SlideShare a Scribd company logo
1 of 19
「 CYBATHLON CHAMPIONSHIP
2016 」報告
CYBATHLON CHAMPIONSHIP 2016 概要
• サイバスロンは、障害者が競技に参加するという点ではパラ
リンピックと同じだが、パラリンピックが選手の優れた運動
能力に焦点を当てる一方で、身体に障害のある人々が日常生
活に対処する助けとなる全く新しいロボット補助デバイスに
注目する「生体工学のオリンピック」と言える。
• サイバスロンの運営を支援するチューリッヒ工科大学の教授
、 Robert Riener 氏は、「勝ち負けを決めたり、順位を決めたり
することはあまり重要視していません。私たちは、日常生活
で障害となるものを克服するための技術活用を支援・促進し
たいのです。」と語っています。
CYBATHLON のレース競技6種目
1. Brain-Computer Interface Race
( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム)
2. Functional Electrical Stimulation Bike Race
( FES: 電気刺激バイク・レース)
3. Powered Arm Prosthesis Race
( ARM: パワード義手レース)
4. Powered Leg Prosthesis Race
( LEG: パワード義足レース)
5. Powered Exoskeleton Race
( EXO: 歩行補助器具レース)
6. Powered Wheelchair Race
( WHEEL: パワード車いすレー
ス)
・・・日本チームの出場あり
10/8 タイム・スケジュール
日本からの出場チーム
チーム名 チーム概要 出場部門 出場者コメント
株式会社
メルティン
MMI
人が体を動かす時に脳から筋肉に送られる電気
信号をキャッチして、直感的に動かせる筋電義手。
デモにはスイスでの Cybathlon 本戦に出場する
アスリート(パイロット)も北海道から駆けつける。
さらに 2 種目目として FES( )※ で動くバイク部門に
もエントリー。電気通信大学発ベンチャー。
パワード義手
FES バイク
障害者の生活をよくするのみならず、最先端
技術でさらなる可能性が開けることをアピー
ルしたいと思います。世界にメルティンが開
発しているような義手が存在することを広く
認知してもらいたいと願っています。
和歌山大学
サイバスロン
プロジェクト
RT-Movers
RT-Mover PType WA は4つの車輪が個別に路面に
対応できるのが特徴。車いすでの移動には大きな
障害となる、段差やスロープを克服し、利用者の
行動範囲を飛躍的に広げる。教授と学部生のみの
少数精鋭チーム。
パワード車椅子
実際のユーザが搭乗するという実用フェーズ
を意識した国際大会での評価を経ることで、
より質の高い研究開発につなげることを目指
します。全学プロジェクトとして、世界での
ネットワークを構築したいと考えています。
株式会社サイ
ボーグ
ロボット義足 Xi leg は足を前に出したり蹴り出す
ときの人の足首の角度を再現し、歩行の自然な
力強さを実現する。技術はもちろんのこと開発陣も
要注目の陣揃え。
パワード義足
サイバスロンは実際に使える製品を生み出す
登竜門として始まる世界初のサイボーグ技術
の競技会です。我々は義足を実際に世の中に
商品化して売り出すことを前提に開発して
いるので、その過程でのマイルストーンに
はまったため、参加を決めました。
出典: http://www.stofficetokyo.ch/st-office-tokyo-presents-cybathlon-jp/
※ 脳卒中や脊髄損傷などで中枢神経が損なわれた人の末梢の運動神経や筋に電気刺激を与えることで、
  運動機能を再建する機能的電気刺激( Functional Electrical Stimulation )
4 位入
賞
各競技の説明 1. Brain-Computer Interface Race
( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム)
脳波コンピュータ・インターフェイス( BCI )のレースでは、仮想ゲームを通して、日常生活の中で様々なアプリケーションを
BCI で開発するための BCI の信頼性と精度が試されます。例えば、四肢麻痺を有する人がコンピュータやロボットアーム、車椅子
といった様々なデバイスを制御するために、 BCI は脳信号を検出することができます。
各レースで最大 4 名のパイロットに、 BrainRunners ゲームでアバターを制御するための BCI が装備されます。 BrainRunners ゲームは、
サイバスロンの BCI レース用に開発されたマルチプレイヤー型のゲームです。各アバターは勝手に前方に移動するため、パイロッ
トからの入力信号がなくてもレースの最終ラインに到達します。パイロットは、色のついた「パッド」で示された専用領域を歩き
ながら、 BCI を使用して、正しいタイムフレームで適切なコマンドを送信する必要があります。
正しいコマンドを正しい時間に与えるか、必要のないときはコマンドを送信しないことで、アバターを高速に移動させ、最終ライ
ン近くにアバターを動かすことで、他の競争者よりも優位に立つことができます。パイロットは、アバターが「回る」アクション
パッド(シアン)上で回転させたり、「ジャンプ」アクションパッド(マゼンタ)上でトゲをジャンプしたり、「スライド(黄
色)」上の光線の下をスライドする指示を送ることができます。
このように、最大で三つの異なるコマンドをゲーム内の BCI から送信することができますが、すべてのコマンドが実装されている
必要はありません。ゲームを実行するのに一つのコマンドで十分ですが、パイロットが発射し、 BCI システムが検出できるコマン
ドが多数ある方が、アバターはより早く最終ラインに到達することができます。
誤ってコマンドを選択したり( ROTATE のかわりに JUMP を選択するなど)、コマンドを送信するタイミングを間違えたりすると
、不利益を被ります(例えば、アバターに減速をもたらし、時間を失うことになります)。例えば、「 NOINPUT 」パッドの上で
は、何のインプットもしなければ、早く走れますし、誤ってコマンドを送信してしまうと、減速することになります。
参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf
各競技の説明 2. Functional Electrical Stimulation Bike Race
(電気刺激バイク・レース)
完全な脊髄損傷( SCI )を持つパイロットは、機能的電気刺激( FES )装置を装着
し、サイクリング装置にペダリング運動を実行できるようになります。
彼らは、約 750 メートルの総距離をもたらす円形レーストラックを 5 周まわります。
パイロットはレース前に専門的な FES の研修制度により、それらの筋肉を訓練しま
す。
レース中、強さに加えて、強度の時間的配分はまた、筋肉疲労の影響を最小化する
のに重要な役割を果たします。
レースでは、 2 人のパイロットが、円形のレーストラック上で同時にスタートしま
す。
参考)
https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf
各競技の説明 3. Powered Arm Prosthesis Race (義手レース)
前腕や上腕が切断されたパイロットは、エキソプロテーゼ・デバイス(アームプロテーゼ)を
装着します。パイロットは、与えられた制限時間内にできるだけ多くのタスクを解決するよう
に求められます。パイロットは、日常生活の活動に関連するタスクにたいして挑戦をします。
一部のタスクでは、パイロットは両方の手や腕だけでなく、身体の他の部分を使用することが
許可されています。これらのタスクには、食事を準備したり、階段の上に大きなものを運ぶ
(例えば、売り手から物を買ったり、集めたりする)ことが含まれています。他のタスクでは
、パイロットは、人工器官のパフォーマンスに明示的に挑戦する運動にチャレンジします。こ
れらのタスクでは、パイロットは、義手を使って特定のもの、またはものの一部を操作するこ
とだけが許されています。これらのものや部品は、青色に着色されます。棚から小さい日常品
をつかんで、テーブルに運ぶといった青色のものや部品を使ったタスク、ものほしに洗濯バサ
ミを使って服をかけるといったタスク、ワイヤーループタスクやパズルタイプのタスクが行わ
れます。
参考)
https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_R
各競技の説明 4. Powered Leg Prosthesis Race (義足レース)
• 大腿切断または膝関節離断切断のあるパイロットが、エキソ
プロテーゼ・デバイス(脚補綴)を装着し、与えられた時間
内にできるだけ多くのタスクを解決します。
• ほとんどのタスクは、日常の活動を表しています。
参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-
10_Cybathlon_RacesRules.pdf
各競技の説明 5. Powered Exoskeleton Race
(歩行補助器具レース)
• 完全な胸部脊髄損傷や腰部脊髄損傷を持つパイロットが、
外骨格のデバイスを装着します。与えられた時間内にできる
だけ多くのタスクを解決します。
• ほとんどのタスクは日常生活の活動です。
参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-
10_Cybathlon_RacesRules.pdf
各競技の説明 6. Powered Wheelchair Race (車いすレース)
異なる障害レベル(例えば四肢麻痺、対麻痺、切断者)のパイ
ロットが、電動車椅子を装備し、限られた時間内にできるだけ
多くのタスクを解決するように求められます。
ほとんどのタスクは、日常生活の活動を表しています。
6 つの課題(机に正しくつく、スラローム、ドアのついたス
ロープの上り下り、ガタガタ道、バンク、階段の上り下り)が
設置されたコースを走行し、合計点数の高いチームが勝利。
参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-
10_Cybathlon_RacesRules.pdf
所感
• サイバスロンは、非常に訓練された事務局メンバーから構成されており、
時間が過ぎてしまったパイロットを強制的に会場から退場させるなど、時
間内で競技が終わるように徹底されていた。今後のロボットコンテスト開
催時にも運営上非常に参考になった。
• 体育館内で1日で終了するよう競技が考えられており、小規模なものに感
じられた。実際の街を舞台に競技を行うようなことも考えられる。
• 当初、サイバスロンを日本に誘致するようなことも考えたが、日本発で国
際ロボットコンテストを開催することも十分可能であると感じられた。
参考) https://r.lne.st/2016/10/09/14981/

More Related Content

More from Masanobu Takagi

キッチンカーマッチング
キッチンカーマッチングキッチンカーマッチング
キッチンカーマッチングMasanobu Takagi
 
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCT
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCTActivity Plan of API Lab AIZU@AiCT
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCTMasanobu Takagi
 
テクノロジーの民主化
テクノロジーの民主化テクノロジーの民主化
テクノロジーの民主化Masanobu Takagi
 
デジタル決済のまとめ
デジタル決済のまとめデジタル決済のまとめ
デジタル決済のまとめMasanobu Takagi
 
Blockchain@OSC Kyoto 2016
Blockchain@OSC Kyoto 2016Blockchain@OSC Kyoto 2016
Blockchain@OSC Kyoto 2016Masanobu Takagi
 
ちば自転車マップと今後 20150611
ちば自転車マップと今後 20150611ちば自転車マップと今後 20150611
ちば自転車マップと今後 20150611Masanobu Takagi
 

More from Masanobu Takagi (7)

キッチンカーマッチング
キッチンカーマッチングキッチンカーマッチング
キッチンカーマッチング
 
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCT
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCTActivity Plan of API Lab AIZU@AiCT
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCT
 
テクノロジーの民主化
テクノロジーの民主化テクノロジーの民主化
テクノロジーの民主化
 
デジタル決済のまとめ
デジタル決済のまとめデジタル決済のまとめ
デジタル決済のまとめ
 
20160927 ibm blockchain
20160927 ibm blockchain20160927 ibm blockchain
20160927 ibm blockchain
 
Blockchain@OSC Kyoto 2016
Blockchain@OSC Kyoto 2016Blockchain@OSC Kyoto 2016
Blockchain@OSC Kyoto 2016
 
ちば自転車マップと今後 20150611
ちば自転車マップと今後 20150611ちば自転車マップと今後 20150611
ちば自転車マップと今後 20150611
 

Recently uploaded

TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案
TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案
TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案sugiuralab
 
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?akihisamiyanaga1
 
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)Hiroshi Tomioka
 
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察 ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察  ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察  ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察 ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...博三 太田
 
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineerYuki Kikuchi
 
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdf
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdfAWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdf
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdfFumieNakayama
 
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdf
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdfクラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdf
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdfFumieNakayama
 
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)UEHARA, Tetsutaro
 

Recently uploaded (8)

TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案
TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案
TataPixel: 畳の異方性を利用した切り替え可能なディスプレイの提案
 
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?
CTO, VPoE, テックリードなどリーダーポジションに登用したくなるのはどんな人材か?
 
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
 
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察 ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察  ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察  ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...
モーダル間の変換後の一致性とジャンル表を用いた解釈可能性の考察 ~Text-to-MusicとText-To-ImageかつImage-to-Music...
 
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer
自分史上一番早い2024振り返り〜コロナ後、仕事は通常ペースに戻ったか〜 by IoT fullstack engineer
 
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdf
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdfAWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdf
AWS の OpenShift サービス (ROSA) を使った OpenShift Virtualizationの始め方.pdf
 
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdf
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdfクラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdf
クラウドネイティブなサーバー仮想化基盤 - OpenShift Virtualization.pdf
 
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)
デジタル・フォレンジックの最新動向(2024年4月27日情洛会総会特別講演スライド)
 

2016 サイバスロン報告

  • 2. CYBATHLON CHAMPIONSHIP 2016 概要 • サイバスロンは、障害者が競技に参加するという点ではパラ リンピックと同じだが、パラリンピックが選手の優れた運動 能力に焦点を当てる一方で、身体に障害のある人々が日常生 活に対処する助けとなる全く新しいロボット補助デバイスに 注目する「生体工学のオリンピック」と言える。 • サイバスロンの運営を支援するチューリッヒ工科大学の教授 、 Robert Riener 氏は、「勝ち負けを決めたり、順位を決めたり することはあまり重要視していません。私たちは、日常生活 で障害となるものを克服するための技術活用を支援・促進し たいのです。」と語っています。
  • 3.
  • 4. CYBATHLON のレース競技6種目 1. Brain-Computer Interface Race ( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム) 2. Functional Electrical Stimulation Bike Race ( FES: 電気刺激バイク・レース) 3. Powered Arm Prosthesis Race ( ARM: パワード義手レース) 4. Powered Leg Prosthesis Race ( LEG: パワード義足レース) 5. Powered Exoskeleton Race ( EXO: 歩行補助器具レース) 6. Powered Wheelchair Race ( WHEEL: パワード車いすレー ス) ・・・日本チームの出場あり
  • 6. 日本からの出場チーム チーム名 チーム概要 出場部門 出場者コメント 株式会社 メルティン MMI 人が体を動かす時に脳から筋肉に送られる電気 信号をキャッチして、直感的に動かせる筋電義手。 デモにはスイスでの Cybathlon 本戦に出場する アスリート(パイロット)も北海道から駆けつける。 さらに 2 種目目として FES( )※ で動くバイク部門に もエントリー。電気通信大学発ベンチャー。 パワード義手 FES バイク 障害者の生活をよくするのみならず、最先端 技術でさらなる可能性が開けることをアピー ルしたいと思います。世界にメルティンが開 発しているような義手が存在することを広く 認知してもらいたいと願っています。 和歌山大学 サイバスロン プロジェクト RT-Movers RT-Mover PType WA は4つの車輪が個別に路面に 対応できるのが特徴。車いすでの移動には大きな 障害となる、段差やスロープを克服し、利用者の 行動範囲を飛躍的に広げる。教授と学部生のみの 少数精鋭チーム。 パワード車椅子 実際のユーザが搭乗するという実用フェーズ を意識した国際大会での評価を経ることで、 より質の高い研究開発につなげることを目指 します。全学プロジェクトとして、世界での ネットワークを構築したいと考えています。 株式会社サイ ボーグ ロボット義足 Xi leg は足を前に出したり蹴り出す ときの人の足首の角度を再現し、歩行の自然な 力強さを実現する。技術はもちろんのこと開発陣も 要注目の陣揃え。 パワード義足 サイバスロンは実際に使える製品を生み出す 登竜門として始まる世界初のサイボーグ技術 の競技会です。我々は義足を実際に世の中に 商品化して売り出すことを前提に開発して いるので、その過程でのマイルストーンに はまったため、参加を決めました。 出典: http://www.stofficetokyo.ch/st-office-tokyo-presents-cybathlon-jp/ ※ 脳卒中や脊髄損傷などで中枢神経が損なわれた人の末梢の運動神経や筋に電気刺激を与えることで、   運動機能を再建する機能的電気刺激( Functional Electrical Stimulation ) 4 位入 賞
  • 7. 各競技の説明 1. Brain-Computer Interface Race ( BCI: 脳波コンピュータ・ゲーム) 脳波コンピュータ・インターフェイス( BCI )のレースでは、仮想ゲームを通して、日常生活の中で様々なアプリケーションを BCI で開発するための BCI の信頼性と精度が試されます。例えば、四肢麻痺を有する人がコンピュータやロボットアーム、車椅子 といった様々なデバイスを制御するために、 BCI は脳信号を検出することができます。 各レースで最大 4 名のパイロットに、 BrainRunners ゲームでアバターを制御するための BCI が装備されます。 BrainRunners ゲームは、 サイバスロンの BCI レース用に開発されたマルチプレイヤー型のゲームです。各アバターは勝手に前方に移動するため、パイロッ トからの入力信号がなくてもレースの最終ラインに到達します。パイロットは、色のついた「パッド」で示された専用領域を歩き ながら、 BCI を使用して、正しいタイムフレームで適切なコマンドを送信する必要があります。 正しいコマンドを正しい時間に与えるか、必要のないときはコマンドを送信しないことで、アバターを高速に移動させ、最終ライ ン近くにアバターを動かすことで、他の競争者よりも優位に立つことができます。パイロットは、アバターが「回る」アクション パッド(シアン)上で回転させたり、「ジャンプ」アクションパッド(マゼンタ)上でトゲをジャンプしたり、「スライド(黄 色)」上の光線の下をスライドする指示を送ることができます。 このように、最大で三つの異なるコマンドをゲーム内の BCI から送信することができますが、すべてのコマンドが実装されている 必要はありません。ゲームを実行するのに一つのコマンドで十分ですが、パイロットが発射し、 BCI システムが検出できるコマン ドが多数ある方が、アバターはより早く最終ラインに到達することができます。 誤ってコマンドを選択したり( ROTATE のかわりに JUMP を選択するなど)、コマンドを送信するタイミングを間違えたりすると 、不利益を被ります(例えば、アバターに減速をもたらし、時間を失うことになります)。例えば、「 NOINPUT 」パッドの上で は、何のインプットもしなければ、早く走れますし、誤ってコマンドを送信してしまうと、減速することになります。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf
  • 8.
  • 9. 各競技の説明 2. Functional Electrical Stimulation Bike Race (電気刺激バイク・レース) 完全な脊髄損傷( SCI )を持つパイロットは、機能的電気刺激( FES )装置を装着 し、サイクリング装置にペダリング運動を実行できるようになります。 彼らは、約 750 メートルの総距離をもたらす円形レーストラックを 5 周まわります。 パイロットはレース前に専門的な FES の研修制度により、それらの筋肉を訓練しま す。 レース中、強さに加えて、強度の時間的配分はまた、筋肉疲労の影響を最小化する のに重要な役割を果たします。 レースでは、 2 人のパイロットが、円形のレーストラック上で同時にスタートしま す。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_RacesRules.pdf
  • 10.
  • 11. 各競技の説明 3. Powered Arm Prosthesis Race (義手レース) 前腕や上腕が切断されたパイロットは、エキソプロテーゼ・デバイス(アームプロテーゼ)を 装着します。パイロットは、与えられた制限時間内にできるだけ多くのタスクを解決するよう に求められます。パイロットは、日常生活の活動に関連するタスクにたいして挑戦をします。 一部のタスクでは、パイロットは両方の手や腕だけでなく、身体の他の部分を使用することが 許可されています。これらのタスクには、食事を準備したり、階段の上に大きなものを運ぶ (例えば、売り手から物を買ったり、集めたりする)ことが含まれています。他のタスクでは 、パイロットは、人工器官のパフォーマンスに明示的に挑戦する運動にチャレンジします。こ れらのタスクでは、パイロットは、義手を使って特定のもの、またはものの一部を操作するこ とだけが許されています。これらのものや部品は、青色に着色されます。棚から小さい日常品 をつかんで、テーブルに運ぶといった青色のものや部品を使ったタスク、ものほしに洗濯バサ ミを使って服をかけるといったタスク、ワイヤーループタスクやパズルタイプのタスクが行わ れます。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08-10_Cybathlon_R
  • 12.
  • 13. 各競技の説明 4. Powered Leg Prosthesis Race (義足レース) • 大腿切断または膝関節離断切断のあるパイロットが、エキソ プロテーゼ・デバイス(脚補綴)を装着し、与えられた時間 内にできるだけ多くのタスクを解決します。 • ほとんどのタスクは、日常の活動を表しています。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08- 10_Cybathlon_RacesRules.pdf
  • 14.
  • 15. 各競技の説明 5. Powered Exoskeleton Race (歩行補助器具レース) • 完全な胸部脊髄損傷や腰部脊髄損傷を持つパイロットが、 外骨格のデバイスを装着します。与えられた時間内にできる だけ多くのタスクを解決します。 • ほとんどのタスクは日常生活の活動です。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08- 10_Cybathlon_RacesRules.pdf
  • 16.
  • 17. 各競技の説明 6. Powered Wheelchair Race (車いすレース) 異なる障害レベル(例えば四肢麻痺、対麻痺、切断者)のパイ ロットが、電動車椅子を装備し、限られた時間内にできるだけ 多くのタスクを解決するように求められます。 ほとんどのタスクは、日常生活の活動を表しています。 6 つの課題(机に正しくつく、スラローム、ドアのついたス ロープの上り下り、ガタガタ道、バンク、階段の上り下り)が 設置されたコースを走行し、合計点数の高いチームが勝利。 参考) https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/conference-websites-dam/cybathlon-dam/documents/2016-08- 10_Cybathlon_RacesRules.pdf
  • 18.
  • 19. 所感 • サイバスロンは、非常に訓練された事務局メンバーから構成されており、 時間が過ぎてしまったパイロットを強制的に会場から退場させるなど、時 間内で競技が終わるように徹底されていた。今後のロボットコンテスト開 催時にも運営上非常に参考になった。 • 体育館内で1日で終了するよう競技が考えられており、小規模なものに感 じられた。実際の街を舞台に競技を行うようなことも考えられる。 • 当初、サイバスロンを日本に誘致するようなことも考えたが、日本発で国 際ロボットコンテストを開催することも十分可能であると感じられた。 参考) https://r.lne.st/2016/10/09/14981/