家庭的保育の拡大・推進におけるチャイルドマインダー活用

1. 家庭的保育の拡大・推進におけるチャイルドマインダー活用要望書 平成22年1月30日 安井 一美 須貝 美香

2. 平成22年1月30日 2 １．要旨 家庭的保育の拡大・推進のため、以下を国および地方自治体に要望いたします。 チャイルドマインダーの認定 （職業的な地位の保障、社会的な信用度の確保） チャイルドマインダーを国家資格として認定していただきたい 国家資格の前段として自治体で保育士等と同等の資格・免許として認定いただきたい 家庭的保育への支援 （保護者負担の軽減、制度の拡大支援） 家庭的保育へ子どもを預ける親に対して助成金を支給していただきたい 運営費及び施設整備費の助成金を支給していただきたい 家庭的保育の認知度向上 （制度の認識向上、広報） チャイルドマインダー名簿一覧や家庭的保育一覧の帳簿やホームページ掲載を推進 していただきたい 市役所・区役所の窓口や関連組織等で家庭的保育も選択肢の一つとしてアナウンス していただきたい

3. 平成22年1月30日 3 ２．前提 チャイルドマインダーとは - 家庭的保育が支流なＥＵ諸国のうちのイギリスの国家職業基準資格です。 日本国内でも４万人超が有資格者です。 - イギリスのプログラムを日本の社会的背景や文化を考慮して変更された講座を ６ヶ月間で約３時間×２４回受講し、最終試験をパスした民間レベルの資格者です。 - 少人数保育のスペシャリストとして自宅等を保育現場に独立開業する「在宅保育」が 一般的で、他にも訪問保育、企業内保育、複合施設（デパート等）で活躍しています。 自己紹介 安井 一美（戸塚区在住／戸塚区民生委員・児童委員協議会・主任児童委員） 須貝 美香（大和市出身／ヒューマンアカデミー横浜校講師） １９９７年より東京都品川区でチャイルドマインダーとして家庭的保育を運営中 ヒューマンアカデミーにて保育従事者育成講師としてチャイルドマインダー育成に協力 現在、特定非営利活動法人（日本家庭的保育支援協会）を申請中 経緯 以前、神奈川県内で家庭的保育を開園しようとした際、チャイルドマインダー有資格者 であり保育に熱心であるにも関わらず、自治体側より保育士免許がないため、開園が 認められませんでした。同様なチャイルドマインダーが数多く存在するにも関わらず 行政や自治体への認知度が低いため、今回要望書として提出させて頂きました。

4. 平成22年1月30日 4 ３．子育てに係る問題提起 少子化問題や失業率問題と合わせて、他の先進諸国と同様な問題が発生しています。 待機児童が多いのが実情 「保育ママ制度」や「認定保育園制度」等、神奈川県の健康増進課や子ども家庭課で もさまざまな施策が推進されていますが、まだまだ待機児童は多く、無許可の保育機 関等に頼らざるを得ない状況です。 チャイルドマインダーが託児保育で効果的にフォローすることにより 安心できる保育機関を拡大していく必要があります。 チャイルドマインダーが効果的に就業されていない チャイルドマインダーという有効なリソースがあるにも関わらず、そのものの認知度や 有用性の理解度が低い （チャイルドマインダーが自宅保育を行おうとしても自治体で許可が下りない等） もっとチャイルドマインダーの認知度を上げていく必要があります。 子育てに係るその他の問題 ・親の選択肢が少ない ・子育て意識・意欲の低下 ・育児休暇の取得率低・共働き夫婦の増加

5. 平成22年1月30日 5 ４．家庭的保育制度の拡大 家庭的保育の活用により、さまざまな効果が期待できます。 日本の保育システムは施設受入れが中心で、大きな施設は多額の費用が必要ですが 家庭的保育は自宅が中心なので、設備費用は殆どかかりません。 家庭的保育をしている人を「家庭福祉委員」（保育ママ）と呼び、援助等のある自治体も ありますが、４０年程以前からあるこの制度も、時代に合っていない制約（以下）と重責 等により、現在あまり普及していません。これに代替できるシステムといえます。 - 預かり時間は、７：００～１８：００。 - 休みは、日曜と祭日のみ。年末年始も５日間程度。（夏休みやお盆休みはなし） - 自分（保育ママ）の子どもが小学校にあがっていること。 - 保育専用の部屋を６畳以上確保すること。 ＥU諸国は家庭的保育が支流です。日本でも今後、共働き家庭の増加等に伴う対応が 必要です。 - イギリスでは、市町村の窓口でチャイルドマインダーのリストがファイリングされて おり、保育時間・休日・料金等、預かる条件を自由に提示します。預けたい人が それを見て双方で交渉し、契約が成立し、預けている人に助成金が支給されます。 - フランスでは、預かる側が４万人を超え、少子化に歯止めがかかる一要因となり 出生率が２．０％以上になっています。

6. 平成22年1月30日 6 ５．チャイルドマインダーの活用 子育てのプロフェッショナルの適用が今必要なのです。 家庭と仕事を両立させ、ゆとりある豊かな人生を送るための「ワークライフバランス」や 少子高齢化社会における安定的な労働力の供給のため、女性が安心して働ける環境 が必要です。 乳幼児期の子どもに対して、家庭的で細やかなケアーが行き届く環境を提供し、大規模 施設には真似のできない、豊かな個性を育む保育が必要です。 育児不安を抱える親や、子どもとうまく関われない親の「養育力」と「家庭力」の低下が 問題になっている現代の子育てに対して、各々のニーズ、多用な価値観に臨機応変に 対応しながら解決する必要性が求められています。 育児に関しての情報が過剰に溢れて いる今、本当の子育てのポイントが 逆にわかりにくくなっています。 そんな時代だからこそ、子どもが 小さなうちから保護者と一緒に成長 を考えることができるスペシャリストと しても、チャイルドマインダーが適切 です。

7. 平成22年1月30日 7 参考資料 - 民主党の未来世代応援施策「育ち育む”応援”プラン」（抜粋）

8. 平成22年1月30日 8 参考資料 - 厚生労働省「子ども・子育て応援プラン」（抜粋）