計算機理論入門

      2012 年度後期
        垂水共之
tarumi@ems.okayama-u.ac.jp
     20121002 講義後誤り修正
計算機とは
• Hardware
  – 実際の処理を行う


• Software
  – 処理手順の記述
Hardware
• 構成要素 5大装置
 – 中央処理装置
  • 演算装置
  • 制御装置
  • キャッシュメモリ

 – 記憶装置
  • 主記憶装置
  • 補助記憶装置
 – 入力装置
 – 出力装置
• 入力装置から入力されたプログラムは記
  憶装置上に記憶される。

• 制御装置は、記憶装置にあるプログラム
  を順次引出し、その命令の種類を判断し
  、 演算処理装置に四則演算をするよう
  指示したり、出力装置に結果の出力(表
  示)を指示する。
入出力装置( I/O unit )
• 入力
 – 計算機に情報を与えること
• 出力
 – 計算機から結果を表示・書き出すこと
• 入出力
 – 入力、出力をまとめた総称
入力装置
• 人間が理解できる「外部表現」から、
  計算機が理解できる「内部表現」への変換装
  置
• 代表的な入力装置
 –   キーボード
 –   マウス
 –   イメージ・スキャナ
 –   バーコード・リーダー
     • QR コード
 – マークシート・リーダー  OMR
 – 音声入力
 – 光学文字読取
   ( OCR   optical character reader )
 – 各種センサー
出力装置
• 計算機が理解できる「内部表現」から、
  人間が理解できる「外部表現」への変換装置
• 主な出力装置
 – ディスプレイ装置
     • ブラウン管(陰極線管) CRT   Cathode ray tube
     • 液晶モニタ LCD   Liquid crystal display
 –   プリンター  printer
 –   文字出力
 –   グラフ出力
 –   白黒出力
 –   カラー出力
中央処理装置 CPU central processing unit
• (算術論理)演算装置  ALU   arithmetic and
 logic unit
  – 数値演算
       • 四則演算 基本は足し算(加法)


  – 論理演算・比較演算
       • 真 (true) 偽 (false)


• (逐次)制御装置  control unit
  – メモリにある処理手順を順に処理する
64 bits CPU
• 一度に処理(計算)できる桁数
 – 内部では2進数で計算
 – 2進数での桁数
 – 2進数1ケタ= 1bit (ビット) =0 か1の 2 つ
   の状態
 – ビット数が大きいほど、計算できる範囲が広
   い
                                          8の倍数
• 近年の CPU の発展
 – 4bits, 8bits, 16bits, 32bits, 64bits
                                          6の倍数
• 歴史的には
 – 24bits, 36bits, 60bits
計算速度
• MIPS Million Instructions Per Second
  – 1 秒間に処理できる命令数
  – Million = 100 万
• GFLOPS   Giga Floating Operations Per Second
  – 1 秒間に処理できる実数演算(浮動小数点演算)
    の命令数
  – Giga = 1000million
  – 実数演算は整数演算の 10 倍から 30 倍程度時間が
    かかる

• スーパーコンピュータ 京(けい)
  – 1 秒間に1京回
  – 1 京 =10,000,000,000,000,000=10P( ペタ )
記憶装置
• 主記憶装置
                          4GB ~ 8GB
 – プログラム、データ、演算結果の格納


• 補助(外部)記憶装置              1TB ~ 2TB

 – 低速であるが、大容量、不揮発(電源を切っても
   記憶している)


• キャッシュメモリ
 – 1 次キャッシュ  CPU に内臓(最高速) 1 MB
 – 2 次キャッシュ 主記憶より高速 
主記憶装置
• 記憶素子( LSI   Large Scale Integrated
  Circuit)
  – RAM Random Access Memory
  – ROM Read Only Memory
    • 書き込み(変更)ができない。
補助(外部)記憶装置 固定式
• ハードディスク・ドライブ  HDD
 – 円盤の直径により 3.5, 2 インチ
 – 容量は1 TB~2TB が現在の主流
補助(外部)記憶装置 可搬式
• 磁気方式
 – FD   Floppy Disk
    • 直径の大きさによって、 2, 3, 3.5, 5.25, 8 インチがあっ
      た
    • 一番良く使われた 3.5 インチ FD で 1.44MB 程度
• 光方式                              640MB
 – CD     Compact Disk             4.7GB
 – DVD    Digital Versatile Disk   25GB
 – BD     Blu-Ray Disk

 – 何れにも  ROM, -R, -RW などがある
 – DVD, BD には 2 層式の DL(Double Layer 、容量は
   倍)も
補助(外部)記憶装置 可搬式
       2
• フラッシュメモリ方式
 – USB メモリ
 – SD カード
   • 最大 2 GB
   • 標準サイズ、ミニ、マイクロ
 – SDHC カード
   • 現在は 64GB まで
1.44MB   3.5 インチ FD
• 文庫本5冊程度の内容が記憶可能

• 梅棹忠夫著「知的生産の技術」が16行42
  文字のページ立てで218ページ
  ( 16×42×218 = 146496 文字、日本語1文字
  は2Bを使用するため 146496×2 = 292992B
  =約 286 KB。 1.44 MBのフロッピーに 5
  冊分記憶できる

• SFの傑作、アシモフの「銀河帝国の興亡
  1」(東京創元新社文庫)。これはページ数
  が多く、 18 行 43 文字立ての本文 343 ページ
  、約 519 KBでFD1枚に 3 冊弱分がはいる
閑話休題
• 昔入力装置として最もポピュラ-
  なものは「穿孔カ-ド入力装置」
  であったが、今ではほとんど利用
  されなくなった。「穿孔カ-ド」
  はカ-ド穿孔機により穿孔された
  80欄カ-ドを用いる。1文字で
  もタイプミスするとカード1枚作
  り直すことになる。さらに機械的
  にカードに穴をあける、その音の
  すさまじさよ。

• プリンタも 132 文字同時にインパ
  クトとしていたラインプリンタか
  ら、1文字ずつのインパクトのシ
  リアルプリンタをたどり、現在の
  ページプリンタのようなノンイン
  パクトプリンタが主流になり、
  やっと家庭でも使えるようになっ
  た。
プリンタの種類
• 印字方式による分類
  – インパクトプリンタ  ハンマーで叩くことにより印字する
                 音がうるさいが、カーボンコピー
    が作れる
  – ノンインパクトプリンタ
     • 熱転写式プリンタ  インクを熱でとかして転写する
     • 感熱式プリンタ   「感熱紙」と呼ばれる特殊な用紙に熱を与えて
                       発色させる
     • レーザー      コピー機械と同じ原理で、トナー
                   (黒い炭素の粉末)を磁化させて熱で定着
       させる
     • インクジェット、バブルジェット
                   液体状のインクを吹き付けて印字する
• 色による分類
  – 白黒プリンタ
  – カラープリンタ
• ラインプリンタ( LP Line Printer )
  – 1 行分まとめて同時に印刷
• 頁プリンタ
プリンタの解像度
• Dpi = dots per inch
   – 1つの点(ドット)の細かさを表す指標としてdp
     iという単位が使われる。
   – 1インチにいくつのドットを出せるかを表す。
   – 値が大きいほど解像度が高く、きれいな印字になる
     。
   – レーザープリンタで 600dpi から 2400dpi
   – インクジェットプリンタで 360dpi から 720dpi 程度
   – 活版印刷の代わりになるものとして 1200dpi から
     6000dpi 程度のものもあるが、値段が高くなる。
• スキャナの解像度も dpi であらわす。
   – 現在の主流は 1200dpi から 2400dpi 程度である。
• 家庭用の FAX の解像度
   – 200dpi から 300dpi 程度である。
KMGTPE
• 計算機では2進数が使われるため、2の巾乗
  で数えることが多い。
• 2の10乗が1024と1000に近いため
  、計算機の世界では210を1K(キロ)とし
  て取り扱う。すなわち、
•    1K(キ ロ) = 210  = 21
  0
    (千)
•    1M(メ ガ) = 210K = 22
  0
    (百万)
•    1G(ギ ガ) = 210M = 23
  0
    (十億)
•    1T(テ ラ) = 210G = 24
  0
    (一兆)
                 10    5
練習問題
• 問題1 計算機のハードウェアの構成要素を、
    その機能によって分類しなさい。また、各機能
    の概要を説明しなさい。
•   問題2 入力装置、出力装置をそれぞれ二つあ
    げ、その概要を説明しなさい。
•   問題3 主記憶装置、演算装置、制御装置の概
    要を説明しなさい。
•   問題4 キャッシュメモリの概要を説明しなさ
    い。
•   問題5 磁気タイプと光タイプの補助(外部)
    記憶装置の例をあげ、その概要を説明しなさい
    。

計算機理論入門01

  • 1.
    計算機理論入門 2012 年度後期 垂水共之 tarumi@ems.okayama-u.ac.jp 20121002 講義後誤り修正
  • 2.
    計算機とは • Hardware – 実際の処理を行う • Software – 処理手順の記述
  • 3.
    Hardware • 構成要素 5大装置 –中央処理装置 • 演算装置 • 制御装置 • キャッシュメモリ – 記憶装置 • 主記憶装置 • 補助記憶装置 – 入力装置 – 出力装置
  • 4.
    • 入力装置から入力されたプログラムは記 憶装置上に記憶される。 • 制御装置は、記憶装置にあるプログラム を順次引出し、その命令の種類を判断し 、 演算処理装置に四則演算をするよう 指示したり、出力装置に結果の出力(表 示)を指示する。
  • 5.
    入出力装置( I/O unit) • 入力 – 計算機に情報を与えること • 出力 – 計算機から結果を表示・書き出すこと • 入出力 – 入力、出力をまとめた総称
  • 6.
    入力装置 • 人間が理解できる「外部表現」から、 計算機が理解できる「内部表現」への変換装 置 • 代表的な入力装置 – キーボード – マウス – イメージ・スキャナ – バーコード・リーダー • QR コード – マークシート・リーダー  OMR – 音声入力 – 光学文字読取 ( OCR   optical character reader ) – 各種センサー
  • 7.
    出力装置 • 計算機が理解できる「内部表現」から、 人間が理解できる「外部表現」への変換装置 • 主な出力装置 – ディスプレイ装置 • ブラウン管(陰極線管) CRT   Cathode ray tube • 液晶モニタ LCD   Liquid crystal display – プリンター  printer – 文字出力 – グラフ出力 – 白黒出力 – カラー出力
  • 8.
    中央処理装置 CPU centralprocessing unit • (算術論理)演算装置  ALU   arithmetic and logic unit – 数値演算 • 四則演算 基本は足し算(加法) – 論理演算・比較演算 • 真 (true) 偽 (false) • (逐次)制御装置  control unit – メモリにある処理手順を順に処理する
  • 9.
    64 bits CPU •一度に処理(計算)できる桁数 – 内部では2進数で計算 – 2進数での桁数 – 2進数1ケタ= 1bit (ビット) =0 か1の 2 つ の状態 – ビット数が大きいほど、計算できる範囲が広 い 8の倍数 • 近年の CPU の発展 – 4bits, 8bits, 16bits, 32bits, 64bits 6の倍数 • 歴史的には – 24bits, 36bits, 60bits
  • 10.
    計算速度 • MIPS MillionInstructions Per Second – 1 秒間に処理できる命令数 – Million = 100 万 • GFLOPS   Giga Floating Operations Per Second – 1 秒間に処理できる実数演算(浮動小数点演算) の命令数 – Giga = 1000million – 実数演算は整数演算の 10 倍から 30 倍程度時間が かかる • スーパーコンピュータ 京(けい) – 1 秒間に1京回 – 1 京 =10,000,000,000,000,000=10P( ペタ )
  • 11.
    記憶装置 • 主記憶装置 4GB ~ 8GB – プログラム、データ、演算結果の格納 • 補助(外部)記憶装置 1TB ~ 2TB – 低速であるが、大容量、不揮発(電源を切っても 記憶している) • キャッシュメモリ – 1 次キャッシュ  CPU に内臓(最高速) 1 MB – 2 次キャッシュ 主記憶より高速 
  • 12.
    主記憶装置 • 記憶素子( LSI  Large Scale Integrated Circuit) – RAM Random Access Memory – ROM Read Only Memory • 書き込み(変更)ができない。
  • 13.
    補助(外部)記憶装置 固定式 • ハードディスク・ドライブ  HDD – 円盤の直径により 3.5, 2 インチ – 容量は1 TB~2TB が現在の主流
  • 14.
    補助(外部)記憶装置 可搬式 • 磁気方式 –FD   Floppy Disk • 直径の大きさによって、 2, 3, 3.5, 5.25, 8 インチがあっ た • 一番良く使われた 3.5 インチ FD で 1.44MB 程度 • 光方式 640MB – CD Compact Disk 4.7GB – DVD Digital Versatile Disk 25GB – BD Blu-Ray Disk – 何れにも  ROM, -R, -RW などがある – DVD, BD には 2 層式の DL(Double Layer 、容量は 倍)も
  • 15.
    補助(外部)記憶装置 可搬式 2 • フラッシュメモリ方式 – USB メモリ – SD カード • 最大 2 GB • 標準サイズ、ミニ、マイクロ – SDHC カード • 現在は 64GB まで
  • 16.
    1.44MB   3.5インチ FD • 文庫本5冊程度の内容が記憶可能 • 梅棹忠夫著「知的生産の技術」が16行42 文字のページ立てで218ページ ( 16×42×218 = 146496 文字、日本語1文字 は2Bを使用するため 146496×2 = 292992B =約 286 KB。 1.44 MBのフロッピーに 5 冊分記憶できる • SFの傑作、アシモフの「銀河帝国の興亡 1」(東京創元新社文庫)。これはページ数 が多く、 18 行 43 文字立ての本文 343 ページ 、約 519 KBでFD1枚に 3 冊弱分がはいる
  • 17.
    閑話休題 • 昔入力装置として最もポピュラ- なものは「穿孔カ-ド入力装置」 であったが、今ではほとんど利用 されなくなった。「穿孔カ-ド」 はカ-ド穿孔機により穿孔された 80欄カ-ドを用いる。1文字で もタイプミスするとカード1枚作 り直すことになる。さらに機械的 にカードに穴をあける、その音の すさまじさよ。 • プリンタも 132 文字同時にインパ クトとしていたラインプリンタか ら、1文字ずつのインパクトのシ リアルプリンタをたどり、現在の ページプリンタのようなノンイン パクトプリンタが主流になり、 やっと家庭でも使えるようになっ た。
  • 18.
    プリンタの種類 • 印字方式による分類 – インパクトプリンタ  ハンマーで叩くことにより印字する              音がうるさいが、カーボンコピー が作れる – ノンインパクトプリンタ • 熱転写式プリンタ  インクを熱でとかして転写する • 感熱式プリンタ   「感熱紙」と呼ばれる特殊な用紙に熱を与えて                 発色させる • レーザー   コピー機械と同じ原理で、トナー             (黒い炭素の粉末)を磁化させて熱で定着 させる • インクジェット、バブルジェット             液体状のインクを吹き付けて印字する • 色による分類 – 白黒プリンタ – カラープリンタ • ラインプリンタ( LP Line Printer ) – 1 行分まとめて同時に印刷 • 頁プリンタ
  • 19.
    プリンタの解像度 • Dpi =dots per inch – 1つの点(ドット)の細かさを表す指標としてdp iという単位が使われる。 – 1インチにいくつのドットを出せるかを表す。 – 値が大きいほど解像度が高く、きれいな印字になる 。 – レーザープリンタで 600dpi から 2400dpi – インクジェットプリンタで 360dpi から 720dpi 程度 – 活版印刷の代わりになるものとして 1200dpi から 6000dpi 程度のものもあるが、値段が高くなる。 • スキャナの解像度も dpi であらわす。 – 現在の主流は 1200dpi から 2400dpi 程度である。 • 家庭用の FAX の解像度 – 200dpi から 300dpi 程度である。
  • 20.
    KMGTPE • 計算機では2進数が使われるため、2の巾乗 で数えることが多い。 • 2の10乗が1024と1000に近いため 、計算機の世界では210を1K(キロ)とし て取り扱う。すなわち、 •    1K(キ ロ) = 210  = 21 0 (千) •    1M(メ ガ) = 210K = 22 0 (百万) •    1G(ギ ガ) = 210M = 23 0 (十億) •    1T(テ ラ) = 210G = 24 0 (一兆) 10 5
  • 21.
    練習問題 • 問題1 計算機のハードウェアの構成要素を、 その機能によって分類しなさい。また、各機能 の概要を説明しなさい。 • 問題2 入力装置、出力装置をそれぞれ二つあ げ、その概要を説明しなさい。 • 問題3 主記憶装置、演算装置、制御装置の概 要を説明しなさい。 • 問題4 キャッシュメモリの概要を説明しなさ い。 • 問題5 磁気タイプと光タイプの補助(外部) 記憶装置の例をあげ、その概要を説明しなさい 。