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経営者の利益予想バイアスと市場の非合理性
- 1. 経営者の利益予想バイアスと市場の非合理性
2010年3月28日 日本経営財務研究学会東日本部会
@一橋大学佐野書院
首都大学東京大学院 社会科学研究科
浅野敬志(takasano@tmu.ac.jp)
2010/3/28 1
- 2. 目次
利益予想バイアスの背景
-業績予想開示制度
-期初予想値の作成方法
-目標値を達成するメリット
-目標値を達成する手段
-フレーム依存症
-利益予想値を上回る効果(1)(2)
-保守的な期初予想が好まれる
利益予想バイアスの実態
-期初予想バイアス(1)(2)
-期初予想バイアスの継続性(1)(2)
-期初予想バイアスの把握は重要?
利益予想バイアスと市場の非合理性
-ホンダのケース
-実証分析の結果(1)(2)
-JUKIとトプコンのケース
-超過リターン比較(保守的予想vs.楽観的予想)
-市場の反応比較(期初予想vs.予想修正)
2010/3/28 2
- 3. 問題意識
経営者の利益予想値
-アナリストなど市場関係者が最も注目する情報の1つ
-市場期待値の形成や改訂に役立つ
バイアス介入の恐れ
-楽観的または保守的な予想
例)ホンダ
直近12期のうち10期で、連結純利益>期初予想値
(2003年と2009年を除く←歴史的株安を経験)
問題意識
-経営者の利益予想には、なぜバイアスが介入するのか?
-アナリストは利益予想バイアスを見抜いているのか?
-市場は利益予想バイアスを株価に織り込んでいるのか?
2010/3/28 3
- 5. 業績予想開示制度
業績予想値の開示
-決算短信
・年次決算期
・四半期決算期
・売上高、営業利益、経常利益、当期利益、EPSなどの通期予想
-業績予想の修正
・当初予想に大きなズレが生じた場合、直ちに修正する必要あり
例)
-売上高
新たに算出した予想値が直近予想値と比べて10%以上
変動する場合
-営業利益、経常利益、当期純利益
新たに算出した予想値が直近予想値と比べて30%以上
変動する場合
2010/3/28 5
- 6. 期初予想値の作成方法
期初予想値
-当期中に、経営者によって初めて開示される予想値
-決算短信の中で、前期の実績値とともに開示
-経営者が当期の見通しを初めて示すもの
期初予想値の作成方法
黒川ほか[2009]
-上場企業345社を対象
-子会社や各事業所の予想値を積み上げて作成(90.2%)
-前期以前の実績値から類推して作成(48.8%)
-当期の実績値と対比されることを意識して作成(60.7%)
中條[2009]
-新興市場企業156社を対象
-各事業部などの予算を積み上げる企業が圧倒的に多い
-次いで、前期実績を参考にする企業が多い
上場先に関係なく、①経営者は各事業部の予算を積み上げ、
②当期の実績値と比較されることを意識しながら、③前期実績
2010/3/28
を考慮して、期初予想値を作成する傾向にある。 6
- 7. 目標値を達成するメリット
目標値としての期初予想値
須田・花枝[2008]
-上場企業629社を対象
-経営者は目標値として、自らの利益予想値を最重視する
-次いで前期利益、黒字の確保の順番
-アナリスト予想値は目標値とされていない
Graham et al.[2005]
-前年同四半期EPS>アナリスト予想EPS>前四半期EPS
目標値を達成するメリット
須田・花枝[2008]
-資本市場のメリットを優先的に考える
(資本市場の信頼確保、投資家への成長性の伝達、
株価の上昇・維持など)
-報酬契約や債務契約に関するメリットを意識しない
Graham et al.[2005]
-米国企業も、資本市場のメリットを優先的に考える傾向
2010/3/28 7
- 8. 目標値を達成する手段
目標値を達成する手段
須田・花枝[2008]
-第1に、広告費などの裁量的支出を減らす
-第2に、設備投資などを減額する
-利益目標値を達成するためなら、企業価値を多少
犠牲にしても、広告費や設備投資を抑える
黒川ほか[2009]
-業績予想値が事業の計画や遂行に影響する
Graham et al.[2005]
-裁量権のある費用を減らす(R&D、広告費など)
-企業価値を多少犠牲にしても新規プロジェクトの開始を
遅らせる
利益目標値を達成するために、長期的な企業価値を犠牲
にしても、短期的な利益を追求する傾向にある。
2010/3/28 8
- 9. フレーム依存症
Q. なぜ経営者は、企業価値を犠牲にしてまでも、
目標利益の達成に固執するのか?
-合理的な人間は富がもたらす期待効用を最大化すると仮定
(期待効用仮説)
-しかし、人々は富の水準ではなく、損得に左右される
(フレーム依存症;行動ファイナンス)
*損得:人々が価値評価をする際に参照する点からの変化
(参照点)
・プラスなら利得(gain)
・マイナスなら損失(loss)
・損失には、同額の利得よりも2倍から2.5倍程度の影響力
*人々は、参照点からのマイナスの変化(損失)を回避しようとする
2010/3/28 9
- 10. 利益予想値を上回る効果(1)
-米国の先行研究-
Bartov et al.[2002]
-1983年から1997年までの64,872サンプル
-アナリスト予想値以上の利益を獲得した企業に市場は好感
Kasznik and McNichols[2002]
-1986年から1993年までの7,305サンプル
-数期連続してアナリスト予想値以上の利益を獲得した企業に
株価プレミアムを上乗せする
Skinner and Sloan[2002]
-1984年から1996年までの139,027サンプル
-成長企業の場合、アナリスト予想利益を下回る負の株価反応が、
それを上回る正の株価反応を大きく上回る
-市場は成長企業に対して過度に楽観的である
米国の先行研究:参照点=アナリスト予想値(EPS)
2010/3/28 10
- 11. 利益予想値を上回る効果(2)
-日本の先行研究-
浅野[2009]
-2003年から2007年までの9,649サンプルを対象
-最終予想利益以上の利益を上げた企業は約7割
-期初時点での達成度と比べると、2割ほど上昇
-市場は最終予想利益以上の利益を上げた企業に好感
*経営者と市場がともに、経営者の利益予想値を強く意識
須田・首藤[2004]、野間[2004]
-経営者の利益予想値をわずかに下回るよりも、わずかに
上回る企業が圧倒的に多い
*経営者は自らの利益予想値を達成するために、
利益マネジメントを実施している
2010/3/28 11
- 12. 保守的な期初予想が好まれる
経営者の期初予想値を下回る事態を回避する方法
-利益マネジメント
-保守的な期初予想
→利益マネジメントを実施する必要性が薄れる
→業績予想を下方修正する必要性が薄れる
日本経済新聞社によるアンケート調査(2007.12)
-日経500種平均株価採用銘柄のうち304社が回答
-「下方修正を避けるため、業績予想は慎重な内容にした方がよい」
との回答が44%
-「業績予想を慎重な内容にすると、逆に投資家の信認低下を
招きかねない」との回答は16%
-「業績予想を出す際には、今後の下方修正リスクは考慮しない」
との回答は7%
期中に下方修正するリスクを極小化しようと、慎重姿勢に
徹する経営者が多い。
2010/3/28 12
- 14. 期初予想バイアス(1)
期初予想にバイアスが介入している可能性がある。
例)ホンダ
直近12期のうち10期で、連結純利益>期初予想値
(2003年と2009年を除く←歴史的株安を経験)
Ota[2006]
-1979年から1999年までの国内企業29,177サンプルを対象
-規制産業に属する企業(電力・ガス業、通信業)、大規模企業、
新株発行企業、成長企業、増配予想企業は期初予想が保守的
-新興企業、財務的困窮企業、前期赤字企業は楽観的予想
新聞等
-内需企業よりも外需企業の方が保守的予想
-外国人持株比率の高い企業が保守的予想
2010/3/28 14
- 15. 期初予想バイアス(2)
二群間での差の検定(U検定)
2003/03 2004/03 2005/03 2006/03 2007/03 全体
外需b -0.0051 0.0022 0.0027 0.0026 0.0019 0.0013
内需 -0.0058 0.0000 -0.0002 0.0001 -0.0011 -0.0013
a
中央値差 0.0007 **
0.0022 ***
0.0029 ***
0.0025 ***
0.0030 ***
0.0026 ***
新興 -0.0100 -0.0023 -0.0014 -0.0018 -0.0042 -0.0037
一部・二部上場 -0.0049 0.0010 0.0012 0.0013 0.0007 0.0001
中央値差 -0.0051 ***
-0.0033 ***
-0.0027 ***
-0.0031 ***
-0.0049 ***
-0.0038 ***
前期赤字 -0.0100 -0.0020 -0.0035 -0.0043 -0.0070 -0.0058
それ以外 -0.0040 0.0013 0.0013 0.0013 0.0007 0.0004
中央値差 -0.0060 *** -0.0033 *** -0.0048 ***
-0.0055 ***
-0.0076 ***
-0.0062 ***
a
Mann-WhitneyのU検定を行っている。
b
外需企業とは、海外売上高比率が10%以上の企業をいう。
***
は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意(両側検定)
予想誤差=(当期利益-期初予想利益)/前期資産
*プラスなら期初予想が保守的、マイナスなら楽観的
サンプル:9,635企業年度(2003-2007;3月決算)
期初予想が保守的な企業:外需企業
期初予想が楽観的な企業:新興市場企業、前期赤字企業
2010/3/28 15
- 16. 期初予想バイアスの継続性(1)
Ota[2006]:バイアスの継続性を検証
MFERRt=α0+α1MFERRt-1+α2MFERRt-2+α3MFERRt-3+εt
定数項 MFERRt-1 MFERRt-2 MFERRt-3 調整済R2 企業数
係数 -0.0087 ***
0.348 ***
0.103 ***
0.00368 ***
0.114 21.761
t値 -27.77 43.98 10.68 3.76
MFERRt:t期における予想誤差
(t期の純利益-期初予想利益)/t-1期の資産
過去3年間の予想誤差はすべて有意に正
→過去の期初予想が保守的(楽観的)であった企業は、
当期の期初予想においても保守的(楽観的)である
過去の予想になるにつれて、係数の値が小さくなる
→バイアスの継続性は、直近の予想になるにつれて高くなる
2010/3/28 16
- 17. 期初予想バイアスの継続性(2)
内需企業と外需企業の当期予想誤差
内需 外需
平均値 中央値 平均値 中央値
1 -0.116 -0.020 -0.064 -0.008
前 小 2 -0.047 -0.013 -0.033 -0.004
3 -0.023 -0.005 -0.008 -0.002
期 4 -0.023 -0.005 -0.006 0.001
予 5 -0.012 -0.002 -0.004 0.002
想 6 -0.005 0.000 0.001 0.003
7 -0.004 0.002 0.005 0.006
誤
8 -0.005 0.004 0.009 0.010
差 9 0.002 0.004 0.013 0.013
大
10 0.003 0.011 0.024 0.020
前期予想誤差の大きさに基づき10分割
内需・外需に関係なく、前期予想誤差の大きい企業(保守的な企業)
ほど、当期の予想誤差も大きい(保守的)。
*内需企業と外需企業のどちらも、期初予想バイアスは継続する。
2010/3/28 17
- 18. 期初予想バイアスの把握は重要?
過去の期初予想バイアスの把握は、投資意思決定に有用
過去のトレンドにより当期の期初予想バイアスを把握し、期中に
おける業績予想の上振れ余地を予測することは、投資意思決定上
有用と考えられている。
過去の期初予想が楽観的(上方バイアス)である場合
→当期中に業績予想が上振れする余地は小さい
過去の期初予想が保守的(下方バイアス)である場合
→当期中に業績予想が上振れする余地は大きい
*業績予想バイアスの分析が投資意思決定に有用であるため
には、市場がそのバイアスを迅速に株価に織り込んでいない
という、市場の非合理性を議論の前提に置く必要がある。
2010/3/28 18
- 20. ホンダのケース
Q.市場は期初予想バイアスを見抜き、瞬時に株価に
織り込んでいるのか?
-ホンダの期初予想は保守的
-市場関係者も、ホンダの期初予想が保守的だと理解している
ケース
-2007年4月25日 ホンダは決算短信を発表
-当期の営業利益が前期に比べて約10%減益になる見通しを発表
-その際、円高や原材料高を減益要因として挙げた
-年配当を80円から13円上積みするというグッドニュースも発表
ホンダの翌日の株価は一時、110円高まで上昇
26日の終値は4,060円(前日比70円高)
期初予想バイアス(保守的)を迅速に株価に反映させている例
2010/3/28 20
- 21. 実証分析の結果(1)
Ota[2006]
-市場が期初予想値を額面通りに受け取るという
機能固定化仮説を検証
-市場が期初予想値を額面通りに受け取っていれば、
期初予想が上方にバイアスされた企業は過大評価され、
下方にバイアスされた企業は過小評価される
-その場合、前者を空売りし後者を買い持てば、正の超過
リターンが得られる
-分析の結果、15年のうち14年で正の超過リターンが得られ、
その年平均は4.5%
市場が経営者の期初予想に固着し、そこに含まれる
バイアスを株価に織り込んでいないことを示唆
2010/3/28 21
- 22. 実証分析の結果(2)
清水[2007]
-アナリストは企業の期初予想開示から3カ月程度、
経営者の期初予想値に固着する
-その後、徐々にバイアスを予想に反映させる
-市場も期初予想開示から半年程度かけて株価に
反映させる
-アナリストや市場が期初予想バイアスを直ちに予想や株価に
反映させておらず、3か月から半年程度かけて徐々に反映
させている
アナリストや市場は、経営者の期初予想に固着し、
期初予想に含まれるバイアスを、瞬時に、予想や
株価に反映していない(市場の非合理性)。
2010/3/28 22
- 23. 利益予想バイアスに対する疑問
Q.市場が短期的に非効率的でも、中長期的に効率的なら、
なぜ経営者は保守的な期初予想を好むのか?
①経営者が下方修正を嫌うから(上方修正を好むから)
②市場が下方修正を嫌うことを経営者は知っているから
◎ (市場が上方修正を好むことを経営者は知っているから)
③その両方
前述の日経によるアンケート調査
-日経500種平均株価採用銘柄のうち304社が回答
-「下方修正を避けるため、業績予想は慎重な内容にした方がよい」
との回答が44%
-「業績予想を慎重な内容にすると、逆に投資家の信認低下を
招きかねない」との回答は16%
-「業績予想を出す際には、今後の下方修正リスクは考慮しない」
との回答は7%
2010/3/28 23
- 24. 保守的予想vs.楽観的予想
前期利益 期初予想 当期利益
A社(保守的予想) 100 150 200
B社(楽観的予想) 100 250 200
*市場は上記2社のうち、どちらを高く評価するのだろうか?
-期初予想が違うだけで、両社の増益幅は同じ
-両社の評価は異ならないはず
-しかし、アンケート調査から判断すると、A社を高く評価して
いるように思われる
下方修正リスクを考慮する、慎重な業績予想を好む
2010/3/28 24
- 25. JUKIとトプコンのケース
JUKI
-工業用ミシン世界トップ
-2006年5月時点では15%の減益見通し
-第1四半期から第3四半期まで予想を上方修正
-2007年3月28時点では29%の増益見通しを発表
トプコン
-測量機大手
-2006年5月時点(期初時点)では22%の増益予想
-中間決算では39%の増益予想に上方修正
-2007年1月に予想を下方修正
-2007年3月28日時点では期初と同じ22%の増益見通し
両社の株価比較(2006年4月から2007年3月28日まで)
-増益率でみると着地点は同程度
-JUKIは+3.6%、トプコンは-20%と好対照
同程度の利益ニュースでも、期初予想が保守的か楽観的か
によって、市場の反応が異なる。
2010/3/28 25
- 26. 超過リターン比較(保守的予想vs.楽観的予想)
増益幅
予想誤差 企業数 平均値 平均差
小 1 + 75 0.036 0.282 ***
- 811 -0.246 (5.042)
2 + 138 -0.034 0.131 ***
- 785 -0.164 (5.100)
3 + 181 -0.014 0.098 ***
- 741 -0.112 (3.904)
規模調整済み対前年変化額 4 + 311 -0.017 0.053 ***
に基づき10分割(=(当期利益 - 611 -0.070 (3.062)
-前期利益)/前期資産) 5 + 519 0.007 0.051 ***
利益ニュースが同程度の - 408 -0.044 (2.957)
企業群を表す 6 + 622 0.052 0.088 ***
- 308 -0.036 (4.512)
+:保守的予想 7 + 692 0.093 0.083 ***
-:楽観的予想 - 223 0.010 (3.709)
8 + 707 0.124 0.140 ***
- 207 -0.016 (5.798)
9 + 654 0.196 0.199 ***
- 240 -0.003 (7.188)
大 10 + 572 0.290 0.258 ***
- 334 0.031 (6.806)
括弧内はt値を表す。
は1%水準で有意(両側検定)
***
*BMと企業規模でリスク
調整した累積超過リターン
2010/3/28 (5/1~翌年5/31の13ヶ月間) 26
- 27. 超過リターン比較(保守的予想vs.楽観的予想)
前図表
-2003年から2007年までの3月決算上場企業9,139サンプル
-利益の対前年変化額に関係なく、予想誤差がプラスの
企業はマイナスの企業よりも株価リターンが有意に大きい
-期初予想が楽観的な企業よりも保守的な企業の方に
市場は好感する
なぜ、このような結果が生じるのか?
-市場は(保守的な期初予想よりも)業績予想の下方修正を嫌うから?
-もしそうであるなら、市場の反応は、期初予想よりも期中の業績予想
修正の方が大きくなると思われる
2010/3/28 27
- 28. 市場の反応比較(期初予想vs.予想修正)
2006
CARt = α + β1 FSTt + β 2 FEt + β 3 ∑ D _ Year +ε
t = 2003
t t
変数 偏回帰係数 標準化係数 t値 ADJ.R 2
Constant t 0.004 0.473
Total FST t 0.490 0.105 10.038 ***
0.089
FE t 2.093 0.313 29.855 ***
Constant t 0.034 3.793 ***
2003/03 FST t 0.430 0.085 3.430 ***
0.107
【変数】 FE t 2.600 0.348 14.065 ***
Constant t -0.018 -1.558
CAR:リスク調整済み
2004/03 FST t 1.381 0.218 8.724 ***
0.066
累積超過リターン
FE t 2.089 0.239 9.606 ***
(13か月間)
Constant t 0.004 0.445
2005/03 FST t 0.183 0.052 2.240 **
0.045
FST:(期初予想利益-
FE t 1.427 0.208 9.006 ***
前期利益)/前期資産
Constant t 0.004 0.464
2006/03 FST t 0.607 0.150 6.071 ***
0.105
FE:(当期利益-期初予想 FE t ***
2.291 0.368 14.913
利益)/前期資産 Constant t 0.021 3.135 ***
2007/03 FST t 0.180 0.035 1.681 * 0.202
D_Year:年次ダミー FE t 2.303 0.457 22.161 ***
***
、 、 はそれぞれ1%水準、5%水準、10%水準で有意(両側検定
** *
2010/3/28 28
- 29. 市場の反応比較(期初予想vs.予想修正)
前図表
-2003年から2007年までの3月決算上場企業9,139サンプル
-すべての年において、FE(業績予想修正)の偏回帰係数と
標準化係数がFST(期初予想)を上回り、その係数差も
すべての年で1%水準で有意
-標準化係数は、FEがFSTよりも3倍程度大きい
-市場は期初予想よりも期中の予想修正に大きく反応する
・市場は期初予想よりも予想修正に大きく反応する。
・同程度の利益ニュースをもつ企業でも、市場は保守的
な期初予想を上方修正する企業に好感する。
・企業の予想修正に注目する市場関係者が多いことと整合
・業績予想の下方修正を避けるために、慎重姿勢で
期初予想に臨む経営者が多いという近年の傾向と整合
2010/3/28 29