラー であり、注意又は適切に対処す ることが求められる。 ・Communication ・Team Building ・Workload  Management ・Situational Awareness ・Decision Making Normal Flight スレット マネージメント エラー マネージメント UAS マネージメント 危険回避 Threat Management  • Threatを可能な限り、多く特定すること • Threatに対するPilotの反応を把握すること • Threatに起因したErrorを、Pilotがどのよう に処理したかを分析すること • 航空安全情報自己申告制度 (VOICES) http://www.jihatsu.jp/ • ヒヤリハット • ハンガートーク S: Software H: Hardware E: Environment L: Liveware エラーの予防 航空安全情報自発報告制度は、2014年度から国土交通省航空局の「航空安全プログラム」が開始され たことに伴い始まった安全情報の報告制度です。航空安全に関する報告制度としては既に、法令等で定 められた事故やインシデント等に関する義務的な報告制度がありますが、これらだけでは捉えきれない多 くの情報を収集し、航空の安全向上のために活用していくことは大変重要なことです。 このため、航空安 全情報自発報告制度は、航空活動に直接携わっておられる方々(個人またはその所属する事業者等の組 織)から、自ら経験または視認した航空の安全上の支障を及ぼす可能性があったと思われる事象(いわゆ るヒヤリハット)についての報告を収集し、業務実施者間で情報を共有するとともに、それらの情報を分析 して必要と思われる改善を提案することによって、航空の安全向上に寄与することを目的としています。 VOICES共有情報 FEEDBACK (No.2018‐02より抜粋) [ グライダー ] 73. AT被曳航機との接近 • 第二RWY川側ダウンウィンドを飛行中、第一RWYから飛行機曳航により上昇中の機 体とヘッドオンした。 75. 飛行中の練習生が体調不良 • 飛行時間30分、高度600m付近でサーマル旋回中、練習生が「気分が悪い」と言い始 めて、操縦を指導員が交代して降下を開始した。降下中に「手がしびれて操縦できな い」さらには「足もしびれてきた」という状態になった。着陸後日陰で横になり、両足の マッサージを施し、30分ほどで楽になった 78. アドバイスの聞き違い • 土手側から発航した単座機が、川側の空域のダウンウィンドに入る際、前方にいる複 座機を視認できなかった。この時、ピストは無線で「対岸(土手側)のグライダーと先行 する複座機を確認してください」とアドバイスしたが、当該パイロットは「対岸(土手側) の先行機を確認してください」と聞き間違えた。結果、単座機が進入中の複座機の前 を横切る形で進入コースへ入った。 79. 離陸上昇中に索切れ • 他校の端索を使用して当日2発目の飛行を複座機で同乗飛行を行った。高度140m付 近でヒューズ切れを発生し、グライダーは360度旋回しRWY中盤へ着陸した。曳航索、 ヒューズを確認したところ、単座機用のヒューズが使用されていた。 Error Management  <Errorの定義> 「乗員または組織の意図や期待から逸脱し、安全マージンを減少させ、地上あるいは飛 行中に運航を悪化させる可能性を増大させる乗員の行動(または行動しないこと)。」 パイロット自身が起こしたり、何もしないことによって起こったりする誤りや間違い。 ⇒ Technical やKnowledgeと共に、CRM Skillを活用してErrorに対処 ・Team Buildingで適切な環境を作ってErrorをいち早く発見 ・Situational Awarenessを発揮してErrorの状況を正確に認識し、分析 ・Workload ManagementによりErrorの影響を軽減 ・積極的にCommunication(Assertiveness)することでErrorから回復 ・「振り返る」ことで、同じErrorを犯さないようにする ⇒ CRM Skillを向上させる最も効果的な方法 常日頃から「自分の行動を振り返る」という意識持ち続けること。
  • 5. ホーキンスの分類 1)ランダムエラー これは、初心者や訓練が足りない場合に多く見られ るエラー。このタイプのエラーには学習や訓練を重ね るという対策が考えられる。 2)システィマティックエラー ライフルの照準がズレてる場合や、撃ち方がおかし いと当たる場所が偏ってしまう。手順書通りにやった のに、多くの人が同じような間違いをおこす場合な ど、その手順やその組織のシステムに問題がある可 能性が考えられる。 3)スポラディックエラー 殆どが的中しているが、ときに全く外れてしまうこと がある。ベテランでも突発的に起こすエラーは、一人 で防ぐ事は極めて難しく、周囲の人間やシステムの バックアップが必要。 意思決定エラー 意図的な規則違反 認知エラー 技量エラー コミュニケーションエラー 手順エラー コミュニケーションエラー 情報 行動 経験知識 判断 INPUT OUTPUT Feedback TEM = CRM ? Threat & Error Management(TEM)とは、従来の失敗か ら学ぶ事後対応型から、Threatを認識することにより、能 動的にエラーを回避し、エラーの影響を積極的に軽減す る事前対応型プロセス。 Threatを認識したり、増加させないように対応したりする Threat Managementの過程ではCRM Skillのみで対応でき るかもしれないが、Error / UAS Managementの過程にお いては、機の安定を図り、WXを確認したり、ATCに通報す る等、当然TechnicalやKnowledgeが大きく求められる。 CRM Skillだけでは、安全は確保できない。 CRM + Technical + Knowledge ⇒ TEM De‐Briefing Self Check Sheet Threat Error 運航へのFeed Back (1)Threat (Pick Up ) ・Software -Time Pressure -Irregular ・Hardware -Malfunction ・Environment -WX,ATC,Terrain ・Liveware -Cockpit Crew -CA,PAX -Ground Support (2)Threat Management ①Situational Awareness (状況認識) ・Vigilance (警戒心の維持) ・Monitor (状況のMonitorと認知) ・Anticipation (状況からの予測) ②Communication ・Briefing(ブリーフィング) ③Workload Management ・Planning ・Prioritizing (優先順位付け) ・Distribute (業務の割り振り) ④Team Building ・Climate (Teamの雰囲気作り) (3) Error(Pick Up) ・Non Compliance Error (意図的な規則違反) ・Procedure Error (手順エラー) ・Communication Error (コミュニケーションエラー) ・Proficiency Error (技量エラー) ・Decision Error (意思決定エラー) (4) Error Management ①Team Building ・Climate (Teamの雰囲気作り) ②Situational Awareness ・Vigilance (警戒心の維持) ・Monitor (状況のモニタと共有) ③Communication ・Assertion (安全への主張) (5)発揮され活用で きた、又は不足して いたこと。 考えられるCRM Skill ・Communication ・Team Building ・Workload Management ・Situational Awareness ・Decision Making Threat Error 日常運航へのFeed Back ・東側に成田空港のPCAがあり、 風上側でソアリングできない。 ・ベース付近で低高度になると、 飛行場に戻れない。 ・練習生は、総飛行回数4回、 当該型式は当日2回目の飛行 ・プハッチのスピン回復時は高度 損失が大きい。 ・風は弱く、風向は変動していた。 ・弱いサーマル? ・天候は良好で、教官は当日3回 目の飛行であったが、住宅地上空 で上場気流を掴めず、低高度に なった。 ・低高度で旋回中、低速となり、ス ピンに陥った。 ・動力機に加え て、滑空機も周 辺の住宅密集 地上空の飛行を 禁止した。 ・安全講習会及 び技量確認(操 縦教育に関する 内容を含む。)を 実施 スピン墜落事故の振り返り例 滑空スポーツの特徴 • 動力がない 速度調整をピッチで行う。(ウィンチ曳航時は大きく変化) 目的地を自由に選べず、O/Lする。 着陸復行できない。 • 曳航される 曳航時の速度コントロールは、曳航機やウィンチに委ねる。 自機(グライダー側)ではない曳航時のトラブルがある。 ウィンチ曳航時は荷重倍数が増大している。 • サーマル旋回 意図的に低速、急バンクで乱流域を飛行する。 • リッジ、山岳波の利用 高々度飛行、ローター、低温 • スパンが長い 翼端接地、翼の強度、アドバースヨー • 分解組み立てを行う • 主輪1つ 地上移動時、翼端保持、Dollyの使用、牽引 • 運航形態により重量・重心位置の確認が必要 水バラスト • クラッシュに対する構造対策が万全ではない • 単独で、比較的長時間飛行する。コックピットが狭い。 • 姿勢指示計器がない。感覚的に姿勢をコントロール。 動力がなく、低速、高荷重、乱流域も飛行する
  • 6. 滑空機のエネルギー 標高838m 100km/h 対地21m ~100km/h 対地約49m 最小55km/h 対地約76m 70km/h離脱 曳航トラブル事故の考察例 Threat Error 日常運航へのFeed Back ・滑走路標高が高く、MSLで は対地高度を直ぐに把握し にくい。 ・高度計はfeet目盛り。 ・20年以上使用している自 作ウィンチで、点検記録簿 はなかった。 ・ウィンチのプロペラシャフトが破断 し、曳航速度が低下してきたが、 70km/hまで曳航を続けた。索が自 然離脱していた可能性がある。 ・ウィンチマンは、故障を認知でき ず、無線連絡しなかった。 ・機長はエアブレーキを開けて直 線的に着陸を試みたが、対地高 度100m以上であるという感覚から、 南側旋回を決断した。 ・100km/hに加速するため、また一 度エアブレーキを使用したため高 度を損失した。 ・目測を誤り、前方の樹木をかわ すことができなかった。 ・対地高度の換算表を 作成し、コックピット内に 貼り付け、直線着陸が 可能である高度に目印 をつけた。 ・曳航トラブルを想定し、 対応や無線連絡手順 を作成した。 ・旋回による場合、障害 物の少ない北側を優先 することにした。 ・ウィンチのプロペラシャフ ト部分を改修し、点検 整備項目及び点検記 録簿を作った。 曳航中断時の処置 (BGA INSTRUCTORS’MANUALより) ※速度があるうちに素早く押さえることが重要 ダイブブレーキとポーラーカーブ
  • 7. 離陸中断時の緊急着陸プランニング 直進 前方 逆進 360° ショートサーキット ・風向・風速 ・地上障害物 ・高度、速度 ・着陸適地 出発前に イメージ 滑走路に戻ることよりも、先ず 進入速度を確保することが重要 緊急着陸経路の判断 高度と現在位置によ り、緊急着陸の飛行 経路と接地点を判断 する。(風にも配慮) 安全高度? 速度? ~グライダー操縦の基礎 初版1969年~ 上昇は約30m(安全高度)ぐらいの高度までは急角度の上 昇をしてはいけない。安全高度とは索切れ、ウィンチの故障 等のさい失速を防ぐため下舵をとり加速をつける場合、加速 せぬまま地面に激突する恐れがあるから、使用機体の性能 を考慮して、加速してから逃れる高度を安全高度という。 高度? 安全速度? 曳航時の翼面荷重の増加 曳航時の失速速度
  • 8. 発生日 発生場所 登録記号/型式 機長 事故等の種類 2017 11/10 大野滑空場 JA05KG 22歳、女性 28時間 196回 事故 (死傷者なし) シェンプ・ヒルト・V.L.式 ディスカスCS型(滑空機、単座) ウインチ曳航中断 PIO,着陸時の機体損傷 2018 12/9 妻沼滑空場 JA2152 調査中、女性 11時間 90回(単独1回) 事故 (腰椎骨折1名) アレキサンダー・シュライハー式 ASK13型(滑空機、複座) ウインチ曳航中断 PIO,発航時の墜落 ウィンチ曳航中断後のPIO JCAB 操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機) 曳航中の異常時及び緊急時の操作 次の曳航中の異常時及び緊急時の操作のうち、1種類 以上行わせる。 1.曳航索の追い越し 2.曳航索切れ 3.曳航中のポーポイズィング 4.曳航速度の超過又は低下 5.曳航機の動力装置故障 6.曳航索の離脱不能 異常時及び緊急時の判断及び操作ができること。 ウィンチ曳航中断後のPIO ● ★■ 大野滑空場 長さ約1000m 幅約60m ウィンチ 曳航中断事故の考察例 Threat Error 日常運航へのFeed Back ・機長は事故機に搭乗 したのが8カ月以上前で あったため、教官が複 座機で技量確認を行っ た。 総飛行時間28時間 (196回,内単独64回)同 型機29分(6回) ・機長は索切れ時の対 処手順についてレビュー していなかった。 ・機長は、浮揚した直 後、増速に伴い過大な 機首上げにならないよう 留意していた。 ・機長はウィンチの引かれる力の 体感が弱いと感じたため、速度 計を確認すると、~120km/hで あったが、上昇姿勢に移ることを 躊躇し、約30mAGLで離脱した。 ・右に偏向したため、慌てて左 に35°程度のバンクをとった。 ・教官が落ち着くように無線で 指示しても、エアブレーキを引か なかった。 ・エレベーターの操作により、 ポーポイズのような上下運動が 生じた。 ・ウィンチの東側は草地であった ものの、右翼をウインチに衝突さ せた。 学連の対策 (1) 高性能単座機の搭乗基準 ① 学科講習 ② 複座機で低高度離脱を模 擬した訓練を実施させる。 ③ 2名以上の操縦教員による 搭乗直前の技量確認(初搭乗 又90日以上の場合) ④ 搭乗直前の地上操縦席で の実技講習 (2) ウインチ曳航の座学及び曳 航中の緊急対処訓練 ① 安全なウインチ曳航及び曳 航中の事故事例の教育 ② ウインチ曳航中の緊急時を 想定した同乗訓練 100ft以下のウィンチパワーロス ・ 100ft以下でのパワーロスに起因する事故はよく発生し、重傷事故がしばしば発生す る。 大部分は、ストールした状態で墜落するが、20%はストールせずに機首から墜落 し、40%の事故が教官同乗の索切れ訓練の最中に発生する。 ・ 上昇姿勢でウインチのパワーロスに遭遇した場合、もしパイロットが0 ~‐10° の回復 降下姿勢まで機首を下げればよいが、機首下げが遅れた場合ストールに陥る場合が ある。滑空比25 のグライダーが速度55kt、ピッチ25 °から、直ぐ機首下げしても、回 復降下の初期速度は49 ktとなる。2 秒遅れると34 ktとなり重大事故になる。 ・ 70 ft以下でのパワーロス後、機首を下げなかったり下げすぎたり、あるいは機首下げ が1 秒遅れたりといった、たった一つのミスがクラッシュを引き起こす。このような事故 は教官同乗の教育中によく起こり、練習生がミスし教官のテイクオーバーが遅れるた めである。 ・ パワーロス後安全なリカバリーのために十分なエネルギーを供給できる速度と高度の 組み合わせは、ASK13 の場合、20 ftで55kt、50ftで50kt。 <アドバイス> ・ 曳航不良が発生したら、即座に機首を下げ適切なリカバリー姿勢に入れる。 ・ 反応時間を最小とすることが重要。 ・ 50 ft以下、55kt以下での模擬パワーロス訓練は教官デモのみとする。 ・ グライダーが適切な姿勢と安全な速度を確保するまでは、エアブレーキを用いない。 ・ 地表面近くでのパワーロス後は、進入速度を回復できないかもしれず、いつものクセ で、速度が遅いにもかかわらずエアブレーキを開いてしまうかもしれないことを認識す る。もし速度が非常に遅ければ、エアブレーキなしの着陸を行う。 (BGA Safe Winch Launchingより) 空間識失調(Spatial Disorientation) 空間識 (Spatial Orientation) 視覚 前庭感覚 三半規管 耳石器 体性感覚 深部感覚 表面感覚 空間情報 自己情報 (センサー閾値) 0.1~2.0deg/s2 0.1~30cm/s2
  • 9. 耳石器 (頭の傾斜、直線加速度の混同) (加速感) (減速感) Somatogravic Illusion 体重力錯覚 Fundamentals of Aerospace Medicine 2.滑空スポーツの特徴 リーン錯覚 リーン 錯覚 右に傾けて しばらく持続 トロクスラー効果 人間はある物を凝視 し続けていると、そ の周辺にあるものが 消えて見えなくなる、 という性質。 黄色い中心に目を近 づけ、じっと見ている と(10秒ほど)、青い 光の蛍が逃げていく ように見えたり、いく つか消えたりしませ んか? http://www.aeromedical.or.jp/ Loss of Control ‐ In flight (LOC‐I) (航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より)
  • 10. (航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より) (航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より) UPRT (Upset Prevention and Recovery Training) (航空安全行政の今後の取り組み 航空局 H29/8/2より) 脳波とパフォーマンスの関係 Startle Effect 驚愕効果には、突然の予期しない刺激に対する身体的および精神的応答の 両方が含まれる。 身体的反応は自動的かつ実質的に瞬間的であるが、感情情 報の意識的な処理および評価である精神的応答ははるかに遅くなる可能性が ある。 事実、感情情報を処理する能力(状況を評価し、適切な行動を取る能力)は、 激しい生理学的反応によって深刻に損なわれたり、圧倒されることさえある。 生理学的活動におけるこれらの変化には、 •心臓血管系: 心拍数が上昇し、血圧が上昇し、冠状動脈が広がり、脳、 四肢および筋肉への血液供給が増加する •呼吸器系: 呼吸の深さと速度が増え、体に多くの酸素が供給される •内分泌系: 肝臓はエネルギーのために追加の糖を放出する。 副腎はアドレナリンを放出する。 •筋肉系: 筋肉が緊張してすぐに行動する準備ができている。 •排泄システム:発汗が増える。 •神経系: 脳の活動が変化し、反応が推論されなくなり、より本能的になる。 <Startle耐性の向上> ・機体を知る ・オートではなくマニュアル操縦の技量を維持する ・適切にトレーニングを行う ・周囲の状況を把握する ・油断をしない ・脅威を予測する(TEM) ・策を持つ
  • 11. Undesired Aircraft Stateの例 • 失速 → 落着、墜落 • スピン → 墜落 • スパイラルダイブ → 過荷重、空中分解 • 操縦ミス (フラップ、ダイブブレーキ、グランドループ) • ポーポイズ、PIO、ソメトグラビックイルージョン • 曳航不良、操縦系統の故障、計器指示の異常 ドーリー取り外し忘れ、水バラスト、組み立てミス • 気流の擾乱 ウィンドシアー、下降気流、ローター • 後方乱気流 意図しない飛行状態で、一般操作では回復困難 JCAB 操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機) ・横風着陸、横滑り着陸、背風着陸、場外着陸 ・最小操縦速度 ・急旋回:バンク45°[自]、適切な最小沈下速度 ・失速と回復操作: 初期失速と完全失速をそれぞれ1回 ・異常な姿勢からの回復[事]:異常な姿勢としたのち、受験者に水平直線 滑空状態に戻させる。異常な飛行姿勢は高速螺旋降下、過大な バンクと過大な機首姿勢、過大な沈下率をもたらす初期の段階の もの ・螺旋降下[事]: 最大バンク55°を維持して左又は右の720°螺旋降下 を行う。 ・曳航中の異常時及び緊急時の操作 ・スピン及び回復[教証] 模範演技 安全講習会 受講では免除 とはなりません 特定操縦技能審査実施要領(滑空機) Ⅳ-2 実技審査 7.   異常時及び緊急時に必要な知識 (目的)各種異常時及び緊急時の知識(操作手順含 む) について審査する。 7‐1 曳航中の異常時及び緊急時の操作 7‐2 動力装置の故障 7‐3 諸系統又は装置の故障 7‐4 場外着陸 口述ガイダンスに従って質問する。 実技審査により行うこともできる。 ・ サーマル旋回中のスピン、スパイラルダイブ ・ 低空旋回における失速、スピン 場外着陸や緊急着陸時、山肌付近の旋回 ・ 曳航索切れ後の失速、スピン、 ソメトグラビックイルージョン ・ 離陸時のPIO、ウィンチ曳航時のスナップロール ・ 進入着陸における落着、ポーポイズ、 ショートランディング、グランドループ 滑空機が陥り易い異常姿勢 練習、経験、知識不足 危機意識の低下、慣れ、疲労 気象 故障 速度と性能曲線 失速とは? (京大航空部HPより) 迎え角 (Angle of Attack)が臨界に達すること → 高荷重時(旋回、ウィンチ曳航、引き起こしなど)は注意
  • 12. 失速速度(耐空性審査要領) 2‐2‐2‐1 失速速度Vso(フラップ着陸位置)は以下の条件で測定される 失速速度又は操縦可能な最小定常飛行速度 a.  ギアダウン b. フラップは着陸位置 c. 抗力増大装置は閉又は開のうちVsoが小さい位置 d.  最大重量 e. 重心位置は、許容範囲内の最も不利な位置 2‐2‐2‐3 失速速度Vs1(所定の形態)は以下の条件で測定される失速速 度又は操縦可能な最小定常飛行速度 a. Vs1を用いて所要性能を決定する場合の飛行の形態であること。 b. 所要性能基準に適合することを証明するためにVs1を要素として 用いる場合の重量 2‐6‐1 失速の証明は約2km/h /secをで速度を減じ、制御できない機首 下げ、若しくは片翼下げによって失速を認めるか、又は縦の操縦 装置がストッパーにあたるまで実施すること。 Stall (G103A飛行規程より) ・ 機体が失速速度に近づくと、エレベーターが振動すること によって操縦者に明確に警報が与えられる。 ・ 操縦桿をその状態以上さらに後方に引くと機体は、コント ロールの効く高い沈下を伴うようになる。その状態でも、ラ ダーとエルロンを使用してバンク15°旋回まで飛行すること ができる。 ・ 操縦桿を放せば機体は通常の飛行状態に直ちに復帰す る。 ・ 操縦桿を急激に後方に引くと機首は上がった状態から落 下する。その状態でもエルロンを使用することによりバンクを コントロールすることができる。 失速の兆候 ・ 指示対気速度、風切り音の減少 ・ バフェッティング ・ 沈下率の増大 ・ ロールをエルロンでコントロールできない ・ ピッチをコントロールできない ・ 昇降率をコントロールできない ・ 失速警報器の作動 → TEMで速度低下エラーを回避。 完全失速、スピンに進展する前に回復させる。 <実施要領> 次の飛行状態における失速とその回復操作を行わせる。 (注1)初期失速及び完全失速をそれぞれ1回ずつ実施さ せること。 (注2)飛行状態の組み合わせは受験者に決定させる。 <判定基準> 1.回復操作ができること。 失高を最小に 2.2次失速を起こさせないこと。 3.著しく不安定な姿勢とならないこと。 JCAB 操縦士実地試験実施基準・細則(滑空機) × 最速降下曲線 低空旋回時の注意 ※ 地表の障害物等の高さにより、風速が変化する高度帯が上下する。 低空旋回では、速度の維持、翼端接地に注意。
  • 14. 2010/8    10:22  エアショー 低空スピン Swift S‐1 風 260°/6kt 視程 8000m SCT500ft,BKN700ft Roll‐on‐tow開始 墜落地点 エアブレーキ開 エアブレーキ閉 離脱 発航地点及び 着陸予定地点 事例紹介 耐空性審査要領(滑空機2009年7月17日全面改定) 滑空機4-5-8 座席、安全ベルト及び肩バンド 滑空機4-5-9 傷害に対する保護 4-5-9-1小規模な破壊着陸時に、搭乗者に傷害を与えるおそれのある構 造部材、計器板及び装備品は、搭乗者が傷害を受けることのないように 当て物をしなければならない。 パイロット生存可能荷重 (Designing a sailplane safety cockpit by Tony Segal  from free flight 6/98) 口述ガイダンス 7‐4  場外着陸 (2) 状況により、背風着陸が必要になった場合の操作や注意点について 質問する (参考) 起こしやすい間違い (1) 不適切な進入パスコントロール (2) スリップの不適切な使用 (3) 不適切な速度コントロール (4) 不適切な横風の修正 (5) 不適切な接地の手順 (6) 不適切なブレーキのコントロール 停止距離は、 接地対気速度40kt 背風10ktにおいては、 無風時の1.56倍となる <計算> (40+10)/40=1.25 (1.25) 2 = 1.56   同様に正対5ktと、 背風5ktを比較して、 1.65倍となる。 緊急着陸時の心得 1.  操縦性(安全速度)の確保 2.  第3者へ危害を与えない 3.  搭乗者の安全確保 4.  機体の保護 ※ シートベルトをしっかり締め、機体の接地姿勢を制御すること。 主翼の失速の原因 (1) 速度の低下によるもの ・ 適正なピッチより高いまま飛行し、速度が抜けた。 ・ ウィンドシアー、風の息、背風の増加。 ・ 急なアップをとってウィンチがパワー負けした。 ・ ウィンチ、曳航機の速度コントロール不良。 ・ ウィンチ、曳航機のエンジントラブル。 (2)   翼面荷重が増大し失速速度に達するもの ・ 旋回中、バンクが過大になった。 ・ 初期上昇で十分加速しないうちにアップをとり過ぎた。 ・ ウィンチ曳航で、低速なまま上昇を継続し失速速度が増大した。 (3)   上記のカップリング ・ 低G状態で旋回、ピッチダウン不足、ウィンドシアー
  • 15. 荷重倍数 1 / cosθ Undesired Aircraft Stateからの回復操作 Nose High Recovery ピッチ水平以下までエレベーター操作で機首を下げる。 ピッチが水平に近づいたら、Wing Levelにする。 対気速度をチェックし、適切なピッチ姿勢にする。 Nose Low Recovery (失速状態であれば、先ず失速から回復させる。) Wing Levelへ最短の方向へRollする。 エレベーター操作で機首を上げ、水平飛行に回復させる。 (1) Full Stallと Reduced G の対比 (2) 低速緩旋回からスキッドさせ、スピン初動へ (3) 急旋回からスパイラルダイブへの遷移と、スピンとの対比 ※失速している場合、十分にピッチダウンさせる 回復操作時、ダイブブレーキ閉を確認させる。(フラップは操作しない) 初動操作の経験と、(指導者が操作して)完全失速、スピンからの回復を行う。 ヨーとロールのカップリング スピン回復要領 (ASK21) 一般的な錐揉みからの回復 1)   方向舵を旋転方向と反対に操作する 2)   しばらく上記の状態を維持する。 3)   回転が止り及び機体への正常な空気流が得られるまで、操 縦桿にかかる操縦力を緩めて操縦桿を前方に戻す。 4)   方向舵を中立位置に戻し、急降下から回復させる。 ※ 回復操作を始めてから通 常の飛行姿勢に回復するま での損失高度は約80mであ る。通常、1旋転以内に回復 する。 Spiral Dive 悪視程にもかかわらず計器飛行の能力がない場合、乱流の影響や、技倆未 熟な場合など、急旋回の機首下げから増速し、過度な螺旋降下に進展してしま うことがある。(W/Tで雲に入り、墜落した事故例がある。) 高度損失に伴い、加速してしまうが、修正のため操縦桿を引いても、バンクが急 なため、減速せずに過大なGがかかり、グレイアウトや、最悪の場合機体破壊に至 る場合がある。 [スパイラルダイブ] [スピン] ・速度が急激に増加 ・速度は低く、増減する ・高度損失が大きく、降下率が増大していく ・高度低下率は一定 ・Gが増大していく ・Gは低いまま スパイラルダイブからの回復 先ずエルロン(と調和したラダーを使い)でバンクを水平にし、過大なGがかからない ように(エレベーターをピッチアップして)減速する。 ・ スピン、スパイラルダイブからの回復時、オーバースピード、 オーバーGに注意する。 ・ エアブレーキは~VD、-1.5~3.5Gの範囲で設計されている。 ・ 2周するタイプの速度計では、速度の読み取りを間違えないよ うに注意する。 失速・スピン回復時の注意点
  • 16. 異常姿勢回復訓練の目的 ・ グライダーは、UASから回復させることが困難な状況 があることを認識し、回復できると過信しない。 ・ グライダー運航特有のThreatを認識し、適切な マージンを確保し、安易にErrorを起こさないようにする。 ・ 予期せず異常な状態に陥ってしまった場合に備え、 焦らないよう、迅速かつ適切な回復方法を体験する。 操縦限界を追求するものではない。 安全マージンを減らすための訓練ではない。 上手に回復させるための訓練ではない。 優れたパイロットは、 優れた技量を発揮しなくても済むように、 優れた判断をする。 スカイスポーツの基本要素 ・ SAFETY (安全) ・ SOCIAL (社会との協調) ・ ENJOY (楽しむ) 常にエネルギーマネージメントが重要 低空ではUASからの回復は困難 (低空では高度よりも速度維持優先) 滑空機のTEM