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バイオインフォマティクスのためのアルゴリズム⼊入⾨門  6章前半
動的計画法
emmasan525
1
⽬目次
1.釣銭問題を考える
1-‐‑‒1.上から考える
1-‐‑‒2.下から考える
2.動的計画法の基本
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化
3.  アラインメントの基本
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)
2
3	
1.釣銭問題を考える
釣銭問題とは…
あるお釣りMセントを、d種類の単位コイン
c=(c1,c2…,cd)を⾃自由に組合せて返すとき、
どのように組合せるのが最も合理理的かを考える問題。
2章で扱った  ”⼒力力まかせアルゴリズム”  では、
Mセントを超えない範囲でd種類のコインの枚数を
それぞれ動かし、全ての組合せを求めた。
4	
1-‐‑‒1.上から考える
今回は、
コインの組合せは考慮しない⽅方法を考える
→必要なコインが最⼩小枚数になる場合が最適、という⽅方法
考え⽅方:
c1,c2,c3セントのコインでMセントを作る最⼩小枚数は、
①M-‐‑‒c1セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c1セントのコイン
②M-‐‑‒c2セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c2セントのコイン
③M-‐‑‒c3セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c3セントのコイン
のどれかになる。
5	
1-‐‑‒1.上から考える
6	
1-‐‑‒1.上から考える
例例:1,3,7セントのコインで77セントを作る最⼩小枚数は、
・76セントを最⼩小枚数で作る組合せ+1セントのコイン
・74セントを最⼩小枚数で作る組合せ+3セントのコイン
・70セントを最⼩小枚数で作る組合せ+7セントのコイン
のどれかになる。
77=76+1=74+3=70+7
76=75+1=73+3=69+7
75=74+1=72+3=68+7
考え⽅方:
c1,c2,c3セントのコインでMセントを作る最⼩小枚数は、
①M-‐‑‒c1セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c1セントのコイン
②M-‐‑‒c2セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c2セントのコイン
③M-‐‑‒c3セントを最⼩小枚数で作る組合せ+c3セントのコイン
のどれかになる。
7	
1-‐‑‒1.上から考える
Mセントの最⼩小枚数は、
m1=M-‐‑‒ci(i=1,2,…)セントの最⼩小枚数+1枚
と考え、m2=m1-‐‑‒ci,  m3=m2-‐‑‒ci,  …と、最⼩小枚数を
求めたい値を上から計算していくことで、
最終的にmn=ci-‐‑‒ci=0となり、帰納的にMの最⼩小枚数が
求められる!
1-‐‑‒1.上から考える
RECURSIVECHANGE	
  アルゴリズム
8	
⼊入⼒力力
M:返したいお釣りの⾦金金額
c:お釣りに使えるコインの組合せ  c=(c1,c2,…,ci)
d:お釣りに使えるコインの種類数(cの要素数)
出⼒力力
bestNumCoins:Mセントを作る最⼩小枚数
1-‐‑‒1.上から考える
RECURSIVECHANGE	
  アルゴリズム
9	
再帰を使うことで、Mがciと⼀一致するまで
“最⼩小枚数を求めたい⾦金金額”  を⼩小さくしていく=上から計算
⼊入⼒力力
M:返したいお釣りの⾦金金額
c:お釣りに使えるコインの組合せ  c=(c1,c2,…,ci)
d:お釣りに使えるコインの種類数(cの要素数)
M-‐‑‒ciの最⼩小枚数+1枚(ci)が、
現在の最⼩小枚数より少ない時
最⼩小枚数が更更新される
出⼒力力
bestNumCoins:Mセントを作る最⼩小枚数
1-‐‑‒1.上から考える
10	
RECURSIVECHANGE	
  アルゴリズムの問題点:
            
例例:
①77→76,74,70プラス1枚
②76→75,73,69プラス1枚
③75→74,72,68プラス1枚
④74→73,71,67プラス1枚
⑤73→72,70,66プラス1枚
⑥72→71,69,65プラス1枚
⑦71→70,68,64プラス1枚
⑧70→…
…
1-‐‑‒1.上から考える
11	
RECURSIVECHANGE	
  アルゴリズムの問題点:
同じ⾦金金額の最⼩小枚数を何回も上から下まで再計算してしまう
例例:
①77→76,74,70プラス1枚
②76→75,73,69プラス1枚
③75→74,72,68プラス1枚
④74→73,71,67プラス1枚
⑤73→72,70,66プラス1枚
⑥72→71,69,65プラス1枚
⑦71→70,68,64プラス1枚
⑧70→…
…
70の場合を考えただけでも、
70という値が出るたびに、
⑧以降降を計算し直している
=同じ計算を繰り返している
→ムダ!
実際に77セントでRECURSIVECHANGE	
  アルゴリズムを
実⾏行行すると…
1-‐‑‒2.下から考える
同じ⾦金金額を再計算させないようにするには?
<問題のポイント>
・Mセントの答えは、M-‐‑‒ci(i=1,…,d)セントの答えに依存する
・各⾦金金額の最⼩小枚数を求めて格納してしまえば再計算不不要
→1から求めたい⾦金金額Mまでの各⾦金金額m(m=1,2,…,M)
の最⼩小枚数を、下から計算すれば良良い!
	
12
1-‐‑‒2.下から考える
例例:1,3,7セントのコインを使ってお釣りを返す
m=1…1セント1枚→1枚
m=2…(m=1)+1セント1枚→2枚
m=3…3セント1枚  と  (m=2)+1セント1枚=2枚  
        のうち枚数の少ない⽅方→1枚
m=4…(m=1)+3セント1枚  と  (m=3)+1セント1枚
        のうち枚数の少ない⽅方→2枚
m=5…(m=2)+3セント1枚  と  (m=4)+1セント1枚
        のうち枚数の少ない⽅方→3枚
m=6…(m=3)+3セント1枚  と  (m=5)+1セント1枚
        のうち枚数の少ない⽅方→2枚
m=7…7セント1枚  と  (m=4)+3セント1枚  と
           (m=6)+1セント1枚 のうち枚数の少ないもの→1枚
…
13
1-‐‑‒2.下から考える
14	
⼊入⼒力力
出⼒力力
mを1から順に下から計算
mの最⼩小枚数はm未満の数m-‐‑‒ciの最⼩小枚数で決まる
各⾦金金額の最⼩小枚数を格納することで、
同じ計算の繰り返しを避けている
DPCHANGE	
  アルゴリズム
77セントでDPCHANGE	
  アルゴリズムを実⾏行行すると…
1-‐‑‒2.下から考える
計算時間を⽐比較する
・2章の⼒力力まかせアルゴリズム
→d種類のコインを1枚から最⼤大M枚まで動かす
→O(Md)時間
・DPCHANGEアルゴリズム
→ある⾦金金額Mを作る最⼩小枚数はd通りのうち1つ
→O(Md)時間
Mが少し⼤大きい値になるだけで歴然とした差が出る
15
16	
2.動的計画法の基本
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題
17	
マンハッタン観光客問題とは…
マンハッタンの街を、北北⻄西(スタート)から南東(ゴール)まで
最短距離離で歩くとき、途中で最も多くの観光スポットに
⽴立立ち寄ることができる道順を考える問題。
スタート
★
ゴール
★
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題
18	
スタート
★
ゴール
★
なんとかホール
なんちゃらビル
マンハッタン観光客問題とは…
マンハッタンの街を、北北⻄西(スタート)から南東(ゴール)まで
最短距離離で歩くとき、途中で最も多くの観光スポットに
⽴立立ち寄ることができる道順を考える問題。
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題
19	
スタート
★
ゴール
★
なんとかホール
なんちゃらビル
マンハッタン観光客問題とは…
マンハッタンの街を、北北⻄西(スタート)から南東(ゴール)まで
最短距離離で歩くとき、途中で最も多くの観光スポットに
⽴立立ち寄ることができる道順を考える問題。
単純化
スタート
★
ゴール
★
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
20	
          始点(0,0)
★
★
  
◯
各辺の数値を  重み  と呼び、
この道にある
観光スポットの数を表す
パス…連続した辺の列列
パスの⻑⾧長さ…パス中の辺の
                          重みの和
求めたいのは、始点(0,0)から
終点(n,m)までの最も⻑⾧長いパス
(重みの合計が最⼤大のパス)
終点(n,m)
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
よろしくない考え⽅方1
全ての歩き⽅方を
計算する
→70通りをいちいち
      計算する必要あり、
      格⼦子が⼤大きくなると
      かなり多くなる
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  70
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
よろしくない考え⽅方2
グリーディー的計算:
各分岐で重みの⼤大きい⽅方を
選択する
→正しい答えとは
      限らない
22	
◯	
◯
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題
動的計画法(Dynamic  Programming)とは:
対象となる問題を
複数の部分問題に分割し、
部分問題の計算結果を
記録しながら
解いていく⼿手法である。
23
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
動的計画法を使った考え⽅方
	
24	
始点からそれぞれの点までの
最⻑⾧長パスを求める。
左上の始点をS(0,0)とし、
各点の座標をS(i,j)
(i=0,1,…,n,  j=0,1,…,m)
で表し、
i,jを次第に⼤大きくして、
最終的に終点S(n,m)
の最⻑⾧長パスを求める。
S(0,0)
S(n,m)
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
動的計画法を使った考え⽅方
	
25	
S(i,0)の列列とS(0,j)の列列は
それぞれ右と下に直進する
ルートしかないため、
単純に直線上の重みを
⾜足し合わせることで
求めることができる
S(0,0)
S(n,m)
0+3+2+4+0=9
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
動的計画法を使った考え⽅方
	
26	
S(1,1)に到達する⽅方法は、
①S(1,0)から下へ⾏行行くか、
②S(0,1)から右へ⾏行行くか
の2通り
パスの⻑⾧長さは
①:3+0=3
②:1+3=4
となり最⼤大パスは②の4となる
◯
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
動的計画法を使った考え⽅方
	
27	
同様に、求めたい点S(i,j)は、
S(i-‐‑‒1,j)とS(i,j-‐‑‒1)さえ
分かれば求めることができる
S(i,j)の最⼤大パスは、
            s(i-‐‑‒1,j)+(i-‐‑‒1,j),(i,j)間の重み
            s(i,j-‐‑‒1)+(i,j-‐‑‒1),(i,j)間の重み
となり、最終的な解S(n,m)も
求めることができる
{	
max
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
MANHATTANTOURISTアルゴリズム
28	
⼊入⼒力力
w↓:縦⽅方向の重み(5×5の配列列)
w→:横⽅方向の重み(5×5の配列列)
n:縦⽅方向の辺の⻑⾧長さ
m:横⽅方向の辺の⻑⾧長さ
出⼒力力
Sn,m:始点から終点までの最も⻑⾧長いパス
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
MANHATTANTOURISTアルゴリズム
29	
⼊入⼒力力
出⼒力力
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
30	
動的計画法的
理理想のマンハッタン
2-‐‑‒1.マンハッタン観光客問題	
31	
  
現実のマンハッタン
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化	
32	
  
現実のマンハッタン
ブロードウェイがあるせいで
格⼦子状の単純化ができない!
↓
⼀一般化して考える
ブロードウェイ
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化	
理理想のマンハッタン(グリッド状)と
現実のマンハッタンとの違い:
33
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化	
理理想のマンハッタン(グリッド状)と
現実のマンハッタンとの違い:⼊入次数と出次数
34
◯
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化	
⼊入次数:ある頂点vに⼊入ってくる辺の数
出次数:ある頂点から出て⾏行行く辺の数
35	
ある頂点vから出た辺が頂点vに⼊入ってしまう、有向閉路路
が存在しない有向無閉路路グラフ(DAG)である限り、
⼊入次数、出次数に関わらず動的計画法で解くことができる
左図の場合、
⼊入次数:3,出次数:2となる
v
2-‐‑‒2.動的計画法の⼀一般化	
36	
上のような⽴立立式でSvを求めることができるが、
Svを計算する前に全てのSuが計算されるようなアルゴリズム
にしなくてはならないことに注意する必要がある
「Svを計算する前に全てのSuが計算される」計算順序を
トポロジカル順序といい、DAGであれば必ず存在する
  Su1  +  u1からvへの重み
  Su2  +  u2からvへの重み
  Su3  +  u3からvへの重み{	
Sv=max
37	
3.  アラインメントの基本
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
2種類の配列列の類似度度を表す基準として
「編集距離離」を導⼊入する。
編集距離離は、ある⽂文字列列vを何回の編集操作で
別の⽂文字列列wに変換できるかを表す数字である。
操作の種類:
挿⼊入…2⽂文字の間に新規に⽂文字を追加する
削除…ある⽂文字を取り去る
(置換…ある⽂文字pを別の⽂文字qに変える)
38
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
例例:TGCATAT  と  ATCCGAT  の距離離は?
39	
cf.4章のハミング距離離:
2つのl-‐‑‒merで⽂文字が
異異なる位置の数
TGCATAT
**    **        
ATCCGAT
編集距離離
編集距離離は4
ATATATとTATATAでは、
編集距離離:2
ハミング距離離:6
となり⼤大きな差
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
40	
2つの⽂文字列列vとwを⽐比較するために2⾏行行の
⾏行行列列で表したものをアラインメントという
マッチ(⼀一致) 削除 挿⼊入
・マッチ5個、挿⼊入2個、削除2個
・挿⼊入と削除によりミスマッチ(不不⼀一致)は0個の状態
例例:
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
41	
アラインメントを数字の⾏行行列列で表す
⽂文字列列中で⽂文字が進むごとに+1、とする
0          1          2        2          3          4        5        6        7          7
0          1          2        3          4        5          5        6        6          7            
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
42	
この⾏行行列列をマンハッタン観光客問題で
⽤用いたグリッド上の座標の変化で表すと、
S(0,0)→S(1,1)→S(2,2)
→S(2,3)→S(3,4)→S(4,5)
→S(5,5)→S(6,6)→S(7,6)→S(7,7)
というパスと対応づけることができる!
右図のようなグラフを編集グラフと呼ぶ。
3-‐‑‒1.編集距離離とアラインメント
43	
やりたいのは、
最もマッチが多いアラインメントを求めること
→動的計画法で解くということは、
  この問題を最⻑⾧長パスを求める問題にするということ
→マッチが多いアラインメントを「良良い」アラインメント
  と定義し、2⽂文字を⽐比べて⼀一致の場合はプラス、
  不不⼀一致の場合はマイナスの重みが与えられるような辺
  を持った編集グラフを作成すれば良良い!
→2つの⽂文字列列を⼊入⼒力力すると各アラインメントの良良さを数値
  (スコア)で表して返してくれるスコア関数を作成する
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)
44	
部分列列:ある⽂文字列列中の、必ずしも連続して
        いないが、同じ順序で現れる⽂文字の列列のこと
部分列列の例例:
                A  T  T  G  C  T  A  
AGCAは部分列列であるが、TGTTは部分列列ではない。
共通部分列列:ある⽂文字列列が2つの⽂文字列列両⽅方の部分列列である
            とき、それを共通部分列列という
◯ ◯◯ ◯
45	
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)
最⻑⾧長共通部分列列(LCS)の導出問題:
ある2つの⽂文字列列の共通部分列列のうち、最も⻑⾧長いもの
(最⻑⾧長共通部分列列)は何か?
→挿⼊入と除去を使い、マッチ数最⼤大のアラインメント
を求める問題に帰着
→動的計画法が使える!
                                      この場合のLCSは、
ATGTA
46	
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)
最⻑⾧長共通部分列列(LCS)の導出問題:
マンハッタン観光客問題と同様に、重み付きグリッド
上で最⻑⾧長パスを求める問題にすれば良良い。
→マッチの時だけ+1の重みの辺を持ったグラフ
                                      
例例:
TGCATA  と  ATCTGAT
の⽐比較の編集グラフ
47	
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)
最⻑⾧長共通部分列列(LCS)の導出問題:
                                      
  S(i-‐‑‒1,j)  +  0
  S(i,j-‐‑‒1)  +  0
  S(i-‐‑‒1,j-‐‑‒1)  +  1  (if  vi=wi){	
S(i,j)=max	
⽂文字列列vと⽂文字列列wを⽐比較し、
マッチの部分だけ、⼊入次数が
3となるようなグリッドを解く。
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)	
LCSアルゴリズム
48	
⼊入⼒力力
v,w:LCSを求めたい2つの⽂文字列列
出⼒力力
Sn,m:動的計画法のグリッドの終点のスコア
b:各点からの操作を記録した配列列
上端列列、左端列列は直進しかない→0を代⼊入
挿⼊入、削除、マッチの操作を⾏行行ううち
スコアが最⼤大になるものを選ぶ
挿⼊入、削除、マッチのどの操作を
⾏行行ったかを別の配列列に記録
3-‐‑‒2.最⻑⾧長共通部分列列(LCS)	
PRINTLCSアルゴリズム
49	
⼊入⼒力力
b:LCS関数で操作を記録した配列列
v:⽐比較する⽂文字列列の⽚片⽅方
i,j:LCS関数でのグリッドの座標、初期値はn,mとなる
出⼒力力
vi:最⻑⾧長共通部分列列
マッチなら斜め⽅方向に進み、共通⽂文字を出⼒力力する
挿⼊入なら縦⽅方向に進む
削除なら横⽅方向に進む
再帰を利利⽤用し、
最⻑⾧長パスに沿って移動しながら
マッチの時だけ⽂文字を出⼒力力する

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2014.4.28 輪講