仮想世界が補間する現実世界の社会関係
n 課題: 悩み・問題を抱える⼈は現実の世界でアクセスできる社会的資源が限定されがち
•例えば、いじめ被害や性的マイノリティについて打ち明け、悩みを相談するのは結構ハードルが⾼い
n RQ: 匿名空間を提供するアバターチャットサービスはリアルな社会関係を補うことができるか?
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Masanori Takano and Takaaki Tsunoda, “Self-Disclosure of Bullied-Experiences and Social Support in Avatar Communication”, ICWSM, Vol. 13, No. 1, 2019.
Kenji Yokotani and Masanori Takano, "Effects of Virtual Communities on Sexual Disparity and Mental Health among Sexual Minorities" (under review).
リアルの世界
仮想空間(ピグパーティ): 表情やアクションのある匿名空間
いじめ被害の相談中にアバターを使った
「つらさ・共感・感謝」の情動表現
(ノンバーバルコミュニケーション)
[Takano ICWSM]
性的マイノリティとマジョリティの格差がリアルに⽐べてゆるい世界
ピグパでの友⼈からのソーシャルサポートが精神的健康に寄与
[Yokotani under review]
17.
ソーシャルゲームでの協調⾏動と進化ゲーム
n進化ゲームによる理論的知⾒(+実験的証拠)
• 協調者は環境が良くない(裏切り者が多い)と他グループに移動する(環境応
答移住)
• 後で⾒返りが期待できる場合に(短期的には損をしても)協調的に振る舞う
(互恵的利他主義)
•初対⾯では割と協調的に振る舞う(互恵的関係構築のための要請)
nソーシャルゲームと進化ゲームの類似性を利⽤してソーシャルゲーム
プレイヤーの協調⾏動を解析(ガールフレンド(仮))
• ≒ ソーシャルビッグデータによる進化ゲームの理論的知⾒の実証
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Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, "Environmentally Driven Migration in a Social Network Game", Scientific Reports, 5, 12481; doi: 10.1038/srep12481 (2015).
Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, “Reciprocal Altruism-based Cooperation in a Social Network Game”, New Generation Computing, Vol. 34, No. 3, pp. 257-271, 2016.
Masanori Takano, Kazuya Wada, and Ichiro Fukuda, "Lightweight Interactions for Reciprocal Cooperation in a Social Network Game", SocInfo, 2016.
協調プレイヤーの少ないグループからは協調プレイヤーは
離脱し他のグループに⾏きやすい [Takano SciRep]
結果
協調的なプレイヤーは効率よくゲームを進め、
より熱⼼にプレイしていただける
→ 増やせると嬉しい
協調すると、その相⼿から協調してもらいやすい
(互恵的)[Takano New Gen. Com.]
新参者は協調しやすい・協調されやすい(互恵関
係を築きやすい)[Takano SocInfo]
18.
ネットコミュニケーションツールが変えた社会関係の構造
18Masanori Takano, "TwoTypes of Social Grooming Methods depending on the Trade-off between the Number and Strength of Social Relationships", Royal Society Open Science, Vol. 5, Issue 8, 2018.
Masanori Takano and Kenichi Nakazato, "Emergence of the tradeoff law of social relationships in artificial societies driven by dual memory mechanisms", ALIFE, 2020 (accepted).
Ego
Primary partner (1.5)
Intimate (5)
Best/good friends (15)
Friends (150)
Good friends (50)
Acquaintance (500)
Faces we can put names (1500)
The Circle of Friendship
(Dunbar, Trends in Cognitive Science, 2018)
×3
社会関係の数と親密な⼈の数にはトレードオフが存在
• ⼈は親友を何百⼈も維持できない
• 少数の親密な相⼿、そこそこの⼈数の友⼈、たくさんの知り合い
→ このトレードオフの強さはコミュニケーションツールに依存
少数の⾮常に親密な関係を持つ⼈
多数の知り合いを持つ⼈
強いトレードオフ
親密な⼈の維持コストが⾼い
ため、親密な⼈を増やすと友
⼈を維持しにくい
弱いトレードオフ
親密な⼈の維持コストが低いた
め、親密な⼈を増しても、既存
の友⼈も維持しやすい メッセージを受け取ると返信するダイナミクスによって発現
メッセージを受け取ると他の⼈にメッセージを
送る(カスケード)ダイナミクスによって発現
[Takano RSOS]
[Takano ALIFE]
[Takano ALIFE]
19.
まとめ
n ⼈の⾏動データと⼈⽂・社会科学
• ⼈の⾏動によって⽣み出されたビッグデータを理解するために⼈⽂・社会科学の膨⼤な積み重ねは⾮常に強⼒
•ソーシャルビッグデータ・デジタルプラットフォームは⼈⽂・社会科学の可能性を広げうるデータ
• ⼈⽂・社会科学者と組むことで刺激的な研究が可能に!
n 直接的な事業貢献をする⼈はたくさんいて問題意識もスキルも蓄積もある
• プロダクトの⼈(企画/デザイン/エンジニアリング)
• R&D・基盤の⼈
• それを⽀援するバックオフィス(IR、広報、法務/知財など)
n プロダクトの周辺・波及要素を体系⽴って把握・アプローチする⼈はたぶんあまりいない
• その割にはやったおもしろそうなこと・重要なことは無数にある
n 論⽂を書く理由
• アウトプットを専⾨家(編集者・査読者・出版後の読者)に評価してもらう⼀番効率的な⼿段
• 社会科学系は社内だけでは評価がしにくいことが多い
• 精度での評価が難しいものが多く、直接売上につながらないことも多い
n 個⼈データを研究や事業に使うことの課題
• 法的に問題がなくても、個⼈データの利⽤は受容されないこともある(社会的受容性)
• 「だれ」が「なに」を「どのように」して「なんのため」に個⼈データを使うと受容される/拒否されるのか?
• 2020/6/11(⽊)15:40 〜 16:00 N会場(jsai2020online-14)
OS-11 ⼈⼯知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチで(このセッションの裏で)発表
• [3N5-OS-11b-01] 個⼈データ利活⽤における利⽤主体と利⽤⽬的に応じた社会的受容性
森下 壮⼀郎、⾼野 雅典 (株式会社サイバーエージェント)
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