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食塩フルカラー立体造形モデルの 
顎顔面外科手術での臨床応用 
東海大学 医学部 外科学形 形成外科 
赤松 正、 花井 潮、 鈴木沙知、 中村英子 
宮坂宗男
食塩フルカラー立体造形モデル(ソニー株式会社製)を 
顎顔面外科手術症例で臨床使用してきた。 
(2010年3月 から 2013年10月まで) 
特徴 
スプレー・ドライ製法により精製した粒径30μの均一な食塩微粒子を原料と する。 
ラインヘッドにより、一面の描画が約5秒で完成し造形が高速である。 
DICOMデータ上で閾値を設定し、色変換をかけることで自動的なカラー造 形がなされる。 
特徴 
スプレー・ドライ製法により精製した粒径30μの均一な食塩微粒子を原料と する。 
ラインヘッドにより、一面の描画が約5秒で完成し造形が高速である。 
DICOMデータ上で閾値を設定し、色変換をかけることで自動的なカラー造 形がなされる。
小児に行われる頭蓋骨骨延長術では、骨片を完全に骨切りせず 一部分が頭蓋底と連続した状況で残りpedicleとなる。 
骨片はpedicle部分をヒンジとして広がり、多くのケースでは、 
ローテーションを伴う。 
三次元的な変形をともなう骨片の動きと、本来一方向にしか機能し ない延長器の延長方向とは一致しない。 
しかしこの不一致は小児の頭蓋骨の柔らかさを利用して吸収され、 臨床的にはスムースな延長が可能である。 
小児頭蓋骨の弾力性がもたらすこれらの三次元的変形は弾力性 のない実体モデルでは再現できない。
1) 粉体の固形化に用いる硬化剤の調整により 
モデルに弾性を持たせることができた。 
頭蓋骨早期癒合症における頭蓋骨延長をほぼシミュレート できた。 
モデルの変形は術後の患者の骨の形態変化と近似した 
ものだった。 
骨の三次元的弾性変形のシミュレーションを可能にする 
モデルであると期待される。 
骨切り線の位置、骨切りせずに残すpedicle部分の長さなど を決めるガイドになる

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