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エンタテインメント論2 第1週
2019年度後期
植田 康孝
y-ueda@edogawa-u.ac.jp
USJに行く理由
「疲れる日本人」「つまらない日常」を反映
項目 USJ
非日常 66.5%
幸福感 50.4%
癒し・リラックス・リフレッシュ 51.3%
面白さ 49.1%
感動 40.3%
ストレス発散 37.4%
驚き・スリル 27.9%
あてはまるものはない 3.8%
▪ 「テーマパーク」とは、
「一つの世界観に貫かれ、そこを訪れる者に
現実世界との連続性を感じさせないように
コントロールされた環境」のことを指す。
▪ 開園当時の「ディズニーランド」のパンフには
「いったんディズニーランドに入ると、
そこは昨日と明日のファンタジーの世界」
とある。
「テーマパーク」と「遊園地」の違いは?
どこにあるだろう?
USJに行かない理由
「絶えぬ混雑」、「下がる満足度」
項目 USJ
チケット・パスポート
の価格が高い
28.0%
混雑している 18.2%
飲食物の価格が高い 12.1%
アトラクションや
ショーの待ち時間が長い
10.4%
USJ何分待てる?
「2時間以上待てる人」は1割足らず
項目 割合
30分まで 10.1%
1時間まで 36.6%
1時間30分まで 19.7%
2時間まで 24.0%
それ以上 9.6%
▪ 人々は「待つ」ことへの「耐性」が
弱くなっている。
▪ アマゾンに頼めば、
即日で荷物が届く。
▪ SNSに投稿すれば、
相手が読んだか直ぐ分かる。
USJ何分待てる?
「2時間以上待てる人」は1割足らず
▪ 消費者が選ぶ「強い企業ブランド」
1位 「アマゾン」
2位 「ユーチューブ」
▪ 「アマゾンプライム」
「ユーチューブプレミアム」
「ユーチューブミュージック」が浸透
▪ かつて上位にあったテレビ局、新聞社、
広告代理店は圏外に。テレ東が45位。
「ブランド評価」
「ブランド・ジャパン2019」
▪ 「USJ」が「ディズニー」より上位へ
▪ USJがディズニーを超えた原動力は
「親しみ易さ」。
最大要因は、「ミニオンパーク」。
▪ 新しいアトラクションやイベントが増え、
ファミリー層が増加。
ミニオン人気は、若い女性にも拡大。
「ブランド評価」
「ブランド・ジャパン2019」
順位 ブランド名 評価値
1 アマゾン 94.4
2 ユーチューブ 91.8
3 日清食品 86.3
4 無印良品 85.3
5 グーグル 83.7
6 トヨタ自動車 82.3
7 ニトリ 81.7
8 ダイソー 81.6
9 サントリー 80.9
10 楽天 80.8
「ブランド評価」
「ブランド・ジャパン2019」
順位 ブランド名 評価値
11 パナソニック 80.0
12 ユニクロ 79.6
13 USJ 79.1
14 ディズニー 78.5
15 スタジオジブリ 77.2
15 ソニー 77.2
17 ハーゲンダッツ 76.9
18 キューピー 76.4
19 カルビー 76.3
19 セブン・イレブン 76.3
「ブランド評価」
「ブランド・ジャパン2019」
▪ 人口減の中で、レジャー施設間の
「競争」は激化。
▪ 2002年「向ケ丘遊園」閉園
▪ 2009年「エキスポランド」閉園
▪ 2018年「スペースワールド」閉園
▪ 「TDR」と「USJ」の「東西横綱」に集中
「テーマパーク」
「ディズニー」と「USJ」に二極集中
▪ 「TDR」と「USJ」の「東西横綱」
は、なぜ生き残ったのか?
▪ 「インバウンド」に成功
▪ TDR 来園者に占める訪日外国人の
割合 2.6%(2012)→9.8%(2017)
「テーマパーク」
「ディズニー」と「USJ」に二極集中
「USJ」
▪ 「世界最高を、お届けしたい」
▪ ありえないスケールとクオリティに
巻き込まれて、
あらゆる感情が刺激され、
活性化され、
自分の殻を破ってくれる
ワクワクドキドキ感。
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 2001年 オープン
▪ 2014年 ハリーポッター
▪ 2017年 ミニオンパーク
▪ 2018年 スペクタクル・ナイト・パレード
▪ 2019年 シング・オン・ツアー
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 新規体験フォーマットの導入
▪ アメイジング・スパイダーマン・ザ・ライド
4KHD、3D
▪ ハリーポッター 4K3Dに
▪ ルパン3世 XRライドに
▪ 4年前から実施(きゃりーぱみゅぱみゅ、
エヴァンゲリオン、宇宙空間、ルパン)
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 2012 975万人
▪ 2013 1,030万人
▪ 2014 1,270万人
▪ 2015 1,390万人
▪ 2016 1,460万人
▪ 以降は、未発表
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 世界最高体験を届ける「差別化」
▪ 関西圏リピーターの獲得
▪ 1.新規コンテンツ・イベントの導入
▪ 2.新規体験フォーマットの導入
先端エンタテインメント
世界の都市別インバウンド伸び比較
2017年版 急成長渡航先ランキング
順位 都市名 国・地域名 成長率
1 大阪 日本 24.0%
2 成都 中国・四川省 22.7%
3 コロンボ スリランカ 20.3%
4 アブダビ UAE 18.9%
5 ジャカルタ インドネシア 18.2%
6 東京 日本 17.7%
7 ハノイ ベトナム 16.4%
8 リヤド サウジアラビア 15.9%
9 リマ ペルー 15.2%
10 台北 台湾 14.5%
▪ 「進撃の巨人」コーナーでは、
巨人につかまれたように
撮影できるスポット
「鎧の巨人」像前には
外国人が列を作った。
▪ 外国人客が、
入場者全体の10%以上。
USJがディズニーに勝った理由の一つ
テーマパーク 人気回復策
▪ アニメやゲームなどの
国産コンテンツを集めたイベント
「ユニバーサル・クールジャパン」
が集客の柱。
▪ 「名探偵コナン」などアニメを知って、
来園する訪日客が目立つ。
2017年は初めて200万人超
「インバウンド」絶好調
積極的な「インバウンド」狙い
▪ 2017年~
両替機を設置、
米国ドル、韓国ウォンと
日本円を受動で交換
▪ 中国人が多く使う「銀聯カード」にも
対応して、お土産を買い易くした。
両替機で工夫
▪ 2018年5月、
中国語などで表記する
訪日客向けパーク内ガイドで、
地図などの基本情報と
当日のイベント情報を
2種類の冊子に分けた。
訪日客の対応を強化
USJ「インバウンド」対応
▪ スポーツ以外でも、
USJが2019年1月~
時期によって
チケット価格を変える制度を開始。
▪ 大人の1日券が7,900円だが、
春休みで混雑する3/23~31は
8,700円と高めにして混雑を平準化
ダイナミックプライシング
時期や予約のタイミングで価格変動
▪ チケット料金を時期によって変える
▪ 現在、大人7,900円の料金を
1月の閑散期は、500円安く、
2月以降は、300円高く、
3月下旬の繁忙期は800円高くする。
時期による混雑の差を小さくする
2019年1月10日~
USJ 「変動料金」導入
▪ USJは、入場券とは別に、
ジェットコースターなど
人気の乗り物で
待ち時間を短縮できるチケットで
「変動料金」を導入済み
▪ 増収効果があり、同じ変動価格制を
入場料金にも広げる。
2019年1月10日~
USJ 「変動料金」導入
▪ 人気アトラクションに待ち時間を短縮
して乗れる特別なパス
「ユニバーサル・エクスプレス・パス」
▪ 「パス7」 5,600円~
ハリ・ポタエリアの2つを含む計7つの
アトラクションに優先的に乗れる。
USJ
エクスプレス・パス
▪ ディズニーランドは、無料「ファスト・パス」
▪ USJは、有料「エクスプレス・パス」
違いの「理由」は?
▪ 「ディズニー」は首都圏のリピーター狙い。
大人数が有利になるように設定。
▪ 「USJ」は関西に宿泊する遠方客狙い。
短時間で効率良く回りたい客を優先。
USJ
エクスプレス・パス
▪ 2014年から、
アトラクションの優先券
「エクスプレス・パス」を
スマホ画面で
提示するだけで使えるようにした。
チケットの「もぎり」が不要になり、
従業員の業務軽減につながった。
ディズニーに先行
USJ、アプリを積極導入
好調な「USJ」
▪ ハリウッド映画のテーマパーク
▪ 1.「世界最高のエンタテインメントを
集めたセレクトショップ」に転換
▪ 2.「ユニバーサル・ワンダーランド」の
投入で、ファミリー層に訴求
▪ 3.「ハリー・ポッター」エリアの新設で
関西以外からも集客
復活の3つの理由
▪ 2001年、大阪市の第3セクターと
してスタート。
2001年度こそ1,100万人を超えた
が、翌年には3割以上も減少。
▪ その後、賞味期限切れやボヤなどの
不祥事続き。2009年に700万人台
USJの歴史(1)
開園当初は苦戦続き(700万台まで落ち込む)
▪ (1) 「アニメ」「ゲーム」に
ジャンルを広げることによって、
集客を1.4~1.7倍に広げられる。
▪ (2) 「若者」から「ファミリー層」に
「ターゲット層」を広げ、
「ファミリー層」を取り込むことで1.2倍
USJの大転換
観客700万人(2009年)からの浮上
▪ (3) 「関西依存体質」から
抜けることが出来れば、1.3倍に。
▪ 全て掛け合わせると、
容易に2倍以上になる。
「関西依存体質」の脱却として
「ハリーポッター・エリア」を計画した。
USJの大転換
観客700万人(2009年)からの浮上
▪ 間違いは、プレーするグラウンドの
範囲が異常に狭かったこと
▪ 「映画」だけのテーマパークに
こだわることを辞めることにした。
▪ 「映画の専門家」を辞めることで
どれだけ成長可能性があるか分析
USJの大転換
観客700万人(2009年)からの浮上
▪ ディズニーと戦う「アンチ・ディズニー」
のスタンスで展開。
▪ USJのコンセプトを
「パワー・オブ・ハリウッド」から
「ファミリー・エンターテイメント」に
変更。
USJの歴史(2)
方向大転換(2010年)
▪ コアターゲットを、
「若者」から「女性」に変更。
当初は、アトラクションを前面に出し
たが、若者は直ぐに飽きてしまう。
▪ 女性に、パークで家族や仲間と
思い出づくりしませんか、と訴えた。
USJの歴史(3)
方向転換(2010年)
▪ 「女性」をターゲットにする以上、
「ジョーズ」や「バックドラフト」など、
映画を軸にしたスリルや迫力だけ
では不十分として、
「ハローキティ」を誘致して、
「かわいさ」をアピール。
USJの歴史(4)
方向転換(2010年)
▪ 2011秋の「ハロウィン」では、
2ヶ月間の入場者が
6万人から46万人に拡大。
「スパイダーマン」(140億投資)の
年間利用者数に相当。
掛った投資額は、
スパイダーマンの100分の1程度。
USJの歴史(5)
イベントで大成功(2011年)
▪ 敷地面積3万平方メートルの
「ユニバーサル・ワンダーランド」を
開業。「親子で遊べる」コンセプト。
「スヌーピー」や「ハローキティ」など
人気キャラクターのアトラクションを
集めた新エリアは家族連れを呼び、
前年比2割増。
USJの歴史(6)
開業以来の1000万人(2012年)
▪ 2013年春、後ろ向きに落下する
「バックドロップ」を導入
▪ 2013年夏、「スパイダーマン」刷新
国内初の4K映像で臨場感を演出。
投資額は20億円。
USJの歴史(7)
アトラクションを刷新(2013年)
▪ 「ハロウィン」や「クリスマス」などの
季節イベントの規模を拡大。
「若い女性」に
対する集客力を
着実に高めた。
USJの歴史(8)
女性向けイベントを拡大(2013年)
▪ USJは、「コスプレ」の聖地になった。
▪ パーク内には
「ミニオン」のコスプレを
する若い女性が目立つ。
▪ 着替えをバッグに詰めて来場する
人も多い(物販も急上昇)
USJの歴史(8)
女性向けイベントを拡大(2013年)
▪ 6万平方メートルの敷地に、
映画の舞台である
「ホグワーツ城」を再現。
▪ 開業した2001年(1,103万人)を
上回る1,200万人を視野。
現在50万人の外国人客を2倍に。
USJの歴史(9)
ハリーポッター新エリア(2014年)
▪ 投資額は450億円。
これまで最高額だった「スパイダーマン」
の3倍以上。
2012年度の売上高の半分以上。
▪ 開業当初の、1,102万人の
記録を超えることに成功。
USJ
ハリーポッター新エリア人気
▪ 「ザ・フライング・ダイナソー」
AKB48常設ライブ
▪ 2015年度、
来場者数で、1,460万人。
3年連続で過去最高。
2014年度の1,390万人を超えた。
USJの歴史(10)
AKB48常設ライブで拡大(2015年)
▪ 2015年1月~5月、
「ユニバーサル・クールジャパン」
▪ 「エヴァンゲリオン」
3次元映像に風や振動などの
特殊効果を組み合わせ。
▪ 「進撃の巨人」
高さ14~15mの巨人2体を再現。
USJの歴史(10)
ユニバーサル・クールジャパン(2015年)
▪ アニメ「新世紀エヴァンゲリヲン」など、
日本の人気コンテンツを題材にした
大規模イベント開催。
▪ 「エヴァ」の他、
マンガ「進撃の巨人」
ゲーム「モンスターハンター」
「バイオハザード」。
USJ「ユニバーサル・クール・ジャパン」
2015年1月23日~5月10日
▪ 2015年、ハリー・ポッターの
映像を3D化
▪ 2016年、魔法の杖を体験できる
仕掛けを追加
▪ 「きゃりーぱみゅぱみゅ」
▪ 「進撃の巨人」「デスノート」
USJの歴史(11)
更なる改革を継続(2016年)
▪ 過去のUSJは、
「ハリー・ポッター」など、
米国で開発された
アトラクションが多かったが、
日本が独自で開発した
世界最大コースター。
▪ 「ジュラシック・ワールド」公開後、
世界初の「恐竜」をテーマにしたアトラクション
USJ「ザ・フライング・ダイソナー」
2016年春、オープン
▪ 翼竜のプテラノドンに背中をつかまれ、
下を向いた姿勢で高低差のあるコースを
突き進む。
▪ コース全長 1,124m
▪ 高低差 37.8m
体が下に向いた状態で
進むコースターでは、世界最長・最高
▪ コース途中では360度回転する場所もある。
USJ「ザ・フライング・ダイソナー」
2016年春、オープン
▪ 「RE-BOOOOOOOORN!
さあやり過ぎよう!」
▪ 日中のパレードでは、
驚くほど大量の紙吹雪と泡を
降らせて、
非日常的な感覚を煽った。
USJの歴史(12)
15周年の記念事業(2016年)
▪ 「週刊少年ジャンプ」と
組んだ期間限定イベント
▪ 「ドラゴンボール」と「デスノート」の
世界観を再現したアトラクション
▪ 「ワンピース」がテーマのショー
USJ「ユニバーサル・ジャンプ・サマー」
2016年7月1日~9月4日
▪ 1日2~3回、ライブ実施。
▪ 屋内会場を中心に合計120回公演
▪ 前売り券は、9,900円(パス含む)
▪ 3,000円の当日券も売り出す
▪ 新たなファン層の
取り込みを狙った。
USJ場内で「AKBライブ」
2016年7月21日~9月4日
▪ 「ユニバーサル・クールジャパン
2017」で、
VRを使ったアトラクション
「エヴァンゲリオン」。
▪ ジェットコースターに
3D映像を用いる独自アトラクション
USJの歴史(13)
更なる改革を継続(2017年1月~)
▪ 専用のゴーグルを付けて、
ライド(乗り物)に乗れば、
首の動きに合わせ、
360度の風景を見渡せる。
▪ 映像の迫力と疾走感に
「リアル」「興奮した」
「エヴァンゲリオン XRライド」
「ユニバーサル・クールジャパン 2017」
USJ「ドラクエ」アトラクション
▪ 「ドラクエ」世代の30~40歳代の
男性客が目立つ。
「好きなキャラクターや
モンスターと
一緒に戦えることがとても斬新」
▪ 週末は、整理券が直ぐなくなった。
2017年3月17日開設~9月3日
「USJ」
▪ USJだからこその「VR体験」
▪ なぜXRライドを導入したのか?
▪ 1.既存施設を有効活用した
新アトラクション開発
▪ 2.新たな体験フォーマットの見直し
➝VR
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 圧倒的な没入感
▪ ライドならではの疾走感、重力
▪ 2つが完璧に
シンクロして生み出す
「超現実体験」
先端エンタテインメント
「USJ」
▪ 1.ライドの動きに合わせた
映像と音の表現
▪ 2、映像クオリティーの担保
▪ 3.映像による酔い
▪ この3つを備えた「XRライド」システム開発
(お客の重量によるスピード差で
映像とシンクロしなくなる)
先端エンタテインメント
▪ 世界最大の
「ミニオン・パーク」
オープン。
2017年前半 投資額100億円
USJの歴史(14)
USJ 「ミニオン・パーク」
2017年4月21日開設
▪ 「ミニオン・ハチャメチャ・ライド」
目玉アトラクション。
クルマに乗って、
ミニオンたちの世界に入り込む。
映像とシートの振動が連動し、
前後や急上昇、急降下を疑似体験
▪ 2018年6月30日オープン
▪ いたずら好きのミニオンたちが作った
アイスリンクで「製氷車」に乗って
氷上レースに参加する設定。
▪ 1基4人乗りで、10基配置
▪ 体験時間は、1分半
「ミニオン・ハチャメチャ・アイス」
USJ「ミニオン乗り物」
▪ 2018年で4回目
▪ 「名探偵コナン」や
「美少女戦士セーラームーン」
など4つのコンテンツを集めた。
USJの2017年外国人入場者数は
200万人を突破(3年間で2倍)
「ユニバーサル・クールジャパン 2018」
USJの歴史(15)
▪ 「コナン」は、中国や韓国で高い人気
多言語で楽しめる脱出ゲーム、
食事とライブショーを組み合わせた
謎解き体験
▪ 「セーラームーン」劇場が登場
(2018.3.16)
「ユニバーサル・クールジャパン 2018」
USJの歴史(16)
▪ 「セーラームーン」登場(2018.3.16)
▪ セーラームーンたちが
USJを舞台に
妖魔と戦う映像を楽しめる
「シアターアトラクション」
水や振動を用いた特殊技術。
「ユニバーサル・クールジャパン 2018」
USJの歴史(17)
▪ 夜のパレードも大幅刷新
▪ パレードと
プロジェクション・マッピング、
最新の照明・音響技術を融合した
「スペクタクル・ナイトパレード」
をスタート。
「ユニバーサル・クールジャパン 2018」
USJの歴史(18)
▪ 上映時間は、約25分。
▪ 投資額は、従来のパレードの
最大2倍となる70億円強。
▪ 「ミニオン」、「ハリー・ポッター」
「ジュラシック・ワールド」
「トランスフォーマー」
ユニバーサル・スペクタクル・パレード
USJパレード
▪ 音楽フェスティバル、
テーマパークの水浴び・雪遊び、
ワールドカップ、高校野球など、
「非日常的体験」を「共有」したい
という風潮が高まっている。
▪ 自宅で、音楽やテレビ・映画などを
「鑑賞」するスタイルからの「変革」。
「非日常的体験」を「共有」
非日常的な体験
▪ USJは、2017年まで水をかける企画で
人気を集めて来たが、
2018年夏から園内2か所
での、「雪遊び」を加えた。
▪ 舞台上の人気キャラクターが
大砲のような装置で
人工雪を吹き付ける。
USJ「雪遊び」
非日常的な体験
▪ 参加者は水鉄砲で応戦。
雪を全身に浴びながら、
歓声を上げた。
▪ 雪を浴びる前と後ろで体感温度は
5.4度下がる。
一連の夏の集客策が
USJは入場者数で、過去最高を更新。
USJ「雪遊び」
非日常的な体験
▪ 「ジュラシック・ワールド/炎の王国」
▪ 映画をテーマにした夜のパレード、
期間限定の謎解きゲームを通じて
映画のファンを呼び込む。
▪ 米「ユニバーサル・スタジオ」は、
テーマパークと相乗効果。
2018年7月13日公開
USJ 映画ファン呼び込む
▪ パレードの中心となる
フロート(移動式ステージ)、
周りの建物に
「プロジェクションマッピング」で
映像を投影し、
映画の世界に
入り込んだような演出
2018年~「スペクタクル・ナイトパレード」
USJ、夜のパレード
▪ 2019年1月18日~
▪ VRゴーグルを装着して
楽しむ期間限定
(5月中旬まで)の
ジェットコースターを準備
▪ エンタメ型レストランも開店
アニメ中の食事シーンを体験可能
新しい企画
2019年「ルパン三世」
▪ 2017年にヒットしたアニメ映画
「SING」をテーマに、
常設アトラクションを開設。
投資額は、数十億円。
▪ 映画に登場する動物が観客の前で
歌うショーで。
USJに「SING」アトラクション
2019春開業
▪ 20~30歳代女性をターゲット
▪ 目玉は、ダンス
▪ 昼は、仮装したミニオンなど
人気キャラクターと踊る。
山車に乗って登場。
▪ 夜は、大量のゾンビやモンスターと一緒に踊る
「三代目J SOUL BROTHERS」の新曲に
合わせてダンスする。
「ユニバーサル・サプライズ・ハロウィーン」
2019年 ハロウィン
▪ 2020年の「東京五輪」前には、
「スーパーマリオ」を
中心とする
任天堂の
テーマエリア
も開設。
今後のUSJ戦略
テーマパーク 人気回復策
▪ 2017年6月8日に着工スタート
▪ 2020年夏をめどに開業予定
▪ 人気ゲーム「マリオカート」を模した
乗り物など
複数のアトラクションを
新設
「スーパー任天堂ワールド」
投資額は過去最高の600億円
▪ 2014年に開業した
「ハリー・ポッター」
エリア(450億)を
超える設備投資。
▪ マリオなど人気キャラクターが登場する
乗り物型アトラクションや飲食店などを
併設。
2020年にオープン、500億円投資
USJに「任天堂エリア」
▪ 自分で運転する
マリオカートに、
ドンキーコングの
炭坑トロッコ、
ミスると池に落ちる。
2020年にオープン、500億円投資
USJに「任天堂エリア」
▪ USJの問題点は3つ
(1)映画ファンだけのパークという
作り手側の無意味なこだわり
(2)テレビCMの訴求力のなさ
(3)チケットの価格の低さ
▪ 消費者の「感動」の水準と離れた
▪ 玄人好みのばくちのようなビジネス。
【まとめ】USJが危機で気付いたこと
「作り手」視点から「消費者」視点へ
▪ 「若者」より、「女性」「ファミリー」
▪ 「ジェットコースター」より、
「キャラクター」「イベント」
▪ 「スリル」「迫力」より、「カワイイ」
▪ 「ジョーズ」より、「ハローキティ」
▪ 「スパイダーマン」より、
「ハロウィン」「クリスマス」
【まとめ】USJの成功は・・・
失敗から学んだ教訓
▪ 本来、「テーマパーク」の「常識」を
打ち破る「大阪」のパワー
▪ 東京では、あり得ない「カオス」
▪ そして、「ノリの良さ」
コスプレでパーク内を廻る。
キャストに対して、ボケる、ツッこむ。
USJの成功は・・・
大阪だから成功したかも?
オムレツとご飯を分けて食べるのは
まどろっこしいと感じた大阪人が考案
大阪発祥の食べ物「オムライス」
中国には「天津飯」はない
大阪は茶(醤油)、東京は赤(ケチャップ)
大阪発祥の食べ物「天津飯」
二項対立の世界と八百万の日本
▪ 「ハリー・ポッター」は、こちら側が正義で、
あちらが悪魔であるという一神教の世界。
▪ ユダヤ教も、
キリスト教も、
イスラム教も
すべて神は一つ。
▪ 神と対立するのは
悪魔である。
一神教(キリスト教)の「西洋文明」では
二項対立の世界と八百万の日本
▪ われわれ日本人は、八百万の神々の世界で
育っている。
▪ 教会で結婚式をやったり、
クリスマスを祝ったりする。
そして年の暮れになると
神社へ行ってお賽銭を入れ、
お葬式になったら、
お寺に行く。
八百万神の日本では・・・
▪ USJは、「映画館」の世界観から出発。
▪ 世界観は、「一神教」ではなく
「八百万(やおよろず)の神」。
▪ 多様な価値観のある
消費者をカバー。
USJの「世界観」変更
「映画の世界」から「八百万神の世界」へ
▪ USJ 森岡毅・(元)執行役員
「USJにメインキャラクターはいません。
すべてのキャラがメイン。
日本的な八百万の神を
頂くパークなんです」
▪ ハローキティ、スヌーピーの他、
「ゲーム」「アニメ」など、「映画」以外も導入。
USJの「世界観」変更
「映画の世界」から「八百万神の世界」へ
▪ 2001年に映画専門のテーマパークと
して開園したが、入場者が低迷
▪ 2010年頃から、ハリウッド映画に
拘らないブランドイメージに転換。
▪ スヌーピーやキティ、
▪ 日本のアニメやゲームをテーマとした
エリアやライブショー
USJがディズニーに勝った理由の一つ
テーマパーク 人気回復策
▪ 世界観を大切にする「東京ディズニー
リゾート」とまったく違う点。
▪ 「エヴァ」「進撃の巨人」「ワンピース」
「ハローキティ」「バイオハザード」を
一緒にするなんて東京ではやらない。
▪ 大阪のテレビ局(読売テレビ)は、
「コナン対ルパン」をやってしまう。
USJって・・・やはり大阪
世界観を無視したゴチャゴチャの面白さ
『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
まったく異なる「世界観」
▪ ビルから人が落ちても、
ルパンは死なない。
コナンは死ぬ。
『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
まったく異なる「世界観」
▪ ルパンは海外が主。コナンは海外に出ない。
17歳の高校生(小学生)はパスポートを
持っていない。
峰不二子が潜水艦を所持。
▪ デスパニアという新国を作る(ルパン世界)
▪ コナンが飛行機にしがみつく。
→凍死してしまう設定。
『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
まったく異なる「世界観」
▪ 泥棒と探偵
▪ コナン「おじさん、泥棒はいけないよ」
▪ ルパンと峰不二子は、うるさいガキと思い
つつ、コナンの能力を認める。
▪ コナンは、次元と仲良くなる。
普通は小さい子供と絡む性格ではないが、
7歳の子供に銃を突き付けるシーンも。
▪ ワールドカップの日本代表試合や
花火大会で登場する
「DJポリス」は、東京限定。
▪ 大阪でやると、
余計に人々を煽る
「逆効果」になってしまう。
大阪と東京は違う
何でもネタにする大阪文化
▪ 「東京ディズニーリゾート」と比べると、
グッズ販売や、飲食売り上げが弱い。
現在は、売上高の半分を
「チケット収入」で稼ぐ。
▪ 「グッズ」、「フード・ドリンク」強化
▪ お得感が強い「年間パスポート」の値上げ
USJに「課題」はないのか?
パークの収益力強化

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