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2018.09.26
中田一会
(きてん企画室)
Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校
レクチャー2「アートプロジェクト運営の手始め」
第3回 記録入門
記録とは
記録【きろく】
1. 後々まで伝える必要のある事柄を書きしるす
こと。その書きしるしたもの。 「―に残す」
2. 競技などの成績・結果。特にその最高のもの。
(ちょっと小咄から)
(はじまり はじまり)
(かもしれない)
ここは、とあるプロジェクト……
たくさんの企画を開催し
とても活発に活動・情報発信しています
でも、ひとつ悩みがありました
来訪者「で、一言でいうと何してるの?」
事務局「えっと……」
情報量多すぎ問題
事務局「そうだ、活動を本にまとめよう!」
これが大変な作業の始まりでした…
例えば…
事務局「データなら大量にあるから大丈夫!」
担当者「誰がどの基準で選ぶんですか」
大量かつ未整理
音声
動画
記事
写真
事務局「あれとこれとそれとあれも載せたい!」
担当者「それってほぼ全部じゃないですか」
編集方針がない
担当者「このイベントのデータはどこです?」
事務局「当時の担当者しかわかりません!」
データ管理が属人的
担当者「写真データの解像度、全然足りません!」
事務局「え、ウェブのやつ載せられないの?」
用途に合った データがない
事務局「他の仕事できなくて辛い…」
担当者「まとまらなくて辛い…」
とにかく疲弊
果たして、無事に完成するのでしょうか?!
…そんな話から
「記録」を考えると
データは大量にある まとめるのが大変
データは大量にある まとめるのが大変
量の問題とうより
ここのジャンプが
苦しいのでは?
プロジェクト 伝えたい対象
分類
する!
編集
する!
残す!
“ログ”
写真、音声、
動画、書類…
“アーカイブ”
ルール、保管場所…
“ドキュメント”
報告書、冊子、
ウェブレポート…
生の記録 編集された記録整理された記録
“ログ” “アーカイブ” “ドキュメント”
瞬間を逃さず
高品質に残す!
ルールを決めて
組織的に整理!
意図と対象を
明確に編集!
あらかじめ用途を想像して残すことが大事!
と、いうことで
[本日のゴール ]
”なんとなく残す”を
卒業する
Step1
アートプロジェクトと
記録の関係性を考える
なぜ、記録が必要?
1. 伝える/拡げる
2. 共有する
3. 振り返る/考える
アートプロジェクト記録の役割
記録は
活動を続けるための
大切な資産!
生の記録 編集された記録整理された記録
“ログ” “アーカイブ” “ドキュメント”
写真、音声、
動画、書類…
ルール、保管場所…
報告書、冊子、
ウェブレポート…
たとえば…
報告書
ドキュメントブック
ウェブコンテンツ
どのくらい残ればいい?
(参考)
(参考)
※アーカイブイメージ
(参考)
Step2
”残す~整理する”
の基礎を学ぶ
生の記録 編集された記録整理された記録
“ログ” “アーカイブ” “ドキュメント”
写真、音声、
動画、書類…
ルール、保管場所…
報告書、冊子、
ウェブレポート…
目的のためにはどんなドキュメントが必要?
生の記録 編集された記録整理された記録
“ログ” “アーカイブ” “ドキュメント”
写真、音声、
動画、書類…
ルール、保管場所…
報告書、冊子、
ウェブレポート…
どんなログとアーカイブがあるべき?
その設計が「記録」の要
何が価値になるかわからないので
残すべきログの設計が難しい
↓
整理しながら数多く残すしかない!
アートプロジェクト記録の課題
https://tarl.jp/library/output/2015/art_archive_benricho/
tarl.jp の図書室で閲覧できます!
研究・開発プログラム
記録/アーカイブ関連資料
※
「何から始めたらいいの…」
うわぁ、大変そう…
記録の基本3点セット
その1「ルール」を決める
\ 決める!/
Why=目的は?
What=何を残す?
例:写真・音声・動画・アンケート・議事録…
Who=責任者/担当者は誰?
例:管理責任者、企画ごとの担当者
When=記録タイミングは?
例:プログラムごと、会議ごと、展示ごと…
Where=どこに保管する?
例:デジタル/アナログ、記録種別ごとの保管先
How=どうやって?
例:ツール、発注先、名称ルール、バックアップ方法
その2「ストレージ」を設定する
保 管 場 所
『アート・アーカイブの便利帳』より
Point
• 分散しない
• 属人的にしない
• デジタル/アナログ
両方とも決める
• 保管先リストを作成
(ID/PW、役割分け)
• バックアップ
をとる
\溜める!/
その2「ストレージ」を設定する
保 管 場 所
\溜める!/
その2「ストレージ」を設定する
保 管 場 所
\溜める!/
その3「道具」を揃える
Point
• リテラシーと用途に
合わせて選ぶ
• 道具を揃える   
→データ品質も揃う
• チームで道具を共有
→データの私物化を     
防ぐ
\揃える!/
(小さな一歩、大切です)
ルール!
ストレージ! 道具!
Work
記録計画を
立ててみる
1. 題材を決める(自分のプロジェクトor仕事)
2. ワークシートに記入する
3. 隣の人と共有する→全体発表
ワークの進め方(35分)
1. アウトプットを設定する
(         )を対象に、
(          )目的で
(          )を
プロジェクト記録としてつくりたい!
2. 必要素材を想像する
の記録計画をたてる
3. 記録方法を検討する
Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校 レクチャー2
「アートプロジェクト運営の手始め」 第3回 記録入門 ワークシート
プロジェクト名
1をつくるためには、どんな情報が必要?
2の素材を集めるにはどんな記録方法がありえる?
●残す情報(写真、アンケート、レポート…など)
●残す場所(デジタル/アナログ 資料置き場)
1. アウトプットを設定する
(   地域住民  )を対象に、
(活動報告/応援してもらう)目的で
( ドキュメントブック )を
プロジェクト記録としてつくりたい!
2. 必要素材を想像する
の記録計画をたてる
3. 記録方法を検討する
Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校 レクチャー2
「アートプロジェクト運営の手始め」 第3回 記録入門 ワークシート
記入例
1をつくるためには、どんな情報が必要?
2の素材を集めるにはどんな記録方法がありえる?
●残す情報(写真、アンケート、レポート…など)
●残す場所(デジタル/アナログ 資料置き場)
もちもち団子島ツアーズ2019
写真(準備中、開催時、集合写真、アーティスト写真)
アンケート、運営資料、
メディア掲載情報、
ゲスト情報(連絡先、参加時のコメント)
企画趣旨、チラシなどビジュアルデータ
開催写真、プロセスに関する情報
開催データ(概要、参加者数)、
参加者の声、外部の評価
デジタル=プロジェクトDropbox
アナログ=事務局A棚のファイル
Step3
アートプロジェクトの
記録事例を知る
日誌をそのまま公開するウェブサイト
(小金井アートフル・アクション!)
https://artfullaction.net/
週報 [ブログ] から年報 [ジャーナル] をつくる
(東京迂回路研究)
週報 [ブログ] から年報 [ジャーナル] をつくる
(東京迂回路研究)
http://www.diver-sion.org/tokyo/
出来事を追体験するカードゲーム
(としまアートステーション構想)
出来事を追体験するカードゲーム
(としまアートステーション構想)
出来事を追体験するカードゲーム
(としまアートステーション構想)
プロジェクトの個性に
あった「記録」を!
[ おまけ ]
プロに記録を
依頼するときは
発注/依頼も
クリエイションです!
「写真撮影」を依頼する
Check List
□カメラマンの仕事範囲を
 理解している?
□ 適切な人に意図を持って
 依頼している?
□ 依頼内容を明示している?
□ 撮ってほしいイメージや、
  シーンを伝えている?
□ 上記に合わせた調整を
  できている?
「取材執筆」を依頼する
Check List
□ライターの仕事範囲を
 理解している?
□ 適切な人に意図を持って
 依頼している?
□ 依頼内容を明示している?
□ 掲載場所や想定読者、表記
 ルールを共有している?
□ 上記に合わせた調整・ラッ
 プアップをできている?
プロに記録を頼むときも
”なんとなく依頼”しない!
と、いうことで
• “なんとなく残す”はやめましょう!
• “残す→整理する”の癖をつけよう
• ルール・ストレージ・道具を設定
本日のまとめ
生の記録
“ログ”
編集された記録
“ドキュメント”
整理された記録
“アーカイブ”
証をつくる
理解をつくる
感情をつくる
「記録」を味方につけて
プロジェクトを豊かに
2018.09.26
中田一会
(きてん企画室)
Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校
レクチャー2「アートプロジェクト運営の手始め」
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