種子法廃止
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イントロ
#1 種子法という法律が2018年4月に廃止された
#2 国産の米・麦・大豆が遺伝子組み換えとなり
高級食材(価格高騰)となる懸念が増す
#3 日本国民の主食が今、危険にさらされている
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種子法の正式名称
「主要農作物」種子法の略称
主要農作物=米・大豆・麦
※野菜や果物ではないので注意
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種子法とは
● 第二次世界大戦の中、日本は深刻な食料危機となる。
国が主食であるお米を管理し、配給するしなければなら
ない程、厳しい食料事情だった。
● 大戦の経験を通して「二度と国民を飢えさせない」の
理念の元、主要農作物の種子(米・麦・大豆)を農家に
安定して供給する法律が制定。
● これが種子法であり、1952年に制定された。
● 私達が国産のお米や麦、大豆を安定し、食べられるのも
種子法があるからこそ、実現できている。
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種子生産までの流れと種子法の対象範囲
役割 関係機関
STEP
1
米、麦、大豆の種子を公共財
として安定供給する責任
日本政府
STEP
2
原原種・原種の生産 都道府県
STEP
3
種子の生産 採種農家
・優良品種(守る種子)の選定、
原原種・原種の生産、ほ場の指定
種子の検査などを義務付ける
・予算交付
国 → 都道府県
・原種をもとに種子を生産するよう
に依頼
都道府県 → 採取農家
STEP1~3を経て、農家へ種子が提供される
これらが
種子法で
守られて
きたこと
種子法廃止により種子を守る責任が国から無くなる。
つまり、都道府県任せとなり、予算交付もされなく
なる可能性が高まることとなる。
MEMO
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都道府県 採種農家
原原種の生産 原種の生産 種子の生産
種の大もととなる株
のこと。育成する多
くの株の中で厳しい
審査を通過した少量
を厳選。その株を種
子の大もととする。
原原種と種子をつな
ぐ工程。原原種から
さらに多くの株を育
成し、種子の生産に
引き継いでいく。
一定量の株(原種)
から種子を生産する
工程。ここで農家に
提供する「種子」が
生産される。
補足丨原原種・原種・種子生産それぞれの役割
農家へ種が
提供される
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STEP2の原原種・原種生産の苦労について
原原種・原種としての条件
出穂・開花
の時期
色 葉の大きさ
や形
稲の
丈の長さ
これらが全て揃わないと認められない
※この他にも条件があり、厳ししい条件を満たすもののみが認められる
原原種の生産 原種の生産 種子の生産
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原原種・原種の条件を満たすための多大な努力
形質が優れた「株」を厳選し
毎年育てる必要がある。
※株の長期保存は品質が
劣化するため不可
風や鳥、水に乗って他の品種
が発芽・交雑するのを防ぐ
雑草や異株を目視で徹底的に
確認、取り除く地道な努力
1 2
3 4
原原種の生産
原種の生産
種子の生産
発芽試験において90%
以上の発芽がなければ原原種
として認められない
原原種の生産 原種の生産 種子の生産
原原種の生産
から3年目に
して種子の
生産に入れる
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採取農家による種子生産の努力
雑草稲、ストライプ稲、生育状況、
病害虫の審査など審査項目が多岐に渡る
他農家の稲花粉による交雑を
防ぐため、谷あいなど限定さ
れたほ場でしか対応できない
同じほ場で育成する品種は
原則として同じでなければな
らない
1 2
3 4
年に5回もの検査がある上、
発芽試験において90%
以上の発芽がなければ失格と
なり、出荷が認められない
原原種の生産 原種の生産 種子の生産
MEMO
風や鳥、水に乗って他の品種
が発芽・交雑するのを防ぐ
雑草や異株を目視で徹底的に
確認、取り除く地道な努力
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種子生産のプロセスは多大な努力を要する
ここまで見た通り、種子生産のプロセスは
時間、手間、コスト、経験、技術すべてが
揃わなければならず、多大な努力を要する
時間
技術
経験
コスト
手間
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改めて「種子法廃止」の意味することとは
役割 関係機関
STEP
1
米、麦、大豆の種子を公共財
として安定供給する責任
(指示を出し、予算をつける)
日本政府
STEP
2
原原種・原種の生産
(採取農家へ原種を提供する)
都道府県
STEP
3
種子の生産 採種農家
STEP1~3を経て、農家へ種子が提供される
Before
役割 関係機関
STEP
1
米、麦、大豆の種子を公共財
として安定供給する責任
(指示を出し、予算をつける)
国
STEP
2
原原種・原種の生産
(採取農家へ原種を提供する)
都道府県
STEP
3
種子の生産 採種農家
国による責任=指示と予算がなくなるため
原原種・原種・種子の生産が都道府県任せとなる
厳密なプロセスで行われる生産を
管理・指示・予算無しで行うことは厳しい
After
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種子法廃止をどうして国はすすめたのか
●廃止の理由1
「農業における生産資材価格(=種子)の価格を下げるた
めに民間企業を入れて競争させ、価格を下げる」
⇨すでに高品質で安く提供できている
(国の管理・指示・予算が有ったため)
●廃止の理由2
「国・都道府県が保護をしているために、民間企業は不利で
あり、品種開発意欲を阻害している」
⇨仮に民間に委託したとしても、割に合わないので
品質や安全、安定性に歪みが起きる
⇨食料自給・安全に係る主要農作物を民間にたくすのか
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民間企業が多様な種子を安定して守るのは不可能
P6~P10で説明した通り、種子生産は厳密なプロセス
で行われるため、民間企業が行うと赤字 or 利益が殆ど出ない
つまり、以下の選択をとらざるおえなくなる
価格を上げる 品質を下げる 品種を減らす
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農家・消費者に起こること
価格を上げる 品質を下げる 品種を減らす
種子価格の高騰
国産の米・小麦・大豆
価格の高騰
遺伝子組み換え米
の流通
味や栄養等の品質低下
企業側に都合の良い
品種しかつくられず
好みの銘柄が選べない
現在1000種以上
登録されている多様な
種子が失われる
自然災害等へのリスク
管理として、多様な
種子は国家の食料自給上
非常に重要
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どうしても民間企業を積極参入させたい政府
● 農業競争力強化支援法が制定された。
十分な審議もされないまま、種子法廃止と同時期に
スピード制定された法律。
● 民間の競争力を高めるために、都道府県(及び関係機関)
の原原種・原種・種子生産のノウハウも含め提供し
てください。という法律。
● 種子法廃止により、主要農作物に関する政府の管理や指示
といった責任をなくし、予算も削減することに加えて、
民間企業に対して、ノウハウまで提供することになった。
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種子法廃止→民間企業の参入強化リスクまとめ
種子価格の高騰
国産のお米、麦、大豆
の価格高騰
1 2
3 4
味や栄養面などの
品質の低下
国産の遺伝子組み換え
米・小麦、大豆の流通
による食の安全性の問題
品種激減による、多様な
銘柄から選択できない
冷害や病害虫による不作
へのリスク管理ができず、
国全体の安定した主食の
供給ができなる可能性
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「一体、誰が得する仕組みか?」を考える
日本人の主食は国民だけでなく、国家の安定した
食料自給として明らかに大切。
種子法による政府の介入がなければ品質や価格、
安定供給、安全等が保てないのは明白にもかかわ
らず、民間企業に任せたいのは何故でしょうか。
「一体、誰が得する仕組みとなっているのか?」
仕組みを観察すれば、自ずとみえてくるはずです。