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第44回教育システム情報学会全国大会(13 Sep 2019)
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Scrapboxを用いたアクティブラーニング型授業における学習プロセスの可視化と共有
1.
Scrapboxを用いたアクティブラーニング型 授業における学習プロセスの可視化と共有 近藤 伸彦 首都大学東京大学教育センター
2.
本研究の概要 ◆ 大学教育の質保証 ⚫ アクティブラーニング、汎用的能力育成… ⚫
成績評価基準の明確化と厳格な成績評価、 学習成果の可視化の要請(→ IR) ◆ 本発表 ⚫ 評価基準の明確化と 学習プロセスの可視化・共有・即時フィードバック ◼ 発表者の担当するアクティブラーニング型授業での実践結果 ◼ Scrapboxによるオンラインノート作成を核とした学習活動 ◼ 学生はどのようにふるまうか? 2第44回JSiSE全国大会13 September 2019
3.
本研究の対象科目 ◆ 本研究の対象科目 ⚫ 「教養としてのデータサイエンス」(2018年度後期) ⚫
首都大学東京教養科目、近藤が担当 ⚫ 現代的教養としての数理・データサイエンス ◼ データを見る力 ◼ データ分析の基礎スキル ⚫ ICTを活用したアクティブラーニング型授業 ◼ クラウドサービスのScrapboxを使用 3第44回JSiSE全国大会13 September 2019
4.
具体的な学習内容 ◆ データを扱うための基本中の基本 ⚫ テーマ①
グラフ等によるデータの可視化 ⚫ テーマ② データの分布と数値要約 ⚫ テーマ③ データの相関 ◆ データ分析の基礎的手法と応用的手法の体験 ⚫ テーマ④ 統計的検定 ⚫ テーマ⑤ 機械学習 ⚫ テーマ⑥ 進化計算 ◆ 1テーマあたり2回ぶんほど 413 September 2019 第44回JSiSE全国大会
5.
調べ学習→オンラインノート作成→演習課題 第44回JSiSE全国大会13 September 2019
5 各テーマについて ヒントとしての 概念マップを参照 (講義はしない) 調べ学習 オンラインノートの作成 (Scrapbox使用) オンラインノートを活用して 答えのない演習課題に取り組む 提出 オンラインで 相互閲覧できる ようにする (学習の共有)
6.
Scrapboxとは ◆ 情報整理・思考整理のためのクラウドツール ⚫ https://scrapbox.io/product ⚫
カード型のスムーズWiki (倉下2018) ⚫ NOTA社による開発 ◆ 特徴 ⚫ テキストベースの簡易な入力記法 ⚫ リンクとハッシュタグにより 階層でなくフラットに情報を蓄積・構造化 ◼ 容易かつスケーラブルに知識をネットワーク化できる 6第44回JSiSE全国大会13 September 2019 Scrapboxを用いることで… ・UIが優秀 → 調べ学習の外化に向いている ・オンラインで相互参照が容易 → 学習プロセスを共有できる ・細かいログを活用できる → 学習プロセスの分析・可視化ができる
7.
演習課題のしくみ 課題の種類 内容 課題の 取り扱い ベーシック課題
必須 全員身につけてほしい知 識・スキル 次回解説後、修正 して再提出 スペシャル課題 (2題出題) 任意 答えの1つに定まらない課 題 次回クラス全員で シェアアクティブ課題 任意 自分で課題を見つけて自 由にレポート 713 September 2019 ◆ テーマごとにこれらの課題(計4つ)を出題 ◆ 作成したオンラインノートを活用して課題に取り組む ◆ Dropboxでファイル提出 ◆ 出題の次の週に解説やシェア活動を行う ⚫ 共同体としての知識構築 第44回JSiSE全国大会
8.
(参考)本授業に関連するその他の研究 ◆ 他者のオンラインノートや提出課題を相互参照する学習 活動を行っている ⚫ 他者の学習プロセス・学習成果をリアルタイムに把握できる ⚫
本発表では割愛 ◆ 本授業の取り組みについて切り口ごとに発表 ⚫ 授業全体設計(外化と協調学習) ◼ 近藤伸彦, “Scrapboxによる外化と協調学習を核としたアク ティブラーニング型授業の設計と実践”, 日本教育工学会秋季 全国大会(第35回), 2019. ⚫ 操作ログの分析(リンクと理解度の関係) ◼ 近藤伸彦, 畠中利治, 松田岳士, “Scrapboxを用いたオンライ ンノートの学習記録と学習成果の分析”, 第33回人工知能学 会全国大会, 2019. 8第44回JSiSE全国大会13 September 2019
9.
ポイント制による 学習プロセスの可視化と共有
10.
到達目標と学習活動と評価 ◆ 授業の到達目標 ⚫ データを見る力、データ分析の基礎スキル、 これらと学びや生活との接続 ◆
学習活動 ⚫ 調べ学習とオンラインノート作成 ⚫ 演習課題(3レベルを自由に選択) ⚫ 最終課題(レポート) 10第44回JSiSE全国大会13 September 2019 これらの学習活動を ポイントにって定量化、 および常時公開・共有 Scrapboxのログから 取り組み状況をポイント化 提出状況をポイント化 採点してポイント化
11.
DPとの対応 ◆ 首都大のDP ⚫ ①知識・理解及び技術 ⚫
②普遍的に有用性を持つ能力 ◼ a) コミュニケーション能力 ◼ b) 情報活用能力 ◼ c) 総合的問題思考力 ◼ d) 論理的思考力 ◼ e) 能動的学習姿勢 ◼ f) 倫理観、社会的責任の自覚 ◼ g) 異なる文化・社会への理解 11第44回JSiSE全国大会13 September 2019 この4項目は本授業で とくに伸ばす項目として カリキュラムマップに記載
12.
ポイントの配分 12第44回JSiSE全国大会13 September 2019 ◆
評価観点ごとの学習行動とポイント配分 ◆ 合計獲得ptが… 90pt以上:秀、80~89pt:優、 70~79pt:良、60~69pt:可、0~59pt:不可 評価観点 学習行動 ポイント配分 授業の到 達目標に 対応した 観点 専門的知識・スキ ル (DP論理的思考力 も含む) 演習課題提出 最大42ポイント (7ポイント×6テーマ) DPに対応 した観点 能動的学習姿勢 演習課題の 期限内提出 最大30ポイント (5ポイント×6テーマ) 情報活用能力 調べ学習とオンラ インノート作成 最大40ポイント (記述量に比例) 総合的問題思考力 最終課題 (第14回に出題) 最大20ポイント (5ポイント×4問) この基準は最初から学生に公開
13.
ルーブリック ◆ 到達目標および DP関連項目に 紐づけた ルーブリック ◆ ポイントとの 関係も明確化 13第44回JSiSE全国大会13
September 2019
14.
演習課題とポイント化 課題の種類 内容 課題の 取り扱い 提出 ポイント 期限内提出 ポイント ベーシック課題
必 須 全員身につけ てほしい知 識・スキル 次回解説後、 修正して再 提出 4ポイント 2ポイント スペシャル課題 (2題出題) 任 意 答えの1つに 定まらない課 題 次回クラス 全員でシェ ア 1ポイント (×2題) 1ポイント (×2題) アクティブ課題 任 意 自分で課題を 見つけて自由 にレポート 1ポイント 1ポイント 1413 September 2019 第44回JSiSE全国大会 要するに、課題ごとに、提出したらポイント、期限内ならさらにポイント
15.
オンラインノート作成状況のポイント化 ◆ Scrapboxへの入力内容をJSON形式でエクスポート可能 ◆ 適当にパースして 各ページの文字数や ページ間のリンク構造 を定量化 ◆
文字数に応じて ポイント化 ⚫ 記述内容の質は 考慮できておらず 今後の課題でもある 15第44回JSiSE全国大会13 September 2019
16.
第44回JSiSE全国大会 ポイント集計表(課題+オンラインノート) ◆ ポイント内訳&合計点を(匿名で)常時公開 1613 September
2019 総合ポイント情報 (内訳)課題ポイント (内訳)ノートポイント
17.
実践結果 ~現象と反応~
18.
本実践結果について ◆ ポイント配分ルールはもちろん本授業特有のもの ◆ ただ、「なんらかの明確な基準に基づいて 学習のプロセスと成果をポイント化し、 ポイントと成績の関係を学生に周知したうえで、 可視化して常時公開・共有したらどうなるか」 という観点では、一般的示唆があると考えている 18第44回JSiSE全国大会13
September 2019
19.
本発表で用いるデータ ◆ 2018年度後期授業履修者59名 ◆ アンケートについては、 研究使用の同意が得られた49名分 ◆
現象:ポイント推移のデータ ◆ (学生の)反応:アンケート結果 19第44回JSiSE全国大会13 September 2019
20.
ポイント範囲別の人数推移 ◆ 第11回以降のポイント範囲別の人数推移 20第44回JSiSE全国大会13 September
2019 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 最終締切 7日前 最終締切 6日前 最終締切 5日前 最終締切 4日前 最終締切 3日前 最終締切 2日前 最終締切 1日前 最終締切 日 秀 90~ 0 0 0 2 6 7 8 8 11 14 16 25 26 優 80~89 0 1 5 8 9 8 9 10 10 8 9 9 10 良 70~79 2 6 10 10 12 13 12 12 9 11 14 11 11 可 60~69 3 11 10 9 9 10 9 10 11 10 9 6 6 50~59 5 8 8 8 8 6 6 5 4 3 1 1 0 40~49 10 8 7 5 4 4 4 3 3 4 1 1 0 30~39 11 9 4 3 0 0 0 0 1 1 2 0 0 20~29 15 5 4 4 2 3 3 3 2 2 1 1 1 10~19 5 5 6 5 5 4 4 4 4 2 2 1 1 0~9 12 10 9 9 8 8 8 8 8 8 8 8 8 ポイント範囲 不可 第15回以降は1日ごとに集計 まず単位修得のための 60ポイント超えが めざされる 徐々に成績「良」となる 70ポイント台が多くなる さらに上の成績が めざされる (最終的に最高段階の 90ポイント超が多数)
21.
個人別のポイント推移 21第44回JSiSE全国大会13 September 2019 最終締切間際は とくに動きが激しい
22.
最終的なポイント別人数分布 ◆ 「基準に合わせにくる」現象はやはりある ⚫ 成績「優」と「秀」の閾値は 明らかに「超えられる壁」として映ったようす ◼
「ここまできたら…」という感じがある ⚫ 同様に「可」と「不可」の間も 「なんとしても単位を!」の感がある 22第44回JSiSE全国大会13 September 2019 3 2 111 0 3 4 22 7 0 1 00 1 2 11 222 1 2 0 11 0 2 11 00 1 0000 4 0 1 5 100以上 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 88 87 86 85 84 83 82 81 80 79 78 77 76 75 74 73 72 71 70 69 68 67 66 65 64 63 62 61 60 59以下 人数 最終ポイント 可 良 優 秀 不可
23.
アンケート結果 ◆ 研究使用の同意が得られた49名の回答に基づく ◆ ポイント制に好意的な回答
… 46名(93.9%) ⚫ 学習のめやすになった、わかりやすい … 36名 ⚫ 学習計画が立てやすい … 9名 ⚫ モチベーションややる気につながった … 6名 ⚫ プロセスや努力が評価されるのが良い … 6名 ⚫ 評価基準が明確なのが良い … 4件 23第44回JSiSE全国大会13 September 2019
24.
ポイント制への反応(アンケートより) ◆ 評価基準が明確なのが良い ⚫ 評価内容が明確になり、学習の目安になるので良い制度だと思 う ⚫
教授の主観的な裁量で成績がつけられてしまう授業もまだ存在 しているのが現状であるので、ちゃんとどのようにして成績を つけているのか明示してくれるポイント制の授業をもっと採用 してほしいと思う。 ⚫ ポイントの加点方法が明言されていたことと、ポイントがネッ トを通して見れたことで、学習意欲を維持することができた。 ⚫ 他の授業では公開されない、詳細な成績が可視化されているの は良かった。 24第44回JSiSE全国大会13 September 2019
25.
ポイント制への反応(アンケートより) ◆ 学習計画が立てやすい ⚫ 自分のやるべきことが明確になるので、課題への取り組み方を 考えるのによかったです。 ⚫
時期によって課題に取り組むことが難しい状況になった場合で も、ポイントのルールが明確化されていることで、他の講義と の調整ができたので非常にありがたかった。 ⚫ 自分の今の得点がわかって、ほかの教科の勉強との兼ね合いが わかってよかった。 ⚫ 自分が後どれくらい必要なのか分かるのでとても良いと思う。 ⚫ 自分がいまどれくらい進んでいるのかわかりやすく、あとどれ だけ頑張ろうか考えて取り組むことができた。 ⚫ 特に感じたのは公開される点。どのくらいやればいいのかを一 目でわかるし、他の人との差も感じられる。また点数が高い人 のノートを見て参考にもできるので助かりました。 25第44回JSiSE全国大会13 September 2019
26.
ポイント制への反応(アンケートより) ◆ モチベーションややる気につながった ⚫ 頑張った分だけ成績として結果がついてくるのは、モチベー ションにもつながる素晴らしい仕様だと思う。 ⚫
ポイントが可視化されたことはモチベーションになった。 ⚫ やった分だけ評価されるので学習意欲が出る。 ⚫ ポイントの加点方法が明言されていたことと、ポイントがネッ トを通して見れたことで、学習意欲を維持することができた。 ⚫ 成績が常にわかる状況だったのでやる気が出た。 ⚫ 進行具合が都度確認出来て、学習を進めるにあたってある程度 モチベが上がったように感じた。 26第44回JSiSE全国大会13 September 2019
27.
ポイント制への反応(アンケートより) ◆ プロセスや努力が評価されるのが良い ⚫ 自分が課題に取り組んだ量がわかりやすくていいとおもう ⚫
自分の活動がそのまま点数になっていて、わかりやすいし楽し い ⚫ 自分の努力がちゃんと加算されていることがわかってすごく安 心できる ⚫ 頑張りがポイントになるのは良いと思う。テスト一発勝負はあ まり好きではないので、ポイント制で良かった。 ⚫ ほかの授業もポイント制のほうが良い。行動が評価されやすい。 27第44回JSiSE全国大会13 September 2019 課題提出状況+オンラインノート作成状況と、 かなり細かいプロセス(行動)が ポイントにより評価されたと感じているもよう
28.
ポイント制への反応(アンケートより) ◆ ネガティブな反応 ⚫ なまけやすい人たちにとっての逃げ道になる可能性があるので はないかと考えた。 ⚫
面白いが伸びが少なくて時々萎える ⚫ あまりにもポイントが伸びなかったり、提出方法を間違えて期 限内ポイントがゼロになったりと、この授業の中では最大のス トレスだった。 28第44回JSiSE全国大会13 September 2019
29.
まとめ ◆ 結果をまとめると… ⚫ 評価基準が明確で現時点の状況が常に可視化されるしくみ →
学習者を鼓舞し評価基準に基づく行動を促す ⚫ 一方で基準に「合わせにいく」行動をとるともいえる ◼ 評価の可視化は「力」である、ということ ⚫ 設定した評価基準による評価結果を公開することで、 力学的な「場」が可視化されるイメージ ⚫ より評価の高くなる方向への「力」が働く ◼ 基準と測定・評価方法の妥当さは常に検討し続けるべき 29第44回JSiSE全国大会13 September 2019 ただし、評価を明確にすることと細かく可視化することは、 学習計画に役立ち、やる気を出させ、納得感や満足感を与える、 ということ自体はおそらく原則的なこととして言えそう
30.
課題と今後 ◆ 課題 ⚫ 学習量の評価に偏りすぎている ⚫
ポイント配分の見直しが必要(労力とポイントの関係) ⚫ より初期からの公開が望ましい ◆ 今後の展開 ⚫ 学習効果への影響についてのより深い考察 ◼ なんらかの学習成果の直接評価と結びつけた分析 ⚫ ルーブリックに基づく質的な評価を取り入れて 到達度の形成的評価を常にフィードバックできるしくみへ ◼ 今期はTAによるパフォーマンス評価とフィードバックを 加える予定 ⚫ 学生の学習スタイルの分析 ◆ 追いかけたい「問い」 ⚫ 本当に「主体的学び」に資するような評価とその可視化とは? 30第44回JSiSE全国大会13 September 2019
31.
ご清聴ありがとうございました 3113 September 2019 近藤
伸彦 e-mail: kondo@tmu.ac.jp twitter: @nobuhiko_kondo Facebook: nobuhiko.kondo 第44回JSiSE全国大会 首都大学東京2018年度開講「教養としてのデータサイエンス」 履修者のみなさまに謝意を表します。