若手アトツギ向け家業に戻る前の心構え（社会人向け）

若手アトツギ向け
家業に戻る前の心構え
（社会人向け）
2021年4月4日
中本卓利（Nakamoto Takuto）
一般社団法人ベンチャー型事業承継エヴァンジェリスト

家業前提
本スライドは事業承継を視野に入れている企業勤めの若手アトツギに向け、
家業に戻るとはどういうことかを簡潔に説明するものである。
新卒から家業へ企業勤めから家業へ

補足
もちろん家業の文化や親子関係などは家ごとに様々なため、本スライドは
全ての若手アトツギに当てはまるものではない。あくまで家業に戻る際の心
構えのヒントを得る一つの参考資料としてお読みいただければ幸いだ。
資料は正解資料は参考

スライドの進め方
以上の前提に基づき、本スライドは以下のように進める。
家業に戻るとは家業に戻る時期
1 2
家業に持ち帰るモノ
3
そもそも家業に戻るとは何か。家業
の特徴を踏まえた上で、転職と何
が違うのかについて説明する。
いつ家業に戻るべきなのか。出来
る限り若手のうちに戻るべきと叫ば
れる理由ついて説明する。
家業に戻ると心積もりを決めた後
は何を準備すべきなのか。持ち帰
るべきものについて説明する

若手アトツギが
陥りやすいミス①
家業に戻るとは
経営陣に加わることである

心掛けるべきこと①
従業員に加わることである

家業に戻るとは、将来的に経営陣に加わることを前提にした転職である。
もちろん先代が倒れるなどのケースで突如として代表権を譲り受けるケース
があるものの、多くの場合は現場からキャリアを再スタートさせる。
若手アトツギ家業組織

転職との比較
一般企業への転職と異なり、若手アトツギとして家業へ転職の場合は三つ
の大きな制限が生まれる傾向にある。
私事の制限
業務の制限関係の制限

1.1 業務の制限
家業に戻ると業務の自由度がなくなるケースが多い。先代アトツギ（親）
の意向で、家業全体を理解させようと様々な業務の掛け持ちが行われたり、
ひたすらに現場の下積みに回されることも少なくない。
若手アトツギ
業務指示
業務の制限
先代アトツギ

1.2 私事の制限
家業に戻るとプライベートの自由度がなくなるケースが多い。先代アトツギ
（親）から公私混同の連絡が届くことはもちろん、親と生活を共にすると業
務時間外さえお構いなしに仕事の話となることも少なくない。
若手アトツギ
公私混同
私事の制限
先代アトツギ

1.3 関係の制限
家業に戻ると人間関係が家業に規定されるケースが多い。職場の古参社
員のみならず、販売先や仕入先、果ては地元の業界団体や経営者の集
いまで好む好まないに関わらず付き合わされることも少なくない。
若手アトツギ
関係強制
関係の制限
先代アトツギ

補足
家業に戻ると二度と転職できないというのは思い込みである。事業承継
前（株取得前）であれば法的な立場は他の従業員と変わりなく、家業と
一生を添い遂げる義務はない。故に家業を継ぐべきか否かを確かめるため
に戻るのも一手である。
企業勤めから家業へ家業から企業勤めへ

整理
家業に戻るとは三つの制限が課される職場への転職と同義である。もちろ
ん先代アトツギ（親）からは事業承継を期待されているものの、家業を終
の住処と重く捉える必要はない。
私事の制限
業務の制限関係の制限

陥りやすいミス②
十分な研鑽を積んでから
家業に戻る

心掛けるべきこと②
出来る限り早く
家業と向き合う

家業に戻る時期
家業に戻る時期は早ければ早いほど望ましい。もちろん家業外で研鑽を
積むことは価値あるものの、戻り遅れては三つの壁が立ちはだかる。
時間の壁
現場の壁変化の壁

2.1 現場の壁
家業に遅くして戻ると古参社員からの反対に遭うケースが多い。長い下積
みや輝かしい実績がなくとも経営への参画が約束されていることから、実情
を理解していない、親の七光り頼み、といった否定に遭いがちである。
古参社員* 若手アトツギ
反対反感
*すべての古参社員がそうというわけではなく、あくまで傾向として

2.2 時間の壁
家業に遅くして戻ると全力投球できる時期を過ぎ去っているケースが多い。
子育てや介護といったライフイベントを考慮すると、20代前半から30代半
ばまでは比較的時間の猶予があり事業を推し進めるには最適である。
結婚
子育て
親の介護
時間の猶予
30歳 50歳
20歳 40歳
教育

2.3 変化の壁
家業に遅くして戻ると変化に対して億劫となるケースが多い。人は老いると
これまでのやり方を是として無難な道を歩もうとする傾向にあるため、時代の
流れに合わせた変革への着手がなおざりになってしまいがちである。
変化
肯定
若手アトツギ業績好転へ
変化
否定
中堅以降のアトツギ* 業績低迷へ
*すべての中堅以降のアトツギがそうというわけではなく、あくまで傾向として

補足
突如倒れた高齢の先代アトツギ（親）から事業を継ぐと苦労が絶えない。
引継ぎがなく五里霧中、分散した株の買い戻し、古参社員の会社乗っ取
りなど枚挙にいとまがない。事業承継リスクは先代が老いるほど上昇する
ため、先代が現役中に継ぐのが最適である。
先代が高齢で承継先代が現役で承継

整理
家業に戻る時期が遅れれば遅れるほど事業承継には不利である。また先
代アトツギ（親）が年老いては突然の事業承継リスクも高まるため、継ぐこ
とを視野に入れているのであれば早めに家業と向き合うことが望ましい。
時間の壁

陥りやすいミス③
現在の家業に
役立つモノを持ち帰る

心掛けるべきこと③
家業の改善に
役立つモノを持ち帰る

家業に持ち帰るべきは、家業の中では得難い家業の改善に役立つモノが
望ましい。それらの中でも代表的なものは以下三つの理解である。
家業の理解
世界の理解自身の理解

3.1 世界の理解
若手アトツギによる家業改善には、世界の理解が欠かせない。業界外で
当たり前となっているベストプラクティスやテクノロジーなどは業務の刷新に必
要不可欠である。家業の常識は世界の非常識であると忘れてはならない。
若手アトツギ外の世界

3.1.1 世界の理解の注意点
家業に入る前に世界の常識や様々な価値観を把握することは極めて大切
であるものの、外の世界で得た知見を家業に浸透させるには多大なコミュ
ニケーションが必要になる。一般企業に比べて家業は論理よりも感情が優
先され易いと心し根気よく取り組むことが欠かせない。
若手アトツギコミュニケーション

3.2 家業の理解
若手アトツギによる家業改善には、家業の理解が欠かせない。人は自身
を客観的に捉えることが出来ないため、家業に戻ってからでは家業を色眼
鏡で見てしまう可能性が高い。だからこそ家業を外から分析し洞察を得た
上で戻ることが望ましい。
若手アトツギ洞察

3.2.1 家業の理解の深め方
家業の理解を深める方法の一つに、家業への問い掛けがある。家業に掛
け合わせて新しい価値を生むものはなんだろう？どんなスキルを身に付ける
と家業で活かせそうだろう？もし自分が後を継いだらどんな会社にするだろ
う？と様々な問いを立てることで気付き学びを得ることが出来る。
若手アトツギ家業への問い

3.3 自身の理解
若手アトツギによる家業改善には、自身の理解が欠かせない。家業は
「家業にとっての当たり前」が満ち溢れているため、自分の考え方や信念を
明確に持っていなければ翻弄される可能性が高い。だからこそ、家業という
荒波に負けず決断と行動を起こせるよう心の錨が必要である。
若手アトツギ心の錨

3.3.1 自身の理解の深め方
自身の理解を深める方法の一つに、自分株式会社の設立がある。家業と
は別に自分が事業を興すと仮定して、大切にしたい経営理念は何か？目
指したい世界は何か？提供したい価値とは何か？といった風に心の中を描
き出すことで気付き学びを得ることが出来る。
若手アトツギ自分株式会社

補足
家業に戻る前にパートナーを得た場合、家業に戻ることをパートナーに反対
されるケースも存在する。家業に戻る心積もりがあれば、パートナー候補に
その旨を事前に伝えた上でお付き合いすることは欠かしてはならない。
若手アトツギパートナー候補
家業をいつか継ぐつもり

整理
家業に持ち帰るべきは、家業の中では得難い家業の改善に役立つモノが
望ましい。ちなみにスキルや知識を学んでから戻ろうとすると際限がなくなる
ため、戻ってから家業と並行して学ぶ気概を持つことが重要である。
家業の理解

まとめ
若手アトツギ向け
家業に戻る前の心構え
（社会人向け）

まとめ
若手アトツギが家業に戻る上で外せない三つのポイント
①家業に戻るとは制限付きの職場へ従業員として転職することである。
②家業に戻る時期は早ければ早いほど数多の壁を乗り越え易い。
③家業に持ち帰るべきは家業の中では得難い家業改善に役立つモノが望ましい。
家業に戻る時期
1
2
3
業務の制限私事の制限関係の制限
家業の理解
時間の壁

陥りやすいミス④
家業に戻るとは、
先代の意向に沿うことである。

心掛けるべきこと④
家業に戻るとは、
自身の意思に従うことである。

若手アトツギ向け家業に戻る前の心構え（社会人向け）

Recommended

Recommended

More Related Content

What's hot

What's hot (20)

Similar to 若手アトツギ向け家業に戻る前の心構え（社会人向け）

Similar to 若手アトツギ向け家業に戻る前の心構え（社会人向け） (7)