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サイバーエージェントにおける計算社会科学研究

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2020/6/11 人工知能学会 全国大会 2020 - インダストリアルセッション (5) での発表内容

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サイバーエージェントにおける計算社会科学研究

  1. 1. サイバーエージェントにおける 計算社会科学研究 2020/06/11 第34回 ⼈⼯知能学会全国⼤会 ‒ インダストリアルセッション CyberAgent, Inc. All Rights Reserved ⾼野雅典 株式会社サイバーエージェント 秋葉原ラボ takano_masanori@cyberagent.co.jp 1
  2. 2. 2 ⾼野 雅典(データマイニングエンジニア/@mtknnktm) ●仕事: サイバーエージェントの⾃社メディアの データ分析関連もろもろ + 計算社会科学研究 その前はシステムエンジニア@前職SIer、JavaScriptエンジニア@CyberAgent 学⽣時代@名古屋⼤学の専⾨は 複雑系・⼈⼯⽣命。博⼠(情報科学) ●研究の興味: 社会的知性、ネットワークダイナミクス、 統計モデリング、ネットとヒトと社会の関係 ●所属 秋葉原ラボ:メディアサービス@サイバーエージェント のデータ関連諸々をするR&D組織 https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/labo/research_list/
  3. 3. 株式会社サイバーエージェントの事業ドメイン 本⽇お話する領域 ※ 当社及びグループ会社が展開するサービスの⼀部を掲載 株式会社サイバーエージェント 秋葉原ラボ パンフレット Ver.2 p.3
  4. 4. Webメディア市場の拡⼤、社会とWebの関係の複雑化 → 企画・デザイン・エンジニアリングでは扱いきれない事象が増加 n 社会に受容される/されないやり⽅ • ビッグデータとプライバシー • 機械学習/統計と差別・バイアス n 社会問題におけるWebメディアの影響度の増⼤ • ヘイトスピーチ • フェイクニュース(政治的⾔説、医療デマなど) • 炎上、ネットいじめ • ネット依存症 • 接触情報の偏り(フィルターバブル・選択的接触) n Webメディアの問題解決能⼒も影響度を増⼤ • 現実の社会関係の補間(居場所がない⼈に居場所・仲間を提供) • ⾼品質情報・コンテンツの提供(ニュース・ドラマなど) • 恋愛機会の格差の是正 ⼈/社会/⽂化の性質の側⾯からもメディアサービスの理解・推進が必要 計算社会科学 4
  5. 5. 5 計算機が可能にする社 会現象の科学 ビッグデータ分析、 ヴァーチャルラボ、Web調査、 シミュレーション 計算社会科学とは 昨⽇、オーガナイズドセッションがありました [2E4-OS-1a] 計算社会科学 (1) 2020年6⽉10⽇(⽔) 13:50 〜 15:30 [2E5-OS-1b] 計算社会科学 (2) 2020年6⽉10⽇(⽔) 15:50 〜 17:30
  6. 6. 6笹原先⽣@名⼤の資料より: http://www.colorlessgreen.info/css 計算社会科学と関連分野
  7. 7. 計算社会科学領域での我々のアプローチ 1. 社会のセンサーとしての当社メディア 7 2. 課題解決ツールとしての当社メディア 社会 ネット動画 音楽 チャット ブログ マッチング ■ 社会現象の定量的評価 ■ 社会現象のモデリングと理解 社会 ネット動画 音楽 チャット ブログ マッチング ■ メディアが持ってる課題解決能⼒の発⾒ ■ 当社メディアを介した社会課題の解決 … …
  8. 8. 本⽇お話する内容 1. ABEMAのニュースに関するメディアコミュニケーション研究 2. インターネットにおける社会的振る舞い 1. 仮想世界が補間する現実世界の社会関係 2. ネットコミュニケーションツールが変えた社会関係の構造 3. ソーシャルゲームでの協調⾏動と進化ゲーム 8
  9. 9. メディア(ニュース)と利⽤者の関係性 ABEMAのニュースに関するメディアコミュニケーション研究 9
  10. 10. ABEMAにおけるメディア・コミュニケーション研究 10 問題意識: ネット・スマホ普及によるメディア環境の変化とABEMA Before Internet After Internet 【問題意識】インターネットのマスメディアABEMAはこの課題を解決できるか? ・焦点: ニュースや政治に関⼼のない⼈ 多くの⼈がマスメディアを利⽤ → 質が⾼く幅広い情報をみんなが受け取っている状態 マスメディアは知識・関⼼の平準化の役割を果たしていた ⼈によって利⽤メディアが異なり、質も⽟⽯混交 → 情報の内容・質・幅が⼈によってバラバラ ニュースに関⼼がない⼈は全く⾒ない マスメディアの効果が薄れ、知識や関⼼の格差・偏りが拡⼤ Questions 1. ABEMAのニュースは視聴者の知識を増やすか? ○ どんな番組が視聴者のニュース・政治知識に貢献するか? ○ 全くニュースを⾒るつもりのない⼈の知識をABEMAで増やせるか? 2. ニュース番組のコメント欄における健全な議論を促すために必要な対策はなにか? ○ ニュースの内容と⼈種的偏⾒・ヘイトスピーチの関係性から対策を考察する
  11. 11. 11 Q1-1: どんな番組が視聴者のニュース・政治知識に貢献するか? 政治に関心のない人も視聴する討論番組はニュース知識向上効果があり、知識格差の緩和に貢献 事実を客観的に報道する番組タイプ - ABEMA News, ABEMA Morningなど ニュースについて討論する番組タイプ - ABEMA Prime, よるバズ, NewsBAR, Wの悲喜劇、報ステ、 ニュースショーなど 知識を向上! 視聴 討論番組視聴 ストレートニュース視聴 視聴者層と政治関心に相関なし 政治に関心が高い人が視聴 知識に効果なし 視聴 政治・ニュース知識には効果なし。もともと政治に関心の高い人が視聴するため 政治・ニュース知識には効果あり。知識がない人にもわかるように背景を説明するから Y. Ogawa, et al. (preparing) また討論タイプでは視聴者の意見表明や議論 がコメント欄でされやすい (政治コミュニケーションを促す) 西, 小川, 高, 高野, 森下, 服部, “ネットテレビにおける ニュースの番組形態に基づく視聴者コメントの傾向分析” (under review)
  12. 12. 12 Q1-2: 全くニュースを見るつもりのない人の知識をABEMAで増やせるか? 全く関心がない人はそもそもニュース番組を見ない 【アプローチ】偶然ニュース画面を見たという機会を利用して知識を増やす ザッピング時にニュース画面が数秒表示される(チラ見する)ことに注目 知識に効果なし チラ見平均的ABEMAユーザ ソーシャルメディアを よく使う人 知識が向上! チラ見 ザッピング中のニュース画面チラ見 ソーシャルメディアをよく使う人に限り、彼らの政治・ニュース知識に効果あり ソーシャルメディアをよく使う人は政治・ニュース知識が少ない傾向にある → ABEMAはこの「ソーシャルメディアの負の効果」を緩和し、彼らの知識向上に貢献した 仮説: チラ見したニュース画面で知ったキーワードをソーシャルメディアのニュース共有で再接触、深堀りに繋がった可能性 他チャンネルの番宣でニュースを少しでも報道することによって接触機会を増やすことが有効である可能性 M. Takano, Y. Ogawa, F. Taka, and S. Morishita, “Effects of incidental brief exposure to news on news knowledge while changing channels on Internet television” (under review) 初⽇の[1L5-GS-5] Webインテリジェンス: 社会データ分析 (2) で発表
  13. 13. 13 Q2: ニュース番組のコメント欄における健全な議論を促すために必要な対策はなにか? 政治・ニュース知識向上効果のあった討論タイプの番組(Q2-1)では視聴者間の議論が促される(p.34) ただし、そこには偏見やヘイトスピーチなど不適切なコメントも少なからず存在し課題がある また、ABEMAの「ご意見」に荒れたコメントに関する苦情も寄せられる → 偏見に満ちた投稿・ヘイトスピーチ対策のために、そういった投稿を理解したい コリアン(韓国・北朝鮮・在日コリアン)への偏見に焦点 ニューストピックと3つの人種的偏見投稿パターン 1. 多くの “普通の人” が素朴に偏見をときどき投稿 2. 偏見の強い人がニュースにこじつけて表出 3. 極端な偏見の人が無差別/頻繁に投稿 偏見に関連するニュース ・政治や国際情勢 - 日韓関係や在日特権への不満 ・犯罪・事件 - 犯罪者を無根拠にコリアンだと決めつけて罵倒 偏見と関係が弱いニュース ・事故・災害 - ニュースはコリアンに言及していないのに関わらず投稿。 「税金が在日コリアンに使われるから被災者(日本人)に お金が回らない」など ・芸能 - 出演者をコリアンと無根拠に決めつけて罵倒 ニュースと無関係に投稿 ・極右政治グループのプロパガンダ ・コリアンの道徳/能力/見た目の劣等性をひたすら主張 対策への示唆 ● パターン1 ○ たくさんの普通の人がときどきする行為にア カウント単位での対策は意味がない(凍結な ど) ○ ニューストピックによって投稿される偏見内容 が異なる ○ ニューストピックに沿ったNG辞書によるコメ ントフィルタリングが有効 ● パターン2, 3 ○ 強い偏見を持つ人が何度も投稿(特にパター ン3)する ○ アカウント単位の対策が有効 M. Takano, F. Taka, S. Morishita, T. Nishi, and Y. Ogawa, “Three clusters of contents-audiences associations in expressions of racial prejudice during watching online television news” (preparing)
  14. 14. ① 討論系番組でニュースの背景知識を得て、ABEMA Newsなどで最新の情勢を把握 14 マスメディアとしてのABEMAの価値をより高めるには ニュース目的 ABEMAユーザ エンタメ目的 ニュースへの関心が薄い人に焦点 討論系番組 知識獲得 事実を客観的に報道する番組 情勢把握 ② 偶発的なニュース視聴で(知識が低い傾向のある)ソーシャルメディアユーザの知識を増やす アプローチ: ニュースへの関心が薄い・知識が ない人のニュース知識を高めることで視聴者の ニュース知識底上げを目指す エンタメ目的 ソーシャルメディア高 頻度利用ユーザ ザッピング中のチラ見 他チャンネルでの番宣など 知識獲得 偶発的なニュース視聴 ③ コメント欄での健全なニュースに関する議論のためのコメント対策強化 ニュース番組の視聴へ
  15. 15. インターネットにおける社会的振る舞い 15
  16. 16. 仮想世界が補間する現実世界の社会関係 n 課題: 悩み・問題を抱える⼈は現実の世界でアクセスできる社会的資源が限定されがち • 例えば、いじめ被害や性的マイノリティについて打ち明け、悩みを相談するのは結構ハードルが⾼い n RQ: 匿名空間を提供するアバターチャットサービスはリアルな社会関係を補うことができるか? 16 Masanori Takano and Takaaki Tsunoda, “Self-Disclosure of Bullied-Experiences and Social Support in Avatar Communication”, ICWSM, Vol. 13, No. 1, 2019. Kenji Yokotani and Masanori Takano, "Effects of Virtual Communities on Sexual Disparity and Mental Health among Sexual Minorities" (under review). リアルの世界 仮想空間(ピグパーティ): 表情やアクションのある匿名空間 いじめ被害の相談中にアバターを使った 「つらさ・共感・感謝」の情動表現 (ノンバーバルコミュニケーション) [Takano ICWSM] 性的マイノリティとマジョリティの格差がリアルに⽐べてゆるい世界 ピグパでの友⼈からのソーシャルサポートが精神的健康に寄与 [Yokotani under review]
  17. 17. ソーシャルゲームでの協調⾏動と進化ゲーム n進化ゲームによる理論的知⾒(+実験的証拠) • 協調者は環境が良くない(裏切り者が多い)と他グループに移動する(環境応 答移住) • 後で⾒返りが期待できる場合に(短期的には損をしても)協調的に振る舞う (互恵的利他主義) • 初対⾯では割と協調的に振る舞う(互恵的関係構築のための要請) nソーシャルゲームと進化ゲームの類似性を利⽤してソーシャルゲーム プレイヤーの協調⾏動を解析(ガールフレンド(仮)) • ≒ ソーシャルビッグデータによる進化ゲームの理論的知⾒の実証 17 Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, "Environmentally Driven Migration in a Social Network Game", Scientific Reports, 5, 12481; doi: 10.1038/srep12481 (2015). Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, “Reciprocal Altruism-based Cooperation in a Social Network Game”, New Generation Computing, Vol. 34, No. 3, pp. 257-271, 2016. Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, "Lightweight Interactions for Reciprocal Cooperation in a Social Network Game", SocInfo, 2016. 協調プレイヤーの少ないグループからは協調プレイヤーは 離脱し他のグループに⾏きやすい [Takano SciRep] 結果 協調的なプレイヤーは効率よくゲームを進め、 より熱⼼にプレイしていただける → 増やせると嬉しい 協調すると、その相⼿から協調してもらいやすい (互恵的)[Takano New Gen. Com.] 新参者は協調しやすい・協調されやすい(互恵関 係を築きやすい)[Takano SocInfo]
  18. 18. ネットコミュニケーションツールが変えた社会関係の構造 18Masanori Takano, "Two Types of Social Grooming Methods depending on the Trade-off between the Number and Strength of Social Relationships", Royal Society Open Science, Vol. 5, Issue 8, 2018. Masanori Takano and Kenichi Nakazato, "Emergence of the tradeoff law of social relationships in artificial societies driven by dual memory mechanisms", ALIFE, 2020 (accepted). Ego Primary partner (1.5) Intimate (5) Best/good friends (15) Friends (150) Good friends (50) Acquaintance (500) Faces we can put names (1500) The Circle of Friendship (Dunbar, Trends in Cognitive Science, 2018) ×3 社会関係の数と親密な⼈の数にはトレードオフが存在 • ⼈は親友を何百⼈も維持できない • 少数の親密な相⼿、そこそこの⼈数の友⼈、たくさんの知り合い → このトレードオフの強さはコミュニケーションツールに依存 少数の⾮常に親密な関係を持つ⼈ 多数の知り合いを持つ⼈ 強いトレードオフ 親密な⼈の維持コストが⾼い ため、親密な⼈を増やすと友 ⼈を維持しにくい 弱いトレードオフ 親密な⼈の維持コストが低いた め、親密な⼈を増しても、既存 の友⼈も維持しやすい メッセージを受け取ると返信するダイナミクスによって発現 メッセージを受け取ると他の⼈にメッセージを 送る(カスケード)ダイナミクスによって発現 [Takano RSOS] [Takano ALIFE] [Takano ALIFE]
  19. 19. まとめ n ⼈の⾏動データと⼈⽂・社会科学 • ⼈の⾏動によって⽣み出されたビッグデータを理解するために⼈⽂・社会科学の膨⼤な積み重ねは⾮常に強⼒ • ソーシャルビッグデータ・デジタルプラットフォームは⼈⽂・社会科学の可能性を広げうるデータ • ⼈⽂・社会科学者と組むことで刺激的な研究が可能に! n 直接的な事業貢献をする⼈はたくさんいて問題意識もスキルも蓄積もある • プロダクトの⼈(企画/デザイン/エンジニアリング) • R&D・基盤の⼈ • それを⽀援するバックオフィス(IR、広報、法務/知財など) n プロダクトの周辺・波及要素を体系⽴って把握・アプローチする⼈はたぶんあまりいない • その割にはやったおもしろそうなこと・重要なことは無数にある n 論⽂を書く理由 • アウトプットを専⾨家(編集者・査読者・出版後の読者)に評価してもらう⼀番効率的な⼿段 • 社会科学系は社内だけでは評価がしにくいことが多い • 精度での評価が難しいものが多く、直接売上につながらないことも多い n 個⼈データを研究や事業に使うことの課題 • 法的に問題がなくても、個⼈データの利⽤は受容されないこともある(社会的受容性) • 「だれ」が「なに」を「どのように」して「なんのため」に個⼈データを使うと受容される/拒否されるのか? • 2020/6/11(⽊)15:40 〜 16:00 N会場(jsai2020online-14) OS-11 ⼈⼯知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチで(このセッションの裏で)発表 • [3N5-OS-11b-01] 個⼈データ利活⽤における利⽤主体と利⽤⽬的に応じた社会的受容性 森下 壮⼀郎、⾼野 雅典 (株式会社サイバーエージェント) 19

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