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スペクトルグラフ理論入門
M2 楠本
自己紹介
楠本 充 aka @ir5
所属 : 京都大学 岩間研究室 修士二年
研究 : 理論系のグラフアルゴリズム
PFI : インターン(2012) → アルバイト
プログラミングコンテストに参加していた系の人
• GCJ(2011), I...
概要
スペクトルグラフ理論 : グラフを解析する手法の話
• グラフの隣接行列 (のようなもの) の固有値・固有
ベクトルが,元のグラフの何らかの性質を物語っている
入門的な話をします
1
2
4 5
3
G AG
・グラフカット
・彩色数
・...
アウトライン
• 線形代数の軽い復習
• スペクトルグラフ理論の概要
• 理論の話
• 応用の話 (軽く)
線形代数
例 : 𝐴 =
1 2
2 4
のとき,
1 2
2 4
1
2
= 5
1
2
,
1 2
2 4
−2
1
= 0
−2
1
なので A の固有値は 5, 0 で,対応する固有ベクトルは
1
2
,
−2
1
.
n×n 行列 A...
線形代数
「∃ψ ≠ 0,Aψ = λψ」 ⇔ det(A - λI) = 0
で det(A - λI) は λ の n 次多項式なのでこのような λ は
高々 n 個ある.
異なる λ に属する固有ベクトルは互いに直交する.
λ に属する固...
線形代数
一般に
• 固有値は複素数かもしれない
• 線形独立な固有ベクトルは n 個未満かもしれない
が,A が実対称行列のときは
• 固有値は全て実数
• 固有ベクトルの各要素は全て実数
• 固有ベクトルが正規直行基底になるように n 個取...
定義
• G = (V, E) : n 頂点無向グラフ (有向グラフは扱わない)
• AG := G の隣接行列,DG := G の次数行列
1
2
4 5
3
G
[01010]
[10110]
[01001]
[11001]
[00110]...
定義
• G = (V, E) : n 頂点無向グラフ (有向グラフは扱わない)
• AG := G の隣接行列,DG := G の次数行列
• LG := -AG + DG ラプラシアン行列
1
2
4 5
3
G
LG
[ 2 -1 0 -...
定義
• AG, LG は実対称なので実数の固有値を持つ
• λ1 ≤ λ2 ≤ λ3 ≤ … ≤ λn : LG の固有値
• ψ1, ψ2, ψ3, …, ψn : 各 λi に対応する固有ベクトル
1
2
4 5
3
G
LG
[ 2 -...
例
1
2
4 5
3
λ1 λ2 λ3 λ4 λ5
ψ1 ψ2 ψ3 ψ4 ψ5
1
2
3
4
5
例
λ1 λ2 λ3 λ4 λ5 λ6 λ7 λ8 λ9
ψ1 ψ2 ψ3 ψ4 ψ5 ψ6 ψ7 ψ8 ψ9
スペクトルグラフ理論
AG や LG の固有値と固有ベクトルを使ってグラフの性質を
解析する分野
例:
λ2 = 0 ⇔ グラフ G が非連結
λk = 0, λk+1 > 0 ⇔ グラフ G が k 個連結成分を持つ
λ1 λ2 λ3 λ4 ...
スペクトルグラフ理論
歴史: 1950s~, 古くからある
理論的な興味:
グラフの特徴と固有値の特徴をうまく関連付けたい.
• グラフのパラメータを不等式で bound する
応用:
• スペクトラルクラスタリング
• 画像のセグメンテーショ...
スペクトルグラフ理論
今日の内容 (再) :
スペクトルグラフ理論の入門的な内容
Yale 大学の Daniel Spielman 先生の講義録の前半部を
強く参考にしています
http://www.cs.yale.edu/homes/spie...
ラプラシアンの固有値
ラプラシアンの性質
• ベクトル x に対して, 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 = 𝑥 𝑖 − 𝑥 𝑗
2
𝑖,𝑗 ∈𝐸(𝐺)
• なので LG は半正定値行列である
• λ1 = 0
• 半正定値行列なので固有値は ≥ 0
• LG 1 = 0 なので...
ラプラシアンの性質
λ2 はどうか?
• 行列 M, ベクトル x に対して,
𝑥 𝑇 𝑀𝑥
𝑥 𝑇 𝑥
を M に関する x のレイリー商と呼ぶ.
(正規化された2次形式)
1
2
4 5
3 [ 2 -1 0 -1 0]
[-1 3 -1 ...
ラプラシアンの性質
補題. 𝜆2 = min 𝑥⊥1
𝑥 𝑇
𝐿 𝐺
𝑥
𝑥 𝑇
𝑥
(= min
𝑥⊥1, 𝑥 =1
𝑥 𝑖 − 𝑥 𝑗
2
)
𝑖,𝑗 ∈𝐸
1
2
4 5
3 [ 2 -1 0 -1 0]
[-1 3 -1 -1 0]
[...
ラプラシアンの性質
補題. 𝜆2 = min 𝑥⊥1
𝑥 𝑇
𝐿 𝐺
𝑥
𝑥 𝑇
𝑥
証明:略 (適当に線形代数するとできる)
ちなみに:
• 実対称行列ならラプラシアンでなくても成立
1
2
4 5
3 [ 2 -1 0 -1 0]
[-1 ...
テストベクトル
右辺が何かのグラフパラメータになるように x を取ると,
グラフパラメータを固有値で下から bound できて便利.
(そのような x をテストベクトルと呼ぶ)
補題より,何か適当な 𝑥 ⊥ 1を取ってくると以下が成立
𝜆2 ≤...
テストベクトル
例:
∂(S) := {(u, v)∈E | u∈S, v ∉ S}
ℎ 𝐺 ≔ min
𝑆
|𝜕 𝑆 |
min( 𝑆 , 𝑉−𝑆 )
(edge expansion)
• グラフのカットに関するパラメータの1つ
• (各頂点...
テストベクトル
例:
∂(S) := {(u, v)∈E | u∈S, v ∉ S}
ℎ 𝐺 ≔ min
𝑆
|𝜕 𝑆 |
min( 𝑆 , 𝑉−𝑆 )
(edge expansion)
|𝜕 𝑆 |
𝑆
= 4/4 = 1
|𝜕 𝑆 |
𝑆
...
テストベクトル
証明
• S を最小のedge expansion を達成する頂点集合とする:
ℎ 𝐺 =
|𝜕 𝑆 |
𝑆
.
• ベクトル y を 𝑦 𝑖 =
1 𝑖𝑓 𝑖 ∈ 𝑆
0 𝑜𝑡ℎ𝑒𝑟𝑤𝑖𝑠𝑒
とおく.
• yT LG y = ...
テストベクトル
証明 (cont.)
• x = y - s1 (s := |S| / |V|) とおくと,
• x ⊥ 1
• xTLGx = ∂(S)
• xTx = |S|(1-s)
となるので,
定理. λ2 ≤ 2h(G)
S
G
∂...
独立集合・彩色数
定理. S を G の独立集合とする.
S の平均次数を dave(S) とするとき,以下が成立.
𝑆 ≤ 𝑛(1 −
𝑑 𝑎𝑣𝑒(𝑆)
𝜆 𝑛
)
• 証明はテストベクトルによる.
• ただし 𝜆2 = m𝑎𝑥
𝑥
𝑥 𝑇
...
独立集合・彩色数
定理. χ(G) を G の彩色数とすると,
𝜒 𝐺 ≥
𝜆 𝑛
𝜆 𝑛 − 𝑑 𝑎𝑣𝑒(𝐺)
証明
• k = χ(G) として Si を色 i の点集合とすると
𝑆𝑖 ≤ 𝑛 1 −
𝑑 𝑎𝑣𝑒 𝑆𝑖
𝜆 𝑛
i = 1,...
Cheeger の不等式
d(S) := S の次数和
𝜙 𝐺 ≔ min
𝑆
|𝜕 𝑆 |
min(𝑑 𝑆 ,𝑑 𝑉−𝑆 )
(conductance)
• カットに関するパラメータの一つ
|𝜕 𝑆 |
min(𝑑 𝑆 ,𝑑 𝑉−𝑆 )
= ...
Cheeger の不等式
さらに 𝑁 𝐺 ≔ 𝐷 𝐺
−
1
2 𝐿 𝐺 𝐷 𝐺
−
1
2 とする.
• 対角成分が 1 になるように行と列に値をかけたもの
0 = ν1 ≤ ν2 ≤ ν3 ≤ ... ≤ νn : NG の固有値
• 左側...
Cheeger の不等式
いい点:
固有ベクトルを求めると実際にこの不等式を達成する
カット集合 S を1つ求めることができる.
• 対応するベクトルの要素が閾値より低いものを
カット頂点に選ぶ,とかする
→ 質の良いカットを求められる可能性
...
隣接行列の固有値
隣接行列
隣接行列の固有値・固有ベクトルについて考える.
• μ1 ≥ μ2 ≥ μ3 ≥ … ≥ μn : AG の固有値
• φ1, φ2, φ3, …, φn : 各 λi に対応する固有ベクトル
とする
隣接行列
なぜ λi と μi で並びが逆?
もし G の次数がすべて d なら LG = dI - AG なので
• LG の最大固有値 = d - (AG の最小固有値)
• …
• LG の最小固有値 = d - (AG の最大固有値)
...
彩色数 (Wilf の定理)
次の補題を利用する:
• i. (G の平均次数) ≤ μ1
• ii. グラフから1頂点削除すると隣接行列の最大固有値は
変わらないか,減少する.
証明: n の帰納法による.
• n=1 は自明.n ≥ 2 の...
応用の話
応用の話
(あまり追えてないので軽くやります)
グラフ同型性判定
• 2つのグラフ G, H が同型か判定したい
• 一般には P 問題でも NP完全でもないと予想されている
• 自明なこと: G, H で固有値の列が違う ⇒ G, H は非同...
応用の話
(あまり追えてないので軽くやります)
グラフ同型性判定
• [Babai, Grigoryev, Mount ‘82]
固有値の重複度が定数なら多項式時間で判定可能.
• [Furer ‘95]
実数計算無しのアルゴリズムを提案
応用の話
スペクトラルクラスタリング
• グラフのクラスタリングアルゴリズム
• Normalized cut という edge expansion を少し変形した
パラメータを最大化する.
• 固有ベクトルを計算することで,良い normal...
応用の話
画像セグメンテーション
• Normalized cut の応用
• グラフの密度と出力の精度にトレードオフがある
Spectral segmentation with multiscale graph decomposition. ...
応用の話
グラフ彩色
• 3彩色問題 : 頂点を3色に塗り分け,同じ色の点同士は
結ばれてないようにしたい
• 有名な NP 完全問題
• 入力が 3彩色可能なグラフに制限されていても難しい
• [Alon, Nabil ‘97] 入力を 3 ...
応用の話
グラフ彩色
アルゴリズム:
• 隣接行列の固有ベクトル φn, φn-1 を計算
• 2次元上の点集合 (φn(i), φn-1(i)) を考える.
それらを原点を通る直線で n/2 個ずつに分ける.
• 「直線から近い点」「直線から...
プログラミングコンテスト
における固有値
実際使われた例は殆ど見かけない.強いて挙げるなら…
KUPC2013 K問題 「encode/decode」
「長さ L の0/1 列と↓のグラフの長さ L+10 のウォークを
1対1対応させる関数を作...
グラフスペクトル解析ツール
実際に固有値を見たい人向けツール
他にも多数.
Sage : 本格的数式処理システム
http://www.sagemath.org/
newGraph : 手軽
http://www.mi.sanu.ac.rs/n...
まとめ
スペクトルグラフ理論の入門的な内容について発表した.
理論:
• ラプラシアンのテストベクトルによるパラメータ bound
• カットパラメータ
• 独立集合,彩色数
応用:
• スペクトラルクラスタリング
• グラフ彩色
他にも グラ...
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スペクトラルグラフ理論入門

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スペクトラルグラフ理論入門

  1. 1. スペクトルグラフ理論入門 M2 楠本
  2. 2. 自己紹介 楠本 充 aka @ir5 所属 : 京都大学 岩間研究室 修士二年 研究 : 理論系のグラフアルゴリズム PFI : インターン(2012) → アルバイト プログラミングコンテストに参加していた系の人 • GCJ(2011), ICPC(2012), TCO(2013) ← !!New!!
  3. 3. 概要 スペクトルグラフ理論 : グラフを解析する手法の話 • グラフの隣接行列 (のようなもの) の固有値・固有 ベクトルが,元のグラフの何らかの性質を物語っている 入門的な話をします 1 2 4 5 3 G AG ・グラフカット ・彩色数 ・グラフ直径 等 μ1 = -2 μ2 = -1.170 μ3 = 0 μ4 = 0.6888 μ5 = 2.4811 [01010] [10110] [01001] [11001] [00110] 固有値:
  4. 4. アウトライン • 線形代数の軽い復習 • スペクトルグラフ理論の概要 • 理論の話 • 応用の話 (軽く)
  5. 5. 線形代数 例 : 𝐴 = 1 2 2 4 のとき, 1 2 2 4 1 2 = 5 1 2 , 1 2 2 4 −2 1 = 0 −2 1 なので A の固有値は 5, 0 で,対応する固有ベクトルは 1 2 , −2 1 . n×n 行列 A に対してスカラー λ,ベクトル ψ ≠ 0 が Aψ = λψ を満たすとき λ を A の固有値,ψ を固有ベクトルと言う.
  6. 6. 線形代数 「∃ψ ≠ 0,Aψ = λψ」 ⇔ det(A - λI) = 0 で det(A - λI) は λ の n 次多項式なのでこのような λ は 高々 n 個ある. 異なる λ に属する固有ベクトルは互いに直交する. λ に属する固有ベクトルは無限個考えられるが, その中でも線形独立なものだけを考える. n×n 行列 A に対してスカラー λ,ベクトル ψ ≠ 0 が Aψ = λψ を満たすとき λ を A の固有値,ψ を固有ベクトルと言う.
  7. 7. 線形代数 一般に • 固有値は複素数かもしれない • 線形独立な固有ベクトルは n 個未満かもしれない が,A が実対称行列のときは • 固有値は全て実数 • 固有ベクトルの各要素は全て実数 • 固有ベクトルが正規直行基底になるように n 個取れる (よく知られた性質) n×n 行列 A に対してスカラー λ,ベクトル ψ ≠ 0 が Aψ = λψ を満たすとき λ を A の固有値,ψ を固有ベクトルと言う.
  8. 8. 定義 • G = (V, E) : n 頂点無向グラフ (有向グラフは扱わない) • AG := G の隣接行列,DG := G の次数行列 1 2 4 5 3 G [01010] [10110] [01001] [11001] [00110] AG DG [2 ] [ 3 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 2]
  9. 9. 定義 • G = (V, E) : n 頂点無向グラフ (有向グラフは扱わない) • AG := G の隣接行列,DG := G の次数行列 • LG := -AG + DG ラプラシアン行列 1 2 4 5 3 G LG [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2]
  10. 10. 定義 • AG, LG は実対称なので実数の固有値を持つ • λ1 ≤ λ2 ≤ λ3 ≤ … ≤ λn : LG の固有値 • ψ1, ψ2, ψ3, …, ψn : 各 λi に対応する固有ベクトル 1 2 4 5 3 G LG [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2]
  11. 11. 例 1 2 4 5 3 λ1 λ2 λ3 λ4 λ5 ψ1 ψ2 ψ3 ψ4 ψ5 1 2 3 4 5
  12. 12. 例 λ1 λ2 λ3 λ4 λ5 λ6 λ7 λ8 λ9 ψ1 ψ2 ψ3 ψ4 ψ5 ψ6 ψ7 ψ8 ψ9
  13. 13. スペクトルグラフ理論 AG や LG の固有値と固有ベクトルを使ってグラフの性質を 解析する分野 例: λ2 = 0 ⇔ グラフ G が非連結 λk = 0, λk+1 > 0 ⇔ グラフ G が k 個連結成分を持つ λ1 λ2 λ3 λ4 λ5 λ6
  14. 14. スペクトルグラフ理論 歴史: 1950s~, 古くからある 理論的な興味: グラフの特徴と固有値の特徴をうまく関連付けたい. • グラフのパラメータを不等式で bound する 応用: • スペクトラルクラスタリング • 画像のセグメンテーション • グラフの同型性判定 • グラフの平面描画 • etc.
  15. 15. スペクトルグラフ理論 今日の内容 (再) : スペクトルグラフ理論の入門的な内容 Yale 大学の Daniel Spielman 先生の講義録の前半部を 強く参考にしています http://www.cs.yale.edu/homes/spielman/561/
  16. 16. ラプラシアンの固有値
  17. 17. ラプラシアンの性質 • ベクトル x に対して, 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 = 𝑥 𝑖 − 𝑥 𝑗 2 𝑖,𝑗 ∈𝐸(𝐺) • なので LG は半正定値行列である • λ1 = 0 • 半正定値行列なので固有値は ≥ 0 • LG 1 = 0 なので LG は固有値 0 を持つ 1 2 4 5 3 [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2]
  18. 18. ラプラシアンの性質 λ2 はどうか? • 行列 M, ベクトル x に対して, 𝑥 𝑇 𝑀𝑥 𝑥 𝑇 𝑥 を M に関する x のレイリー商と呼ぶ. (正規化された2次形式) 1 2 4 5 3 [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2]
  19. 19. ラプラシアンの性質 補題. 𝜆2 = min 𝑥⊥1 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 𝑥 𝑇 𝑥 (= min 𝑥⊥1, 𝑥 =1 𝑥 𝑖 − 𝑥 𝑗 2 ) 𝑖,𝑗 ∈𝐸 1 2 4 5 3 [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2] 1 2 4 5 3 0.63246 0.19544 0.19544 -0.51167 -0.51167
  20. 20. ラプラシアンの性質 補題. 𝜆2 = min 𝑥⊥1 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 𝑥 𝑇 𝑥 証明:略 (適当に線形代数するとできる) ちなみに: • 実対称行列ならラプラシアンでなくても成立 1 2 4 5 3 [ 2 -1 0 -1 0] [-1 3 -1 -1 0] [ 0 -1 2 0 -1] [-1 -1 0 3 -1] [ 0 0 -1 -1 2]
  21. 21. テストベクトル 右辺が何かのグラフパラメータになるように x を取ると, グラフパラメータを固有値で下から bound できて便利. (そのような x をテストベクトルと呼ぶ) 補題より,何か適当な 𝑥 ⊥ 1を取ってくると以下が成立 𝜆2 ≤ 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 𝑥 𝑇 𝑥
  22. 22. テストベクトル 例: ∂(S) := {(u, v)∈E | u∈S, v ∉ S} ℎ 𝐺 ≔ min 𝑆 |𝜕 𝑆 | min( 𝑆 , 𝑉−𝑆 ) (edge expansion) • グラフのカットに関するパラメータの1つ • (各頂点から平均何本辺が外に出ているか?) • h(G) の計算はNP完全 S G ∂(S)
  23. 23. テストベクトル 例: ∂(S) := {(u, v)∈E | u∈S, v ∉ S} ℎ 𝐺 ≔ min 𝑆 |𝜕 𝑆 | min( 𝑆 , 𝑉−𝑆 ) (edge expansion) |𝜕 𝑆 | 𝑆 = 4/4 = 1 |𝜕 𝑆 | 𝑆 = 2/1 = 2
  24. 24. テストベクトル 証明 • S を最小のedge expansion を達成する頂点集合とする: ℎ 𝐺 = |𝜕 𝑆 | 𝑆 . • ベクトル y を 𝑦 𝑖 = 1 𝑖𝑓 𝑖 ∈ 𝑆 0 𝑜𝑡ℎ𝑒𝑟𝑤𝑖𝑠𝑒 とおく. • yT LG y = ∂(S) である. 定理. λ2 ≤ 2h(G) S G ∂(S)
  25. 25. テストベクトル 証明 (cont.) • x = y - s1 (s := |S| / |V|) とおくと, • x ⊥ 1 • xTLGx = ∂(S) • xTx = |S|(1-s) となるので, 定理. λ2 ≤ 2h(G) S G ∂(S) 𝜆2 ≤ 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 𝑥 𝑇 𝑥 = 𝜕 𝑆 𝑆 1 − 𝑠 ≤ 2ℎ(𝐺)
  26. 26. 独立集合・彩色数 定理. S を G の独立集合とする. S の平均次数を dave(S) とするとき,以下が成立. 𝑆 ≤ 𝑛(1 − 𝑑 𝑎𝑣𝑒(𝑆) 𝜆 𝑛 ) • 証明はテストベクトルによる. • ただし 𝜆2 = m𝑎𝑥 𝑥 𝑥 𝑇 𝐿 𝐺 𝑥 𝑥 𝑇 𝑥 を用いる これを利用して彩色数を bound できる.
  27. 27. 独立集合・彩色数 定理. χ(G) を G の彩色数とすると, 𝜒 𝐺 ≥ 𝜆 𝑛 𝜆 𝑛 − 𝑑 𝑎𝑣𝑒(𝐺) 証明 • k = χ(G) として Si を色 i の点集合とすると 𝑆𝑖 ≤ 𝑛 1 − 𝑑 𝑎𝑣𝑒 𝑆𝑖 𝜆 𝑛 i = 1,...,k について足すと, n ≤ n(k - dave(G)/λn) ∴ k ≥ λn / (λn - dave(G))
  28. 28. Cheeger の不等式 d(S) := S の次数和 𝜙 𝐺 ≔ min 𝑆 |𝜕 𝑆 | min(𝑑 𝑆 ,𝑑 𝑉−𝑆 ) (conductance) • カットに関するパラメータの一つ |𝜕 𝑆 | min(𝑑 𝑆 ,𝑑 𝑉−𝑆 ) = 4/12 = 1/3
  29. 29. Cheeger の不等式 さらに 𝑁 𝐺 ≔ 𝐷 𝐺 − 1 2 𝐿 𝐺 𝐷 𝐺 − 1 2 とする. • 対角成分が 1 になるように行と列に値をかけたもの 0 = ν1 ≤ ν2 ≤ ν3 ≤ ... ≤ νn : NG の固有値 • 左側はテストベクトルによる. • 右側は結構難しい.Luca Trevisan の確率的手法による 証明がカッコいい. 定理 (Cheeger の不等式): 𝜈2 2 ≤ 𝜙 𝐺 ≤ √(2𝜈2)
  30. 30. Cheeger の不等式 いい点: 固有ベクトルを求めると実際にこの不等式を達成する カット集合 S を1つ求めることができる. • 対応するベクトルの要素が閾値より低いものを カット頂点に選ぶ,とかする → 質の良いカットを求められる可能性 𝜙 𝐺 ≤ √(2𝜈2)
  31. 31. 隣接行列の固有値
  32. 32. 隣接行列 隣接行列の固有値・固有ベクトルについて考える. • μ1 ≥ μ2 ≥ μ3 ≥ … ≥ μn : AG の固有値 • φ1, φ2, φ3, …, φn : 各 λi に対応する固有ベクトル とする
  33. 33. 隣接行列 なぜ λi と μi で並びが逆? もし G の次数がすべて d なら LG = dI - AG なので • LG の最大固有値 = d - (AG の最小固有値) • … • LG の最小固有値 = d - (AG の最大固有値) と対応しているため. 性質 (Perron-Frobenius) : G が連結なとき, • μ1 + μn ≥ 0 • μ1 > μ2 • φ1 > 0 とか
  34. 34. 彩色数 (Wilf の定理) 次の補題を利用する: • i. (G の平均次数) ≤ μ1 • ii. グラフから1頂点削除すると隣接行列の最大固有値は 変わらないか,減少する. 証明: n の帰納法による. • n=1 は自明.n ≥ 2 のときを考える. • i. より,次数 μ1 以下の点があるのでそれを v とする. • ii. と帰納法の仮定より G-{v} は μ1+1 色で塗れる. v の次数は μ1 以下なので,μ1+1 色のうち使われてない色で v を塗ると良い. 𝜒 𝐺 ≤ 𝜇1 + 1
  35. 35. 応用の話
  36. 36. 応用の話 (あまり追えてないので軽くやります) グラフ同型性判定 • 2つのグラフ G, H が同型か判定したい • 一般には P 問題でも NP完全でもないと予想されている • 自明なこと: G, H で固有値の列が違う ⇒ G, H は非同型 • 逆は成立しない.
  37. 37. 応用の話 (あまり追えてないので軽くやります) グラフ同型性判定 • [Babai, Grigoryev, Mount ‘82] 固有値の重複度が定数なら多項式時間で判定可能. • [Furer ‘95] 実数計算無しのアルゴリズムを提案
  38. 38. 応用の話 スペクトラルクラスタリング • グラフのクラスタリングアルゴリズム • Normalized cut という edge expansion を少し変形した パラメータを最大化する. • 固有ベクトルを計算することで,良い normalized cut を 得られる. • 一応理論上の bound 有り? • 実用上は理論の bound よりも良い性能が出る模様 • データマイニングの分野で結構応用されているっぽい?
  39. 39. 応用の話 画像セグメンテーション • Normalized cut の応用 • グラフの密度と出力の精度にトレードオフがある Spectral segmentation with multiscale graph decomposition. Cour et al. ‘05
  40. 40. 応用の話 グラフ彩色 • 3彩色問題 : 頂点を3色に塗り分け,同じ色の点同士は 結ばれてないようにしたい • 有名な NP 完全問題 • 入力が 3彩色可能なグラフに制限されていても難しい • [Alon, Nabil ‘97] 入力を 3 彩色可能なランダムグラフに 制限したとき,確率ほぼ 1 でグラフを3彩色する.
  41. 41. 応用の話 グラフ彩色 アルゴリズム: • 隣接行列の固有ベクトル φn, φn-1 を計算 • 2次元上の点集合 (φn(i), φn-1(i)) を考える. それらを原点を通る直線で n/2 個ずつに分ける. • 「直線から近い点」「直線から遠くて (左側 |右側) に ある点」の 3 つに分類 → 3彩色になるよう調整する
  42. 42. プログラミングコンテスト における固有値 実際使われた例は殆ど見かけない.強いて挙げるなら… KUPC2013 K問題 「encode/decode」 「長さ L の0/1 列と↓のグラフの長さ L+10 のウォークを 1対1対応させる関数を作れ.」 長さ L のウォークの個数 = Θ(μ1^L) で,↑のグラフでは μ1 = 2 であることを利用する. http://www.math.dartmouth.edu/~m68f11/algcomb.pdf
  43. 43. グラフスペクトル解析ツール 実際に固有値を見たい人向けツール 他にも多数. Sage : 本格的数式処理システム http://www.sagemath.org/ newGraph : 手軽 http://www.mi.sanu.ac.rs/newgraph/
  44. 44. まとめ スペクトルグラフ理論の入門的な内容について発表した. 理論: • ラプラシアンのテストベクトルによるパラメータ bound • カットパラメータ • 独立集合,彩色数 応用: • スペクトラルクラスタリング • グラフ彩色 他にも グラフ直径,Expander グラフ,グラフ平面描画, ランダムウォーク,行列木定理など.

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