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ク コンサルティング
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クレイン テクノ
Crane techno .
サイト URL:http://crane-techno.com/
2020年9月28日
PDPC法(過程決定計画図)
不測事態
OKNG
打開策
OK
PDPC法(過程決定計画図)
目次
1.PDPC法(過程決定計画図)とは
2.基本的なPDPC法(過程決定計画図)の作成
3.強制連結型PDPC図の作り方 作成事例
4.逐次展開型PDPC図の作り方 事例
5.まとめ
1.PDPC法(過程決定計画図)とは
PDPCは過程決定計画図といわれ、近藤次郎博士が開発した手法です。
問題解決をしていくうえで、情報不足や環境などの変化による不測の事態
をあらかじめ想定して、不測の事態が発生したときの対応策を計画に織り
込み、問題解決への望ましい結果にいたる過程を定める手法です。
とくに、新製品・新技術の開発段階で不測事態の発生が予測される場合や、
営業の受注活動のように相手先の事情や競合企業との関係など、受注獲得
段階で予測困難な事態が起こり得る場合に活用するのが効果的です。
PDPC法には、計画時に不測事態を想定して、その打開策を事前に幾通
りか考え目的を達成する「強制連結型PDPC」と、不測事態の発生都度打
開策を考えて、最悪の事態を回避する「逐次展開型PDPC」の2つがあり
ます。
まずは、気楽にスタートからゴールまで書いてみます。そして、いろいろ
な人たちの意見を聞いたりして修正を加えていきます、リスク検討を行う
とき、リスクマトリックス図などを作成して、PDPCに書き込んでいき
ます。
英語:Principal component analysis
1.1 PDPC法(過程決定計画図)の目的
「PDPC法」の目的は、事態の進展に伴い、いろいろな結果が想定される問
題を望ましい方向に導き、下記のような利点があります。
経験を生かして、先を読み、先手を打ち、最悪の事態を回避できます。
問題の所在、最重点事項の確認が容易に行う事ができます。
事態をどのように導いて終結に到達しようとしているかが図で理解でき、
また関係者にも意図がよく理解できます。
全体の意見を集めて容易に修正することができます。
2.基本的なPDPC法(過程決定計画図)の作成
PDPC法は、解析手法というより発想手法であり、図の作成にも決まった方法は
ありません。
作成の留意点としては、
①PDPCを作成するにあたって、必要な方策や起こり得る不測事態をできる限り
網羅するためには、数人のグループを編成して行なうのが効果的。
②実行段階で当初予期しなかった事態が発生したときに対応できる体制を確保して
いくことなどが挙げられます。
PDPC図の作成例は下記のとおり。
2.1 PDPC図 作成 要点
3.強制連結型PDPC図の作り方
好ましい状態に導くための強制連結型PDPCの作成は下記のとおりです。
目的を決める
達成したい目的を決めます。PDPCを作成する目的となるものは、計画
が進行する過程で、さまざまな不測事態が予想され、簡単には目的を達成
できないと思われるものを取り上げます。
目的が決まれば、PDPCを作成するにあたっての条件を確認して、計画
の出発点とゴールを明確にします。出発点とゴールは、太い二重の長円で
囲んで用紙の中央に書きます。
ここでの目的は、”企画提案書を完成させる“です。出発点は、「企画書を作
成する」とし、ゴールを「企画提案書の完成」としています。
3.2 楽観的なルートを作成
出発点からゴールに至る楽観的なルートを作成します。このルートが理想的な計画
ルートです。
出発点からゴールまで、比較的成功するであろうと考えられる実施結果の事象と、
それに対する実施事項を書き出していきます。このとき、一人よりも多数で検討す
ると、実施事項の漏れがなくなると同時に、いろいろな不測事態を引き出すことが
できます。
ここでは、「企画書を作成する」という出発点から、「目的・ニーズの把握」を行い「コ
ンセプトの作成」を行います。その結果、「コンセプトが完成」という事象になります。
その後、「具体的な設計」が行われ、「コスト評価」もクリアし、「最適策の設計」とい
う事象を経て、ゴールとなる「企画提案書の完成」を達成することができます。
このルートが、楽観的ルートであり、理想的な計画ルートです。
3.3 PDPC 作成記号 統一
PDPCを作成するときに使う記号は、関係者に共通の認識を持たせることから、
統一した記号を使う方がべターです。
出発点とゴールは、二重長円で表示します。
途中のプロセスでは、実施事項を長方形で表し、実施事項を実施した結果となる事
象を一重長円で表します。
不測事態が予想されるところはひし形で表し、不測事態を打開する打開策は、実施
事項と同じ長方形で表します。
実施事項と事態の進展を表す経路は、→で繋ぎます。
3.4 不測事態 想定
楽観的ルートにある実施事項の結果、不測事態が予想される場合に、それらの事象
を挙げます、このポイントをデシジョンポイントといいます。
英語:decision⇒決断
不測事態ルートでは、できるだけ多くの事象とその打開策を講じておく必要があり
ます。
ここでは、「コンセプトの作成」という事象で、「コンセプトが作成できない」という
不測事態が考えられます。このとき、「コンセプトの作成」がひし形に変わり、不測
事態が枝分かれします。
また、「コスト評価」で、予定コストで可能なら基本ルート(下部へ)へ行きますが、
コストアップになった場合、「コストが高い」という不測事態になり、「コスト評価」
がひし形に変わり、経路が枝分かれします。
打開策
打開策
3.5 打開策 検討
不測事態が発生した場合は、本来の楽観的ルートから外れます。したがって、楽観
的ルートヘもどすべく打開策を考えます。
ここでは、「コンセプトの作成ができない」という不測事態に対して、「関係者と
協議」といった打開策を立てています。
そして、「関係者と協議する」ことによってコンセプトができれば、楽観的ルート
の「コンセプトが完成」に戻ります。「関係者と協議する」を行ってもコンセプト
ができない場合を想定するならば、さらに打開策を考えておく必要が出てきます。
ただし、あまり神経質になってすべての実施事項や打開策の不測事態を考えてしま
うと、PDPCが複雑になってしまい、収拾がつかなくなります。計画時は、適度
な不測事態で止めておくことも必要です。
4.逐次展開型PDPC図の作り方 事例
最悪の事態を回避する逐次展開型PDPC図の作り方は下記のとおり。
問題の初期の状態と最悪の事態を想定
ある問題が発生した時に自体の進展によっては甚大な被害が予想されるものを取り
上げて、最悪の事態を回避する防止策をPDPCで検討する方法があります。
例えば、「会社の携帯電話を電車の中に置き忘れた」という事態が発生したとします。
このとき、起こり得る事象に「拾った人が警察に届ける」ということが考えられます。
このケースでは、携帯電話が無事手元に戻って事なきを得ます。しかし、「見つけた
人が持ち去る」ケースを考えてみると、最悪の事態では、携帯電話に登録されている
お客様データを悪用されることも考えられます。また「そのまま座席の間に入り込
む」ことも考えられます。
4.1 防止策 検討
手順1で「拾った人が警察に届ける」ということになれば、そこで完了です。しかし、
「見つけた人が持ち去る」ケースでは、ゴミ箱に捨ててしまうことも考えられますが、
問題は「不正通話」と「お客様データ不正使用」です。
不正通話については、取るべき対策として、「携帯電話会社に紛失と通話停止の連絡」
を一時も早く行えば、不正通話ができなくなります。
しかし、お客様データ不正使用については、登録されている電話番号を使って詐欺
行為に使用されることが予想されます。このことに関しては、できるだけ早く登録
されているお客様に、携帯電話紛失とお詫びの連絡を行いますが、中には連絡漏れ
も発生することが予想されます。
まず初期の状態が起こらないようにするためには、携帯電話を自分の体とつなげる
よう、首から下げるストラップを付けるとか、シャツのポケットにクリップで留め
る鎖を使用することが予防策になってきます。
5.まとめ
「PDPC法」は、事態の進展に伴って、新たに手段を追加しながら目的の達成
が可能となるまで、何度も書き換え、書き加えることを原則とします。
全員でディスカッションして、必要な手段や予想される状態を記入、追加して、
一番望ましい結果にいたる過程を完成します。
目標達成までの不測の事態を予測し、それに対応した打開策を明確にする方法
です。
事例としては、営業の商談開始から成約までのプロセスを吟味できたり、ある
いは新製品・新技術の開発における不測事態時の対策、受注を獲得する中で客
先や競合他社との関係における不測事態に活用するなどがあります。
2020 年9月28日
ク コンサルティングクレイン テクノ
Crane techno
サイト URL:http://crane-techno.com/
参考文献:
図解入門ビジネス新QC七つ道具の使い方がよくわかる本
ポケット図解 QC七つ道具の基本がわかる本

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