テクノロジーの民主化
愛知産業大学
スマートデザイン学科准教授
高城 勝信(たかぎ まさのぶ)
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21世紀交流サロン・葵丘第33回
AI技術最前線からの報告 Part2
自己紹介
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日本IBMのエンジニア(2000年〜2017年)
• オープンソースソフトウェアを活用したアプリケーション開発
• クラウド・サービスの立ち上げ
• スマート・シティ関連のプロジェクトに従事
起業・独立と愛知産業大学の教員採用(2018年〜)
• ビットコインの実装技術であるブロックチェーン関連ビジネス
• 人間中心デザインの実践と教育
• スマホ・アプリの新しい開発フレームワークの実践
現在
• 愛知産業大学 スマートデザイン学科 准教授
• 株式会社インテック顧問(新規事業開発のためのITコンサル)
ほか
アジェンダ
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1. テクノロジーの民主化とは?
2. IT技術の進化
3. IT技術利用の方向性(私見)
① クラウドファーストクラウドファースト
② マルチデバイス対応のアプリ開発
③ 利用者中心のサービス開発
④ IT技術を気軽に学習
⑤ むりのないAIの活用
4. AIを使ったスマホアプリ開発のデモ
5. まとめ
1. テクノロジーの民主化とは?
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いままでは、新しい技術に対して
資本力や実績がなければ手が出せなかった
• テクノロジー(特にIT技術)の使い勝手や
学習のしやすさが向上
• やる気のいかんによって、技術を学習し、
利用することができるようになっている
• コミュニティの重要性も向上
これを「テクノロジーの民主化」を呼びます
2. IT技術の進化
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過去 現在 具体例
システムを購入 システムは借りる
• クラウド・サービス
• フリーミアム、従量課金
ウォータフォール型
開発
アジャイル開発 • デザインとプロトタイプ
開発環境
スマホアプリ • マルチデバイス対応の
開発環境
パソコン用アプリ
ネットで学習 • オンライン学習サイト
IT技術は座学研修で
身につける
人工知能の活用 • 人工知能(音声認識、
画像認識、など)
処理の自動化
ほか、仮想化技術やマイクロサービス、量子コンピュータなどいろいろ。。。
3. IT技術利用の方向性(私見)
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IT技術の進化とともに、その利用に際しては
以下の方向性を持って進めるといいのでは、
と思い、実践しています。
① クラウドファースト
② マルチデバイス対応のアプリ開発
③ 利用者中心のサービス開発
④ IT技術を気軽に学習
⑤ むりのないAIの活用
①クラウドファースト
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• システムを構築する際、クラウドの利用を前提とする考え方。
• クラウド事業者としては、Amazon、マイクロソフトも有名ですが、より
気軽に使えるクラウドの例として「GitHub」と「Google Cloud」を紹介。
http://github.com
• プログラムのソースコードをチーム間
で共有したり、プログラムのバージョ
ン管理を行ったりする目的で作ら
れたサービス
• ホームページを無料で公開するこ
ともできます
• 作成したアプリケーションのソース
コードを公開することができます
(デモ)
https://cloud.google.com/
• GoogleはGmailやGoogleマップ
といったサービスだけでなく、フリーミ
アムのクラウドサービスを提供
• Google Cloudは無料から利用
を開始でき、利用した量(CPU、ス
トレージ、ネットワークなど)に従って
課金
• 画像判別や画像分類、テキスト
解析といった処理を行うVision
APIといったサービスも提供(デモ)
無料〜
無料〜
②マルチデバイス対応のアプリ開発
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• 従来はパソコン、iPhone、Androidといったマルチデバイス向けに同一の
アプリを開発するには、それぞれ異なる開発環境/言語で開発・テストする
必要があり、開発者は本当に大変でした。
• 現在は、FacebookのReact Native、GoogleのFlutter、マイクロソフトのXamarin
といった一つのソースコードからマルチデバイス向けの実行コードを生成して
くれる開発環境が整ってきています。
• その中でもGoogleのFlutterがおすすめです(デモでで使います)。
同一の
ソースコード
同一の開発環境
iPhone
アプリ
iPhone端末
Android
アプリ
Android端末
開発者
③利用者中心のサービス開発
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顧客主導の時代
• スマホからワンクリックで
商品購入できるのは当たり前
• 商品やサービスを選択する
意思決定の主導権は「顧客」
アレクサ、いつもの
SNS上の口コミを
見て、ワンクリック
で購入
商品がなくなり
そうになれば、
リビングから
音声で購入
ブランドバック購入をゴールとした
カスタマージャーニーのイメージ
顧客中心のシステムデザイン
• カスタマージャーニーマップを
まとめる
• 顧客体験の全体をみわたし、
打つべき施策を考える
参考)シビックテック1
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昨今のITプラットフォームの進化にともない、人間中心デザインの考え方を
取り入れた行政サービスのデザインや、行政がオープンデータとして公開した
データを使ったアプリケーションを市民コミュニティが開発するといったことが
おこっています。
公務員だけでは、ユーザである市民
目線での考えが乏しく、行政がIT企業
に発注して開発するシステムは使い
にくいものが多い
税金をつかって収集したデータや
公共性の高いデータはオープン
データとして積極的に公開していこ
うというとりくみ
デザインやITエンジニアを中心とした
市民コミュニティが行政アプリの改善
などのシビックテックを行う。
シビックテックを行う市民コミュニティが
データを分析したり、新たな行政
アプリ開発に活かしたりするのに利用。
参考)シビックテック2
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• 2009年ごろアメリカにて地域の課題解決や行政アプリの改善などを行う(シビックテック)
市民コミュニティが、デザイナやITエンジニアを中心に生まれました(Code for America)
• 東日本大震災を契機に2011年後半、これを日本に輸入し、「Code for Japan」ができました。
• 「Code for Japan」は「Code for Japan Summit」や「Social Hack Day」というイベントを毎年開催
し、市民がボランティアで集まってアプリのアイデアを考える「アイデアソン」やそれを開発し
てアプリにしあげる「ハッカソン」といったイベントを開催しています。
• 地域ごとに「Code for XX」という団体(ブリゲード)が結成され、地域での活動をリードして
います。
企業
市民 行政
地域行政の課題解決
参考)シビックテック3
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Code for Japanの千葉市でのブリゲードであるCode for Chibaでは、待機児童ゼロを目
指す市長の方針を受け、「ちば保育園マップ」というホームページを開発しました。
http://papamama.code4chiba.org/#
千葉市の職員から千葉市
内の保育園の空き状況や
入園希望数、待機児童数
情報を定期的に提供しても
らいデータを更新
待機児童数オープンデータ
④ IT技術を気軽に学習
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機械学習やディープラーニングの実行環境の多くは、オープン
ソースソフトウェアとして構築されていて、大量のコンピュータ
資源を必要とする計算もクラウド上の実行環境に接続して、
無料から利用することが可能
例)機械学習の分析プラットフォーム
「Jupyter Notebook」
– Python言語で操作
– 専用ソフトのインストールは必要なく、
ブラウザから操作
(分析だけでなくOSの操作も)
– 実行環境を計算の大きさや用途に
あわせて変更可能
– 実行環境として、各種クラウド(Google、
Amazon、マイクロソフトAzure、
IBMクラウド)と連携して利用可能
Jupyter Notebook
(ブラウザで操作)
実行環境
(クラウド上)
実行環境
(ローカルPC)
簡単に切替可能
⑤ むりのないAIの活用
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㈱ブレインのAIレジ
「ベーカリースキャン」
https://ledge.ai/bakery-scan/
• 複数種類のパンをのせたトレーを
画像認識してレジ入力を支援
• 深層学習は使っていない
• 認識精度は100%ではない
• 全国300店舗に拡大
(2019年4月時点)
→ AIの誤りを人間が容易に
修正できるデザインにこだわる
Google Cloud
4. AIを使ったスマホアプリ開発のデモ(1/3)
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• いわゆる名刺のOCRアプリのサンプルをデモします。
Google Cloud
Vision API
Cloud Storage
テキストの枠内をクリックすると
テキストエリアに認識した文字
列がセットされます
テキスト認識AIが
判定した画像上の
位置と判定した
文字列を返す
テキストエリアにセットされた値に
対応する属性ボタンを押下すると
情報がリストに追加されます
4. AIを使ったスマホアプリ開発のデモ(2/3)
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文字列が間違って認識されて
いたら修正して登録します。
追加ボタンを押下するとスプレッドシートに
名刺データが追加されます
Googleスプレッドシート
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以下の4つの考えを実践しています。
• 「1.クラウドファースト」を実践
テキスト認識はGoogle Cloud Vision APIの無料枠を利用
• 「2.マルチデバイス対応のアプリ開発」を実践
Web/iPhone/Androidアプリを一つのソースコードから作成
• 「4.IT技術を気軽に学習」の実践
ブラウザ上で動かして試してみることができます
• 「5. むりのないAIの活用」を実践
名刺画像をOCRして、テキストを推測するとともに、完璧な認識は
困難なため、文字列への属性(名前や会社名など)の割当
と間違った文字列の修正が可能な画面を用意
4. AIを使ったスマホアプリ開発のデモ(3/3)
5. まとめ
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• テクノロジーの民主化とは、テクノロジー(特にIT技術)の
使い勝手が向上し、学習環境が入手しやすくなったことにより、
やる気のいかんによって、だれでも技術を学習・利用することが
できるようになっている昨今の状況のことをいう。
• 大学の授業の中では「テクノロジーの民主化」に即し、
スマホアプリ開発デザインやAIのしくみのわかりやすい授業を
めざし、岡崎地区の人材育成に貢献できるようがんばって
いきたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。

テクノロジーの民主化